説明

可変形状装置

【課題】機械的連結が構成部品またはサブシステム間の信号の無線連結を可能にする無線信号連結と関連する、機械的に連結される構成部品またはサブシステムを有する装置を提供する。
【解決手段】受け口形の連結要素からなる第1の構成部品、球形の連結要素からなる第2の構成部品であって、球形の連結要素は、受け口形の連結要素内に移動可能に受け入れられ、第2の構成要素を第1の構成要素に機械的に連結する第2の構成部品を備え、球形の連結要素は、導電性を有し、受け口形の連結要素は、導電性を有し、球形の連結要素と受け口形の連結要素は、第1の構成要素と第2の構成要素との間で信号を無線連結するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成部品またはサブシステムの相対的な方向及び位置の少なくとも1つを変更することにより装置の形状が変えられることを可能にするように、装置の構成部品またはサブシステムが機械的に連結されている可変形状装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、データ及び電力の少なくとも1つが構成部品またはサブシステム間で交信されることを望まれている可変形状装置に関する。例えば、構成部品またはサブシステムの一方は、表示のようなユーザー・インターフェースであるのに対し、他方は、装置の本体または別の機能的構成部品であり得る。そのような装置の例は、ビデオ・カメラ、ラップトップ・コンピュータや携帯情報端末(PDAs)、ビデオ表示ユニット、画面に基づくGPSシステムや電子試験装置、及び画面に基づくその他のシステムまたはユニット、あるいは、同様のアセンブリまたは機構を有するその他の装置がある。機械的連結は、例えば、回転ヒンジ・アセンブリまたは摺動機構であり得る。
【0003】
無線連結それ自体の使用は、既に提案されてきたことに留意されるべきである。したがって、例えば、特許文献1には、遊び駒(a playing piece)とマイクロプロセッサとの間でデータが転送されることを可能とする、ゲーム盤へのゲーム駒の静電連結が記載されている。特許文献2には、システムと単独に取り付け可能な構成部品または計器盤(a fascia)との間でデータを転送する静電連結型が使用されている。特許文献3には、携帯装置が第2の電子装置へのデータ転送のために使用される誘導リンクを介して充電されるシステムが記載されている。特許文献4には、中央通信ユニット及び、電磁連結を使って無線で通信するとともに、電力が帯域通過フィルタの磁気コイルを使用して周辺通信装置に転送される、少なくとも1つのケーブルのない周辺通信ユニットを備える通信システムが記載されている。特許文献5には、電磁誘導連結により冷蔵庫本体と扉との間で情報が交信されることを可能とする冷蔵庫が記載されている。特許文献6には、ヒンジ・アセンブリにより電話器本体に接続される跳ね蓋(a flip cover)を有する携帯電話が記載され、静電連結により本体の第1のアンテナと跳ね蓋の第2のアンテナとの間での無線信号の転送が記載されている。特許文献7には、中継器が作動し、中継器のデータが高周波電磁界により更新され、移動データ検出装置により提供されるデータ転送方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/31676号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/093881号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,455,466号明細書
【特許文献4】西独国特許第19542214号明細書
【特許文献5】特開2001−33136号公報
【特許文献6】国際公開第00/30267号パンフレット
【特許文献7】西独国特許第19940374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような装置は、相対的に移動可能な構成部品間をケーブルの各端部に設けられた複数ピン・コネクタにより連結され、構成部品またはサブシステム間でデータ信号のような信号を伝達する複線ケーブル接続(例えば、フラット・リボン・ケーブル)を使用する。しかしながら、装置の形状が変更されるたびに、相対的移動が機械的に連結されている構成部品間に必要とされる。時間がたてば、複線接続上のこの繰り返される移動部位のストレスや歪が、結果として移動可能な構成要素及び/またはケーブル接続の各端部で複数ピン・コネクタを取り付けるのに使用される接続インターフェースのストレス不全を招き得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの形態において、本発明は、機械的連結が構成部品またはサブシステム間の信号の無線連結を可能にする無線信号連結と関連する、機械的に連結される構成部品またはサブシステムを有する装置を提供する。
【0007】
一つの形態においては、本発明は、構成部品またはサブシステムの相対的な方向及び位置の少なくとも1つを変更することにより装置の形状が変えられことが可能となるように機械的に連結する、それぞれの機械的連結要素を有する複数の構成部品またはサブシステムを備える装置であって、第1及び第2の機械的連結の各々は、それぞれの信号連結手段(a signal coupling means)を提供し、信号連結手段は、構成部品またはサブシステムの一方から他方へ、または別のものへの信号の無線連結を可能とすべく連携する、装置を提供する。
【0008】
ある実施態様においては、本発明は、第1及び第2の構成部品の少なくとも一方の他方に対する移動を可能にするように、第1及び第2の構成部品を機械的に結合すべく連携する、それぞれの第1及び第2の機械的連結要素を有する第1及び第2の構成部品を備える携帯装置であって、第1及び第2の機械的連結要素の各々がそれぞれの信号連結手段を提供し、信号連結手段が第1及び第2の構成部品の一方から第1及び第2の構成部品の他方への信号の無線連結を可能とすべく連携する装置を提供する。
【0009】
ある実施態様においては、各信号連結手段は、少なくとも2つの信号連結要素を備えている。各信号連結要素は、信号連結器を形成する機械的連結要素と関連する。信号連結手段は、機械的連結に組み込まれていてもよい。例えば、信号連結手段は、対応する機械的連結要素により運ばれ、または、対応する機械的連結要素の一部を形成し得る。
【0010】
ある実施態様においては、少なくとも一方の構成部品またはサブシステムは、信号連結手段により提供される無線連結を介して、他方の構成部品またはサブシステムへ、または装置内の構成部品またはサブシステムの別のものへデータを交信するデータ提供手段を有する。
