説明

可変データリソグラフィ装置用の湿し流体の直接塗布のための方法

【課題】フォームローラなしで、可変データ・リソグラフィ・システム内の画像部材の画像再形成可能表面に湿し流体を塗布するシステムと、対応する方法とを提供する。
【解決手段】コントローラ40の制御下にある超音波変換器38が、湿し流体の微細液滴を射出して分散流体を形成する。送出流体(通常、空気)をさらに含んでいてもよい分散流体を、加圧手段42からの正の内圧を通じてノズル44へ搬送し、最終的にノズル44から搬送する。ノズル44の出力を画像部材12の画像再形成可能表面層の方へ導き、それにより、画像再形成可能表面層全体を覆って湿し流体の連続層46を形成するように薄く広がる液滴の層を堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マーキングおよび印刷方法、ならびにマーキングおよび印刷システムに関し、さらに詳細には、フォームローラのような中間部材なしに画像部材上に湿し流体を直接に堆積させるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷は、今日の一般的な印刷方法である。(本明細書の目的では、用語「印刷」と「マーキング」とは相互交換可能である。)代表的なリソグラフィプロセスでは、疎水性材料と親油性材料とで作られる「画像領域」と、親水性材料で作られる「非画像領域」と、を有するように、平板、シリンダまたはベルトの表面などであってもよい印刷版を形成する。画像領域は、インクなどの印刷材料またはマーキング材料により占有された最終印刷物(すなわち、目標基質)上の領域に対応する領域である。他方、非画像領域は、前記マーキング材料により占有されていない最終印刷物上の領域に対応する領域である。親水性領域は、湿し流体またはファウンテン流体(水および少量のアルコールのほかに、他の添加物および/または表面張力を低減するための界面活性剤から通常構成されている)と一般に呼ばれる水性流体を受け入れて、水性流体により容易に湿る。疎水性領域は湿し流体をはじいてインクを受け入れ、他方、親水性領域全体を覆って形成された湿し流体はインクをはじくための流体「剥離層」を形成する。したがって、印刷版の親水性領域は、最終印刷物の非印刷領域または「非画像領域」に対応する。
【0003】
インクは紙などの基質に直接に転写してもよく、またはオフセット印刷システム内のオフセットシリンダ(またはブランケットシリンダ)のような中間表面に塗布してもよい。オフセットシリンダは、基質の風合いに適合できる表面を有する形状順応性の高い被覆またはスリーブで覆われており、基質はイメージングプレートの表面の凸凹間深さよりも多少大きい表面の凸凹間深さを有していてもよい。また、オフセット・ブランケット・シリンダの表面粗さは、斑点などの不良を含まない基質への印刷材料のより均一な層の送り出しに役立つ。オフセットシリンダから基質に画像を転写するのに十分な圧力を使用する。基質をオフセットシリンダと圧胴の間で締め付けることにより、この圧力を提供する。
【0004】
典型的なリソグラフィ技術およびオフセット印刷技術は、恒久的にパターン形成された平板を利用しており、したがって、雑誌、新聞、およびその種の他のもののような同じ画像の多くのコピーを印刷するとき(長い印刷実行)にだけ役立つ。しかしながら、典型的なリソグラフィ技術およびオフセット印刷技術では、印刷シリンダおよび/またはイメージングプレートを取り外して交換することなしにページごとに新しいパターンを生成して印刷することはできない(すなわち、この技術は、例えば、デジタル印刷システムの場合のように画像が印刷ごとに変化する本当の高速可変データ印刷には適合できない)。さらに、恒久的にパターン形成されたイメージングプレートまたはシリンダの費用が、コピー枚数で償却される。したがって、印刷されたコピー1枚あたりの費用は、デジタル印刷システムによる印刷物とは対照的に、同じ画像の長い印刷実行の場合よりも同じ画像の短い印刷実行の場合の方が高くなる。
【0005】
したがって、湿し流体で被覆されたパターン形成されていない画像再形成可能表面を使用する、可変データリソグラフィと呼ばれるリソグラフィ技術が開発されてきた。湿し流体の領域は、集束した放射線源(例えば、レーザ光源など)にあてることで除去される。それによって、パターン形成されていない画像再形成可能表面全体上に湿し流体内の一時的なパターンを形成する。その一時的なパターン全体を覆って塗布したインクを、湿し流体を除去することにより形成されたくぼみ内に保持する。その後、インク面を基質と接触させて、インクは湿し流体層内のくぼみから基質に移動する。その後、湿し流体を除去して、湿し流体の新しい均一層を画像再形成可能表面に塗布して、プロセスを繰り返してもよい。
【0006】
上述のシステムでは、均一かつ望ましい厚さの湿し流体の初期層を有していることが非常に重要である。これを達成するために、溶液供給により供給されるローラを含むフォーム・ローラ・ニップ湿しシステムを、画像再形成可能表面の近くに移動させる。その後、湿し流体をフォームローラから画像再形成可能表面に移動させる。しかしながら、このようなシステムは、均一層を得るためにフォームローラと画像再形成可能表面との機械的完全性に依存している。機械的な調整誤差、位置決め公差および回転公差、ならびに構成要素摩耗のそれぞれが、ローラ表面間隔のばらつきの一因となり、湿し流体厚さの理想からのずれを引き起こす。
【0007】
さらに、ロール塗布プロセスでのうね状不安定性として知られるアーチファクトが、不均一な厚さの湿し溶液層をもたらす。この厚さの変化は、印刷した画像内の縞または連続的な線として現れる。
