説明

口栓

【課題】瓶内の圧力の上昇に対応でき外気の流入を防止しかつ強度を有する口栓を提供する。
【解決手段】口栓1は、中栓2、逆止弁3、ヘッドキャップ4を有し、中栓は、鍋状の中栓本体12と容器71の口に係止され容器内への進入を防ぐフランジ部11とを有し、中栓本体は、内外を連通するガス抜き孔17を底16に備え、逆止弁は、内部流路を有する胴部23と、胴部の一端に連続して外方に略環状に拡がる鍔部24と、胴部内に収容され鍔部側からの流体を通過させ逆流を阻止する弁体21とを備え、中栓本体内で内部流路がガス抜き孔に連通され、ヘッドキャップは、外筒部33と、外筒部の内側で外方に突出する中空のキャップ部32とを備え、キャップ部に胴部を収容しキャップ部の突出端が鍔部を底部の内面に押圧し逆止弁を中栓と一体化させ、外筒部がフランジ部に掛止されヘッドキャップを中栓内に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば日本酒の瓶に用いられる口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特有の醸造酒である日本酒は、近年生酒および活性酒のように火入れ工程を経ない日本酒または出荷前に熱処理を行う生酒の人気が高まっている。
生酒は、アルコール発酵の後に濾過により酵母を取り除いて一升瓶等に瓶詰めされるが、瓶詰めされた後にも一部残留する酵母および溶存する酵素によってゆっくりと発酵が進む。そのため、熱処理前の生酒が充填された瓶の内部は、密閉状態ではアルコール発酵により生じた二酸化炭素によって陽圧(加圧状態)となり突然に口栓が飛ぶ(外れる)という問題があった。
【0003】
また、一升瓶に瓶詰めされた生酒に対して出荷前の湯せん方式、熱湯に浸す等による熱処理(加熱殺菌)を行うとき、冠頭締めされた通常の密閉型の口栓では、内部の圧力上昇により瓶の割れまたは冠頭が暴発し、作業者にとって危険であるとともに後かたづけも大変であった。そこで、瓶の割れまたは冠頭の暴発を避けるために、口栓を瓶の口から取り外し瓶の口に載せた状態で作業が行われていた。
【0004】
しかし、口栓を瓶の口に載せた状態では、瓶が転倒したときに瓶内に水が入り、商品ロスを生ずる。
そこで、生酒等が充填され陽圧となったとき、および熱処理を行うときに、瓶内のガス抜きを行うことができかつ外部から瓶内への雑菌の混入を防止する口栓が提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3005237号公報
【特許文献2】特開2005−1696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で提案された口栓は、瓶内のガス抜きおよび瓶内への雑菌の混入防止が微多孔質フィルムにより行われる。しかし、特許文献1で提案された口栓は、瓶内が陰圧になったときの瓶内への外気の流入を防止することができず、酸化による酒質の劣化が懸念される。
特許文献2で提案された口栓は、逆流防止効果を有する逆止弁により瓶内への外気の流入が防止されるが、逆止弁周りの実用的な強度に若干不安がある。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、瓶内の圧力の上昇に対応でき外気の流入を防止することができかつ実用的な強度を有する口栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る口栓は、容器の口を塞ぐ口栓であって、中栓、逆止弁、およびヘッドキャップを有し、前記中栓は、円筒状の周壁部および前記周壁部の一端を閉じる底部を有し前記底部を先にして前記容器の口に嵌め入れられることにより前記容器の内外を遮断する中栓本体と、前記周壁部の他端から径方向外方の全周に拡がり前記容器の口の端に係止されることにより前記中栓本体の前記容器内への過度の進入を制限するフランジ部と、で形成され、前記中栓本体は、前記周壁部の内外を連通させるガス抜き孔を前記底部に備え、前記逆止弁は、内部流路を有する胴部と、前記胴部の一端に連続して外方に略円環状に拡がる鍔部と、前記胴部の内部に収容され前記胴部と協働して前記鍔部側から流入する流体について前記内部流路を通過させ前記内部流路を経由する前記鍔部側への流体の流出を阻止する弁体と、を備え、前記鍔部が前記中栓本体内の前記底部側に配されて前記内部流路が前記ガス抜き孔に連通されており、前記ヘッドキャップは、円筒状の外筒部と、前記外筒部の内側に配されて前記外筒部の一端よりも前記外筒部の軸心方向外方に突出する円筒状のキャップ部と、を備え、前記ヘッドキャップが、前記胴部を前記キャップ部の内側に収容して前記キャップ部の前記軸心方向外方に突出する先端により前記鍔部を前記底部に向けて押圧することで前記逆止弁を前記中栓と一体化させ、前記外筒部が前記逆止弁と前記中栓との一体化を維持するために前記フランジ部に掛止されて、前記ヘッドキャップが前記中栓内から抜け出ることがないように形成される。
【0009】
好ましくは、前記ヘッドキャップは、前記外筒部および前記キャップ部が前記外筒部の他端側で略板状の蓋部により閉じられた状態で一体的に形成され、前記キャップ部および前記蓋部により囲まれた部分と外部とを連通させる放出流路が設けられる。
前記キャップ部における前記軸心方向外方に突出する先端に、例えば前記放出流路の一部を構成する切り欠きが設けられる。
【0010】
好ましくは、前記キャップ部における前記軸心方向外方に突出する先端が円滑な面であり、前記キャップ部に一端を閉じる前記蓋部前記円滑な面である他端との間に、円筒状の前記キャップ部の内外を貫通し前記放出流路の一部を構成する通気路が設けられる。
好ましくは、前記中栓本体の前記底部は、その内面から前記キャップ部の軸心の延長を中心として円環状に突出する突出環を備え、前記キャップ部の前記軸心方向外方に突出する先端と前記突出環とにより前記逆止弁の鍔部が挟持される。
