説明

口腔撮像ユニット

【課題】 上歯列と下歯列とを噛み合せた状態を固有口腔内から撮像することができる口腔内撮像ユニットを提供する。
【解決手段】 口腔内撮像ユニット1は、枠体3と、保持部材4と、撮像装置5とを有している。枠体3は、口腔前庭12に挿入され、そこには、保持部材4が設けられている。保持部材4は、口腔前庭12から固有口腔23内に延在するように構成されており、そこには撮像装置5が保持されている。撮像装置5は、固有口腔23内に位置し、そこから上及び下歯列13,14の裏側を撮像できるように構成されている。このように構成される口腔内撮像ユニット1において、保持部材4は、上顎結節後縁部21L,21Rと臼後結節19L,19Rとの間を通って口腔前庭12から固有口腔内23に延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内を撮像する口腔内撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から口腔内を撮像する口腔内撮像ユニットが知られており、例えば特許文献1に記載されるような口腔撮像装置がある。特許文献1に記載の口腔撮像装置は、内側撮像部を備えており、内側撮像部は、口腔内側から歯列を撮像できるようになっている。この内側撮像部は、口腔内保持手段に固定されており、口腔内保持手段は、大臼歯や乳臼歯、若しくは大臼歯及び乳臼歯付近の上顎及び下顎で銜えられるようになっている。この口腔内保持手段は、口腔外保持手段に一体的に設けられており、口腔外保持手段と共に口腔前庭部に挿入可能に構成されている。このように構成されている口腔撮像装置は、口腔内保持手段を上下の大臼歯等で咬むようにして銜えることで装着できるようになっており、装着することで内側撮像部が口腔内側に配置され、この内側撮像部により口腔内側から歯列や歯肉を撮像することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−212081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、歯列矯正やインプラント治療等では、上歯列と下歯列との噛み合せを外側からだけでなく歯列の裏側から見ることが望まれている。それを実現するためには、噛み合せた状態を口腔内側から撮像する必要がある。特許文献1に記載の口腔撮像装置は、口腔内側からの撮像が可能であるため、歯列の裏側から撮像することができる。しかしながら、特許文献1に記載の口腔撮像装置は、口腔内保持手段を上顎及び下顎で銜えて装着するようになっており、装着したままで上歯列と下歯列と噛み合せることは極めて困難である。
【0005】
そこで本発明は、上歯列と下歯列とを噛み合せた状態を固有口腔内から撮像することができる口腔内撮像ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の口腔内撮像ユニットは、口腔前庭に挿入される枠体と、前記枠体に設けられ、前記口腔前庭から前記固有口腔に延在する保持部材と、前記保持部材に保持されて前記固有口腔内に位置し、そこから歯列の裏側を撮像可能に構成されている撮像装置とを備え、前記保持部材は、上顎結節後縁部と臼後結節との間を通って前記口腔前庭から前記固有口腔に延在しているものである。
【0007】
本発明に従えば、保持部材を上顎結節後縁部と臼後結節との間を通して固有口腔内に入れているので、口を閉じる際に上歯列と下歯列との間に保持部材を介在させることなく固有口腔内に撮像装置を位置させることができる。つまり、固有口腔内に撮像装置を位置させた状態で上歯列と下歯列とを噛み合せることができる。それ故、上歯列と下歯列とを噛み合せた状態を固有口腔内から撮像することができる。
【0008】
上記発明において、前記保持部材に保持されて前記固有口腔内に位置し、そこから前記歯列の裏側に光を照らす照明装置を備えることが好ましい。
【0009】
上記構成に従えば、上歯列と下歯列とを噛み合せた状態では光が入らない口腔内でも噛み合せ部分を明るく照らして撮像することができる。
【0010】
上記発明において、前記保持部材は、舌体を口腔底に向かって押し付ける舌体押付部を有することが好ましい。
【0011】
上記構成に従えば、舌体を口腔底に押し付けることができる。これにより、上歯列と下歯列との噛み合せ部分が舌体の裏側に隠れることなく、前記噛み合せ部分をしっかりと撮像することができる。
【0012】
上記発明において、前記枠体は、弓形状に形成される板状の部材であり、両側の口角の間に収まるように延在していることが好ましい。
【0013】
上記構成に従えば、装着時に枠体の両端部が頬粘膜に当たることを抑えることができる。これにより、装着時に被写体である人に与える不快感を抑えることができる。
【0014】
上記発明において、前記保持部材の前記上顎結節後縁部及び前記臼後結節の間を通す部分は、前記歯列の最後端を避けるようにして前記臼後結節に向かって突出するように湾曲していることが好ましい。