【0008】
さらに、各印刷パス後にローラをきれいにするにはかなりの努力を要するが、いくつかのシステムでは、湿し流体の層を塗布している場合、汚染物質(先のパスからのインクなどの)が画像再形成可能表面上に残ることは避けられない。残っている汚染物質はそれ自身を、湿し流体を堆積させるフォームローラに付着させる可能性がある。したがって、ローラは、汚染物質からの画像アーチファクトを後続の印刷物に取り込み、許容できない最終印刷物をもたらす可能性がある。
【0009】
さらに、転写ニップ内のフォームローラ上でテイラー不安定性に起因してキャビテーションが起こる可能性がある(例えば、1965年発行のRheologica Acta誌の272ページ〜275ページに掲載されているW.H.Banks著の「An Outline of Rheology in Printing」を参照のこと)。これらの不安定性を回避するために、システムは、うねおよび縞の形成を止めるために、軸方向に前後に動くとともに、フォームローラとの転がり接触もまた同様に行いながら動く複数のローラで設計されてきた。しかしながら、このローラ機構は湿しシステムが「完全に安定すること」の遅延を追加するため、すべてのローラ表面上で湿し流体層の厚さが安定するまで印刷が開始できない。また、その時点で既に湿し流体層がフォームローラ上に形成されており、他の湿しシステムのローラが緩衝機構として働くため、湿し流体のオンザフライの流量調節は行うことができない。
【0010】
したがって、中間ローラ上またはフォームローラ上とは対照的に、オフセット印刷版表面上に湿し流体を直接に堆積させるためのシステムを開発する努力を行ってきた。1つのこのようなシステムは、画像再形成可能オフセット印刷版表面上に湿し流体を塗布する。例えば、米国特許第6,901,853号明細書および米国特許第6,561,090号明細書を参照のこと。しかしながら、これらの湿しシステムは従来の(パターン形成前の)オフセット印刷版といっしょに使用されるという事実のために、湿し流体をオフセット印刷版に移動させる機構が、パターンに合わせてオフセット印刷版表面にFSを移動させるためにオフセット印刷版シリンダと転がり接触する「フォーミングローラ」を含み、その理由は、湿し流体をオフセット印刷版に移動させる機構が、オフセット印刷版の疎水性領域からファウンテン溶液を絞り出して、後続のインク転写選択性機構が要望通りに動作できるようにする、フォームローラとパターン形成されたオフセット印刷版表面との間の接触転がりのニップ作用であるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
スプレー湿しシステムは、スプレーシステムの制御を通じて湿し流体の望ましい流量を正確に測定する利点のほかに、オンザフライで必要に応じて湿し流体層の厚さを操作する能力もまた提供するが、オフセット印刷版表面に湿し流体を移動させる最終的な手段として湿しシステムフォームローラを使用するという要求が、厚さの変動、ローラ汚染、ローラキャビテーションなどの欠点を再導入してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本開示は、湿しフォームローラを使用しない可変データ・リソグラフィ・システムの画像再形成可能表面に湿し流体を直接に提供するシステムおよび方法に関する。このようなシステム内の画像部材の画像再形成可能表面に湿し流体を直接に塗布するためのシステムおよび方法を開示する。
【0013】
本明細書では、湿し流体を、液相から、微細液滴状態または蒸気状態(本明細書では分散流体と呼ぶ)に変換するためのサブシステムと、液相または気相の湿し流体を含む前記分散流体の流れを画像再形成可能表面に導くためのサブシステムと、を含み、これにより湿し流体が画像再形成可能表面上で直接に連続した液体層に戻り、その結果、画像再形成可能表面上に堆積されて湿し流体層を形成する、可変データ・リソグラフィ・システム内の画像部材の画像再形成可能表面に湿し流体を塗布するためのシステムと、対応する方法とを開示する。
【0014】
超音波に基づくサブシステム、ノズルに基づく噴霧装置サブシステム、羽根車に基づくサブシステム、および蒸気チャンバサブシステムなどの、液状の湿し流体を分散流体に変換するための他の多くのシステムおよび方法を使用してもよい。湿し流体が分散流体状態である間に湿し流体の液滴に電荷を印加して、それにより液滴が互いに反発して、画像再形成可能表面上に堆積する前に再結合することを回避できるようにするための、および画像再形成可能表面上への堆積を促進するための、バイアスまたはイオン充電サブシステムを必要に応じて提供してもよい。
【0015】
画像再形成可能表面に塗布された湿し流体の層の厚さを測定して、湿し流体堆積プロセスの態様を動的にまたは他の方法で制御して、望ましい層厚さを獲得して保持するためにさまざまなフィードバックおよび制御システムを提供する。
【0016】