【0011】
ある実施態様においては、装置の少なくとも一方の構成部品またはサブシステムは、無線連結を介して、他方の構成部品またはサブシステムに、あるいは、装置内の構成部品またはサブシステムの別のものに連結される信号を供給する信号連結手段に連結されている信号供給手段を有し、少なくとも一方の構成部品またはサブシステムは、装置内の他方の構成部品またはサブシステムへ、あるいは、構成部品またはサブシステムの別のものへ、その信号を変調することにより、データを交信するように配置される。
【0012】
ある実施態様においては、少なくとも一方の構成部品またはサブシステムは、その構成部品またはサブシステム用電力を、無線連結を介して他方あるいは装置内の別の構成部品またはサブシステムからその構成部品またはサブシステムへの連結された信号から引き出す電力引き出し手段(power deriving means)を有する。電力引き出し手段は、整流手段または整流手段と電荷蓄積手段を備えていてもよい。
【0013】
一般的に、信号連結手段は、静電性または誘導性の無線連結を提供する電気的信号連結手段を備えている。
【0014】
信号連結手段間の連結度は、構成部品またはサブシステムの相対的位置及び/または方向により変動し得る。また、連結度を判定する判定手段が設けられる。例えば、判定手段は、装置内の構成部品またはサブシステムの相対的位置及び/または方向に関する情報を判定するために設けられ得る。
【0015】
機械的連結要素は、回転可能な機械的連結及び摺動可能な機械的連結の少なくとも1つを備えている。
【0016】
機械的連結要素は、ヒンジの同軸部分を提供し得る。別の可能性として、機械的連結要素は、球関節装置(a ball and socket arrangement)を設定し得る。さらに別の可能性として、機械的連結要素は、一方の構成部品またはサブシステムが他方のあるいは装置内の別の構成部品またはサブシステムに対して摺動することを可能とする摺動する機械的連結を提供し得る。
【0017】
一般的に、本発明の装置内の構成部品またはサブシステムは、状況次第で、相対的に移動可能なままであるけれども、構成部品またはサブシステムの相対的位置及び/または方向は、一旦機械的連結がなされると固定され得る。
【0018】
構成部品は、サブシステムまたはサブアセンブリであってもよい。一例として、ある構成部品は、ディスプレイ装置のようなユーザー・インターフェース装置、または、キーボードのようなユーザー入力装置、あるいは、施錠装置のようなアクセス制御装置であってもよい。
【0019】
可変形状装置は、携帯装置であってもよい。例えば、装置は、ラップトップ、PDA、ビデオ・ディスプレイ・ユニット、ビデオ・カメラ、またはGPSシステムや電子試験装置、画面に基づくその他のシステムやユニット、あるいは同様のアセンブリまたは機構を有するその他の装置であってもよい。
【0020】
本発明は、また、第1の構成部品から第1の構成部品に機械的に連結されている第2の構成部品への信号を無線連結し、第1及び第2の構成部品の少なくとも一方の他方への移動を可能にする方法を提供する。該方法は、第1及び第2の構成部品の機械的連結を介し、第1の構成部品から第2の構成部品へ信号を無線連結することを備えている。
【0021】
本発明を実施する装置は、無線連結により、相対的に可変の構成部品またはサブシステムの間に存在する応力絶縁の高水準を可能とする。
【0022】
本発明の実施態様は、異なる構成部品またはサブシステムが、さもなければそのようなシステムにおいて典型的である機械的または直流電気コネクタ(the galvanic connectors)を取り替えるのに、どのような要求もなしに利用され得るように、さらなる柔軟性を可能とする。例えば、装置がビデオ・カメラを備え、機械的に連結された構成部品がカメラ本体と表示画面(a display screen)を備えている場合、画面は、異なる画面や異なる機能ユニットと取り替えられ、同じ無線データ及び電力転送がカメラ・システムの本体と新しい画面や機能ユニットとの間で使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】静電無線連結の第1の形態がビデオ・カメラの表示画面と本体との間で回転可能な機械的連結に組み込まれているビデオ・カメラの形をした、本発明に係る装置の第1の実施態様の簡略化された斜視図を示す。
【図2】ビデオ・カメラの表示画面と本体の間の機械的連結及び静電無線連結をより詳細に説明するための、図1に示されるビデオ・カメラの簡略化された分解斜視図を示す。
【図3】図1及び2に示される静電無線連結の動作を説明するための図を示す。
【図4】静電無線連結の第2の形態がビデオ・カメラの表示画面と本体との間で回転可能な機械的連結に組み込まれているビデオ・カメラの形をした、本発明に係る装置の第2の実施態様の簡略化された斜視図を示す。
【図5】ビデオ・カメラの表示画面と本体の間の機械的連結及び静電無線連結をより詳細に説明するための、図4に示されるビデオ・カメラの簡略化された分解斜視図を示す。
【図6】機械的連結の中への静電無線連結の組み込みを説明するための、図5に示される機械的連結の部分を貫通してとられた断面図を示す。
【図7】図4、5及び6に示される静電無線連結の動作を説明するための図を示す。
【図8】機械的な球関節に組み込まれている静電無線連結を有する、本発明を具体化する別の装置の部分を貫通して取られた断面図を示す。
【図9】図8と同様であるが、機械的な球関節に組み込まれている静電無線連結の変更された形を有する装置の部分の断面図を示す。
【図10】携帯電子装置の本体とカバーとの間で摺動可能な機械的連結の部分を形成する静電無線連結を有する携帯電子装置の形をした、本発明に係る装置の別の実施態様の簡略化された斜視図を示す。
【図11】無線連結を介する通信を説明するための、本発明を具体化する装置の機能ブロック図を示す。
【図12】本発明を具体化する装置の無線連結を横切ってデータ及び電力がどのようにして伝達されるかを示す。
【図13】図1〜3に示される静電無線連結の代わりに使用され得る誘導無線連結の斜視図を示す。
【図14】図4〜6に示される静電無線連結の代わりに使用され得る誘導無線連結の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
さて、本発明の実施態様が、一例として、添付の図面を参照して記載される。
