説明

受信装置及びエラー情報記録方法

【課題】デジタルチューナを搭載した受信装置において、エラーが発生したときに、デジタルチューナに基づく日時情報が取得できている場合、その日時情報を記録し、日時情報が取得できていない場合、装置内部の累積稼働時間を記録する。
【解決手段】テレビジョン放送受像機10は、デジタル放送信号を受信するデジタルチューナ11と、受信したデジタル放送信号から日時情報を取得する日時情報取得部20aと、累積稼働時間をカウントするカウンタ20cと、日時情報あるいは累積稼働時間を記憶する不揮発メモリ22とを備える。テレビジョン放送受像機10は、エラー発生を検知したときにデジタル放送信号に基づく日時情報が取得できたかどうかを判定する判定部20bを備え、日時情報が取得できている場合、エラー発生時の日時情報を不揮発メモリ22に記憶し、日時情報が取得できていない場合、エラー発生時の累積稼働時間を不揮発メモリ22に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置及びエラー情報記録方法、より詳細には、デジタルチューナを搭載し、エラーが発生した場合、デジタルチューナからエラー発生日時を取得可能な受信装置及び該受信装置によるエラー情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルチューナを備えたテレビジョン放送受像機などの受信装置において、テレビ側のシステムやハードウェアにエラー(障害)が発生したときに、そのエラー発生時間を記録するようにしたものが知られている。例えば、テレビの中には装置稼動後の累積稼動時間をカウントするカウンタ機能を備えたものがあり、このカウンタ機能によって、エラー発生時の累積稼働時間がわかるため、エラー発生時期を特定することができる。
【0003】
しかし、この累積稼動時間は、エラー発生した時点が稼動(リセット)してから何時間経過しているかを示す情報であり、当該エラーが何日の何時何分に発生したのか日時情報として示すものではない。従って、エラー発生時の時刻を特定するためには、累積稼動時間から逆算する必要があり、手間がかかっていた。
【0004】
これに対して、特許文献1には、エラー発生時の日時情報をデジタル放送信号あるいはカレンダ回路から取得する方法が提案されている。これによれば、デジタルチューナ基本回路が、受信信号を復調したNTSCコンポジット信号をモニタ装置に送出する。エラー履歴情報記録処理部が、個別回路(ラッチ回路、三つのエッジ検出回路、4入力ORゲート、カウンタ、R/W・アドレス生成部)で処理した受信/復調、制御信号の分離/抽出、及びMPEGデコードにおける誤り動作時のエラー状態データを出力し、エラー状態データの発生毎に日時情報を生成する。そして、このエラー状態データ及び日時情報のエラー履歴データを不揮発性メモリに記憶する。これにより、内蔵するCPUの処理負担を減らしつつ、エラー履歴データの記録を行うことができる。
【0005】
図7は、特許文献1に記載の従来のデジタルチューナの構成を示すブロック図である。デジタルチューナは、デジタル放送衛星からのMPEG圧縮によるデジタル放送をパラボラアンテナ/コンバータで受信した受信信号Siに対して選局及び復調処理を行う受信復調部101と、この受信復調部101が出力する復調データから各種の制御情報を分離(抽出)する分離抽出部102と、復調したMPEG圧縮データを伸張するMPEGデコード部103と、MPEG伸張データをNTSC方式に基づいてエンコードしたNTSCコンポジット信号Soを図示しないモニタに出力するNTSCエンコード部104とを備える。
【0006】
さらに、デジタルチューナは、各部を制御し、特に、データ処理における誤り動作時のエラー状態データS1,S2,S3,S4をポーリング制御で順次取り込む制御を実行するCPU105と、このCPU105が取り込んだエラー状態データS1〜S4を格納するフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ106と、各部とCPU105との間でデータ,制御データ等をやり取りするためのバスライン107と、汎用コンピュータなどの外部機器と接続するためのインターフェイス(I/F)部108とを備える。
【0007】
なお、デジタルチューナは、エラー状態データS1〜S4と共に、分離抽出部102からの日時情報に基づいて、日時をカウントアップし、不揮発性メモリ106に記憶するための計時部(図示せず)を備える。
【0008】
受信復調部101、分離抽出部102、MPEGデコード部103、NTSCエンコード部104は、それぞれデータ処理における誤り動作時のエラー状態データS1〜S4を出力するエラー出力端子が設けられている。このエラー出力端子からの各エラー状態データS1〜S4を、バスライン107を介してCPU105が取り込んで不揮発性メモリ106に記憶する。
