説明

古紙再生装置の洗浄方法およびシステム

【課題】小規模店舗や一般家庭などの室内に設置可能であり、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができる什器サイズの古紙再生装置を実現する洗浄技術を提供する。
【解決手段】洗浄システムCSは、抄紙部4で脱水回収する白水Wを、洗浄水としてパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3に循環させることにより、これら上記パルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3を洗浄する。これにより、装置構成部2、3の各所に残っている古紙パルプUPPを有効に洗浄除去することができ、残存する古紙パルプUPPが乾燥して、この乾燥した古紙パルプUPPによる各所の弁やポンプ等の動作不良が発生するのを未然に防止するとともに、残存パルプUPPによる濃度調整誤差の発生を未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は古紙再生装置の洗浄方法およびシステムに関し、さらに詳細には、古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙を廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する什器サイズの小型古紙再生装置において、装置構成部を洗浄処理する洗浄技術に関する。
【背景技術】
【0002】
官公庁や一般企業等の各種事業所の日常業務はもちろんのこと、一般家庭の日常生活においても、使用済みや不要となった各種書類いわゆる古紙が発生している。これらの古紙は、ゴミとして廃棄されたり、焼却されたりして、廃棄処分されることになる。
【0003】
一方、限りある地球資源の有効利用という機運の世界的な高まりのなかで、近時、廃棄処分されてきた古紙を、廃棄処分することなく再生利用するための技術が種々開発されている。
【0004】
これらの古紙再生技術は、ほとんどが製紙業界において採用実施されており、その古紙再生設備には、通常の製紙設備同様、再生紙の高速大量生産と高品質化を目的として、広大な敷地、莫大な投資、および紙抄きに使われる大量の水や薬品などが必要とされる。
【0005】
また、古紙再生にあっては多くの人手による古紙回収作業が必要であり、しかも、この古紙回収には、多人数による異物混入、古紙再生紙への知識不足による分別不良、忌避品の除去不足などの問題があり、せっかく古紙を回収しても、これらの古紙を100%再生紙として再生するには、専門業者による再度の選別や洗浄等の作業を余儀なくされている。さらに、極秘文書などの古紙は、機密上の問題から古紙回収には簡単に出されることはなく、焼却処分されてしまうため、リサイクル化が進んでいない。
【0006】
これらの古紙回収の問題を解決するには、古紙発生元において自前で再生利用することができるような技術の開発が有効であり、この観点から特許文献1に記載されるような装置が開発提案されている。
【0007】
この装置は、少量の水を加えながら古紙を少しずつ引きちぎり細かく裁断する方式の湿式シュレッダであり、このシュレッダにより裁断処理された裁断屑は社外の古紙再生工場等へ送られて、再生紙の原料として再利用されている。
【0008】
この湿式シュレッダによる裁断屑はパルプ化されて紙片の形態を留めていないので、高い機密性を保持することができ、極秘文書などの古紙のリサイクル化を促進するという効果が期待できる。
【0009】
しかしながら、この湿式シュレッダは、かなり大型の装置で、大きな設置スペースを必要とすることから、多量の古紙が発生する大きな事業所等においてのみ使用可能なものであり、大きな設置スペースがなく、発生する古紙も少量であるような小規模店舗や個人事務所、あるいは一般家庭には不向きないしは使用不可能であった。しかも、裁断処理された裁断屑は再生紙の原料として再利用されるといっても、古紙再生工場等の大規模工場でのみ処理可能なもので、紙再生のためのコストも高くつき、不経済であった。
【0010】
【特許文献1】特開平6−134331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などの室内にも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる什器サイズの古紙再生装置を実現する洗浄技術を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的とするところは、上記洗浄技術を導入した古紙再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するため、本発明の古紙再生装置の洗浄方法は、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部とを備えてなる古紙再生装置において、この古紙再生装置の装置構成部を洗浄処理する洗浄方法であって、上記抄紙部で脱水回収する水を、洗浄水として少なくとも上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に循環させることにより、これら上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を洗浄することを特徴とすることを特徴とする。
【0014】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記洗浄水を上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に複数回循環させる。
【0015】
(2)上記洗浄に使用した使用済みの洗浄水を上記抄紙部により抄紙することにより、洗浄水を浄化処理する。
【0016】
(3)上記抄紙部で脱水回収する水による循環洗浄を、各古紙再生運転の終了毎に行う。
【0017】
(4)上記抄紙部で脱水回収する水による循環洗浄を、一日の古紙再生装置の古紙再生運転の終了後に行う。
【0018】
また、本発明の古紙再生装置の洗浄システムは、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部とを備えてなる古紙再生装置において、この古紙再生装置の装置構成部を洗浄処理する洗浄システムであって、上記抄紙部で脱水回収される水が上記装置構成部に帰還利用される水循環方式とされるとともに、上記装置構成部が上記水循環方式を利用して洗浄処理される構成とされていることを特徴とする。
【0019】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記抄紙部で脱水回収される水が、少なくとも上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に循環することにより、これら上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部が洗浄される構成とされる。
【0020】
(2)上記パルプ製造部に洗浄水を供給する洗浄水給水源と、この洗浄水給水源から上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を介して上記給水源に帰還する洗浄水循環経路と、この洗浄水循環経路に設けられ、洗浄水を洗浄水循環経路に循環させる循環ポンプと、これら洗浄水給水源と循環ポンプを連動制御する洗浄制御部とを備えてなり、上記洗浄水給水源は、上記抄紙部において濾過脱水される白水を回収する白水回収槽と、上記パルプ製造部に上記白水回収槽の白水を洗浄水として供給する給水ポンプとを備える。
【0021】
(3)上記洗浄制御部は、請求項1から5のいずれか一つの洗浄方法を実行するように上記洗浄水給水源と循環ポンプを連動制御する構成とされる。
【0022】
(4)上記洗浄制御部は、上記洗浄水給水源および循環ポンプの駆動に連動して、洗浄処理される上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を駆動制御する構成とされる。
【0023】
さらに、本発明の古紙再生装置は、什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙工程部と、これらパルプ製造部および抄紙工程部を連動して駆動制御する制御部を備えるとともに、これら装置構成部を洗浄処理する上記洗浄システムを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の洗浄方法によれば、古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部とを備えてなる古紙再生装置において、上記抄紙部で脱水回収する水を、洗浄水として少なくとも上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に循環させることにより、これら上記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を洗浄するようにしたから、装置構成部の各所に残っている古紙パルプを洗浄除去することができ、残存する古紙パルプが乾燥して、この乾燥した古紙パルプによる各所の弁やポンプ等の動作不良が発生するのを未然に防止するとともに、残存パルプによる濃度調整誤差の発生を未然に防止することができる。
【0025】
また、本発明の洗浄システムを備える本発明の古紙再生装置にあっては、以下に列挙するような優れた特有の効果が得られ、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる古紙再生装置を提供することができる。
【0026】
(1)什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部(上記抄紙装置)を備えてなる小型簡素な構造の古紙再生装置が実現し、これにより、古紙を廃棄処分することなく、古紙発生元において自前で再生利用することができ、古紙の廃棄を軽減して、ゴミ問題解決に役立つばかりか、限りある資源を有効利用することができる。
