説明

可変コイル

【課題】低背化を図ることができる可変コイルを実現すること。
【解決手段】固定コア120の外周面にコイル130が巻回される。コイル130の外周には、囲むように可動コア150の筒状部152が配置されている。可動コア150は、コイル130の軸に並ぶ回転軸を中心に回動して、筒状部152の内周面と固定コア120とのギャップを可変させる。可動コア150は、固定コア120とともに、導電性を有するシールドケース170に収容され、シールドケース170の内部で回転軸を中心に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変コイルに関し、特に電子回路基板に面実装される可変コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に搭載されて、走行中における対象物の接近を検知するコーナーセンサに用いられる可変コイルとして、例えば、特許文献1に示す面実装型のトランスが知られている。
【0003】
特許文献1に示すトランスでは、角形シールドケースの内部に、基台上に、外周面にコイルが巻回された固定コアがコイルの軸を直交させて立設され、この固定コアを覆うように蓋付円筒状の可動コアが配置されている。
【0004】
シールドケースは、基台に固定され、トランス駆動時の磁束漏れを防止する。また、可動コアは、外周面にシールドケースの内面の雌ねじ部と螺合する雄ねじ部を有している。この雄ねじ部と雌ねじ部の螺合を介して可動コアをシールドケースに対して回転させることによって、可動コアは、固定コアからコイルの軸方向、つまり、固定コアが立ち上がる方向(上下方向)に進退移動する。これにより、コイルのインダクタンスは可変する。これにより、所望のインダクタンスが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−4905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の面実装型のトランスにおいては、可動コアを、固定コアにおけるコイルの軸方向(ここではトランスの高さ方向)に移動させることによって、固定コアが有するコイルのインダクタンスが調整される。このため、従来の面実装型のトランスでは、シールドケース内において、固定コアに対してコイルの軸方向(ここでは、高さ方向)に移動する可動コアの可動領域を確保する必要があり、その分、シールドケース自体が大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、低背化を図ることができる可変コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の可変コイルの一つの態様は、外周面にコイルが巻回される固定コアと、前記コイルの外周を囲むように配置された筒状部を有し、前記コイルの軸に並ぶ回転軸を中心に回動することによって前記筒状部の内周面と前記固定コアとのギャップを可変させる可動コアと、導電性を有し、前記可動コアを回動自在に収容するシールドケースとを備える構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低背化を図ることができる可変コイルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る可変コイルの上面図
【図2】本発明の一実施の形態に係る可変コイルの側面図
【図3】本発明の一実施の形態に係る可変コイルの底面図
【図4】本発明の一実施の形態に係る可変コイルの要部構成を示す部分側断面図
【図5】リード端子を示す図
【図6】本発明に係る可変コイルにおいて固定コア及び可動コアを模式的に示す側面図
【図7】図6のA−A線断面図
【図8】本発明に係る可変コイルにおけるインダクタンスの調整方法を示す図
【図9】本発明の一実施の形態に係る可変コイルにおける特性の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る可変コイルの上面図、図2は可変コイルの側面図、図3は可変コイルの底面図、図4は、同可変コイルの要部構成を示す部分側断面図である。
【0013】
図1から図4に示す可変コイル100は、絶縁性の基台110と、基台110に固定された固定コア120と、固定コア120に設けられたコイル130と、可動コア150と、固定コア120、コイル130及び可動コア150を覆う角形シールドケース170と、を有する。
【0014】
可変コイル100は、固定コア120に対して可動コア150を変位させることによって、固定コア120のコイル130のインダクタンスを調整する。ここでは、可変コイル100は、電子回路基板20に面実装されており、コーナーセンサに用いられる。
【0015】
基台110は、液晶ポリマー等の熱可塑性絶縁樹脂で概略偏平四角形状に成形されている。また、その成形時に、上面に固定コア取付孔111を設けるとともに、4つのリード端子112,112,…をインサートし、左右の両側面から各々2つのリード端子112,112が外側に向かって水平に突出した状態にして設けている。