【0009】
このように、デジタルチューナを備えたテレビジョン放送受像機において、エラーが発生すると、デジタルチューナから時刻情報を取得し、この時刻情報をエラー状態データとともに記憶しておくことにより、エラー原因の特定等に利用していた。
【特許文献1】特開2000−228780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明によれば、デジタルチューナの時刻情報を使っているため、アンテナ未接続などにより、時刻情報が取得できていない場合、正確な時刻情報を取得することができない。また、デジタルチューナの代わりに、カレンダ回路を内蔵することで時刻情報を取得するようにした場合でも、正確な日時が設定されていなければ、やはり正確な時刻情報を取得することができない。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、デジタルチューナを搭載した受信装置において、エラーが発生したときに、デジタルチューナに基づく日時情報が取得できている場合、その日時情報を記録し、デジタルチューナに基づく日時情報が取得できていない場合、装置内部の累積稼働時間を記録すること、を目的とする。
また、日時情報を含むエラー情報を、サービス担当者用のサービスモードあるいはユーザ用のユーザモードで表示可能とし、これによりエラー内容の解析を容易にすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、デジタル放送信号を受信するデジタルチューナと、該受信したデジタル放送信号から日時情報を取得する日時情報取得手段と、累積稼働時間をカウントするカウント手段と、日時情報あるいは累積稼働時間を記憶する記憶手段とを備えた受信装置において、エラー発生を検知したときにデジタル放送信号に基づく日時情報が取得できたかどうかを判定する判定手段を備え、前記判定手段により日時情報が取得できていると判定された場合、エラー発生時の日時情報を前記記憶手段に記憶し、前記判定手段により日時情報が取得できていないと判定された場合、エラー発生時の累積稼働時間を前記記憶手段に記憶することを特徴としたものである。
【0013】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、エラー発生時の日時情報あるいは累積稼動時間に対応付けて、エラー内容に関する情報を前記記憶手段に記憶することを特徴としたものである。
【0014】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記記憶手段に記憶されているエラー情報を表示する表示手段を備え、前記表示手段は、前記エラー情報として、エラー発生時の日時情報又は累積稼動時間と、エラー内容に関する情報とを表示することを特徴としたものである。
【0015】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記表示手段は、サービス担当者向けのエラー情報を表示するサービスモードと、ユーザ向けのエラー情報を表示するユーザモードとを異なる表示形態で表示することを特徴としたものである。
【0016】
第5の技術手段は、第3の技術手段において、前記表示手段は、エラー発生時にデジタル放送信号から日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーの内容に応じた警告メッセージを表示することを特徴としたものである。
【0017】
第6の技術手段は、第3の技術手段において、前記表示手段は、エラー発生時にデジタル放送信号から日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーのエラー情報を明示的に表示することを特徴としたものである。
【0018】
第7の技術手段は、デジタル放送信号を受信するデジタルチューナと、該受信したデジタル放送信号から日時情報を取得する日時情報取得手段と、累積稼働時間をカウントするカウント手段と、日時情報あるいは累積稼働時間を記憶する記憶手段とを備えた受信装置によるエラー情報記録方法において、エラー発生を検知したときにデジタル放送信号に基づく日時情報が取得できたかどうかを判定し、該判定の結果、日時情報が取得できていると判定された場合、エラー発生時の日時情報を前記記憶手段に記憶し、日時情報が取得できていないと判定された場合、エラー発生時の累積稼働時間を前記記憶手段に記憶することを特徴としたものである。
【0019】
第8の技術手段は、第7の技術手段において、エラー発生時の日時情報あるいは累積稼動時間に対応付けて、エラー内容に関する情報を前記記憶手段に記憶することを特徴としたものである。
【0020】
