説明

古紙再生処理装置

【課題】簡易な装置構成においてタンク内での繊維の沈殿を防止できる古紙再生処理装置を提供する。
【解決手段】処理工程毎に設けた処理部を有し、複数の処理部で古紙再生処理系を構成する古紙再生処理装置において、処理部をなす白水タンク部70および排水処理タンク部60は、自己のタンクから給水対象の処理部に至る循環水経路と、受水対象の処理部から自己のタンクに至る受水経路を備え、白水タンク部70と排水処理タンク部60のうちで少なくとも一方は、循環水経路600、711、712から分岐して自己のタンクに至るリターン水経路605、715、720を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙の発生場所であるオフィス等に設置して紙を再生することができる古紙再生処理装置に関し、詳しくは処理部のタンク内を攪拌する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な製紙工場で古新聞紙等の一度使用した古紙を再生する製紙方法は、古紙パルプ工程、抄紙工程および仕上工程の各処理工程からなる。
古紙パルプ工程では、パルパーにおいて原料である古紙を水に溶解し、機械的な力や薬品を利用して紙繊維以外の異物である金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インク(染料系、顔料系)、コピートナーなどを分離、除去して後に、漂白処理、脱水、乾燥して古紙パルプを得る。
【0003】
抄紙工程では、抄紙機のワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパート、コーターパートを経て製品の紙とする。ワイヤーパートでは調製(再生)されたパルプを抄紙用の網(ワイヤー)に乗せて脱水して紙を抄き、プレスパートではワイヤーパートから出た水分を多く含んだ湿紙の水分を除去する。ドライヤーパートでは蒸気で加熱されたドライヤーに紙を通して乾燥させ、カレンダーパートではロール間に紙を通して表面の凹凸を平滑化し、コーターパートでは原紙に塗料を塗工する。
【0004】
仕上工程では、スーパーカレンダーパートではコーターパートで塗工した紙面のミクロの凹凸を平滑化して光沢を出し、カッターおよびワインダーパートでは所定の製品寸法にカットし、あるいはロールに巻き取る。
【0005】
小型製紙機においては、処理工程毎に設けた処理部を有しており、複数の処理部で古紙再生処理系を構成している。この処理部には、再生原料を離解して再生パルプを調製するパルパー部、再生パルプを貯蔵する貯蔵タンク部、再生パルプを脱墨して脱墨パルプを調製する脱墨部、脱墨パルプから湿紙を抄紙する抄紙部、湿紙を脱水乾燥させる脱水乾燥部、抄紙部から排出する白水を貯留する白水タンク部、排水を処理する排水処理タンク部がある。白水タンク部および排水処理タンク部には、受水対象の処理部から受水経路を通して自己のタンクに白水または排水が流入する。
【0006】
特許文献1には、古紙再生装置の洗浄方法およびシステムが記載されている。これは、抄紙部で脱水回収する白水を洗浄水としてパルプ製造部およびパルプ濃度調整部に循環させることにより、パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を洗浄するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−184699
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、白水タンク部や排水処理タンク部は、自己のタンクに抄紙部から排出する白水や脱墨部から排出する脱墨排水を貯留するが、白水や脱墨排水は繊維を含んでおり、自己のタンクに貯留する間に繊維が沈殿してしまう。
【0009】
このため、白水タンク部や排水処理タンク部のタンク内に滞留する上澄み水のみを再利用するとタンク内に繊維が残ってしまい、沈殿した繊維がまとまって排出されるとポンプや弁が詰まる原因となるので、定期的に繊維を除去する必要がある。
【0010】
繊維の沈殿を防止するためには攪拌装置を設ける必要がある。しかし、防水性を有する攪拌装置を設けることは装置の煩雑化とコスト増を招くことになる。