他の湿し流体堆積システムおよび方法では、湿し流体の連続したリボンを画像再形成可能表面に直接に塗布してもよい。この選択肢によれば、画像再形成可能表面に湿し流体を塗布するためのサブシステムが、内部にポートが形成された本体構造を含み、ポートは画像再形成可能表面の使用時の移動方向に対して実質的に垂直な第1の方向に延びており、ポートは画像再形成可能表面の第1の方向の幅に少なくとも等しい幅を有しており、ポートは連続した流体リボン状の湿し流体を直接に画像再形成可能表面に送り出して、それにより画像再形成可能表面全体を覆って湿し流体層を形成するように構成されており、画像再形成可能表面が動いているときに画像再形成可能表面を覆っている同伴空気層を妨害するための、本体構造と関連する機構を含み、ポートに湿し流体を供給するために配設された湿し流体容器を含み、容器からポートへの湿し流体の流れと、ポートから画像再形成可能表面への湿し流体の流れと、を制御するための制御機構を含んでいる。機構は、本体構造内に形成された渦発生表面であってもよい。制御機構は弁であってもよく、厚さセンサ制御機構の一部分を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本開示の実施形態の、非接触湿し流体堆積サブシステムを含む可変リソグラフィ用のシステムの側面図である。
【図2】図2は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む超音波スプレーサブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図3】図3は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む超音波スプレーサブシステムの第2の実施形態の横断面図である。
【図4】図4は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む噴霧装置に基づくスプレーサブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図5】図5は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む噴霧装置に基づくスプレーサブシステムの第2の実施形態の横断面図である。
【図6】図6は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む羽根車に基づくスプレーサブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図7】図7は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む羽根車に基づくスプレーサブシステムの第2の実施形態の横断面図である。
【図8】図8は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む湿し流体蒸気除去サブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図9】図9は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む湿し流体蒸気除去サブシステムの第2の実施形態の横断面図である。
【図10】図10は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む湿し流体押し出しサブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図11】図11は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含む蒸気チャンバに基づくサブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図12】図12は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含むブレード測定サブシステムの第1の実施形態の横断面図である。
【図13】図13は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含むブレード測定サブシステムの第2の実施形態の横断面図である。
【図14】図14は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含むブレード測定サブシステムの第3の実施形態の横断面図である。
【図15】図15は、本開示の、非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含むブレード測定サブシステムの第3の実施形態の平面図である。
【図16】図16は、本開示の、湿し流体ローラ分配装置を備えた非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含むブレード測定サブシステムの他の実施形態の側面図である。
【図17】図17は、本開示の、湿し流体スプレー分配装置を備えた非接触湿し流体堆積サブシステムの一部分を含むブレード測定サブシステムのさらに他の実施形態の側面図である。
【図18】図18は、本開示の、ブレード測定サブシステム用のビーズ先端部を有する測定ブレードの実施形態の一部分の側面図である。
【図19】図19は、本開示の、ブレード測定サブシステム用の覆われた先端部を有する測定ブレードの他の実施形態の一部分の側面図である。
【図20】図20は、本開示の、ブレード測定サブシステム用の折り曲げ形状を有する測定ブレードのさらに他の実施形態の一部分の側面図である。