さて、図面を参照すると、図1及び2には、本発明を具体化するビデオ・カメラ210が示されている。該ビデオ・カメラ210には、ビデオ・カメラ210の本体200と回転可能な表示画面201との間に機械的連結202が設けられている。図1の円弧Xは、表示画面がビデオ・カメラの本体に対して回転し得る角度を示す。静電無線連結205及び206は、機械的連結202の中に組み込まれている。静電無線連結205を用いて、表示画面201が電力供給を引き出しまた、静電無線連結205を用いて、データが本体200と表示画面201との間で交信される。
【0025】
簡略化するために、レンズや動作スイッチなどのようなカメラの通常の構成部品の大部分が図1及び2から削除されている。
【0026】
図1及び2に示されるように、本体と表示画面との間の機械的連結は、そのようなビデオ・カメラにとって常套的であるようなヒンジ・アセンブリ202の形をとっている。しかしながら、本発明によれば、本体と表示画面を電気的に接続するためにヒンジ・アセンブリ内に設けられた複数線のケーブル接続(一般的には、フラット・リボン・ケーブル)は、静電無線連結に取り替えられている。
【0027】
図2に最も明瞭に示されているように、本実施例においては、ヒンジ・アセンブリは、本体200により支えられている第1及び第2の、一直線上に並べられているが間隔をあけて配置されるヒンジ部材101及び102、及び表示画面201により支えられている第3の細長いヒンジ部材103を備えている。あるいは、第3の細長いヒンジ部材103は、本体200により支えられ、ヒンジ部材101及び102は、表示画面により支えられていてもよい。
【0028】
第3のヒンジ部材の末端部は、面取りされた突出領域104及び105を有している。該突出領域104及び105は、第3のヒンジ部材103が第1及び第2のヒンジ部材に対してその軸の周りに回転できるように、第1及び第2のヒンジ部材101及び102のそれぞれ相補的に面取りされた凹部(唯一の凹部106が図2に示されている。)に収容される。したがって、第3のヒンジ部材の軸は、ビデオ・カメラの本体200に対する表示画面201の回転軸を画定する。本実施例において、静電無線連結は、各々が誘電体により分離されている2つの静電連結要素からなる2つの静電連結器を備えている。各静電連結要素は、導電性円形板205及び206である。ヒンジの回転軸と同軸である2組の平行で間隔が離れて配置される導電板を画定するように、静電連結要素205は、第1及び第2のヒンジ部材の凹部106内に嵌め込まれ、静電連結要素206は、第3のヒンジ部材103の突出領域104に支えられている。誘電体は、単純に空気であってもよいし、所要の誘電特性及び摩擦特性を提供する適切な材料、例えば、(非常に低い摩擦係数を有するという利点がある)ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなプラスチック材料あるいはセラミック材料であってもよい。
【0029】
図1及び2には示されていないけれど、第1の電気接続が本体200内の電気回路と凹部106内に嵌めこまれた静電板205との間に作られ、また、第2の電気接続が表示画面内の電気回路と表示画面201の第3のヒンジ部材103の突出領域104で支えられている静電板206との間に作られている。これらの電気接続は、例えば、ヒンジ部材を貫通する絶縁線で作られてもよい。
【0030】
したがって、静電無線連結は、ヒンジ・アセンブリ内に配置される2つの静電無線連結器を備え、各連結器は、2つの平行で同軸の板または円盤205及び206を備えている。最小限の2つのそのような静電無線連結器は、送達及び帰還電流路(a flow and return current path)を確保するために設けられている。しかしながら、多数の静電無線連結器が使用されてもよい。
【0031】
図3は、静電無線連結の動作を説明するための、図2に示される複数対の静電板のうちの1つを表す略図である。静電連結器の板205及び206の間の静電容量は、(エッジ効果を無視することで)C=εA/dにより近似される。ここで、ε=ε0εr、εrは、誘電体207材料の比誘電率(すなわち、誘電定数)であり、ε0は、自由空間の誘電率(8.85x10-12F/m)であり、Aは、板205及び206の重なり部分の面積であり、dは、板205及び206の離隔距離、すなわち、誘電体207の厚さである。静電容量は、ε、A及びdの何れか1つまたはそれ以上を調整することにより制御され、特定の装置の要求に応え得る。例えば、所定の機械構造に対する静電容量を最大にするために、ε及びAが最大にされ、dは、最小にされる。典型的には、dは、ほぼ数マイクロメータ程度である。
【0032】
図4及び5は、上述された機械的連結の形態及び無線静電連結の形態の両方とは異なる、本発明を実施する別のビデオ・カメラ510の概略斜視図を示す。図7は、装置の部分を貫通する断面図を示し、静電連結がどのようにして機械的連結に組み込まれているかを示している。
【0033】
図5の分解斜視図及び図6に示される機械的連結の部分を貫通してとられた断面図により最も明瞭に示されるように、この場合、機械的連結は、第1及び第2の、一直線上に並べられているが間隔をおいて配置され、本体500により支えられているヒンジ部材601及び602、及び表示画面501に支えられている第3の細長いヒンジ部材603を有するヒンジ・アセンブリを備えている。あるいは、第3の細長いヒンジ部材603が本体500に支えられ、ヒンジ部材601及び602が表示画面501に支えられていてもよい。
【0034】
第3のヒンジ部材603は、中空円筒の形態を有し、第1及び第2の間隔をおいて配置されているヒンジ部材601及び602は、第3のヒンジ部材が第1及び第2のヒンジ部材に対してその軸の周りに回転することができるように中空円筒603の各端部内に収容される円筒状の突出体607及び608を支えている。したがって、第3のヒンジ部材の軸は、ビデオ・カメラ510の本体500に対する表示画面501の回転軸を画定している。
【0035】
本実施例において、無線静電連結もまた、各々が誘電体により分離されている2つの静電連結要素を有する2つの静電連結器が設けられている。しかしながら、図5及び6に示されるように、本実施例では、各静電連結要素は、各静電連結器が誘電体により分離されている2つの同軸の円筒からなるように、導電性円筒の形態を有している。各静電連結器の2つの円筒400及び401が同軸であり、単純に空気であってもよく、または所要の誘電及び摩擦特性を提供する適切な材料、例えば、(非常に低い摩擦係数を有するという利点がある)ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなプラスチック材料またはセラミック材料であってもよい誘電体407(図6)により分離されるように、各静電連結器の一方の円筒400は、突出体607及び608のそれぞれの1つにより支えられ、各静電連結器の他方の円筒401は、中空円筒状の第3のヒンジ部材603の内側表面に支えられている。