【0027】
特に、この種の古紙は機密上の問題からリサイクル化が進んでおらず、上記のように古紙発生元において自前で再生利用することができることにより、資源有効利用の効果は顕著である。
【0028】
(2)また、古紙発生場所に、製紙工場や古紙再生工場の大規模な設備と同様な機能を有するコンパクトな古紙再生設備が設置されることにより、小規模店舗や一般家庭などにおいても、連続して紙の循環使用を可能にすることができ、さらには、古紙の回収廃棄に要する輸送費や焼却費等の各種経費も不要となって、経済的である。
【0029】
(3)装置構造がコンパクトで、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であり、この観点からも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。
【0030】
(4)古紙が発生する場所に配置されて、発生した古紙が離解処理されて古紙パルプとされるとともに、この古紙パルプが、上記抄紙部により抄紙されて再生紙とされ、これにより、上記古紙が、その発生場所内において再生紙として循環使用される構成とされていることにより、古紙に記載された文字や線図等の各種情報が古紙の発生場所外へ拡散することが全くなく、この点からも、機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができ、高い機密性を保持することができ、また資源の有効利用を図ることもできる。
【0031】
すなわち、本発明の抄紙装置を抄紙部として備える古紙再生装置を使用することにより、その使用に係る一定の系(例えば、学校、病院、市役所、法律事務所、特許事務所、一般家庭等)の外へ上記各種情報が拡散するおそれが全くなくなる。
【0032】
換言すれば、例えば従来周知のシュレッダの場合、古紙が裁断されて小片となり、そこに記載された文字や線図が判読不能となったとしても、裁断された紙片は焼却場等で廃棄処分されることになるため、上記系外への拡散を完全に防止することはできない。この点に関して、上記系外への拡散を防止する目的で、系内の倉庫に保管するという方法も考えられるが、反面、そのような保管場所の確保が必要となり、対象となる紙も一回の使用のみでは、資源の有効利用という観点から効率が悪い。
【0033】
これに対して、本発明の古紙再生装置によれば、古紙に記載される各種情報がその使用に係る系外へと拡散しまうことは全くなく、しかも、資源を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【0035】
実施形態1
本発明に係る古紙再生装置が図1〜図10に示されており、この古紙再生装置1は、具体的には古紙が発生する場所に配置されて、発生する古紙UPを廃棄処分することなく、その場で再利用可能な紙に再生処理する装置であって、古紙UPとしては、官公庁・一般企業の機密文書や一般家庭の私的文書等で、使用済みや不要となった書類が該当する。
【0036】
古紙再生装置1は、図10に示すような什器サイズ、つまり、事務所内に配置使用される書棚、ロッカー、事務机、複写機、パーソナルコンピュータなどの什器類と同等な小型形状寸法を備えるもので、図1に示すように、パルプ製造部2、パルプ濃度調整部3、抄紙部4および制御部5を主要部として構成さるとともに、上記装置構成部、具体的にはパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3を洗浄処理する洗浄システムCSを備えている。上記パルプ製造部2、パルプ濃度調整部3、抄紙部4、制御部5および洗浄システムCSは、装置ケース6内に装置収容されてなるコンパクト設計とされるとともに、上記パルプ製造部2および抄紙部4の駆動源が、一般家庭用交流電源により駆動する電動駆動源とされている。
【0037】
装置ケース6は、上述したように什器サイズのもので、具体的な形状寸法は目的や用途に応じて適宜設計される。図示の実施形態の装置ケース6は、事務所等に配置使用される複写機程度の形状寸法を有するほぼ直方体形状の箱体とされ、その底部には移動手段としてキャスタ7、7、…が設けられて、設置床面上を方向自在に移動可能とされている。また、装置ケース6の天板部には、古紙UPを投入するための投入口6aが設けられるとともに、側部には、再生紙RP、RP、…を受け取るための再生紙受取トレー8が取外し可能に設けられている。この再生紙受取トレー8には、装置ケース6の排出口6bが臨んで設けられており、この排出口6bから排出される再生紙RP、RP、…が順次積層状に受け取られる。
【0038】
パルプ製造部2は、古紙UPを離解し叩解して古紙パルプを製造する工程部位で、古紙UPを攪拌破砕して離解する離解部10と、この離解部10で離解された古紙UPを叩解する叩解部11とからなり、図示の実施形態においては、これら離解部10および叩解部11が古紙パルプUPを所定時間循環させる循環式とされている。
【0039】
離解部10は、古紙UPを攪拌する攪拌装置12と、この攪拌装置12に水を供給する給水部13とを備えてなる。
【0040】
攪拌装置12は、攪拌槽15、攪拌インペラ16および駆動モータ17を備えてなる。攪拌槽15は、図2に示すように、その天井壁に、装置ケース6の外部に対して開閉可能な構造を有する投入口6aが設けられるとともに、その内部に、上記攪拌インペラ16が回転可能に設けられている。攪拌槽15の内容積は、一度に攪拌処理すべき古紙UPの枚数に応じて設定される。図示の実施形態においては、約5リットルの水を加えて、A4判のPPC(plain paper copier)古紙UPを25枚程度(約100g)一度に攪拌処理(バッチ処理)できる容積を有する攪拌槽15とされている。
【0041】
また、攪拌インペラ16は、攪拌槽15の傾斜した底面部位に設けられるとともに、駆動モータ17の回転軸17aに駆動連結されて、駆動モータ17により連続的にまたは間欠的に正逆回転駆動される。駆動モータ17としては具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ17が制御部5に電気的に接続されている。
【0042】
このように攪拌インペラ16が正逆回転されることにより、古紙UPがA4判の大きさのままで攪拌される場合でも、攪拌インペラ16の正回転後の逆回転による水の噴流作用により、古紙UPが有効に分散させられる結果、攪拌インペラ16に絡みつくのが有効に防止されて、これにより、古紙UP、UP、…の均一な離解・叩解が実現する。
【0043】
給水部13は、図1に示すように、白水回収槽20および給水ポンプ21を備えてなる。白水回収槽20は、後述するように、抄紙部4において濾過脱水される白水W(抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水)を回収するもので、この白水回収槽20に回収された白水Wが、給水ポンプ21により、上記攪拌装置12の攪拌槽15に攪拌用の水として供給される。
【0044】
また、この給水部13は、後述するように、パルプ濃度調整部3の濃度調整用給水部(給水手段)としての機能に加え、洗浄システムCSの洗浄水供給源としての機能も兼備し、上記給水ポンプ21が上記洗浄システムCSの給水ポンプとして機能するとともに、上記白水回収槽20内にはパルプ濃度調整部3の濃度調整槽26に濃度調整用の水を供給する濃度調整用給水ポンプ27を備えている。28および29は、白水回収槽20内に設けられた下限水位用フロートスイッチと上限水位用フロートスイッチをそれぞれ示している。
【0045】
給水部13の給水源は、白水回収槽20に回収される抄紙部4で脱水された白水Wであり、換言すれば、抄紙部4で脱水回収される白水Wは、すべて古紙再生装置1の装置構成部、具体的には上記パルプ製造部2、パルプ濃度調整部3および洗浄システムCSで帰還利用される水循環方式とされている。
【0046】
そして、攪拌装置12において、装置ケース6の投入開口つまり投入口6aから攪拌槽15内に投入された古紙UP、UP、…は、駆動モータ17による攪拌インペラ16の正転・逆転動作により、給水部13から供給された水Wの中で所定時間(図示の場合は3分〜5分間)だけ攪拌され、これにより、離解・叩解されて、古紙パルプUPPとなる。
【0047】
叩解部11は、少なくとも一台の叩解機を備え、図示の実施形態においては一台の叩解機30を備えてなる。
【0048】
叩解機30は、上記離解部10で離解された古紙UPを加圧叩解するとともに、古紙UP上の文字、図形等を形成するインキ類を磨砕微細化するものである。
【0049】
叩解機30は、図3に示すように、微小な叩解隙間をもって対向配置されるとともに、相対的に移動する複数(図示の場合は二つ)の叩解部材31、32を主要部として構成され、具体的には、離解部10の攪拌槽15に連通可能な叩解槽33と、この叩解槽33内に相対的に移動可能に設けられた上記叩解部材31、32と、これら叩解部材31、32を相対的に移動させる駆動源34とを備えてなる。
【0050】
図示の叩解機30においては、具体的には図示しないが、上記叩解部材31、32が相対的に回転する回円盤状の形態とされ、上側の叩解部材31が固定側とされるとともに、下側の叩解部材32が回転側とされてなる。
【0051】
叩解槽33は、上記一対の叩解部材31、32を収納可能な密閉型円筒形状とされ、上側槽33aと下側槽33bが相互に螺合結合されてなる上下分割構造を備える。この叩解槽33は、上側槽33aの天部中央部に供給口35が開設されるとともに、下側槽33bの円筒側部に排出口36が開設されており、これら供給口35および排出口36は、それぞれ図示しない配管を介して、上記離解部10の攪拌槽15に連通可能に接続されている。なお、具体的には図示しないが、上記供給口35が上記攪拌槽15の底部位置に連通可能とされるとともに、上記排出口36が上記攪拌槽15の上部位置に連通可能とされている。
【0052】