【0016】
図5はリード端子112を示す図である。
【0017】
図5に示すリード端子112は、導電性を有する部材、ここではリン青銅材によって、平面視概略コの字板形状に形成されている。リード端子112は、互いに同じ方向に向かって平行に延びる端子部112a及び端末処理部112bの双方の一端側を、連結部112cによって連結されている。連結部112cの略中間部位112dは、厚み方向(上下方向)に折曲され、端子部112aと端末処理部112bとの高さ位置が互いに上下にずれている。このずれ量は、後述するコイル130の絡げ部133、巻き緩み部135の絡げ高さを十分吸収できる量である。このずれによって、絡げ部133、巻き緩み部135は、図2に示すように、可変コイル100を電子回路基板20上に実装させたときに、基板実装面と接触することがない。各リード端子112は、図1及び図3に示すように、端子部112aを外側、端末処理部112bを内側とし、且つ図2に示すように、端子部112aが端末処理部112bよりも下側で、また端子部112aが基台110の最下端部に配置されて、端子部112aの下面が基台110の底面に露出した状態で、各端子部112aと端末処理部112bとが基台110の側面からそれぞれ外側に向かって水平方向に突出して設けられている。これらリード端子112の端末処理部112bは、シールドケース170内に配置された、基台110上の固定コア120におけるコイル130に接続されている。
【0018】
固定コア120は、図4に示すように、実装面と直交する方向(上方)に突出する柱状の本体部121と、本体部121の上下端に上下鍔部122、123を有し、ニッケル系フェライトコアで、ドラム状の巻枠体として形成されている。固定コア120は、ケース底板(底板部)172を介して基台110に固定されている。
【0019】
本体部121の外周には、巻線を巻回してコイル130が形成されている。この固定コア120は、下鍔部123から下側に突出する突出部125を基台110の固定コア取付孔111に接着剤を介して嵌合させることによって、基台110に固定されている。コイル130の軸方向は、基台110から固定コア120が立ち上がる方向と一致している。
【0020】
上下鍔部122、123は、ここでは円盤状に形成されており、固定コア120にコイル130が巻回された状態では、円柱状をなしている。
【0021】
コイル130の軸は、基台110と直交する方向に延在しており、このコイル130から引き出された4つのリード部が、それぞれ対応するリード端子112の端末処理部112bに絡げられ、且つ端末処理部112bと半田付けされている。
【0022】
コイル130が巻回された固定コア120を外周面及び上面から覆うように、可動コア150が配置されている。
【0023】
可動コア150は、下面側で開口した、カップ形状をなし、固定コア120及びコイル130の上方から被さることで、固定コア120及びコイル130を収容する。
【0024】
可動コア150は、ここでは、ニッケル系フェライトコアであり、固定コア120及びコイル130からなる柱状体の外周を囲む筒状部152と、柱状体の上面を覆う上面部154とを有する。
【0025】
可動コア150は、シールドケース170内に、立設方向と平行な軸を回転軸として、固定コア120の周囲を、回転自在に配設され、回転によって、固定コア120との間のギャップを可変させる。
【0026】
ここでは、可動コア150は、筒状部152の外周面に形成された係合部153を、シールドケース170の内壁面(詳細には内ケース170Aの内壁面)に設けられた被係合部174に係合させて、上下方向の移動が規制され、回転方向の移動のみ自在となっている。係合部153は、可動コア150の外周面から回転軸側に、凹状に形成された窪み部であり、この窪み部内で被係合部174が周方向に摺動する。
【0027】
また、可動コア150では、上面部154は、シールドケース170の丸孔171を介して外部に露出しており、上面部154において外部に露出する上面部分に、十字溝156(図1及び図4参照)が形成されている。
【0028】
図6は、本発明に係る可変コイルにおいて固定コア及び可動コアを模式的に示す側面図、図7は図6のA−A線断面図である。
【0029】
図6及び図7に示すように、筒状部152の外径、筒状部152の内径及び固定コア120の外径(詳細には、上下鍔部122、123の外径)は、互いに径が異なる円形としている。
【0030】
図6及び図7に示すように、筒状部152は、コイル130の直径よりも大きな内径を有し、この筒状部152の内径の中心軸Ciは、可動コア150自体の回転軸である筒状部の外径の中心軸Cからずれている。すなわち、可動コア150は、上面側を上面部154で閉塞した円筒状の形態において、内径を外径に対して偏心させてなる。
【0031】
