説明

受光装置および電子機器

【課題】赤外光受光素子および可視光受光素子を同一の樹脂にて封止でき、製造の手間やコストを省くことができる受光装置を提供する。
【解決手段】演算処理回路20は、赤外光受光素子11および可視光受光素子12の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表すリモコン用受光信号S1および照度用受光信号S2を得るように、赤外光受光素子11および可視光受光素子12の出力を演算処理する。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、同一の封止樹脂6によって、封止される。このため、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を同一の封止樹脂6にて封止しても、リモコン用受光信号S1および照度用受光信号S2を判別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、リモコンセンサと照度センサとの機能を有する受光装置、および、この受光装置を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受光装置としては、赤外光受光素子を、可視光カット樹脂にて封止する一方、可視光受光素子を、可視光透過樹脂にて封止したものがある(特開2009−33558号公報:特許文献1参照)。そして、赤外光受光素子から、赤外光成分の信号であるリモコン用受光信号を出力し、可視光受光素子から、可視光成分の信号である照度用受光信号を出力していた。
【0003】
しかしながら、上記従来の受光装置では、赤外光受光素子および可視光受光素子をそれぞれ異なる樹脂にて封止していたので、封止樹脂の二色成形などを行う必要があり、製造の手間やコストがかかる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−33558号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、赤外光受光素子および可視光受光素子を同一の樹脂にて封止でき、製造の手間やコストを省くことができる受光装置、および、この受光装置を有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の受光装置は、
第1光を受ける第1受光素子と、
第2光を受けると共に、上記第1受光素子の分光感度特性とは異なる分光感度特性を有する第2受光素子と、
上記第1および第2受光素子の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表す第1および第2信号を得るように、上記第1および第2受光素子の出力を演算処理する演算処理回路と、
上記第1受光素子、第2受光素子および演算処理回路を支持する支持部材と、
上記第1受光素子、第2受光素子および演算処理回路を封止する光透過性の同一の封止樹脂と
を備えることを特徴としている。
【0007】
この発明の受光装置によれば、上記演算処理回路は、上記第1および第2受光素子の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表す第1および第2信号を得るように、上記第1および第2受光素子の出力を演算処理し、上記同一の封止樹脂は、第1受光素子、第2受光素子および演算処理回路を封止するので、第1および第2受光素子を同一の封止樹脂にて封止しても、第1および第2信号を判別できる。
【0008】
したがって、第1および第2受光素子を同一の封止樹脂にて封止でき、封止樹脂の二色成形などを行う必要がなく、製造の手間やコストを省くことができる。
【0009】
また、一実施形態の受光装置では、
上記第1光はリモコン信号を表す赤外光であり、上記第1受光素子は赤外光受光素子であり、
上記第2光は可視光であり、上記第2受光素子は可視光受光素子であり、
上記第1信号は、リモコン用受光信号であり、上記第2信号は、照度用受光信号である。
【0010】
この実施形態の受光装置によれば、上記第1光はリモコン信号を表す赤外光であり、上記第1受光素子は赤外光受光素子であり、上記第2光は可視光であり、上記第2受光素子は可視光受光素子であり、上記第1信号は、リモコン用受光信号であり、上記第2信号は、照度用受光信号であるので、赤外光受光素子および可視光受光素子を同一の封止樹脂にて封止しても、リモコン用受光信号および照度用受光信号を判別できる。
【0011】
したがって、赤外光受光素子および可視光受光素子を同一の封止樹脂にて封止でき、封止樹脂の二色成形などを行う必要がなく、製造の手間やコストを省くことができる。
【0012】
また、一実施形態の受光装置では、
上記演算処理回路からの上記リモコン用受光信号を受けて、上記リモコン信号を求めるリモコン信号処理回路と、
上記演算処理回路からの上記照度用受光信号を受けて、周囲の照度を求める照度検出処理回路と
を備え、
上記支持部材は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路を支持し、
上記封止樹脂は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路を封止している。
【0013】
この実施形態の受光装置によれば、上記リモコン信号処理回路は、演算処理回路からのリモコン用受光信号を受けて、リモコン信号を求め、上記照度検出処理回路は、演算処理回路からの照度用受光信号を受けて、周囲の照度を求め、上記支持部材は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路を支持し、上記封止樹脂は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路を封止しているので、赤外光受光素子および可視光受光素子を同一の封止樹脂にて封止しても、リモコン信号および照度を判別できる。
【0014】
また、一実施形態の受光装置では、上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路は、同一チップ内に、配置されている。
【0015】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路は、同一チップ内に、配置されているので、各受光素子および各処理回路を、一つのチップに集約できて、管理が容易になる。
【0016】
また、一実施形態の受光装置では、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路および上記照度検出処理回路は、第1のチップ内に、配置され、
上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されている。