【0011】
前記逆止弁の前記鍔部が、前記キャップ部の軸心の延長を中心として円環状に厚さが増大したシール環を備え、前記キャップ部の前記軸心方向外方に突出する先端と前記中栓本体の底部とにより前記シール環が挟持されるように構成してもよい。
好ましくは、前記蓋部は、前記外筒部の径方向外方に環状に前記周壁部よりも大きく拡がり前記フランジ部側を向く平らな面を備え、前記フランジ部は、前記平らな面に平行な前記蓋部側を向く梨地加工された面を備え、前記ヘッドキャップは、前記平らな面を前記梨地加工された面に当接させて前記ヘッドキャップの前記中栓内への進入を防ぐように形成される。
【0012】
好ましくは、前記中栓本体における前記ガス抜き孔の内側開口を含む前記底部の内面が抗菌シートに覆われ、前記キャップ部における外方への突出端が、前記鍔部とともに前記抗菌シートを前記底部の内面側に押圧することにより前記逆止弁とともに前記抗菌シートが前記中栓と一体化される。
好ましくは、前記中栓、前記逆止弁、および前記ヘッドキャップの1つ以上またはすべてに抗菌剤が練り込まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、瓶内の圧力の上昇に対応でき外気の流入を防止することができかつ実用的な強度を有する口栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は口栓の正面断面図である。
【図2】図2は口栓を図1の左から見たときの断面図である。
【図3】図3は中栓の平面図である。
【図4】図4は中栓の正面部分断面図である。
【図5】図5は逆止弁の弁本体の平面図である。
【図6】図6は弁本体の正面部分断面図である。
【図7】図7はヘッドキャップの正面図である。
【図8】図8はヘッドキャップを図7の下から見た図である。
【図9】図9は口栓におけるガス抜きの様子を示す図である。
【図10】図10は図1におけるA−A矢視部分断面の部分拡大図である。
【図11】図11は他の口栓の正面断面図である。
【図12】図12は他の口栓の正面断面図である。
【図13】図13は他の口栓の正面断面図である。
【図14】図14は他の口栓の正面断面図である。
【図15】図15は他の中栓の平面図である。
【図16】図16は他の弁本体の正面部分断面図である。
【図17】図17は他の口栓の正面断面図である。
【図18】図18は他の弁本体の正面部分断面図である。
【図19】図19は他の弁本体の裏面図である。
【図20】図20は他の口栓の正面断面図である。
【図21】図21は他の弁本体の正面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は口栓1の正面断面図、図2は口栓1を図1の左から見たときの断面図、図3は中栓2の平面図、図4は中栓2の正面部分断面図、図5は逆止弁3の弁本体22の平面図、図6は弁本体22の正面部分断面図、図7はヘッドキャップ4の正面図、図8はヘッドキャップ4を図7の下から見た図(下面図)、図9は口栓1におけるガス抜きの様子を示す図、図10は図1におけるA−A矢視部分断面の部分拡大図である。
【0016】
なお、図1,2の左半分は、中栓2のみを切断した図である。
口栓1は、中栓2、逆止弁3、ヘッドキャップ4および抗菌シート5からなる。
中栓2は、フランジ部11および中栓本体12からなる。
フランジ部11は厚さを有する円板状である。フランジ部11は中央部分に断面円形の孔13(以下「掛止孔13」という)を備え、その円板状の一方の面が鍋型の中栓本体12に連続している。「鍋型」とは、全体として一端が閉じられた円筒状の形状をいう。掛止孔13には、フランジ部11の外方面(中栓本体12に連続しない側の面)から内方に所定の距離隔てた位置に、周面から突出して1周する掛止環14が設けられている。掛止環14の内方端は、平面視(図3参照)において円形である。掛止環14の断面端縁は、外方に凸状の湾曲面である。
【0017】
中栓本体12は、全体として円筒状の周壁部15と、周壁部15におけるフランジ部11とは反対側の端を閉じる底部16とからなる。周壁部15は、その軸心方向における中央から少しフランジ部11側に偏った位置に段を有し、段よりも底部16側の内径および外径が、それぞれフランジ部11側の内径および外径よりも小さい。
周壁部15と底部16とが連続する部分は、周壁部15の軸心を含む断面が湾曲している。底部16は、この周壁部15と底部16とが連続する部分に段を形成することなく周壁部15の内方に凸である球面状に湾曲している。底部16には、その中心を貫通するガス抜き孔17を有する。
【0018】
中栓2は、合成樹脂、例えばポリエチレンで製作される。
逆止弁3は、芯球21および弁本体22で構成される。芯球21は形状が真球であり、その表面は滑らかである。芯球21は、合成樹脂、例えばナイロンで製作される。芯球21の形状は真球に限られず、楕円球等の他の球体であってもよい。
弁本体22は、図6を参照して、胴部23および鍔部24からなる。胴部23は、円筒状であって内径が大きな径大部25、径大部25よりも内径が小さな円筒状の径小部26、および一端が径大部25の端に連続し他端が径小部26に連続して径大部25と径小部26とを湾曲面でつなぐ連結部27で形成されている。径大部25は芯球21の外径よりも小さな内径を有する円筒状の部分である。
【0019】
連結部27の内周には、図5に示されるように、周方向に120度間隔で3つの突起28,28,28が設けられている。連結部27における突起28が設けられた部分は、突起28によって他の部分よりも肉厚となっている。
鍔部24は、径大部25における径小部26とは反対側の端に連続し、胴部23の径方向に拡がるリング状の部分である。鍔部24の外径は、後述するキャップ部32の外径よりも大きい。鍔部24は、その形状が正面視(図6)においてわずかに高さを有する円錐台である。鍔部24は、平らであってもよい。