これにより、筒状部152において、平面視して外径の中心軸Cと、内径の中心軸Ciとが通る直線上に位置する厚み152a、152bは、中心軸がずれた方向に位置する部分152b(肉薄部152b)の方が薄くなっている。なお、以下では、筒状部152における厚み152aを肉薄部152bに対して肉厚部という。
【0032】
また、筒状部152の内径の中心軸Ci及び外径の中心軸Cは、固定コア120の軸Dとずれた位置に配置されている。
【0033】
固定コア120とコイル130のインダクタンス値(L値)は、固定コア120の上鍔部122と、可動コア150との距離に依存する。
【0034】
このように形成された可動コア150は、基台110に固定されたシールドケース170に、内径の中心軸Ciを軸に回動自在に支持されている。
【0035】
シールドケース170は、可動コア150の直径よりも大きな内径を有する角形箱状をなした銅合金製のものであり、下面が開口し、且つ、上面には丸孔171が形成されている。この丸孔171を介して可動コア150の十字溝156にドライバー等の工具を当てることができる。
【0036】
シールドケース170は、内部に可動コア150を収容し、内側のシールドケース部(以下「内ケース」という)170Aと、この内ケース170Aを収容してなる外側のシールドケース部(以下「外ケース」という)170Bとから二重構造により構成されている。これら内ケース170Aと外ケース170Bとで、可動コア150の筒状部152を囲むシールドケース170のケース周壁部が形成されている。ここでは、内ケース170Aがケース周壁部を主に形成する。
【0037】
内ケース170Aは、内壁面の対向する部位に、可動コア150の係合部153と係合して、可動コア150を内ケース170Aに回動自在に支持させる被係合部174、174が形成されている。内ケース170Aの下端部には、下方に突出して係止爪176(図3参照)が形成され、この係止爪176を基台110の係止溝116に係合することで、シールドケース170を基台110に固定する。
【0038】
被係合部174は、ここでは、内ケース170Aの一部を内側に突出させた弾性変形可能な突片であり、可動コア150の係合部153に係合している。
【0039】
内ケース170Aは、下端部でケース底板172の外縁に外嵌して固定され、ケース底板172とともに、固定コア120及び可動コア150の側方及び底面側を閉塞した状態で収容している。
【0040】
外ケース170Bは、内ケース170Aの外周に固定されている。外ケース170Bは、下辺から下方に突出する固定脚部(図2参照)177を有し、固定脚部177は、内ケース170Aの係止爪176を係止溝116に係合させる際に、基台110に対してシールドケース170の位置決めを行う。
【0041】
本実施の形態の可変コイル100は、丸孔171を介して可動コア150を所定の回転角度で回転させることによって、固定コア120におけるコイル130のインダクタンス値を変更して調整する。
【0042】
図8は、本発明に係る可変コイル100におけるインダクタンスの調整方法を示す図であり、図8(A)は、固定コア120に対して基準にある可動コア150を示す図、図8(B)は、図8(A)のL−L線断面図である。また、図8(C)は、可動コア150を固定コア120に対して基準位置から反時計回りに90°回転した状態を示し、図8(D)は、図8(C)のM−M線断面図、図8(E)は、固定コア120に対して可動コア150を基準位置から反時計回りに180°回転した状態を示す図であり、図8(F)は、図8(E)のN−N線断面図である。
【0043】
図8(A)及び図8(B)に示す可動コア150は、筒状部152の内周面で上鍔部122の一部と接触している。
【0044】
すなわち、可動コア150と、固定コア120とのギャップは最小である。また、固定コア120の上下鍔部122、123(特に、上鍔部122)は、可動コア150の筒状部152において最も肉厚のある部位(肉厚部152a)の内壁面に当接する。このように可動コア150と固定コア120とが接触している状態を基準位置とする。
【0045】
このように、可動コア150が基準位置にある場合では、コイル130のインダクタンスは最大となる。
【0046】
可変コア150が基準位置にある可変コイル100において、十字溝156にジグを挿入して反時計回りに回動させると、可動コア150は、シールドケース170内において、固定コア120に対して反時計回りに回動する。
【0047】
可動コア150は、固定コア120の中心軸Dからずれた位置にある回転軸C(外径の中心軸C)を中心軸に回転する。このとき、内径の中心軸Ciは外径の中心軸C及び固定コア120(コイル130)の軸よりも、可動コア150と固定コア120との接触部分とは反対側にずれているため、可動コア150の筒状部152は、固定コア120の上下鍔部122、123(図8では上鍔部122)から離間しながら変位する。図8(C)及び図8(D)に示すように、可動コア150を、基準位置から反時計回りに90°回転させると、可動コア150は、固定コア120から離間し、可動コア150と、固定コア120とのギャップが広くなる。更に、可動コア150を反時計回りに回動させる。