【0017】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路および上記照度検出処理回路は、第1のチップ内に、配置され、上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置されているので、各受光素子および各処理回路を、複数のチップに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、上記赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されているので、赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路を単一にできる。
【0018】
また、一実施形態の受光装置では、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路および上記リモコン信号処理回路は、第1のチップ内に、配置され、
上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されている。
【0019】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路および上記リモコン信号処理回路は、第1のチップ内に、配置され、上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置されているので、各受光素子および各処理回路を、複数のチップに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、上記赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されているので、赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路を単一にできる。
【0020】
また、一実施形態の受光装置では、
上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、
上記演算処理回路、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されている。
【0021】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、上記演算処理回路、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置されているので、赤外光受光素子および可視光受光素子を単独のチップに配置できて、受光素子に関わるコストを低減できる。また、各受光素子および各処理回路を、複数のチップに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、上記赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されているので、赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路を単一にできる。
【0022】
また、一実施形態の受光装置では、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、第1のチップ内に、配置され、
上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記照度検出処理回路は、第3のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されている。
【0023】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、第1のチップ内に、配置され、上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、上記照度検出処理回路は、第3のチップ内に、配置されているので、各受光素子および各処理回路を、複数のチップに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、上記赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されているので、赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路を単一にできる。
【0024】
また、一実施形態の受光装置では、
上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、
上記演算処理回路および上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記照度検出処理回路は、第3のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されている。
【0025】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、上記演算処理回路および上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、上記照度検出処理回路は、第3のチップ内に、配置されているので、赤外光受光素子および可視光受光素子を単独のチップに配置できて、受光素子に関わるコストを低減できる。また、各受光素子および各処理回路を、複数のチップに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、上記赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されているので、赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路を単一にできる。
【0026】
また、一実施形態の受光装置では、
上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、
上記演算処理回路および上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記リモコン信号処理回路は、第3のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されている。
【0027】
この実施形態の受光装置によれば、上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、上記演算処理回路および上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、上記リモコン信号処理回路は、第3のチップ内に、配置されているので、赤外光受光素子および可視光受光素子を単独のチップに配置できて、受光素子に関わるコストを低減できる。また、各受光素子および各処理回路を、複数のチップに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、上記赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路は、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されているので、赤外光受光素子、可視光受光素子および演算処理回路を単一にできる。
