口臭を低減するためのシリカ材料
【解決手段】ここに開示するシリカ材料は、その表面の少なくとも一部に金属付加物を含む。シリカ材料は揮発性の硫黄化合物(VSC)を結合し、これにより口臭を低減することが可能である。また、シリカ材料を含む歯磨剤組成物および口臭ケア組成物、ならびにシリカ材料の製造方法および使用方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2010年2月19日付け出願の米国特許仮出願第61/305,998号の利益を主張し、その全ての開示内容をここに参照して援用する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
口の口腔内における細菌性の腐敗は、口臭や臭い息として既知の悪臭に寄与する鼻につく臭いの揮発性硫黄化合物(VSC)の形成をもたらす場合がある。硫化水素、メチルメルカプタンおよび硫化ジメチルのようなVSCは、口から生ずる腐敗臭の最も共通の給源であると信じられている。VSC生成物は、細菌叢が主にグラム陽性から主にグラム陰性の嫌気性菌叢に転移する際に口腔内で発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
グラム陰性細菌への転移は、通常炭水化物の枯渇および約6.5未満から約7.2への唾液のpHレベルの上昇を伴う。炭水化物が枯渇すると、グラム陽性の菌叢は燃料源を失い始め、したがって抑制される一方、グラム陰性の菌叢が徐々により支配的になる。グラム陰性な菌叢は、グラム陽性な菌叢と異なり、タンパク質分解によりタンパク質を短ペプチドやアミノ酸に分解することができる。システインおよびメチオニン残留物を含むものような特定のタンパク質は、さらにVSCに分解する場合がある。
【0004】
口臭の解決には、洗口剤、チューインガム、ブレスストリップ(breath strip)、トローチ、ミント、および歯磨き粉が挙げられる。不幸にも、これら製品の多くは、口臭を長期間低減または防止できない。さらに、これら製品のいくつかは、腐敗したVSCの呼気をほとんど防止できない。それゆえ、口臭を低減するための新たな組成物や方法の必要性が存在する。この必要性およびその他の必要性は、本発明により充足される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
ここに開示するシリカ材料は、その表面の少なくとも一部に付加物を含む。該シリカ材料は、揮発性硫黄化合物(VSC)を結合でき、それゆえ口臭を低減する。また、当該シリカ材料を含む歯磨剤組成物、口腔ケア組成物並びにシリカ材料の製造および使用方法も開示する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の利点は、部分的には本明細書のこの後で説明され、部分的には本明細書から明らかになり、あるいは後述する態様の実施によって理解できる。後述の利点は、以下に個々に説明する要素および組み合わせによって実現および達成される。前述の概要および以下の詳細な説明はともに、例示的および説明的なものに過ぎず、限定のためではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は開示したシリカ材料を使用してメルカプタン吸収を測定するのに使用した試験装置の概略図である。
【図2】図2は比較例を用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係をプロットしたものである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図3】図3は比較例を用いて時間分析を繰り返して得た外れ値点を含むプロットである。プロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示す。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図4】図4は比較例を用いて時間分析を繰り返して得た外れ値点を含まないプロットである。プロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示す。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図5】図5は実施例1Aを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図6】図6は実施例1Aを用いて時間分析を繰り返して得たプロットである。プロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示す。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図7】図7は実施例1Bを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図8】図8は実施例1Cを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図9】図9は実施例1Dを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図10】図10は実施例1Eを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図11】図11は後述する実施例1A〜Eおよび比較例での多重投与試験におけるヘッドスペースの回復率を示すプロットである。ヘッドスペースの回復率は以下のとおり。正方形記号−実施例1A、ひし形記号−実施例1B、三角記号−実施例1C、X−実施例1D、アスタリスク(*)−比較例、プラス記号(+)−実施例1E。
【図12】図12は実施例1A〜Eでの水溶性濃度対pHのプロットである。試料は以下のとおり。ひし形記号−実施例1B、三角記号−実施例1C、X−実施例1D、プラス記号−実施例1E。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本発明の化合物、組成物、複合体、物品、装置および/または方法を開示し、説明する前に、以下に説明する態様は特定の化合物、組成物、複合体、物品、装置、方法または使用に限定されず、もちろん異なるものになってもよいことが理解される。また、ここで用いる用語は、特定の態様を説明する目的のためだけで、限定を意図するものではない。
【0009】
本明細書において、以下の意味を持つものとして定義されるいくつかの用語が参照される。
【0010】
本明細書の全体を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む」、または「含む(comprises)」もしくは「備える(comprising)」のような変化系は、述べられた要素(integer)またはステップ、または複数の要素またはステップの群の包括の意味であり、他の要素またはステップ、または他の複数の要素またはステップの群を除外する意味ではないと理解される。
【0011】
本明細書および添付された特許請求の範囲において、文脈上明らかに他の意味を指すべき場合を除き、単冠詞「a」、「an」および「the」は複数指示対象を含むことに注意すべきである。したがって、例えば「シリカ材料」は2つまたはそれ以上の材料を合成したものへの指示を含み、他も同様である。
【0012】
「任意の(optional)」、または、「任意に(optionally)」、という表現は後に記述された事象又は状況が生ずることも有り得るし、生じないことも有り得ることを意味し、本明細書ではそのような事象又は状況が生じる場合(あるいは生じない場合)を適宜説明している。
【0013】
本明細書では、範囲を一つの特定の値で「約」として、および/またはもう一つの特定の値で「約」として表現する場合がある。かかる範囲を表現する際に、別の実施形態はある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が概数として表現される場合は、「約」の先行詞を用いることにより、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、それぞれの範囲の終点はもう一つの終点との関連で共に意味があり、別の終点とは独立していると理解される。
【0014】
本明細書には、本発明の方法及び組成物に使用できるか、それに関連して使用できるか、それに対する製造に使用できるか、またはその製品であるところ化合物、組成物および構成要素が開示されている。これらおよびその他の材料を本明細書に開示し、当該材料の組み合わせ、サブセット、相互作用物、群などが記載されている場合、個々の材料や組み合わされた材料が明記されていなかったり、その化合物の置換・変更が明記されていないとしても、当該明記されていない材料等も本明細書に記載されているものとする。例えば、多くの異なるシリカ粒子および付加物が開示・説明されている場合、当該シリカ粒子および付加物の組み合わせや置換の全ては本明細書に記載されたものとする(但し、それを否定する説明がある場合を除く)。従って、付加物A、B、Cのクラスと付加物D、E、Fのクラスと組み合わせ付加物A−Dとが記載されている場合、たとえ個々の付加物が記載されていなくても個々の付加物およびそれらの組み合わせは記載されているものとする。つまり、上記の例の場合、A、B、CとD、E、Fが開示され且つA−Dの組み合わせが開示されているので、A−Eの組み合わせ、 A−Fの組み合わせ、B−Dの組み合わせ、B−Eの組み合わせ、B−Fの組み合わせ、C−Dの組み合わせ、C−Eの組み合わせおよびC−Fの組み合わせは記載されていると考える。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせも記載されていると考える。つまり、上記の例の場合、例えば、A−E、B−F、C−Eも記載されていると考える(やはり、A、B、CとD、E、Fが開示され且つA−Dの組み合わせが開示されているので)。この考え方は本明細書の全ての記載に適用される。例えば、開示された組成物を製造したり使用したりする方法の各ステップに適用される。従って、追加できるステップがある場合、各追加工程は本明細書に開示された実施形態・実施例またはこれらの組み合わせにおいて実施することができるし、それらは本発明の範囲内のものと考えられる。
【0015】
ここで用いる「平均粒径」とは、試料の50%が型通りにより小さなサイズであり、試料の50%が型通りにより大きなサイズである粒径を指す。
【0016】
本発明は、遷移金属のような付加物を含み、VSCを吸収することができ、それゆえ口臭を低減するのに有用なシリカ材料に関する。本発明のシリカ材料は、口の口腔内に保持することができ、長期間にわたってVSCの吸収を可能とする。
【0017】
一態様では、シリカ材料が1〜15ミクロンの平均粒径を有し、その表面の少なくとも一部に存在する付加物を有する。付加物は、VSCと相互作用できるようにシリカ材料におけるシリカ粒子の表面に存在している、すなわち付加物は露出している。
【0018】
別の態様では、シリカ材料のスラリは、VSC吸収試験、すなわち後述する「VSC吸収試験」および「多重投与調査」の表題下の実施例のセクションの試験におけるヘッドスペースで少なくとも35%低減、45%低減、または50%の低減を示す。ヘッドスペース低減%(「回復」ともいう)を求めるための具体的な試験は、以下の「多重投与調査」の表題で述べる水性試験である。
【0019】
一般に、本発明のシリカ材料は1〜15ミクロンの平均粒径を有する。別の態様では、シリカ材料は5ミクロン超〜15ミクロンの平均粒径、例えば8〜15ミクロンの平均粒径を有する。好ましくは、本発明のシリカ材料の約2%未満が44ミクロン超の粒径を有する。
【0020】
シリカ材料に存在する付加物は、遷移金属またはポスト遷移金属のような金属付加物であるのが好ましい。適当な金属付加物の非限定的な例は、亜鉛、錫、銅、ストロンチウム、アルミニウムおよびそれらの混合物を含む。シリカ材料は、沈降シリカ材料の形成中に水溶性金属塩の形で付加物を添加することによって調製する。酸性条件で可溶性のあらゆる金属塩、例えば金属硝酸塩、金属塩化物、金属硫酸塩などが適している。
【0021】
別の態様では、本発明のシリカ材料が1〜15ミクロンの平均粒径を有し、その表面の少なくとも一部に存在する第1および第2付加物を有し、ここで第1および第2付加物は異なる。かかるシリカ材料は、1〜5ミクロン、5ミクロン超〜15ミクロンまたは8〜15ミクロンの平均粒径を有することができる。かかるシリカ材料の例としては、限定しないが、アルミニウムおよび亜鉛、アルミニウムおよび銅、亜鉛および錫、ストロンチウムおよび銅または錫およびストロンチウム付加物を有するものが挙げられ、両者がシリカの表面の少なくとも一部に存在する。