【0015】
上記構成に従えば、保持部材が歯列の最後端に当たって圧迫するようなことを防ぐことができ、装着時に被写体である人に与える不快感を抑えることができる。
【0016】
上記発明において、前記保持部分の前記固有口腔内に位置している部分は、前記上顎結節後縁部及び前記臼後結節の間を通る部分に対して前記枠体側に突出するように湾曲していることが好ましい。
【0017】
上記構成に従えば、保持部材が口蓋垂を避けるように位置し、口を閉じたときに口蓋垂が保持部材に当たることを防ぐことができる。
【0018】
上記発明において、前記保持部材は、前記枠体の両端部から前記上顎結節後縁部及び前記臼後結節近傍まで前記歯列に沿って前記口腔前庭に夫々延在する一対の第1保持部と、前記固有口腔内を横切り、且つ左右両側の前記上顎結節後縁部と前記臼後結節との間を通して前記一対の第1保持部に架け渡された第2保持部とを有し、前記第1保持部及び第2保持部は、断面円形状になっていることが好ましい。
【0019】
上記構成に従えば、第1保持部が口腔前庭に位置して頬粘膜に当たることがあるが、断面円形状に形成されているので、被写体である人に与える不快感を抑えることができる。また、第2保持部が頬粘膜及び硬口蓋に当たっても、断面円形状に形成されているので、被写体である人に不快感を与えてしまうことを抑制できる。
【0020】
上記発明において、前記枠体に設けられ、前記枠体から前記口腔外に延在する把持部材を備えることが好ましい。
【0021】
上記構成に従えば、把持部材を持ちながら枠体等を口腔内に挿入して装着することができるので、装着が容易である。また、撮像時に把持部材を把持しておくことで、撮像装置や照明装置等を固有口腔内で安定的に保持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上歯列と下歯列とを噛み合せた状態を固有口腔内から撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る口腔内撮像ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1に示す口腔内撮像ユニットを上方から見た平面図である。
【図3】図1に示す口腔内撮像ユニットを右側方から見た側面図である。
【図4】図1に示す口腔内撮像ユニットを口腔内に挿入した状態を下方から見た平面図である。
【図5】図4に示す口腔内撮像ユニットを上方から見た底面図である。
【図6】図4に示す口腔内撮像ユニットを右側方から見た側面図であり、(a)は、装着した状態の口腔内撮像ユニット全体を示し、(b)は、第2保持部の右端部で切断した上体の口腔内撮像ユニットを示している。
【図7】本発明の第2実施形態に係る口腔内撮像ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の第1及び第2実施形態に係る口腔内撮像ユニット1,1Aを図1乃至図7を参照しながら説明する。本発明において示す方向の概念は、被写体である人の前後及び左右方向を基準としており、前後及び左右方向に直交する方向を上下方向としている。但し、前記方向の概念は、便宜上使用するものであって、発明の構成の向き及び配置等を必ずしも限定するものでない。また、本発明は、実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、及び変更が可能である。
【0025】
[第1実施形態]
口腔内撮像ユニット1は、上歯列と下歯列とを固有口腔内から撮像するための装置であり、図1乃至3に示すように、ユニット本体2を備えている。ユニット本体2は、枠体3、保持部材4、撮像装置5及び照明装置6を備えている。枠体3は、合成樹脂材料や金属材料等から成り、その断面が上下方向に細長い板状部材である。枠体3は、平面視で前方に突出するように湾曲しており、その形状は、上歯列及び下歯列の前側部分(左側小臼歯から右側小臼歯にかけての部分)の外形に合わせて大略弓形状になっている。この枠体3の両端部には、保持部材4が設けられている。
【0026】
保持部材4は、枠体3と同じ材料から成り、第1保持部7L,7Rと、第2保持部8と、撮像装置取付け部9とを有している。第1保持部7L,7Rは、断面円形状の棒状部材であり、枠体3の両端部に夫々設けられて対を成している。この一対の第1保持部7L,7Rは、前記両端部から左右外側に広がるように後方に延びている。更に具体的に説明すると、一対の第1保持部7L,7Rは、枠体3と共に大略U字形状を成すように湾曲しており、上歯列及び下歯列の外形に沿わせることができるようになっている。また、一対の第1保持部7L,7Rの後端部分は、第2保持部8に繋がっている。
【0027】
