説明

可動人形

【課題】 言葉を喋り、見た感じ、触った感じが人間に極力近いものであって、構成が簡単で安価であり、大きさを容易に変えることができる可動人形を提供する。
【解決手段】 頭骨格部1、首骨格部2、脊髄骨格部18、肋骨骨格部19、肩骨格部4、腰骨格部5、上腕骨格部31、下腕骨格部33、手骨格部35、上脚骨格部40、下脚骨格部42及び足骨格部44の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材14を切断加工又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材15により締着することで各骨格部を製作し、各骨格部を連結する各関節部をマグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させて構成し、手骨格部35に自由に折曲可能な指骨格部36を取付け、人形上皮70を人肌を模した柔らかな触感にし、線状ヒーター52が発する熱で人形上皮70を暖めるようにし、内蔵する音声発生ユニット60を用いて喋らすようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等身大(身長140センチ以上)で、骨格部を極力、人の骨格部に近づけると同時に、骨格部を構成する部品の種類を少なくし、また、関節部の部品も共通化して構造を簡素化し、且つ見た感じ、触った感じ、言葉を喋ることなど人に極力近いものにした可動人形に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の等身大の人形としては、ファッションに使われているマネキンがあるが、このマネキンは、その材質が硬く、顔は無表情で身体全体に表現力がなく冷たい感じがするものが多く、マネキンによってはリアルな顔や髪型をしたものもあるが、表現している腕が上下するか、座っているか、立っているかに限定した人形でしかなかった。
【0003】
また、等身大で人肌に近い可動人形については、見た目は美しいが寒い季節には肌が冷たくなり、違和感を感じるものしかないのが現状である。また、この可動人形は重量が数十キログラムもあって重く、無表情で音声もなく喋らないものでしかなかった。人の操作で言葉を喋る人形としては小型の縫いぐるみ人形がある。
【0004】
従来の可動人形の一例として、上半身部品本体を軟質材で中空にフラッシュ成形し、この上半身部品本体に芯材を内装し、この芯材は、少なくとも上下方向に分割されると共に、揺動可能に連結された硬質材からなる第1芯材と第2芯材からなり、第1芯材は、上半身部品本体の腹部と同程度の長さで、且つ腹部よりも僅かに小型に形成されていて、二枚の前後片と、これらの前後片間に一端を摺動自在に連結した芯材間連結部材と、下半身転結部材を備えており、芯材間連結部材は、桿部の両端部に摺動ボールを一体形成してなり、摺動ボールを前後片の上端内面に形成した凹部で摺動自在に保持すると共に、他端側の摺動ボールを、第2芯材を構成する前後片の凹部で摺動自在に保持することにより第1芯材と第2芯材とを連結したものがある(特許文献1参照)
【特許文献1】特許公開2003−311025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の等身大の人形としてマネキンは、その材質が硬く、顔は無表情で身体全体に表現力がなく冷たい感じがするものが多く、また、等身大で人肌に近い可動人形については違和感があり、重量が数十キログラムもあって重く、無表情で音声もないために、言葉を喋り、見た感じ触った感じが人間に極力近い可動人形とは程遠いものであった。
【0006】
また、特許公開2003−311025号公報に開示された可動人形にあっては、腹部の芯材は第1芯材と第2芯材とで構成してあり、芯材間連結部材の摺動ボールを第1芯材の前後片の凹部で摺動自在に保持すると共に、他端側の摺動ボールを第2芯材の凹部で摺動自在に保持することにより、第1芯材と第2芯材とを連結した構成であるために、重量が大きくなるし、可動人形の大きさを小さくしたい場合、出来合いの第1芯材と第2芯材、芯材間連結部材を変える必要があり、可動人形の大きさを変えることが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するものであり、その目的とするところは、骨格部を極力、人の骨格部に近づけると同時に、骨格部を構成する部品の種類を少なくし、また、関節部の部品も共通化して構造を簡素化し、言葉を喋り、見た感じ触った感じが人間に極力近いものであって構成が簡単で安価であり、大きさを容易に変えることができる可動人形を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る可動人形は、人形骨格部と、この人形骨格部を覆う人形上皮とを備え、人形骨格部は、頭骨格部と、この頭骨格部に上側首関節部により連結された首骨格部と、脊髄骨格部に肋骨骨格部を取付けて構成され且つ首骨格部に脊髄骨格部が下側首関節部により連結された胴骨格部と、脊髄骨格部の上部に設けられた肩骨格部と、脊髄骨格部の下部に設けられた腰骨格部と、肩骨格部の左側に左肩関節部により連結された左手腕骨格部と、肩骨格部の右側に右肩関節部により連結された右手腕骨格部と、腰骨格部の左側に左股関節部により連結された左脚骨格部と、腰骨格部の右側に右股関節部により連結された右脚骨格部を有しており、左、右手腕骨格部は、上腕骨格部と、この上腕骨格部に肘関節部により連結された下腕骨格部と、この下腕骨格部に手首関節部により連結された手骨格部で構成してあり、左、右脚骨格部は、上脚骨格部と、この上脚骨格部に膝関節部により連結された下脚骨格部と、この下脚骨格部に足首関節部により連結された足骨格部で構成してあり、頭骨格部、首骨格部、脊髄骨格部、肋骨骨格部、肩骨格部、腰骨格部、上腕骨格部、下腕骨格部、手骨格部、上脚骨格部、下脚骨格部及び足骨格部の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材を切断加工し、又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材により締着することで各骨格部を製作するようにしたことを特徴とする。
【0009】
