説明

可変インダクター

【課題】電力損失を抑制し且つインダクタンス値を大幅に変化させることが可能な可変インダクターを提供すること。
【解決手段】磁性体の円環構造の一部に磁気ギャップG1,G2が形成された2以上のリングコア11,12を有し且つその端面同士を突き合わせて配置し、前記リングコア11,12は、前記磁気ギャップG1,G2の位置関係が円周方向にずれる方向に相対回転可能にケース20に組み込んでいる。このリングコア11,12を相対回転させると、前記磁気ギャップG1,G2の位置関係が円周方向にずれて、前記磁気ギャップG1,G2における漏洩磁束が夫々相手方のリングコア12,11の磁気ギャップ或いは磁気ギャップのない端面にて結合するため、磁気ギャップG1,G2の効果が低下し、リングコア11,12の磁気飽和が変化し、インダクタンスの可変設定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変インダクターに係り、特に、インダクタンス値を比較的広範囲にわたって可変設定することを可能とした可変インダクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高周波機器分野では、各種の回路,用途に応じてインダクターが使われている。インダクターは、例えばコンデンサーと組みあわせることによって、共振回路,フィルタ,マッチング回路などを構築するものである。インダクターが用いられる高周波回路は、高周波損失などの少ないものが必要であり、しかも高いQが要求されるものである。更に、インダクターは、磁気飽和しない範囲で用いられることが一般的であり、耐磁気飽和性が要求される。
【0003】
インダクタンス値を可変設定する従来技術としては、例えば下記特許文献1に示すように、従来からいくつかの先行例が知られている。この特許文献1には、異なるインダクタンス値を有する二つのコイルを、その中心軸をほぼ同一として、上下に配置した可変インダクターが開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示された従来技術では、2つのコイルのコイル端の相互間隔を短くすると、一方のコイルに電流を流したときに発生する磁束の内、他方のコイルを通る鎖交磁束が増える。このため、相互インダクタンスが大きくなる。又、2つのコイルのコイル端の相互間隔離を長くすると、一方のコイルに電流を流したときに発生する磁束の内、他方のコイルを通る鎖交磁束が減る。このため、他方のコイルを通らない漏れ磁束が増えるため、相互インダクタンスが小さくなる。
かかる状態の変化は、即ち、インダクタンス値が可変設定された状態として捉えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−303120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に開示された可変インダクターは、2つのコイル間における距離の長短による鎖交磁束の増減に基づいて相互インダクタンス値を変化させるものであり、コイルにコアを用いないものであるから、次のような課題がある。
【0007】
即ち、特許文献1に開示された可変インダクターは、コアレスであるため、コイルの巻数を少なくして大きなインダクタンスを得ることができず、大きなインダクタンスを得るには、コイルの巻き線長を長くせざるを得ないという課題がある。
又、この特許文献1に開示された可変インダクターは、コイルの巻線長を長くすると、巻線の有する電気抵抗が大きくなり、これが電力損失を招来するという不都合がある。
【0008】
〔発明の目的〕
本発明は、電力損失が少なく、且つインダクタンス値を連続して変化させることが可能な可変インダクターを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る可変インダクターは、インダクタンス値を変化させることが可能な可変インダクターであって、磁性体の円環構造の一部に磁気ギャップが形成された2以上のリング状磁性体を有し、前記リング状磁性体は、その端面同士を突き合わせて配置し、前記リング状磁性体は、前記磁気ギャップの位置関係が円周方向にずれる方向に相対回転可能にリング状ケースに組み込んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述したように構成したので、これによると、突き合わせて配置したリングコアを相対回転させると、リングコアの磁気ギャップの位置関係が円周方向にずれることにより、前記磁気ギャップにおける漏洩磁束が夫々相手方リングコアの磁気ギャップのない端面によって再び相手側リングコア内に結合するため、磁気ギャップの効果が低下し、結果として電流によるリングコアの磁気飽和と、インダクタンス値を連続して可変設定することができ、同時に全体的な形状を変化させることなく当該インダクタンス値の変化率を大きく設定することができるという従来にない優れた可変インダクターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る可変インダクターの一実施形態を示す図で、図1(a)はその全体を示す斜視図、図1(b)は図1(a)の縦断面図である。
