説明

可倒式ポール支持装置及び支持装置付可倒式ポール

【課題】雪面が十分固くない場合にも、可倒式ポールを安定的に固定する。
【解決手段】可倒式ポール支持装置300の本体100は、中央に孔部を備えるパイプ状の内壁部と、内壁部と共に、内壁部の周囲にリング状の収容部を形成する外壁部及び底面部と、を備えている。内壁部は、外壁部より上方に延びる内壁部突出部を有し、外壁部は下方へ向かうにつれて径が大きくなるように形成され、雪面又はアイスバーンに置いたときに、滑らないよう固定するため垂下部110を有している。蓋部200は、本体100に嵌め込まれる本体嵌合部及び突出部嵌合孔と、雪面上で横転した際に滑り落ちないように、又は滑り落ちる速度を抑えられるように設けられた径方向外側に延びる環状部204と、環状部204から中央の突出部嵌合孔に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面202と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可倒式ポール支持装置及び支持装置付可倒式ポールに関する。
【背景技術】
【0002】
アイスバーンの斜面を高速で下るスキーのスラローム競技等においては、競技者の滑るべきルートを決定する旗門として、可倒式ポールが使用されている。可倒式ポールは、時速数十キロから百キロを超える速さで滑降する競技者が通過するたびに、競技者の体に当たり倒されるため、旗門設置点に確実に固定されている必要がある。
【0003】
一般に、可倒式ポールを設置する際には、アイスバーンにドリルで穴を開け、その穴にネジ溝が立てられた可倒式ポールのねじ込み部を雪中にねじ込むことにより固定される。しかしながら、このような固定方法は、アイスバーンが深さ数十センチにわたり形成されている場合には、比較的安定して固定できるが、アイスバーンが薄い場合やアイスバーンが形成されていない場合には、固定される基盤が柔らかいため、可倒式ポールが倒されるたびに、雪面に開けられた穴は大きくなり、可倒式ポールは雪中から抜けやすくなる。
【0004】
競技中に可倒式ポールが抜けてしまった場合には、元の位置に刺しなおすこととなるが、穴が大きくなりすぎ、旗門の位置を変更しなければならない場合には、競技のやり直しに繋がる場合もある。スキー競技の練習中であっても、可倒式ポールが抜けた直後に滑降する者は、可倒式ポールを刺し直さなければならず、効率的な練習を困難にしている。
【0005】
可倒式ポールの抜けを防ぐための装置として、特許文献1には、可倒式ポールの雪中に埋め込まれる部分に接する溝を有するW型形状の可倒式ポール用抜け止め具が開示されている。また、特許文献2には、可倒式ポールの断面の半周分に接するくさび型形状のスキーポールの保持具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−57542号公報
【特許文献2】実公平6−22372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1及び特許文献2に記載されたような対策は、特定の条件の雪面において有効であるが、アイスバーンが薄い場合やアイスバーンが十分形成されていない雪面においては十分に固定できるものとはいえない。
【0008】
本発明は、上述の事情を鑑みてしたものであり、雪面が十分固くない場合にも、安定的に固定することができる可倒式ポール支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の可倒式ポール支持装置は、可倒式ポールの支持装置であって、前記可倒式ポールが接続されるための孔を有し、前記可倒式ポールの倒立中心線の周囲にリング状の空間として形成される収容部の内側の壁である内壁部と、前記収容部の外側の壁を形成し、外形形状となる外壁部と、前記収容部の底面を形成する底面部と、前記収容部の上面を形成する上面部と、を備える可倒式ポール支持装置である。
【0010】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記孔は、前記可倒式ポールの倒立方向に貫通する孔である、とすることができる。ここで、「倒立方向」とは、可倒式ポールが倒されていないときの倒立方向を意味する。
【0011】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記底面部は、接地面に固定するために突き刺される垂下部を有する、とすることができる。
【0012】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記上面部は、前記上面部の外側周縁から上面中央の前記孔に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面を有する、とすることができる。