かかる構成により、頭骨格部、首骨格部、脊髄骨格部、肋骨骨格部、肩骨格部、腰骨格部、上腕骨格部、下腕骨格部、手骨格部、上脚骨格部、下脚骨格部及び足骨格部の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材を切断加工し、又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材により締着することで軽くて丈夫な各骨格部を製作することができる。しかも可動人形の大きさを小さくしたい場合、平板材を短く切断し曲げてねじ止めすればよく、可動人形の大きさが自由に可変でき、一種類の平板材を使って可動人形の大きさを容易に変えることができる。
【0010】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、上、下側首関節部、左、右肩関節部、左、右股関節部、肘関節部、手首関節部、膝関節部及び足首関節部はマグネット部と鉄球部から構成してあり、マグネット部は、鉄球部の半径と同一半径の凹曲面部を有していて、この凹曲面部に鉄球部を磁気吸着させることによりマグネット部に鉄球部が連結してあり、マグネット部が鉄球部に対して相対的に屈曲動作及び回転動作を行なうことを特徴とする。
【0011】
かかる構成により、関節部は鉄球体とマグネット部との組合せで単純な機構にすることで共通化が可能になるし、関節部が軽量且つ丈夫で安価になる。
【0012】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、脊髄骨格部は平板材を首から腰下の部分まで折り曲げた骨格要素で閉ループを作り、当該骨格要素の重なった両端部をねじ部材により連結して前面部位と後面部位を形成して構成してあり、肋骨骨格部は平板材を折り曲げた骨格要素で閉ループを作り、この骨格要素の両端部を後面部位にねじ部材により連結して構成してあって、前面部位を閉ループが囲み、脊髄骨格部の前方に突出する形状であり、肩骨格部は、前面部位に固定された平板材からなる骨格要素としての複数本の鎖骨部材を有しており、これらの鎖骨部材の左端部に、平板材をその中央部で角度90度に捻った骨格要素としての左接続部材を介して骨格要素としての左肩側部材を取付けると共に、鎖骨部材の右端部に、左接続部材と同様な右接続部材を介して骨格要素としての右肩側部材を取付けて構成してあり、腰骨格部は、平板材を折り曲げて形成された骨格要素としての下腰骨格部材と、この下腰骨格部材の両端部に、接続部材を介して連結された骨格要素としての直線状の平板材からなる上腰骨格部材とで閉ループを形成して構成してあり、腰骨格部は、上腰骨格部材で前面部位にねじ部材により固定してあり、下腰骨格部材は脊髄骨格部の下端部にねじ部材により固定してあることを特徴とする。
【0013】
かかる構成により、脊髄骨格部の前面部位を肋骨骨格部の閉ループが囲み脊髄骨格部の前方に少し出る形で閉ループを形成するために、可動人形の胸が少し前に出る骨格構造になって胸の上皮をヒーターで温める際に熱の伝導をよくすることができるし、胸の空間を作ることにより音声発生ユニットや電池ユニット、ヒーターユニットのコネクタなどを肋骨骨格部に設置し易くなる。
【0014】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、手骨格部は、平板材を側面視で四角形状になるように折曲げた骨格要素で閉ループを作り、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材により固定して構成してあり、手骨格部に、自由に折曲げ可能な線材で形成された5本の指骨格部を取付けて構成するようにしたことを特徴とする。
【0015】
かかる構成により、指骨格部は人の操作で自由に折り曲げることができるために、可動人形の表情の表現ができる。
【0016】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、人形上皮は硬度0又は硬度5のウレタン樹脂で成形してあり、この人形上皮は、頭骨格部に被さる頭部上皮と、胴骨格部に被さる胴部上皮と、左手腕骨格部に被さる左腕部上皮と、右手腕骨格部に被さる右腕部上皮と、左手骨格部に被さる左手部上皮と、右手骨格部に被さる右手部上皮と、左脚骨格部に被さる左脚部上皮と、右脚骨格部に被さる右脚部上皮と、左足骨格部に被さる左足部上皮と、右足骨格部に被さる右足部上皮とを備え、胴部上皮の上部に首部上皮を形成して、この首部上皮を頭部上皮内に入り込ませるようにしたことを特徴とする。
【0017】
かかる構成により、人形上皮は硬度0又は硬度5のウレタン樹脂で成形してあるために、頭部上皮、胴部上皮、左腕部上皮、右腕部上皮、左手部上皮、右手部上皮、左脚部上皮、右脚部上皮、左足部上皮及び右足部上皮のそれぞれを人肌を模した柔らかな触感にすることができる。
【0018】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、頭骨格部と、首骨格部と、脊髄骨格部と、肋骨骨格部と、肩骨格部と、腰骨格部と、上腕骨格部と、下腕骨格部と、手骨格部と、上脚骨格部と、下脚骨格部と、足骨格部のそれぞれの骨格部と人形上皮との間の空間内に発泡スチロールなどの詰め物を詰めるようにしたことを特徴とする。
【0019】
かかる構成により、骨格部と人形上皮との間の空間の発泡スチロールなどの詰め物により、人形上皮に使われるウレタン樹脂の量が少なくてすむばかりでなく、可動人形全体の重量を極めて軽くすることができる。
【0020】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、胴骨格部に熱伝導性の良好なヒーター取付板を固着して、このヒーター取付板に電熱ヒーターを装着して、この電熱ヒーターが発する熱で人形上皮を暖めるようにしたことを特徴とする。
【0021】
かかる構成により、電熱ヒーターの熱が人形上皮のウレタン樹脂に熱が伝わり、人形上皮の表面を人の体温に近い温度に暖めることができる。
【0022】
また、本発明に係る可動人形は、上記した本発明に係る可動人形において、人形骨格部に音声発生ユニットを設け、この音声発生ユニットは、予め決められた言葉を記憶すると共に、この言葉の順番などのプログラムを記憶した記憶手段と、人が接近したことを検知する検知手段と、音声を出力する音声出力手段と、人の操作で出力する操作スイッチ手段と、操作スイッチ手段又は検知手段の出力に基づいて、記憶手段から言葉とプログラムを読み出して音声出力手段から言葉をプログラムにしたがって出力させるマイクロコンピュータを備えていることを特徴とする。