【図2】図1に開示した実施形態におけるケースと磁性体リングコアとの関係を示す図で、図2(a)はケース部分を一部断面した斜視図、図2(b)は対向する端面を当接させて配置した一方と他方の磁性体リングコアの関係を示す説明図である。
【図3】図1に開示した実施形態における磁性体リングコアと巻線との関係を示す図で、図3(a)は磁性体リングコアを組み込んだケースに巻線を施した状態を示す平面図、図3(b)は磁性体リングコアを回転させるための回転駆動機構の一部を磁性体リングコアに組み付けした場合の例を示す説明図である。
【図4】図1に開示した実施形態における磁性体リングコアとリングコア回転駆動機構との関係を示す図で、図4(a)は磁性体リングコアの回転前の状態を示す説明図、図4(b)は磁性体リングコアの90度回転後の状態を示す説明図である。
【図5】図1に開示した実施形態における可変インダクターによって得られた実験値を示し、磁性体リングコアの回転角度θの変化に対するインダクタンス値の変化を示す線図である。
【図6】本発明に係る可変インダクターの他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を添付図に基づいて詳細に説明する。
最初に、本実施形態にかかる可変インダクターの基本的構成における理論的背景を説明し、その後に、本実施形態における可変インダクターの具体的な構成内容について詳細に説明する。
【0013】
〔理論的背景〕
インダクタンスを可変にするにあたって、先ず、トロイダル・コイルのインダクタンスについて考察する。
トロイダル・コイルは、従来より円環構造のトロイダルコアに巻線を施した構造のものとして知られている。この種のトロイダル・コイルのインダクタンスは、インダクタンスをL,トロイダルコアに巻かれた巻線の巻き数をN,トロイダルコアの透磁率をμ,トロイダルコアの断面積をA,トロイダルコアの平均磁路長をρとすると、次の式(1)で表すことができる。

(1)

この式(1)からすると、トロイダル・コイルのインダクタンスの値は、巻線の巻き数N,トロイダルコアの透磁率μ,トロイダルコアの断面積A,トロイダルコアの平均磁路長ρにより決定される。そして、そのインダクタンスの値を変化させるには、これらの各演算素子の何れかを変化させれば良いこととなるが、従来技術における完成品のトロイダル・コイルでは、これらの値は固定値であり、従ってインダクタンスの値を可変にすることはできない。
【0014】
インダクタンスの可変に関しては次のことが想定される。即ち、トロイダルコアは閉ループを構成しているから、トロイダル・コイルが生じる磁束は、殆どがトロイダルコア内 閉じ込められる。トロイダル・コイルが生じた磁束φは、全ての巻線と鎖交し、鎖交磁束数Φは、Φ=Nφとなる。
鎖交磁束数をΦ,インダクタンスをL,巻線に流れる電流をIとすると、Φ=LIであるから、この式からすると、鎖交磁束数Φを変化させれば、インダクタンスを可変させることができることとなる。
【0015】
前述した特許文献1に開示された可変インダクターでは、2つのコイル間における距離の長短による鎖交磁束の増減に基づいて相互インダクタンス値を変化させることを意図したものであるが、前述したような課題がある。
【0016】
また、トロイダルコアに磁気ギャップを設けると、信号(電源等)電流による磁性体リングコアの磁気飽和を緩和する、つまり、より大きな使用電流値まで磁気飽和現象を延ばすことができるから、トロイダルコアに磁気ギャップを設けて磁気飽和電流を大きくする技術が広く用いられている。しかし、トロイダルコアに磁気ギャップを設けると、磁気抵抗を増加させることになり、結果として、トロイダル・コイルのインタクタンスを低下させることとなる。
【0017】
そこで、本発明者は図1及び図2に示すように、磁気ギャップを有する複数のリング状磁性体を組みあわせることにより、磁気ギャップの効果を低下させて、結果として電流によるリング状磁性体の磁気飽和の抑制と、インダクタンスを可変することができる可変インダクターを開発した。
【0018】
〔構成内容〕
本発明の一実施形態に係る可変インダクターを、図1乃至図5に基づいて説明する。
【0019】
(基本的構成)
図1乃至図2において、可変インダクター1は、円環状に形成された磁性体の一部に同一幅の磁気ギャップG,G(図2(b)参照)がそれぞれ設けられた2つのリング状磁性体11,12を備えている。この各リング状磁性体(以下「リングコア」という)11,12は、図2に示すようにその端面同士を突き合わして積層された状態に配置されている。又、本実施形態では、この2つのリングコア11,12は同一の形状および大きさのものが使用され、それぞれが同一中心軸上に配置されている。
【0020】
ここで、2個のリングコア11,12は、本実施形態では、それぞれ透磁率μが等しい磁性体によって形成され、その磁気ギャップG,Gの幅d,dも、それぞれ等しい場合について説明する。