上側の固定側叩解部材31は、上記上側槽33aの天部内側面に適宜の固定手段により固定的に設けられており、この固定側叩解部材31に対して、下側の回転側叩解部材32が微小な叩解隙間Aをもって同心状にかつ回転可能に対向配置されている。
【0053】
この回転側叩解部材32は、回転基台38上に一体的に設けられるとともに、この回転基台38の回転支軸38aが、上記叩解槽33の底部の底部中央の開口37を介して、叩解槽33の外部へ臨み、回転駆動源である駆動モータ34の回転軸34aに直接取り付け固定されて、ダイレクトモータ構造とされている。この駆動モータ34としては具体的には電動モータが使用され、この駆動モータ34が制御部5に電気的に接続されている。
【0054】
上記微小な叩解隙間Aを形成する両叩解部材31、32の対向面31a、32a同士は協働して叩解作用面を形成する。これら対向する叩解作用面31a、32aは、多数の砥粒が結合材により結合されてなる砥石面の形態とされ、また、両叩解作用面31a、32aは、図3に示すように、その径寸法が互いの対向方向へ連続的に大きくなるテーパ面形状とされて、その間に両円錐形状の叩解隙間Aが形成される。
【0055】
また、上記固定側叩解部材31の叩解作用面31aの中心部位には、叩解槽33の供給口35に同軸状に連通する入口39が形成されるとともに、両叩解部材31、32の叩解作用面31a、32aの外周縁部31b、32b間に形成される環状隙間40が叩解槽33の排出口36に連通する出口とされている。
【0056】
また、これに関連して、回転側叩解部材32の叩解作用面32aには、複数の案内リブ41、41、…が周方向へ等間隔をもって設けられるとともに、回転側叩解部材32を支持する回転基台38の外周には、複数のブレード42、42、…が周方向へ所定間隔をもって設けられている。
【0057】
回転側叩解部材32の回転により、上記複数の案内リブ41、41、…は、上記入口39から叩解隙間Aに流入する古紙パルプUPPを上記出口40へ案内する作用をなし、また、上記複数のブレード42、42、…は、この出口40から排出される古紙パルプUPPを、遠心力で上記叩解槽33の排出口36へ向けて押出すポンプ作用をなす。
【0058】
上記叩解隙間Aの間隙寸法は、0.05mm〜0.8mm程度に設定されている。なお、この叩解隙間Aの間隙寸法は、叩解槽33の上側槽33aと下側槽33bを相対的に回転操作して、それらの螺合部分を螺進退させることで、微調整可能とされている。このように、叩解隙間Aの間隙寸法が目的に応じて微調整可能とされることにより、上記叩解作用面31a、32aの協働作用には、装置機械構造の強度と駆動力に応じた高い圧力と摺動力が得られる。また、叩解隙間Aの間隙寸法を調整することにより、叩解部11の叩解速度(叩解時間)を適宜調整することも可能である。
【0059】
しかして、駆動モータ34により、回転側叩解部材32が固定側叩解部材31に対して回転駆動された状態において、供給ポンプ18(図4参照)上記離解部10の攪拌槽15から叩解槽33の供給口35へ供給される古紙パルプUPPは、上記入口39から叩解隙間Aに流入して、この叩解隙間Aを通過しながら、相対的に回転する叩解作用面31a、32aによる加圧叩解作用を受けるとともに、古紙UP上の文字、図形等を形成するインキ類が磨砕微細化され、この後、上記出口40から叩解槽33の排出口36を介して、再び上記攪拌槽15へ還流される(図3における矢符で示される流通経路を参照)。
【0060】
なお、上記叩解槽33の供給口35および排出口36は、開閉手段により開閉可能とされている。この開閉手段の具体的構造は図示しないが、例えば、従来公知の手動または自動の開閉弁が設けられてなる。これら開閉弁は、叩解部11が運転停止時には上記供給口35および排出口36を閉止して、攪拌装置12の攪拌槽15からの古紙UPや古紙パルプUPPの叩解槽33への流入を阻止する一方、叩解部11の運転時には供給口35および排出口36を開口して、攪拌槽15と叩解槽33との間での古紙パルプUPPの循環回流を許容する。
【0061】
この場合、離解部10が叩解部11と同時に駆動していると、叩解槽33は、離解部10の攪拌槽15と共に古紙パルプUPPが回流するパルプ回流槽を構成して、このパルプ回流槽10、23を循環回流する古紙パルプUPPは、離解部10による攪拌離解作用と、叩解部11による加圧叩解作用およびインキ磨砕微細化作用を順次繰り返して受けることになる。この結果、後述する抄紙部4で抄紙再生される再生紙RPにとっての最適な紙力強度が確保されるとともに、白色度の高い再生紙RPを得ることができる(脱墨と同等な効果が得られる)。
【0062】
これら離解部10が叩解部11による離解・叩解が終了した古紙パルプUPPは、上記攪拌槽15からその下側に配置された濃度調整槽26に自然落下供給されて貯留される。
【0063】
パルプ濃度調整部3は、攪拌槽15の下流側に設けられて、攪拌槽15で製造された古紙パルプUPPの濃度を後続の抄紙に適した適正濃度に調整するものである。このパルプ濃度調整部3は、攪拌槽15で製造された古紙パルプUPPを貯留する濃度調整槽26と、この濃度調整槽26に水を供給する濃度調整用給水部とを備えてなり、この濃度調整用給水部としては、前述したごとく、給水部13が兼用されている。
【0064】
濃度調整槽26の内容積は、攪拌装置12によりバッチ処理される古紙UPの枚数(量)に応じて設定される。図示の実施形態においては、前述したように、8枚程度(約32g)のA4判の古紙UPがバッチ処理されるので、これに対応した量の古紙パルプUPPの濃度を調整できる容積を有する濃度調整槽26とされている。
【0065】
これに関連して、上記攪拌装置12の攪拌槽15の底部には、排水口15bが設けられており、この排水口15bは図示しない排水弁により開閉動作される構成とされている。この排水弁は具体的には電磁開閉弁からなり、上記制御部5に電気的に接続されている。
【0066】
パルプ濃度調整部3の具体的な濃度調整方法は、上記濃度調整槽26において、攪拌槽15内でバッチ処理にて製造された古紙パルプUPPの全量に対して、上記濃度調整用給水部13から水Wが加水されて、これら古紙パルプUPPと水Wの合計体積が所定値になることにより、所定濃度のパルプ懸濁液PSとなるように構成されている。
【0067】
なお、調整されるべきパルプ懸濁液PSの目標濃度は、予め行なった実験データに基づいて、後述する抄紙部3における抄紙能力を考慮して設定され、図示の場合は約0.1%濃度に設定されている。43は、濃度調整槽26内に設けられたフロートスイッチで、濃度調整槽26内のパルプ懸濁液PSの量(古紙パルプUPPと水Wの合計体積)が上記所定値になったときの水位を検知する。
【0068】
しかして、上記濃度調整槽26において、上記攪拌槽15(および叩解槽33)で製造された古紙パルプUPPの全量が、攪拌槽15の排水口15bから自重で濃度調整槽26内へ落下供給されるとともに、この古紙パルプUPPに対して、濃度調整用給水部13から白水Wが上記所定値になるまで加水されて(フロートスイッチ43により検知)、これにより古紙パルプUPPの濃度が調整されて、所定濃度のパルプ懸濁液PSとされる。
【0069】
図示の実施形態においては、上記古紙パルプUPPの全量(約32gの古紙UP+1.5リットルの水W)に対して、上記濃度調整用給水部13から希釈用の水Wが加水されて、古紙パルプUPPと水Wの合計体積(全量)が32リットルになるように制御され、これにより、約0.1%濃度(目標濃度)のパルプ懸濁液PSが調製される。この濃度調整されたパルプ懸濁液PSは、第1懸濁液供給ポンプ44により、次工程の抄紙部3のパルプ供給槽85へ送られる。
【0070】
抄紙部4は、上記離解部10で製造された古紙パルプUPP(具体的には、パルプ濃度調整部3による濃度調整がなされたパルプ懸濁液PS)を抄紙して再生紙RPを製造する工程部位で、抄紙工程部50、脱水ロール部51および乾燥工程部52を備えてなる。
【0071】
抄紙工程部50は、上記パルプ製造部2の離解部10から送られてくる水Wと古紙パルプUPPが共存するスラリー状のパルプ懸濁液PSを抄いて湿紙とする部位で、抄紙コンベア55とパルプ供給部56を主要部として構成されている。
【0072】
抄紙コンベア55は、パルプ懸濁液を抄きながら搬送するもので、上記パルプ懸濁液PSを濾過脱水する無数の網目よりなる抄き網構造の網状ベルト60がその走行方向へ向けて直線状に走行する配置構成とされている。
【0073】
具体的には、抄紙コンベア55は、パルプ懸濁液PSを抄きながら搬送する無端ベルトの形態とされた上記網状ベルト60と、この網状ベルト60を走行駆動する駆動モータ61とを備えてなる。
【0074】
網状ベルト60は、具体的には、所定幅を有する抄き網構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。
【0075】
この網状ベルト60を構成する抄き網構造の板材は、パルプ懸濁液PSが上記抄き網構造の無数の網目により適正に濾過脱水できる材質とされ、図示の実施形態においては、耐熱性に優れるPET製網状ベルト60とされている。
【0076】
また、網状ベルト60を構成する抄き網構造は、網目の細かいものや織り目の細かく平滑なものが好ましく、具体的には対象となる紙の特性に対応して選択される。
【0077】
さらに、網状ベルト60の幅寸法は、パルプ懸濁液PSを抄いて製造すべき再生紙RPの幅寸法よりも若干大きな所定幅寸法に設定される。
【0078】
網状ベルト60は、図1および図4に示すように、駆動ローラ65、従動ローラ66、支持ローラ67、脱水ロール70および予備脱水ロール74を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ65を介して、上記駆動モータ61に駆動連結されている。
【0079】
網状ベルト60は、図1および図5に示すように、その走行方向へ向けて上向き傾斜状にかつ直線状に走行する配置構成とされて、限られた設置空間における抄紙工程長さの可及的延長が図られるとともに、網状ベルト60の抄き網構造との関係での濾過脱水率の向上が図られている。この網状ベルト60の上向き傾斜角度αは、目的に応じて設定され、好適には3度〜12度に設定され、図示の実施形態においては6度に設定されている。