【0020】
鍔部24と径大部25とが連続する部分の内面は、内方に突出して周方向に一巡する係止環29となっている。
逆止弁3は、芯球21が弁本体22における胴部23内に収容されたものである。弁本体22は、芯球21が胴部23内に収容されると、その内面に突出する突起28,28,28が芯球21によって外方に押し出される。
【0021】
芯球21は、係止環29によって胴部23内からの脱落が阻止されている。
弁本体22はエラストマー、例えばシリコーンゴムで製作される。逆止弁3では、芯球21は常に弁本体22が収縮しようとする力を受ける。
ヘッドキャップ4は、図1,2,7,8を参照して、ヘッド部31およびキャップ部32からなる。ヘッド部31は、円筒状の外筒部33および外筒部33の一端を閉じる円板状の蓋部34からなる。外筒部33は、その外径がフランジ部11における掛止孔13の内径よりも小さく、かつ掛止環14の内方端の内径よりも小さい。外筒部33における開放側の端近傍の外周には、周面から突出して周方向に延びた係合突部35が設けられている。係合突部35の外面は、外方に凸状の湾曲面である。
【0022】
係合突部35は、図8によく示されるように、外筒部33の外周を1周するのではなく、180度離れた2箇所において欠落している。この欠落する部分を「欠落部分36」という。係合突部35は、欠落部分36,36を除くその外方端42が平面視(図8参照)において円形である。係合突部35の外径(外方端42の径)は、掛止環14の突出する端の径よりも大きくフランジ部11における掛止孔13の径(内径)よりも小さい。
【0023】
蓋部34の径は外筒部33の外径よりも大きく、その一部は、外筒部33よりも外方に鍔状に拡がる。
図7を参照して、外筒部33の軸心方向について、係合突部35における蓋部34側の突出開始位置(根元)から蓋部34における鍔状となった部分の係合突部35側表面までの距離D1は、例えば、図4を参照して、中栓2におけるフランジ部11の外方の表面19から掛止環14における中栓本体12とは逆側の突出開始位置(根元)までの距離D2よりも大きい。
【0024】
キャップ部32は、外筒部33の内径よりも外径が小さな円筒形状である。また、キャップ部32の内径は、逆止弁3における芯球21を収容する胴部23を挿入可能な大きさである。キャップ部32は、ヘッド部31(外筒部33)の内側に配されてその一端が蓋部34により閉じられている。キャップ部32は、外筒部33よりもその長さが長い。また、キャップ部32は、その外径が、前述したように逆止弁3における鍔部24の外径よりも小さい。
【0025】
キャップ部32には、その開放側の端における180度周方向に離れた2箇所に、端縁から軸心方向に所定長さおよび周方向に所定の幅の切り欠き37を備える。切り欠き37は、図7に示されるように、正面視において形状が矩形である。なお、切り欠き37の周方向における位置は、係合突部35における欠落部分36,36の周方向の位置と無関係に決定することができる。切り欠き37および係合突部35における欠落部分36,36のそれぞれの大きさおよび数は、不都合を生じない範囲で変更することができる。切り欠き37は、キャップ部32の内側から外側に向けて気体を通過させるものであり、「軸心方向に所定長さおよび周方向に所定の幅」とは、気体の通過に支障がなければ、その長さおよび幅を自由に設定することができる。
【0026】
キャップ部32およびヘッド部31は、合成樹脂、例えばポリプロピレンで製作され、これらは一体のものとして成形加工される。
抗菌シート5は円形であり、その径は逆止弁3における鍔部24の径に略等しい。
抗菌シート5に使用される抗菌剤は、例えば銀等の金属イオン、ポリフェノール等の有機化合物またはヒノキチオール等の天然の抗菌作用を有する材料である。
【0027】
口栓1は、中栓2、逆止弁3、ヘッドキャップ4および抗菌シート5を以下のように一体化して形成される。
はじめに、ヘッドキャップ4におけるキャップ部32の内部に、逆止弁3の径小部26、芯球21を収容する胴部23の順で挿入される。逆止弁3は、キャップ部32の内径よりも径の大きい鍔部24がキャップ部32の端に当接して、キャップ部32の内部への挿入の程度が制限される。鍔部24には抗菌シート5が重ね合わされる。
【0028】
逆止弁3の一部をキャップ部32内に収容するヘッドキャップ4は、キャップ部32からはみ出た鍔部24側を先にして、中栓2内部に挿入される。ヘッドキャップ4は、その係合突部35が中栓2の掛止環14により一旦進入を阻止される。このとき、蓋部34が強く押されることにより係合突部35が掛止環14を乗り越え、ヘッドキャップ4は、キャップ部32の先端が鍔部24および抗菌シート5を介して中栓2における底部16の内面に当接し、その進入が停止される。
【0029】
この状態で、ヘッドキャップ4は、その係合突部35が中栓2における掛止環14に当接し(掛止されて)、中栓2内から抜け出ることが防止される。キャップ部32の先端は逆止弁3の鍔部24および抗菌シート5を軽く底部16に向けて押圧し、弁本体22における芯球21を収容する内側と外部とが遮断される。このように、口栓1では、ヘッドキャップ4のキャップ部32は、中栓2の形状(底部16の特定部分(キャップ部32の端を仮に伸ばしたとしたときに当たる底部16の部分)における深さ)との関係で、その係合突部35が中栓2の掛止環14に掛止されたときに、キャップ部32の先端が底部16の内面近くに位置するように、その長さが決定される。このときのキャップ部32の先端と底部16の内面との距離は、鍔部24および抗菌シート5を重ねた厚さよりも小さくされる。
【0030】