【0021】
このリングコア11,12は、前述した磁気ギャップG,Gの位置関係が円周方向にずれる方向に相対回転可能にリング状ケース20に組み込まれている。これにより、前記磁性体リングコア11,12は、同心円筒形状ケース内で前記磁気ギャップG,G3位置関係が円周方向にずれる方向に相対回転可能となっている。
【0022】
この場合、リングコア11,12は、その相対回転の際に、前記一のリングコア11の磁気ギャップGは、相手方の他のリングコア12との当接面側が当該相手方のリングコア12の前記磁気ギャップG或いは磁気ギャップGの無い領域の面に対面した状態(本実施形態では当接した状態)になるように配設されている。
【0023】
又、本実施形態における可変インダクター1の要部である巻線2は、前記リングコア11,12に鎖交させた状態で、前記リング状ケース20の外側に、インダクタンスの設定値に応じて特定される所定回数分、巻回装備されている(図1参照)。符号5は、前述したドーナツ状のリング状ケース20とこれに巻回された巻線2とによって形成されたトロイダル・コイルを示す。
【0024】
即ち、2段に重ねたリングコア11,12を収納した非磁性体金属部材或いは絶縁材(以下「非磁性体材」という)から成るリング状ケース20の外側には、数10ターンの巻線2が、前記リングコア11,12に鎖交させて施されている。これにより、前記巻線2と前記リングコア11,12との間が電気的に絶縁されたトロイダル・コイル5が得られる。この場合、前記巻線2としては、表面に絶縁材を塗布した線材が用られている。
【0025】
ここで、前述した各リングコア11,12は、本実施形態では同一形状で且つ内径及ぶ外径が同一寸法のリング状に形成され、その中心軸線が前述したように相互に一致した状態でリング状ケース20に組み込まれている。
【0026】
リング状ケース20は、非磁性体材から成り、図1(b)および図2(a)に示すように、内筒20A及び外筒20Bと、これらを一体的に連結し且つ内部にリングコア11,12用の空間を形成するドーナツ状の上蓋20Cおよび下蓋20Dとを備えている。
このリング状ケース20の内径側の空間領域20Kには、前述した各リングコア11,12の内のーのリングコア11を他のーのリングコア12との当接状態を維持しつつその当接円周面上を往復移動させるための往復回転力付勢機構30が、後述するように前記リング状ケース20と一体的に装備されている。
【0027】
この往復回転力付勢機構30は、本実施形態では、図3および図4に示す前述のリング状ケース20の中心軸に沿って回転自在に装備された駆動軸31と、この駆動軸31の往復回転力を前記巻線2の線相互間の隙間領域および内筒20Aに予め切除された紐駆動孔21,22を介して前記リングコア11に伝達する駆動力伝達部材32とにより構成されている。
【0028】
ここで、前述した往復回転力付勢機構30の駆動力伝達部材32は、本実施形態では一端部がそれぞれ前記駆動軸31に固着され且つ異なった巻き取り方向で当該駆動軸31に複数回巻き取られた状態の少なくとも二本の駆動用紐部材32A,32Bで構成されている。そして、この各紐部材32A,32Bの各先端部が、前述したリング状ケース20内の内径側に沿ってそれぞれ反対方向に向けて敷設され且つその先端部が同ー部材である前記リングコア11の紐部材係止部15,16に固着装備されている。
【0029】
この場合、この各駆動用紐部材32A,32Bは、リング状ケース20の内径側(具体的には内筒20Aの内壁面)に沿って敷設され(図3(b),図4参照)、前述した各リングコア11,12の内のーのリングコア11を、他のーのリングコア12との当接状態体を維持しつつその当接円周面上にて且つリング状ケース20内で、往復移動させる機能を備えている。
【0030】
(具体的構成)
上述した各構成要素について、更に詳細に説明する。
各リングコア11,12は、前述したようにリング状ケース20内に二段重ねの状態で収納されている。この場合、下方に収納されたリングコア12は、リング状ケース20内には接着剤等で固着された状態で収納されている。一方、上方に収納されたリングコア11は、リング状ケース20内に、中心軸線Pを回転中心として往復回転自在に収納装備されている。
【0031】
前述した往復回転力付勢機構30の一部を成す二本の駆動用紐部材32A,32Bは、前述したリングコア11に往復移動力を付勢するためのもので、本実施形態ではそれぞれが同一の長さに設定され、前述したリングコア11が図4(a)の位置に有る場合にはその半分以上の長さが駆動軸31にそれぞれ逆方向に巻回された状態に装備されている。
【0032】
図4(a)では、駆動軸31に二本の駆動用紐部材32A,32Bがそれぞれ巻き付けられた状態を示す。この場合、各駆動用紐部材32A,32Bについては、緩んだ状態が示されているが、説明の便宜上そのように図示したのであって、実際には図3(a)に示すように駆動軸31に密着した状態で巻き付けられている。これにより、リングコア11の回転駆動に際しては、引っ張り側の駆動用紐部材32A又は32Bが、弛まないようになっている。