【0080】
上記網状ベルト60を走行駆動する駆動モータ61は、具体的には電動モータで、制御部5に電気的に接続されている。また、この駆動モータ61は、後述する脱水ロール部51および乾燥工程部52の走行駆動源としても共用され、この共用のための構造つまり駆動連結機構については後述する。
【0081】
パルプ供給部56は、上記網状ベルト60上に上記パルプ製造部2の離解部10からのパルプ懸濁液PSを供給する部位で、このパルプ供給部56により、パルプ懸濁液PSが上記網状ベルト60上面に均一に広がり供給される構成とされている。上記抄紙工程部50は、上記抄紙コンベア55の抄紙工程開始端位置に設けられている。
【0082】
図示のパルプ供給部56の具体的構造が図7および図8に示されている。すなわち、このパルプ供給部56において、上記網状ベルト60が上述のごとく走行方向へ向けて上向き傾斜状に配置されるとともに、この網状ベルト60の上下両側位置に、抄き枠体78および仕切り部材79がそれぞれ配置されてなる。
【0083】
抄き枠体78は、網状ベルト60の上面に摺接可能に配設されるもので、図7および図8に示すように、先端部つまり網状ベルト60の走行方向側端部が開放された平面コ字形状の本体枠80と、この本体枠80の後端部に設けられたオーバフロー槽81とを備える。
【0084】
上記本体枠80は、その下端面80aが傾斜走行する上記網状ベルト60の上面に摺接するように配されるとともに、本体枠80の枠内幅寸法W(図7参照)が製造すべき再生紙RPの幅寸法に設定されている。
【0085】
上記オーバフロー槽81は、上記本体枠80の後端部に一体的に固設されており、その前壁上端縁81aが水平直線状に形成されたオーバフロー部とされるとともに、このオーバフロー槽81内に、前記パルプ供給槽85のパルプ懸濁液PSを供給する懸濁液供給配管90の供給開口90aが臨んで設けられている。
【0086】
そして、パルプ懸濁液PSが上記懸濁液供給配管90からオーバフロー槽81内に供給され貯留されて、オーバフロー槽81がパルプ懸濁液PSで満杯になると、さらなるパルプ懸濁液PSの供給により、パルプ懸濁液PSは、オーバフロー槽81のオーバフロー部81aから図8に矢符にて示されるようにオーバフローして、後述する仕切り部材79の平板部材82上に流下することとなる。
【0087】
仕切り部材79は、網状ベルト60の下面に摺接可能に配設されるもので、図7および図8に示すように、複数本の骨組み部材79a、79a、…からなる水切り可能なスノコ構造を備え、上記網状ベルト60の下面全幅を摺接支持する形状寸法を有するとともに、上記スノコ構造の基端側部位が平板部材82により閉塞されている。
【0088】
平板部材82は、上記抄き枠体78のオーバフロー槽81に対応した位置に設けられ、具体的には、図8に示すように、オーバフロー槽81からオーバフローするパルプ懸濁液PSの流下位置に対応して配置され、これにより、網状ベルト60におけるパルプ懸濁液PSの流下供給部位の網目が平板部材82により閉塞状態に支持されている。
【0089】
また、上記パルプ供給部56の上流側には、このパルプ供給部56にパルプ懸濁液PSを供給される前記パルプ供給槽85が設けられている。
【0090】
このパルプ供給槽85に貯留されるパルプ懸濁液PSは、下限水位用フロートスイッチ87および上限水位用フロートスイッチ88により検知されて、第二懸濁液供給ポンプ89により、上記パルプ供給部56のオーバフロー槽81内へ連続的に供給される構成とされている。
【0091】
しかして、上記パルプ供給槽85に貯留されるパルプ懸濁液PSが、第二懸濁液供給ポンプ89により、上記パルプ供給部56のオーバフロー槽81内へ供給され、このオーバフロー槽81に供給されたパルプ懸濁液PSは、図8に示すように、オーバフロー槽81からオーバフローした後、平板部材82上に流下する。
【0092】
そして、パルプ懸濁液PSは、抄き枠体78の本体枠80と仕切り部材79との協働による滞留作用により、網状ベルト60上面に均一に拡散されるとともに、網状ベルト60の矢符方向への走行作用により、上記本体枠80により規定された幅寸法を保持しつつ網状ベルト60と共に搬送されながら、網状ベルト60の網目による自重濾過作用を受けて脱水されて、湿紙RP0となる。この濾過脱水された白水W(抄紙する際に抄き網により濾過された極低濃度のパルプ水)は、前述したように、上記給水部13の白水回収槽20に回収される。
【0093】
脱水ロール部51は、上述の抄紙工程部50と後述の乾燥工程部52の連係部において、上記網状ベルト60上の湿紙RP0を圧搾脱水する部位である。
【0094】
具体的には、下流側の上記乾燥工程部52の後述する平滑面ベルト95と上流側の上記抄紙工程部50の網状ベルト60とが図1および図5に示すように、上下に積層状に配設されるとともに、これら平滑面ベルト95と網状ベルト60の上下隣接部分が上記連係部とされて、上記脱水ロール部51が、これら網状ベルト60および平滑面ベルト95を上下両側から挟圧状に転動圧搾する構造とされている。
【0095】
上記脱水ロール部51は、脱水ロール70、プレスロール71および駆動モータ72を主要部として備えるととともに、その補助部として、予備脱水ロール74およびスラリー化防止ロール75が設けられている。
【0096】
脱水ロール70は、網状ベルト60に下側から転接するもので、具体的には、図9に示すように、高剛性材料からなる円筒ロール70aの外周に、微細連続気孔の多孔質材料からなる脱水層70bが巻装されてなる。脱水層70bは、親水性、吸水性および保水性に優れる材料からなり、好適には柔軟性に優れる微細連続気孔の多孔質材料からなる。
【0097】
図示の実施形態の脱水ロール70は、ステンレス鋼製円筒ロール70aの円筒外周面に、ミクロンサイズの超微細な連続気孔を有する超微細連続発泡材料からなる円筒状の脱水層70bが外嵌されてなる単層構造とされている。
【0098】
プレスロール71は、後述する乾燥工程部52の平滑面ベルト95を上側から転動加圧するもので、具体的には、高剛性材料からなる円筒ロールの形態とされている。図示の実施形態のプレスロール71は、ステンレス鋼製円筒ロールからなる。
【0099】
これら脱水ロール70とプレスロール71は、具体的には単一の駆動モータ72に駆動連結されて、両ロール70、71が連動して回転駆動される。この場合、これら両ロール70、71は、その外周面間において挟圧状に転動圧搾される網状ベルト60、平滑面ベルト95の接触面(網状ベルト60の下面および平滑面ベルト95の上面)に対して、両ロール70、71の外周面が、互いに僅かの回転速度差をもってそれぞれ転動接触するように回転制御される。
【0100】
具体的には、プレスロール71の回転速度が脱水ロール70の回転速度よりも僅かに大きく設定されており、これにより、平滑面ベルト95の走行速度が、上記網状ベルト60の走行速度よりも大きく設定されることになる。このような構成とされることにより、後述するように、脱水ロール部51により圧搾脱水された湿紙RP0が、下側の網状ベルト60の上面から上側の平滑面ベルト95の下面に転写移転される際に、湿紙RP0にテンションがかかって、湿紙RP0に皺が発生するのを有効に防止する。
【0101】
また、上記駆動モータ72は、図示の実施形態においては、後述するように、抄紙工程部50の駆動モータ61が共用とされている。
【0102】
そして、この駆動モータ72の駆動により、上記両ロール70、71が、上記両ベルト60、95を上下両側から挟圧状に転動圧搾して、網状ベルト60上の湿紙RP0に含まれている水分Mが上記網状ベルト60を介して上記脱水ロール70に吸水されて脱水される。この圧搾脱水された白水Wは、給水部13の白水回収槽20に回収される。
【0103】
この圧搾脱水の具体的メカニズムを図9(a)により説明すると、上記両ロール70、71の回転により、上面に湿紙RP0を載置した網状ベルト60と平滑面ベルト95が、その間に上記湿紙RP0を介在させた状態で、上記両ロール70、71間へ案内されて、上下両側から挟圧状に転動圧搾される。すると、湿紙RP0に含まれている水分Mは、上記両ロール70、71の上流側(図面において右側)へ搾り出されるが、上側の平滑面ベルト95が後述するように平滑面を有する孔のない構造であることから、この搾り出された水分Mはすべて下側の網状ベルト60の微細な連続気孔を通過して上記脱水ロール70の脱水層70bに吸水される。
【0104】
予備脱水ロール74およびスラリー化防止ロール75は、これら脱水ロール部51におけるプレスロール71と脱水ロール70による圧搾脱水作用を補助するために設けられている。
【0105】
予備脱水ロール74は、図1に示すように、脱水ロール部51の上流側において、上記網状ベルト60に下側から転接してテンションを与えるように配設されている。
【0106】
この予備脱水ロール74の具体的構造は、上記脱水ロール70と同様であり、高剛性材料からなる円筒ロール74aの外周に、微細連続気孔の多孔質材料からなる脱水層74bが巻装されてなる。図示の実施形態の予備脱水ロール74は、ステンレス鋼製円筒ロール74aの円筒外周面に、ミクロンサイズの超微細な連続気孔を有する超微細連続発泡材料からなる円筒状の脱水層74bが外嵌されてなる単層構造とされている。
【0107】
そして、網状ベルト60上面に均一に拡散されて、この網状ベルト60と共に搬送される湿紙RP0は、網状ベルト60により濾過脱水されながら、上記予備脱水ロール74によっても複合的に吸水脱水されて、プレスロール71と脱水ロール70による圧搾脱水作用を予備的に補助する。
【0108】
スラリー化防止ロール75は、図1および図9(b)に示すように、脱水ロール部51の上流側近傍位置において、上記平滑面ベルト95を上側から転動加圧して、平滑面ベルト95を下側の網状ベルト60上の湿紙RP0に押さえ付けるように配設されている。
【0109】
