説明

可変データ印刷検証機構

【課題】 印刷システムを提供すること。
【解決手段】 この印刷システムは、紙などの媒体に第1タイプのデータを印刷し、媒体に印刷される可変データを含む第1バーコードを媒体に印刷する、第1プリンタと、第1バーコードに基づいて媒体に可変データを印刷し、可変データが媒体に正確に印刷されたことを検証するために媒体に第2バーコードを印刷する第2プリンタとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷の分野に関し、具体的には、印刷された文書上の可変データの検証に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷産業では、時々、最終製品を作るために媒体を複数回処理することが必要である。たとえば、紙などの媒体が、オフセット印刷機で前刷りされ、その後、一意(可変)の情報を追加するためにディジタル印刷機/プリンタにかけられる場合がある。他の例では、ディジタル・プリンタが、十分な機能を有しない場合がある(たとえば、インク・ジェット・プリンタは、磁気インク文字認識(MICR)を印刷できない場合があり、あるいは、モノクローム・プリンタは、カラー/ハイライト・カラーを印刷できない場合がある)。
【0003】
これらの場合に、最終製品を達成するために、複数の独立のディジタル印刷デバイスを介して媒体を処理することが必要である場合がある。その独立性を強調するために、印刷デバイスは、異なる建物または国に配置され、外部ネットワーク接続を有しない場合がある。したがって、印刷出力は、数時間または数日離れて処理される場合がある。
【0004】
独立印刷システムが、可変データを生成している(たとえば、印刷データが、頻繁に変化し、媒体のそれぞれに非常に固有かつパーソナルである)時には、独立システムのそれぞれが、正しいデータを媒体に付与することがクリティカルである。たとえば、媒体が、カラーでの名前および住所の付与のために第1プリンタ内で処理され、その後、バンキング・システムによって使用されるMICRデータを追加するために異なるプリンタ内で処理される場合がある。したがって、2つの独立印刷システムによって印刷される可変データを正確に一致させることが、極めて重要である。
【0005】
多くの場合に、第2プリンタが正しく実行したかどうかを判定するために第2プリンタの出力を検証する方法はない。たとえば、第2プリンタが、MICRで銀行口座番号を印刷した可能性があるが、印刷された口座番号が第1プリンタによって印刷された口座名義人の名前と一致することを検証する方法はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、望まれているのは、第2プリンタからの印刷されたデータの正確さを検証する機構である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、印刷システムが開示される。この印刷システムは、媒体に第1タイプのデータを印刷し、可変データを含む第1バーコードを媒体に印刷する、第1プリンタと、第1バーコードに基づいて媒体に可変データを印刷し、可変データが媒体に正確に印刷されたことを検証するために媒体に第2バーコードを印刷する第2プリンタとを含む。
【0008】
さらなる実施形態では、可変データを含む、媒体に印刷された第1バーコードを読み取ることと、第1バーコードに基づいて媒体に可変データを印刷することと、第1バーコードに含まれる可変データから第2バーコードを生成することと、第2バーコードを印刷媒体に印刷することとを含む方法が開示される。
【0009】
もう1つの実施形態では、プリンタが開示される。このプリンタは、可変データを含む、媒体に印刷された第1バーコードを読み取り、第1バーコードに基づいて媒体に可変データを印刷し、第1バーコードに含まれる可変データから第2バーコードを生成し、第2バーコードを印刷媒体に印刷する、制御ユニットを含む。
【0010】
本発明のよりよい理解を、添付図面と共に次の詳細な説明から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】印刷システムの一実施形態を示す図である。
【図2】プリンタの動作の一実施形態を示す流れ図である。
【図3】文書の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
プリンタ検証機構を説明する。次の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解をもたらすために多数の特定の詳細を示す。しかし、本発明をこれらの特定の詳細の一部を用いずに実践できることは、当業者には明白であろう。他の場合には、本発明の基礎になる原理を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造およびデバイスはブロック図形式で示す。
【0013】
本明細書での「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書のさまざまな場所での句「一実施形態で」の出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態に言及するものではない。
【0014】
図1に、印刷システム100の一実施形態を示す。印刷システム100は、文書プリンタ110、可変データ・プリンタ120、および検証機構130を含む。一実施形態によれば、プリンタ110は、イメージ・データおよびテキスト・データを紙に印刷するために実施される高速インク・ジェット・カラー・プリンタである。
【0015】
さらなる実施形態では、プリンタ110は、複数の銀行口座名義人の小切手ストック(check stock)にイメージおよびテキスト・データを印刷する。たとえば、プリンタ110は、印刷される各小切手に、1つまたは複数の選択されたイメージと一緒に、住所、電話番号、および他の口座名義人固有データを印刷することができる。しかし、プリンタ110は、MICRなど、他の可変データを印刷する能力を有しない。したがって、可変データは、可変プリンタ120で印刷されなければならない。
【0016】