【0028】
また、一実施形態の受光装置では、上記封止樹脂は、透明樹脂である。
【0029】
この実施形態の受光装置によれば、上記封止樹脂は、透明樹脂であるので、上記赤外光受光素子を封止する樹脂として、可視光成分をカットする染料を含んだ樹脂を用いる必要がなくて、コストを低減できる。
【0030】
また、この発明の電子機器は、上記受光装置を備えることを特徴としている。
【0031】
この発明の電子機器によれば、上記受光装置を備えるので、小型化および低価格化を実現できる。
【発明の効果】
【0032】
この発明の受光装置によれば、上記演算処理回路は、上記第1および第2受光素子の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表す第1および第2信号を得るように、上記第1および第2受光素子の出力を演算処理し、上記同一の封止樹脂は、第1受光素子、第2受光素子および演算処理回路を封止するので、第1および第2受光素子を同一の封止樹脂にて封止しても、第1および第2信号を判別でき、封止樹脂の二色成形などを行う必要がなく、製造の手間やコストを省くことができる。
【0033】
この発明の電子機器によれば、上記受光装置を備えるので、小型化および低価格化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の受光装置の第1実施形態を示す簡略構成図である。
【図2】受光装置のブロック図である。
【図3】本発明の受光装置の第2実施形態を示すと共に1例目の受光装置のブロック図である。
【図4】2例目の受光装置のブロック図である。
【図5】3例目の受光装置のブロック図である。
【図6】4例目の受光装置のブロック図である。
【図7】5例目の受光装置のブロック図である。
【図8】6例目の受光装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0036】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の受光装置の第1実施形態である簡略構成図を示している。この受光装置は、例えば、TV(テレビ)やVTR(ビデオテープレコーダ)等のAV(オーディオビジュアル)機器、PC(パーソナルコンピュータ)等のOA(オフィスオートメーション)機器などの電子機器に搭載され、この電子機器を遠隔制御するリモコン送信機から、遠隔制御のリモコン信号を受ける。また、この受光装置は、周囲の照度を表す外光を受ける。つまり、この受光装置は、リモコンセンサと照度センサとの機能を有する。
【0037】
図1に示すように、上記受光装置は、第1受光素子としての赤外光受光素子11と、第2受光素子としての可視光受光素子12と、演算処理回路20と、リモコン信号処理回路30と、照度検出処理回路40と、支持部材としてのリードフレーム5と、封止樹脂6とを有する。赤外光受光素子11、可視光受光素子12、演算処理回路20、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40は、同一チップ1内に、配置されている。
【0038】
上記赤外光受光素子11、可視光受光素子12、演算処理回路20、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40は、リードフレーム5に、支持される。上記赤外光受光素子11、可視光受光素子12、演算処理回路20、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40は、同一の封止樹脂6に封止される。この封止樹脂6は、光透過性のモールド樹脂であり、例えば透明樹脂である。リードフレーム5および封止樹脂6を、金属や導電性樹脂などのシールド材で、覆うようにしてもよい。
【0039】
図2に示すように、上記赤外光受光素子11は、リモコン送信機から送信される第1光としてのリモコン信号を表す赤外光を受光する。赤外光受光素子11は、赤外光(900nm付近)に分光感度のピークを有するフォトダイオードからなる。
【0040】
上記可視光受光素子12は、第2光としての周囲の照度を表す可視光を受光する。可視光受光素子12は、赤外光受光素子11の分光感度特性とは異なる分光感度特性を有する。可視光受光素子12は、可視光(550nm付近)に分光感度のピークを有するフォトダイオードからなる。
【0041】
上記演算処理回路20は、上記赤外光受光素子11および上記可視光受光素子12の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表す第1信号としてのリモコン用受光信号S1および第2信号としての照度用受光信号S2を得るように、赤外光受光素子11および可視光受光素子12の出力を演算処理する。
【0042】
具体的に述べると、上記演算処理回路20は、第1のトランジスタ21〜第6のトランジスタ26を有する。そして、電源線10と接地線15との間に、第1のトランジスタ21と赤外光受光素子11とを直列に接続している。赤外光受光素子11は、出力電流PD1を出力する。
【0043】
また、上記電源線10と接地線15との間に、第2、第3のトランジスタ22,23を直列に接続し、また、第5、第6のトランジスタ25,26を直列に接続して、上記第1のトランジスタ21のソースに、第1、第2、第5のトランジスタ21,22,25のゲートを接続して、第1カレントミラー回路を構成している。
【0044】
また、上記電源線10と接地線15との間に、可視光受光素子12と第4のトランジスタ24とを直列に接続している。可視光受光素子11は、出力電流PD2を出力する。
【0045】
上記第4のトランジスタ24のドレインに、第3、第4、第6のトランジスタ23,24,26のゲートを接続して、第2カレントミラー回路を構成している。
【0046】
上記第2、第3のトランジスタ22,23との間からリモコン用受光信号S1を出力する。第1カレントミラー回路の第2のトランジスタ22のミラー倍率をm、第2カレントミラー回路の第3のトランジスタ23のミラー倍率nとすると、リモコン用受光信号S1は、S1=m・PD1−n・PD2となる。このミラー倍率m,nは、(m・PD1−n・PD2)という減算によって、赤外光受光素子11の出力電流PD1と可視光受光素子12の出力電流PD2のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、赤外光領域の出力成分を強調するように選定している。