【0033】
又、各駆動用紐部材32A,32Bは、その先端部が、磁気ギャップGの位置から図3(b)の左右の方向にそれぞれ60度離れた位置のリングコア11上に、予め固着した状態にて設置された非磁性体の留め具15,16によって固着されている。
これによって、上記リングコア11は、後述する紐駆動孔との関係で、図4(a)の状態から左右方向にそれぞれ少なくとも100度の往復回動範囲が確保された状態となっている。
【0034】
更に、駆動軸31を中心として磁気ギャップGの反対側の内筒20A部分(180度離れた位置)には、前述した駆動用紐部材32A,32Bをリング状ケース20内に送り込み又は引き出すための前述した紐駆動孔(ケース孔)21,22が設けられている。
この各紐駆動孔21,22は、本実施形態では図3(b)に示すXーY座標上にあって、Y軸に対して左右10度に位置で且つ図1(a)に示す高さ位置に設けられている。
【0035】
そして、この各駆動用紐部材32A,32Bの内、図3(a)の左側の内部に敷設された駆動用紐部材32Aは、紐駆動孔21を介して駆動軸31側から送り込まれると共に、駆動軸31上では矢印aに示すように左巻きに巻回されるようになっている。
又、図3(a)の右側の内部に敷設された駆動用紐部材32Bは、紐用駆動孔22を介して駆動軸31側から送り込まれると共に、駆動軸31上では点線矢印aの反対方向の右巻きに巻回されるようになっている。
【0036】
このため、各駆動用紐部材32A,32Bは、前述した駆動軸31と紐駆動孔21,22との間の空間では、交差した状態に配設されている。これにより、駆動軸31を左回しするとリングコア11も左回りに回動し、駆動軸31を右回しするとリングコア11も右回りに回動するようになっている。
符号31Dは、駆動軸31の先端部に装着された回動用つまみを示す。オペレータは、後述するように、この回動用つまみ31Dを回すことにより、可変リアクターのインダクタンスの値を適度に且つ自在に設定し得るようになっている。
【0037】
上記した各駆動用紐部材32A,32Bは、駆動軸31上では、図1(b)に示すように仕切板31aを介して上側に駆動用紐部材32Bが巻き取られるようになっており、また仕切板31aを介して下側に駆動用紐部材32Aが巻き取られるようになっている。これにより、各駆動用紐部材32A,32Bが図3(a)の左右に分かれての走行稼働領域が別々に設定され、それぞれが連動して円滑に機能し得るように配置されている。
【0038】
今、図4(a)の状態から往復回転力付勢機構30の前記駆動軸31を反時計方向に90度回転させると、図4(b)に示すように、一方の駆動用紐部材32Aがリング状ケース20から紐駆動孔21を介して引き出されて前記駆動軸31に巻き取られると共に、他方の駆動用紐部材32Bは当該駆動軸31から繰り出されて、リング状ケース20内に送り込まれる。
【0039】
これにより、一方のリングコア11が他方のリングコア12上で当該他方のリングコア12に対して回転し、一方のリングコア11の磁気ギャップGと他方のリングコア12の磁気ギャップGとの位置関係が円周方向にずれることとなり、後述するように鎖交磁束の量的変化が生じて、結果的に巻線2の両端にて検出されるインダクタンスLの値が変化する。
【0040】
前述したリング状ケース20および当該リング状ケース20に巻回されたコイル2とによって形成される前述したトロイダル・コイル5は、その円環状の両端面部分に配設された二枚の円盤状支持板41,42によって挟持されている。
【0041】
この場合、上記二枚の円盤状支持板41,42によって挟持された前記トロイダル・コイル5の中心軸上に、前述した往復回転力付勢機構30の駆動軸31が設置されている。 この駆動軸31は、上側に設置された一方の円盤状支持板41の中央部に予め設けられた貫通孔41aを介して上方に突出した状態で回転自在に配設され、その下端部が下側に設置された他方の円盤状支持板42の内側中央部分で回転自在に保持されている。
【0042】
ここで、駆動軸31には、その中央部分にベアリング軸受け31Aが装着され、このベアリング軸受け31Aがこれを回転自在に保持するベアリング用ハウジング31Bを介して前述した上側の円盤状支持板41の下面中央部にネジ止め等によって固着装備されている。この場合、ベアリング軸受け31Aはその外形部分がスナップリングを介してベアリング用ハウジング31B内に固定されている。又このベアリング軸受け31Aは、その内径部分が、駆動軸31に形成された鍔部31bとスナップリングとによって挟持され当該駆動軸31に固着されている。
【0043】
又、この駆動軸31の下端部は、前述した下側の円盤状支持板42の上面中央部に固着装備された駆動軸用ハウジング31Cにより、回転自在に保持されている。符号31Caは駆動軸31の下端部を回転自在に保持する貫通穴を示す。