【0013】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記内壁部の内側面には、前記可倒式ポールのねじ込み部に刻まれたネジ溝と噛み合うようなネジ溝を有する、とすることができる。
【0014】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記上面部は、周縁から径方向外側に延びる環状部を有する、とすることができる。
【0015】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記環状部は、径方向外側に凹凸を形成する係止突起部を有する、とすることができる。
【0016】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記外壁部の外側面形状は、前記可倒式ポールの倒立方向において、径が単調に変化するテーパ形状である、とすることができる。
【0017】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記収容部には、不定形状物又は固形物が収容されている、とすることができる。
【0018】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記上面部は蓋部として一体的に構成され、前記内壁部、前記外壁部及び前記底面部は、本体として一体的に構成され、前記本体の内壁部は、前記外壁部より、前記底面部からの距離を大きくして形成されることにより、前記外壁部より上方向に突出した内壁部突出部分を有し、前記蓋部は、前記内壁部突出部分の外側面、及び前記外壁部の上端である外壁部上端部に接触し、前記収容部となる溝を塞ぐように接続される、とすることができる。
【0019】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記底面部は蓋部として一体的に構成され、前記内壁部、前記外壁部及び前記上面部は、本体として一体的に構成され、前記本体の内壁部は、前記外壁部より、前記上面部からの距離を大きくして形成されることにより、前記外壁部より下方向に突出した内壁部突出部分を有し、前記蓋部は、前記内壁部突出部分の外側面、及び前記外壁部の下端である外壁部下端部に接触し、前記収容部となる溝を塞ぐように接続される、とすることができる。
【0020】
また、本発明の可倒式ポール支持装置は、前記本体の前記外壁部は、内側面の一部に溝を有し、前記蓋部は、前記溝が前記蓋部との対応する部分と噛み合わされることにより、固定される、とすることができる。
【0021】
本発明の支持装置付可倒式ポールは、上述に記載の可倒式ポール支持装置と、ポール及びヒンジを介して前記ポールに接続されたねじ込み部を有する可倒式ポールと、を備え、前記可倒式ポール支持装置の本体を貫通する孔には、前記可倒式ポールの前記ねじ込み部が挿入されている、ことを特徴とする支持装置付可倒式ポールである。
【0022】
また、本発明の支持装置付可倒式ポールは、前記孔に、前記ねじ込み部と共に挿入される、潰れやすい細長材料を更に備える、とすることができる。ここで、細長材料には、ザイル等に使用されるひもや、靭性のあるプラスチック材料、ゴム等の材料により作られているものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の本体の平面図である。
【図1B】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の本体の正面図である。
【図1C】図1AのA−A線における断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の蓋部の平面図である。
【図2B】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の蓋部の正面図である。
【図2C】図2AのB−B線における断面図である。
【図3A】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の正面図である。
【図3B】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の断面図である。
【図4】収容部に砂を詰めた場合の可倒式ポール支持装置の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の可倒式ポール支持装置の全体斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態の支持装置付可倒式ポールを示す図である。
【図7A】本発明の第2実施形態の可倒式ポール支持装置の蓋部の平面図である。