第9の技術手段は、第7又は第8の技術手段において、前記記憶手段に記憶されているエラー情報を表示する際に、該エラー情報として、エラー発生時の日時情報又は累積稼動時間と、エラー内容に関する情報とを表示することを特徴としたものである。
【0021】
第10の技術手段は、第9の技術手段において、サービス担当者向けのエラー情報を表示するサービスモードと、ユーザ向けのエラー情報を表示するユーザモードとを異なる表示形態で表示することを特徴としたものである。
【0022】
第11の技術手段は、第9の技術手段において、エラー発生時にデジタル放送信号から日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーの内容に応じた警告メッセージを表示することを特徴としたものである。
【0023】
第12の技術手段は、第9の技術手段において、エラー発生時にデジタル放送信号に基づく日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーのエラー情報を明示的に表示することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、デジタル放送に基づく日時情報を取得できている場合、エラー発生時に日時情報を記録することにより、エラー発生日時を正確に把握することができる。一方、テレビの場合にアンテナを接続しない使用環境(例えば、ケーブルTVなど)もあるため、このときは内部の累積稼働時間を記録することにより、エラー発生時期を特定することができる。このように日時情報が正確に取得できれば、例えば放送波側に問題があるようなエラーの場合などに原因を特定しやすい。
【0025】
また、通常のユーザモードでエラー情報を表示する場合には、ユーザがサービスセンタに電話した際に、サービスセンタ側がエラーの状態を知るために、ユーザ自らがエラー情報を見てその内容を知らせるといった利用シーンが考えられる。このとき、日時情報が取得されており、同じ時刻や近い時刻に連続して発生したエラーがあればそれを明示的に表示するなどして、ユーザから効率的に有効な情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による受信装置及び該受信装置によるエラー情報記録方法の好適な実施の形態について説明する。なお、本発明は、デジタルチューナを備える受信装置全般を対象としたものであるが、本発明の受信装置をテレビジョン放送受像機に適用した場合を代表例として説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るテレビジョン放送受像機の構成例を示すブロック図で、図中、10はテレビジョン放送受像機を示す。テレビジョン放送受像機10は、デジタルチューナ11、復調回路12、外部入力I/F13、映像スイッチ14、音声スイッチ15、映像処理回路16、ディスプレイ17、音声処理回路18、スピーカ19、システムマイコン20、B−CASリーダ/ライタ21、不揮発メモリ22、及びRAM23を備える。
【0028】
デジタルチューナ11は、衛星(BS/CS)あるいは地上局からMPEG圧縮されたデジタル放送信号を図示しないアンテナを介して受信する。このデジタル放送信号は、例えば、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式、64QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式、256QPSK方式、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiple)方式などの変調方式で変調されている。
【0029】
復調回路12は、デジタルチューナ11で受信したデジタル放送信号を復調し、その復調したデジタル放送信号を映像信号、音声信号に分離する。そして、映像信号を映像スイッチ14へ送り、音声信号を音声スイッチ15へ送る。
【0030】
外部入力I/F13は、DVDレコーダやHDDレコーダなどの外部機器と接続され、DVDやHDDなどの外部記録媒体から映像信号と音声信号を入力する。外部入力I/F13は、映像信号を映像スイッチ14へ送り、音声信号を音声スイッチ15へ送る。
【0031】
映像スイッチ14は、システムマイコン20からの切換信号に基づいて、復調回路12からの映像信号あるいは外部入力I/F13からの映像信号のいずれかに切り替え、切り替えた映像信号を映像処理回路16へ出力する。同様に、音声スイッチ15は、システムマイコン20からの切換信号に基づいて、復調回路12からの音声信号あるいは外部入力I/F13からの音声信号のいずれかに切り替え、切り替えた音声信号を音声処理回路18へ出力する。なお、テレビジョン放送受像機10は、映像処理回路16の前段において、復調回路12で復調されたMPEG圧縮データをデコード(伸張)するデコーダを備えているが、ここでの記載は省略している。