【0048】
図8(E)及び図8(F)に示すように可動コア150を基準位置から180°反時計回りに回転させると、可動コア150の内径と固定コア120の外径(詳細には、上下鍔部122、123の外周)との間のギャップは均等になる。これにより、可変コア150が固定コア120に対して均等のギャップを介した位置で配置された図8(E)及び図8(F)で示す状態では、可変コイル100のコイル130のインダクタンス値は最小となる。
【0049】
したがって、可変コイル100では、可動コア150を、インダクタンス値が最大となる図8(A)及び図8(B)に示す基準位置から図8(E)及び図8(F)で示す位置まで可動して、固定コア120とのギャップを調整できる。これにより、可変コイル100では、固定コア120の外方で可動コア150を回転させるだけで、インダクタンス値を最大インダクタンス値から最小インダクタンス値までの範囲で変更することができる。
【0050】
この可変コイル100の組立は、シールドケース170の内ケース170A内に、シールドケース170の下方開口から可動コア150を挿入する。可動コア150は、外周面に係合部153を備えるため、可動コア150を内ケース170A内に挿入すると、係合部153内に、内ケース170Aの被係合部174が変形して、可動コア150の外周面を押圧した状態で係合する。これにより、可動コア150は、内ケース170A内に、周方向に回動自在に保持される。なお、内ケース170Aには、可動コア150を装着する前に外ケース170Bが取り付けられてもよいし、可動コア150を装着した後で外ケース170Bが取り付けられても良い。
【0051】
一方、基台110の所定位置に、ケース底板172を介して、コイル130が巻回された固定コア120を取り付ける。
【0052】
基台110上の固定コア120に、可動コア150を覆うように配置して、内ケース170Aの下端部をケース底板172に固定し、且つ、係止爪176を基台110の側面に形成された係止溝116に係合させる。また、内ケース170Aに外ケース170Bが取り付けられている場合は、外ケース170Bの固定脚部177を基台110の側面に当接し、内ケース170Aを基台110側に取り付ける際の位置決めを行う。
【0053】
このように構成された可変コイル100では、シールドケース170の上面に設けられている丸孔171からプラスドライバ等の工具を差し込み、該工具の先端を可動コア150の十字溝156に係合させ、該可動コア150を回転させる。これにより、可動コア150が回転して、コイル130が巻回された固定コア120との間のギャップが可変し、所望のインダクタンスを得ることができる。このとき、従来のトランスと異なり、可動コアは、固定コアに対して上下動することなく、固定コアとのギャップが変更される。
【0054】
よって、可変コイル100では、可動コア150の高さ方向への移動が不要であり、可動に伴う上下方向のスペースを確保する必要がない。これにより、可変コイル100自体低背化を図ることができる。例えば、コイル130が巻回された固定コア120に対して可動コアを上下動させて同様のインダクタンスを可変させる場合、可動コアの上下動する領域を固定コア上に確保するため、図4のXで示す高さ分、可変コイル自体は高くなる。このように本実施の形態の可変コイル100は、従来構造と比べて、Xの長さ分、低背化を図ることができる。
【0055】
また、電子回路基板20への実装時には、該電子回路基板20上に配置されると、端子部112aが電子回路基板20の導体部(図示省略)と接触し、リフロー半田等の処理によって、端子部112aを導体部に半田付けされる。なお、基板実装面に半田付けされる端子部112aと、コイル130の絡げ部133及び巻き緩み部135が形成される端末処理部112bとを分離させている。このため、巻線切断時の巻線張力は、端子部112aに直接加わることがなく、コイル130のリード部の絡げ処理時に、端子部112aに不要な曲りが生じない。また、端子部112a側からの外力も端末処理部112bには直接加わらない。したがって、端子部112a側に変形が生じても、コイル130の絡げ部133、巻き緩み部135には不要な力が生じない。
【0056】
また、シールドケース170を内ケース170Aと外ケース170Bとの二重のシールドで構成し、内ケース170Aの下面側の開口は、ケース底板172によって閉塞されている。これによりシールドケース170内に収容される固定コア120、コイル130及び可動コア150よる回路はシールドケース170及びケース底板172により完全に密閉された状態となっている。よって、固定コア120、コイル130及び可動コア150よる回路は、良好な磁気シールドを得ることができ、外部からのノイズを受けにくく、更には、磁束漏れが防止された完全な閉磁路構造となる。
【0057】
このように、可変コイル100は、低背化を図ることができ、更に完全な閉磁路構造でインダクタンスの可変調整を行うことができ、これにより高特性を有する。すなわち、例えば、可変コイル100をコーナーセンサ用としているため、可変コイル100は、L値を、コーナーセンサに対応した所望の値となるようにプリセットできる。