【図7B】本発明の第2実施形態の可倒式ポール支持装置の蓋部の正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の可倒式ポール支持装置の全体斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態の可倒式ポール支持装置の本体の断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態の可倒式ポール支持装置の蓋部の断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の可倒式ポール支持装置の全体斜視図である。
【図12A】本発明の第4実施形態の可倒式ポール支持装置の正面図である。
【図12B】本発明の第4実施形態の可倒式ポール支持装置の断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態の支持装置付可倒式ポールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図1A〜図6を参照して説明する。図1Aは、第1の実施形態の可倒式ポール支持装置の本体100の平面図であり、図1Bは、本体100の正面図であり、図1Cは、図1AのA−A線における本体100の断面図である。これらの図に示されるように、本体100は、中央に孔部106を備えるパイプ状の内壁部102と、内壁部102と共に、内壁部102の周囲にリング状の収容部108を形成する外壁部104及び底面部114と、を備えている。内壁部102は、外壁部104より上方に延びる内壁部突出部112を有し、外壁部104は下方へ向かうにつれて径が大きくなっている。また、外壁部104は底面部114より下方に先細の垂下部110を有し、雪面又はアイスバーンに置かれたときに、滑らないよう固定するために用いられる。
【0025】
図2Aは、第1の実施形態の可倒式ポール支持装置の蓋部200の平面図であり、図2Bは、蓋部200の正面図であり、図2Cは、図2AのB−B線における蓋部200の断面図である。蓋部200は、本体100の収容部108の上部に嵌め込まれる部分である本体嵌合部208と、本体の内壁部突出部112の外側に嵌められる突出部嵌合孔206と、雪面上で横転した際に、雪面上に係止されるように又は滑り落ちる速度が抑えられるように設けられた径方向外側に延びる環状部204と、環状部204から中央の突出部嵌合孔206に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面202と、を備えている。
【0026】
図3Aは、本体100及び蓋部200を組み立てた可倒式ポール支持装置300の正面図であり、図3Bは可倒式ポール支持装置300の断面図である。この図に示されるように、蓋部200の本体嵌合部208は、本体100の収容部108に嵌め込まれ、蓋部200の突出部嵌合孔206は、本体の内壁部突出部112の外面と接するように、本体100に取付られ、これにより収容部108は密閉される。
【0027】
図4は、収容部108に砂302を詰めた場合の可倒式ポール支持装置300の断面図である。ここで、本実施形態においては、収容部108に入れられるものを砂302としたが、適当な比重の粒状物・液状物や、コンクリート等の固体物であってもよい。図5には、この可倒式ポール支持装置300の全体斜視図が示されている。
【0028】
図6には、可倒式ポール支持装置300に可倒式ポール500が取り付けられた支持装置付可倒式ポール400が示されている。図の一点鎖線より下の部分は雪中部分540である。支持装置付可倒式ポール400は、可倒式ポール500と、登山等で使用されるザイル紐520と、前述の可倒式ポール支持装置300とで構成され、可倒式ポール500は、ポール502と、ポールを倒すための可動部分であるヒンジ部504と、雪中に埋め込むネジが切られているねじ込み部506と、を有している。
【0029】
競技者がポール502にぶつかった場合には、ポール502は斜め上方向に引っ張られる力を受けることになる。このうち、上方向の力の成分は、ポールが引き抜かれる方向の力であるが、この力は収容部108に詰められた砂302の質量により打ち消される。また、横方向の力の成分は、上方向と同様に収容部108に詰められた砂302の質量により打ち消されると共に、可倒式ポール支持装置300の外側面の雪に接する面積が大きいことにより、雪の単位面積当たりにかかる力を分散させて、穴が広がるのを防いでいる。
【0030】
設置方法としては、まず、ザイル紐520を可倒式ポール支持装置300の本体100の孔部106に通し、ねじ込み部506を、ザイル紐520を通した孔部106にねじ込む。これにより、ねじ込み部506は、可倒式ポール支持装置300に固定される。次に、ポールの設置点の雪面(アイスバーン)に、可倒式ポール支持装置300が入る程度の穴をドリル等で開け、可倒式ポール支持装置300を設置する。可倒式ポール支持装置300より下方に飛び出したねじ込み部506は、ポール設置場所の雪中に入り、そのまま固定される。ここで、本実施形態においては、ザイル紐520は潰れやすい細長材料のひとつとして使用したが、樹脂等その他の材料を使用した細長材料が使用できる。