【0023】
かかる構成により、マイクロコンピュータは操作スイッチ手段又は検知手段の出力に基づいて記憶手段から予め決められた言葉及びプログラムを読み出し音声出力手段から言葉を出力させることができて可動人形を喋らすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る可動人形によれば、骨格部を極力、人の骨格部に近づけると同時に、骨格部を構成する部品の種類を少なくし、また、関節部の部品も共通化して構造を簡素化し、言葉を喋り、見た感じ触った感じが人間に極力近いものであって、構成が簡単で安価であり、大きさを容易に変えることができる。
【0025】
すなわち、詳細には、頭骨格部、首骨格部、脊髄骨格部、肋骨骨格部、肩骨格部、腰骨格部、上腕骨格部、下腕骨格部、手骨格部、上脚骨格部、下脚骨格部及び足骨格部の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材を切断加工し、又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材により締着することで、軽くて丈夫な各骨格部を製作することができる。また、可動人形の大きさを小さくする場合、平板材を短く切断し曲げてねじ止めすればよく可動人形の大きさが自由に可変でき、一種類の平板材を使って可動人形の大きさを容易に変えることができる。
【0026】
また、詳細には、上記した各関節部は鉄球体とマグネット部との組合せで単純な機構にすることで共通化が可能になるし、関節部が軽量且つ丈夫で安価になる。
【0027】
また、詳細には、脊髄骨格部の前面部位を肋骨骨格部の閉ループが囲み、しかも脊髄骨格部の前方に少し出る形で閉ループを形成して可動人形の胸が少し前に出る骨格構造にすることができて、胸の上皮をヒーターユニットで温める際に、熱の伝導をよくすることができるし、胸の空間を作ることにより音声発生ユニットや電池ユニット、ヒーターユニットのコネクタなどを肋骨骨格部に設置し易くなる。
【0028】
また、詳細には、指骨格部は人の操作で自由に折り曲げることができるために、可動人形の表情の表現ができる。
【0029】
また、詳細には、人形上皮は硬度0又は硬度5のウレタン樹脂で成形してあるために、頭部上皮、胴部上皮、左腕部上皮、右腕部上皮、左手部上皮、右手部上皮、左脚部上皮、右脚部上皮、左足部上皮及び右足部上皮のそれぞれを人肌を模した柔らかな触感にすることができる。
【0030】
また、詳細には、各骨格部と人形上皮との間の空間内に発泡スチロールなどの詰め物を詰めることにより、人形上皮に使われるウレタン樹脂の量が少なくてすむばかりでなく、可動人形全体の重量を極めて軽くすることができる。
【0031】
また、詳細には、熱伝導性の良好なヒーター取付板に電熱ヒーターを装着することにより、人形上皮のウレタン樹脂に熱が伝わり、人形上皮の表面を人の体温に近い温度に暖めることができる。
【0032】
また、詳細には、マイクロコンピュータは操作スイッチ手段又は検知手段の出力に基づいて、記憶手段から予め決められた言葉及びプログラムを読み出し音声出力手段から言葉を出力させることができて可動人形を喋らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る可動人形の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0034】
本発明に係る可動人形は、等身大(身長140センチ以上)であって、人形骨格部を極力、人の骨格部に近づけると同時に、人形骨格部を構成する部品の種類を少なくし、また、関節部の部品も共通化して構造を簡素化し、また、人の体温に近づけられるよう人形上皮と骨格部の間に電熱ヒーターを使い、人の操作で言葉を喋り、人形上皮として人肌に模したウレタン樹脂を使って目で美観を感じ人肌の触感を感じ、言葉を聞いて感動することにより親密感を得ることができる可動人形である。
【0035】
図1は本発明に係る可動人形において、人形上皮を縦断面して人形骨格部を正面から見た状態の構成説明図、図2は本発明に係る可動人形において、人形上皮を縦断面して人形骨格部を側面から見た状態の構成説明図、図3は本発明に係る可動人形の人形骨格部を正面から見た状態の構成説明図、図4は関節部の分解状態の斜視図である。なお、図1及び図3では、人形骨格部を正面から見た状態であるために、紙面の左が人形骨格部の右に、紙面の右が人形骨格部の左になる。
【0036】
本発明に係る可動人形は、図1に示すように、人形骨格部Aと、この人形骨格部Aを覆う人形上皮70とを備えている。そして、図3に示すように、人形骨格部Aは、頭骨格部1と、この頭骨格部1に上側首関節部17により連結された首骨格部2と、脊髄骨格部18に肋骨骨格部19を取付けて構成され且つ首骨格部2に脊髄骨格部18が下側首関節部22により連結された胴骨格部3と、脊髄骨格部18の上部に設けられた肩骨格部4と、脊髄骨格部18の下部に設けられた腰骨格部5と、肩骨格部4の左側に左肩関節部37Lにより連結された左手腕骨格部6Lと、肩骨格部4の右側に右肩関節部37Rにより連結された右手腕骨格部6Rと、腰骨格部5の左側に左股関節部46Lにより連結された左脚骨格部7Lと、腰骨格部5の右側に右股関節部46Rにより連結された右脚骨格部7Rを有している。
【0037】
そして、左、右手腕骨格部6L,6Rは、上腕骨格部31と、この上腕骨格部31に肘関節部32により連結された下腕骨格部33と、この下腕骨格部33に手首関節部34により連結された手骨格部35で構成してあり、左、右脚骨格部7L,7Rは、上脚骨格部40と、この上脚骨格部40に膝関節部41により連結された下脚骨格部42と、この下脚骨格部42に足首関節部43により連結された足骨格部44で構成してある。
【0038】
また、頭骨格部1、首骨格部2、脊髄骨格部18、肋骨骨格部19、肩骨格部4、腰骨格部5、上腕骨格部31、下腕骨格部33、手骨格部35、上脚骨格部40、下脚骨格部42及び足骨格部44の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材14を切断加工し、又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材15により締着することで、各骨格部が製作してある。
【0039】