一実施形態では、プリンタ110は、各文書にバーコードを印刷する。第1印刷システムで印刷されるバーコード・データ内には、第2の独立の印刷システムで可変データを印刷するための指示のすべてがある。そのような実施形態では、バーコードは、プリンタ120で文書に付与されるべき可変データ(たとえば、銀行口座番号)を含む。というのは、可変データが、プリンタ110で処理されてから不確定の長さの時間の後に文書に印刷される可能性があるからである。さらなる実施形態では、バーコード内のデータは、そのデータが機密情報または取り扱い注意の情報を含む可能性があるので、暗号化される。
【0017】
より後のある時に、文書が、可変データの印刷のためにプリンタ120内に置かれる。一実施形態によれば、プリンタ120は、MICRトナーを備えたモノクローム・プリンタである。図2は、プリンタ120内の制御ユニット125によって実行されるプロセスの一実施形態を示す流れ図である。処理ブロック210で、プリンタ120は、文書上のバーコードを読み取る。
【0018】
処理ブロック220では、バーコード・データを復号する。処理ブロック230では、可変データを文書に印刷する。処理ブロック240では、復号されたバーコード・データを使用して、オリジナル・バーコードと同一の第2バーコードを生成する。したがって、情報は、バーコードを生成する前に、もう一度暗号化される。処理ブロック250では、第2バーコードを文書に印刷する。一実施形態では、第2バーコードは、オリジナル・バーコードに対して相対的な、文書上の既知の位置に印刷される。
【0019】
図3に、プリンタ120で処理された後の文書300の一実施形態を示す。文書300は、プリンタ110で印刷されたバーコード330と、プリンタ120で印刷された同一のバーコード350とを含む。この文書は、後に、検証機構130で受け取られ、ここで、正しい可変データが文書に印刷されたことを検証するために、第2バーコードがオリジナル・バーコードと比較される。
【0020】
一実施形態によれば、検証機構130は、2つのバーコードのそれぞれが読み取られた後に、2つのバーコードを比較する機能を有するバーコード・スキャナである。しかし、他の実施形態では、スキャナは、スキャンされたデータをコントローラに送ることができ、このコントローラが比較を処理する。バーコードの間の一致は、プリンタ120がオリジナル・バーコード内のデータの読取りおよび復号に成功したことを示す。一実施形態では、検証機構130を、検証を実現するために特殊なプログラミングまたは可変データもしくは暗号化の知識を必要としない、独立の検証デバイスとすることができる。
【0021】
さらに、同一の媒体(たとえば、紙)に第2バーコードを配置することによって、第2プリンタによって印刷された可変データが、第1プリンタによって付与された可変データに正しく対応することの表示がある。一実施形態では、検証機構130は、媒体サイズ(ページ)に対して相対的に極めて接近している同一のバーコードの対を期待するように構成される。比較の後に、バーコードが一致しないまたはバーコードの一方が欠けていると判定される場合には、その文書は、破棄されるか、さらなる検証のために転送される。
【0022】
一実施形態によれば、バーコード・データ内に含まれる人間可読表現(たとえば、一意の通し番号)をも、バーコードに加えて、プリンタ110で文書に印刷することができる。この実施形態では、通し番号の第2バージョンも、バーコードが復号された後にプリンタ120で文書に印刷される。これは、バーコードの比較ではなく、文書がプリンタ120で処理された後の2つの印刷された番号の比較を可能にする。そのような実施形態では、検証機構130は、印刷された番号を比較するためにイメージ認証システムを含むことができる。
【0023】
単一の文書ページに関して説明したが、上で説明したプロセスを、各ページが正確なデータを有することを保証するために単一文書の複数のページのそれぞれに印刷されたバーコードが検証される実施形態で実施することができる。
【0024】
本発明の実施形態は、上で示したさまざまなステップを含むことができる。これらのステップをマシン実行可能命令(すなわちコンピュータ実行可能命令)で実施することができる。この命令を使用して、汎用プロセッサまたは特殊目的プロセッサに、あるステップを実行させることができる。その代わりに、これらのステップを、これらのステップを実行するハードワイヤド論理を含む特定のハードウェア・コンポーネントによって、または、プログラムされたコンピュータ・コンポーネントおよびカスタム・ハードウェア・コンポーネントの任意の組合せによって実行することができる。
【0025】
本発明の要素を、マシン実行可能命令(コンピュータ実行可能命令)のプログラムを格納するマシン可読記憶媒体(コンピュータ可読記憶媒体)として提供することもできる。コンピュータ可読記憶媒体は、フロッピ・ディスケット、光ディスク、CD−ROM、および光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気カードもしくは光カード、または電子命令を格納するのに適する他のタイプの媒体/コンピュータ可読記憶媒体を含む。なお、本発明は、リモート・コンピュータ(たとえば、サーバ)から要求するコンピュータ(たとえば、クライアント)へ、搬送波または他の伝搬媒体内で実施されるデータ信号によって、通信リンク(たとえば、モデムまたはネットワーク接続)を介して転送できるコンピュータ・プログラムとしてダウンロードすることができる。
【0026】
前述の説明を読んだ後に、本発明の多数の代替形態および修正形態が、疑いなく、当業者に明白になるが、実例として示され、説明されたすべての特定の実施形態が、限定的であると考えられることを全く意図されてないことを理解されたい。したがって、さまざまな実施形態の詳細への言及は、特許請求の範囲を限定することを意図されたものではなく、特許請求の範囲自体は、本発明に本質的とみなされる特徴だけを列挙したものである。
【符号の説明】
【0027】
100 印刷システム; 110 文書プリンタ; 120 可変データ・プリンタ;
125 制御ユニット; 130 検証機構; 300 文書;
330、350 バーコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に第1タイプのデータを印刷し、前記媒体に印刷される可変データを含む第1バーコードを前記媒体に印刷する、第1プリンタと、