【0036】
円筒400及び401は、例えば、突出体607及び608及び中空円筒603の内側に蒸着される導電性塗膜として、あるいは、突出体607及び608上に及び中空円筒603内に取り付けられる別々の導電性円筒として設けられ得る。
【0037】
図4〜6には示されていないけれども、本体500内の電気回路と突出体607及び608に支えられている静電円筒400との間に第1の電気接続が作られ、表示画面内に電気回路と表示画面501の第3のヒンジ部材603の内側に支えられている静電円筒401との間に第2の電気接続が作られている。これらの電気接続は、例えば、ヒンジ部材を貫通する絶縁線で作られていてもよい。
【0038】
したがって、この静電無線連結は、ヒンジ・アセンブリ内に配置される2つの静電無線連結器を備え、各連結器は、2つの平行で同軸の円筒400及び401を備えている。また、2つのそのような静電無線連結器は、送達及び帰還電流路を確保するために示されているけれども、多数の静電無線連結器が使用されてもよい。
【0039】
図7は、図4〜6に示される静電無線連結器の動作を説明するための図を示す。本実施例において、連結器の静電容量Cは、C=2πεl/ln(r2/r1)で与えられる。ここで、r1及びr2は、図7に示されるように、2つの円筒400及び401の半径であり、lは、円筒の重なり部分の長さであり、εは、ε=ε0εrで与えられ、εrは、誘電体407の比誘電率(すなわち、誘電定数)であり、ε0は、自由空間の誘電率(8.85x10-12F/m)である。
【0040】
そのような静電連結の静電容量は、r2、r1、l及びεのうちの1またはそれ以上を調整することにより、制御され、特定の用途の要求に応え得る。したがって、静電容量を最大にするためには、
誘電体の間隔r2−r1は、できるだけ小さくされ、典型的には、静電容量がこのパラメータに反比例するので、数ミクロンメータ程度となるようにし、
同軸の円筒要素の重なり部分の長さlは、これが等価の静電板の面積を直接制御するので、できるだけ長くされ、
所要の誘電体の間隔に対するr2の絶対値は、これが等価の静電板の面積を直接制御するので、できるだけ大きくされ、
誘電体407の誘電率(すなわち、誘電定数)はできるだけ大きくされるべきである。
【0041】
上記実施例において、機械的連結は、単一の軸の周りの回転を可能にし、静電連結要素は、円形または円筒形の対称性を有している。本発明は、また、機械的連結が1以上の軸の周りの回転を可能にする場合、あるいは、装置の一方の構成要素を他方の構成要素に対して置き換えることを可能にする場合にも適用され得る。
【0042】
図8は、機械的連結の領域における、本発明を実施する別の装置の部分を貫通する断面を示す。本実施例において、機械的連結は、紙面を出入りする円弧Yの回転及び紙面での円弧Zの回転が可能である3次元の球関節(a ball-joint)の形態を有する。静電連結は、球(the ball)302の外面304が一方の静電連結用を形成し、受け口(the socket)301の内面305が他方の静電連結要素を形成するとともに、2つの要素が空気または上述した材料の1つであり得る誘電体303により分離されるように設けられている。本実施例において、球及び受け口それ自体は、導電性であってもよいし、あるいは、それらは、静電連結要素を提供すべく導電性塗膜を有していてもよい。上述したように、送達及び帰還電流路の存在を確保するために、静電連結は、少なくとも2つの静電連結器を備えるべきである。装置が2つのそのような球関節(ball and socket joints)を必要とする場合、このことは、図8に示される形態を有する静電連結器のような球関節を2つ形成することにより達成され得る。
【0043】
図9は、図8に示される球間接の変更された形態を示す。図において、少なくとも2つの別々の静電連結要素307及び308が球に設けられ、対応する静電連結要素306及び309が受け口に設けられ、少なくとも2つの静電連結器306と307及び308と309を提供している。これらの静電連結要素は、比較的小さいように示されているけれども、無線連結が有効であるべきである球関節の移動の所要範囲全体にわたって静電連結器の各静電連結要素の間の十分な重なりを提供すべく混信(cross talk)を引き起こすことなしに、これらの静電連結要素ができるだけ大きく作られるべきであることが理解されるであろう。本実施例において、静電連結要素は、球と受け口の上に蒸着され、または球と受け口に塗布される導電性領域により提供され得る。あるいは、そのような領域は、製造中に、球と受け口の一部にされ得る。
【0044】
さらに、図8及び9に示されていないけれども、電気接続が、例えば、球及び受け口を貫通する絶縁線により、静電連結要素に対してそれぞれ本体内及び表示画面内で作られる。
【0045】
図10は、表示画面2を持つ本体1及びW方向に摺動可能な保護カバー3を有する携帯情報端末(PDA)のような携帯電子装置10の形態での、本発明に係る装置の別の実施態様の簡略化された斜視図を示す。保護カバー3は、回路、例えば、受動的データ記憶装置や場合により小型デジタルカメラを内蔵している。この場合、静電無線連結は、摺動可能な機械的連結部分に設けられる。
【0046】
図10から理解されるように、摺動可能な機械的連結は、一部は、カバーが表示画面2を覆い閉じられた状態になると、本体1に対応して形作られている案内溝10に受け入れられるように、カバーの下側に配置されている反転したT字形断面の案内レール9によって、一部は、カバー3の下側に設けられている細長い凹部5及び本体により支えられている相補的な細長い突条体(elongate projections)6によって提供されている。細長い凹部5及び相補的な細長い突条体6各々は、カバーが摺動可能である方向に延びている細長い静電連結要素7及び8を備え、または支えている。この場合、誘電体は、カバーと本体との間の小さな空気の間隔によって提供されている。摺動方向の細長い静電連結要素7及び8の長さ及び相対的位置は、十分な静電連結を提供し、電力及びデータが、無線通信が効果的であるべきであるカバー3の所望の移動範囲を越えて本体1とカバー3との間で交信されることを可能とするように選択される。この範囲は、カバーが閉じられるとき、または、例えば、表示全体を公開するのに十分にカバーが開かれるとき、カバー3により支えられる電気回路が使える状態にあるように設計されている。また、電気接続が、本体を貫通して細長い静電連結要素7まで、及びカバーを貫通して細長い静電連結要素8まで延在している。また、2つの静電連結器が、送達及び帰還電流路を提供すべく設けられている。さらに静電連結器が設けられてもよい。