【0032】
映像処理回路16は、MPEG伸張データをNTSC方式などの表示形式に基づいてエンコードしたNTSCコンポジット信号を生成し、このNTSCコンポジット信号をLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ17へ出力する。また、映像処理回路16は、映像信号に重畳する各種オンスクリーン信号を生成するOSD部16aを備え、このOSD部16aが後述する図3及び図4に示すエラー情報を生成してOSD表示する。音声処理回路18は、音声スイッチ15からの音声信号に所定の処理を施してスピーカ19へ出力する。
【0033】
B−CASリーダ/ライタ21は、システムマイコン20と接続され、B−CASカードの読み込み及びB−CASカードへの書き込みを行う。このB−CASリーダ/ライタ21は、B−CASカードを着脱可能に装着するための機構を備えている。
【0034】
不揮発メモリ22は、本発明の記憶手段に相当し、デジタルチューナ11に基づく日時情報あるいはカウンタ20cによりカウントされる累積稼働時間を含むエラー情報が記憶される。この不揮発メモリ22には例えばフラッシュメモリなどが用いられる。なお、本発明の記憶手段は、内蔵メモリに限定されず、PCカードやメモリカードなどの外付けの記録媒体を用いてもよい。
【0035】
システムマイコン20は、デジタルチューナ11で受信したデジタル放送信号から日時情報を取得する日時情報取得部20aと、エラー発生を検知したときにデジタル放送信号に基づく日時情報が取得できたかどうかを判定する判定部20bと、装置内部の累積稼働時間をカウントするカウンタ20cとを備える。そして、システムマイコン20は、判定部20bにより日時情報が取得できていると判定された場合、エラー発生時の日時情報を不揮発メモリ22に記憶し、判定部20bにより日時情報が取得できていないと判定された場合、エラー発生時の累積稼働時間を不揮発メモリ22に記憶する。
【0036】
日時情報取得部20aで取得される日時情報は、現在の日付と時刻を含み、例えば、デジタル放送信号のストリームに含まれるTOT(Time Offset Table)から取得することができる。ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)の規定によれば、このTOTは5s周期でストリームに重畳されている。日時情報取得部20aは、デジタル放送信号が受信可能な場合、ストリーム中にTOTが含まれているかどうかを常時監視し、含まれていれば、TOTの中のJST(日本標準時)を用いて日時情報を更新する。そして、次の日時情報が取得できるまでは、OS(Operating System)のシステム時間を用いて、所定時間(1ms)ずつ時間を進める。この日時情報はRAM23に記憶される。
【0037】
また、累積稼動時間についても同様に上記OSのシステム時間を用いている。この累積稼働時間は、不揮発メモリ22に記憶するため、不揮発メモリ22の寿命などを考慮して、所定時間(例えば30分)毎に書き込むように構成される。このシステムマイコン20のOSのシステム時間は、メインマイコンの立ち上がり時点から1msずつカウントされる。
【0038】
このように、TOTが定期的あるいは任意のタイミングで取得できる場合、TOTによる日時情報とエラー情報、あるいは、TOTとRAM23に記憶されたカウンタ値による日時情報とエラー情報が不揮発メモリ22に書き込まれる。一方、TOTが全く取得できない場合、累積稼働時間とエラー情報が不揮発メモリ22に書き込まれる。
【0039】
ここで、エラーの検出方法は、従来と同様の方法により実現できる。例えば、テレビジョン放送受像機10を構成する各部に、それぞれデータ処理における誤り動作時のエラー情報を出力するエラー出力端子(図示せず)を設けておく。システムマイコン20は、各エラー出力端子に対してポーリング制御を行って、エラー情報を順次取り込んで不揮発メモリ22に記憶する。このときエラー内容にコードを割り当てるなどして記憶してもよい。
【0040】
また、エラー検出の別の方法として、テレビジョン放送受像機10を構成する各部においてエラー発生を検出したときに、エラー情報をエラー出力端子からシステムマイコン20へ出力するようにしてもよい。そして、システムマイコン20は、エラー出力端子からのエラー情報を不揮発メモリ22に記憶する。
【0041】
このようにして取得されたエラー情報は、エラー発生時の日時情報あるいは累積稼働時間に対応付けられており、サービス担当者あるいはユーザはエラー発生時の時刻を正確に把握することができる。
【0042】
図2は、本発明のテレビジョン放送受像機10によるエラー情報記録方法の一例を説明するためのフロー図である。まず、テレビジョン放送受像機10は、エラーの発生を検出すると(ステップS1)、デジタルチューナ11が受信したデジタル放送に基づく日時情報を取得できているかどうかを判定する(ステップS2)。