【図21】図21は、本開示の、ブレード測定サブシステム用のベルト先端部を有する測定ブレードのさらに他の実施形態の一部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、本開示の一実施形態の可変データリソグラフィ用のシステム10を示している。システム10は、ローラではなく直接塗布の湿し流体サブシステム14で取り囲まれた、この実施形態ではドラムであるが、同等に平板、ベルトなどであってもよい画像部材12と、光学パターニングサブシステム16と、インキングサブシステム18と、レオロジー(複合粘弾性率)制御サブシステム20と、インク付けされた画像を画像部材12の表面から基質24に転写するための転写サブシステム22と、最後に表面クリーニングサブシステム26と、を含んでいる。また、湿し流体厚さセンササブシステム28のような多くの任意のサブシステムを使用してもよい。他のこのようなサブシステムは本開示の範囲を超えている。湿し流体サブシステム14の詳細を除き、これらのサブシステムのそれぞれ、およびシステム全体としての動作については、上述の米国特許出願第13/095,714号明細書に詳細に記載してある。
【0019】
湿し流体サブシステム14の重要要件は、画像部材12全体を覆う画像再形成可能表面層全体上に均一で制御できる厚さを有する湿し流体の層を送出することである。一実施形態では、この層は0.2μm〜1.0μmの範囲にあり、ピンホールがなく非常に均一である。湿し流体は、濡れているため、画像再形成可能表面と接触した途端に薄く広がる傾向があるという特性を有していなければならない。画像再形成可能表面の表面自由エネルギーに応じて、湿し流体それ自体は、主に水からできていてもよく、湿し流体の自然の表面張力を低下させるために、および後続のレーザパターニングに必要な蒸発エネルギーを低下させるために添加する少量のイソプロピルアルコールまたはエタノールを必要に応じて含んでいてもよい。さらに、画像再形成可能表面層の湿潤化の高揚を促進する好適な界面活性剤をわずかな重量割合だけ加えてもよい。一実施形態では、この界面活性剤が、わずかな重量割合の添加で均等な広がりと22ダイン/cmよりも低い表面張力とを容易に促進するトリシロキサンコポリオールまたはジメチコーンコポリオール化合物などのシリコーン系グリコールコポリマー群で構成されている。他のフルオロ界面活性剤もまた可能な表面張力低減剤である。必要に応じて、湿し流体はパターニングプロセスでレーザエネルギーを部分的に吸収するために放射線感受性色素を含んでいてもよい。必要に応じて、湿し流体は非水であって、例えば、ポリフッ化エーテルまたはフッ化シリコーン溶液などで構成してもよい。
【0020】
次に来る湿し流体サブシステム14の実施形態の説明では、システム10内の印刷版上には、あらかじめ形成された親水性疎水性パターンがあるため、湿し流体を転写するフォームローラに対する必要性を取り除くことを理解されたい。上述のように、湿し流体内にくぼみを形成するために、したがって、湿し流体をパターン形成するために、レーザ(または他の放射線源)を使用する。最終的な印刷画像の品質を決定するくぼみの特徴(深さおよび断面形状などの)は、主に、湿し流体上でレーザが有している影響の関数である。この影響は、レーザの入射点における湿し流体の厚さにより、大幅に制御される。したがって、制御された好ましいくぼみ形状を取得するには、湿し流体層の厚さを制御して均一にすることと、好ましくないアーチファクトを印刷画像に導入せずにそれを行うこととが重要である。
【0021】
したがって、図2を参照すると、湿し流体の蒸気または霧を形成して、画像部材12の画像再形成可能表面層に送出する、本開示の第1の実施形態の湿し流体サブシステム30を示している。湿し流体サブシステム30は、湿し流体の容器34を保持するハウジング32を含んでいる。容器34は分散流体生成領域36を供給する。コントローラ40の制御下にある超音波変換器38が、湿し流体の微細液滴を射出して分散流体を形成する。送出流体(通常、空気)をさらに含んでいてもよい分散流体を、加圧手段42からの正の内圧を通じてノズル44へ搬送し、最終的にノズル44から搬送する。ノズル44の出力を画像部材12の画像再形成可能表面層の方へ導き、それにより、画像再形成可能表面層全体を覆って湿し流体の連続層46を形成するように薄く広がる液滴の層を堆積させる。
【0022】
多くの超音波加湿装置が技術的に公知であり、このような装置を本明細書に記載の機能を実行するために本開示に基づいて改善してもよい。このようなシステムが基づいてもよい市販のシステムが、ハネウェル製の超音波加湿器KAZ 5520である。他の実施例は、Stulz空気技術システム社製のBNBおよびBNUシリーズのStulz‐Humidifier(商標)加湿器を含んでいる。したがって、図2に示す個別の実施形態は、あくまで一例に過ぎず、その他の点では、本開示の範囲を限定するものではない。
【0023】
図3に示す他の実施形態31では、本質的に同じ超音波装置が湿し流体の分散流体を生成するが、湿し流体の蒸気は、内部の正圧と、有向ノズルとを通じて搬送されるのではなく、むしろ、ノズル48から、エアナイフ50を用いて生成された有向キャリア流(例えば、空気の)を通じて、画像部材12の画像再形成可能表面層へ運ばれる。振動超音波変換器38の振幅および周波数と、エアナイフの流速との両方を制御することにより、画像部材12の画像再形成可能表面層上に堆積される湿し流体の正確な量を操作できる。気流速度を制御して望ましい速度で湿し流体を堆積させるためにエアナイフ50の圧力を操作する。厚さセンササブシステム28を内蔵する制御サブシステムが、この湿し流体堆積制御を達成してもよい。
【0024】
ある実施形態では、画像部材12の画像再形成可能表面層上に湿し流体の制御された層を形成できるように、生成された液滴が空中で再結合しないことを確保するための手段を講じてもよい。この目的を実現する1つの方法が、液滴を電気的に帯電させて、液滴が互いに反発して、画像再形成可能表面上に堆積する前に再結合することを回避できるようにすることである。これは、例えば、ノズル44(図2)またはノズル48(図3)にバイアスを印加するバイアスシステム52により達成してもよい。さらに、分散流体堆積領域の上流にある、例えば、スコロトロン50を用いて画像部材12の画像再形成可能表面上に均一に反対電荷を載せることにより、反対に帯電した液滴を表面に引き付けて、電荷を中和して均一層を形成できる。