そして、図9(b)を参照して、脱水ロール70とプレスロール71により、上面に湿紙RP0を載置した網状ベルト60と平滑面ベルト95が上下両側から挟圧状に転動圧搾されると、湿紙RP0に含まれている水分Mは、両ロール70、71の上流側(図面において右側)へ搾り出されるが、同時に、脱水ロール70自身が先の圧搾脱水の結果保水している水分Mもまた搾り出される。
【0110】
この場合、スラリー化防止ロール75が設けられていないとすると、図9(a)に示すように、両ロール70、71の上流側近傍位置においては、上側の平滑面ベルト95と下側の網状ベルト60との交差角度(これら両ベルト60、95が両ロール70、71による挟圧点を交点として挟む角度)が比較的大きく、これにより、上側の平滑面ベルト95が下側の網状ベルト60上の湿紙RP0に対して離隔した状態にある。このため、両ロール70、71の上流側へ搾り出された上記湿紙RP0に含まれている水分と脱水ロール70自身が保水していた水分の複合された水分Mの一部M´が、上記網状ベルト60を介して上記脱水ロール70に吸水されずに、湿紙RP0に吸収されて、湿紙RP0が再びスラリー化してしまうおそれがある。
【0111】
なお、上側の平滑面ベルト95と下側の網状ベルト60との交差角度がそれほど大きくない場合には、上記のような問題は起こらないため、上記スラリー化防止ロール75の設置を省略することも可能である。
【0112】
上記脱水ロール部51により圧搾脱水された湿紙RP0は、脱水ロール部51の下流側部位において、下側の網状ベルト60の上面から上側の平滑面ベルト95の下面に転写移転されて、平滑面ベルト95と共に搬送されて、乾燥工程部52による乾燥工程が実施される。
【0113】
なお、上記移転作用は平滑面ベルト95の平滑面構造により起こるものと考えられる。つまり、下側の網状ベルト60の表面が、微細な連続気孔が多数開口されてなる微細凹凸面であるのに対して、上側の平滑面ベルト95の表面が孔のない平滑面であり、この結果、僅かに水分を含んでいる湿紙RP0が上記平滑面ベルト95の表面との間の表面張力で吸着されるものと考えられる。
【0114】
また、前述したように、平滑面ベルト95の走行速度は、網状ベルト60の走行速度よりも大きく設定されており、これにより、脱水ロール部51により圧搾脱水された湿紙RP0が、下側の網状ベルト60の上面から上側の平滑面ベルト95の下面に転写移転されるに際して、上記湿紙RP0に上記速度差によるテンションがかけられる結果、湿紙RP0は皺が寄ることなく平滑な状態で平滑面ベルト95に転写され得る。
【0115】
乾燥工程部52は、上記抄紙工程部50で抄紙形成された後、脱水ロール部51で圧搾脱水された湿紙RP0を乾燥させて再生紙RPとする部位で、乾燥コンベア91と加熱乾燥部92を主要部として構成されている。
【0116】
乾燥コンベア91は、脱水ロール部51で圧搾脱水された湿紙RP0を平滑にしながら搬送するもので、上記平滑面ベルト95とこの平滑面ベルト95を走行駆動する駆動モータ96とを備えてなる。
【0117】
平滑面ベルト95は、湿紙RP0を加熱乾燥させながら搬送するもので、具体的には、所定幅を有する平滑面構造の板材が所定長さの環状に接続形成されてなる無端ベルトである。
【0118】
上記所定幅は、網状ベルト60と同様に、製造すべき再生紙RPの幅寸法よりも若干大きな寸法に設定される。また、平滑面構造の板材は、湿紙RP0の片側表面を適正な平滑面に仕上げることができ、かつ後述する加熱乾燥部97による加熱作用に耐え得る材質とされ、図示の実施形態においては、フッ素樹脂製ベルトが採用されている。
【0119】
この平滑面ベルト95は、図1および図5に示すように、駆動ローラ100、従動ローラ101、102、プレスロール71、スラリー化防止ロール75、平滑面仕上げロール103、103および予備脱水ロール74を介して、回転走行可能に懸架支持されるとともに、上記駆動ローラ100を介して、上記駆動モータ96に駆動連結されている。
【0120】
平滑面ベルト95を走行駆動する駆動モータ96は、前述したように、上記抄紙ネットコンベア部40および脱水ロール部41の走行駆動源としても共用され、この共用のための構造つまり駆動連結機構が図6に示されている。
【0121】
図6において、105は動力伝達ギヤ、106はスプロケット、107はスプロケット106、106間に掛け渡される動力伝達チェーン、および108は動力伝達軸をそれぞれ示している。
【0122】
上記動力伝達ギヤ105、105、…、スプロケット106、106、…の歯車比は、駆動源が単一の駆動モータ96であることから、駆動ローラ100、従動ローラ101、102、プレスロール71、スラリー化防止ロール75、平滑面仕上げロール103、103および予備脱水ロール74のすべてが、平滑面ベルト95に対して、互いに実質的に同一の周速度をもってそれぞれ転動接触するように設定されている。
【0123】
加熱乾燥部92は、上記平滑面ベルト95上の湿紙RP0を加熱乾燥する部位で、上記平滑面ベルト95の走行経路途中箇所に配されたヒータプレート109を加熱部として備える。
【0124】
図示の実施形態のヒータプレート109は、上記平滑面ベルト95の走行経路における水平走行部分に設けられており、具体的には、平滑面ベルト95における上記湿紙RP0の保持面である上面と反対側面つまり下面に摺接して設けられている。これにより、上記平滑面ベルト95上の湿紙RP0は、上記ヒータプレート109により加熱された平滑面ベルト95により間接的に加熱乾燥されることとなる。
【0125】
また、平滑面ベルト95の走行途中に、上記2つの平滑面仕上げロール103、103が配設されている。具体的には、これら平滑面仕上げロール103、103は、上記平滑面ベルト95の走行経路における水平走行部分において、上記ヒータプレート109と対向して並列状に配置されている。
【0126】
そして、両平滑面仕上げロール103、103は、平滑面ベルト95上の湿紙RP0を順次転動加圧して、平滑面ベルト95の表面に接触する湿紙RP0の片側表面と反対側表面を適正な平滑面に仕上げる。
【0127】
上記平滑面ベルト95における上記加熱乾燥部92の下流側には、剥離部材110が設けられている。この剥離部材110は、具体的には耐熱性を有する弾性ヘラの形態とされており、図示の実施形態の剥離部材110は、弾性変形可能な0.1〜0.3mm厚程度のステンレス鋼板の外周面にテフロン(登録商標)加工が施されてなり、その基端部が固定側に支持されるとともに(図示省略)、その先端エッジ110aが上記平滑面ベルト95の表面に弾発的に当接係止されている。
【0128】
そして、平滑面ベルト95上で乾燥処理されて搬送される乾紙つまり再生紙RPは、上記剥離部材110の先端エッジ110aにより、平滑面ベルト95の保持面から順次剥離されることとなる。
【0129】
これに関連して、この剥離部材110の下流側つまり平滑面ベルト95の走行経路終端位置、つまり乾燥工程部52の終端位置には、上記平滑面ベルト95から剥離された再生紙RPを所定形状寸法(図示の場合は長さ寸法のみ)に切断する定寸カッタ111が設けられている。この定寸カッタ111の具体的構造は図示しないが、例えば、従来公知の両サイドスリッターの形態とされ、ソレノイドによりギロチンカット動作する構造が採用され得る。
【0130】
そして、平滑面ベルト95から剥離された再生紙RPは、定寸カッタ111により所定長さ(図示の実施形態においては、A4版の縦寸法)に切断されて、再使用可能な形状寸法の再生紙RPとされ、装置ケース6の排出口6bから排出される。なお、この場合の所定長さでの切断は、平滑面ベルト95のベルト送り量を近接スイッチ、エンコーダ等のセンサにより計測して行う。
【0131】
洗浄システムCSは、上記装置構成部、具体的にはパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3を洗浄処理するものである。
【0132】
この洗浄システムCSは、抄紙部4で脱水回収される水つまり白水Wが少なくとも上記パルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3に帰還利用される水循環方式とされるとともに、この水循環方式を利用してこれら装置構成部2、3が洗浄処理される構成とされている。
【0133】
洗浄システムCSは、図4に示すように、洗浄水給水源である前記給水部13、洗浄水循環経路R1〜R6、循環ポンプ21、18、27、44、89および洗浄制御部120を主要部として備える。
【0134】
給水部13の給水源は、前述したように、白水回収槽20に回収される抄紙部3で脱水された白水Wであり、この抄紙部3で脱水回収される白水Wは、すべて上記離解部10の攪拌装置12およびパルプ濃度調整部3で帰還利用される水循環方式とされている。
【0135】
洗浄水循環経路R1〜R6は、上記給水部13から上記パルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3を介して再び上記給水部13に帰還する構成とされ、具体的には、白水回収槽20から攪拌槽15に至る経路R1、攪拌槽15から叩解槽33に至る経路R2、叩解槽33から攪拌槽15に至る経路R3、白水回収槽20から濃度調整槽26に至る経路R4、濃度調整槽26からパルプ供給槽85に至る経路R5、およびパルプ供給槽85からパルプ供給部56に至る経路R6で構成されている。
【0136】
循環ポンプ21、18、27、44、89は、上記洗浄水循環経路R1〜R6具体的には上記各槽20、15、26、85に設けられた前記各供給ポンプからなり、洗浄水Wを上記洗浄水循環経路R1〜R6に循環させる。
【0137】
洗浄制御部120は、上記給水部13の給水ポンプ21、27と循環ポンプ18、44、89を連動制御するもので、具体的には、制御部5の一部を構成しており、以下の洗浄工程(1)〜(5)を実行するように、上記給水部13の給水ポンプ21、27と循環ポンプ18、44、89を連動制御する構成とされており、またこの洗浄工程において、これらポンプ21、18、27、44、89の駆動に連動して、洗浄処理される上記パルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3、さらには抄紙部4を駆動制御する構成とされている。