前記第1バーコードに基づいて前記媒体に前記可変データを印刷し、前記可変データが前記媒体に正確に印刷されたことを検証するために前記媒体に第2バーコードを印刷する第2プリンタと
を含む印刷システム。
【請求項2】
前記第1プリンタは、前記第1バーコードを印刷する前に前記可変データを暗号化する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第2プリンタは、前記可変データを前記媒体に印刷する前に前記第1バーコードから前記可変データを復号する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第2プリンタは、前記第2バーコードを印刷する前に前記第1バーコードからの前記データを暗号化する、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードに対して相対的な、前記媒体上の既知の位置に印刷される、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードと同一である、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記第2バーコードが前記第1バーコードと同一であることを検証するスキャナをさらに含む、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記第1タイプのデータは、テキスト・データおよびイメージ・データのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
可変データを含む、媒体に印刷された第1バーコードを読み取ることと、
前記第1バーコードに基づいて前記媒体に前記可変データを印刷することと、
前記第1バーコードに含まれる前記可変データから第2バーコードを生成することと、
前記第2バーコードを前記印刷媒体に印刷することと
を含む方法。
【請求項10】
前記可変データを前記媒体に印刷する前に前記第1バーコードから前記可変データを復号することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2バーコードを生成する前に前記第1バーコードからの前記可変データを暗号化することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードに対して相対的な、前記媒体上の既知の位置に印刷される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードと同一である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2バーコードが前記第1バーコードと同一であることを検証することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
可変データを含む、媒体に印刷された第1バーコードを読み取り、前記第1バーコードに基づいて前記媒体に前記可変データを印刷し、前記第1バーコードに含まれる前記可変データから第2バーコードを生成し、前記第2バーコードを前記印刷媒体に印刷する、制御ユニットを含むプリンタ。
【請求項16】
前記制御ユニットは、さらに、前記可変データを前記媒体に印刷する前に前記第1バーコードから前記可変データを復号する、請求項15に記載のプリンタ。
【請求項17】
前記制御ユニットは、さらに、前記第2バーコードを生成する前に前記第1バーコードからの前記可変データを暗号化する、請求項15に記載のプリンタ。
【請求項18】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードに対して相対的な、前記媒体上の既知の位置に印刷される、請求項15に記載のプリンタ。
【請求項19】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードと同一である、請求項15に記載のプリンタ。
【請求項20】
前記第2バーコードが前記第1バーコードと同一であることを検証することをさらに含む、請求項19に記載のプリンタ。
【請求項21】
コンピュータによってアクセスされる時に、
可変データを含む、媒体に印刷された第1バーコードを読み取ることと、
前記第1バーコードに基づいて前記媒体に前記可変データを印刷することと、
前記第1バーコードに含まれる前記可変データから第2バーコードを生成することと、
前記第2バーコードを前記印刷媒体に印刷することと
を含む動作を前記コンピュータに実行させる、プログラムを記憶させたコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記コンピュータ可読媒体は、前記可変データを前記媒体に印刷する前に前記第1バーコードから前記可変データを復号することを含むさらなる動作を前記コンピュータに実行させるデータを含む、請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
前記コンピュータ可読媒体は、前記第2バーコードを生成する前に前記第1バーコードからの前記可変データを暗号化することを含むさらなる動作を前記コンピュータに実行させるデータを含む、請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードに対して相対的な、前記媒体上の既知の位置に印刷される、請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項25】
前記第2バーコードは、前記第1バーコードと同一である、請求項21に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記第2バーコードが前記第1バーコードと同一であることを検証することをさらに含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−19225(P2011−19225A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156735(P2010−156735)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(509129277)インフォプリント・ソリューションズ・カンパニー・エルエルシイ (26)
【Fターム(参考)】