第2保持部8は、断面円形状の棒状部材であり、一方の第1保持部7Lから他方の保持部7Rに向かって延在しており、その左右両端が一対の第1保持部7L,7Rの後端部分に夫々繋がっている。即ち、第2保持部8は、一対の第1保持部7L,7Rの後端部分に架け渡すように設けられている。この第2保持部8は、平面視で左右両端側部分8a,8bが後方に突出するように湾曲し、逆にその中央部分8cが前方に突出するように湾曲しており、その中央部分8cには、撮像装置取付け部9が設けられている。
【0028】
撮像装置取付け部9は、合成樹脂材料や金属材料等から成る板状部材であり、大略半楕円形状になっている。撮像装置取付け部9は、その基端部が第2保持部8の中央部分8cの下側に固定されており、そこから前方に突出するように配置されている。このように設けられている撮像装置取付け部9は、平面視で舌体と略同じような形状を有し、またその下面が下方に向かって突出するように湾曲している(後述する図5参照)。これにより、撮像装置取付け部9は、舌体を上方から口腔底に向かって押し付ける舌体押付部の役割も果たしている。このように構成される撮像装置取付け部9の上面には、その基端部側に撮像装置5が取り付けられている。
【0029】
撮像装置5は、いわゆるCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子(図示せず)を用いたデジタルカメラであり、撮像可能に構成されている。撮像装置5は、視野角が60度以上110度以下の広角対物レンズ(図示せず)を備えており、その広角対物レンズを介して枠体3に向けられている。また、撮像装置5は、固体撮像素子及び広角対物レンズを左右方向に動かして撮像向きを変えるパン機構(図示せず)を備えている。これにより、左右方向にあるあらゆるものを撮像できるようになっている。なお、撮像装置5は、視野角が110度以上の超広角対物レンズを備えていてもよい。この場合、パン機構を備えることなく広範囲のものを撮像できる。このようにして構成される撮像装置5は、第2保持部8の中央部分8cと撮像装置取付け部9の上面とに固定されており、その左右両脇には、照明装置6が設けられている。
【0030】
照明装置6は、例えばLEDによって構成され、撮像装置取付け部9上に夫々設けられている。照明装置6は、撮像装置5の撮像方向に向けて配置されており、撮像対象物及びその周辺を照らすようになっている。2つの照明装置6によって照らされる照明角度は、撮像装置5の視野角より広くなっており、少なくとも撮像装置5の撮像範囲を照らすことができるようになっている。なお、照明装置6は、撮像装置5に組み込まれていてもよく、撮像装置5と共にパン機構によって左右方向に向きを変えるようになっていてもよい。なお、撮像装置5が赤外線カメラ等のような暗視カメラの場合、照明装置6がなくてもよい。
【0031】
このようにして設けられる撮像装置5及び照明装置6には、それらに電力を供給したり、撮像やパン機構を駆動するための信号を送信したりするためのケーブル(図示せず)が接続されている。このケーブルは、第2保持部8内又はそれに沿わせて枠体3にまで延びている。更に、ケーブルは、この枠体3に設けられる把持部材10に沿って(又はその中で)延在して図示しない制御装置や電源装置等に接続されている。把持部材10は、枠体3の中央部分、即ち最も前方に突出している部分に一体的に設けられている。把持部材10は、枠体3から前方に延在する平面視で大略短冊状の板状部材であり、把持可能に構成されている。
【0032】
なお、撮像装置5は、必ずしもケーブルを介して制御装置と接続されている必要はなく無線通信できるように構成されてもよい。この場合、撮像装置5及び照明装置6には、それらを駆動すべく電池が設けられていることが好ましい。これにより、煩わしいケーブルを設けることなく、口腔内撮像ユニット1だけを個別に動かすことができ、持ち運びが容易である。
【0033】
このように構成される口腔内撮像ユニット1は、枠体3が口と平行になるように横向きの状態で把持部材10を持ち、そのまま開口させた口から口腔内へとユニット本体2を挿入することによって口腔内に装着されるようになっている。装着する際、ユニット本体2は、第2保持部8の左右両端側部分8a,8bが左右両側の臼後結節又はその付近に位置するまで口腔内の奥側に押し込まれる。ここまで押し込むことによって、ユニット本体2全体が口腔内に収まり口を閉じることができ、且つ上歯列と下歯列とを噛み合せることができるようになっている。以下では、このようにして口腔内に装着された口腔内撮像ユニット1の装着状態を図4乃至6を参照しつつ説明する。
【0034】
口腔内撮像ユニット1が口腔内に装着されると、図4及び5に示すように把持部材10が口から前方に突出するように延在し、枠体3が横向きの状態で口腔前庭12に位置する。大略弓形状を成している枠体3は、上歯列13及び下歯列14に沿うように位置しており、上歯列13及び下歯列14の左側犬歯15L,16Lから右側犬歯15R,16Rまでを覆っている。また、枠体3は、両側の口角の間に収まるように延在しており、その両端部は、左及び右に夫々ある第1小臼歯17L,17R,18L,18Rの前まで延びている。それ故、装着時に枠体3の両端部が頬粘膜に当たることを抑えることができ、装着時に被写体である人に与える不快感を抑えることができる。