【0031】
以上述べたように、本実施形態においては、可倒式ポール支持装置300は、ねじ込み部506を確実に固定すると共に、収容部108に入れられた砂等の内容物の質量により、ヒンジ部504を介してねじ込み部506に接続されたポール502が倒される際の衝撃にも耐えられるようにしているため、薄いアイスバーンや雪面においても、ポール502が倒された際に、ポール502が抜けたり、ポールを刺した雪中の穴が大きくなったりすることがなく、長時間に渡り安定的に使用することができる。
【0032】
また、本体100の外壁部104の径は、下方に向かうにつれて大きくなっているため、可倒式ポール支持装置300は雪中から抜けにくく、雪中に安定して保持されることができる。
【0033】
また、蓋部200には、中央の突出部嵌合孔206に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面202が設けられているため、競技者のスキー板が当たることによる事故やけが等の競技の妨げになることを防ぐことができる。
【0034】
また、本体100の外壁部104には、底面部114より下方に先細の垂下部110が設けられているため、雪面若しくはアイスバーンに置いたときに滑らないよう固定することができる。
【0035】
また、蓋部200には環状部204が設けられているため、可倒式ポール支持装置300が横転し、雪面又はアイスバーン上を滑り落ちそうになった場合にも、雪面又はアイスバーン上に係止される又は滑り落ちる速度を抑えることができる。
【0036】
また、本体100の孔部106は貫通孔であるため、可倒式ポール500のねじ込み部506の長短に関わらず挿すことができ、下方に飛び出したねじ込み部506は、そのまま雪中に固定することができる。
【0037】
また、本体100の収容部108に砂等の粒状物その他の内容物を詰めることとしているため、輸送の際には内容物を抜いて軽量化することができる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る可倒式ポール支持装置600について述べる。
【0039】
第2の実施形態に係る可倒式ポール支持装置600は、第1の実施形態に係る可倒式ポール支持装置300の蓋部200が、蓋部250となっており、他の構成は同一であるため、蓋部250についてのみ説明する。
【0040】
図7Aは、第2の実施形態の可倒式ポール支持装置600の蓋部250の平面図であり、図7Bは、蓋部250の正面図である。第1の実施形態の蓋部200と同様に、蓋部250は、本体100の収容部108の上部に嵌め込まれる部分である本体嵌合部258と、本体の内壁部突出部112の外側に嵌められる突出部嵌合孔256と、雪面上で横転した際に、雪面上に係止されるように又は滑り落ちる速度が抑えられるように設けられた径方向外側に延びる環状部254と、環状部204から中央の突出部嵌合孔256に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面252と、を備えている。ここで、環状部254は、図7Aの平面図にあるように径方向に凹凸を有し、より雪面上に係止されやすく、又は滑り落ちる速度が抑えられるようになっている。図8には、この可倒式ポール支持装置600の全体斜視図が示されている。
【0041】
したがって、本実施形態においては、第1実施形態に係る効果と同様の効果を有し、更に、可倒式ポール支持装置600は径方向に凹凸を有する環状部254を有するため、可倒式ポール支持装置600が雪面又はアイスバーン上を滑り落ちそうになった場合にも、より確実に雪面又はアイスバーン上に係止される又は滑り落ちる速度を抑えることができる。
【0042】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る可倒式ポール支持装置700について述べる。
【0043】
図9は、第3の実施形態に係る可倒式ポール支持装置700の本体150の断面について示す図である。第1の実施形態と同様に、本体150は、中央に孔部156を備えるパイプ状の内壁部152と、内壁部152と共に、内壁部152の周囲にリング状の収容部158を形成する外壁部154及び底面部164と、を備えている。内壁部152は、外壁部154より上方に延びる内壁部突出部162を有し、外壁部154は下方へ向かうにつれて径が大きくなっている。また、外壁部154は底面部164より下方に先細の垂下部160を有する。また、後述する蓋部270のネジ部280と係合するネジ溝を有する外壁部ネジ部174と、ねじ込み部506のネジ溝と係合するネジ溝を有する内壁部ネジ部172とを更に備えている。