【0025】
次に図4を参照して、他の実施形態60によれば、湿し流体の微細液滴を生成するために噴霧装置アセンブリ62を利用する。噴霧装置の多くの異なる配置があるが、一実施例では、1つ以上のポート68、70が空気などのキャリアを導入するT字形構造66の片端に、容器64からの湿し流体を導入する。一実施形態では、1つのポート68が、第2のポート70内のキャリア温度と比較して高い温度でキャリアを導入してもよい。導入されたキャリアの間に温度差がある場合、T字形構造66の中の相対圧力により、T字形構造66の中の湿し流体とキャリアとの分散流体の生成を生じる。T字形構造66の端部内に幅の狭い出口ポート(ノズル)72を設けてあり、この出口ポート72を通して、画像部材12の画像再形成可能表面層上に分散湿し流体を射出する。
【0026】
キャリア流量と、キャリア温度と、湿し流体をT字形構造66へ導入する速度との制御が、画像部材12の画像再形成可能表面層上に堆積される湿し流体の層74の厚さの制御をもたらす。厚さセンササブシステム28を内蔵する制御サブシステムが、この湿し流体堆積制御を達成してもよい。
【0027】
図5に示す他の実施形態61では、エアナイフ76を用いて作り出した有向キャリア流(例えば、空気の)の使用を通じて、噴霧装置アセンブリ62を用いて生成した分散流体を画像部材12の画像再形成可能表面層に導いている。キャリア流量と、キャリア温度と、湿し流体をT字形構造66へ導入する速度と、エアナイフの流速とを制御することにより、画像部材12の画像再形成可能表面層上に堆積される湿し流体の層74の厚さの制御を提供してもよい。厚さセンササブシステム28を内蔵する制御サブシステムが、この湿し流体堆積制御を達成してもよい。
【0028】
ある実施形態では、画像部材12の画像再形成可能表面層上に湿し流体の制御された層を形成できるように、生成された液滴が空中で再結合しないことを確保するための手段を講じてもよい。この目的を実現する1つの方法が、ノズル72で出ていく液滴を電気的に帯電させて、液滴が互いに反発して、画像再形成可能表面上に堆積する前に再結合することを回避できるようにすることである。これは、図4および図5のそれぞれに示すように、例えば、ノズル72にバイアスを印加するバイアスシステム78により達成してもよい。
【0029】
次に図6を参照して、他の実施形態80によれば、羽根車に基づくサブシステム82を使用する。本明細書に記載の機能を提供してもよい羽根車射出システム、羽根車加湿器、およびその種の他のものなどの羽根車システムの多くの異なる配置がある。したがって、望ましい機能を説明するために1つの具体的な実施形態について記載しているが、他のシステムを同等に使用できることが理解されるであろう。
【0030】
例示的サブシステム82では、モータ88が回転させているディスクまたは羽根車86上に、容器84からの湿し流体を導入する。湿し流体は羽根車86上に簡単に蓄積するが、羽根車86の回転により誘発される遠心力に起因して、羽根車86の中心から離れて、網、ふるい、くし形フィルタなどを含む拡散板90に向かう方向に湿し流体の液滴を加速する。湿し流体の液滴は比較的高速度で拡散板90に衝突して、その結果、さらに微細な液滴に分かれる。蒸気生成を促進するために流体、羽根車86および/または拡散板90の温度を制御してもよい。このような実施形態の基礎を形成してもよい市販のシステムが、ハネウェル製のKAZ V400羽根車加湿器である。湿し流体の蒸気は画像部材12の画像再形成可能表面層上に導かれて、湿し流体の層94として蓄積する。
【0031】
図7に示す他の実施形態81では、エアナイフ96を用いて作り出した有向キャリア流(例えば、空気の)の使用を通じて、羽根車サブシステム82を用いて生成した分散流体を画像部材12の画像再形成可能表面層に導いている。湿し流体を羽根車86上に堆積させる速度と、羽根車86の回転速度と、拡散板90の形状と、エアナイフ96の流速とを制御することにより、画像部材12の画像再形成可能表面層上に堆積される湿し流体の層94の厚さの制御を提供してもよい。厚さセンササブシステム28を内蔵する制御サブシステムが、この湿し流体堆積制御を達成してもよい。
【0032】
ある実施形態では、画像部材12の画像再形成可能表面層上に湿し流体の制御された層を形成できるように、生成された液滴が空中で再結合しないことを確保するための手段を講じてもよい。この目的を実現する1つの方法が、拡散板90で出ていく液滴を電気的に帯電させて、液滴が互いに反発して、画像再形成可能表面上に堆積する前に再結合することを回避できるようにすることである。これは、図6および図7のそれぞれに示すように、例えば、拡散板90にバイアスを印加するバイアスシステム98により達成してもよい。
【0033】