【0022】
さらに別の態様では、本発明のシリカ材料が1〜15ミクロンの平均粒径を有し、その表面の少なくとも一部に存在する付加物を有し、ここで付加物はシリカ材料全体の重量に対し0.025%〜10%の量で存在する、すなわちかかる量は金属付加物の重量/(金属付加物重量+シリカ重量)である。別の態様では、付加物がシリカ材料の重量に対し0.025%〜5%、0.025%〜3%、0.025%〜2%、または0.025%〜1%の量で存在する。他の態様では、付加物がシリカ材料の重量に対し0.1%〜10%もしくは0.35%〜5%または1%〜3%の量で存在する。
【0023】
シリカ材料は、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル等を含むさまざまな種類のシリカを含むことができる。ある特定の態様において、シリカ材料は沈降シリカを含み、以下のプロセスに従って調製する。ケイ酸ナトリウムのようなアルカリケイ酸塩の水溶液を、均質な混合物を確実にするに適した混合手段を備えた反応器に投入する。反応器内のアルカリケイ酸塩溶液を、約室温〜約130℃、好ましくは約50〜100℃、より好ましくは約65℃〜約100℃または約60℃〜約90℃の温度に予熱する。アルカリケイ酸塩溶液は、約8.0〜約35重量%、例えば約8.0〜20重量%のアルカリケイ酸塩濃度を有することができる。アルカリケイ酸塩は、約1〜約3.5、例えば約2.4〜3.4のSiO2:Na2O比を有するケイ酸ナトリウムとすることができる。反応器に投入したアルカリケイ酸塩の量は、バッチで用いる全ケイ酸塩の約5重量%〜100重量%である。硫酸ナトリウム溶液または硫酸アルミニウム(ミョウバン)溶液のような電解質を反応媒体に随意に添加することができる。さらに、この混合を所望に応じて高剪断条件下で行うことができる。
【0024】
次いで、反応器に以下のものを同時に加える:(1)硫酸のような酸性化剤または酸の水溶液および(2)追加量の反応器中にあるものと同種のケイ酸アルカリを含有する水溶液で、約65℃〜約100℃の温度まで予熱した水溶液。酸性化剤溶液の反応器中への導入前に、付加化合物を酸性化剤溶液に添加する。付加化合物と、酸性化剤溶液とを約0.002〜約0.185、好適には約0.074〜約0.150とした付加化合物の酸性化剤溶液のLに対するモル濃度で予備混合する。より高い付加物濃度が付加物で処理した沈降シリカ材料において要求される場合、付加化合物の水溶液を酸の代わりに随意に用いることができる。
【0025】
付加化合物は、亜鉛(II)の塩、スズ(II)の塩、鉄(III)の塩、銅(II)の塩およびミョウバンのような金属塩を含む種々の金属化合物とすることができる。具体例としては、塩化亜鉛(II)、塩化スズ(II)、硝酸鉄(III)、硝酸銅(II)および水和硫酸アルミニウムカリウムが挙げられる。
【0026】
酸性化剤溶液は、約6〜35重量%、例えば約9.0〜20重量%の酸性化剤濃度を有するのが好ましい。しばらくすると、アルカリケイ酸塩溶液の流入を止め、所望のpHに達するまで酸性化剤溶液を流すことができる。
【0027】
反応器バッチを一定pHで維持しつつ、該反応器バッチを一定の温浸温度で5分〜30分間熟成または「温浸」することができる。温浸の完了後、反応バッチを濾過し、シリカの濾塊からの洗浄水が約2000μmho未満の伝導率を得るまで水洗して過剰副生成無機塩を除去する。シリカ濾液の伝導率が濾塊中の無機塩副生成物濃度に比例するので、濾液の伝導率を2000μmho未満に維持することにより、Na2SO4のような無機塩の所望の低濃度を濾塊中に得ることができる。シリカ濾塊を水中でスラリーにした後、噴霧乾燥のような任意の従来の乾燥技術により乾燥して、約3重量%〜約50重量%の水分を含有する付加物処理沈降シリカ材料を生成する。次いで、付加物処理沈降シリカ材料を粉砕して、約1μm〜15μm、1μm〜5μm、5μm超〜15μmまたは8μm〜15μmの所望の粒径を得ることができる。
【0028】
本発明はまた、開示したシリカ材料を含む歯磨剤に関する。ここで用いる「歯磨剤組成物」は、例えば歯の接触可能表面を洗浄することにより口腔衛生を維持するのに使用し得る組成物を指す。例として、練り歯磨き、液体歯磨き、歯磨きペースト、パウダー歯磨き剤などが挙げられる。
【0029】
歯磨剤の例は、成分として本発明のシリカ材料に加えて、水、洗剤、保湿剤、結合剤、香味剤、粉末研磨剤またはこれらの組み合わせを含む。歯磨剤製剤はまた、歯磨剤製剤に組み込む前に溶解しなければならない成分(例えばフッ化ナトリウムのような抗虫歯剤、リン酸ナトリウム、サッカリンのような香味剤)を含むことができる。
【0030】
本発明のシリカ材料は、全歯磨剤組成物の重量に対し一般に0.01〜50%、0.01〜30%または0.01〜25%の量で歯磨剤組成物に存在することができる。本発明のシリカ材料が事実上研磨剤であれば、その量は0.05〜約15重量%とすることができる。付加物処理沈降シリカ材料が粘度調整剤(増粘剤)である場合、その量は0.05〜約10重量%とすることができる。しかしながら、本発明のシリカ材料は口臭を低減するための有用な薬剤として存在することができる。そのようなものとして、量が歯磨剤製剤内で上述した範囲内とすることができるが、材料は歯磨剤に関知できる程度の増粘または研磨を付与しないが、口臭の削減効果を付与する。かかる製剤は、所要に応じて適当な他の脱感作材料、一例として硝酸カリウム塩を含んでもよい。
【0031】
さらなる態様では、歯磨剤組成物は、付加物処理沈降シリカ材料以外の研磨剤のような少なくとも一つの他の成分、付加物処理沈降シリカ材料以外の少なくとも一つの増粘剤、少なくとも一つの溶媒、少なくとも1種の防腐剤、少なくとも一つの界面活性剤またはそれらの組み合わせを含み、ここで本発明のシリカ材料は、歯磨剤中に研磨剤、増粘剤またはその両方として存在する。
【0032】
一態様では、開示されたシリカ材料は、歯磨剤組成物における研磨剤として単独で、若しくはここに開示するかまたは当業界で既知な他の研磨材料との添加剤または共研磨剤として利用できる。他の従来型の研磨添加物のいくらでも、本発明の歯磨剤組成物中に存在することができる。かかる他の研磨粒子としては、例えば、沈降炭酸カルシウム(PCC)、重質炭酸カルシウム(GCC)、チョーク、ベントナイト、第二リン酸カルシウムまたはその二水和物、シリカゲル(それだけで、および任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(同様にそれだけで、および任意の構造のもの)、パーライト、二酸化チタン、第二リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、仮焼アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒状熱硬化性樹脂および他の適当な研磨材料が挙げられる。かかる材料を歯磨剤組成物に導入してターゲット製剤の研磨特性を調整することができる。
【0033】
研磨成分に加えて、歯磨剤は一つ以上の感覚刺激性の増強剤を含むこともできる。感覚刺激性の増強剤としては、保湿剤、甘味料、界面活性剤、香味剤、着色剤および増粘剤(ときには結合材、ガムまたは安定剤としても既知)が挙げられる。
【0034】
保湿剤は、乾燥から歯磨剤を防ぐほかに、体や「口の質感」を歯磨剤に加えるのに役立つ。適当な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、水素化デンプン加水分解物およびその混合物が挙げられる。具体例では、保湿剤が歯磨剤組成物の約20〜50質量%、例えば40%の量で存在する。
【0035】
甘味料を歯磨剤組成物(例えば歯磨き粉)に加えて、満足のいく味を生成物に授けることができる。適当な甘味料としては、サッカリン(サッカリンナトリウム、サッカリンカリウムまたはサッカリンカルシウムとして)、シクラミン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩として)、アセスルファムカリウム、ソーマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリシルヒジン、D型グルコース、果糖、スクロース、マンノースおよびグルコースが挙げられる。
【0036】
界面活性剤を本発明の歯磨剤組成物に用いて、該組成物をより美容上許容できるようにすることができる。界面活性剤は、組成物に洗浄および発泡特性を付与する洗浄材料であるのが好ましい。適当な界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸塩、ミリストイルサルコシン酸塩、パルミトイルサルコシン酸塩、ステアロイルサルコシン酸塩およびオレオイルサルコシン酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンソルビタンのモノステアレート、イソステアレートおよびラウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン、N−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシンまたはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウムおよびエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレン・オキシド凝縮物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタインなどのような安全かつ有効量のアニオン、カチオン、非イオン、双性イオン、両性およびベタインの界面活性剤である。ラウリル硫酸ナトリウムが好適な界面活性剤である。界面活性剤は、通常本発明の口腔ケア組成物中に約0.1〜15質量%、好ましくは約0.3〜5質量%、例えば約0.3〜2.5質量%の量で存在する。
【0037】
香味剤も歯磨剤組成物に加えることができる。適当な香味剤としては、限定しないが、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、サッサフラス油、クローブの油、シナモン、アネトール、メンソール、チモール、オイゲノール、オイカリプトール、レモン、オレンジおよびフルーツの香りやスパイスの香りなどを付与する他のかかる香味化合物が挙げられる。これら香味剤は、一般にアルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸ならびに脂肪族、芳香族および他のアルコールの混合物を含む。
【0038】
着色剤を加えて生成物の美的外観を改善することができる。適当な着色剤としては、限定しないが、FDAのような適切な規制機関によって認可されている着色剤、および欧州食品医薬品指令にリストされているものが挙げられ、またTiO2のような顔料やFD&CおよびD&C染料のような色素を含む。
【0039】
増粘剤は、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するため、歯磨剤組成物に有用である。適当な増粘剤としては、シリカ増粘剤;デンプン;デンプンのグリセライト;カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアガムおよびセルロースガムのようなガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよび硫酸化セルロースのようなセルロース化合物;ヘクトライトクレイのような天然および合成クレイ;並びにこれらの混合物が挙げられる。増粘剤又は結合剤の典型的な量は、練り歯磨き組成物の約0〜15重量%である。
【0040】
歯磨き粉組成物での利用に有用なシリカ増粘剤は、例えば非限定的な例として、ZEODENT165シリカのような非晶質シリカ沈殿物を含む。他の好適な(限定しないが)シリカ増粘剤は、ZEODENT153,163および/または167、およびZEOFREE177および/または265シリカ生成物を含み、全てジェイ・エム・フーバー・コーポレーション(J. M. Huber Corporation)から入手可能である。
【0041】