【0044】
図10は、第3の実施形態に係る可倒式ポール支持装置700の蓋部270の断面について示す図である。第1の実施形態と同様に、蓋部270は、本体150の外壁部ネジ部174と係合して、収容部108の上部にネジ嵌めされるネジ部280を有するネジ嵌め部278と、本体の内壁部突出部112の外側に嵌められる突出部嵌合孔276と、雪面上で横転した際に、雪面上に係止されるように又は滑り落ちる速度が抑えられるように設けられた径方向外側に延びる環状部274と、環状部274から中央の突出部嵌合孔276に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面272と、を備えている。
【0045】
したがって、本実施形態においては、第1実施形態に係る効果と同様の効果を有し、更に、蓋部270のネジ部280と、本体150の外壁部ネジ部174とが係合して、ネジ嵌めされるため、転倒等により蓋部270が外れ、収容部108に入れられた砂等の内容物がこぼれ出したりするのを防ぐことができる。
【0046】
また、内壁部ネジ部172があることにより、孔部156に貫通されるねじ込み部506がより確実に固定され、ポールが倒される際の衝撃に対しても、より外れにくくすることができる。
【0047】
なお、第3実施形態においては、蓋部270と本体150の結合には、ネジ溝を用いることとしたが、はめ込み溝等その他の2つの部品を結合させるための機構を用いることができる。
【0048】
[第4実施形態]
図12Aは、第4の実施形態の可倒式ポール支持装置800の全体正面図であり、図12Bはその断面図である。可倒式ポール支持装置800は、本体820と蓋部840とから構成される点で、第1〜第4の実施形態と同様であるが、蓋部840が本体820の下にある点で異なっている。
【0049】
本体820は、中央に孔部826を備えるパイプ状の内壁部822と、内壁部822と共に、内壁部822の周囲にリング状の収容部827を形成する外壁部824及び上面部828と、を備えている。内壁部822は、外壁部824より下方に延びる内壁部突出部825を有し、外壁部824は下方へ向かうにつれて径が小さくなっている。上面部828は、外側周縁から上面中央の孔部826に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面829を有している。
【0050】
蓋部840は、本体820の収容部827の下部に底面を形成するために嵌め込まれる部分である本体嵌合部846と、雪面又はアイスバーンに置かれたときに滑らないよう固定するために用いられ、環状で下方に向かって延びる先細の垂下部842と、雪面上で横転した際に、雪面上に係止されるように又は滑り落ちる速度が抑えられるように設けられた径方向外側に延びる環状部844と、を有している。なお、蓋部840と本体820との結合には、上述した実施形態のような様々な2つの部品を結合させるための機構を用いることができる。
【0051】
設置方法としては、本体820の収容部827に砂を入れ、蓋部840を取付けて、上下を入れ替えると共に、第1の実施形態の同様に、ザイル紐を可倒式ポール支持装置800の本体820の孔部826に通し、可倒式ポールのねじ込み部を、ザイル紐を通した孔部826にねじ込む。次に、ポールの設置点の雪面(アイスバーン)に、可倒式ポール支持装置800が入る程度の穴をドリル等で開け、可倒式ポール支持装置800を設置する。
【0052】
したがって、本実施形態においては、収容部827に入れられた砂等の内容物の質量により、ポールが倒される際の衝撃にも耐えられるようにしているため、薄いアイスバーンや雪面においても、ポールが倒された際に、ポールが抜けたり、ポールを刺した雪中の穴が大きくなったりすることがなく、長時間に渡り安定的に使用することができる。
【0053】
また、本体820の外壁部824の径は、下方に向かうにつれて小さくなる逆テーパ形状となっているため、雪中に打ち込むように固定されることにより、雪中に安定して固定できる。
【0054】
また、上面部828は、中央の孔部826に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面829が設けられているため、競技者のスキー板が当たることによる事故やけが等の競技の妨げになることを防ぐことができる。
【0055】
また、蓋部840は、下方に先細の垂下部842が設けられているため、雪面若しくはアイスバーンに置いたときに滑らないよう固定することができる。
【0056】
また、蓋部840には環状部844が設けられているため、可倒式ポール支持装置800が横転し、雪面又はアイスバーン上を滑り落ちそうになった場合にも、雪面又はアイスバーン上に係止される又は滑り落ちる速度を抑えることができる。
【0057】