また、この状態で、ヘッドキャップ4における外筒部33から外方に張り出した蓋部34のフランジ部11側の表面39と、この表面39に対向するフランジ部11の表面19との間に隙間が生ずるように、ヘッドキャップ4および中栓2が設計される。
抗菌シート5は、キャップ部32に押圧された鍔部24によって中栓2の底部16に押しつけられて保持される。
【0031】
続いて、図9および図10を参照して口栓1におけるガス抜きについて説明する。図9における符合71は、口栓1により封がされた日本酒の瓶である。
熱処理により圧力が上昇した瓶71内におけるガスGは、中栓2のガス抜き孔17を通過し、抗菌シート5を通り抜けて、逆止弁3における芯球21および径大部25で囲まれた空間S1に流入する。ここで、ガスGは逆止弁3によりその流れが止められ、空間S1の圧力は瓶71の内部の圧力とともに上昇する。瓶71内からガスGが引き続き空間S1に流入し、瓶71の内部および空間S1の圧力がさらに上昇すると、芯球21と胴部23との間にガスGが進入する。また、空間S1の圧力により芯球21がわずかに径小部26側に移動し、連結部27を押しひろげる。連結部27は、突起28,28,28により肉厚となった部分と他の部分とで伸びの程度が異なることにより、鍔部24側から径小部26側へのガスGの流路を形成させる。
【0032】
瓶71内のガスGは、弁本体22の胴部23(径大部25および連結部27)を押しひろげて生じさせた芯球21と弁本体22との隙間を通って径小部26に至る。キャップ部32の内部S2に進入したガスGは、切り欠き37、ヘッドキャップ4における係合突部35の欠落部分36と中栓2におけるフランジ部11の掛止孔13との間SP、掛止環14の突出する端と外筒部33の外周38との間、およびフランジ部11の表面19とこれに対向する蓋部34の表面39との間を通過して、外部に放出される。
【0033】
これとは逆に、例えば瓶71内の温度が下がり瓶71内の圧力が外部の圧力より低下した場合、口栓1における逆止弁3の芯球21は、中栓2の底部16側に移動する。芯球21は、底部16側に移動しても弁本体22の胴部23との密着を維持し、瓶71内への外気の混入を防止する。さらに瓶71内の圧力が低下すると、芯球21は中栓2の底部16に当接し、それ以上の移動が制限される。
【0034】
このように、口栓1は、取り付けられる瓶71内の圧力が高まったとき、瓶71内のガスGを外部に放出し、瓶71内の圧力が低下したとき、外気の瓶71内への進入を防止することができる。そのため、口栓1は、熱処理(瓶燗)により瓶71内で圧力が上昇したとき栓飛びが生じない。また口栓1は、ガス抜きを行う逆止弁3の効果により、栓飛びしない場合に生ずる瓶の割れ(破瓶)を防止することができる。
【0035】
口栓1は、逆止弁3が中栓2の内側に挿入された円筒状のキャップ部32内に収容され、キャップ部32により中栓2内に一体化されているため、中栓2内において逆止弁3は実用上十分な強度を有する。
中栓2における底部16が周壁部15の内方に凸となる球面状に湾曲していることにより、瓶71内が外部よりも陰圧になり、芯球21が底部16を押圧するときに、この芯球21による圧縮力に十分耐えることができる。つまり、底部16における球面状の湾曲は、底部16に対して逆止弁3側から瓶71内に向けて差圧分の力が加わるときに、その力を湾曲の法線方向に生じる圧縮応力で支えることにより、口栓1に十分な強度を与えるためのものである。
【0036】
図11は他の口栓1Bの正面断面図である。
口栓1Bは、中栓2、逆止弁3、ヘッドキャップ4Bおよび抗菌シート5からなる。
中栓2、逆止弁3および抗菌シート5は、口栓1におけるものと略同じであり、これらの各部については、図11において口栓1における符合と同一の符合を付しその説明を省略する。
【0037】
ヘッドキャップ4Bは、ヘッド部31Bおよびキャップ部32からなる。
ヘッド部31Bは、円筒状の外筒部33Bおよび外筒部33Bの一端を閉じる円板状の蓋部34からなる。外筒部33Bは、以下の点でのみ上で説明した口栓1における外筒部33と異なる。すなわち、外筒部33Bにおいて周面(外周38)から突出して周方向に延びた係合突部35Bは、口栓1における欠落部分36を有さず、外筒部33Bの外周を完全に1周する。また、外筒部33Bは、係合突部35Bと蓋部34に連続する部分との間に、内外を連通させる連通孔40B,40Bが、周方向に180度離されて設けられている。連通孔40B,40Bは、口栓1Bにおいて、フランジ部11の掛止環14よりも蓋部34側に配される。
【0038】
口栓1Bにおけるヘッドキャップ4Bは、上記の点を除き口栓1におけるヘッドキャップ4と同じであるので、その説明を省略する。
口栓1Bは、瓶71内の圧力が上昇したとき、ガスGは逆止弁3、キャップ部32の先端部分における切り欠き37,37、連通孔40B,40Bおよびフランジ部11の表面19とこれに対向する蓋部34の表面39との間を通過して、外部に放出される。口栓1Bにおける逆止弁3および抗菌シート5の作用は、口栓1におけるもとの同じである。
【0039】
図12は他の口栓1Cの正面断面図である。
口栓1Cは、中栓2、逆止弁3、ヘッドキャップ4Cおよび抗菌シート5からなる。
中栓2、逆止弁3および抗菌シート5は、口栓1におけるものと略同じであり、これらの各部については、図12において口栓1における符合と同一の符合を付しその説明を省略する。
【0040】
ヘッドキャップ4Cは、ヘッド部31Cおよびキャップ部32Cからなる。
ヘッド部31Cは、円筒状の外筒部33Cおよび外筒部33Cの一端を閉じる円板状の蓋部34Cからなる。外筒部33Cは、連通孔40B,40Bを有しない点を除き、上に説明した口栓1Bにおける外筒部33Bと同じである。したがって、外筒部33Cにおいて周面(外周38)から突出して周方向に延びた係合突部35Cは、口栓1における欠落部分36を有さず、外筒部33Cの外周を完全に1周する。