治療薬を組成物に用いて、虫歯、歯周病および温度感受性の予防および治療を提供することができる。治療薬の例としては、限定しないが、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化スズ、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウムなどのようなフッ化物源;ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸一水素三ナトリウムのような縮合リン酸塩;トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、トリメタホスフェートおよびピロホスフェート;トリクロサン、ビスグアニド、アレキシジン、クロルヘキシジンおよびグルコン酸クロルヘキシジンのような抗微生物剤;パパイン、ブロメライン、グルコアミラーゼ、アミラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、タンナーゼおよびプロテアーゼのような酵素;塩化ベンザルコニウム(BZK)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、塩化セチルピリジニウム(CPC)および臭化ドミフェンのような第四級アンモニウム化合物;クエン酸亜鉛、塩化亜鉛およびフッ化スズのような金属塩;サンギナリアエキスおよびサンギナリン;ユーカリプトール、メントール、チモールおよびサリチル酸メチルのような精油;フッ化アミン;過酸化物などが挙げられる。治療薬は、歯磨剤に単独で又は組み合わせて治療上安全かつ有効なレベルで使用し得る。
【0042】
保存剤も本発明の組成物に加えて、細菌増殖を防止することができる。メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムのような口腔組成物用に承認された適当な保存剤を安全かつ有効量で加えることができる。
【0043】
開示された歯磨剤には、様々な追加成分、例えば脱感作薬、治療薬、その他の虫歯予防剤、キレート剤/封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、その他の歯垢防止/歯石防止剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素、酵素、pH調整剤、酸化剤、抗酸化剤なども加えることができる。
【0044】
一般に、上述の添加剤のほかに水が組成物のバランスを付与する。水は好ましくは脱イオン水で、不純物が無い。歯磨剤は、通常約5重量%〜約70重量%の水を含み、例えば5重量%〜35重量%、具体的には11重量%の水を含む。
【0045】
本発明のシリカ材料はまた、ブレスストリップ、チューインガムのようなガム、うがい薬、口内洗浄剤、糖菓(例えば、トローチ、プレス成形錠剤、硬い飴など)、可食性フィルム、口臭スプレーおよび歯のホワイトニングストリップを含む他の様々な口腔ケア組成物に組み込むことができる、
【0046】
また、VSC含有雰囲気を開示したシリカ材料または歯磨剤組成物と接触させて該雰囲気中のVSCレベルを低減することによるVSC含有雰囲気下でのメルカプタンのようなVSCの量を低減する方法を開示する。具体例は、ヒトのような被検体中の口臭を低減する方法であり、シリカ材料や歯磨剤を被検体の口腔に投与して被検体の口臭を低減する。上述したように、開示した材料および歯磨剤は、雰囲気中のVSCレベルを低減するのに有効であり(下記の実施例を参照)、したがって、VSCが口臭を引き起こすことを考えれば、口臭を減らすのに効果的である。一態様では、本発明のシリカ材料または歯磨剤を受け入れる被検体(例えば、ヒト)は処置の必要性がある、すなわち、被検体は口臭を有する。他の態様においては、シリカ材料や歯磨剤を予防的処置に用いることができる、すなわち、投与時に必ずしも口臭に悩まされないヒトのような被検体に付与することができる。
【0047】
被検体における口臭の低減を試験するために、後述する表題「水性条件下での多重投与調査」の試験を用いてかかる低減を示すことができる、すなわち、被検体の口腔から収集したガス試料を用いた。或いはまた、被検体からの口腔ガス試料を投与前後で評価する臭気テストのような従来既知の方法を用いて口臭の減少を示すこともできる。
【0048】
さらなる態様では、(a)開示したシリカ材料を含む経口投与に適した組成物を提供するステップと、(b)該組成物を口の中に存在するVSCを有する被検体に投与し、これにより組成物のシリカ材料がVSCを吸収するのを可能にし、順に被検体の口臭を低減するステップとを備える口臭を低減する方法を開示する。
【実施例】
【0049】
(実施例)
以下の実施例は、当該分野の当業者に、ここに請求する化合物、組成物、物品、装置および/または方法がいかになされ、評価されるかの完全な開示および説明を提供するために出され、純粋に本発明の実施態様を意図したもので、発明者らが発明とみなす範囲を限定することを意図するものではない。数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力をしてきたが、いくらかの誤差や偏差は認められるべきである。特に断りのない限り、部は重量部であり、温度は摂氏または室温であり、圧力は大気圧であるかそれに近い圧力である。
【0050】
(シリカ材料)
実施例1A
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32モル比(MR))を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/塩化亜鉛(II)溶液(11.4%、酸1L当たり0.077モルのZnCl2を含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Aの材料を用いて図5および図6を得た。
【0051】
実施例1B
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/塩化錫(II)溶液(11.4%、酸1L当たり0.042モルのSnCl2・2H2Oを含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Bの材料を用いて図7を得た。
【0052】
実施例1C
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/硝酸鉄(III)溶液(11.4%、酸1L当たり0.089モルのFe(NO3)3・9H2Oを含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Cの材料を用いて図8を得た。
【0053】
実施例1D
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/硝酸銅(II)溶液(11.4%、酸1L当たり0.077モルのCu(NO3)2・2.5H2Oを含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Dの材料を用いて図9を得た。
【0054】
実施例1E
67Lのケイ酸塩(19.5%、1.180g/mL、3.32MR)および167Lの水を400ガロンの反応器に加え、30Hzで再循環し、60rpmで攪拌しながら87℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(19.5%、1.180g/mL、3.32MR)および硫酸/ミョウバン溶液(17.1%、酸1L当たり0.22モルのミョウバンを含む1.12g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ12.8L/分および3.9L/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを10分間温浸した後、取り出した。それを濾過し、〜1500μSの導電率まで洗浄し、噴霧乾燥した。次いで、このバッチの一部を〜3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Eの材料を用いて図10を得た。
【0055】
比較例(金属付加物なしのシリカ)
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸(11.4%、1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸した後、取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。比較例の材料を用いて図2〜4を得た。
【0056】
メジアン粒径は、ペンシルバニア州ブースウィンのホリバ・インスツルメンツ社から入手可能な型番LA−930(またはLA−300若しくは同等物)のレーザ光散乱装置を用いて求めることができる。
【0057】
実施例1A〜1Eおよび比較例を元素分析によって金属含有量について分析した。その結果を表1に示す。
【0058】
表1 実施例1A〜1Eの金属分析
【表1】
【0059】
実施例1A〜1Eおよび比較例の物理的特性についても評価した。結果を表2に示す。
【0060】
表2 実施例1A〜1Eの物理的特性
【表2】
【0061】
吸水量値を、C.W.Brabender Instrument,Inc製の吸収計「C」トルクレオメータによって求める。およそシリカ(またはケイ酸塩)の1/3カップを吸収計の混合室に移し、150rpmで混合する。次いで、水を6ml/分の速度で加え、粉末の混合に必要なトルクを記録する。水が粉末により吸収されると、粉末が自由流動粉末からペーストに変形するので、トルクが最大値に達する。次いで、最大トルクを達成した際に加えた水の全体積を、100gの粉末によって吸収され得る水の量に標準化する。粉末を受け入れたままの基準(予め乾燥していない)で用いるので、水分の無い粉末の値を用いて、以下の方程式により「水分補正水AbC値」を計算する。
【数1】
【0062】
上述したような5%のpHを含むシリカ材料のpHを、あらゆる従来のpH感応電極により求めることができる。
【0063】
(VSC吸収試験)
実施例1A〜1Eおよび比較例を、図1に示す装置を用いてメルカプタン(CH3SH)の吸収能力について評価した。
【0064】
この方法は、1セットのフラスコ(250mL)を並行して排気し、これらに所望の試験ガス、ここではメチルメルカプタン(CH3SH、1.09ppm、残余:N2,Air Liquide America製、P/N01020002400TCL)を充填することを含む。フラスコ1は興味ある材料を含有し、フラスコ2は窒素の充填物(Airgas社、ガス採取注射器をパージするために用いるUHPG)を含み、フラスコ3は空白対照基準である。
【0065】
典型的な実験では、フラスコ1に200mgの所望のシリカ材料を充填し、すべてのストップコックを全開にした。ボール弁1を閉鎖し、真空ポンプをオンにした。オフ位置の試験ガス制御弁を用いて、ボール弁1をゆっくりと開き、系全体を2分間排気した。2分後、ボール弁1を閉じ、試験ガス制御弁を窒素ガスシリンダーに対し開き、系を2psiの窒素で充填した。次いで、試験ガス制御弁をオフ位置に戻し、この連続動作をさらに2回繰り返し、合計3回排気と窒素パージを行った。3回目の窒素パージ後、フラスコ2上のストップコックを閉鎖し、窒素パージフラスコを作成した。試験ガス制御弁をオフ位置に戻し、ボール弁1を開放し、系をさらに2分間排気した。この時、フラスコ1および3のストップコックを真空側で閉鎖し、続いてボール弁1を閉鎖した。次いで、試験ガス制御弁を試験ガスシリンダーに対し開放し、系を2psiの試験ガスで充填した。その後、フラスコ1および3の試験ガス側のストップコックを閉鎖し、続いて試験ガス制御弁を閉鎖した。系をついに試験ガスで充填し、評価を始めることができる。
【0066】
Gerstelの2.5mLヘッドスペース−HTシリンジ(P/N009980−055−00)を用いて初期試験ガス充填の30秒後、窒素を用いてフラスコ2のパージを実施した。その後、1.5mLのヘッドスペースガスをフラスコ1から引き出し、レステックRTX−200MSカラム(30m×0.32mm内径(ID)×1μm膜厚(df)、カタログ番号#15654)および5972シリーズ質量選択検出器を取り付けたヒューレットパッカード5890シリーズIIのGCオーブンに注入した。検出器をm/z48、47、45でスキャンするSIMモードで実行した。すべての他の関連するGC/MS情報は表3にある。初期試験ガス注入後、パージおよび引き出しサイクルを対照物(フラスコ3)に対し後で2分間繰り返した。この交互繰り返しを調査の期間中行った。次いで、これらヘッドスペース濃度を利用してメチルメルカプタン対時間の曲線を生成し、平衡点を用いては最大生産量をもたらすことができる。調査終了時に、すべてのストップコックを開放し、続いてボール弁1を解放し、系を5分間排気した。