そして、図4及び図5に示すように、上、下側首関節部17,22、左、右肩関節部37L,37R、左、右股関節部46L,46R、肘関節部32、手首関節部34、膝関節部41及び足首関節部43は、マグネット部11と鉄球部12から構成してあり、マグネット部11は、鉄球部12の半径と同一半径の凹曲面部11aを有していて、この凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることによりマグネット部11に鉄球部12が連結してあり、マグネット部11が鉄球部12に対して相対的に屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0040】
そして、マグネット部11には、その底部にタップねじ11bが切ってあり、このタップねじ11bを用いて各骨格部の取付部位にねじ止めすることができる。また、鉄球部12にはねじ部12aが取り付けてあり、このねじ部12aを用いて鉄球部12も各骨格部の取付部位にねじ止めすることができる。
【0041】
図6に示すように、頭骨格部1は頭底部1Aと頭輪郭部1Bとで構成してあり、頭底部1Aは、骨格要素である直線状の平板材14からなる底側部材1−1と、骨格要素である直線状の平板材14からなる端側部材1−2,1−3を有しており、頭骨輪郭部1Bは、平板材14を湾曲して形成された骨格要素である輪郭形成部材1−4、1−5、1−6を有していて、端側部材1−2に輪郭形成部材1−4をねじ部材15を用いて固着し、端側部材1−3に輪郭形成部材1−5をねじ部材15を用いて固着し、輪郭形成部材1−6の一端部を底側部材1−1の一端部と共に端側部材1−2に重ねてねじ部材15を用いて端側部材1−2に固着し、輪郭形成部材1−6の他端部を底側部材1−1の他端部と共に端側部材1−3に重ねてねじ部材15を用いて端側部材1−3に固着して構成してある。
【0042】
また、図7に示すように、首骨格部2は、直線状の平板材14を側面視で四角形状になるように折曲げた骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定した首側部材2−1で構成してある。
【0043】
そして、首骨格部2は上側首関節部17により頭骨格部1に連結してある。そして、この上側首関節部17の鉄球部12は頭骨格部1の関節取付部位である底部材1−1にねじ止めしてあり、マグネット部11は首骨格部2の上端部にねじ止めしてあって、凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることによりマグネット部11に鉄球部12が連結してあり、マグネット部11が鉄球部12に対して相対的に屈曲動作及び回転動作を行なう構成である。
【0044】
図8及び図9に示すように、胴骨格部3は脊髄骨格部18と肋骨骨格部19とで構成してある。脊髄骨格部18は平板材14を首から腰下の部分まで折り曲げて形成された閉ループの骨格要素を有しており、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により連結した脊髄部材3−1で構成してあり、この脊髄部材3−1は前面部位20と後面部位21を有する。
【0045】
また、肋骨骨格部19は平板材14を折り曲げて形成された閉ループの骨格要素を有しており、この骨格要素の重なり合う両端部を脊髄骨格部18の後面部位21にねじ部材15により連結した三個の肋骨骨格部材19−1で構成してある。このように、脊髄骨格部18の前面部位20を三個の肋骨骨格部材19−1の閉ループが囲み、しかも脊髄骨格部18の前方に少し出る形で閉ループを形成するために、可動人形の胸が少し前に出る骨格構造になっている。
【0046】
上記のように構成された胴骨格部3の脊髄骨格部18の上端部に、首骨格部2の下部が下側首関節部22を介して連結してある。この場合、この下側首関節部22のマグネット部11は脊髄骨格部18の上端部にねじ止めしてあり、鉄球部12は首骨格部2の下部にねじ止めしてあって、凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることによりマグネット部11に鉄球部12が連結してあり、マグネット部11が鉄球部12に対して相対的に屈曲動作及び回転動作を行なう構成である。
【0047】
また、図3に示すように、肩骨格部4は左、右手腕骨格部6L,6Rを支えるものであり、この肩骨格部4は、図10に示すように、脊髄骨格部2の前面部位20にねじ部材15で固定された平板材14からなる骨格要素としての二本の鎖骨部材24,25を有しており、これらの鎖骨部材24,25の左端部には、平板材14をその中央部で角度90度に捻った骨格要素である接続部材(例えば、タルキ止め部材)26の一端部がねじ部材15により固定してあり、二本の接続部材26の他端部には、平板材14を側面視でU字形状に屈曲した骨格要素としての左肩側部材28Lの両端部がねじ部材15で連結してある。
【0048】
また、二本の鎖骨部材24,25の右端部には、平板材14をその中央部で角度90度に捻った骨格要素である接続部材(例えば、タルキ止め部材)26の一端部がねじ部材15により固定してあり、二本の接続部材26の他端部には平板材14を側面視でU字形状に屈曲した骨格要素として右肩側部材28Rの両端部がねじ部材15で連結してある。
【0049】
また、図11に示すように、腰骨格部5は脊髄骨格部18にねじ止めしてある。この腰骨格部5は、平板材14をハート形状に折り曲げて形成された骨格要素としての下腰骨格部材29と、この下腰骨格部材29の両端部に、平板材14をその中央部で角度90度に捻った骨格要素としての接続部材(例えば、タルキ止め部材)26を介して連結された直線状の平板材14からなる骨格要素としての上腰骨格部材30とで構成してあって、腰骨格部5は閉ループを形成している。
【0050】
そして、この腰骨格部5は、その上腰骨格部材30の中央部で脊髄骨格部18の前面部位20にねじ部材15により固定してあり、また、下腰骨格部材29の最下部中央で脊髄骨格部18の下端部にねじ部材15により固定してある。
【0051】
図3及び図12に示すように、左、右手腕骨格部6L,6Rは上腕骨格部31と肘関節部32と下腕骨格部33と手首関節部34と手骨格部35を備えている。
【0052】