【0047】
図11は、機械的連結に関連する無線連結による通信を説明するための、本発明を実施する装置の簡略化された機能ブロック図を示す。
【0048】
図11のブロック700及び701は、それ自身はブロック702により表されている機械的連結により一緒に連結されている装置の2つの構成部品を表す。本実施例において、装置は、図1〜3または図4〜7を参照して上述されたように、移動可能な画面を有するビデオ・カメラである。ブロック700は、ビデオ・カメラの本体の機能的構成部品を表し、一方、ブロック701は、表示画面の機能的構成部品を表している。簡単にするために、無線連結は、単純に2つのブロック703及び704として示され、ブロック704は、帰還無線連結器を表している。
【0049】
本体の機能的構成部品は、電源、カメラのレンズ・アセンブリ及びカメラの全般的な動作を制御するプロセッサ制御回路、及び機械的連結を介して表示画面へ送信するのに適切な形態でデータを生成するデータ処理回路のようなカメラの標準的な全ての構成部品を有するカメラ回路705を含んでいる。同様に、表示画面の機能的構成部品は、表示画面の表示駆動を制御する普通の駆動回路、例えば、LCD(液晶表示)駆動インターフェース、LCD駆動装置、及び表示がLCD装置であるデータ記憶装置を有する表示回路706を含んでいる。これらの機能的構成部品705及び706は、通常のものであり、説明されない。
【0050】
カメラ本体700は、また、無線連結器703及び704を介して本体と表示画面との間の電力及びデータの交信を制御する電力及びデータ供給制御回路を含んでいる。電力及びデータ供給制御回路は、電力及びデータ供給制御回路がカメラ回路705と交信することを可能とするインターフェース707を含んでいる。本実施例において、電力及びデータ供給制御回路は、カメラの電源により電力を供給される。このことは、カメラ回路705を電源線730及び731へ連結することで図11に表されている。簡略化するために、本体のその他の機能的構成部品の電源線730及び731への接続は、図11には示されていない。もちろん、電力及びデータ供給制御回路が、あるいは、例えば、蓄電池を用いる、電源内蔵型であってもよいことが理解されるであろう。
【0051】
本体の電源及びデータ供給制御回路は、インターフェース707を介してカメラ回路705のプロセッサと交信し、無線連結を介して表示画面と本体との間でデータの交信を可能とするのに必要な動作を制御する本体制御器708を有している。本実施例では、表示画面は、電源内臓型ではない。それで、制御器710は、また、表示画面が以下に記載されるように、電源を引き出す信号の表示画面への供給を制御する。
【0052】
本体の電力及びデータ供給制御装置は、無線連結器703の本体静電連結要素及び無線連結を介してデータを表示画面に供給する本体データ発信装置709に供給される交流(AC)信号を生成する信号発生装置712を含んでいる。データ発信装置709は、例えば、本体制御器708の制御の下に、本体制御器708により供給されるデータに従って信号発生装置712により供給される信号(あるいは、別個の搬送波信号)を変調することにより、一般的には、インターフェース707を介するカメラ制御回路705の制御の下に、データを送信し得る。振幅、位相または周波数の変調のようないかなる適切な変調方式も利用され得る。また、一般的にはNRZ(非ゼロ復帰)データ・コードが使用され得るけれども、いかなる適切なデータ・コード体系も利用され得る。別個の搬送波信号が使用される場合、異なる信号タイプまたは適用要件に対して異なる搬送波信号が使用され得るけれども、それは、例えば、13.56MHzの搬送波信号であり得る。信号発生装置712により供給される信号は、連続信号またはバースト信号であり得る。後者の場合、静電連結は、特定の装置に依存する、本体と表示画面との間のバーストでの交信を可能とする。信号発生装置712は、本体データ発信装置709の一部を構成し得る。
【0053】
表示画面701もまた、電力及びデータ供給制御回路を含んでいる。この回路は、無線連結器703の表示画面静電連結要素に連結されている、無線連結器703を介して表示画面に静電的に連結されている信号から本体データ発信装置709により送信されたデータを抽出する画面データ受信及び復調装置721及び無線連結器を介して表示画面に連結されている信号から抽出されたデータに従って表示を実行させるべく表示回路706と交信する画面制御器720を含んでいる。
【0054】
本実施例において、表示画面は、電源内蔵型ではないので、表示画面用のDC電源が、電源線732及び733の間に連結される電力引き出し装置724により、無線連結を介して表示画面に静電的に連結されている信号から引き出される。簡略化するために、(表示回路706以外の)表示画面のその他の機能的構成部品の電源線732及び733への接続は、図11に示されていない。
【0055】
電力引き出し装置724は、ダイオード、ダイオード・アレイまたはブリッジ整流回路を備えている。例えば、電力引き出し装置724は、無線連結器703の表示画面静電連結要素と表示画面の電源線732及び733との間に連結されるそれぞれのダイオードを備え得る。図12は、電力引き出し装置724が機能し得る1つの方法を示している。図12において、801は、静電連結器703及び704を介して表示画面に静電的に連結されるAC信号源を表している。AC信号源801から電力が連結域を横切って引き出される。この信号は、図11の信号発生装置712により提供され得る。図12において、電力引き出し装置724は、無線連結を横切って静電的に連結されている信号からDC電源を生成するブリッジ整流回路を備えている。移転可能な電力量は、周波数及び連結域の静電容量に比例する。そして、所定の静電容量に対し、信号の周波数が高ければ高いほど、変換効率が大きくなる。周波数がより高くに達し得ない場合、静電連結を介して引き出される電力は、表示画面側で、例えば、蓄積コンデンサ(storage capacitors)を使用して蓄積され得る。その結果、蓄積された電力は、次に、必要に応じて利用され得る。このことは、また、電力使用の何らかの制御を可能とし、電力の需要が増大するとき電力の安定供給の増加を可能にするという利点を有する。電力を蓄積する能力を提供することは、例えば、システムが停止中であるとき、電力が転送され、蓄積されることを意味する。したがって、図1〜7に示される実施例において、ビデオ・カメラの表示画面が閉じられた形状にあり、カメラ本体が活動停止状態にあるとき、電力が転送され得る。あるいは、カメラが作動しているが使用者が表示画面を使用していないとき、電力は転送され得る。