【0067】
表3 GC/MS実行条件
【表3】
【0068】
(メルカプタン吸収結果)
上述のメルカプタン吸収試験を用いて、実施例1A〜1Eおよび比較例を評価した。図2〜10は、時間の経過による各試料で得た減少曲線を示す。図1は、開示したシリカ材料を用いてメルカプタンの吸収を測定するのに使用した試験装置の概略図である。図2は、比較例を用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係をプロットしたもので、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図3は、比較例を用いて時間分析を繰り返して得た外れ値点を含むプロットである。このプロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示し、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図4は、比較例を用いて別の時間分析を繰り返して得た外れ値点を含まないプロットである。このプロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示し、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図5は、実施例1Aを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図6は、実施例1Aを用いて時間分析を繰り返して得たプロットである。このプロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示し、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図7は、実施例1Bを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図8は、実施例1Cを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図9は、実施例1Dを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図10は、実施例1Eを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【0069】
図2〜10を参照すると、実施例1Aおよび実施例1Dの試料はそれぞれ〜90%および100%削減でメチルメルカプタンの最大の低減を有することが分かる。残りのサンプルは、以下のメチルメルカプタンの低減率を有する:実施例1C(〜65%)、実施例1B(〜54%)、実施例1E(〜40%)、比較例(〜25%)。データを表4に示す。
【0070】
表4 メチルメルカプタンの低減データ
【表4−1】
【表4−2】
【0071】
(水性条件下での多重投与調査)
以下の調査は、本明細書および特許請求の範囲に記載したヘッドスペースの低減(回復)率を測定するために行った。それぞれ液相とシリカによるメチルメルカプタンの吸収および吸着間の区別を可能にする方法で水性の調査を行った。試料スラリーの繰り返し投与がメチルメルカプタンでの完全飽和を可能とする多重投与手順を用いた。各投与後および60分の平衡後に得られたヘッドスペースの形成を測定することによって、当該試料の吸着能力を間接的に測定することができる。
【0072】
図1に示したのと同じ装置を用いて、一致しないフラスコの体積、不規則な排気および/または試験ガスの投与に起因する誤差の原因を減らすように試験方法を変更した。空白対照物として動作する3番目のフラスコで、一度に二つの試料を評価し、試料をローテーションで行った。例えば、フラスコ1は試験スラリー1を含み、フラスコ2は試験スラリー2を含み、フラスコ3は空白を含む。試験後、装置をリセットして、フラスコ1が空白を含み、フラスコ2が試験スラリー1を含み、フラスコ3が試験スラリー2を含む。最後のローテーションでは、フラスコ1が試験スラリー2を含み、フラスコ2が空白を含み、フラスコ3が試験スラリー1を含む。試料と対照物のピーク面積とを、試験の信頼性を監視するために計算した標準偏差および相対標準偏差(RSD)を用いてすべてのローテーションにわたって平均した。
【0073】
この方法を用いて、以下の試料(200mgの試料、800μLの蒸留、脱イオン水)を評価した:実施例1A、実施例1B、実施例1C、実施例1D、比較例および実施例1E。図11は、メチルメルカプタンの繰り返し投与で生成した各試料のヘッドスペース回復曲線を示す。
【0074】
このデータに基づくと、実施例1Dは、6回投与でヘッドスペース形成を防止することから、メチルメルカプタンの最大の吸着能力を有する。実施例1A、1Bおよび1Eは、実施例1Cおよび比較例が合体する前の2回の投与で次によい能力を示す。個々のデータポイントを表5に記載する。
【0075】
表5 多重投与調査のデータ
【表5】
【0076】
(pH段階調査)
メチルメルカプタンの吸着および水溶性金属種の関係を観察した。リリースがいつ、どの程度の量かを測定するために、pHの段階調査を行った。本方法は、所望の実施例のスラリーのpHを、特定のpHに調整し、平衡を可能にし、分析することを含む。
【0077】
典型的な実験では、1グラムの所望の実施例の材料を所望の基質内で懸濁、攪拌し、生成した溶液のpHを0.1MのHClまたは0.1MのNaOHのどちらかを使用して調整した。所望のpHに達した後、スラリーを1時間平衡にすることができる。次いで、スラリーを12,000rpmで10分間遠心分離し、上澄み液をデカントした。ICP−OESを用いて適切な金属について上澄み液を試験した。
【0078】
実施例1A〜Eを、この手順を用いて評価し、その結果を図12に示す。
【0079】
これらサンプルの5%pHが全てpH>8.0であることを考えると、溶液中に存在する不溶性の金属イオンはほとんどない。しかし、pH5.0付近で実施例1Aおよび実施例1Dでは可溶性金属イオンの顕著な放出がある。これはまた、初期炭水化物導入後の経時的な口腔内のpHを描くステファン(Stephen)曲線の低い点に対応する。実施例1Aを用いることで、口腔への突入の後のZnイオンの放出を可能とし、それゆえ細菌増殖を抑制し、抗微生物剤として作用を可能にする。
【0080】
ここに開示した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法には、種々の修正および変形が可能である。ここに説明した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法の他の態様は、ここに開示した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法の開示内容と実践への考察から明らかになるであろう。明細書および実施例は例示のみを目的としている。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2010年2月19日付け出願の米国特許仮出願第61/305,998号の利益を主張し、その全ての開示内容をここに参照して援用する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
口の口腔内における細菌性の腐敗は、口臭や臭い息として既知の悪臭に寄与する鼻につく臭いの揮発性硫黄化合物(VSC)の形成をもたらす場合がある。硫化水素、メチルメルカプタンおよび硫化ジメチルのようなVSCは、口から生ずる腐敗臭の最も共通の給源であると信じられている。VSC生成物は、細菌叢が主にグラム陽性から主にグラム陰性の嫌気性菌叢に転移する際に口腔内で発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
グラム陰性細菌への転移は、通常炭水化物の枯渇および約6.5未満から約7.2への唾液のpHレベルの上昇を伴う。炭水化物が枯渇すると、グラム陽性の菌叢は燃料源を失い始め、したがって抑制される一方、グラム陰性の菌叢が徐々により支配的になる。グラム陰性な菌叢は、グラム陽性な菌叢と異なり、タンパク質分解によりタンパク質を短ペプチドやアミノ酸に分解することができる。システインおよびメチオニン残留物を含むものような特定のタンパク質は、さらにVSCに分解する場合がある。
【0004】
口臭の解決には、洗口剤、チューインガム、ブレスストリップ(breath strip)、トローチ、ミント、および歯磨き粉が挙げられる。不幸にも、これら製品の多くは、口臭を長期間低減または防止できない。さらに、これら製品のいくつかは、腐敗したVSCの呼気をほとんど防止できない。それゆえ、口臭を低減するための新たな組成物や方法の必要性が存在する。この必要性およびその他の必要性は、本発明により充足される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
ここに開示するシリカ材料は、その表面の少なくとも一部に付加物を含む。該シリカ材料は、揮発性硫黄化合物(VSC)を結合でき、それゆえ口臭を低減する。また、当該シリカ材料を含む歯磨剤組成物、口腔ケア組成物並びにシリカ材料の製造および使用方法も開示する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の利点は、部分的には本明細書のこの後で説明され、部分的には本明細書から明らかになり、あるいは後述する態様の実施によって理解できる。後述の利点は、以下に個々に説明する要素および組み合わせによって実現および達成される。前述の概要および以下の詳細な説明はともに、例示的および説明的なものに過ぎず、限定のためではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は開示したシリカ材料を使用してメルカプタン吸収を測定するのに使用した試験装置の概略図である。
【図2】図2は比較例を用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係をプロットしたものである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図3】図3は比較例を用いて時間分析を繰り返して得た外れ値点を含むプロットである。プロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示す。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図4】図4は比較例を用いて時間分析を繰り返して得た外れ値点を含まないプロットである。プロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示す。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図5】図5は実施例1Aを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図6】図6は実施例1Aを用いて時間分析を繰り返して得たプロットである。プロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示す。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図7】図7は実施例1Bを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図8】図8は実施例1Cを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図9】図9は実施例1Dを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図10】図10は実施例1Eを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットである。ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【図11】図11は後述する実施例1A〜Eおよび比較例での多重投与試験におけるヘッドスペースの回復率を示すプロットである。ヘッドスペースの回復率は以下のとおり。正方形記号−実施例1A、ひし形記号−実施例1B、三角記号−実施例1C、X−実施例1D、アスタリスク(*)−比較例、プラス記号(+)−実施例1E。