【0043】
テレビジョン放送受像機10は、ステップS2において、日時情報が取得できている場合(YESの場合)、その日時情報を不揮発メモリ22に記録する(ステップS3)。一方、日時情報が取得できていない場合(NOの場合)、カウンタ20cでカウントされた累積稼動時間を不揮発メモリ22に記録する(ステップS4)。
【0044】
図3は、エラー情報をサービスモードで表示した際の表示例を示す図である。このサービスモードによるエラー情報は、エラーが発生したときにサービス担当者がエラー内容を確認するためにディスプレイ17に表示されるもので、発生したエラーの数だけ表示される。本例では全部で5つのエラーが発生しており、そのうち3つの同じエラー(16 SYSTEM_ERR)が同時刻(2006/06/10 10:44)に発生している。このときの日時情報はデジタルチューナ11のTOT情報に基づき取得されたものであるが、デジタルチューナ11から日時情報を取得できていない場合、累積稼動時間を表示させるようにしてもよい。
【0045】
図4は、エラー情報をユーザモードで表示した際の表示例を示す図である。通常のユーザモードでエラー情報を表示する場合、ユーザがサービスセンタに電話した際に、サービスセンタ側がエラーの状態を知るために、ユーザ自らがエラー情報を見てその内容を知らせるといった利用シーンが考えられる。このとき、日時情報が取得されており、同じ時刻や近い時刻に連続して発生したエラーがあればそれを明示的に表示するなどすることで、サービスセンタ側がユーザから効率的に有効な情報を取得することができる。
【0046】
このユーザモードによるエラー情報は、エラーが発生したときにユーザがエラー内容を読むことができるようにディスプレイ17に表示される。ユーザモードでは、システム状態(エラー情報に相当)を示すコードと、B−CASカードの識別番号とが表示される。このシステム状態を示すコードからは、エラー内容と日時情報が分かるようになっている。なお、このユーザモードの画面は、図示しないリモコン等から、メニュー内の「ユーザモード」が選択指定されることにより表示される。
【0047】
ここでいうエラーの内容は、ユーザによって修復不可能なものであるため、その内容をユーザに積極的に知らしめる必要はない。そこで、エラー発生時のシステム状態をコード化することでユーザが見やすく、且つサービス担当者へ電話等で伝え易くしている。サービス担当者は、ユーザから伝えられたシステム状態コードに基づいて、どのようなエラーがいつ発生したかを正確に把握することができるため、エラー原因の特定及び修復作業を迅速に行うことができる。
【0048】
図3及び図4に示した各モードにおいて、エラー発生時にデジタル放送信号から日時情報が取得され、同じエラーが所定回数(例えば、3回以上)連続して発生した場合、そのエラーを明示的に表示するようにしてもよい。例えば、該当エラーの情報のみを表示する、表示順を最上位にする、文字色を変える、下線を引く、文字を斜体にする、太字にする、フォントを変える、など各種の表示形態が考えられるが、他のエラー情報との区別ができればよい。このような表示形態の加工処理は、OSD部16aで実行され、ディスプレイ17に表示される。
【0049】
また、エラー発生時にデジタル放送信号に基づく日時情報が取得され、同じエラーが所定回数(例えば、3回以上)連続して発生した場合、そのエラーの内容に応じた警告メッセージを表示するようにしてもよい。例えば、「致命的なシステムエラーです。これ以上使用すると危険ですので、すぐにサービスセンタに連絡して下さい。」のような警告メッセージを表示させる。このような警告メッセージは、OSD部16aでエラー内容に応じて作成され、ディスプレイ17に表示される。あるいは、エラー内容毎の警告メッセージを不揮発メモリ22に格納しておき、システムマイコン20がエラー内容に応じた警告メッセージを読み出して表示させるようにしてもよい。
【0050】
上記において、システムマイコン20は、エラーの発生回数をエラー内容毎にカウントしており、同じエラーが所定回数連続して発生したかどうかの判定処理を行うように構成される。
【0051】
図5は、エラー表示に対応するエラー内容を説明するための図である。本例では、サービスモードにおける6つのエラー表示の例を示している。「OUT_OF_R」は、DVI(Digital Visual Interface)視聴時に対応外信号が8分間以上入力されたときのエラー表示を示す。「E_PICIC」は、映像処理ICにリセットが発生したときのエラー表示を示す。映像処理ICにリセットが発生した事例としては、例えば、DDR(Double Data Rate)のメモリエラー、メインシステムマイコンとの通信エラーなどがある。
【0052】