【0041】
蓋部34Cには、その中央に、平面視(図12を上から見た場合)において正三角形配置で、貫通する3つのピンホール41C,41C,41Cが設けられている。
キャップ部32Cは、口栓1におけるキャップ部32と異なり、先端部分に切り欠きを有しない。また、ヘッドキャップ4Cは、係合突部35Cが掛止環14の奥側に嵌り込んで掛止環14によって中栓2内から抜け出ることが防止され、キャップ部32Cの先端が逆止弁3の鍔部24を軽く底部16に押圧した状態で、蓋部34Cのフランジ部11側の表面39Cを、これに対向するフランジ部11の表面19に略密着させる。
【0042】
以上の点を除き、口栓1Cの各部の構成は口栓1と同じである。口栓1Cにおける口栓1と同じ構成の部分については図12において口栓1におけると同じ符合を付し、その説明を省略する。
口栓1Cでは、円筒状のキャップ部32Cの内外が逆止弁3の鍔部24により遮断される。瓶内71で発生したガスGは、ガス抜き孔17、抗菌シート5、逆止弁3およびピンホール41C,41C,41Cを経由して外部に放出される。
【0043】
口栓1Cにおける逆止弁3および抗菌シート5の作用は、口栓1におけるもとの同じである。
図13は他の口栓1Dの正面断面図である。
口栓1Dは、中栓2D、逆止弁3D、ヘッドキャップ4および抗菌シート5からなる。
口栓1Dにおけるヘッドキャップ4および抗菌シート5は、口栓1におけるヘッドキャップ4および抗菌シート5と同じである。
【0044】
中栓2Dは、フランジ部11および中栓本体12Dからなる。フランジ部11は、口栓1におけるフランジ部11と略同じである。したがって、フランジ部11は、中央部分に断面円形の掛止孔13を備え、その円板状の一方の面が鍋型の中栓本体12Dに連続している。掛止孔13には、周面から突出して内周を1周する掛止環14が設けられている。そして、掛止環14の内方端は、平面視において円形であり、掛止環14の断面端縁は、外方に凸状の湾曲面である。
【0045】
中栓本体12Dは、全体として円筒状の周壁部15Dと、周壁部15Dにおけるフランジ部11とは反対側の端を閉じる底部16Dからなる。
周壁部15Dは、略円筒状にしばらく延び、その後に内径が徐々に小さくなってその端を閉じる底部16Dに連続する。周壁部15Dは、段を形成しない点で、口栓1における周壁部15と異なる。
【0046】
底部16Dは、略平らであり、その中心を貫通するガス抜き孔17Dを有する。
逆止弁3Dは、弁本体22Dの鍔部24Dが平らである点を除き、口栓1における逆止弁3と同じである。
口栓1Dにおける上記した点を除く各部の構成は、口栓1におけるものと同じであり、図13において口栓1におけると同じ符合を付し、その説明を省略する。
【0047】
また、口栓1Dにおける中栓2D、逆止弁3D、ヘッドキャップ4および抗菌シート5の一体化は口栓1と同様にして行われる。口栓1Dが行うガス抜きおよび外気進入防止の作用も、口栓1におけるものと同じである。
図14は他の口栓1Eの正面断面図、図15は中栓2Eの平面図、図16は弁本体22Eの正面部分断面図である。
【0048】
口栓1Eは、中栓2E、逆止弁3Eおよびヘッドキャップ4Eからなる。
中栓2Eは、フランジ部11Eおよび中栓本体12Eからなる。
フランジ部11が厚さを有する円板状であること、フランジ部11が中央部分に断面円形の掛止孔13を備えること、およびその円板状の一方の面が鍋型の中栓本体12Eに連続していることは、口栓1における中栓2と同じである。掛止孔13に設けられた掛止環14も中栓2におけるものと同じである。
【0049】
中栓本体12Eは、全体として円筒状の周壁部15と、周壁部15におけるフランジ部11とは反対側の端を閉じる底部16Eとからなる。周壁部15および底部16Eも、基本的な形態は口栓1における中栓2と同じである。
ただし、中栓2Eは、以下の点で口栓1における中栓2と異なる。
中栓2Eは、底部16Eの内側表面から突出する円環状の底リブ51Eを備える。底リブ51Eは、中栓本体12Eの軸心を含む断面端縁の形状が円弧である。断面端縁の形状は、面取りされた矩形の一部または面取りされた台形の一部(底辺抜き)であってもよい。底リブ51Eは、底部16Eの中心を貫通する断面が円形のガス抜き孔17と同心円となるように配されている。底リブ51Eの幅を有する環は、後に説明するヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの円筒断面を重ねたときに、重なり合う部分(幅)が生ずるように設計される。断面端縁が円弧状の底リブ51Eは、環の幅の半分以上がキャップ部32Eの円筒断面と重なり合う。ここで「重ねる」とは、例えばそれぞれの製作図面の該当する部分を重ねることを意味する。底リブ51Eの幅の中心を通る円が、ヘッドキャップ4Eの断面の中心を通る円に一致するように底リブ51Eを設けるのが好ましい。
【0050】
底リブ51Eから底部16Eが周壁部15に連続する部分までの(円環状の)内側表面は、ガス抜き孔17の中心軸(周壁部15の軸心でもある)に直交する平面の一部である。この内側表面を平坦部52Eというものとする。
中栓2Eは、フランジ部11Eの表面19Eが、梨地加工されている。ここで「梨地」とは、梨の実の表皮に似た外観となるように、表面に細かい凹凸が施されたものをいう。梨地における凹凸は、凹の部分の表面と凸の先端との間(凸の高さ)が5μm以上が好ましい。
【0051】
中栓2Eにおける表面19Eとは、後に説明するヘッドキャップ4Eと組み合わされたときに、ヘッドキャップ4Eの蓋部34における外筒部33から外方に張り出した部分の外筒部33側の表面39に並行に対向する、中栓本体12Eとは逆側を向くフランジ部11Eにおける円環状の表面をいう。なお、蓋部34における筒部33から外方に張り出した部分の外筒部33側の表面39は平らである。