【図12】図12は実施例1A〜Eでの水溶性濃度対pHのプロットである。試料は以下のとおり。ひし形記号−実施例1B、三角記号−実施例1C、X−実施例1D、プラス記号−実施例1E。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本発明の化合物、組成物、複合体、物品、装置および/または方法を開示し、説明する前に、以下に説明する態様は特定の化合物、組成物、複合体、物品、装置、方法または使用に限定されず、もちろん異なるものになってもよいことが理解される。また、ここで用いる用語は、特定の態様を説明する目的のためだけで、限定を意図するものではない。
【0009】
本明細書において、以下の意味を持つものとして定義されるいくつかの用語が参照される。
【0010】
本明細書の全体を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単語「含む」、または「含む(comprises)」もしくは「備える(comprising)」のような変化系は、述べられた要素(integer)またはステップ、または複数の要素またはステップの群の包括の意味であり、他の要素またはステップ、または他の複数の要素またはステップの群を除外する意味ではないと理解される。
【0011】
本明細書および添付された特許請求の範囲において、文脈上明らかに他の意味を指すべき場合を除き、単冠詞「a」、「an」および「the」は複数指示対象を含むことに注意すべきである。したがって、例えば「シリカ材料」は2つまたはそれ以上の材料を合成したものへの指示を含み、他も同様である。
【0012】
「任意の(optional)」、または、「任意に(optionally)」、という表現は後に記述された事象又は状況が生ずることも有り得るし、生じないことも有り得ることを意味し、本明細書ではそのような事象又は状況が生じる場合(あるいは生じない場合)を適宜説明している。
【0013】
本明細書では、範囲を一つの特定の値で「約」として、および/またはもう一つの特定の値で「約」として表現する場合がある。かかる範囲を表現する際に、別の実施形態はある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が概数として表現される場合は、「約」の先行詞を用いることにより、特定の値が別の実施形態を形成すると理解される。さらに、それぞれの範囲の終点はもう一つの終点との関連で共に意味があり、別の終点とは独立していると理解される。
【0014】
本明細書には、本発明の方法及び組成物に使用できるか、それに関連して使用できるか、それに対する製造に使用できるか、またはその製品であるところ化合物、組成物および構成要素が開示されている。これらおよびその他の材料を本明細書に開示し、当該材料の組み合わせ、サブセット、相互作用物、群などが記載されている場合、個々の材料や組み合わされた材料が明記されていなかったり、その化合物の置換・変更が明記されていないとしても、当該明記されていない材料等も本明細書に記載されているものとする。例えば、多くの異なるシリカ粒子および付加物が開示・説明されている場合、当該シリカ粒子および付加物の組み合わせや置換の全ては本明細書に記載されたものとする(但し、それを否定する説明がある場合を除く)。従って、付加物A、B、Cのクラスと付加物D、E、Fのクラスと組み合わせ付加物A−Dとが記載されている場合、たとえ個々の付加物が記載されていなくても個々の付加物およびそれらの組み合わせは記載されているものとする。つまり、上記の例の場合、A、B、CとD、E、Fが開示され且つA−Dの組み合わせが開示されているので、A−Eの組み合わせ、 A−Fの組み合わせ、B−Dの組み合わせ、B−Eの組み合わせ、B−Fの組み合わせ、C−Dの組み合わせ、C−Eの組み合わせおよびC−Fの組み合わせは記載されていると考える。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせも記載されていると考える。つまり、上記の例の場合、例えば、A−E、B−F、C−Eも記載されていると考える(やはり、A、B、CとD、E、Fが開示され且つA−Dの組み合わせが開示されているので)。この考え方は本明細書の全ての記載に適用される。例えば、開示された組成物を製造したり使用したりする方法の各ステップに適用される。従って、追加できるステップがある場合、各追加工程は本明細書に開示された実施形態・実施例またはこれらの組み合わせにおいて実施することができるし、それらは本発明の範囲内のものと考えられる。
【0015】
ここで用いる「平均粒径」とは、試料の50%が型通りにより小さなサイズであり、試料の50%が型通りにより大きなサイズである粒径を指す。
【0016】
本発明は、遷移金属のような付加物を含み、VSCを吸収することができ、それゆえ口臭を低減するのに有用なシリカ材料に関する。本発明のシリカ材料は、口の口腔内に保持することができ、長期間にわたってVSCの吸収を可能とする。
【0017】
一態様では、シリカ材料が1〜15ミクロンの平均粒径を有し、その表面の少なくとも一部に存在する付加物を有する。付加物は、VSCと相互作用できるようにシリカ材料におけるシリカ粒子の表面に存在している、すなわち付加物は露出している。
【0018】
別の態様では、シリカ材料のスラリは、VSC吸収試験、すなわち後述する「VSC吸収試験」および「多重投与調査」の表題下の実施例のセクションの試験におけるヘッドスペースで少なくとも35%低減、45%低減、または50%の低減を示す。ヘッドスペース低減%(「回復」ともいう)を求めるための具体的な試験は、以下の「多重投与調査」の表題で述べる水性試験である。
【0019】
一般に、本発明のシリカ材料は1〜15ミクロンの平均粒径を有する。別の態様では、シリカ材料は5ミクロン超〜15ミクロンの平均粒径、例えば8〜15ミクロンの平均粒径を有する。好ましくは、本発明のシリカ材料の約2%未満が44ミクロン超の粒径を有する。
【0020】
シリカ材料に存在する付加物は、遷移金属またはポスト遷移金属のような金属付加物であるのが好ましい。適当な金属付加物の非限定的な例は、亜鉛、錫、銅、ストロンチウム、アルミニウムおよびそれらの混合物を含む。シリカ材料は、沈降シリカ材料の形成中に水溶性金属塩の形で付加物を添加することによって調製する。酸性条件で可溶性のあらゆる金属塩、例えば金属硝酸塩、金属塩化物、金属硫酸塩などが適している。
【0021】
別の態様では、本発明のシリカ材料が1〜15ミクロンの平均粒径を有し、その表面の少なくとも一部に存在する第1および第2付加物を有し、ここで第1および第2付加物は異なる。かかるシリカ材料は、1〜5ミクロン、5ミクロン超〜15ミクロンまたは8〜15ミクロンの平均粒径を有することができる。かかるシリカ材料の例としては、限定しないが、アルミニウムおよび亜鉛、アルミニウムおよび銅、亜鉛および錫、ストロンチウムおよび銅または錫およびストロンチウム付加物を有するものが挙げられ、両者がシリカの表面の少なくとも一部に存在する。
【0022】
さらに別の態様では、本発明のシリカ材料が1〜15ミクロンの平均粒径を有し、その表面の少なくとも一部に存在する付加物を有し、ここで付加物はシリカ材料全体の重量に対し0.025%〜10%の量で存在する、すなわちかかる量は金属付加物の重量/(金属付加物重量+シリカ重量)である。別の態様では、付加物がシリカ材料の重量に対し0.025%〜5%、0.025%〜3%、0.025%〜2%、または0.025%〜1%の量で存在する。他の態様では、付加物がシリカ材料の重量に対し0.1%〜10%もしくは0.35%〜5%または1%〜3%の量で存在する。
【0023】
シリカ材料は、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル等を含むさまざまな種類のシリカを含むことができる。ある特定の態様において、シリカ材料は沈降シリカを含み、以下のプロセスに従って調製する。ケイ酸ナトリウムのようなアルカリケイ酸塩の水溶液を、均質な混合物を確実にするに適した混合手段を備えた反応器に投入する。反応器内のアルカリケイ酸塩溶液を、約室温〜約130℃、好ましくは約50〜100℃、より好ましくは約65℃〜約100℃または約60℃〜約90℃の温度に予熱する。アルカリケイ酸塩溶液は、約8.0〜約35重量%、例えば約8.0〜20重量%のアルカリケイ酸塩濃度を有することができる。アルカリケイ酸塩は、約1〜約3.5、例えば約2.4〜3.4のSiO2:Na2O比を有するケイ酸ナトリウムとすることができる。反応器に投入したアルカリケイ酸塩の量は、バッチで用いる全ケイ酸塩の約5重量%〜100重量%である。硫酸ナトリウム溶液または硫酸アルミニウム(ミョウバン)溶液のような電解質を反応媒体に随意に添加することができる。さらに、この混合を所望に応じて高剪断条件下で行うことができる。
【0024】
次いで、反応器に以下のものを同時に加える:(1)硫酸のような酸性化剤または酸の水溶液および(2)追加量の反応器中にあるものと同種のケイ酸アルカリを含有する水溶液で、約65℃〜約100℃の温度まで予熱した水溶液。酸性化剤溶液の反応器中への導入前に、付加化合物を酸性化剤溶液に添加する。付加化合物と、酸性化剤溶液とを約0.002〜約0.185、好適には約0.074〜約0.150とした付加化合物の酸性化剤溶液のLに対するモル濃度で予備混合する。より高い付加物濃度が付加物で処理した沈降シリカ材料において要求される場合、付加化合物の水溶液を酸の代わりに随意に用いることができる。
【0025】
付加化合物は、亜鉛(II)の塩、スズ(II)の塩、鉄(III)の塩、銅(II)の塩およびミョウバンのような金属塩を含む種々の金属化合物とすることができる。具体例としては、塩化亜鉛(II)、塩化スズ(II)、硝酸鉄(III)、硝酸銅(II)および水和硫酸アルミニウムカリウムが挙げられる。
【0026】
酸性化剤溶液は、約6〜35重量%、例えば約9.0〜20重量%の酸性化剤濃度を有するのが好ましい。しばらくすると、アルカリケイ酸塩溶液の流入を止め、所望のpHに達するまで酸性化剤溶液を流すことができる。
【0027】
反応器バッチを一定pHで維持しつつ、該反応器バッチを一定の温浸温度で5分〜30分間熟成または「温浸」することができる。温浸の完了後、反応バッチを濾過し、シリカの濾塊からの洗浄水が約2000μmho未満の伝導率を得るまで水洗して過剰副生成無機塩を除去する。シリカ濾液の伝導率が濾塊中の無機塩副生成物濃度に比例するので、濾液の伝導率を2000μmho未満に維持することにより、Na2SO4のような無機塩の所望の低濃度を濾塊中に得ることができる。シリカ濾塊を水中でスラリーにした後、噴霧乾燥のような任意の従来の乾燥技術により乾燥して、約3重量%〜約50重量%の水分を含有する付加物処理沈降シリカ材料を生成する。次いで、付加物処理沈降シリカ材料を粉砕して、約1μm〜15μm、1μm〜5μm、5μm超〜15μmまたは8μm〜15μmの所望の粒径を得ることができる。
【0028】
本発明はまた、開示したシリカ材料を含む歯磨剤に関する。ここで用いる「歯磨剤組成物」は、例えば歯の接触可能表面を洗浄することにより口腔衛生を維持するのに使用し得る組成物を指す。例として、練り歯磨き、液体歯磨き、歯磨きペースト、パウダー歯磨き剤などが挙げられる。
【0029】
歯磨剤の例は、成分として本発明のシリカ材料に加えて、水、洗剤、保湿剤、結合剤、香味剤、粉末研磨剤またはこれらの組み合わせを含む。歯磨剤製剤はまた、歯磨剤製剤に組み込む前に溶解しなければならない成分(例えばフッ化ナトリウムのような抗虫歯剤、リン酸ナトリウム、サッカリンのような香味剤)を含むことができる。
【0030】
本発明のシリカ材料は、全歯磨剤組成物の重量に対し一般に0.01〜50%、0.01〜30%または0.01〜25%の量で歯磨剤組成物に存在することができる。本発明のシリカ材料が事実上研磨剤であれば、その量は0.05〜約15重量%とすることができる。付加物処理沈降シリカ材料が粘度調整剤(増粘剤)である場合、その量は0.05〜約10重量%とすることができる。しかしながら、本発明のシリカ材料は口臭を低減するための有用な薬剤として存在することができる。そのようなものとして、量が歯磨剤製剤内で上述した範囲内とすることができるが、材料は歯磨剤に関知できる程度の増粘または研磨を付与しないが、口臭の削減効果を付与する。かかる製剤は、所要に応じて適当な他の脱感作材料、一例として硝酸カリウム塩を含んでもよい。
【0031】
さらなる態様では、歯磨剤組成物は、付加物処理沈降シリカ材料以外の研磨剤のような少なくとも一つの他の成分、付加物処理沈降シリカ材料以外の少なくとも一つの増粘剤、少なくとも一つの溶媒、少なくとも1種の防腐剤、少なくとも一つの界面活性剤またはそれらの組み合わせを含み、ここで本発明のシリカ材料は、歯磨剤中に研磨剤、増粘剤またはその両方として存在する。