本発明は上記課題を解決するものであり、簡易な装置構成においてタンク内での繊維の沈殿を防止できる古紙再生処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の古紙再生処理装置は、処理工程毎に設けた複数の処理部を有し、複数の処理部で古紙再生処理系を構成する古紙再生処理装置において、処理部をなす白水タンク部および排水処理タンク部は、自己のタンクから給水対象の処理部に至る循環水経路と、受水対象の処理部から自己のタンクに至る受水経路を備え、白水タンク部と排水処理タンク部のうちで少なくとも一方は、循環水経路から分岐して自己のタンクに至るリターン水経路を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の古紙再生処理装置において、循環水経路はポンプを有し、リターン水経路は弁を有することを特徴とする。
本発明の古紙再生処理装置において、リターン水経路からタンクに戻るリターン水はタンク内を攪拌する攪拌手段をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、白水タンク部および排水処理タンク部は、循環水経路を通して自己のタンクから給水対象の処理部に白水もしくは排水を再利用水として供給する。このとき、白水もしくは排水の一部がリターン水経路を通してリターン水としてタンクに戻り、タンク内に流入するリターン水がタンク内の白水もしくは排水を攪拌し、繊維の沈殿を防止する。タンク内に流入するリターン水の水勢は循環水経路のポンプの吐出圧に依拠するので、確実な攪拌力を実現できる。リターン水経路の弁を開閉することで任意のときに攪拌を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における古紙再生処理装置を示すブロック図
【図2】同実施の形態における古紙再生処理装置を示す模式図
【図3】同実施の形態における濾過脱水装置を示す概略図
【図4】同実施の形態における濾過脱水装置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2において、古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成する複数の処理部を有しており、処理部にはパルパー部10、貯蔵タンク部20、脱墨部30、抄紙部40、脱水乾燥部50、排水処理タンク部60、白水タンク部70がある。
【0016】
パルパー部10は、紙片を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を調製するものであり、パルパー槽11と、パルパー槽11の内部に設けた攪拌装置12を有している。パルパー部10は第1チューブポンプ101を有する第1再生パルプ供給系102を介して貯蔵タンク部20に接続している。
【0017】
貯蔵タンク部20は、パルパー部10で得られたパルプ懸濁液を貯留する貯蔵タンク21と、貯蔵タンク21の内部に配置した攪拌装置22を有しており、第2チューブポンプ201を有する第2再生パルプ供給系202を介して脱墨部30に接続している。
【0018】
脱墨部30は、貯蔵タンク部20から送られるパルプ懸濁液を脱墨して脱墨パルプを調製するものであり、蛇行した流路をなす脱墨槽31と、脱墨槽31の下部から多数の気泡を放出する散気装置(図示省略)と、脱墨槽31を囲む受泡槽32を備えている。脱墨部30は第3チューブポンプ301を有する脱墨パルプ供給系302を介して抄紙部40に接続している。
【0019】
抄紙部40は、脱墨されたパルプ懸濁液から湿紙を抄紙するものであり、複数のローラ41に巻回されたメッシュ状のベルトからなる抄紙ワイヤー42と、脱墨されたパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー42上に供給するヘッドボックス43を有している。
【0020】
脱水乾燥部50は、湿紙を脱水する脱水部51と脱水した湿紙を乾燥させる乾燥部55からなる。脱水部51は、複数のローラ52に巻回したフェルトの吸水ベルト53からなり、湿紙が抄紙ワイヤー42から吸水ベルト53に転移し、吸水ベルト53が湿紙を吸収脱水する。乾燥部55は、加熱装置を内蔵した乾燥ローラ56と複数のローラ57とに巻回した金属製の搬送ベルト58からなる。
【0021】
排水処理タンク部60は、脱墨部30から流入する脱墨廃液を処理するものであり、濾過脱水装置61と、濾過処理装置62と、排水循環タンク63と、ごみ箱64とを備えている。
【0022】
濾過脱水装置61は、フィルター(メッシュベルト)で繊維、トナーを除去するものであり、受泡槽32から脱墨廃液系303が接続している。その詳細は後述する。