【0047】
上記第5、第6のトランジスタ25と26との間から照度用受光信号S2を出力する。第1カレントミラー回路の第5のトランジスタ25のミラー倍率をy、第2カレントミラー回路の第6のトランジスタ26のミラー倍率zとすると、照度用受光信号S2は、S2=−(y・PD1−z・PD2)となる。このミラー倍率y,zは、(y・PD1−z・PD2)という減算によって、赤外光受光素子11の出力電流PD1と可視光受光素子12の出力電流PD2とのうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、可視光領域の出力成分を強調するように選定している。
【0048】
上記リモコン信号処理回路30は、演算処理回路20からのリモコン用受光信号S1を受けて、リモコン送信機から送信されたリモコン信号を求める。
【0049】
具体的に述べると、上記リモコン信号処理回路30は、入力回路31と、増幅回路32と、バンドパスフィルタ33と、検波回路34と、出力回路35とを有する。
【0050】
そして、上記リモコン用受光信号S1を、入力回路31によって電圧変換してから、増幅回路32によって増幅する。なお、リモコンセンサとして、近距離(数mm)から遠距離(数十m)までの感度が必要であるため、増幅回路32を複数段(2段ないし3段)の構成として、高Gainとする。
【0051】
そして、この増幅した信号には、リモコン送信機から送信された本来のリモコン信号のほかに、外乱光ノイズ成分も含まれる。このため、この増幅した信号からリモコン信号を取り出すために、増幅した信号から、バンドパスフィルタ33によって、必要な周波数帯域の信号のみを抽出する。なお、リモコン信号には、副搬送波があり、38kHzが一般的である。
【0052】
そして、抽出した信号(リモコン信号)を、検波回路34によって、送信信号と同様なデジタル波形情報として、出力回路107によって、出力する。この信号は、出力端子36から出力される。この出力信号によって、電子機器の動作が制御される。
【0053】
上記照度検出処理回路40は、演算処理回路20からの照度用受光信号S2を受けて、周囲の照度を求める。
【0054】
具体的に述べると、上記照度検出処理回路40は、温度補償回路付きの電流アンプ46と、第1、第2のトランジスタ41,42と、定電流回路47と、トランスコンダクタンスアンプ43と、電流増幅率トリミング回路付きの電流増幅回路44とを有する。
【0055】
上記電流アンプ46の出力側と、第1のトランジスタ41のエミッタ側と、トランスコンダクタンスアンプ43のプラスの入力側とは、接続されている。上記第2のトランジスタ42のエミッタ側と、トランスコンダクタンスアンプ43のマイナスの入力側と、定電流回路47とは、接続されている。
【0056】
そして、上記照度用受光信号S2を、電流アンプ46によって増幅してから、第1のトランジスタ41によって対数圧縮された電圧に変換する。また、定電流回路47の基準電流を、第2のトランジスタ42によって、対数圧縮された電圧に変換する。
【0057】
そして、上記2つの電圧差を、トランスコンダクタンスアンプ43によって電流変換し、電流増幅回路44によって増幅してから、出力端子45から出力値(Io(μA)=10×Log(照度))として出力する。この出力値によって、電子機器のコントラストが調整される。
【0058】
上記構成の受光装置によれば、上記演算処理回路20は、赤外光受光素子11および可視光受光素子12の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表すリモコン用受光信号S1および照度用受光信号S2を得るように、赤外光受光素子11および可視光受光素子12の出力を演算処理し、上記同一の封止樹脂6は、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を封止するので、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を同一の封止樹脂6にて封止しても、リモコン用受光信号S1および照度用受光信号S2を判別できる。
【0059】
したがって、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を同一の封止樹脂6にて封止でき、封止樹脂6の二色成形などを行う必要がなく、製造の手間やコストを省くことができる。
【0060】
また、上記リモコン信号処理回路30は、演算処理回路20からのリモコン用受光信号S1を受けて、リモコン信号を求め、上記照度検出処理回路40は、演算処理回路20からの照度用受光信号S2を受けて、周囲の照度を求め、上記リードフレーム5は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40を支持し、上記封止樹脂6は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40を封止しているので、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を同一の封止樹脂6にて封止しても、リモコン信号および照度を判別できる。
【0061】
また、上記赤外光受光素子11、上記可視光受光素子12、上記演算処理回路20、上記リモコン信号処理回路30および上記照度検出処理回路40は、同一チップ1内に、配置されているので、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、一つのチップに集約できて、管理が容易になる。
【0062】
また、上記封止樹脂6は、透明樹脂であるので、上記赤外光受光素子11を封止する樹脂として、可視光成分をカットする染料を含んだ樹脂を用いる必要がなくて、コストを低減できる。
【0063】
上記構成の電子機器によれば、上記受光装置を備えるので、小型化および低価格化を実現できる。
【0064】
(第2の実施形態)
図3から図8は、この発明の受光装置の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、赤外光受光素子、可視光受光素子、演算処理回路、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路を、一つのチップでなく、複数のチップに分けて配置している。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0065】
図3に示すように、1例目の受光装置では、赤外光受光素子11、可視光受光素子12、演算処理回路20および照度検出処理回路40は、第1のチップ1A内に、配置され、リモコン信号処理回路30は、第2のチップ2A内に、配置されている。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40に対する共通の回路として、構成されている。