【0035】
枠体3の両端部からは一対の第1保持部7L,7Rが上歯列13及び下歯列14に沿って後方に夫々延在しており、これら一対の第1保持部7L,7Rもまた口腔前庭12に位置している。これら一対の第1保持部7L,7Rの後端部分は、臼後結節19L,19R付近まで夫々延びており、そこには第2保持部8が架け渡すようにして一体的に設けられている。
【0036】
第2保持部8の両端側部分8a,8bは、臼後結節19L,19Rに向かって後方に突出するように湾曲しており、下歯列14の最後端(即ち、最も奥側にある大臼歯であり、下顎第2大臼歯20L,20R又は図示しない下顎第3大臼歯)及び上顎結節後縁部21L,21Rを後方に避けるように位置している。これにより、第2保持部8は、左右両側の上顎結節後縁部21L,21Rと臼後結節19L,19Rと口蓋咽頭壁22との間の空間を通され、口を閉じる際に第2保持部8の両端側部分8a,8bが上歯列13と下歯列14との間に介在しないようになっている。それ故、ユニット本体2を口腔内に挿入したまま上歯列13と下歯列14とを噛み合せることができる。また、第2保持部8の両端側部分8a,8bが下歯列14の最後端を避けるように湾曲しているので、上歯列13と下歯列14とを噛み合せたときに下歯列14及びその歯槽部を圧迫することがない。それ故、装着時に被写体である人に与える不快感を抑えることができる。
【0037】
また、第2保持部8の両端側部分8a,8bを前記空間に通すことよって、固有口腔23を横切るように第2保持部8が配置され、第2保持部8の中央部分8cが固有口腔23内に位置している。この第2保持部8の中央部分8cは、第2保持部8の両端側部分8a,8bに対して前方側に突出するように湾曲しており、口蓋垂24を避けるように位置している。これにより、口を閉じたときに口蓋垂24が第2保持部8の中央部分8cやそこに設けられた撮像装置5に当たることを防ぐことができる。
【0038】
この第2保持部8の中央部分8cには、前述の通り撮像装置取付け部9が設けられており、この撮像装置取付け部9もまた固有口腔23内に位置している。撮像装置取付け部9の基端部は、舌根25付近に位置し、その基端部から先端部が舌根25付近から舌体26の先端まで延びている。即ち、撮像装置取付け部9は、舌体26に覆い被さるように位置し、舌体26を口腔底28に向かって押し下げている。このように撮像装置取付け部9は、舌体押付機能を有しており、舌体26の反り上がった先端部が上歯列13と下歯列14との噛み合せ部分に被さって、その噛み合せ部分が舌体26の裏側に隠れてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
このような舌体押付機能を有している撮像装置取付け部9の上面には、撮像装置5及び2つの照明装置6が取り付けられており、撮像装置5及び2つの照明装置6は、固有口腔23内に位置している。撮像装置5は、枠体3の方を向いているため、左右の中切歯29L,29R、30L,30Rを中心にして広角レンズの視野角の範囲内を撮像することができようになっており、照明装置6は、その視野角の範囲(即ち、撮像範囲)内を照らしている。なお、撮像装置5が超広角レンズを備える場合、上歯列13及び下歯列14の略全体を撮像することができ、それに合わせて照明装置6も上歯列13及び下歯列14の略全体を照らすようになっている。
【0040】
このように構成される口腔内撮像ユニット1は、上歯列13と下歯列14との間に保持部材4(具体的には、第2保持部8)を介在させることなく撮像装置5を固有口腔23内に配置することができる。これにより、撮像装置5を固有口腔23内に配置させたまま、上歯列13と下歯列14とを噛み合せることができる。それ故、上歯列13と下歯列14とを噛み合せた状態を固有口腔23内から撮像することができる。
【0041】
また、口腔内撮像ユニット1では、撮像装置5と共に照明装置6が固有口腔23内に配置されているので、上歯列13と下歯列14とを噛み合せた状態では光が入らない固有口腔23内で噛み合せ部分を明るく照らして撮像することができる。更に、口腔内撮像ユニット1は、舌体押付機能を有する撮像装置取付け部9によって舌体26の先端部を口腔底に押し下げているので、上歯列13と下歯列14との噛み合せ部分が舌体26の裏側に隠れることなく前記噛み合せ部分をしっかりと撮像することができる。
【0042】
更に、口腔内撮像ユニット1では、第1保持部7L,7R及び第2保持部材8が断面円形状になっているので、頬粘膜、歯槽部、硬口蓋及び軟口蓋に当たっても、被写体である人に不快感を与えてしまうことを抑制できる。また、把持部材10を持ちながらユニット本体2を口腔内に着脱することができるので、その着脱作業が容易である。また、撮像時に把持部材10を把持しておくことで、撮像装置5や照明装置6等を固有口腔23内で安定的に保持することができる。