【0138】
すなわち、図外の通常運転スイッチ(つまり古紙再生運転スイッチ)と別個独立して設けられた洗浄運転スイッチを入れると、上記洗浄制御部120により、以下の洗浄工程(1)〜(5)が実行されて、抄紙部4で脱水回収する白水Wが洗浄水としてパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3に循環して、これらパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3が洗浄される。
【0139】
(1)白水回収槽20内に脱水回収されている白水Wが、給水ポンプ21により、経路R1を介してパルプ製造部2の攪拌槽15に供給され、さらに供給ポンプ18により、経路R2を介して叩解槽33に入る。
【0140】
これと連動して、攪拌槽15の攪拌装置12および叩解槽33の叩解部材31、32が相対的に回転駆動し、これにより、洗浄水Wは、攪拌槽15から叩解槽33、さらには経路R3を介して再び攪拌槽15へと循環して、これら両槽15、33内の洗浄が行われる。
【0141】
(2)これら両槽15、33の洗浄後、攪拌槽15の洗浄水W全量が濃度調整槽26へ落下供給される。一方、この濃度調整槽26には、濃度調整用給水ポンプ27により、白水回収槽20から別途洗浄水Wが経路R4を介して直接供給される。これらの洗浄水Wにより、濃度調整槽26内が洗浄される。
【0142】
(3)濃度調整槽26内の洗浄が済むと、洗浄水Wは、第1懸濁液供給ポンプ44により、経路R5を介してパルプ供給槽85へ供給され、このパルプ供給槽85内が洗浄される。
【0143】
(4)パルプ供給槽85内の洗浄が済むと、このパルプ供給槽85内に収容される使用済みの洗浄液Wは、第2懸濁液供給ポンプ89により、経路R6を介して抄紙部4のパルプ供給部56へ供給され、網状ベルト60による抄紙工程を経て、上記洗浄液Wに含まれる古紙パルプUPPが再生紙RP(湿紙RP0)として除去(浄化処理)されて、再び上記白水回収槽20に回収される。
【0144】
すなわち、上記パルプ供給槽85に収容された使用済みの洗浄水Wは、そのパルプ濃度が不明ではあるが(通常運転時に得られるパルプ濃度より一般的に低濃度)、低濃度でもスラッジが微量含有されたパルプであることから、網状ベルト60を低速で運転することで、抄紙できるので再生紙RPとして排出する。
【0145】
この場合、洗浄水Wもスラッジが微量含有されたパルプであるので、この洗浄水Wで上記網状ベルト60を洗浄しようとすると、かえってネットが汚れるので、網状ベルト60は洗浄処理工程の間は停止されている。
【0146】
パルプ供給槽85内の使用済み洗浄水Wがなくなったところで、洗浄処理工程1工程が完了する。
【0147】
(5)上記(1)〜(4)の工程を複数回繰り返す。
【0148】
なお、これら工程(1)〜(5)からなる洗浄システムCSによる循環洗浄は、本実施形態においては各古紙再生運転(パルプ製造部2、パルプ濃度調整部3および抄紙部4の通常運転)の終了毎に行う構成とされている。
【0149】
また、本実施形態のように、通常運転と洗浄運転が別個独立した運転スイッチによる手動操作とされるほか、これら両運転が自動切替で行われる構成とされてもよく、例えば、上記抄紙部4で脱水回収する白水Wによる循環洗浄を、一日の古紙再生装置1の古紙再生運転の終了後に自動的に行う構成とされてもよく、この場合、洗浄システムCSによる洗浄運転が深夜に自動で行われる構成が好適に採用され得る。
【0150】
制御部5は、上述した離解部10および抄紙部4の各駆動部の動作を相互に連動して自動制御するもので、具体的には、CPU,ROM,RAMおよびI/Oポートなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。
【0151】
この制御部5は、前述した洗浄システムCSの洗浄制御部120を備えるほか、パルプ製造部2のパルプ製造工程および抄紙部4の抄紙工程を連続して実行させるためのプログラム等が組み込まれるとともに、各駆動部の駆動に必要な種々の情報、例えば、離解部10における攪拌装置12の駆動時間および給水部13の動作タイミング、あるいは、抄紙部4における網状ベルト60および平滑面ベルト95の走行速度、加熱乾燥部97の駆動時間および定寸カッタ111の動作タイミングなどが、予めデータとしてまたはキーボード等により適宜選択的に入力設定されている。
【0152】
また、上記制御部5には、前述したように、各フロートスイッチ28、29、43、87、88および各駆動部17、21、27、44、61(72、96)、89、105、111が電気的に接続されており、制御部5は、これらの各種実測値およびデータに従って、上記各駆動部17、21、27、44、61(72、96)、89、105、111を制御する。
【0153】
しかして、以上のように構成された古紙再生装置1は、上記通常運転スイッチを入れることによる電源投入により起動して、制御部5により各駆動部が相互に関連して自動制御され、これにより、装置ケース6の投入口6aに投入された古紙UP、UP、…は、パルプ製造部2、離解部10および叩解部11により離解・叩解処理されて、古紙パルプUPPが製造された後、さらにこの古紙パルプUPPが抄紙部4の抄紙工程部50、脱水ロール部51および乾燥工程部52により抄紙されて、再生紙RPとして再生され、装置ケース6の排出口6bから再生紙受取トレー8に排出される。
【0154】
また、上述したように、所定のタイミングまたはインターバルをもって、洗浄システムCSによる循環洗浄が行われる。
【0155】
以上のように構成された古紙再生装置1において、洗浄システムCSが、抄紙部4で脱水回収する白水Wを、洗浄水としてパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3に循環させることにより、これら上記パルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3を洗浄するようにしたから、装置構成部の各所に残っている古紙パルプUPPを有効に洗浄除去することができ、残存する古紙パルプUPPが乾燥して、この乾燥した古紙パルプUPPによる各所の弁やポンプ等の動作不良が発生するのを未然に防止するとともに、残存パルプUPPによる濃度調整誤差の発生を未然に防止することができる。
【0156】
また、上記洗浄システムCSを備える古紙再生装置1にあっては、以下に列挙するような特有の効果が得られ、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であるとともに、環境に優しくかつランニングコストも低く抑えることができ、しかも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止できて、高い機密性を保持することができる古紙再生装置1を提供することができる。
【0157】
(1)什器サイズの装置ケース6内に、古紙UPを離解し叩解して古紙パルプUPPを製造するパルプ製造部2と、このパルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPを抄紙して再生紙RPを製造する抄紙部4とを備えてなる小型簡素な構造の古紙再生装置1が実現し、これにより、古紙UPを廃棄処分することなく、古紙UPの発生元において自前で再生利用することができ、古紙UPの廃棄を軽減して、ゴミ問題解決に役立つばかりか、限りある資源を有効利用することができる。
【0158】
特に、この種の古紙UPは機密上の問題からリサイクル化が進んでおらず、上記のように古紙UPの発生元において自前で再生利用することができることにより、資源有効利用の効果は顕著である。
【0159】
(2)また、古紙UPの発生場所に、製紙工場や古紙再生工場の大規模な設備と同様な機能を有するコンパクトな古紙再生設備が設置されることにより、小規模店舗や一般家庭などにおいても、連続して紙の循環使用を可能にすることができ、さらには、古紙UPの回収廃棄に要する輸送費や焼却費等の各種経費も不要となって、経済的である。
【0160】
(3)装置構造がコンパクトで、大きな事業所等だけでなく、小規模店舗や一般家庭などにも設置可能であり、この観点からも、機密情報や個人情報など各種情報の漏洩・流出を確実に防止することができる。
【0161】
(4)古紙UPが発生する場所に配置されて、パルプ製造部2により、発生した古紙UPが離解処理されて古紙パルプUPPとされるとともに、抄紙部4により、上記古紙パルプUPPが抄紙されて再生紙RPとされ、これにより、上記古紙UPが、その発生場所内において再生紙RPとして循環使用される構成とされていることにより、古紙UPに記載された文字や線図等の各種情報が古紙UPの発生場所外へ拡散することが全くなく、この点からも、機密情報や個人情報の漏洩・流出を確実に防止することができ、高い機密性を保持することができ、また資源の有効利用を図ることもできる。
【0162】
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1を使用することにより、その使用に係る一定の系(例えば、学校、病院、市役所、法律事務所、特許事務所、一般家庭等)の外へ上記各種情報が拡散するおそれが全くなくなる。
【0163】
換言すれば、例えば従来周知のシュレッダの場合、古紙が裁断されて小片となり、そこに記載された文字や線図が判読不能となったとしても、裁断された紙片は焼却場等で廃棄処分されることになるため、上記系外への拡散を完全に防止することはできない。この点に関して、上記系外への拡散を防止する目的で、系内の倉庫に保管するという方法も考えられるが、反面、そのような保管場所の確保が必要となり、対象となる紙も一回の使用のみでは、資源の有効利用という観点から効率が悪い。
【0164】
これに対して、本実施形態の古紙再生装置1によれば、古紙UPに記載される各種情報がその使用に係る系外へと拡散しまうことは全くなく、しかも、資源を有効に活用することができる。
【0165】
実施形態2