上腕骨格部31は直線状の平板材14を側面視で長方形状になるように折曲げて形成された骨格要素を有し、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定してなる上腕骨格部材31−1で構成してある。また、下腕骨格部33は直線状の平板材14を側面視で長方形状になるように折曲げて形成された骨格要素を有し、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定してなる下腕骨格部材33−1で構成してある。
【0053】
そして、肘関節部32のマグネット部11は上腕骨格部31の下端部にねじ止めしてあり、肘関節部32の鉄球部12は下腕骨格部33の上端部にねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0054】
手骨格部35は、直線状の平板材14を側面視で四角形状になるように折曲げて形成された骨格要素を有し、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定してなる手骨格部材35−1で構成してあり、この手骨格部材35−1には、アルミニウム線材で形成された5本の指骨格部36が取付けてあり、指骨格部36は人の操作で自由に折り曲げることができるために、可動人形の表情の表現ができるようになる。
【0055】
手首関節部34のマグネット部11は下腕骨格部33の下端部にねじ止めしてあり、手首関節部34の鉄球部12は手骨格部35の上端部にねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0056】
上記のように構成された左手腕骨格部6Lは、肩骨格部4の左肩側部材28Lに左肩関節部37Lにより連結してある。この左肩関節部37Lの鉄球部12は上腕骨格部31の上部の内側にねじ止めしてあり、左肩関節部37Lのマグネット部11は左肩側部材28Lにねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより左手腕骨格部6Lは左肩関節部37Lを支点にして屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0057】
また、右手腕骨格部6Rは、肩骨格部4の右肩側部材28Rに右肩関節部37Rにより連結してある。右肩関節部37Rの鉄球部12は上腕骨格部31の上部の内側にねじ止めしてあり、右肩関節部37Rのマグネット部11は右肩側部材28Rにねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより右手腕骨格部6Rは右肩関節部37Rを支点にして屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0058】
また、図3及び図13に示すように、左右の脚骨格部7L,7Rは上脚骨格部40と膝関節部41と下脚骨格部42と脚首関節部43と足骨格部44を備えている。
【0059】
上脚骨格部40は、直線状の平板材14を側面視で長方形状になるように折曲げて形成された骨格要素を有し、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定してなる上脚骨格部材40−1で構成してある。また、下脚骨格部42は直線状の平板材14を側面視で長方形状になるように折曲げて形成された骨格要素を有し、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定してなる下脚骨格部材42−1で構成してある。
【0060】
膝関節部41のマグネット部11は上脚骨格部40の下端部にねじ止めしてあり、膝関節部41の鉄球部12は下脚骨格部42の上端部にねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0061】
また、図13及び図14に示すように、足骨格部44は直線状の平板材14を側面視で長方形状になるように折曲げて形成された骨格要素を有し、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定した足輪郭部材44−1を備えており、この足輪郭部材44−1に、直線状の平板材14を側面視で逆U字形状に屈曲形成した骨格要素である踵部材45をネジ部材15で取付けて構成してある。
【0062】
足首関節部43のマグネット部11は下脚骨格部42の下端部にねじ止めしてあり、足首関節部43の鉄球部12は足骨格部44の踵部材45の上端部にねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0063】
上記のように構成された左脚骨格部7Lは、図3に示すように、腰部骨格部5の下腰骨格部材29の左側部に左股関節部46Lにより連結してある。この左股関節部46Lのマグネット部11は下腰骨格部材29の左側部にねじ止めしてあり、左股関節部46Lの鉄球部12は左の脚骨格部7Lの上脚骨格部40の上端部にねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより左の脚骨格部7Lは左股関節部46Lを支点にして屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0064】
また、右脚骨格部7Rは、図3に示すように、腰部骨格部5の下腰骨格部材29の右側部に右股関節部46Rにより連結してある。この右股関節部46Rのマグネット部11は下腰骨格部材29の右側部にねじ止めしてあり、右股関節部46Rの鉄球部12は右の脚骨格部7Rの上脚骨格部40の上端部にねじ止めしてあって、マグネット部11の凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることにより右の脚骨格部7Rは右股関節部46Rを支点にして屈曲動作及び回転動作を行なうものである。
【0065】
そして、図15に示すように、胴骨格部3の肋骨骨格部19には熱伝導性の優れた薄いアルミニウム材からなるヒーター取付板50がねじ部材15により固着してあり、このヒーター取付板50にヒーターユニット51の電熱ヒーターである線状ヒーター52と、この線状ヒーター52の両端末が接続された雌型コネクタ53が装着してある。
【0066】
図16に示すように、ヒーターユニット51は、線状ヒーター52と、雌型コネクタ53と、この雌型コネクタ53に挿抜可能に接続される雄型コネクタ54と、コントロールユニット55で構成してあり、このコントロールユニット55は、コンセント56と、オン・オフスイッチ57と、コンセント56をオン・オフスイッチ57に接続する配線コード58で構成してあり、オン・オフスイッチ57は雄型コネクタ54に配線コード59を介して接続してある。