【0032】
一態様では、開示されたシリカ材料は、歯磨剤組成物における研磨剤として単独で、若しくはここに開示するかまたは当業界で既知な他の研磨材料との添加剤または共研磨剤として利用できる。他の従来型の研磨添加物のいくらでも、本発明の歯磨剤組成物中に存在することができる。かかる他の研磨粒子としては、例えば、沈降炭酸カルシウム(PCC)、重質炭酸カルシウム(GCC)、チョーク、ベントナイト、第二リン酸カルシウムまたはその二水和物、シリカゲル(それだけで、および任意の構造のもの)、沈降シリカ、非晶質沈降シリカ(同様にそれだけで、および任意の構造のもの)、パーライト、二酸化チタン、第二リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、仮焼アルミナ、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、粒状熱硬化性樹脂および他の適当な研磨材料が挙げられる。かかる材料を歯磨剤組成物に導入してターゲット製剤の研磨特性を調整することができる。
【0033】
研磨成分に加えて、歯磨剤は一つ以上の感覚刺激性の増強剤を含むこともできる。感覚刺激性の増強剤としては、保湿剤、甘味料、界面活性剤、香味剤、着色剤および増粘剤(ときには結合材、ガムまたは安定剤としても既知)が挙げられる。
【0034】
保湿剤は、乾燥から歯磨剤を防ぐほかに、体や「口の質感」を歯磨剤に加えるのに役立つ。適当な保湿剤としては、ポリエチレングリコール(様々な異なる分子量)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、水素化デンプン加水分解物およびその混合物が挙げられる。具体例では、保湿剤が歯磨剤組成物の約20〜50質量%、例えば40%の量で存在する。
【0035】
甘味料を歯磨剤組成物(例えば歯磨き粉)に加えて、満足のいく味を生成物に授けることができる。適当な甘味料としては、サッカリン(サッカリンナトリウム、サッカリンカリウムまたはサッカリンカルシウムとして)、シクラミン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩として)、アセスルファムカリウム、ソーマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリシルヒジン、D型グルコース、果糖、スクロース、マンノースおよびグルコースが挙げられる。
【0036】
界面活性剤を本発明の歯磨剤組成物に用いて、該組成物をより美容上許容できるようにすることができる。界面活性剤は、組成物に洗浄および発泡特性を付与する洗浄材料であるのが好ましい。適当な界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸塩、ミリストイルサルコシン酸塩、パルミトイルサルコシン酸塩、ステアロイルサルコシン酸塩およびオレオイルサルコシン酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩、ポリオキシエチレンソルビタンのモノステアレート、イソステアレートおよびラウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシン、N−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシンまたはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウムおよびエタノールアミン塩、アルキルフェノールのポリエチレン・オキシド凝縮物、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、パルミチルベタインなどのような安全かつ有効量のアニオン、カチオン、非イオン、双性イオン、両性およびベタインの界面活性剤である。ラウリル硫酸ナトリウムが好適な界面活性剤である。界面活性剤は、通常本発明の口腔ケア組成物中に約0.1〜15質量%、好ましくは約0.3〜5質量%、例えば約0.3〜2.5質量%の量で存在する。
【0037】
香味剤も歯磨剤組成物に加えることができる。適当な香味剤としては、限定しないが、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、サッサフラス油、クローブの油、シナモン、アネトール、メンソール、チモール、オイゲノール、オイカリプトール、レモン、オレンジおよびフルーツの香りやスパイスの香りなどを付与する他のかかる香味化合物が挙げられる。これら香味剤は、一般にアルデヒド、ケトン、エステル、フェノール、酸ならびに脂肪族、芳香族および他のアルコールの混合物を含む。
【0038】
着色剤を加えて生成物の美的外観を改善することができる。適当な着色剤としては、限定しないが、FDAのような適切な規制機関によって認可されている着色剤、および欧州食品医薬品指令にリストされているものが挙げられ、またTiO2のような顔料やFD&CおよびD&C染料のような色素を含む。
【0039】
増粘剤は、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するため、歯磨剤組成物に有用である。適当な増粘剤としては、シリカ増粘剤;デンプン;デンプンのグリセライト;カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアガムおよびセルロースガムのようなガム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum);カラギーナン;アルギン酸ナトリウム;寒天;ペクチン;ゼラチン;セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよび硫酸化セルロースのようなセルロース化合物;ヘクトライトクレイのような天然および合成クレイ;並びにこれらの混合物が挙げられる。増粘剤又は結合剤の典型的な量は、練り歯磨き組成物の約0〜15重量%である。
【0040】
歯磨き粉組成物での利用に有用なシリカ増粘剤は、例えば非限定的な例として、ZEODENT165シリカのような非晶質シリカ沈殿物を含む。他の好適な(限定しないが)シリカ増粘剤は、ZEODENT153,163および/または167、およびZEOFREE177および/または265シリカ生成物を含み、全てジェイ・エム・フーバー・コーポレーション(J. M. Huber Corporation)から入手可能である。
【0041】
治療薬を組成物に用いて、虫歯、歯周病および温度感受性の予防および治療を提供することができる。治療薬の例としては、限定しないが、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化スズ、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウムなどのようなフッ化物源;ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸一水素三ナトリウムのような縮合リン酸塩;トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート、トリメタホスフェートおよびピロホスフェート;トリクロサン、ビスグアニド、アレキシジン、クロルヘキシジンおよびグルコン酸クロルヘキシジンのような抗微生物剤;パパイン、ブロメライン、グルコアミラーゼ、アミラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リパーゼ、ペクチナーゼ、タンナーゼおよびプロテアーゼのような酵素;塩化ベンザルコニウム(BZK)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、塩化セチルピリジニウム(CPC)および臭化ドミフェンのような第四級アンモニウム化合物;クエン酸亜鉛、塩化亜鉛およびフッ化スズのような金属塩;サンギナリアエキスおよびサンギナリン;ユーカリプトール、メントール、チモールおよびサリチル酸メチルのような精油;フッ化アミン;過酸化物などが挙げられる。治療薬は、歯磨剤に単独で又は組み合わせて治療上安全かつ有効なレベルで使用し得る。
【0042】
保存剤も本発明の組成物に加えて、細菌増殖を防止することができる。メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムのような口腔組成物用に承認された適当な保存剤を安全かつ有効量で加えることができる。
【0043】
開示された歯磨剤には、様々な追加成分、例えば脱感作薬、治療薬、その他の虫歯予防剤、キレート剤/封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、その他の歯垢防止/歯石防止剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素、酵素、pH調整剤、酸化剤、抗酸化剤なども加えることができる。
【0044】
一般に、上述の添加剤のほかに水が組成物のバランスを付与する。水は好ましくは脱イオン水で、不純物が無い。歯磨剤は、通常約5重量%〜約70重量%の水を含み、例えば5重量%〜35重量%、具体的には11重量%の水を含む。
【0045】
本発明のシリカ材料はまた、ブレスストリップ、チューインガムのようなガム、うがい薬、口内洗浄剤、糖菓(例えば、トローチ、プレス成形錠剤、硬い飴など)、可食性フィルム、口臭スプレーおよび歯のホワイトニングストリップを含む他の様々な口腔ケア組成物に組み込むことができる、
【0046】
また、VSC含有雰囲気を開示したシリカ材料または歯磨剤組成物と接触させて該雰囲気中のVSCレベルを低減することによるVSC含有雰囲気下でのメルカプタンのようなVSCの量を低減する方法を開示する。具体例は、ヒトのような被検体中の口臭を低減する方法であり、シリカ材料や歯磨剤を被検体の口腔に投与して被検体の口臭を低減する。上述したように、開示した材料および歯磨剤は、雰囲気中のVSCレベルを低減するのに有効であり(下記の実施例を参照)、したがって、VSCが口臭を引き起こすことを考えれば、口臭を減らすのに効果的である。一態様では、本発明のシリカ材料または歯磨剤を受け入れる被検体(例えば、ヒト)は処置の必要性がある、すなわち、被検体は口臭を有する。他の態様においては、シリカ材料や歯磨剤を予防的処置に用いることができる、すなわち、投与時に必ずしも口臭に悩まされないヒトのような被検体に付与することができる。
【0047】
被検体における口臭の低減を試験するために、後述する表題「水性条件下での多重投与調査」の試験を用いてかかる低減を示すことができる、すなわち、被検体の口腔から収集したガス試料を用いた。或いはまた、被検体からの口腔ガス試料を投与前後で評価する臭気テストのような従来既知の方法を用いて口臭の減少を示すこともできる。
【0048】
さらなる態様では、(a)開示したシリカ材料を含む経口投与に適した組成物を提供するステップと、(b)該組成物を口の中に存在するVSCを有する被検体に投与し、これにより組成物のシリカ材料がVSCを吸収するのを可能にし、順に被検体の口臭を低減するステップとを備える口臭を低減する方法を開示する。
【実施例】
【0049】
(実施例)
以下の実施例は、当該分野の当業者に、ここに請求する化合物、組成物、物品、装置および/または方法がいかになされ、評価されるかの完全な開示および説明を提供するために出され、純粋に本発明の実施態様を意図したもので、発明者らが発明とみなす範囲を限定することを意図するものではない。数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力をしてきたが、いくらかの誤差や偏差は認められるべきである。特に断りのない限り、部は重量部であり、温度は摂氏または室温であり、圧力は大気圧であるかそれに近い圧力である。
【0050】
(シリカ材料)
実施例1A
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32モル比(MR))を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/塩化亜鉛(II)溶液(11.4%、酸1L当たり0.077モルのZnCl2を含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Aの材料を用いて図5および図6を得た。
【0051】
実施例1B