【0056】
上で示された例においては、たった一つの電圧レベルが、1または0信号のみに対して静電容量を与えるのに適用されるということが考えられる。別の方法として、信号をできるだけ増大させるべく複数電圧レベルが適用され得る。したがって、増大したデータ転送及び/または電力特性を提供し得る。
【0057】
本実施例において、画面制御器720に対する時計信号が、時計回復装置723により、無線連結器703を介して本体700の時計発振器711により単独に供給される時計信号から引き出される。時計発振器711は、独立した時計発振器であってもよいし、本体制御器708の水晶時計から時計信号を引き出すように配置されていてもよい。別の可能性として、時計回復装置723が、国際公開第02/052419号パンフレットに記載されるように、時計回復装置723に静電的に連結されている信号、例えば、信号発生装置712により供給される信号、あるいは提供される独立した搬送波信号から、無線連結器703を介して時計信号を引き出してもよい。別の可能性として、画面制御器720が、それ自身水晶時計の形態で独立した時計信号供給装置を有していてもよい。その場合、時計回復装置723は、省略される。
【0058】
表示画面は、本体にデータを交信する必要があり得る。そうだとすると、表示画面の機能的構成部品は、画面制御器720の制御の下に、静電連結を介して本体へデータが供給させる画面データ発信装置722を含む。画面データ発信装置722は、例えば、国際公開第02/052419号パンフレット、国際公開第00/31676号パンフレットまたは国際公開第02/093881号パンフレットに記載されるように、無線連結器を介して表示画面に静電的に連結されている信号(例えば、信号発生装置からの信号または搬送波信号)を変調することによりデータを交信し得る。通常、簡単化するために、画面データ発信装置は、本体データ受信及び復調装置710及び本体制御器708が適切な復調方式及びデコード体系(decoding schemes)を使用する限り必要ではないけれども、本体発信装置と同じ変調方式及びデータ・コード体系を使用する。
【0059】
上述したように、本体データ制御器708は、カメラ本体内における独立した回路である。しかしながら、それは、カメラ回路705の主カメラプロセッサにより全体的にまたは部分的に提供され得る。その場合、受信された及び/または送信された信号と主カメラプロセッサとの間の互換性を保証するインターフェース707は、必要とされないかもしれない。
【0060】
図11を参照して述べたように、表示画面は、静電連結を介して本体により供給される信号から電源を引き出す。別の可能性として、表示画面は、電源内蔵型であり得る。その場合、電力引き出し装置は、蓄電池であり、無線連結器の静電連結要素への接続が省略される。あるいは、蓄電池及び静電連結を介して電力を引き出す独立した電力引き出し手段の両方が表示画面内に設けられていてもよい。
【0061】
ビデオ・カメラの場合では、カメラ本体から表示画面アセンブリへ供給される必要があり得るデータは、レンズの詳細、画像の詳細、光検知の詳細などを含み、一方、表示画面からカメラ本体アセンブリへ供給される必要があり得るデータは、例えば、画面を介しての利用者コマンド入力を含んでいる。しかしながら、それは、データが一方向にだけ転送されることであってもよい。例えば、サブシステムは、限られた知能しか有しておらず、メインシステムへ動作パラメータを全く供給しないかもしれない。必要とされるデータ転送速度は、例えば、10〜40Mbps(メガビット/秒)、または、一対の静電板当たり200〜600Mbps、あるいは例えば、ビデオ電子機器規格協会(例えば、ベサMDDI仕様書)で規定されるようであり得る。
【0062】
図11に例示される装置の無線静電連結器703及び704は、本体と表示画面との間で使用される特定の型の機械的連結702とともに使用するのに適している上述した形態のいずれの形態を有していてもよい。図11に示されるように、2つの静電連結器は、機械的連結を横切る送達及び帰還路の提供を確保するために設けられている。上述したように、多数無線連結が、例えば、簡単なヒンジ・アセンブリに組み込まれている1つの機械的連結に関連し得る。これらの異なる無線連結器が同じデータを転送するのに使用され、あるいは異なる目的のために使用され得る。それが異なる目的のために使用される場合、異なる連結器に対する静電連結度を異ならせることが可能であり、したがって、異なる速度のデータ転送または電力転送を実現することが可能である。別の可能性として、データ送信の異なる方法が異なる連結を横切るデータ送信に対して利用され得る。
【0063】
図1〜7及び8に示される静電連結器は、回転の程度に拘わらず一定の静電連結を提供する。このことは、装置の形状のいかなる変化にも拘わらず、すなわち、カメラの本体に対する表示画面の回転の程度に拘わらず、静電連結が常に同じであるという利点を有する。対照的に、静電連結要素間の重なりの程度、したがって、図9及び10の静電連結の程度は、移動または回転の程度により変化する。
【0064】
図1〜7に示される実施例の場合において、(例えば、ヒンジ・アセンブリにぴったりの嵌合を可能にするように)異なる形状が採用されてもよい。この場合、十分な静電連結が表示画面の回転の範囲を超えて達成されるならば、連結度は、表示画面の回転により変化する。別の可能性として、図1〜7の静電連結要素は、いずれの場合においても、連結度が画面の回転により変化するように変更され得る。このことは、例えば、非導電円形要素(図1または2)または円筒形非導電要素(図4〜6)の表面の一部の周りにのみ金属被覆を施すことにより静電連結要素を形成することで実現され得る。
【0065】
回転または移動の程度が判断されることを可能とするように、回転または移動による静電連結のそのような変化が利用される。したがって、本体制御器708及び画面制御器720のうちの一方は、連結の静電容量を判断し、それを基準静電容量に対し比較し、本体に対する表示画面またはカバーの回転(または、図10場合には、移動)の程度を判断するように構成され得る。このことは、図10のカバーが開閉するとき、または図1〜7の表示画面が十分に回転されまたは閉じられた状態にあるときに応じて、判断が可能となり得る。2つの構成部品またはサブアセンブリの相対的方向または位置に関するそのような情報は、制御器708及び720の一方または他方により、例えば、表示が十分にさらされる(図1〜7においては、完全に回転され、図11においては、カバーが完全に開かれる)時にのみあるデータが送信され得るように、あるいは、表示が回転してない、またはカバーが閉じられている時にのみあるデータが送信され得るように、どんなデータが送信されるのかを判断するのに使用され得る。あるいは、そのような情報は、例えば、電力が転送され得る時、例えば、画面が完全に覆われている時を判断するために使用され得る。