【0067】
また、図17に音声発生ユニット60を示す。この音声発生ユニット60は、コントロールユニット61と、電池ユニット62と、操作スイッチ手段としてのスイッチユニット63と、検知手段としてのセンサーユニット(赤外線センサーユニット)64と、音声出力手段としてのスピーカーユニット65から構成してある。
【0068】
コントロールユニット61はマイクロコンピュータ66を備えていて、予め決められた言葉を人の音声をデジタル信号で記憶する記憶手段であるメモリ67と、デジタル信号で記憶されている音声をアナログ信号に変換する音声IC68と、プログラムを記憶する記憶手段であるプログラム用メモリ69を内蔵している。プログラム用メモリ69は音声発生の言葉の順番などのプログラムを記憶している。
【0069】
また、コントロールユニット61は、スイッチユニット63からのスイッチ信号を判断するスイッチ信号判断処理回路(図示せず)と、センサーユニット64が人の接近を検出して発生させる検出信号を判断するセンサー信号処理回路(図示せず)と、電池を音声発生ユニット60の電源として使うための制御回路61Aを備えている。
【0070】
そして、コントロールユニット61は胴部骨格部3の肋骨骨格部19にねじ止めで取付けてあり、電池ユニット62は脊髄骨格部18の後面部位21にねじ止めで取付けてある。また、スピーカーユニット65とセンサーユニット64は首骨格部2にねじ止めで取付けてあるし、スイッチユニット63は電池ユニット62の筐体の上蓋部分(図示せず)にねじ止めで取付けてあって、後述する人形上皮70と同一面内にあり、可動人形の表面に出ていて電池の交換作業とスイッチ操作が人により行えるようにしてある。
【0071】
図1及び図2に示すように、人形上皮70は硬度0又は硬度5のウレタン樹脂で成形してあって、人肌に近い触感を呈するものである。そして、この人形上皮70は、頭部上皮71、胴部上皮72、左腕部上皮73L、右腕部上皮73R、左手部上皮74L、右手部上皮74R、左脚部上皮75L、右脚部上皮75R、左足部上皮76L、右足部上皮76Rを備えており、胴部上皮72の上部に首部上皮77が一体に形成してある。
【0072】
そして、頭部上皮71、胴部上皮72、左腕部上皮73L、右腕部上皮73R、左手部上皮74L、右手部上皮74R、左脚部上皮75L、右脚部上皮75R、左足部上皮76L、右足部上皮76Rは、シリコーンゴム型に可動人形の各部位(頭部、胴部、左右の手腕部、左右の手部、左右の脚部、左右の足部)の外面に倣う中空型を挿入して、シリコーンゴム型の型面と中空型の表面との間に上記したウレタン樹脂を流し込むことで成形されるものである。
【0073】
そして、図1及び図2に示すように、頭部上皮71は頭骨格部1に被せてあり、胴部上皮72は胴骨格部3に被せてあって、胴部上皮72の上部の首部上皮77が頭部上皮71内に入り込んでいる。また、左腕部上皮73Lは左手腕骨格部6Lに被せてあり、右腕部上皮73Rは右手腕骨格部6Rに被せてあって、左腕部上皮73Lは胴部上皮72の左肩部分に入り込んでいるし、右腕部上皮73Rは胴部上皮72の右肩部分に入り込んでいる。
【0074】
また、左手部上皮74Lは左手骨格部6Lに被せてあり、右手部上皮74Rは右手骨格部6Rに被せてあり、左脚部上皮76Lは左脚骨格部7Lに被せてあり、右脚部上皮76Rは右脚骨格部7Rに被せてある。
【0075】
また、頭骨格部1と、首骨格部2と、脊髄骨格部18と、肋骨骨格部19と、肩骨格部4と、腰骨格部5と、上腕骨格部31と、下腕骨格部33と、手骨格部35と、上脚骨格部40と、下脚骨格部42と、足骨格部44のそれぞれの骨格部と人形上皮70との間の空間内には発泡スチロールなどの詰め物(図示せず)が詰めてある。
【0076】
上記した本発明に実施の形態によれば、頭骨格部1と、首骨格部2と、脊髄骨格部18と、肋骨骨格部19と、肩骨格部4と、腰骨格部5と、上腕骨格部31と、下腕骨格部33と、手骨格部35と、上脚骨格部40と、下脚骨格部42及び足骨格部44の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材14を切断加工し、又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材15により締着することで、軽くて丈夫な各骨格部を製作することができる。可動人形の大きさを小さくしたい場合、平板材14を短く切断し曲げてねじ止めすればよく、可動人形の大きさが自由に可変でき、一種類の平板材14を使って可動人形の大きさを容易に変えることができる。
【0077】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、上、下側首関節部17,22、左、右肩関節部37L,37R、左、右股関節部46L,46R、肘関節部32、手首関節部34、膝関節部41及び足首関節部43は、マグネット部11と鉄球部12から構成してあり、マグネット部11は、鉄球部12の半径と同一半径の凹曲面部11aを有していて、この凹曲面部11aに鉄球部12を磁気吸着させることによりマグネット部11に鉄球部12が連結してあり、マグネット部11が鉄球部12に対して相対的に屈曲動作及び回転動作を行なうこと可能であり、上記した各関節部は鉄球体12とマグネット部11との組合せで単純な機構にすることで共通化が可能になるし、各関節部が軽量且つ丈夫で安価になる。
【0078】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、脊髄骨格部18は平板材14を首から腰下の部分まで折り曲げた骨格要素で閉ループを作り、当該骨格要素の重なった両端部をねじ部材15により連結して前面部位20と後面部位21を形成して構成してあり、肋骨骨格部19は平板材14を折り曲げた骨格要素で閉ループを作り、この骨格要素の両端部を後面部位21にねじ部材15により連結して構成してあって、前面部位20を閉ループが囲み、脊髄骨格部18の前方に突出する形状であるために、可動人形の胸が少し前に出る骨格構造にすることができる。このために、胸の上皮をヒーターで温める際に熱の伝導をよくすることができるし、胸の空間を作ることにより音声発生ユニットや電池ユニット、ヒーターユニットのコネクタなどを肋骨骨格部に設置し易くなる。