「E_MONITR」は、モニタの異常を検出したときのエラー表示を示す。モニタの異常とは、例えば、FAN停止、温度異常検知などがある。「E_PICICBT」は、起動時に映像処理ICにリセットが発生したときのエラー表示を示す。「E_SHORTV」は、1.8Vライン電圧がショートしたときのエラー表示を示す。「E_DSDEV」は、デジタルスタンバイ時に失敗したときのエラー表示を示す。このエラーの事例としては、例えば、終了時に低消費電力モードから復帰するときにデバイスを初期化するが、このデバイスの初期化に失敗するなどがある。このように、本発明において対象とするエラーは、主に、システムのエラーや、ハードウェアのエラーである。
【0053】
図6は、本発明のテレビジョン放送受像機10によるエラー情報記録方法の他の例を説明するためのフロー図である。まず、テレビジョン放送受像機10は、エラーの発生を検出すると(ステップS11)、デジタルチューナ11が受信したデジタル放送に基づく日時情報を取得できているかどうかを判定する(ステップS12)。
【0054】
テレビジョン放送受像機10は、ステップS12において、日時情報が取得できている場合(YESの場合)、その日時情報を不揮発メモリ22に記録する(ステップS13)。一方、日時情報が取得できていない場合(NOの場合)、カウンタ20cによりカウントされた累積稼動時間を不揮発メモリ22に記録する(ステップS14)。
【0055】
次に、テレビジョン放送受像機10は、同じ時刻あるいは近い時刻で所定回数連続して同じエラーが発生したかどうかを判定し(ステップS15)、同じエラーが所定回数続いて発生した場合(YESの場合)、エラー内容に応じた警告メッセージをディスプレイ17に表示する(ステップS16)。また、ステップS15において、同じエラーが所定回数続いて発生していない場合(NOの場合)、ステップS11に戻り処理を繰り返す。
【0056】
以上説明したように、本発明によれば、デジタル放送に基づく日時情報を取得できている場合、エラー発生時に日時情報を記録することにより、エラー発生日時を正確に把握することができる。一方、テレビの場合にアンテナを接続しない使用環境(例えば、ケーブルTVなど)もあるため、このときは内部の累積稼働時間を記録することにより、エラー発生時期を特定することができる。このように日時情報が正確に取得できれば、例えば放送波側に問題があるようなエラーの場合などに原因を特定しやすい。
【0057】
また、通常のユーザモードでエラー情報を表示する場合には、ユーザがサービスセンタに電話した際に、サービスセンタ側がエラーの状態を知るために、ユーザ自らがエラー情報を見てその内容を知らせるといった利用シーンが考えられる。このとき、日時情報が取得されており、同じ時刻や近い時刻に連続して発生したエラーがあればそれを明示的に表示するなどして、ユーザから効率的に有効な情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態に係るテレビジョン放送受像機の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明のテレビジョン放送受像機によるエラー情報記録方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図3】エラー情報をサービスモードで表示した際の表示例を示す図である。
【図4】エラー情報をユーザモードで表示した際の表示例を示す図である。
【図5】エラー表示に対応するエラー内容を説明するための図である。
【図6】本発明のテレビジョン放送受像機によるエラー情報記録方法の他の例を説明するためのフロー図である。
【図7】特許文献1に記載の従来のデジタルチューナの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
10…テレビジョン放送受像機、11…デジタルチューナ、12…復調回路、13…外部入力I/F、14…映像スイッチ、15…音声スイッチ、16…映像処理回路、16a…OSD部、17…ディスプレイ、18…音声処理回路、19…スピーカ、20…システムマイコン、20a…日時情報取得部、20b…判定部、20c…カウンタ、21…B−CASリーダ/ライタ、22…不揮発メモリ、23…RAM、101…受信復調部、102…分離抽出部、103…MPEGデコード部、104…NTSCエンコード部、105…CPU、106…不揮発性メモリ、107…バスライン、108…I/F部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号を受信するデジタルチューナと、該受信したデジタル放送信号から日時情報を取得する日時情報取得手段と、累積稼働時間をカウントするカウント手段と、日時情報あるいは累積稼働時間を記憶する記憶手段とを備えた受信装置において、
エラー発生を検知したときにデジタル放送信号に基づいた日時情報が取得できたかどうかを判定する判定手段を備え、