濾過処理装置62は、凝集処理工程を含み、薬剤の添加により中性化して公共下水の下水配管へ排水可能な水質にまで処理するものであり、凝集処理槽65と凝集処理槽65の内部に配置した凝集攪拌装置66を有している。
【0023】
凝集攪拌装置66の攪拌羽根の回転数は排水を泡立てない程度、すなわちキャビテーションが起こらない程度とし、例えば攪拌羽根の直径が315mmで、凝集処理槽65容量が15Lの場合には約60rpmとする。攪拌羽根は水面近くに設けており、その結果、沈殿物が攪拌羽根に絡むことがない。
【0024】
凝集処理槽65は電動ボール弁651を有する凝集廃液供給系652を介して濾過脱水装置61に接続しており、凝集処理排出弁653を有する凝集処理排出系654が凝集処理槽65に接続している。
【0025】
排水処理タンク部60には、自己のタンクである排水循環タンク63から給水対象の処理部である脱墨部30に至る循環水経路をなす第1排水返送系600と、受水対象の処理部である脱墨部30の脱墨槽31、濾過脱水装置61から自己のタンクである排水循環タンク63に至る受水経路をなす脱墨排水系304、濾過排水系305が接続しており、脱墨排水系304は脱墨排水弁306を有している。
【0026】
第1排水返送系600は排水ポンプ602および排水第1弁603を有し、先端が脱墨部30のシャワーヘッド307に接続しており、排水ポンプ602の下流側で第1排水返送系600から分岐する第2排水返送系601が濾過処理装置62に排水第2弁604を介して接続している。また、第1排水返送系600は排水ポンプ602の下流側で第1排水返送系600から分岐する排水リターン系605がリターン水経路として排水循環タンク63に排水第3弁606を介して接続するとともに、排水第3弁606の上流側で排水リターン系605から分岐するワイヤー清掃用水系607が排水第4弁608を介して濾過脱水装置61に接続している。ワイヤー清掃用水系607は後述するメッシュベルト612の洗浄用水を供給するものである。
【0027】
濾過処理装置62は凝集剤を貯留する凝集剤槽660を有し、凝集剤槽660は凝集剤供給ポンプ661を有する凝集剤供給系662を介して凝集処理槽65に接続しており、第2排水返送系601に介装した透過センサー等の濁度計測装置663が凝集剤供給ポンプ661に接続している。
【0028】
白水タンク部70は、自己のタンクである白水タンク701から給水対象の処理部であるパルパー部10および脱墨部30に至る循環水経路をなす第1白水返送系711、第2白水返送系712が接続し、受水対象の処理部である抄紙部40および脱水乾燥部50から自己のタンクである白水タンク701に至る受水経路をなし、自然落下による収集を行なう第1白水排水系401と第2白水排水系501が接続している。
【0029】
第1白水返送系711は、白水第1ポンプ713および白水第1弁714を有し、白水第1ポンプ713の下流側で分岐する第1白水リターン系715が白水第2弁716を介してリターン水経路として白水タンク701に接続している。
【0030】
脱墨部30に希釈水717を供給する第2白水返送系712は、白水第2ポンプ718および白水第3弁719を有し、第2チューブポンプ201の下流側で第2再生パルプ供給系202に接続しており、白水第2ポンプ718の下流側で分岐する第2白水リターン系720がリターン水経路として白水タンク701に白水第4弁721を介して接続し、白水第2ポンプ718の下流側で分岐する第3白水返送系722が白水第5弁723を介して脱墨部30に接続している。
【0031】
上水を供給する給水系80は元弁81の下流側で、パルパー部10に接続するパルパー給水系801と、抄紙部40に接続する抄紙部給水系802と、脱水乾燥部50に接続する脱水乾燥部給水系803とに分岐し、パルパー給水系801がさらに貯蔵タンク部20に接続する貯蔵タンク給水系804に分岐している。
【0032】
パルパー給水系801は給水第1弁805および給水第2弁806を有して離解用水およびメンテナンス用水を供給するものであり、貯蔵タンク給水系804は第1弁805と第2弁806の間でパルパー給水系801から分岐して給水第3弁807を有し、メンテナンス用水を供給するものであり、抄紙部給水系802は給水第4弁808を有して抄紙ワイヤー42の洗浄用水を供給するものであり、脱水乾燥部給水系803は給水第5弁809を有して吸水ベルト53の馴染用水および洗浄用水を供給するものである。パルパー給水系801には給水第1弁805および給水第2弁806の間に第1白水返送系711が接続している。