【0052】
中栓2Eは、フランジ部11Eの外周53Eにローレットが設けられている。
逆止弁3Eは、芯球21および弁本体22Eで構成される。芯球21は口栓1におけるものと同じである。
弁本体22Eも、各部分の寸法が口栓1における弁本体22と若干異なるものの、胴部23および鍔部24からなること、径大部25と径小部26とを湾曲面でつなぐ連結部27の内周に、周方向に120度間隔で3つの突起28,28,28が設けられていること等の、基本的な構成は弁本体22と同じである。
【0053】
鍔部24は、外径が中栓2Eにおける円環状の底リブ51Eの外径(突出する部分の根元が形成する2重円の外側円の径)よりも大きい。
逆止弁3Eは、芯球21が弁本体22Eにおける胴部23内に収容されて形成される。
ヘッドキャップ4Eは、ヘッド部31およびキャップ部32Eからなる。ヘッド部31は、外筒部33および蓋部34からなり、これらは口栓1のヘッド部31におけるものと略同じである。したがって、外筒部33の外周に設けられた外方に凸状の湾曲面である係合突部35が、180度離れた2箇所において欠落している(欠落部分36を有する)。また、係合突部35の(欠落部分36を除く)外径は、中栓2Eにおける掛止環14の突出する端の径よりも大きくフランジ部11Eにおける掛止孔13の径(内径)よりも小さい。
【0054】
ヘッドキャップ4Eにおいても口栓1のヘッドキャップ4と同様に、外筒部33の軸心方向について、係合突部35における蓋部34側の突出開始位置から蓋部34における鍔状となった部分の係合突部35側表面までの距離D1は、中栓2Eにおけるフランジ部11Eの外方の表面19Eから掛止環14における中栓本体12とは逆側の突出開始位置(根元)までの距離D2よりも大きい。
【0055】
キャップ部32Eは、以下の点を除き、口栓1におけるヘッドキャップ4のキャップ部32と略同じである。
キャップ部32Eは、ヘッドキャップ4のキャップ部32が備える切り欠き37を備えず、その軸方向の外方の端面は、凹凸のない平面である。この外方の端面と内周面および外周面との角は、いずれも湾曲面となるように面取りが施され、先端が円滑な面となっている。前述したように、キャップ部32Eの円筒断面は、底リブ51Eを重ねたときに、重なり合う部分(幅)が生ずるように設計される。キャップ部32Eの軸方向の外方の端面は、切り欠きを有しない(周方向に母線を有する)円滑な曲面であってもよい。
【0056】
キャップ部32Eは、内外を貫通する通気路54Eが軸心に直交する平面上に90度間隔で4つ設けられている。
口栓1Eにおける上記した以外の部分は、口栓1におけるものと同じであり、その説明を省略して図14〜図16において口栓1と同じ符合を付す。
中栓2E、逆止弁3Eおよびヘッドキャップ4Eを一体化する口栓1Eの組み立ては、口栓1Eが抗菌シート5を有しない点を除き、基本的には上述した口栓1と同様である。一体化された口栓1Eでは、底部16Eの底リブ51Eとヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの外方の端面とが対向し、これらの間に逆止弁3Eの鍔部24が保持される。口栓1Eは、底リブ51Eとキャップ部32Eの外方の端面との距離が、鍔部24の厚さよりも小さくなるように設計される。なお、底リブ51Eの高さは、鍔部24の(平均)厚さと略同じかまたは鍔部24の厚さよりも小さい。
【0057】
一体化された口栓1Eは、ヘッドキャップ4Eの係合突部35が中栓2Eの掛止環14よりも内側に嵌め入れられ、キャップ部32Eと底リブ51Eに挟まれた鍔部24の適度な弾力により、中栓2E、逆止弁3Eおよびヘッドキャップ4Eが、がたつくことなく一体化される。口栓1Eでは、全体として略同じ大きさの円環状である底リブ51Eとキャップ部32Eとが、逆止弁3Eの鍔部24を環状全体に強く挟んだ状態で保持され、底リブ51Eとキャップ部32Eとの間から外気が瓶71の内部に進入することが防止される。
【0058】
図1および図2に示される口栓1では、ヘッドキャップ4における外筒部33から外方に張り出した蓋部34のフランジ部11側の表面39と、この表面39に対向するフランジ部11の表面19との間に隙間が生ずるように、ヘッドキャップ4および中栓2が設計される。これに対して、口栓1Eは、中栓2Eにおけるフランジ部11Eの表面19Eが梨地加工されており、表面19Eと蓋部34のフランジ部11側の表面39とが接しても、梨地加工の凹凸により中栓2Eの内側から欠落部分36を通過して外部に至るガスの通路が確保される。
【0059】
口栓1,1B〜1Dでは、逆止弁3,3Dを通過したガスが切り欠き37を通ってキャップ部32,32C,32Dの外に出るのに対して、口栓1Eでは、逆止弁3Eを通過したガスは、通気路54Eを通ってキャップ部32Eの外に出る。
図17は他の口栓1Fの正面断面図、図18は弁本体22Fの正面部分断面図、図19は弁本体22Fの裏面図である。
【0060】
口栓1Fは、中栓2F、逆止弁3Fおよびヘッドキャップ4Eからなる。
中栓2Fは、フランジ部11Eおよび中栓本体12Fからなる。
フランジ部11Eは、口栓1Eにおけるものと同じである。
中栓本体12Fは、口栓1Eにおける中栓本体12Eが備える底リブ51Eを備えず、平坦部52Fが中栓本体12Eよりも底部16Fの内方に拡がっている。平坦部52Fとは、底部16Fの内側表面のうち、周壁部15の軸心に直交する(平面の一部である)円環状の面をいう。平坦部52Fは、底部16Fと周壁部15とが連続する部分から内方に拡がり、その内径は、中栓本体12Fに一体化されるヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの内径と同じまたはキャップ部32Eよりも小さい。
【0061】