前記判定手段により日時情報が取得できていると判定された場合、エラー発生時の日時情報を前記記憶手段に記憶し、
前記判定手段により日時情報が取得できていないと判定された場合、エラー発生時の累積稼働時間を前記記憶手段に記憶することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信装置において、エラー発生時の日時情報あるいは累積稼動時間に対応付けて、エラー内容に関する情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする受信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の受信装置において、前記記憶手段に記憶されているエラー情報を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記エラー情報として、エラー発生時の日時情報又は累積稼動時間と、エラー内容に関する情報とを表示することを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受信装置において、前記表示手段は、サービス担当者向けのエラー情報を表示するサービスモードと、ユーザ向けのエラー情報を表示するユーザモードとを異なる表示形態で表示することを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の受信装置において、前記表示手段は、エラー発生時にデジタル放送信号に基づいた日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーの内容に応じた警告メッセージを表示することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項3に記載の受信装置において、前記表示手段は、エラー発生時にデジタル放送信号に基づいた日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーのエラー情報を明示的に表示することを特徴とする受信装置。
【請求項7】
デジタル放送信号を受信するデジタルチューナと、該受信したデジタル放送信号から日時情報を取得する日時情報取得手段と、累積稼働時間をカウントするカウント手段と、日時情報あるいは累積稼働時間を記憶する記憶手段とを備えた受信装置によるエラー情報記録方法において、
エラー発生を検知したときにデジタル放送信号に基づいた日時情報が取得できたかどうかを判定し、
該判定の結果、日時情報が取得できていると判定された場合、エラー発生時の日時情報を前記記憶手段に記憶し、
日時情報が取得できていないと判定された場合、エラー発生時の累積稼働時間を前記記憶手段に記憶することを特徴とするエラー情報記録方法。
【請求項8】
請求項7に記載のエラー情報記録方法において、エラー発生時の日時情報あるいは累積稼動時間に対応付けて、エラー内容に関する情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とするエラー情報記録方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のエラー情報記録方法において、前記記憶手段に記憶されているエラー情報を表示する際に、該エラー情報として、エラー発生時の日時情報又は累積稼動時間と、エラー内容に関する情報とを表示することを特徴とするエラー情報記録方法。
【請求項10】
請求項9に記載のエラー情報記録方法において、サービス担当者向けのエラー情報を表示するサービスモードと、ユーザ向けのエラー情報を表示するユーザモードとを異なる表示形態で表示することを特徴とするエラー情報記録方法。
【請求項11】
請求項9に記載のエラー情報記録方法において、エラー発生時にデジタル放送信号に基づいた日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーの内容に応じた警告メッセージを表示することを特徴とするエラー情報記録方法。
【請求項12】
請求項9に記載のエラー情報記録方法において、エラー発生時にデジタル放送信号に基づいた日時情報が取得され、且つ同じエラーが所定回数連続して発生した場合、そのエラーのエラー情報を明示的に表示することを特徴とするエラー情報記録方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−28581(P2008−28581A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197551(P2006−197551)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】