本実施形態は図11および図12に示されており、主として実施形態1における濃度調整部3の構成が改変され、これに伴って洗浄システムCSも若干改変されたものである。
【0166】
すなわち、本実施形態の古紙再生装置1においては、パルプ濃度調整部3の構成が主として改変されて、使用水量の減少化と古紙再生装置1全体のよりコンパクト化が図られている。
【0167】
本実施形態の濃度調整部3は、パルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPの濃度を区分形式で調整する構成とされ、図11および図12に示すように、古紙パルプ区分部位301および濃度調整部位302を主要部として備える。
【0168】
また、これに伴って、実施形態1における濃度調整槽26が、本実施形態においてはパルプ貯留槽として機能し、このパルプ貯留槽26内には、下限水位用フロートスイッチ45と上限水位用フロートスイッチ46のほか、後述するパルプ濃度調整部3のパルプ区分ポンプ306が設けられている。
【0169】
古紙パルプ区分部位301は、パルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPの全量から所定分量だけ区分するもので、パルプ区分槽305およびパルプ区分ポンプ306を備えている。
【0170】
パルプ区分槽305は、前工程の上記パルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPを所定分量だけ区分収容するもので、具体的には、上記パルプ区分ポンプ306により、パルプ貯留槽26内に貯留される古紙パルプUPPの全量から所定分量だけパルプ区分槽305に区分供給される。このパルプ区分槽305は、後述するように、濃度調整部位302の濃度調整槽307内に収納配置されている。
【0171】
濃度調整部位302は、上記パルプ区分部位301により区分された所定分量の古紙パルプUPPに対して、濃度調整用の水を加水するもので、具体的には、濃度調整槽307および前記給水部13からなる濃度調整用給水部を備えている。
【0172】
濃度調整槽307は、上記パルプ区分槽305に区分収容された所定分量の古紙パルプUPPおよび濃度調整用の水を収容混合するもので、前述したように、その内部に上記古紙パルプ区分部位301のパルプ区分槽305が収納配置されて、二重槽の形態とされている。
【0173】
具体的には、濃度調整槽307内の上部位置に上記パルプ区分槽305が設けられるとともに、このパルプ区分槽305の底部に、排水口305aが設けられて、パルプ区分槽305から上記濃度調整槽307への古紙パルプUPPの供給が自然落下方式で行われる構成とされている。
【0174】
濃度調整槽307とパルプ区分槽305がこのような二重槽の形態とされているのは、パルプ濃度調整部3がパルプ製造部2で製造された古紙パルプUPPの濃度を区分形式で調整する構成とされているのと相まって、濃度調整部3の構成の小型化さらには古紙再生装置1の全体構成のコンパクト化図るためである。
【0175】
上記パルプ区分槽305の内容積は、上記パルプ貯留槽26に貯留された古紙パルプUPPから区分供給される所定分量(小分けして一度に濃度調整されるべき分量)に応じて設定され、同じく、濃度調整槽307の内容積は、上記パルプ区分槽305の体積に加えて、パルプ区分槽305内に区分収容される古紙パルプUPPに対応した水Wの量に応じて設定されている。
【0176】
図示の実施形態においては、パルプ貯留槽26が、例えば、25枚程度(約100g)のA4判の古紙UPがバッチ処理されて、これに対応した量の古紙パルプUPPを貯留できる容積を有するとすると、パルプ区分槽305の内容積は、例えば150cc程度収容可能な大きさに設定され、また、濃度調整槽307の内容積は、例えば、3000cc程度収容可能な大きさに設定される。
【0177】
これに関連して、上述したように、パルプ区分槽305の底部には、排水口305aが設けられており、この排水口305aは、具体的には図4に示すように、排水弁305bにより開閉動作される構成とされている。この排水弁305bは、具体的には電磁開閉弁からなり、制御部5に電気的に接続されている。また、濃度調整槽307の底部には、排水口307aが設けられており、この排水口307aは排水弁307bにより開閉動作される構成とされている。これら排水弁305b、307bは具体的には電磁開閉弁からなり、それぞれ上記制御部5に電気的に接続されている。
【0178】
濃度調整用給水部13は、上記濃度調整槽307に水を供給するもので、前述のごとく、離解部10の攪拌装置12に水を供給する給水部と兼用とされている。この濃度調整用給水部13は、濃度調整用給水ポンプ27が制御部5により駆動制御されて、上記パルプ区分槽305から上記濃度調整槽307に供給された所定分量の古紙パルプUPPを含めて所定体積となるように、上記濃度調整槽307に水Wを供給する。
【0179】
具体的には、まず、上記攪拌槽15からパルプ貯留槽26に供給収容される古紙パルプUPPの全量(約100gの古紙UP+5000ccの水W)から、パルプ区分ポンプ306により、所定分量(150cc)の古紙パルプUPPが区分されて、古紙パルプ区分部位301のパルプ区分槽305へ移送収容される。一方、この区分された古紙パルプUPPの所定分量に対応して、濃度調整用給水ポンプ27により、濃度調整用給水部13の白水回収槽20から上記濃度調整部位302の濃度調整槽307に、水Wが約3000cc(正確には、古紙パルプUPPの所定分量(150cc)との合計が3000ccとなる量)だけ移送収容される。
【0180】
続いて、上記パルプ区分槽305の排水口305aが排水弁305bにより開放されて、パルプ区分槽305の古紙パルプUPPが全量(150cc)、上記濃度調整槽307内へ自重により落下供給されて、濃度調整槽307内の水Wと混合される。これにより、濃度調整槽307内には、所定濃度(約0.1%濃度(目標濃度))のパルプ懸濁液PSが混合調製される。
【0181】
なお、上記濃度調整工程において、(a)上記パルプ区分槽305の古紙パルプUPPが上記濃度調整槽307内へ供給されてから、濃度調整用給水ポンプ27により、上記濃度調整槽307に水Wが移送収容されて、濃度調整槽307内の古紙パルプUPPと混合希釈されて、所定濃度(約0.1%濃度(目標濃度))のパルプ懸濁液PSが混合調製されるようにしてもよく、あるいは、(b)上記パルプ区分槽305の古紙パルプUPPが上記濃度調整槽307内へ供給されてから、濃度調整用給水ポンプ27により、水Wが、上記パルプ区分槽305を介して濃度調整槽307に水Wが移送収容されて、濃度調整槽307内で上記古紙パルプUPPと混合希釈されて、所定濃度(約0.1%濃度(目標濃度))のパルプ懸濁液PSが混合調製されるようにしてもよい。
【0182】
なお、この調製されるべきパルプ懸濁液PSの目標濃度は、予め行なった実験データに基づいて、抄紙部4における抄紙能力を考慮して設定され、図示の実施形態の場合は約0.1%濃度に設定されている。
【0183】
しかして、上記パルプ濃度調整部3の濃度調整槽307で約0.1%濃度(目標濃度)に調製されたパルプ懸濁液PSは、濃度調整槽307の底部の排水口307aが排水弁307bにより開放されて、その全量が次工程の抄紙部4のパルプ供給槽85へ自重により落下供給されて、貯留される。
【0184】
なお、パルプ濃度調整部3における古紙パルプUPPの濃度を区分形式で調整する濃度調整インターバルは、少なくとも、後工程の抄紙部4への濃度調整済みのパルプ懸濁液PSの供給能力が抄紙部4における抄紙処理能力を上回るように設定される。
【0185】
具体的には、上記濃度調整インターバルは、上記パルプ供給槽85内のパルプ懸濁液PSが一定値以下にならない程度のタイミングをもって設定され、例えば、抄紙部4が、3リットルのパルプ懸濁液PSを約1分間で抄紙処理するように制御されるとすると、上記パルプ濃度調整部3による濃度調整インターバルが1分以内に設定される。
【0186】
このように、パルプ濃度調整部3による濃度調整が全量一括式ではなく、区分形式つまり小出し形式で行われることにより、使用水量が大幅に減少されるばかりか、濃度調整槽307の形状寸法の大幅な縮小化も可能となり、さらには古紙再生装置1全体のコンパクト化が図られ得る。
【0187】
本実施形態の洗浄システムCSは、パルプ濃度調整部3による濃度調整が区分形式で行われる構成とされることに伴って、実施形態1の構成が若干改変されている。
【0188】
具体的には、本実施形態の洗浄システムCSは、図12に示すように、洗浄水循環経路R1〜R6が若干改変されている。
【0189】
すなわち、洗浄水循環経路R1〜R6は、具体的には、白水回収槽20から攪拌槽15に至る経路R1、攪拌槽15から叩解槽33に至る経路R2、叩解槽33から攪拌槽15に至る経路R3、パルプ貯留槽26からパルプ区分槽305に至る経路R4、白水回収槽20から濃度調整槽307に至る経路R5、およびパルプ供給槽85からパルプ供給部56に至る経路R6で構成されている。
【0190】
洗浄制御部120は、以下の洗浄工程(1)〜(6)を実行するように、上記給水部13の給水ポンプ21、27と循環ポンプ18、306、89を連動制御する構成とされており、またこの洗浄工程において、これらポンプ21、18、306、27、89の駆動に連動して、洗浄処理される上記パルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3、さらには抄紙部4を駆動制御する構成とされている。
【0191】
すなわち、実施形態1と同様に、図外の通常運転スイッチと別個独立して設けられた洗浄運転スイッチを入れると、上記洗浄制御部120により、以下の洗浄工程(1)〜(6)が実行されて、抄紙部4で脱水回収する白水Wが洗浄水としてパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3に循環して、これらパルプ製造部2およびパルプ濃度調整部3が洗浄される。
【0192】