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/塩化錫(II)溶液(11.4%、酸1L当たり0.042モルのSnCl2・2H2Oを含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Bの材料を用いて図7を得た。
【0052】
実施例1C
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/硝酸鉄(III)溶液(11.4%、酸1L当たり0.089モルのFe(NO3)3・9H2Oを含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Cの材料を用いて図8を得た。
【0053】
実施例1D
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸/硝酸銅(II)溶液(11.4%、酸1L当たり0.077モルのCu(NO3)2・2.5H2Oを含む1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸し、反応器から取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Dの材料を用いて図9を得た。
【0054】
実施例1E
67Lのケイ酸塩(19.5%、1.180g/mL、3.32MR)および167Lの水を400ガロンの反応器に加え、30Hzで再循環し、60rpmで攪拌しながら87℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(19.5%、1.180g/mL、3.32MR)および硫酸/ミョウバン溶液(17.1%、酸1L当たり0.22モルのミョウバンを含む1.12g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ12.8L/分および3.9L/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを10分間温浸した後、取り出した。それを濾過し、〜1500μSの導電率まで洗浄し、噴霧乾燥した。次いで、このバッチの一部を〜3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。実施例1Eの材料を用いて図10を得た。
【0055】
比較例(金属付加物なしのシリカ)
410mLのケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)を2ガロンの反応器に加え、300rpmで攪拌しながら85℃に加熱した。次いで、ケイ酸塩(13.3%、1.112g/mL、3.32MR)および硫酸(11.4%、1.078g/mLの硫酸)を同時にそれぞれ82.4mL/分および24.8mL/分で47分間添加した。47分後、ケイ酸塩の流れを止め、酸を継続的に流してpHを5.5に調整した。pHが5.5に達すると、バッチを90℃で10分間温浸した後、取り出した。これを濾過し、脱イオン水で2回洗浄した。試料を105℃で一晩乾燥した。上記バッチを3とおり作成し、組み合わせ、約3.0μmの平均粒径までエアー微粉砕した。比較例の材料を用いて図2〜4を得た。
【0056】
メジアン粒径は、ペンシルバニア州ブースウィンのホリバ・インスツルメンツ社から入手可能な型番LA−930(またはLA−300若しくは同等物)のレーザ光散乱装置を用いて求めることができる。
【0057】
実施例1A〜1Eおよび比較例を元素分析によって金属含有量について分析した。その結果を表1に示す。
【0058】
表1 実施例1A〜1Eの金属分析
【表1】
【0059】
実施例1A〜1Eおよび比較例の物理的特性についても評価した。結果を表2に示す。
【0060】
表2 実施例1A〜1Eの物理的特性
【表2】
【0061】
吸水量値を、C.W.Brabender Instrument,Inc製の吸収計「C」トルクレオメータによって求める。およそシリカ(またはケイ酸塩)の1/3カップを吸収計の混合室に移し、150rpmで混合する。次いで、水を6ml/分の速度で加え、粉末の混合に必要なトルクを記録する。水が粉末により吸収されると、粉末が自由流動粉末からペーストに変形するので、トルクが最大値に達する。次いで、最大トルクを達成した際に加えた水の全体積を、100gの粉末によって吸収され得る水の量に標準化する。粉末を受け入れたままの基準(予め乾燥していない)で用いるので、水分の無い粉末の値を用いて、以下の方程式により「水分補正水AbC値」を計算する。
【数1】
【0062】
上述したような5%のpHを含むシリカ材料のpHを、あらゆる従来のpH感応電極により求めることができる。
【0063】
(VSC吸収試験)
実施例1A〜1Eおよび比較例を、図1に示す装置を用いてメルカプタン(CH3SH)の吸収能力について評価した。
【0064】
この方法は、1セットのフラスコ(250mL)を並行して排気し、これらに所望の試験ガス、ここではメチルメルカプタン(CH3SH、1.09ppm、残余:N2,Air Liquide America製、P/N01020002400TCL)を充填することを含む。フラスコ1は興味ある材料を含有し、フラスコ2は窒素の充填物(Airgas社、ガス採取注射器をパージするために用いるUHPG)を含み、フラスコ3は空白対照基準である。
【0065】
典型的な実験では、フラスコ1に200mgの所望のシリカ材料を充填し、すべてのストップコックを全開にした。ボール弁1を閉鎖し、真空ポンプをオンにした。オフ位置の試験ガス制御弁を用いて、ボール弁1をゆっくりと開き、系全体を2分間排気した。2分後、ボール弁1を閉じ、試験ガス制御弁を窒素ガスシリンダーに対し開き、系を2psiの窒素で充填した。次いで、試験ガス制御弁をオフ位置に戻し、この連続動作をさらに2回繰り返し、合計3回排気と窒素パージを行った。3回目の窒素パージ後、フラスコ2上のストップコックを閉鎖し、窒素パージフラスコを作成した。試験ガス制御弁をオフ位置に戻し、ボール弁1を開放し、系をさらに2分間排気した。この時、フラスコ1および3のストップコックを真空側で閉鎖し、続いてボール弁1を閉鎖した。次いで、試験ガス制御弁を試験ガスシリンダーに対し開放し、系を2psiの試験ガスで充填した。その後、フラスコ1および3の試験ガス側のストップコックを閉鎖し、続いて試験ガス制御弁を閉鎖した。系をついに試験ガスで充填し、評価を始めることができる。
【0066】
Gerstelの2.5mLヘッドスペース−HTシリンジ(P/N009980−055−00)を用いて初期試験ガス充填の30秒後、窒素を用いてフラスコ2のパージを実施した。その後、1.5mLのヘッドスペースガスをフラスコ1から引き出し、レステックRTX−200MSカラム(30m×0.32mm内径(ID)×1μm膜厚(df)、カタログ番号#15654)および5972シリーズ質量選択検出器を取り付けたヒューレットパッカード5890シリーズIIのGCオーブンに注入した。検出器をm/z48、47、45でスキャンするSIMモードで実行した。すべての他の関連するGC/MS情報は表3にある。初期試験ガス注入後、パージおよび引き出しサイクルを対照物(フラスコ3)に対し後で2分間繰り返した。この交互繰り返しを調査の期間中行った。次いで、これらヘッドスペース濃度を利用してメチルメルカプタン対時間の曲線を生成し、平衡点を用いては最大生産量をもたらすことができる。調査終了時に、すべてのストップコックを開放し、続いてボール弁1を解放し、系を5分間排気した。
【0067】
表3 GC/MS実行条件
【表3】
【0068】
(メルカプタン吸収結果)
上述のメルカプタン吸収試験を用いて、実施例1A〜1Eおよび比較例を評価した。図2〜10は、時間の経過による各試料で得た減少曲線を示す。図1は、開示したシリカ材料を用いてメルカプタンの吸収を測定するのに使用した試験装置の概略図である。図2は、比較例を用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係をプロットしたもので、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図3は、比較例を用いて時間分析を繰り返して得た外れ値点を含むプロットである。このプロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示し、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図4は、比較例を用いて別の時間分析を繰り返して得た外れ値点を含まないプロットである。このプロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示し、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図5は、実施例1Aを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図6は、実施例1Aを用いて時間分析を繰り返して得たプロットである。このプロットは、メチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示し、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図7は、実施例1Bを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図8は、実施例1Cを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図9は、実施例1Dを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。図10は、実施例1Eを用いて得たメチルメルカプタンのピーク面積と時間の関係を示すプロットで、ひし形記号は残りの割合を表し、正方形記号は低減した割合を表す。
【0069】
図2〜10を参照すると、実施例1Aおよび実施例1Dの試料はそれぞれ〜90%および100%削減でメチルメルカプタンの最大の低減を有することが分かる。残りのサンプルは、以下のメチルメルカプタンの低減率を有する:実施例1C(〜65%)、実施例1B(〜54%)、実施例1E(〜40%)、比較例(〜25%)。データを表4に示す。
【0070】
表4 メチルメルカプタンの低減データ
【表4−1】
【表4−2】
【0071】
(水性条件下での多重投与調査)
以下の調査は、本明細書および特許請求の範囲に記載したヘッドスペースの低減(回復)率を測定するために行った。それぞれ液相とシリカによるメチルメルカプタンの吸収および吸着間の区別を可能にする方法で水性の調査を行った。試料スラリーの繰り返し投与がメチルメルカプタンでの完全飽和を可能とする多重投与手順を用いた。各投与後および60分の平衡後に得られたヘッドスペースの形成を測定することによって、当該試料の吸着能力を間接的に測定することができる。
【0072】
図1に示したのと同じ装置を用いて、一致しないフラスコの体積、不規則な排気および/または試験ガスの投与に起因する誤差の原因を減らすように試験方法を変更した。空白対照物として動作する3番目のフラスコで、一度に二つの試料を評価し、試料をローテーションで行った。例えば、フラスコ1は試験スラリー1を含み、フラスコ2は試験スラリー2を含み、フラスコ3は空白を含む。試験後、装置をリセットして、フラスコ1が空白を含み、フラスコ2が試験スラリー1を含み、フラスコ3が試験スラリー2を含む。最後のローテーションでは、フラスコ1が試験スラリー2を含み、フラスコ2が空白を含み、フラスコ3が試験スラリー1を含む。試料と対照物のピーク面積とを、試験の信頼性を監視するために計算した標準偏差および相対標準偏差(RSD)を用いてすべてのローテーションにわたって平均した。
【0073】
この方法を用いて、以下の試料(200mgの試料、800μLの蒸留、脱イオン水)を評価した:実施例1A、実施例1B、実施例1C、実施例1D、比較例および実施例1E。図11は、メチルメルカプタンの繰り返し投与で生成した各試料のヘッドスペース回復曲線を示す。
【0074】
このデータに基づくと、実施例1Dは、6回投与でヘッドスペース形成を防止することから、メチルメルカプタンの最大の吸着能力を有する。実施例1A、1Bおよび1Eは、実施例1Cおよび比較例が合体する前の2回の投与で次によい能力を示す。個々のデータポイントを表5に記載する。
【0075】
表5 多重投与調査のデータ
【表5】
【0076】
(pH段階調査)
メチルメルカプタンの吸着および水溶性金属種の関係を観察した。リリースがいつ、どの程度の量かを測定するために、pHの段階調査を行った。本方法は、所望の実施例のスラリーのpHを、特定のpHに調整し、平衡を可能にし、分析することを含む。