上述の実施形態のそれぞれでは、本明細書でスプレーのしぶきと呼ぶ、画像部材12の画像再形成可能表面層上に堆積せずに環境に導入される湿し流体を除去したいという要求がある可能性がある。これを実行しようとする動機には、無駄を減らすこと、湿し流体に加えた危険な添加物を環境に放出しないことを確保することなどが含まれている。図8に示すスプレーのしぶきを捕捉するための一実施形態100によれば、湿し流体サブシステム14は閉じ込め構造102内に格納されている。閉じ込め構造102は、生成された分散流体のうちのかなりの量を画像部材12の画像再形成可能表面層の近くに導入するような寸法および位置となされている。画像部材12の回転により閉じ込め構造102から明りょうに運ばれる画像再形成可能表面上に分散流体の部分104を堆積させ、他方、スプレーのしぶき106を形成する蒸気の残りは閉じ込め構造102の中に閉じ込められる。送風機108または同様の装置が、閉じ込め構造の中からスプレーのしぶき106を引き出す働きをする。その後、ろ過、帯電した表面110への液滴の吸引を通じて、または技術的に公知の他の機構により、空気とスプレーのしぶきとの混合物から湿し流体を抽出して、容器112内に集めてもよい。
【0034】
湿し流体を外部環境に導入することを防止するための他の実施形態101を図9に示している。この実施形態は図8に示す実施形態と似ているが、相違点は、湿し流体サブシステム14を格納している閉じ込め構造の代わりに、システム10を取り囲むハウジング120内に低圧の局所領域を形成している点である。送風機108または同様の装置が、この低圧の局所領域を形成してもよい。その後、ろ過、帯電した表面110への液滴の吸引を通じて、または技術的に公知の他の機構により、空気とスプレーのしぶきとの混合物から湿し流体を抽出して、容器112内に集めてもよい。
【0035】
図10を参照すると、可変データ・デジタル・リソグラフィ・システムとの関連で湿し流体を画像再形成可能表面にローラを使わずに直接塗布するための他の実施形態150を示している。実施形態150は、回転する画像部材12の画像再形成可能表面層の近くにくるように形作られ配設された液体リボン押し出し装置152を含んでいる。押し出し装置152は、クロスプロセス方向に実質的に画像再形成可能表面の全幅に広がっているポート156を通して容器154から湿し流体を供給する。それにより、湿し流体は画像再形成可能表面に直接に塗布される連続した流体リボンとして基本的に押し出される。弁158、容器154の背圧、ポート156の寸法、湿し流体の粘度などを通じて押し出し速度を適切に制御することにより、回転する画像部材12の画像再形成可能表面層の円周速度と実質的に同じ速度で、湿し流体のリボンがポート156を出るようにさせてもよい。一実施形態では、湿し流体のリボンが、画像再形成可能部材の表面全体にわたって厚さ約1〜2ミクロンの層160を形成する。
【0036】
回転する表面全体を覆って比較的薄い流体層を堆積させる本事例では、画像再形成可能表面全体を覆って湿し流体を均一に塗布することを確保するためには、表面効果を考慮しなければならない。さまざまな物理的理由から、画像部材12が回転するとき、画像部材12の表面には同伴空気(または他の周囲流体)の層が形成される。この同伴空気層は、同伴空気層が妨害されない限り、画像再形成可能表面全体を覆って堆積される流体層の下方に位置する可能性がある。この目的のために、押し出し装置152は形作られ、または同伴空気層を妨害または排出するための構造を押し出し装置152に取り付け、または関連付けてもよい。一実施形態によれば、押し出し装置152内に渦発生側壁162を形成する。画像部材12が回転するとき、境界層同伴空気の少なくとも一部分が渦発生側壁162の中に導かれる。これは渦を作り出し、その結果、ノズルとオフセット印刷版シリンダの間の空間内にわずかな負圧を生じる。この負圧は同伴空気境界層を引き出し、湿し流体を引き寄せて画像部材12の画像再形成可能表面と表面接触させ、結果として、画像再形成可能表面全体を覆う湿し流体のより均一な被覆をもたらす。
【0037】
次に図11を参照すると、可変データ・デジタル・リソグラフィ・システムとの関連で湿し流体を画像再形成可能表面にローラを使わずに塗布するためのさらに他の実施形態200を示している。実施形態200は、湿し流体の蒸気204を、このような溶液206の容器から生成する蒸発チャンバ202を含んでいる。ボイラ208または同様の装置が、加圧環境内で蒸発を達成するために容器206内の溶液を加熱してもよい(他の圧力および/または温度機構を同様に使用してもよい)。このような実施形態は、ペルフルオロエーテルなどの単一構成要素の湿し流体の場合に使用してもよい。湿し流体が2つ以上の構成要素で構成されている場合、ならびにさまざまな構成要素が異なる沸点を有する場合、異なる温度を有する複数の蒸発チャンバおよびボイラ(例えば、202aなど)を、各揮発性成分に対して1つずつ並行して同時に使用できる。
【0038】
湿し流体蒸気204は、加熱された導管212または熱伝導性の導管212を通して、加熱された凝縮チャンバ210に送られる。凝縮チャンバ210の表面は、導管212を経由して熱伝導で加熱してもよく、または加熱コイル214などにより独立して加熱してもよい。加熱された凝縮チャンバ210の表面を加熱することにより、凝縮チャンバ210の内部と、画像部材12の比較的冷たい画像再形成可能表面との間に温度差を生じる。凝縮チャンバ210の中の雰囲気が蒸気の沸点をはるかに下回っている場合には、蒸気は画像部材12の画像再形成可能表面と接触する前に雰囲気内で凝縮して液滴を形成する。蒸気チャンバの内部表面が沸点付近まで、または沸点を上回って加熱されている場合には、凝縮が画像再形成可能表面上だけで起こることが好ましい。
【0039】
さらに、蒸発チャンバ202と凝縮チャンバ210の間で熱が流れる場合は、蒸発チャンバ202への熱流が蒸発速度、したがって、蒸気流量を決定する。蒸気204の流量は、画像部材12の画像再形成可能表面が凝縮チャンバ210のそばを通るときの、その表面上の定常状態の凝縮速度と等しいように設定される。凝縮速度は、このようにして形成される湿し流体層216の望ましい厚さを提供するように設定される。