【0066】
上述したように、無線連結は、静電性である。静電連結は、誘導連結に置き換えられ得る。
【0067】
図13は、図1〜3に示される静電連結器の代わりに使用され得る誘導連結器を例示している。この場合、誘導連結器は、同軸の平面コイル801及び802の形態をしている2つの誘導連結要素からなる。この誘導連結器の効率は、主として2つのコイル平面間の距離により決定される。該距離は、可能な限り小さくあるべきであり、典型的には約1mm(ミリメータ)である。
【0068】
図14は、図4〜7に示される静電連結器の代わりに使用され得る誘導連結器を例示している。この場合、誘導連結要素は、2つの同軸の円筒状コイル(ソレノイド・コイル)901及び902の形態をしている。
【0069】
静電連結器よりはむしろ誘導連結器を使用する装置の機能的構成部品は、一般的に、コイル駆動装置が誘導連結を制御するために使用されることを除いて、図11に示されるものと同じである。
【0070】
本発明が図1〜7に示されるものとは異なる機械的ヒンジを含み、2またはそれ以上の軸の周りに回転可能な機械的連結及び/または回転及び変位を可能とする機械的連結のその他の形態を含む機械的連結のいろいろな異なる形態内での応用を有することは当業者にとって明白である。機械的連結は、直接的な機械的連結であってもよいし、中間体を介した機械的連結であってもよい。
【0071】
本発明は、装置の形状が相対的な回転及び/または連結されている構成部品間の変位すなわち移動を実行することにより変化し得るように、構成部品またはサブシステムが機械的連結で連結されているいかなる装置にも適用され得る。そして、該装置の中で、少なくとも1つのデータまたは電力が構成部品間で転送されることになる。そのような装置の例は、上述したビデオ・カメラに加えて、ラップトップ・コンピュータと携帯情報端末(PDAs)、ビデオ表示ユニット、画面に基づくGPSシステム及び電子試験装置、画面に基づくその他のシステムやユニット、または同様のアセンブリまたは機構を有するその他の装置がある。本発明は、携帯装置、すなわち、人間により容易に持ち運びできるPDAsのような装置、への特定の適用を有するが、また、移動式であるか、または所定の位置に固定されていてもよい、より大きな装置へも適用され得る。
【0072】
本発明は、また、構成部品がそれぞれの機械的連結で直列に連結され、少なくとも1つのデータまたは電力が少なくとも1つの機械的連結を横切って転送され得ることになる場合に適用され得る。さらに、本発明は、また、2つのサブシステムまたは構成部品が相対的に変位可能であり、または回転可能であり、機械的連結を実現するが、構成部品が連結された後相対的移動が不可能である装置においても役に立つ。
【0073】
上述した実施態様それぞれにおいて、連結度(静電的であろうと誘導的であろうと)は、連結度を制御するいずれの因子をも調整することで、特定の装置の要求を満たすように合わせられ得ることが理解されるであろう。したがって、連結度は、例えば、転送される1またはそれ以上の型のデータ、転送されるデータ量、データ転送速度、電力転送に対する要求及び所定の機械的連結内に含まれるまたはそれに関連する連結器の数に依存する要求を満たすように合わせられ得る。機械的連結内の物理的制約を変える能力が機械的連結またはサブアセンブリ内での柔軟性を増大させる。
【0074】
静電連結または誘導連結要素は、上述した形状を有する必要はないが、装置の特定の機械的連結と互換性があるどのような形状をも有し得る。
【0075】
単独の静電連結装置及び誘導連結装置が上で述べられたけれども、同じ装置に両方を使用することが可能であることが理解されるであろう。
【0076】
上述したように、帰還連結器が必要である。装置の少なくとも一部が使用者または別の設置される対象物により手で持たれるかまたは触れられるように設計される場合、使用者またはその他の対象物が国際公開第00/31676号パンフレットに記載されるものと同様の方法で接地用帰還路を備え、それで帰還連結器の必要性が取り除かれる静電連結を提供することが可能であり得る。
【0077】
連結が短い領域にわたって要求され、混信が問題となる恐れがある場合には、静電連結器の使用が十中八九好ましいこと及び混信が問題とならない長い領域の交信に対して誘導連結器の使用が好ましいことが理解されるであろう。
【0078】
実施態様は、構成部品またはサブシステムを有する可変形状装置を提供する。ここで、少なくともいくつかの構成部品は、該構成部品またはサブシステムの少なくとも1つの相対的方向及び位置を変えることで装置の形状が変化することを可能とする機械的連結要素を有している。これらの機械的連結要素には、構成部品間の無線連結を可能とする無線連結を協力して提供する無線信号連結要素が組み込まれている。無線連結は、少なくとも1つのデータ及び電力を構成部品間で転送するのに使用され得る。無線信号連結要素は、構成部品またはサブシステム間に静電連結を備える静電連結要素であってもよい。ある実施例においては、装置は、ビデオ・カメラであり、1つの構成部品またはサブシステムは、表示画面であり、別の構成部品またはサブシステムは、ビデオ・カメラの本体である。
【0079】
無線連結、故障に基づく応力を低下させる相対的に移動可能な構成部品またはサブシステム間に存在する高レベルの応力絶縁のおかげで本発明を実施する装置が可能となる。
【0080】
本発明を実施する装置は、異なる構成部品またはサブシステムが、そのようなシステムでは典型的な機械的コネクタまたは直流電気コネクタを取り替えるために、要求がなくとも利用され得るように柔軟性を増大させる。例えば、装置がビデオ・カメラを備え、機械的に連結されている構成部品がカメラ本体と表示画面を備えている場合、画面は、別の画面または異なる機能的装置と取り替えられ、同じ無線データ及び電力転送がカメラ・システムの本体と新しい画面または機能的装置との間で利用され得る。リボン・ケーブルまたは多数線技術を取り替える必要はない。静電または誘導連結要素は、動作範囲内に単に持って来られる必要がある。このことは、部品の互換性を提供する。そのような互換性は、電力転送との関連でさらなる利点を有する。例えば、再充電が機械的連結を通して提供され得る。したがって、蓄電池は、一方の構成部品内で取り替えられ、電力が機械的に連結されている他方の構成部品へ転送され得る。それにより、独立した充電所の必要性が取り除かれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け口形の連結要素からなる第1の構成部品、