逆止弁3Fは、芯球21および弁本体22Fで構成される。芯球21は口栓1におけるものと同じである。
弁本体22Fは、鍔部24Fを除き上述した口栓1Eにおける弁本体22Eと同じである。鍔部24Fは、径小部26とは反対側を向く表面から突出する円環状の裏リブ55Fを有する。裏リブ55Fにおける円環状の円環は、径大部25の軸心の延長をその中心とする。裏リブ55Fの高さ(厚さ)は、鍔部24Fにおける他の部分の厚さ(の平均)と略同じかまたは小さい。幅を有する裏リブ55Fの環は、ヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの円筒断面を重ねたときに、重なり合う部分(幅)が生ずるように設計される。裏リブ55Fは、環の幅の中心を通る円が、ヘッドキャップ4Eの断面の中心を通る円に一致するのが好ましい。
【0062】
上述した以外の口栓1Fにおける各部分の構成は、口栓1Eにおけるものと同じであり、図17〜図19において口栓1Eと同一の符合を付しその説明を省略する。
図17を参照して、口栓1Fは、逆止弁3Fの鍔部24Fにおける裏リブ55Fを平坦部52Fに位置させて、中栓2F、逆止弁3Fおよびヘッドキャップ4Eが一体化される。裏リブ55Fは、逆止弁3Fが口栓1Fに組み入れられたとき、その環状の中心がヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの軸心の延長上に配される。口栓1Fは、鍔部24Fにおける裏リブ55Fを備え円環状に厚みが増した部分を、ヘッドキャップ4Eのキャップ部32Eが中栓2Fの平坦部52Fに向けて押しつける。キャップ部32Eの長さは、このように作用する寸法が採用される。鍔部24Fおける裏リブ55Fが設けられ厚さが増した円環状部分は、キャップ部32Eにより強い押しつけ力に耐えることができ、この部分における内外のシールを強力に実現する。
【0063】
図20は他の口栓1Gの正面断面図、図21は弁本体22Gの正面部分断面図である。
口栓1Gは、中栓2F、逆止弁3Gおよびヘッドキャップ4Eからなる。
中栓2Fは、口栓1Fにおける中栓2Fと同じである。
逆止弁3Fは、芯球21および弁本体22Gで構成される。芯球21は口栓1におけるものと同じである。
【0064】
弁本体22Gは、鍔部24Gを除き口栓1Eにおける弁本体22Eと同じである。
鍔部24Gは、径小部26側を向く表面から突出する円環状の表リブ56Gを有する。表リブ56Gにおける円環状の円環は、径大部25の軸心の延長をその中心とする。
表リブ56Gの高さ(厚さ)は、鍔部24Gにおける他の部分の厚さ(の平均)と略同じかまたは小さい。表リブ56Gの円環は、ヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの円筒断面を重ねたときに、重なり合う部分(幅)が生ずるように設計される。表リブ56Gは、環の幅の中心を通る円が、ヘッドキャップ4Eの断面の中心を通る円に一致するのが好ましい。
【0065】
上述した以外の口栓1Gにおける各部分の構成は、口栓1Eにおけるものと同じであり、図20、図21において口栓1Eと同一の符合を付しその説明を省略する。
口栓1Gは、逆止弁3Gの鍔部24Gにおける表リブ56Gを平坦部52Fに配して、中栓2F、逆止弁3Gおよびヘッドキャップ4Eが一体化される。表リブ56Gは、逆止弁3Gが口栓1Fに組み入れられたとき、その環状の中心がヘッドキャップ4Eにおけるキャップ部32Eの軸心の延長上に配される。口栓1Gは、鍔部24Gにおける表リブ56Gを備え円環状に厚みが増した部分を、ヘッドキャップ4Eのキャップ部32Eが中栓2Fの平坦部52Fに向けて押しつける。口栓1Gは、厚みを増した表リブ56Gの弾性により、逆止弁3Gの内外を強力にシールすることができる。
【0066】
口栓1E〜1Gにおいて、逆止弁3D〜3Gの鍔部24D,24F,24Gと中栓2D〜2Fとの間に、口栓1に使用される抗菌シート5を、ガス抜き孔を覆うように挟み込んでもよい。抗菌シート5は、ヘッドキャップ4Eが鍔部24D,24F,24Gを押圧する力により、ヘッドキャップ4Eと中栓2D〜2Fとの間に、強固に保持される。
逆止弁22F,22Gにおける、裏リブ55Fおよび表リブ56Gを同時に鍔部に設けてもよい。このように鍔部に径小部26側およびこれとは反対側のいずれにも突出する、鍔部における他の部分より厚さが大きな環状の部分を設けても、裏リブ55Fおよび表リブ56Gと同様の効果を得ることができる。
【0067】
従来の口栓は打栓(冠頭締め)すると壜内で密閉状態となり、瓶燗作業(加熱殺菌作業)により瓶内圧力が上昇し、瓶が割れる(破瓶する)または冠頭が暴発するため、口栓を瓶口に載せた状況で作業をしなければならなかった。
従来の口栓は、瓶燗作業中に破瓶が発生すると危険であり、後かたづけも大変であった。また、瓶燗作業中に王冠が暴発して作業者に当たれば危険であった。そのため、酒造メーカーでは一度瓶に詰めて貯蔵(瓶貯)後、出荷前の瓶燗の際、口栓を外さなければならないという手間があった。
【0068】
これに対して、上記口栓1,1B〜1Gは、逆止弁3,3D〜3Gが組み込まれていることにより瓶71内が加圧状態になることを防止することができ、生酒での噴きこぼれを防止することができる。
上述の実施形態において、口栓1,1B〜1Dは、抗菌シート5を有しないものとすることができる。
【0069】
また、中栓2,2D〜2F、芯球21、弁本体22,22D〜22Gおよびヘッドキャップ4,4B,4C,4Eの1つ以上またはすべてを、抗菌剤を含む(抗菌剤が練り込まれた)材料で形成し、雑菌の瓶71内への進入を防止することができる。
その他、口栓1,1B〜1G、および口栓1,1B〜1Gの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば日本酒の瓶に用いられる口栓に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,1B〜1G 口栓