【0079】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、手骨格部35は、平板材14を側面視で四角形状になるように折曲げた骨格要素で閉ループを作り、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材15により固定して構成してあり、手骨格部35に、自由に折曲げ可能なアルミニウム線材で形成された5本の指骨格部36を取付けて構成するようにしたことにより、指骨格部36は人の操作で自由に折り曲げることができるために、可動人形の表情の表現ができる。
【0080】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、人形上皮70は硬度0又は硬度5のウレタン樹脂で成形してあるために、頭部上皮71、胴部上皮72、左腕部上皮73L、右腕部上皮73R、左手部上皮74L、右手部上皮74R、左脚部上皮75L、右脚部上皮75R、左足部上皮76L及び右足部上皮76Rのそれぞれを、人肌を模した柔らかな触感にすることができる。
【0081】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、頭骨格部1と、首骨格部2と、脊髄骨格部18と、肋骨骨格部19と、肩骨格部4と、腰骨格部5と、上腕骨格部31と、下腕骨格部33と、手骨格部35と、上脚骨格部40と、下脚骨格部42及び足骨格部44のそれぞれの骨格部と人形上皮70との間の空間内に発泡スチロールなどの詰め物を詰めるようにしたことにより、人形上皮70に使われるウレタン樹脂の量が少なくてすむばかりでなく、可動人形全体の重量を極めて軽くすることができる。
【0082】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、胴骨格部3に熱伝導性の良好なヒーター取付板50を固着して、このヒーター取付板50に電熱ヒーターである線状ヒーター52を装着して、この線状ヒーター52が発する熱で人形上皮70を暖めるようにしたことにより、人形上皮70のウレタン樹脂に熱が伝わり、人形上皮70の表面を人の体温に近い温度に暖めることができる。
【0083】
また、上記した本発明に実施の形態によれば、マイクロコンピュータ66は操作スイッチ手段であるスイッチユニット63又は検知手段であるセンサーユニット64の出力に基づいて、メモリ67から予め決められた言葉及びプログラム用メモリ69からプログラムを読み出しスピーカーユニット65から言葉を出力させることができ、可動人形を喋らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る可動人形によれば、等身大(身長140センチ以上)で、骨格を極力、人の骨格に近づけると同時に、骨格を構成する部品の種類を少なくし、また、関節の部品も共通化して構造を簡素化し、且つ見た感じ、触った感じ、言葉を喋ることなど人に極力近いものにしたことにより各種の人形に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る可動人形において、人形上皮を縦断面して人形骨格部を正面から見た状態の構成説明図である。
【図2】本発明に係る可動人形において、人形上皮を縦断面して人形骨格部を側面から見た状態の構成説明図である。
【図3】本発明に係る可動人形の人形骨格部を正面から見た状態の構成説明図である。
【図4】関節部の分解状態の斜視図である。
【図5】関節部の取付け状態の断面図である。
【図6】頭骨格部の斜視図である。
【図7】首骨格部の正面図である。
【図8】胴骨格部の正面図である。
【図9】胴骨格部の側面図である。
【図10】肩骨格部の斜視図である。
【図11】腰骨格部の斜視図である。
【図12】左、右手腕骨格部の斜視図である。
【図13】左、右脚骨格部の斜視図である。
【図14】足骨格部の斜視図である。
【図15】胴骨格部にヒーター取付板と電熱ヒーターを装着した状態の説明図である。
【図16】ヒーターユニットの構成説明図である。
【図17】音声発生ユニットのブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
1 頭骨格部
1A 頭底部
1B 頭輪郭部
1−1 底側部材
1−2 端側部材
1−3 端側部材
1−4 輪郭形成部材
1−5 輪郭形成部材
1−6 輪郭形成部材
2 首骨格部
2−1 首側部材
3 胴骨格部
3−1 脊髄部材
4 肩骨格部
5 腰骨格部
6L 左手腕骨格部
6R 右手腕骨格部
7L 左脚骨格部
7R 右脚骨格部
11 マグネット部
11a 凹曲面部
11b タップねじ
12 鉄球部
12a ねじ部
14 平板材
15 ねじ部材
17 上側首関節部
18 脊髄骨格部
19 肋骨骨格部
19−1 肋骨骨格部材
20 前面部位
21 後面部位
22 下側首関節部
24 鎖骨部材
25 鎖骨部材
26 接続部材
28L 左肩側部材
28R 右肩側部材
29 下腰骨格部材
30 上腰骨格部材
31 上腕骨格部
31−1 上腕骨格部材
32 肘関節部
33 下腕骨格部
33−1 下腕骨格部材
34 手首関節部
35 手骨格部
35−1 手骨格部材
36 指骨格部
37L 左肩関節部
37R 右肩関節部
40 上脚骨格部
41 膝関節部
42 下脚骨格部
43 足首関節部
44 足骨格部
40−1 上脚骨格部材
41−1 下脚骨格部材
44−1 足輪郭部材
45 踵部材
46L 左股関節部
46R 右股関節部
50 ヒーター取付板
51 ヒーターユニット
52 線状ヒーター(電熱ヒーター)
53 雌型コネクタ
54 雄型コネクタ
55 コントロールユニット
60 音声発生ユニット
61 コントロールユニット
62 電池ユニット
63 スイッチユニット(操作スイッチ手段)
64 センサーユニット(検知手段)
65 スピーカーユニット(音声出力手段)
66 マイクロコンピュータ
67 メモリ(記憶手段)
69 プログラム用メモリ(記憶手段)
70 人形上皮
71 頭部上皮
72 胴部上皮
73L 左腕部上皮
73R 右腕部上皮
74L 左手部上皮
74R 右手部上皮
75L 左脚部上皮
75R 右脚部上皮
76L 左足部上皮
76R 右足部上皮
77 首部上皮

