説明

口内刺激具

【課題】寝たきり老人や非介護者では唾液の分泌が少なく、口内が乾燥し嚥下作用がうまくできなくなることがあるが、口内を刺激して唾液の分泌を促すように形状に工夫がなされた口内刺激具を提供する。
【解決手段】刺激具1には歯形状あるいは馬蹄形状の基部2がその両開放端が先になるように湾曲部の外側中程に柄部3が取り付けてあり、その基部2の所望個所に植毛4してブラシ状として、上下の歯の間に納め口内で前後に動かす。更に電池による駆動モータを内蔵させ前後の往復運動をさせることもできる。この刺激により唾液の分泌が促され、食べ物を飲み込みやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきり老人等の口腔内の刺激具に関する。
【背景技術】
【0002】
寝たきり老人や被介護者等において、唾液の分泌が極端に少なく口内が乾燥してしまうこと(ドライマウスという。)がある。口内に唾液がなく乾燥すると、嚥下作用がうまくできず、食べたものが食道でなく気管支に入ってしまうことがあり、その誤流が肺炎の原因となることが極めて高い。特に、老人や病弱者において肺炎は非常に危険な病気であり、死亡原因の多くをしめている。
【0003】
そこで、口内を刺激して唾液の分泌を促すように形状に工夫がなされた口内刺激具が開発され、例えば、所定形状の弾性材製の刺激具を口内に含むようにした技術や口内の嚥下反射誘発ポイントに接触させるヘッドを柄の先に設けた技術(例えば、特許文献1参照)等がある。
【特許文献1】特開平11−309186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、口内に含むタイプのものは使用者になじみにくいという問題があり、嚥下反射誘発ポイントを刺激するヘッドを有するものは使用しにくいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、歯型状の基部がその両開放端が先になるように湾曲部の外側中程に柄部が取り付けてあり、その基部の所望個所に植毛してブラシ状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、基部を口内に入れて前後動させることにより、口内を刺激することになり、これによって唾液の分泌を促すことができ、老人に多い、ドライマウスによる唾液の分泌不足を緩和させて嚥下作用を活性化させ、食べ物を食道に容易に飲み込めることができることになり、延いては食べ物が気管支に誤入することがなくなり、気管支から肺に食べ物が流入したことが原因による肺炎の発症を防ぐことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施する形態例を説明する。
形態例1
図1は平面図、図2は側面図である。
1は刺激具であり、歯型状であるU字形や馬蹄形状の合成樹脂等製の基部2がそのU字形等の両開放端が先になるように湾曲部の外側中央付近に柄部3が取り付けてあり、その基部2の所望個所、例えば全表面、上下両面、外周面、内周面もしくは内外両周面等に植毛4してブラシ状を形成している。この植毛の材質は、合成樹脂毛や天然毛等どのようなものでもよい。
【0008】
本形態例においては、基部2の厚さは5〜6mm、上下両面に植毛4された毛の突出量は6〜7mmとしてある。
なお、上記植毛は、毛類に限るものではなく、スポンジ状体でもよく、例えば発泡厚膜材によって袋状のカバーを形成し、そのカバーを基部を覆うように取り付けるようにした構造等でもよい。このような構成にすると、カバーの交換が可能なために使い捨てが可能となる。
【0009】
このようにした刺激具1の基部2を口内に入れ、上下の歯の間に納める。そこで、柄部3を前後に動かすことにより、口内が刺激されて唾液の分泌が促されることになる。
この唾液の分泌によって、嚥下反応がおき、唾液を飲み込むことが行われ、口内およびのどを潤おわせることができる。さらに、これによって食べ物の嚥下作用がうまく作用して食道につまらせることなく容易に飲み込むことができることになる。
【0010】
食べ物を食道に容易に飲み込めることができることによって、食べ物が気管支に流入することがなくなり、延いては気管支から肺に食べ物が流入したことが原因による肺炎の発症を防ぐことができる。
形態例2
本形態例は、刺激具の基部を自動的に前後動させることができるようにした形態例であり、要部である基部2の構成は上記形態例とかわらない。
【0011】
5は柄部であり、内部に装着した電池11によって駆動するモータ6を内蔵し、そのモータ6の回転をカム等の直線動変換機構7によって前後の直線運動に換えて軸8を往復動させるようにし、さらに、この軸8の先端にねじやワンタッチ係止装置等の係止部9を設けた構造である。この係止部9に基部2の外側中央付近に設けた連結部10を連結して柄部5に基部2を一体に取り付けるものである。
【0012】
この刺激具によると、上記形態例同様に基部2を口内に入れ、上下の歯の間に納めてスイッチをONにすることにより、基部2が前後動し、口内が刺激されて、唾液の分泌が促されることになる。
この唾液の分泌によって、嚥下反応がおき、唾液を飲み込むことが行われ、口内およびのどを潤おわせることができる。さらに、これによって食べ物の嚥下作用がうまく作用して食道につまらせることなく容易に飲み込むことができることになり、食べ物が気管支に流入することがなくなり、気管支から肺に食べ物が流入したことが原因による肺炎の発症を防ぐことができる。
【0013】
以上説明したごとく、上記構造の刺激具の基部を口内に入れて前後動させることにより、口内を刺激することになり、これによって唾液の分泌を促すことができ、老人に多い、ドライマウスによる唾液の分泌不足を緩和させて嚥下作用を活性化させ、食べ物を食道に容易に飲み込めることができることになり、延いては食べ物が気管支に誤入することがなくなり、気管支から肺に食べ物が流入したことが原因による肺炎の発症を防ぐことができる。
【0014】
さらに、植毛によって歯のケアも行えると共に頭部の骨の40%をしめる口の骨を刺激することによりその口内刺激が脳に伝わり、脳の活性化を図ることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1形態例を示す平面図
【図2】側面図
【図3】第2形態例の説明図
【符号の説明】
【0016】
1 刺激具
2 基部
3 柄部
4 植毛
5 柄部
6 モータ
7 直線動変換機構
8 軸
9 係止部
10 連結部
11 電池



【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯型状の基部がその両開放端が先になるように湾曲部の外側中程に柄部が取り付けてあり、その基部の所望個所に植毛してブラシ状としたことを特徴とする口内刺激具。
【請求項2】
請求項1において、基部にスポンジ状体を取り付けたことを特徴とする口内刺激具。
【請求項3】
請求項1において、内部に装着した電池によって駆動するモータを内蔵し、そのモータの回転を直線動変換機構によって直線運動に換えて前後往復動させるようにした軸の先端に係止部を設け、この係止部に基部の外側中央付近に設けた連結部を連結可能にしたことを特徴とする口内刺激具。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−283006(P2007−283006A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116162(P2006−116162)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(597129229)チェスト株式会社 (31)
【Fターム(参考)】