これにより、駆動軸31は軸方向の移動(ガタ)がなくなり、その円滑な回転動作が保証された構造となっている。
【0044】
前述した二枚の円盤状支持板41,42は、図1に示すように、内側に前記トロイダル・コイル5を配置した状態で、その周囲4か所が90度間隔に配置された四本の固定部材43,43,……とその係止用固定ネジ44,44,……とによって、相互に一体的に固着保持されている。
【0045】
ここで、この四本の各固定部材43は、下端部に基盤係止部43Aを有する逆T字状に形成されている。そして、この各固定部材43は、まずその軸部分が、下側の円盤状支持板42の周端部4か所に設けられた各貫通穴42a,42a,…を介して当該円盤状支持板42を保持する形態で図1の上方向に突設され、その先端部が前述した上側の円盤状支持板41の周端部に同様に設けられた各貫通穴41b,41b,…部分に係合した状態に設定され、この各貫通穴41b,41b,…部分で、各固定部材43の上端面の中心線上に予め形成されたネジ穴に前述した各ネジ部材44が円盤状支持板41を介して螺合されている。
【0046】
これにより、図1における上側と下側の各円盤状支持板41,42が、トロイダル・コイル5を介して、四本の各固定部材43,43,……とこれに対応して装備された各係止用固定ネジ44,44,……とによって挟持され、前述した可変リアクタ1が形成されている。
【0047】
そして、このような構成にあって、前述したリングコア11,12は、同心円筒形状ケースであるリング状ケース20内で、前記磁気ギャップG,Gの位置関係が円周方向にずれる方向に一方のリングコア11が他方のリングコア12に対して相対的な回転が可能となっている。このため、前述したように、非磁性体から成るリング状ケース20の外側から導体巻線を施せば、インダクターが形成され、前述したように前記リングコア11,12の磁気ギャップG,Gの各配置位置を相対的に変化させれば、インダクターのインダクタンス値を変化させることが可能となる。
【0048】
尚、上記実施形態では、リングコア11,12が2個の場合を示しているが、前記非磁性体から成るリング状ケース20内で三個以上のリングコアを円周方向に回転制御できる機構であっても良い。
【0049】
又、図4(a)(b)に示した例では、一方のリングコア11の磁気ギャップGと他方の磁性体リングコア12の磁気ギャップGとが一致する位置を0度とすると(図4(a))、一方のリングコア11の磁気ギャップGと他方のリングコア12の磁気ギャップGとが、本実施形態では一方の側に最大で約100度,他方の側に最大で約100度,そして全体的には最大で約200度の範囲まで隣接したリングコア11,12同士を相対的に回動させることができるように構成されている。
ここで、図4(b)では、お互いの磁気ギャップGに対して、磁気ギャップGを左方向(左回り)に90度ずらせた状態を示している。
【0050】
この図4では、図4(a)に開示した一方のリングコア1の磁気ギャップGの位置を基準として、左右方向それぞれ90度の範囲で回転可能に設定されているが、磁気ギャップGを図4(b)の位置(又は図4(b)の位置から180度回転させた位置)に予め固定させることにより、上述した最大180度の範囲までの回転動作が可能となり、そのように形成してもよい。
【0051】
このため、本実施形態では、一方のリングコア1の磁気ギャップGと他方のリングコア2の磁気ギャップGとをずらす角度は、インダクタンス値を可変する度合いによって任意に設定することが可能となっている。
【0052】
ここで、リングコア11,12の各磁気ギャップG,GとインダクタンスLの変化との関連性を説明する。
各リングコア11,12は、同一軸上にリングコア11,12の端面11a,12a同士を突き合わせているため、リングコア11,12を相対回転させて、一方のリングコア11の磁気ギャップGと他方のリングコア2の磁気ギャップGとが一致する位置からずれた際に、一方のリングコア11の磁気ギャップGは、他方の磁性体リングコア12の磁気ギャップGがない端面12aに対面することとなる。
【0053】
この場合、リングコア11,12の磁気ギャップG,Gの位置を相対的にずらすと、一方のリングコア11の磁気ギャップGにおける漏洩磁束が他方のリングコア12の磁気ギャップG又は磁気ギャップGが無い当接端面12aによって再び他方のリングコア12内に結合するため、磁気ギャップG,Gの効果が低下し、結果として巻線2を流れる電流によるリングコア11,12の磁気飽和と、巻線2とリングコア11,12によるインダクタンスを可変することが可能となる。
つまり、リングコア11,12の素材の飽和起磁力(巻線の飽和限界電流値)の範囲内での可変インダクターを形成することができる。
【0054】
〔実験例〕
次に、上述したように構成され機能する可変インダクターのインダクタンス値について、その変化の度合いを実験的に確認したので、以下、これを実際に得られたインダクタンス値の変化の一例として説明する。
【0055】