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形骨格部と、この人形骨格部を覆う人形上皮とを備え、前記人形骨格部は、頭骨格部と、この頭骨格部に上側首関節部により連結された首骨格部と、脊髄骨格部に肋骨骨格部を取付けて構成され且つ前記首骨格部に前記脊髄骨格部が下側首関節部により連結された胴骨格部と、前記脊髄骨格部の上部に設けられた肩骨格部と、前記脊髄骨格部の下部に設けられた腰骨格部と、前記肩骨格部の左側に左肩関節部により連結された左手腕骨格部と、前記肩骨格部の右側に右肩関節部により連結された右手腕骨格部と、前記腰骨格部の左側に左股関節部により連結された左脚骨格部と、前記腰骨格部の右側に右股関節部により連結された右脚骨格部を有しており、前記左、右手腕骨格部は、上腕骨格部と、この上腕骨格部に肘関節部により連結された下腕骨格部と、この下腕骨格部に手首関節部により連結された手骨格部で構成してあり、前記左、右脚骨格部は、上脚骨格部と、この上脚骨格部に膝関節部により連結された下脚骨格部と、この下脚骨格部に足首関節部により連結された足骨格部で構成してあり、前記頭骨格部、前記首骨格部、前記脊髄骨格部、前記肋骨骨格部、前記肩骨格部、前記腰骨格部、前記上腕骨格部、前記下腕骨格部、前記手骨格部、前記上脚骨格部、前記下脚骨格部及び前記足骨格部の各骨格部に合わせた寸法に一種類の長尺な平板材を切断加工し、又は曲げ加工して複数の骨格要素を作り、これらの骨格要素をねじ部材により締着することで前記各骨格部を製作するようにしたことを特徴とする可動人形。
【請求項2】
前記上、下側首関節部、前記左、右肩関節部、前記左、右股関節部、前記肘関節部、前記手首関節部、前記膝関節部及び前記足首関節部は、マグネット部と鉄球部から構成してあり、前記マグネット部は、前記鉄球部の半径と同一半径の凹曲面部を有していて、この凹曲面部に前記鉄球部を磁気吸着させることにより前記マグネット部に前記鉄球部が連結してあり、前記マグネット部が前記鉄球部に対して相対的に屈曲動作及び回転動作を行なうことを特徴とする請求項1に記載の可動人形。
【請求項3】
前記脊髄骨格部は前記平板材を首から腰下の部分まで折り曲げた前記骨格要素で閉ループを作り、当該骨格要素の重なった両端部を前記ねじ部材により連結して前面部位と後面部位を形成して構成してあり、前記肋骨骨格部は前記平板材を折り曲げた前記骨格要素で閉ループを作り、この骨格要素の両端部を前記後面部位に前記ねじ部材により連結して構成してあって、前記前面部位を前記閉ループが囲み、前記脊髄骨格部の前方に突出する形状であり、前記肩骨格部は、前記前面部位に固定された前記平板材からなる前記骨格要素としての複数本の鎖骨部材を有しており、これらの鎖骨部材の左端部に、前記平板材をその中央部で角度90度に捻った前記骨格要素としての左接続部材を介して前記骨格要素としての左肩側部材を取付けると共に、前記鎖骨部材の右端部に、前記左接続部材と同様な右接続部材を介して前記骨格要素としての右肩側部材を取付けて構成してあり、前記腰骨格部は、前記平板材を折り曲げて形成された前記骨格要素としての下腰骨格部材と、この下腰骨格部材の両端部に、前記接続部材を介して連結された前記骨格要素としての直線状の前記平板材からなる上腰骨格部材とで閉ループを形成して構成してあり、前記腰骨格部は、前記上腰骨格部材で前記前面部位にねじ部材により固定してあり、前記下腰骨格部材は前記脊髄骨格部の下端部にねじ部材により固定してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可動人形。
【請求項4】
前記手骨格部は、前記平板材を側面視で四角形状になるように折曲げた前記骨格要素で閉ループを作り、この骨格要素の重なり合う両端部をねじ部材により固定して構成してあり、前記手骨格部に、自由に折曲げ可能な線材で形成された5本の指骨格部を取付けて構成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかの一に記載の可動人形。
【請求項5】
前記人形上皮は硬度0又は硬度5のウレタン樹脂で成形してあり、この人形上皮は、前記頭骨格部に被さる頭部上皮と、前記胴骨格部に被さる胴部上皮と、前記左手腕骨格部に被さる左腕部上皮と、前記右手腕骨格部に被さる右腕部上皮と、前記左手骨格部に被さる左手部上皮と、前記右手骨格部に被さる右手部上皮と、前記左脚骨格部に被さる左脚部上皮と、前記右脚骨格部に被さる右脚部上皮と、前記左足骨格部に被さる左足部上皮と、前記右足骨格部に被さる右足部上皮とを備え、前記胴部上皮の上部に首部上皮を形成して、この首部上皮を前記頭部上皮内に入り込ませるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかの一に記載の可動人形。
【請求項6】
前記頭骨格部と、前記首骨格部と、前記脊髄骨格部と、前記肋骨骨格部と、前記肩骨格部と、前記腰骨格部と、前記上腕骨格部と、前記下腕骨格部と、前記手骨格部と、前記上脚骨格部と、前記下脚骨格部と、前記足骨格部のそれぞれの骨格部と前記人形上皮との間の空間内に発泡スチロール等の詰め物を詰めるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の可動人形。
【請求項7】
前記胴骨格部に熱伝導性の良好なヒーター取付板を固着して、このヒーター取付板に電熱ヒーターを装着して、この電熱ヒーターが発する熱で前記人形上皮を暖めるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の可動人形。
【請求項8】
前記人形骨格部に音声発生ユニットを設け、この音声発生ユニットは、予め決められた言葉を記憶すると共に、この言葉の順番等のプログラムを記憶した記憶手段と、人が接近したことを検知する検知手段と、音声を出力する音声出力手段と、人の操作で出力する操作スイッチ手段と、前記操作スイッチ手段又は前記検知手段の出力に基づいて、前記記憶手段から前記言葉及び前記プログラムを読み出して前記音声出力手段から前記言葉を前記プログラムにしたがって出力させるマイクロコンピュータを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかの一に記載の可動人形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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