【0077】
典型的な実験では、1グラムの所望の実施例の材料を所望の基質内で懸濁、攪拌し、生成した溶液のpHを0.1MのHClまたは0.1MのNaOHのどちらかを使用して調整した。所望のpHに達した後、スラリーを1時間平衡にすることができる。次いで、スラリーを12,000rpmで10分間遠心分離し、上澄み液をデカントした。ICP−OESを用いて適切な金属について上澄み液を試験した。
【0078】
実施例1A〜Eを、この手順を用いて評価し、その結果を図12に示す。
【0079】
これらサンプルの5%pHが全てpH>8.0であることを考えると、溶液中に存在する不溶性の金属イオンはほとんどない。しかし、pH5.0付近で実施例1Aおよび実施例1Dでは可溶性金属イオンの顕著な放出がある。これはまた、初期炭水化物導入後の経時的な口腔内のpHを描くステファン(Stephen)曲線の低い点に対応する。実施例1Aを用いることで、口腔への突入の後のZnイオンの放出を可能とし、それゆえ細菌増殖を抑制し、抗微生物剤として作用を可能にする。
【0080】
ここに開示した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法には、種々の修正および変形が可能である。ここに説明した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法の他の態様は、ここに開示した化合物、複合体、キット、物品、装置、組成物および方法の開示内容と実践への考察から明らかになるであろう。明細書および実施例は例示のみを目的としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜15ミクロンの平均粒径を有し、表面の少なくとも一部に存在する金属付加物を含む沈降シリカ材料の有効量を哺乳類の口腔へ投与し、これにより口臭を低減する工程を備える口臭低減方法。
【請求項2】
前記沈降シリカ材料は、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも35%のヘッドスペースの低減を示す請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記沈降シリカ材料は、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも50%のヘッドスペースの低減を示す請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属付加物は、アルミニウム、亜鉛、錫、ストロンチウム、鉄、銅またはそれらの混合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属付加物は、亜鉛又は銅の付加物である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属付加物は、沈降シリカ材料の重量に対し約1%〜約3%の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳類は、ヒトである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(a)1〜15ミクロンの平均粒径を有し、少なくとも表面の一部に存在する金属付加物を含み、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも35%のヘッドスペースの低減を示す沈降シリカ材料と、
(b)前記沈降シリカ材料以外の少なくとも一つの研磨剤、前記沈降シリカ材料以外の少なくとも一つの増粘剤、少なくとも一つの溶剤、少なくとも一つの防腐剤および少なくとも一つの界面活性剤からなる群から選択した少なくとも一つの随意的な他の構成材を含む歯磨剤であって、前記沈降シリカ材料が歯磨剤内で研磨剤または増粘剤若しくはその両方として存在することを特徴とする歯磨剤。
【請求項9】
前記沈降シリカ材料は、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも50%のヘッドスペースの低減を示す請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項10】
前記金属付加物は、アルミニウム、亜鉛、錫、ストロンチウム、鉄、銅およびそれらの混合物からなる群から選択した金属を含む請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項11】
前記金属付加物は、亜鉛または銅の付加物からなる請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項12】
前記金属付加物は、沈降シリカ材料の重量に対し1%〜3%の量で存在する請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項13】
ケイ酸塩を酸性化剤および金属塩と液状媒質中大気温から約130℃までの温度で反応させて反応生成物を液状媒質内に得る工程と、前記液状媒質のpHを低減させてシリカ材料を液状媒質から沈降させる工程とを備え、前記金属塩が亜鉛(II)塩化物、錫(II)塩化物、鉄(III)塩化物、銅(II)塩化物またはそれらの混合物を含む方法により調製した沈降シリカ材料。
【請求項14】
前記金属塩が、塩化亜鉛(II)、塩化錫(II)、硝酸鉄(III)、硝酸銅(II)またはそれらの混合物を含む請求項13に記載の沈降シリカ材料。
【請求項15】
前記金属塩が、塩化亜鉛(II)、硝酸銅(II)またはそれらの混合物を含む請求項13に記載の沈降シリカ材料。
【請求項16】
1〜15ミクロンの平均粒径を有し、表面の少なくとも一部に存在する金属付加物を含み、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも35%のヘッドスペースの低減を示す沈降シリカ材料。
【請求項17】
前記揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも50%のヘッドスペースの低減を示す請求項16に記載の沈降シリカ材料。
【請求項18】
前記金属付加物は、アルミニウム、亜鉛、錫、ストロンチウム、鉄、銅またはそれらの混合物を含む請求項16に記載の沈降シリカ材料。
【請求項19】
前記金属付加物は、亜鉛または銅の付加物を含む請求項16に記載の沈殿シリカ材料。
【請求項20】
前記金属付加物は、沈降シリカ材料の重量に対し約1%〜約3%の量で存在する請求項16に記載の沈降シリカ材料。
【請求項1】
1〜15ミクロンの平均粒径を有し、表面の少なくとも一部に存在する金属付加物を含む沈降シリカ材料の有効量を哺乳類の口腔へ投与し、これにより口臭を低減する工程を備える口臭低減方法。
【請求項2】
前記沈降シリカ材料は、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも35%のヘッドスペースの低減を示す請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記沈降シリカ材料は、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも50%のヘッドスペースの低減を示す請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属付加物は、アルミニウム、亜鉛、錫、ストロンチウム、鉄、銅またはそれらの混合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属付加物は、亜鉛又は銅の付加物である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属付加物は、沈降シリカ材料の重量に対し約1%〜約3%の量で存在する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳類は、ヒトである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(a)1〜15ミクロンの平均粒径を有し、少なくとも表面の一部に存在する金属付加物を含み、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも35%のヘッドスペースの低減を示す沈降シリカ材料と、
(b)前記沈降シリカ材料以外の少なくとも一つの研磨剤、前記沈降シリカ材料以外の少なくとも一つの増粘剤、少なくとも一つの溶剤、少なくとも一つの防腐剤および少なくとも一つの界面活性剤からなる群から選択した少なくとも一つの随意的な他の構成材を含む歯磨剤であって、前記沈降シリカ材料が歯磨剤内で研磨剤または増粘剤若しくはその両方として存在することを特徴とする歯磨剤。
【請求項9】
前記沈降シリカ材料は、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも50%のヘッドスペースの低減を示す請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項10】
前記金属付加物は、アルミニウム、亜鉛、錫、ストロンチウム、鉄、銅およびそれらの混合物からなる群から選択した金属を含む請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項11】
前記金属付加物は、亜鉛または銅の付加物からなる請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項12】
前記金属付加物は、沈降シリカ材料の重量に対し1%〜3%の量で存在する請求項8に記載の歯磨剤。
【請求項13】
ケイ酸塩を酸性化剤および金属塩と液状媒質中大気温から約130℃までの温度で反応させて反応生成物を液状媒質内に得る工程と、前記液状媒質のpHを低減させてシリカ材料を液状媒質から沈降させる工程とを備え、前記金属塩が亜鉛(II)塩化物、錫(II)塩化物、鉄(III)塩化物、銅(II)塩化物またはそれらの混合物を含む方法により調製した沈降シリカ材料。
【請求項14】
前記金属塩が、塩化亜鉛(II)、塩化錫(II)、硝酸鉄(III)、硝酸銅(II)またはそれらの混合物を含む請求項13に記載の沈降シリカ材料。
【請求項15】
前記金属塩が、塩化亜鉛(II)、硝酸銅(II)またはそれらの混合物を含む請求項13に記載の沈降シリカ材料。
【請求項16】
1〜15ミクロンの平均粒径を有し、表面の少なくとも一部に存在する金属付加物を含み、揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも35%のヘッドスペースの低減を示す沈降シリカ材料。
【請求項17】
前記揮発性の硫黄化合物(VSC)吸収試験で少なくとも50%のヘッドスペースの低減を示す請求項16に記載の沈降シリカ材料。
【請求項18】
前記金属付加物は、アルミニウム、亜鉛、錫、ストロンチウム、鉄、銅またはそれらの混合物を含む請求項16に記載の沈降シリカ材料。
【請求項19】
前記金属付加物は、亜鉛または銅の付加物を含む請求項16に記載の沈殿シリカ材料。
【請求項20】
前記金属付加物は、沈降シリカ材料の重量に対し約1%〜約3%の量で存在する請求項16に記載の沈降シリカ材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−520430(P2013−520430A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554011(P2012−554011)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2011/025141
【国際公開番号】WO2011/103226
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(501449816)ジェイ・エム・フーバー・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2011/025141
【国際公開番号】WO2011/103226
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(501449816)ジェイ・エム・フーバー・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
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