【0040】
蒸気が画像再形成可能表面上で凝縮するとき、潜熱を発生する。低潜熱の湿し流体では、この潜熱は通常ごくわずかであろう。しかしながら、光学パターニングサブシステム16によるパターニングの前に、加熱コイル214への近さにより、または他の機構などにより、凝縮チャンバ210の近くの画像部材12の画像再形成可能表面の一部分を加熱することは、パターニングに必要な光学的出力を低減することを通して小さな支援を提供できる。さらに、インキングサブシステム18でインク付けする前に画像再形成可能表面を加熱することは、インク付けと転写の間で望ましいレオロジー変化を取得するのを助けることができる。
【0041】
次に図12を参照すると、可変データ・デジタル・リソグラフィ・システムとの関連で湿し流体を画像再形成可能表面にローラを使わずに直接塗布するためのさらに他の実施形態230を示している。実施形態230は、画像部材12の画像再形成可能表面の上方の望ましい距離でつるしたブレード232を含んでいる。ブレード232は、さまざまなジュロメータと、さまざまな厚さの値と、を有するさまざまな材料で構成された柔らかい変形可能材料であってもよい。可能な材料としては、シリコーン、ゴム、ビニール、ネオプレン、Teflonなどがある(が、これらに限らない)。さらに、弾力性のある金属箔のような固めの材料がブレード232を支持してもよい。一般に、ブレード232は、ブレード232の柔軟性と表面性質とを調節するために数層の異なる材料から構成してもよい。また、ブレード232は、インク、ちり粒子などの物質の付着を防止するためにParyleneまたはTeflonなどの材料で被覆してもよい。また、ブレード232は、電荷を放散するために導電性であってもよい。
【0042】
加圧したノズル排出装置などの湿し流体供給源234が、画像部材12の回転方向に関してブレード232の上流(ブレード232の裏側)の領域に湿し流体を堆積させて、湿し流体の蓄積236を形成する。湿し流体が蓄積し過ぎないように画像部材12の回転速度に対する湿し流体の塗布速度を調節する。ブレード232と画像再形成可能表面の間の間隔と角度とが、画像再形成可能表面全体を覆う湿し流体の層238の厚さを決定する。この間隔と角度とは、任意の取り付け台233により調節できてもよい。
【0043】
可変データ・デジタル・リソグラフィ・システムとの関連で湿し流体を画像再形成可能表面にローラを使わずに直接塗布するための他の実施形態240を図13に示している。実施形態240は、比較的柔軟な成形部材242をブレード232に固定している(または比較的柔軟な成形部材242をブレード232の一部分として形成している)という点で、図12に示す実施形態230の変形である。実施形態240の1つの利点は、湿し流体層238を形成する位置で、制御された力、および特定の実施形態では、調節可能な力、を加えることができることである。このことは、均一の湿し流体層の厚さと、既知の湿し流体システム内に存在するストリーキングおよび他のアーチファクトの低減とをもたらす。この実施形態の一実施例では、柔軟な成形部材242が、堅いブレード232に取り付けたゴムワイパを含んでいる。他の実施例では、ブレード232と柔軟な成形部材242とが一体構造であり、ブレード部分232はそれを相対的に堅くする第1の厚さを有するとともに、第1の厚さよりも薄い第2の厚さの成形部材部分242を有しており、それにより、成形部材部分242を相対的により柔軟にする。
【0044】
図14に示す他の実施形態250では、蓄積236から湿し流体を測定して層238を形成するために、2部品のブレード/成形部材252が、回転する画像部材12の画像再形成可能表面全体を覆って設置されている。2部品のブレード/成形部材252は、平板254を介して成形部材242に圧力を加えるのに使用する平板254と位置決めねじ256とを含んでいる。位置決めねじ256は、層238の厚さを制御するために、手動で、またはサーボモータ258およびベルト260(または同様の機構)を通じて、画像再形成可能表面に対する成形部材242の力と物理的位置との両方を制御してもよい。また、位置決めねじとサーボモータとの代わりに、圧電素子を使用して、2部品のブレード/成形部材252の位置と、2部品のブレード/成形部材252により加えた圧力とを制御してもよい。
【0045】
画像再形成可能表面の幅に対する不均一性を補うために、2部品のブレード/成形部材252が提供する調節が、図15に示すように局所的に可変であってもよい。望ましい湿し流体層厚さを保持するために、使用中に調節を変化させてもよい。厚さセンササブシステム28を内蔵する制御サブシステムが、この湿し流体堆積制御を達成してもよい。
【0046】
図16に示す他の実施形態300では、湿し流体分配装置サブシステム302がブレード304のすぐ後に隣接して位置している。分配装置サブシステム302は、湿し流体容器306と、スポンジローラ、ゴムローラのような塗布装置308と、を含んでいる。塗布装置308により、回転する画像部材12の表面全体を覆って湿し流体の層310を塗布するが、この塗布装置308は厚さの望ましくないばらつきを提供する可能性がある。湿し流体を測定して、回転する画像部材12全体を覆って比較的均一な厚さの層312を形成するために、ブレード304は回転する画像部材12の表面に対して比較的一様な高さに保持される。
【0047】