図1及び図2に示すように、2段に重ねられ且つ磁気ギャップG,Gを有するリングコア11,12を収納したリング状ケース20の外側から、50ターンの巻線2を巻き付けた可変インダクターを実験用の可変インダクターとして準備した。
そして、リング状ケース20内に収納された上段のリングコア11を回転させ、図1(b)に示すように夫々の磁気ギャップG,Gの位置をθ°ズラした場合のインピーダンス変化をインピーダンスメータによって計測した結果を図5に示す。
【0056】
この図5に示す図表にあって、磁気ギャップG,Gの位置を示すθ°とインダクタンスの値L〔mH〕とは、上段が磁気ギャップGのズレ角度θを、下段がインダクタンス値L〔mH〕を示している。尚、この場合、対応する数値を別途設けた目盛板によって駆動軸31の円周方向に表示するようにしても良い。
【0057】
そして、この場合のインピーダンスZは、純リアクタンスと見て差し支えないから、
Z=jX=jωL、とおいて、L =X/ωとおけば、θの変化に対するインダクタンス値であるL〔mH〕が求められる。
尚、この時、使用したリングコア11,12としてフェライトコアを用い、そのリングコア11,12のサイズは、外径60〔mm〕、内径40〔mm〕、厚さ18〔mm〕で、磁気ギャップG,Gの幅は共に4〔mm〕とした。
【0058】
又、これとは別に、この4〔mm〕の磁気ギャップG,Gの無い同一形状の二段のリングコアに50ターンの巻線2を巻き付けた場合におけるインダクタンスを、インピーダンスメータで計測すると、その計測値は56〔mH〕の固定値が得られた。
【0059】
〔実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態にかかる可変リアクタによれば、突き合わせて配置した磁性体のリングコア11,12を相対回転させると、リングコア11,12の磁気ギャップG,Gの位置関係が円周方向にずれることにより、前記磁気ギャップG,Gにおける漏洩磁束が夫々相手方のリングコア12又は11の磁気ギャップG又はG或いは磁気ギャップのない端面によって再び相手側リングコア12又は11内に結合するため、磁気ギャップG,Gの効果が低下し、結果として電流による磁性体リングコアの磁気飽和とインダクタンス値とを可変にすることができるという効果を有する。
【0060】
更に、本実施形態によれば、磁気ギャップG,Gを設けた磁性体から成るリングコア11,12を多段に重ねてなる可変インダクターにおいては、各々の磁性体リングコア11,12の磁気ギャップG,Gの位置を調整することにより、インダクタンス値をコア材の磁気飽和限界までの最大値に設定することができる。
【0061】
尚、リングコア11,12に磁気ギャップG,Gを加工する際には、磁気ギャップG,Gにエポキシ樹脂等の非磁性体樹脂を充填加工或いは非磁性体金属板を接着するなどして補強しておけばよい。この場合、金属板の採用はコア内磁束が金属板を垂直に貫くこととなるので、渦電流が発生しギャップの効果を増大させるので、注意が必要である。
【0062】
以上の例では、リングコア11,12の透磁率が等しく、磁気ギャップG,Gの幅d,dが等しい場合について説明したが、これらに限られるものではなく、更には磁性体リングコア11,12を2個用いた場合を説明したが、これに限られるものではなく、2以上であれば、その個数が制限されることはない。
【0063】
又、上記実施形態では、リングコア12を固定してリングコア11を往復回動する場合について例示したが、リングコア11,12を逆方向に相互に回転させるように構成してもよい。このようにすると、インダクダンスLの値を迅速に大きく変化させることができるという利点がある。
【0064】
更に、上記実施形態では、隣接したリングコア11,12を相対回転させる機能を、駆動軸31と、これに巻き付けてリングコア11,12を回転させるための駆動用紐部材32A,32Bとの組合せにより構成したが、これに限られるものではなく、隣接したリングコア11,12を相対回転させることができる機構であれば、例えば複数の歯車を組み合わせた歯車機構或いは複数の摩擦プーリを組み合わせたプーリ機構であってもよい。
【0065】
更に、本実施形態を示した図1における巻線2は複数巻き線としたが、この巻数については特定されるものではない。また、本実施形態に係る可変インダクターは、インダクタンス値を可変とする必要がある電子機器であれば、何れの電子機器にも有効に適用することができる。
【0066】
更に、磁気ギャップG,Gは、磁性体リングコア11,12の板厚方向に開放してスリット状に形成した構造としたが、磁気ギャップG,Gは、磁性体リングコア11,12の板厚方向で凹形状に切り欠いた構造としてもよい。更に、前記磁気ギャップG,Gの幅寸法についてはこれを等間隔としたが、この幅をテーパ状に拡大する寸法に設定してもよい。更に又、磁性体リングコア11,12に設ける磁気ギャップG,Gの幅寸法,磁性体リングコア11,12の板厚,直径などを変更することにより、磁気抵抗の調整を行うようにしてもよい。
【0067】