2,2D〜2F 中栓
3,3D〜3G 逆止弁
4,4B,4C,4E ヘッドキャップ
5 抗菌シート
11,11E フランジ部
12,12D〜12F 中栓本体
15,15D 周壁部
16,16D〜16F 底部
17,17D ガス抜き孔
19E フランジ部の表面(フランジ部の梨地加工された面)
21 芯球(弁体)
23 胴部
24,24D,24F,24G 鍔部
32,32C,32D,32E キャップ部
33,33B,33C 外筒部
34,34C 蓋部
37 切り欠き(放出流路)
39 蓋部におけるフランジ部側の表面(蓋部のフランジ部側を向く平らな面)
40B 連通孔(放出流路)
41C ピンホール(放出流路)
51E 底リブ(突出環)
54E 通気路
55F 裏リブ(シール環)
56G 表リブ(シール環)
71 瓶(容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口を塞ぐ口栓であって、
中栓、逆止弁、およびヘッドキャップを有し、
前記中栓は、
円筒状の周壁部および前記周壁部の一端を閉じる底部を有し前記底部を先にして前記容器の口に嵌め入れられることにより前記容器の内外を遮断する中栓本体と、
前記周壁部の他端から径方向外方の全周に拡がり前記容器の口の端に係止されることにより前記中栓本体の前記容器内への過度の進入を制限するフランジ部と、で形成され、
前記中栓本体は、前記周壁部の内外を連通させるガス抜き孔を前記底部に備え、
前記逆止弁は、
内部流路を有する胴部と、
前記胴部の一端に連続して外方に略円環状に拡がる鍔部と、
前記胴部の内部に収容され前記胴部と協働して前記鍔部側から流入する流体について前記内部流路を通過させ前記内部流路を経由する前記鍔部側への流体の流出を阻止する弁体と、を備え、
前記鍔部が前記中栓本体内の前記底部側に配されて前記内部流路が前記ガス抜き孔に連通されており、
前記ヘッドキャップは、
円筒状の外筒部と、
前記外筒部の内側に配されて前記外筒部の一端よりも前記外筒部の軸心方向外方に突出する円筒状のキャップ部と、を備え、
前記ヘッドキャップが、前記胴部を前記キャップ部の内側に収容して前記キャップ部の前記軸心方向外方に突出する先端により前記鍔部を前記底部に向けて押圧することで前記逆止弁を前記中栓と一体化させ、
前記外筒部が前記逆止弁と前記中栓との一体化を維持するために前記フランジ部に掛止されて、前記ヘッドキャップが前記中栓内から抜け出ることがないように形成された
ことを特徴とする口栓。
【請求項2】
前記ヘッドキャップは、
前記外筒部および前記キャップ部が前記外筒部の他端側で略板状の蓋部により閉じられた状態で一体的に形成され、
前記キャップ部および前記蓋部により囲まれた部分と外部とを連通させる放出流路が設けられた
請求項1に記載の口栓。
【請求項3】
前記キャップ部における前記軸心方向外方に突出する先端に、前記放出流路の一部を構成する切り欠きが設けられた
請求項2に記載の口栓。
【請求項4】
前記キャップ部における前記軸心方向外方に突出する先端が円滑な面であり、
前記キャップ部に一端を閉じる前記蓋部前記円滑な面である他端との間に、円筒状の前記キャップ部の内外を貫通し前記放出流路の一部を構成する通気路が設けられた
請求項2に記載の口栓。
【請求項5】
前記中栓本体の前記底部は、その内面から前記キャップ部の軸心の延長を中心として円環状に突出する突出環を備え、
前記キャップ部の前記軸心方向外方に突出する先端と前記突出環とにより前記逆止弁の鍔部が挟持された
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の口栓。
【請求項6】
前記逆止弁の前記鍔部は、前記キャップ部の軸心の延長を中心として円環状に厚さが増大したシール環を備え、
前記キャップ部の前記軸心方向外方に突出する先端と前記中栓本体の底部とにより前記シール環が挟持された
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の口栓。
【請求項7】
前記蓋部は、前記外筒部の径方向外方に環状に前記周壁部よりも大きく拡がり前記フランジ部側を向く平らな面を備え、
前記フランジ部は、前記平らな面に平行な前記蓋部側を向く梨地加工された面を備え、
前記ヘッドキャップは、前記平らな面を前記梨地加工された面に当接させて前記ヘッドキャップの前記中栓内への進入を防ぐように形成された
請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載された口栓。
【請求項8】
前記中栓本体における前記ガス抜き孔の内側開口を含む前記底部の内面が抗菌シートに覆われ、
前記キャップ部における外方への突出端が前記鍔部とともに前記抗菌シートを前記底部の内面側に押圧することにより前記逆止弁とともに前記抗菌シートが前記中栓と一体化された
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の口栓。
【請求項9】
前記中栓、前記逆止弁、および前記ヘッドキャップの1つ以上またはすべてに抗菌剤が練り込まれた
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の口栓。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−136757(P2011−136757A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180504(P2010−180504)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】