【0033】
溢れ検知タンク91にはパルパー槽11のパルパーオーバーフロー系911、貯蔵タンク21の貯蔵タンクオーバーフロー系912、濾過処理装置62の濾過処理装置オーバーフロー系913が接続している。
【0034】
図3から図4に示すように、排水循環タンク63の上方に配置した濾過脱水装置61は、複数の回転ローラ611に掛け渡された無端状のメッシュベルト612を備えており、メッシュベルト612の上方には脱墨廃液系303および凝集廃液供給系652に接続する脱墨廃液供給部613と、複数の回転ローラ611のうちの一つに対向配置した圧搾ローラ614と、圧搾ローラ614に転接する転写ローラ615と、転写ローラ615の外周面に摺接するスクレーパー616と、圧搾ローラ614に対向する回転ローラ611に所定の圧力で転接し、回転ローラ611の吸水部材(図示省略)に吸水された水を絞る絞り用ローラ610を備えている。
【0035】
圧搾ローラ614は両端をばね(図示省略)で回転ローラ611に向けて付勢しており、通常運転において生じる厚めの廃繊維層であっても、脱墨槽31のメンテナンス時に生じる薄めの廃繊維層であっても確実に脱水することができる。このばねによる付勢力が作用しない場合には、厚い廃繊維層のときに圧搾ローラ614が退避できないので、詰りが発生する恐れがある。
【0036】
メッシュベルト612の上方であって、脱墨廃液供給部613よりもメッシュベルト612の走行方向の下流側位置には濾滓掻寄部617が設けてある。濾滓掻寄部617は、メッシュベルト612の上面に接触して濾滓を所定量ずつ掻き寄せるものであり、回転軸618と、回転軸618の外周面に突設された2枚の掻き寄せ羽根619と、回転軸618を回転駆動する掻寄駆動部620を備えている。
【0037】
2枚の掻き寄せ羽根619は、回転軸618から放射状に設けており、各掻き寄せ羽根619は略矩形薄板状をなして折れ曲がり部621を有し、その先端部分がPET,PP,PE等の合成樹脂またはアルミ、ステンレス等の金属薄板といった可撓性又は弾性を有する素材からなり、各掻き寄せ羽根619が回転に伴ってメッシュベルト612の上面に所定の回転速度及び接触圧力で接触する。
【0038】
掻き寄せ羽根619は折れ曲がり部621を有することで先端縁線を回転軸618の軸心に対してねじれの位置に配置している。このように、掻き寄せ羽根619の先端縁線と回転軸618の軸心との間に角度を設けることで、掻き寄せ羽根619は一度にメッシュベルト612に当接せず、掻き寄せ羽根619は一端側でメッシュベルト612に当接し、その後に他端側に向けて漸次にメッシュベルト612と当接する。この結果、掻き寄せ羽根619とメッシュベルト612との擦れ音が小さくなり、メッシュベルト612との接触により撓んだ状態の掻き寄せ羽根619が徐々にメッシュベルト612から離間し、掻き寄せ羽根619の撓みが一気に開放されないので、水撥ねを抑制することができる。
【0039】
メッシュベルト612は、脱墨廃液に含有される古紙パルプを濾過可能な網目を有し、網目が10メッシュ〜50メッシュの範囲にあり、20メッシュ〜30メッシュが好ましい。網目を10メッシュ以上にすることで、網目を通過する古紙パルプの量を低減可能であり、50メッシュ以下にすることで古紙パルプ等による網目の目詰まりが生じにくくなり濾過効率を向上させることができる。
【0040】
圧搾ローラ614は、対向する回転ローラ611との間でメッシュベルト612を扶持して脱墨廃液をメッシュベルト612で濾過するとともに、メッシュベルト612に残存している濾滓を圧搾する。圧搾により生じた排水は、圧搾ローラ614に対向する回転ローラ611の吸水部材(図示省略)に吸水される。吸水部材に吸水された排水は、絞り用ローラ610の押圧力を受けて吸水部材から絞り出され、濾過排水系305を通して排水循環タンク63に流入する。圧搾ローラ614の外周面はメッシュベルト612の表面と比較して凹凸の少ない平滑状をなしており、これによりメッシュベルト612上の濾滓の圧搾時に濾滓をメッシュベルト612から圧搾ローラ614へ転写する。
【0041】
そして、圧搾ローラ614に転写した濾滓をさらに転写ローラ615に転写し、スクレーパー616により濾滓を転写ローラ615から剥離させ、ごみ箱64に排出する。
脱墨槽31のメンテナンス時には脱墨廃液系303を通して濾過脱水装置61に流入する排水の量が増加するので、メッシュベルト612の搬送速度を通常時よりも速くし、処理能力を向上させる。
【0042】