更には、磁気ギャップG,Gの幅d,dを異ならせる、具体的には一方の磁気ギャップGの幅dを他方の磁気ギャップGの幅dより広くする、或いは一方の磁気ギャップGの幅dを他方の磁気ギャップGの幅dより狭くするようにしてもよい。要は、前述した磁気ギャップG,Gの構造及び幅寸法などを、必要とする磁気抵抗に応じて種々変更してもよいものである。
【0068】
〔他の実施形態〕
次に、他の実施形態を図6に基づいて説明する。
ここで、前述した実施形態の場合と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0069】
この図6において、可変インダクター61は、前述した図1乃至図4の実施形態の場合と同様に、円環構造の磁性体の一部に磁気ギャップG1又はG2が形成された2以上のリングコア11,12を有する(図2(b)参照)。この各リングコア11,12は、その端面11a,12a同士を突き合わせて配置されている。そして、このリングコア11,12は、前記磁気ギャップG1,G2の位置関係が円周方向にずれる方向に相対回転可能にリング状ケース20内に組み込まれている。
【0070】
そして、この他の実施形態では、図6に示すように、リング状ケース20及び巻線2を内側に設置した状態でその外周囲には、前記各リングコア11,12の内の一のリングコア11を他の一のリングコア12との当接状態体を維持しつつその当接円周面上を往復移動させるための往復回転力付勢機構62が、前述したリング状ケース20に一体的に装備されている。
【0071】
この往復回転力付勢機構62は、前述した巻線2の外側で且つ前述したリング状ケース20の外周囲に沿って往復回転自在に装備された駆動リング71と、この駆動リング71の往復回転力を前記巻線2の隙間領域(若しくは巻線2が巻かれていない領域)のリング状ケース20部分に予め設けられた切除部を介して前記一のリングコア11に伝達する駆動力伝達部材32とによって構成されている。
【0072】
上記リング状ケース20部分に予め設けられた切除部として、本実施形態ではケース孔21a,22aが二箇所に分けて設けられている。この各ケース孔21a,22aは、本第2実施形態では図6の状態ではギャップG1の位置から左右それぞれ150度離れた位置に設定されている。
【0073】
ここで、上記往復移動付勢機構62の駆動力伝達部材32は、本実施形態では二本の紐部材32A,32Bにより構成されている。そして、この二本の紐部材32A,32Bは、駆動リング71内を図6に示すように、(前記各リング状ケース20の外周囲に沿って)相互に逆方向に敷設され、その各一端部がそれぞれ前記駆動リング71の内周面で相互に180度離れた位置(図6ではX軸との交点領域)に設置された係止部15b,16bにそれぞれ固定されている。
【0074】
又、この二本の紐部材32A,32Bは、その他端部側が、それぞれ駆動リング71内を図6の下側方向で逆方向(右又は左方向)に向けて配設され(部分的には相互に一部並設された状態で)、ケース孔21a,22aを通過してリングコア11の外周囲をそれぞれ逆向きに敷設され、その各他端部が、前記一のリングコア11の外周面に設けられた係止部材15a,16aに固定されている。この係止部材15a,16aは、図6ではギャップG1の位置から左右にそれぞれ60°離れた位置に設置されている。
その他の構成は、前述した図1乃至図4の実施形態の場合と同一となっている。
【0075】
このような構成にあって、オペレータが前述した駆動リング71を左回り(矢印C方向)に回転駆動すると、まず、係止部15bに係止された紐部材32Aに回転駆動力が印加され、ケース孔21aを介して敷設された紐部材32Aの他端部から係止部材15aに伝達され、これによって、係止部材15aと共にリングコア11が紐部材32Aに引っ張られてリング状ケース20内を左回りに回転する。
同時に、紐部材32Bも、その両端部が駆動リング71およびリングコア11に係止されているので、その全体が緩んだ状態で同方向に回転移動する。
【0076】
一方、オペレータが前述した駆動リング71を右回り(矢印Cとは反対の方向)に回転駆動すると、上述した場合とは逆に、係止部16bに係止された紐部材32Bに回転駆動力が印加され、ケース孔22aを介して敷設された紐部材32Bの他端部から係止部材16aに伝達され、これによって、係止部材16aと共にリングコア11が紐部材32Bに引っ張られてリング状ケース20内を右回りに回転する。同時に、紐部材32Aは、その両端部が駆動リング71およびリングコア11に係止されているので、その全体が緩んだ状態で右回りに回転移動する。
【0077】
これにより、駆動リング71の左右何れの方向へも回転駆動が可能となっており、同時に駆動リング71から回転駆動力を開放すると当該駆動リング71と共にリングコア11も回転動作を停止する。この回転動作の停止は、本実施形態ではオペレータの意思で自由に設定し得るのは、前述した図1乃至図4の場合と同様である。
そして、上記他の実施形態にあっても、インダクタンス値Lの変化は、前述した実施形態における図5の場合と同等の実験値を得ることができた。