また、本体820の孔部826は貫通孔であるため、可倒式ポールのねじ込み部の長短に関わらず挿すことができ、下方に飛び出したねじ込み部は、そのまま雪中に固定することができる。
【0058】
また、本体820の収容部827に砂等の粒状物その他の内容物を詰めることとしているため、輸送の際には内容物を抜いて軽量化することができる。
【0059】
[第5実施形態]
図13には、本発明の第5の実施形態の支持装置付可倒式ポール900の全体正面図が示されている。
【0060】
可倒式ポール900は、第1の実施形態の支持装置付可倒式ポール400と同様に、ポール910と、ヒンジ部920と、蓋部930と、本体940とから構成され、蓋部930は、本体嵌合部及び突出部嵌合孔と共に、環状部932と、円錐型テーパ面934とを有しており、本体940は、収容部を形成する内壁部、外壁部及び底面部、並びに内壁部突出部及び垂下部110を有している。収容部には砂302が入れられている。
【0061】
本実施形態の支持装置付可倒式ポール900は、ねじ込み部を有さず、本体940が、ヒンジ部920の受け孔944を有している点で、第1の実施形態の支持装置付可倒式ポール400と異なっている。つまり、本実施形態の可倒式ポール900は、本体に貫通孔を有さず、本体940にヒンジ部の受け孔944を有することにより、ヒンジ部920が直接本体940に接続されるようにしている。
【0062】
このような構成としたとしても、第1実施形態と同様に、収容部108に入れられた砂等の内容物の質量により、ポール502が倒される際の衝撃にも耐えられるようにしているため、薄いアイスバーンや雪面においても、ポール502が倒された際に、ポール502が抜けたり、ポールを刺した雪中の穴が大きくなったりすることがなく、長時間に渡り安定的に使用することができ、第1実施形態のその他の効果についても同様に有する。
【0063】
なお、上述の実施形態においては、蓋部を本体から外れる構成としたが、内容物を詰めたあと本体から外せないこととし、一体型の構成としたとしても、本発明の技術的思想と異なるものではない。
【0064】
また、上述の実施形態においては、外壁部の外側面形状を径が上下方向に単調に変化する形状としたが、その他の形状であってもよく、また、外側面にフィン、螺旋状の突起、山状又は円錐状の細かな突起その他の凹凸を有していてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、内壁部及び外壁部を一体のものとして記載したが、別体としてもよく、更に互いに異なる材料としてもよい。この場合には、内壁部を靭性のある材料とし、可倒式ポールのねじ込み部がねじ込まれた際にねじ込み部のネジ溝に沿って変形しつつ、ねじ込み部を固定するものとすることができる。また、蓋部その他の部分を靭性のある材料としてもよい。
【0066】
また、上述の実施形態の設置方法においては、ポールを可倒式ポール支持装置に取り付けてから、雪面上に設置することとしたが、可倒式ポール支持装置を雪中に設置した後にポールを取り付けるようにしてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態においては、本発明の可倒式ポール支持装置は、スキー競技に使用する可倒式ポール支持装置であるとして記載したが、スキー競技に限らず、地盤に固定する可倒式ポールを使用する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 本体、102 内壁部、104 外壁部、106 孔部、108 収容部、110 垂下部、112 内壁部突出部、114 底面部、150 本体、152 内壁部、154 外壁部、156 孔部、158 収容部、160 垂下部、162 内壁部突出部、164 底面部、172 内壁部ネジ部、174 外壁部ネジ部、200 蓋部、202 円錐型テーパ面、204 環状部、206 突出部嵌合孔、208 本体嵌合部、250 蓋部、252 円錐型テーパ面、254 環状部、256 突出部嵌合孔、258 本体嵌合部、270 蓋部、272 円錐型テーパ面、274 環状部、276 突出部嵌合孔、278 ネジ嵌め部、280 ネジ部、300 可倒式ポール支持装置、302 砂、400 支持装置付可倒式ポール、500 可倒式ポール、502 ポール、504 ヒンジ部、506 ねじ込み部、520 ザイル紐、540 雪中部分、600 可倒式ポール支持装置、700 可倒式ポール支持装置、800 可倒式ポール支持装置、820 本体、822 内壁部、824 外壁部、825 内壁部突出部、826 孔部、827 収容部、828 上面部、829 円錐型テーパ面、840 蓋部、842 垂下部、844 環状部、846 本体嵌合部、900 可倒式ポール、910 ポール、920 ヒンジ部、930 蓋部、932 環状部、934 円錐型テーパ面、940 本体、944 受け孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可倒式ポールの支持装置であって、