【0043】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る口腔内撮像ユニット1Aは、第1実施形態に係る口腔内撮像ユニット1と構成が類似している。そこで、第2実施形態に係る口腔内撮像ユニット1Aの構成について、第1実施形態に係る口腔内撮像ユニット1の構成と異なる構成についてだけ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0044】
口腔内撮像ユニット1Aの枠体3Aは、左右両側の臼後結節19L,19Rの手前まで延在しており、上歯列13及び下歯列14の略全てを覆っている。つまり、枠体3Aの両端部が臼後結節19L,19R付近に位置している。保持部材4Aは、第2保持部8Aだけを有しており、第2保持部8Aが枠体3の一端部にしか連結されておらず、片持ちとなっている。
【0045】
このように構成される口腔内撮像ユニット1Aもまた、第1実施形態の口腔内撮像ユニット1と同様の作用効果を奏する。
【0046】
[その他の実施形態について]
第1及び第2実施形態の口腔内撮像ユニット1,1Aの撮像装置取付け部9は、第2保持部8Aに固定されているが、第2保持部8Aに着脱可能な構成であることが好ましい。着脱可能に構成することで、被写体である人の固有口腔の大きさや舌体の大きさに応じて交換することが可能となり、1つの口腔内撮像ユニット1,1Aで様々な人、例えば大人から子供まで対応することができるようになる。
【符号の説明】
【0047】
1 口腔内撮像ユニット
3,3A 枠体
4,4A 保持部材
5 撮像装置
6 照明装置
7L,7R 第1保持部材
8,8A 第2保持部材
9 撮像装置取付け部
10 把持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔前庭に挿入される枠体と、
前記枠体に設けられ、前記口腔前庭から前記固有口腔に延在する保持部材と、
前記保持部材に保持されて前記固有口腔内に位置し、そこから歯列の裏側を撮像可能に構成されている撮像装置とを備え、
前記保持部材は、上顎結節後縁部と臼後結節との間を通って前記口腔前庭から前記固有口腔内に延在している、ことを特徴とする口腔内撮像ユニット。
【請求項2】
前記保持部材に保持されて前記固有口腔内に位置し、そこから前記歯列の裏側に光を照らす照明装置を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内撮像ユニット。
【請求項3】
前記保持部材は、舌体を口腔底に向かって押し付ける舌体押付部を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔内撮像ユニット。
【請求項4】
前記枠体は、弓形状に形成される板状の部材であり、両側の口角の間に収まるように延在している、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の口腔内撮像ユニット。
【請求項5】
前記保持部材の前記上顎結節後縁部及び前記臼後結節の間を通す部分は、前記歯列の最後端を避けるようにして前記臼後結節に向かって突出するように湾曲している、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の口腔内撮像ユニット。
【請求項6】
前記保持部分の前記固有口腔内に位置している部分は、前記上顎結節後縁部及び前記臼後結節の間を通る部分に対して前記枠体側に突出するように湾曲している、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の口腔内撮像ユニット。
【請求項7】
前記保持部材は、
前記枠体の両端部から前記上顎結節後縁部及び前記臼後結節近傍まで前記歯列に沿って前記口腔前庭に夫々延在する一対の第1保持部と、
前記固有口腔内を横切り、且つ左右両側の前記上顎結節後縁部と前記臼後結節との間を通して前記一対の第1保持部に架け渡された第2保持部とを有し、
前記第1保持部及び第2保持部は、断面円形状になっている、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の口腔内撮像ユニット。
【請求項8】
前記枠体に設けられ、前記枠体から前記口腔外に延在する把持部材を備える、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の口腔内撮像ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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