【0066】
リモコン信号処理回路30の入力に対して、演算処理回路20の1端子からリモコン用受光信号が供給される配線構成となっている。
【0067】
上記構成の受光装置によれば、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、複数のチップ1A,2Aに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を、共通回路として単一にできる。
【0068】
図4に示すように、2例目の受光装置では、赤外光受光素子11、可視光受光素子12、演算処理回路20およびリモコン信号処理回路30は、第1のチップ1B内に、配置され、照度検出処理回路40は、第2のチップ2B内に、配置されている。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40に対する共通の回路として、構成されている。
【0069】
照度検出処理回路40の入力に対して、演算処理回路20の1端子から照度用受光信号が供給される配線構成となっている。
【0070】
上記構成の受光装置によれば、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、複数のチップ1B,2Bに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を、共通回路として単一にできる。
【0071】
図5に示すように、3例目の受光装置では、赤外光受光素子11および可視光受光素子12は、第1のチップ1C内に、配置され、演算処理回路20、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40は、第2のチップ2C内に、配置されている。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40に対する共通の回路として、構成されている。
【0072】
演算処理回路20の入力に対して、赤外光受光素子11および可視光受光素子12のそれぞれの端子(赤外光受光素子のアノードおよびカソードの2端子と、可視光受光素子のアノードおよびカソードの2端子との、合計4端子)からPD信号が供給される配線構成となっている。
【0073】
上記構成の受光装置によれば、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を単独のチップ1Cに配置できて、受光素子に関わるコストを低減できる。また、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、複数のチップ1C,2Cに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を、共通回路として単一にできる。
【0074】
図6に示すように、4例目の受光装置では、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、第1のチップ1D内に、配置され、リモコン信号処理回路30は、第2のチップ2D内に、配置され、照度検出処理回路40は、第3のチップ3D内に、配置されている。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40に対する共通の回路として、構成されている。
【0075】
リモコン信号処理回路30の入力に対して、演算処理回路20の1端子からリモコン用受光信号が供給される配線構成となっている。照度検出処理回路40の入力に対して、演算処理回路20の別の1端子から照度用受光信号が供給される配線構成となっている。
【0076】
上記構成の受光装置によれば、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、複数のチップ1D,2D,3Dに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を、共通回路として単一にできる。
【0077】
図7に示すように、5例目の受光装置では、赤外光受光素子11および可視光受光素子12は、第1のチップ1E内に、配置され、演算処理回路20およびリモコン信号処理回路30は、第2のチップ2E内に、配置され、照度検出処理回路40は、第3のチップ3E内に、配置されている。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40に対する共通の回路として、構成されている。
【0078】
演算処理回路20の入力に対して、赤外光受光素子11および可視光受光素子12のそれぞれの端子(赤外光受光素子のアノードおよびカソードの2端子と、可視光受光素子のアノードおよびカソードの2端子との、合計4端子)からPD信号が供給される配線構成となっている。照度検出処理回路40の入力に対して、演算処理回路20の1端子から照度用受光信号が供給される配線構成となっている。
【0079】
上記構成の受光装置によれば、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を単独のチップ1Eに配置できて、受光素子に関わるコストを低減できる。また、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、複数のチップ1E,2E,3Eに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を、共通回路として単一にできる。
【0080】
図8に示すように、6例目の受光装置では、赤外光受光素子11および可視光受光素子12は、第1のチップ1A内に、配置され、演算処理回路20および照度検出処理回路40は、第2のチップ2A内に、配置され、リモコン信号処理回路30は、第3のチップ内に、配置されている。赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20は、リモコン信号処理回路30および照度検出処理回路40に対する共通の回路として、構成されている。
【0081】
演算処理回路20の入力に対して、赤外光受光素子11および可視光受光素子12のそれぞれの端子(赤外光受光素子のアノードおよびカソードの2端子と、可視光受光素子のアノードおよびカソードの2端子との、合計4端子)からPD信号が供給される配線構成となっている。リモコン信号処理回路30の入力に対して、演算処理回路20の1端子からリモコン用受光信号が供給される配線構成となっている。
【0082】
上記構成の受光装置によれば、赤外光受光素子11および可視光受光素子12を単独のチップ1Fに配置できて、受光素子に関わるコストを低減できる。また、各受光素子11,12および各処理回路20,30,40を、複数のチップ1F,2F,3Fに分割することで、一つのチップに集約したときに生じる無駄なスペースを排除できる。また、赤外光受光素子11、可視光受光素子12および演算処理回路20を、共通回路として単一にできる。