パルパー部10は、紙片を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を調製し、パルプ懸濁液を第1チューブポンプにより第1再生パルプ供給系102を通して貯蔵タンク部20に供給する。貯蔵タンク部20は貯蔵タンク21に貯留したパルプ懸濁液を攪拌装置22で攪拌しながら、第2チューブポンプ201により第2再生パルプ供給系202を通して脱墨部30に供給する。
【0043】
脱墨部30は、蛇行した流路をなす脱墨槽31でパルプ懸濁液を脱墨して脱墨パルプを調製し、脱墨パルプを第3チューブポンプ301により脱墨パルプ供給系302を通して抄紙部40に供給する。
【0044】
抄紙部40はヘッドボックス43から脱墨パルプを抄紙ワイヤー42上に供給して湿紙を抄紙する。脱水乾燥部50の脱水部51は湿紙を抄紙ワイヤー42から吸水ベルト53に転移させて吸収脱水し、乾燥部55は吸水ベルト53から湿紙を搬送ベルト58に転移させて乾燥ローラ56の加熱装置で乾燥させる。
【0045】
排水処理タンク部60は、濾過脱水装置61のメッシュベルト612で脱墨部30から流入する脱墨廃液中の繊維、インク、トナーを除去し、濾過処理装置62で凝集処理を行う。凝集処理槽65の凝集廃液は凝集廃液供給系652を通して濾過脱水装置61に供給する。
【0046】
排水処理タンク部60では、脱墨槽31から脱墨排水系304を通して脱墨廃液が排水循環タンク63に流入し、濾過脱水装置61から濾過排水系305を通して濾過排水が流入する。また、排水を排水循環タンク63から第1排水返送系600を通して脱墨部30のシャワーヘッド307に供給し、あるいは排水を第2排水返送系601を通して濾過処理装置62に供給する。
【0047】
そして、排水の一部が排水リターン系605を通して排水循環タンク63に戻り、タンク内に流入するリターン水がタンク内の排水を攪拌し、繊維の沈殿を防止する。タンク内に流入するリターン水の水勢は排水ポンプ602の吐出圧に依拠するので、確実な攪拌力を実現できる。また、排水第3弁606の開閉により任意のときに攪拌を行なうことができる。
【0048】
濾過処理装置62は、凝集処理槽65へ流入する排水の濁度を濁度計測装置663により検知し、検知した排水の濁度に応じて凝集剤供給ポンプ661を制御して凝集剤槽660から凝集処理槽65に供給する凝集剤の量を調整する。凝集攪拌装置66で排水を攪拌する状態で凝集剤を投入し、凝集反応を進める。その後、凝集攪拌装置66を一定時間にわたって逆回転させた後に停止し、凝集したごみ(繊維)を沈殿させる。
【0049】
白水タンク部70では、白水が抄紙部40から第1白水排水系401を通して流入し、脱水乾燥部50から第2白水排水系501を通して白水が流入する。また、白水を白水タンク701から第1白水返送系711を通してパルパー部10に供給し、第2白水返送系712を通して白水を脱墨部30に供給する。
【0050】
そして、白水の一部は、第1白水リターン系715および第2白水リターン系720を通して白水タンク701に戻り、タンク内に流入するリターン水がタンク内の排水を攪拌し、繊維の沈殿を防止する。タンク内に流入するリターン水の水勢は白水第1ポンプ713および白水第2ポンプ718の吐出圧に依拠するので、確実な攪拌力を実現できる。また、白水第2弁716および白水第4弁721の開閉により任意のときに攪拌を行なうことができる。
【0051】
なお、前述の実施の形態では、白水のリターン水経路として第1白水リターン系と第2白水リターン系とを備えていたが、いずれか一方の白水リターン系だけを設けるようにしても良い。また、前述の実施の形態では、排水リターン系605には排水第3弁606を、第1白水リターン系715には白水第2弁716を、第2白水リターン系720には白水第4弁721を備えているが、各リターン系に弁を必ずしも設ける必要はない。各リターン系に弁を設けない場合には、各リターン系の排水ポンプ602、白水第1ポンプ713、白水第2ポンプ718の作動時にのみ、各リターン系を通してリターン水がタンク内に流入し、排水ポンプ602、白水第1ポンプ713、白水第2ポンプ718の非作動時にはリターン水がタンク内に流入しない。
【0052】
各リターン系は、各タンクにおけるリターン水の流入口がタンクの底面近傍で、下向き又は横向きに開口することが好ましい。下向きに流入口を設けた場合には、流入したリターン水は、まずタンク底面に当たった後に、横向き、すなわち底面に沿ってタンク底面付近を流れ、タンク底面付近を流れたリターン水はタンク側面に当たって上向きに流れを変え、次にリターン水は水面付近で横向きに流れを変え、最後にリターン水は流入口に向けて下向きに流れを変えて、タンク内に上下方向に旋回する対流を発生させる。