図17を参照すると、湿し流体の塗布と測定とを提供する他の実施形態320を示している。この実施形態によれば、スプレー塗布装置322が、回転する画像部材12の表面に層湿し流体326を塗布する。この場合も先と同様に、層326は厚さの望ましくないばらつきを提供する可能性がある。湿し流体を測定して、回転する画像部材12全体を覆って比較的均一な厚さの層326を形成するために、ブレード324は回転する画像部材12の表面に対して比較的一様な高さに保持される。
【0048】
本明細書では、上述のブレード実施形態の先端部に対する多くの異なる構造を想定している。(下記では用語「先端部」を使用するが、ページの中に延びるブレードのおかげで、下記に説明する図面に示すように、先端部は実際のところブレードの縁端部であることを理解されたい。)先端部構造は、結果として得られる測定された湿し流体の層の品質に直接の影響を及ぼすであろう。例えば、湿し流体層内の(したがって、最終的な画像内の)「ストリーキング」の低減を実現する可能性がある。一実施形態では、先端部の滑らかさが目的である。他の実施形態では、望ましい表面の風合いが目的の中にある。
【0049】
図18を参照すると、本明細書に記載の測定実施形態のうちのいずれかで有用なブレード350に、ブレード350の先端部に付けた高分子ビーズ352を設けてもよい。ブレード350の先端部354を液体高分子にサッと浸けること、未硬化シリコーンなどのさまざまな方法のうちのいずれかでビーズ352を付けてもよい。シリコーンを硬化した後に、滑らかなブレード先端部(縁端部)を形成する。
【0050】
あるいは、図19を参照すると、ブレード350の先端部354に箔被覆356が設けてある。箔356は、例えば、薄いポリイミド、マイラー箔、またはテープなどであってもよい。箔356は、手作業で付けてもよく、専用機械または汎用機械で付けてもよく、以下同様である。また、めっき、蒸着、または比較的滑らかで均一厚さの金属もしくは金属複合材層を堆積させる他の技術でも、同様の結果を得る可能性がある。
【0051】
図20を参照すると、本明細書に記載の測定実施形態のうちのいずれかで有用なブレード358が、箔、薄い高分子シート(比較的薄いゴムまたはシリコーンシートなどの)、またはその種の他のものを折り曲げることにより構成されてもよい。折り曲げプロセスは、均一で滑らかな先端部360を作るようになっている。
【0052】
図21を参照すると、ベルト、輪、またはその種の他のもの362の中にブレード350を配設してある。ベルト362は、例えば、薄い(例えば、約1ミル)マイラー箔などであってもよい。駆動輪364が回転して、ブレード350の先端部(縁端部)366を通り過ぎてベルト362の回転を引き起こす。ベルト362が回転するとき、ベルト362は、ベルト362からマーキング材料および他の粒子汚染を除去するクリーニングサブシステム368を通り過ぎる。この実施形態では、ベルト362は、システムの寿命とシステムが生成する画像の品質とを向上させるために、必要に応じてマーキングシステムの中の消耗アイテムであってもよい。
【0053】
上述のさまざまな実施形態では、画像部材12の画像再形成可能表面全体を覆って塗布した湿し流体の薄層の均一性をさらに制御するために、湿し流体堆積機構をブレーディング測定システムで補完することが望ましい可能性がある。したがって、上述のブレード測定システムは、本明細書に記載の他の湿し流体塗布実施形態と組み合わせてもよく、協力して作動させてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変データ・リソグラフィ・システム内の画像部材の画像再形成可能表面に湿し流体を塗布する方法であって、
湿し流体を液相から蒸気相または分散流体相に変換することと、
前記湿し流体を含む蒸気または分散流体の流れを、前記画像再形成可能表面に導くことと、
前記湿し流体を含む前記蒸気または分散流体が、前記画像再形成可能表面上で直接に前記液相に戻るように仕向けて、その結果、前記湿し流体を前記画像再形成可能表面上に堆積させて、前記画像再形成可能表面全体を覆って連続した湿し流体層を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記湿し流体が、超音波に基づくサブシステムと、ノズルに基づく噴霧装置サブシステムと、羽根車に基づくサブシステムと、蒸気チャンバサブシステムと、からなる群から選択されるサブシステムを用いて液相から分散流体相に変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分散流体相の前記湿し流体を正圧サブシステムを通じて前記画像再形成可能表面に送出するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
湿し流体が分散流体相である間に前記湿し流体の液滴に電荷を印加して、それにより前記液滴が互いに反発して、前記画像再形成可能表面上に堆積する前に再結合することを回避できるようにすることと、
前記画像再形成可能表面上に前記分散流体を堆積させる位置の直前の前記画像再形成可能表面に、前記帯電した液滴の極性と反対の極性の均一な電荷を印加することと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−35284(P2013−35284A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165423(P2012−165423)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】