前記可倒式ポールが接続されるための孔を有し、前記可倒式ポールの倒立中心線の周囲にリング状の空間として形成される収容部の内側の壁である内壁部と、
前記収容部の外側の壁を形成し、外形形状となる外壁部と、
前記収容部の底面を形成する底面部と、
前記収容部の上面を形成する上面部と、を備える可倒式ポール支持装置。
【請求項2】
前記孔は、前記可倒式ポールの倒立方向に貫通する孔である、ことを特徴とする請求項1に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項3】
前記底面部は、接地面に固定するために突き刺される垂下部を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項4】
前記上面部は、
前記上面部の外側周縁から上面中央の前記孔に向かい上方向に突出する円錐型テーパ面を有する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項5】
前記内壁部の内側面には、前記可倒式ポールのねじ込み部に刻まれたネジ溝と噛み合うようなネジ溝を有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項6】
前記上面部は、周縁から径方向外側に延びる環状部を有する、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項7】
前記環状部は、径方向外側に凹凸を形成する係止突起部を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項8】
前記外壁部の外側面形状は、前記可倒式ポールの倒立方向において、径が単調に変化するテーパ形状である、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項9】
前記収容部には、不定形状物が収容されている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項10】
前記収容部には、固形物が収容されている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項11】
前記上面部は蓋部として一体的に構成され、
前記内壁部、前記外壁部及び前記底面部は、本体として一体的に構成され、
前記本体の内壁部は、前記外壁部より、前記底面部からの距離を大きくして形成されることにより、前記外壁部より上方向に突出した内壁部突出部分を有し、
前記蓋部は、前記内壁部突出部分の外側面、及び前記外壁部の上端である外壁部上端部に接触し、前記収容部となる溝を塞ぐように接続される、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項12】
前記底面部は蓋部として一体的に構成され、
前記内壁部、前記外壁部及び前記上面部は、本体として一体的に構成され、
前記本体の内壁部は、前記外壁部より、前記上面部からの距離を大きくして形成されることにより、前記外壁部より下方向に突出した内壁部突出部分を有し、
前記蓋部は、前記内壁部突出部分の外側面、及び前記外壁部の下端である外壁部下端部に接触し、前記収容部となる溝を塞ぐように接続される、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項13】
前記本体の前記外壁部は、内側面の一部に溝を有し、
前記蓋部は、前記溝が前記蓋部との対応する部分と噛み合わされることにより、固定される、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の可倒式ポール支持装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の可倒式ポール支持装置と、
ポール及び前記ポールにヒンジ部を介して接続されたねじ込み部を有する可倒式ポールと、を備え、
前記可倒式ポール支持装置の本体を貫通する孔には、前記可倒式ポールの前記ねじ込み部が挿入されている、ことを特徴とする支持装置付可倒式ポール。
【請求項15】
前記孔に、前記ねじ込み部と共に挿入される、潰れやすい細長材料を更に備える、ことを特徴とする請求項14に記載の支持装置付可倒式ポール。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−36602(P2011−36602A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189468(P2009−189468)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(509232968)株式会社エムティック (1)
【出願人】(509232979)
【Fターム(参考)】