【0083】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1、上記第2の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、赤外光受光素子と、可視光受光素子と、演算処理回路と、リモコン信号処理回路と、照度検出処理回路との組合せについては、上記第1、上記第2の実施形態の組合せ以外の組合せであってもよい。また、赤外光受光素子、可視光受光素子、演算処理回路、リモコン信号処理回路および照度検出処理回路を、リードフレーム以外に、基板などの支持部材に支持してもよい。
【0084】
また、赤外光受光素子11や可視光受光素子12以外に、第1光を受ける第1受光素子と、第2光を受けると共に、第1受光素子の分光感度特性とは異なる分光感度特性を有する第2受光素子とを用いてもよく、この場合、演算処理回路は、第1および第2受光素子の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表す第1および第2信号を得るように、第1および第2受光素子の出力を演算処理する。
【符号の説明】
【0085】
1 チップ
1A〜1F 第1のチップ
2A〜2F 第2のチップ
3D〜3F 第3のチップ
5 リードフレーム(支持部材)
6 封止樹脂
11 赤外光受光素子(第1受光素子)
12 可視光受光素子(第2受光素子)
20 演算処理回路
30 リモコン信号処理回路
40 照度検出処理回路
S1 リモコン用受光信号(第1信号)
S2 照度用受光信号(第2信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を受ける第1受光素子と、
第2光を受けると共に、上記第1受光素子の分光感度特性とは異なる分光感度特性を有する第2受光素子と、
上記第1および第2受光素子の出力の出力成分のうち、互いに重複する分光感度領域に属する出力成分をキャンセルして、互いに異なる分光感度領域に属する出力成分を表す第1および第2信号を得るように、上記第1および第2受光素子の出力を演算処理する演算処理回路と、
上記第1受光素子、第2受光素子および演算処理回路を支持する支持部材と、
上記第1受光素子、第2受光素子および演算処理回路を封止する光透過性の同一の封止樹脂と
を備えることを特徴とする受光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受光装置において、
上記第1光はリモコン信号を表す赤外光であり、上記第1受光素子は赤外光受光素子であり、
上記第2光は可視光であり、上記第2受光素子は可視光受光素子であり、
上記第1信号は、リモコン用受光信号であり、上記第2信号は、照度用受光信号であることを特徴とする受光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の受光装置において、
上記演算処理回路からの上記リモコン用受光信号を受けて、上記リモコン信号を求めるリモコン信号処理回路と、
上記演算処理回路からの上記照度用受光信号を受けて、周囲の照度を求める照度検出処理回路と
を備え、
上記支持部材は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路を支持し、
上記封止樹脂は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路を封止していることを特徴とする受光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路は、同一チップ内に、配置されていることを特徴とする受光装置。
【請求項5】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路および上記照度検出処理回路は、第1のチップ内に、配置され、
上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されていることを特徴とする受光装置。
【請求項6】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子、上記演算処理回路および上記リモコン信号処理回路は、第1のチップ内に、配置され、
上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されていることを特徴とする受光装置。
【請求項7】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、
上記演算処理回路、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されていることを特徴とする受光装置。
【請求項8】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、第1のチップ内に、配置され、
上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記照度検出処理回路は、第3のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されていることを特徴とする受光装置。
【請求項9】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、
上記演算処理回路および上記リモコン信号処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記照度検出処理回路は、第3のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されていることを特徴とする受光装置。
【請求項10】
請求項3に記載の受光装置において、
上記赤外光受光素子および上記可視光受光素子は、第1のチップ内に、配置され、
上記演算処理回路および上記照度検出処理回路は、第2のチップ内に、配置され、
上記リモコン信号処理回路は、第3のチップ内に、配置され、
上記赤外光受光素子、上記可視光受光素子および上記演算処理回路は、上記リモコン信号処理回路および上記照度検出処理回路に対する共通の回路として、構成されていることを特徴とする受光装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一つに記載の受光装置において、
上記封止樹脂は、透明樹脂であることを特徴とする受光装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一つに記載の受光装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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