【0053】
横向きに流入口を設けた場合には、流入したリターン水は、タンク底面に沿ってタンク底面付近を流れ、まずタンク側面に当たった後に、タンク側面に沿って上向きに流れを変える。その後は下向きに流入口を設けた場合と同様に、タンク形状に沿って流れる対流を発生させる。
【0054】
このように流入口を、タンク底面近傍において下向き又は横向きに設けることにより、対流を生じさせることができ、タンク内の排水を攪拌することができる。なお、リターン水の流入口をタンク底面近傍において上向きに設けることも可能ではあるが、流入するリターン水の吐出圧が強いと、水面よりも高く噴出してしまう虞があるため、吐出圧を弱めるなどの配慮が必要である。
【符号の説明】
【0055】
10 パルパー部
11 パルパー槽
12 攪拌装置
20 貯蔵タンク部
21 貯蔵タンク
22 攪拌装置
30 脱墨部
31 脱墨槽
32 受泡槽
40 抄紙部
41 ローラ
42 抄紙ワイヤー
43 ヘッドボックス
50 脱水乾燥部
51 脱水部
55 乾燥部
52 ローラ
53 吸水ベルト
56 乾燥ローラ
57 ローラ
58 搬送ベルト
60 排水処理タンク部
61 濾過脱水装置
62 濾過処理装置
63 排水循環タンク
64 ごみ箱
65 凝集処理槽
66 凝集攪拌装置
70 白水タンク部
80 給水系
81 元弁
91 溢れ検知タンク
101 第1チューブポンプ
102 第1再生パルプ供給系
201 第2チューブポンプ
202 第2再生パルプ供給系
301 第3チューブポンプ
302 脱墨パルプ供給系
303 脱墨廃液系
304 脱墨排水系
305 濾過排水系
306 脱墨排水弁
307 シャワーヘッド
401 第1白水排水系
501 第2白水排水系
600 第1排水返送系
601 第2排水返送系
602 排水ポンプ
603 排水第1弁
604 排水第2弁
605 排水リターン系
606 排水第3弁
607 ワイヤー清掃用水系
608 排水第4弁
610 絞り用ローラ
611 回転ローラ
612 メッシュベルト
613 脱墨廃液供給部
614 圧搾ローラ
615 転写ローラ
616 スクレーパー
617 濾滓掻寄部
618 回転軸
619 掻き寄せ羽根
620 掻寄駆動部
651 電動ボール弁
652 凝集廃液供給系
653 凝集処理排出弁
654 凝集処理排出系
660 凝集剤槽
661 凝集剤供給ポンプ
662 凝集剤供給系
663 濁度計測装置
701 白水タンク
711 第1白水返送系
712 第2白水返送系
713 白水第1ポンプ
714 白水第1弁
715 第1白水リターン系
716 白水第2弁
717 希釈水
718 白水第2ポンプ
719 白水第3弁
720 第2白水リターン系
721 白水第4弁
722 第3白水返送系
723 白水第5弁
801 パルパー給水系
802 抄紙部給水系
803 脱水乾燥部給水系
804 貯蔵タンク給水系
805 給水第1弁
806 給水第2弁
807 給水第3弁
808 給水第4弁
809 給水第5弁
911 パルパーオーバーフロー系
912 貯蔵タンクオーバーフロー系
913 濾過処理装置オーバーフロー系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理工程毎に設けた複数の処理部を有し、複数の処理部で古紙再生処理系を構成する古紙再生処理装置において、処理部をなす白水タンク部および排水処理タンク部は、自己のタンクから給水対象の処理部に至る循環水経路と、受水対象の処理部から自己のタンクに至る受水経路を備え、白水タンク部と排水処理タンク部のうちで少なくとも一方は、循環水経路から分岐して自己のタンクに至るリターン水経路を有することを特徴とする古紙再生処理装置。
【請求項2】
循環水経路はポンプを有し、リターン水経路は弁を有することを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【請求項3】
リターン水経路からタンクに戻るリターン水はタンク内を攪拌する攪拌手段をなすことを特徴とする請求項1または2に記載の古紙再生処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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