(1)白水回収槽20内に脱水回収されている白水Wが、給水ポンプ21により、経路R1を介してパルプ製造部2の攪拌槽15に供給され、さらに供給ポンプ18により、経路R2を介して叩解槽33に入る。
【0193】
これと連動して、攪拌槽15の攪拌装置12および叩解槽33の叩解部材31、32が相対的に回転駆動し、これにより、洗浄水Wは、攪拌槽15から叩解槽33、さらには経路R3を介して再び攪拌槽15へと循環して、これら両槽15、33内の洗浄が行われる。
【0194】
(2)これら両槽15、33の洗浄後、攪拌槽15の洗浄水W全量がパルプ貯留槽26へ落下供給され、このパルプ貯留槽26内が洗浄される。
【0195】
(3)このパルプ貯留槽26の洗浄後、貯留槽26の洗浄水Wが、パルプ区分ポンプ306により、経路R4を介してパルプ区分槽305へ供給されて、このパルプ区分槽305内を洗浄した後、濃度調整槽307へ落下供給される。
一方、この濃度調整槽307には、濃度調整用給水ポンプ27により、白水回収槽20から別途洗浄水Wが経路R5を介して直接供給される。これらの洗浄水Wにより、濃度調整槽307内が洗浄される。
【0196】
(4)濃度調整槽307内の洗浄が済むと、洗浄水Wは、パルプ供給槽85へ落下供給されて、このパルプ供給槽85内が洗浄される。
【0197】
(5)パルプ供給槽85内の洗浄が済むと、このパルプ供給槽85内に収容される使用済みの洗浄液Wは、第2懸濁液供給ポンプ89により、経路R6を介して抄紙部4のパルプ供給部56へ供給され、網状ベルト60による抄紙工程を経て、上記洗浄液Wに含まれる古紙パルプUPPが再生紙RP(湿紙RP0)として除去(浄化処理)されて、再び上記白水回収槽20に回収される。
【0198】
パルプ供給槽85内の使用済み洗浄水Wがなくなったところで、洗浄処理工程1工程が完了する。
【0199】
(6)上記(1)〜(5)の工程を複数回繰り返す。
【0200】
なお、これら工程(1)〜(6)からなる洗浄システムCSによる循環洗浄が、本実施形態においては各古紙再生運転(パルプ製造部2、パルプ濃度調整部3および抄紙部4の通常運転)の終了毎に行う構成とされている点、また、本実施形態のように、通常運転と洗浄運転が別個独立した運転スイッチによる手動操作とされるほか、これら両運転が自動切替で行われる構成とされてもよく、例えば、上記抄紙部4で脱水回収する白水Wによる循環洗浄を、一日の古紙再生装置1の古紙再生運転の終了後に自動的に行う構成とされてもよく、この場合、洗浄システムCSによる洗浄運転が深夜に自動で行われる構成が好適に採用され得る点については、実施形態1と同様である。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
【0201】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明の実施形態1である古紙再生装置の全体構成を、装置ケースを切開して示す正面図である。
【図2】同じく同古紙再生装置の全体構成を、装置ケースを切開して示す側面図である。
【図3】同古紙再生装置におけるパルプ製造部の叩解部の主要部を示す正面断面図である。
【図4】同古紙再生装置における全体構成を模式的に示す概略構成図である。
【図5】同古紙再生装置の抄紙部の概略構成を示す斜視図である。
【図6】同抄紙部における駆動連結機構を示す平面図である。
【図7】同抄紙部におけるパルプ供給部の構成を拡大して示す斜視図である。
【図8】同じく同パルプ供給部の構成を一部切開して示す正面図である。
【図9】同抄紙部における脱水ロール部の圧搾脱水の具体的メカニズムを説明するための模式図で、図9(a)は基本的な圧搾脱水メカニズムを示し、図9(b)はスラリー化防止ロールが脱水ロール部の上流側近傍位置に設けられている場合の圧搾脱水メカニズムを示す。
【図10】同古紙再生装置の外観構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態2である古紙再生装置の全体構成を、装置ケースを切開して示す正面図である。
【図12】同古紙再生装置における全体構成を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0203】
UP 古紙
CUP 裁断古紙
W 水(白水)
UPP 古紙パルプ
PS パルプ懸濁液
RP0 湿紙
RP 再生紙
CS 洗浄システム
1〜R6 洗浄水循環経路
1 古紙再生装置
2 パルプ製造部
3 パルプ濃度調整部
4 抄紙部
5 制御部
13 給水部
15 攪拌槽
20 白水回収槽
26 濃度調整槽、パルプ貯留槽
27 濃度調整用給水ポンプ
301 古紙パルプ区分部(古紙パルプ区分手段)
302 濃度調整部(濃度調整手段)
305 パルプ区分槽
306 パルプ区分ポンプ
307 濃度調整槽
21 給水ポンプ
27 濃度調整用給水ポンプ
33 叩解槽
34 駆動源
44 第1懸濁液供給ポンプ
55 抄紙コンベア
56 パルプ供給部
60 網状ベルト
85 パルプ供給槽
89 第2懸濁液供給ポンプ
120 洗浄制御部
305 パルプ区分槽
306 パルプ区分ポンプ
307 濃度調整槽



【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部とを備えてなる古紙再生装置において、この古紙再生装置の装置構成部を洗浄処理する洗浄方法であって、
前記抄紙部で脱水回収する水を、洗浄水として少なくとも前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に循環させることにより、これら前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を洗浄する
ことを特徴とする古紙再生装置の洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄水を前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に複数回循環させる
ことを特徴とする請求項1に記載の古紙再生装置の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄に使用した使用済みの洗浄水を前記抄紙部により抄紙することにより、洗浄水を浄化処理する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の古紙再生装置の洗浄方法。
【請求項4】
前記抄紙部で脱水回収する水による循環洗浄を、各古紙再生運転の終了毎に行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の古紙再生装置の洗浄方法。
【請求項5】
前記抄紙部で脱水回収する水による循環洗浄を、一日の古紙再生装置の古紙再生運転の終了後に行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の古紙再生装置の洗浄方法。
【請求項6】
古紙が発生する場所に配置可能な什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙部とを備えてなる古紙再生装置において、この古紙再生装置の装置構成部を洗浄処理する洗浄システムであって、
前記抄紙部で脱水回収される水が前記装置構成部に帰還利用される水循環方式とされるとともに、前記装置構成部が前記水循環方式を利用して洗浄処理される構成とされている
ことを特徴とする古紙再生装置の洗浄システム。
【請求項7】
前記抄紙部で脱水回収される水が、少なくとも前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部に循環することにより、これら前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部が洗浄される構成とされている
ことを特徴とする請求項6に記載の古紙再生装置の洗浄システム。
【請求項8】
前記パルプ製造部に洗浄水を供給する洗浄水給水源と、
この洗浄水給水源から前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を介して前記給水源に帰還する洗浄水循環経路と、
この洗浄水循環経路に設けられ、洗浄水を洗浄水循環経路に循環させる循環ポンプと、
これら洗浄水給水源と循環ポンプを連動制御する洗浄制御部とを備えてなり、
前記洗浄水給水源は、前記抄紙部において濾過脱水される白水を回収する白水回収槽と、前記パルプ製造部に前記白水回収槽の白水を洗浄水として供給する給水ポンプとを備える
ことを特徴とする請求項7に記載の古紙再生装置の洗浄システム。
【請求項9】
前記洗浄制御部は、請求項1から5のいずれか一つの洗浄方法を実行するように前記洗浄水給水源と循環ポンプを連動制御する構成とされている
ことを特徴とする請求項8に記載の古紙再生装置の洗浄システム。
【請求項10】
前記洗浄制御部は、前記洗浄水給水源および循環ポンプの駆動に連動して、洗浄処理される前記パルプ製造部およびパルプ濃度調整部を駆動制御する構成とされている
ことを特徴とする請求項8に記載の古紙再生装置の洗浄システム。
【請求項11】
什器サイズの装置ケース内に、古紙を離解し叩解して古紙パルプを製造するパルプ製造部と、このパルプ製造部で製造された古紙パルプの濃度を調整するパルプ濃度調整部と、このパルプ濃度調整部で濃度調整された古紙パルプを抄紙して再生紙を製造する抄紙工程部と、これらパルプ製造部および抄紙工程部を連動して駆動制御する制御部を備えるとともに、これら装置構成部を洗浄処理する請求項6から10のいずれか一つに記載の洗浄システムを備える
ことを特徴とする古紙再生装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−184699(P2008−184699A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17198(P2007−17198)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000106782)株式会社シード (52)
【Fターム(参考)】