【0058】
このように本実施の形態の可変コイル100は、完全な閉磁路においてインダクタンスの調整を好適に行ことができ、誤動作しにくく、低背化を図ることができる。
【0059】
図9は、本発明の一実施の形態に係る可変コイル100における特性の一例を示す図である。
【0060】
図9に示す特性は、可変コイル100において、固定コア120を、外径3.0mm、高さ3.0mmとし、可動コア150を外径φ5.0mm、内径3.8mm、高さ4.5mmとしている。また、固定コア120の中心軸Dから可動コア150の内径の中心軸Ciを0.4mmずらし、固定コア120の中心軸Dから可動コア150の外径の中心軸Cを0.2mmずらして、それぞれ同一直線に配置させている。
【0061】
このように各寸法を規定した可変コイル100は、図9に示すように、可動コア150の回転角度の基準位置を0°とすると、回転角度0°から180°の可変範囲で、2.75mH±0.75mHのインダクタンスを得ることができ、一定値の±27%のインダクタンスを得ることができた。
【0062】
なお、本実施の形態では、可変コイル100は、コーナーセンサ用の可変コイルとして説明したが、これに限らない。IFT(Intermediate Frequency Transformer)等に用いられることによって、低背化を図ることができる。
【0063】
可動コアをリングコアにした場合のコイルにおいても、L値のプリセットを容易に行うことができる。
【0064】
また、可動コア150の内径は円としたが、可動コア150を回転させた際に、固定コア120から離れたり、固定コア120に接触したりする構成であれば、楕円状に形成してもよい。可動コア150の内径状に応じて、固定コア120において固定コア120の外周形状の一部を形成する上下鍔部122、123を楕円状にしてもよい。
【0065】
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る可変コイルは、誤動作しにくく、低背化を図ることができる効果を有し、コーナーセンサに用いられるものとして有用である。
【符号の説明】
【0067】
20 電子回路基板
100 可変コイル
110 基台
120 固定コア
121 本体部
122 上鍔部
123 下鍔部
130 コイル
150 可動コア
152 筒状部
152a 肉厚部
152b 肉薄部
153 係合部
154 上面部
170 シールドケース
170A 内ケース
170B 外ケース
171 丸孔
172 ケース底板
174 被係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にコイルが巻回される固定コアと、
前記コイルの外周を囲むように配置された筒状部を有し、前記コイルの軸に並ぶ回転軸を中心に回動することによって前記筒状部の内周面と前記固定コアとのギャップを可変させる可動コアと、
導電性を有し、前記可動コアを回動自在に収容するシールドケースと、
を備える、
ことを特徴とする可変コイル。
【請求項2】
前記回転軸は、前記筒状部の外径の軸であり、
前記筒状部の内径は、外径に対して偏心している、
ことを特徴とする請求項1記載の可変コイル。
【請求項3】
前記筒状部は、外径と内径の軸を通る平面上に配置された肉厚の異なる部分を有し、
前記可動コアは、回動によって、前記筒状部における前記肉厚の異なる部分のうち厚みのある部位を、前記固定コアに接触または前記固定コアから離間させる、
ことを特徴とする請求項2記載の可変コイル。
【請求項4】
前記コイルの軸は、前記筒状部の内径の軸及び外径の軸から離間して同一直線上に配置されている、
ことを特徴とする請求項2記載の可変コイル。
【請求項5】
前記筒状部の外径の軸は、前記コイルの軸と、前記筒状部の内径の軸との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項4記載の可変コイル。
【請求項6】
前記固定コアは、絶縁性を有する基台上に、底板部を介して、前記コイルの軸を前記基台から直交させた状態で立設され、
前記シールドケースは、前記可動コアの筒状部の周囲を囲み、且つ、下端部で、前記底板部の外周縁に接合されるケース周壁部を有し、
前記シールドケースの下端側は、前記底板部によって密閉されている、
請求項1記載の可変コイル。
【請求項7】
前記可動コアの筒状部は、180°回転することによって、その内周面が前記固定コアに当接した状態から前記固定コアから均等な間隔を空けた位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1記載の可変コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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