その他の構成およびその作用効果は、前述した図1乃至図4の実施形態と同一となっている。
【0078】
このように、上記他の実施形態にあっても、前述した図1乃至図4の場合と同様に、変化範囲が比較的大きいインダクタンス値Lの可変範囲が得られるので、外部操作によって何時でも、その可変範囲では任意のインダクタンス値を設定することができ、実用性の高いものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、磁性体リングコアに設けた磁気ギャップの効果を低下し、電流による磁性体リングコアの磁気飽和と、インダクタンスを可変することが可能な可変インダクターの開発に貢献できるものである。
【符号の説明】
【0080】
1,61 可変リアクタ
2 巻線
11,12 磁性体リングコア(リングコア)
11a,12a リングコアの当接端面
15,15a,16,16a 紐部材係止部(コア側紐係止部)
15b,16b 外部リング側紐係止部(係止部)
20 リング状ケース
20A 内筒
20B 外筒
20K 内径側空間領域
21,21a,22,22a 紐駆動孔(ケース孔)
30,62 往復回動力付勢機構
31 駆動軸
,G 磁気ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンス値を変化させることが可能な可変インダクターであって、
磁性体の円環構造の一部に磁気ギャップが形成された2以上のリングコアを有し、前記リングコアは、その端面同士を突き合わせて配置し、
前記リングコアは、前記磁気ギャップの位置関係が円周方向にずれる方向に相対回転可能にリング状ケースに組み込んだことを特徴とする可変インダクター。
【請求項2】
前記リングコアの相対回転の際に、前記一のリングコアの前記磁気ギャップは、相手方の他のリングコアとの当接面側が当該相手方のリングコアの前記磁気ギャップ或いは前記磁気ギャップのない端面に対面している、請求項1に記載の可変インダクター。
【請求項3】
前記インダクターを構成する巻線は、前記複数のリングコアを一つとしてそのコア部分を中心軸線に沿って内側と外側とを連続して巻回することで、前記リング状ケースに巻回装備して成る、請求項1に記載の可変インダクター。
【請求項4】
前記各リングコアは、同一形状で且つ内径及ぶ外径が同一のリングコアであって、その中心軸が相互に一致した状態で前記リング状ケースに組み込まれて成る、請求項1,2又は3に記載の可変インダクター。
【請求項5】
前記請求項4に記載の可変インダクターにおいて、
前記リング状ケースの内径側空間領域に、前記各リングコアの内の一のリングコアを他の一のリングコアとの当接状態を維持しつつその当接円周面上を往復移動させるための往復回転力付勢機構を配設すると共に、この往復回転力付勢機構を前記リング状ケースに一体的に装備し、
この往復回転力付勢機構を、前記リング状ケースの中心軸に沿って回転自在に装備された駆動軸と、この駆動軸の往復回転力を前記巻線の隙間領域および予め設けられたケース孔を介して前記一のリングコアに伝達する駆動力伝達部材とにより構成したことを特徴とする可変インダクター。
【請求項6】
前記請求項5に記載の可変インダクターにおいて、
前記往復移動付勢機構の駆動力伝達部材を、一端部がそれぞれ前記駆動軸に固着され且つ異なった巻き取り方向で当該駆動軸に予め複数回巻回された少なくとも二本の紐部材で構成し、
この各紐部材の各他端部を前記リング状ケース内の内径側に沿って反対方向に敷設する共にその先端部を前記一のリングコアに固着したことを特徴とする可変インダクター。
【請求項7】
前記請求項4に記載の可変インダクターにおいて、
前記リング状ケース及び巻線を内側に設置した状態でその外周囲に、前記各リングコアの内の一のリングコアを他の一のリングコアとの当接状態体を維持しつつその当接円周面上を往復移動させるための往復回転力付勢機構を配設すると共に、当該往復回転力付勢機構を前記リング状ケースに一体的に装備し、
この往復回転力付勢機構を、前記巻線の外側に、前記リング状ケースの外周囲に沿って往復回転自在に装備された駆動リングと、この駆動リングに外部から印加される往復回転力を前記巻線の隙間領域および予め設けられたケース孔を介して前記一のリングコアに伝達する駆動力伝達部材とにより構成したことを特徴とする可変インダクター。
【請求項8】
前記請求項7に記載の可変インダクターにおいて、
前記往復移動付勢機構の駆動力伝達部材を、一端部がそれぞれ前記駆動リングの内周面に固着され且つ異なった巻き取り方向で当該駆動リングの内周面に沿って敷設された少なくとも二本の紐部材で構成し、
この各紐部材の各他端部を前記リング状ケースの外筒の内壁面に沿って反対方向に敷設する共にその先端部を前記一のリングコアの外周面に固着したことを特徴とする可変インダクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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