球形の連結要素からなる第2の構成部品であって、球形の連結要素は、受け口形の連結要素内に移動可能に受け入れられ、第2の構成要素を第1の構成要素に機械的に連結する第2の構成部品、
を備え、
球形の連結要素は、導電性を有し、受け口形の連結要素は、導電性を有し、球形の連結要素と受け口形の連結要素は、第1の構成要素と第2の構成要素との間で信号を無線連結するように構成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
球形の連結要素の外面は、導電性塗膜を備え、受け口形の連結要素の内面は、導電性塗膜を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
球形の連結要素は、導電性材料から形成され、受け口形の連結要素は、導電性材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
球形の連結要素は、そこに形成されている第1の静電連結要素を備え、受け口形の連結要素は、そこに形成されている第2の静電連結要素を備え、さらに、第1の静電連結要素は、第2の静電連結要素と重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
球形の連結要素は、受け口形の連結要素に対して3次元的に移動可能であり、第1の静電連結要素は、所望の移動範囲にわたって、第2の静電連結要素と重なり合っていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
球形の連結要素は、受け口形の連結要素に対して3次元的に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第2の構成要素は、表示画面であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
球形の連結要素と受け口形の連結要素との間に形成される誘電体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
球形の連結要素及び受け口形の連結要素は、静電連結を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
第1の構成要素は、第2の受け口形の連結要素をさらに備え、
第2の構成要素は、第2の球形の連結要素であって、該第2の球形の連結要素が第2の受け口形の連結要素内に移動可能に受け入れられ、第2の構成要素を第1の構成要素に機械的に連結する、第2の球形の連結要素をさらに備え、
第2の球形の連結要素は、導電性を有し、第2の受け口形の連結要素は、導電性を有し、第2の球形の連結要素と第2の受け口形の連結要素は、第1の構成要素と第2の構成要素との間で信号を無線連結するように構成され、
受け口形の連結要素と球形の連結要素は、第1の構成要素から第2の構成要素へデータを交信し、第2の受け口形の連結要素と第2の球形の連結要素は、第2の構成要素から第1の構成要素へデータを交信することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
第1の電気的構成要素に機械的に連結されている受け口、
第2の電気的構成要素に機械的に連結されている球であって、該球は、受け口内に移動可能に受け入れられ、第2の電気的構成要素を第1の電気的構成要素に機械的に連結する球、
球は、導電性を有し、受け口は導電性を有し、球と受け口は、第1の構成要素と第2の構成要素との間で信号を無線連結するように構成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
球の外面は、導電性塗膜を備え、受け口の内面は、導電性塗膜を備えていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
球は、導電性材料から形成され、受け口は、導電性材料から形成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
球は、そこに形成されている第1の静電連結要素を備え、受け口は、そこに形成されている第2の静電連結要素を備え、さらに、第1の静電連結要素は、第2の静電連結要素と重なり合っていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
球は、受け口に対して3次元的に移動可能であり、第1の静電連結要素は、所望の移動範囲にわたって、第2の静電連結要素と重なり合っていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
球は、受け口に対して3次元的に移動可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項17】
第2の構成要素は、表示画面であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項18】
球と受け口との間に形成される誘電体をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項19】
球及び受け口は、静電連結を形成することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項20】
第1の電気的構成要素に機械的に連結されている第2の受け口、
第2の電気的構成要素に機械的に連結されている第2の球であって、該第2の球が第2の受け口内に移動可能に受け入れられている球、
をさらに備え、
第2の球は、導電性を有し、第2の受け口は導電性を有し、第2の球と第2の受け口は、第1の電気的構成要素と第2の電気的構成要素との間で信号を無線連結するように構成され、
受け口と球は、第1の電気的構成要素から第2の電気的構成要素へデータを交信し、第2の受け口と第2の球は、第2の電気的構成要素から第1の電気的構成要素へデータを交信することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項21】
第1の電気的構成要素に機械的に連結されている受け口であって、該受け口は、導電性を有する受け口を用意し、
第2の電気的構成要素に機械的に連結されている球であって、該球は、導電性を有し、受け口内に移動可能に受け入れられ、第2の電気的構成要素を第1の電気的構成要素に機械的に連結する球を用意し、
受け口及び球を介して、第1の電気的構成要素から第2の電気的構成要素へ信号を無線連結することを備えている電子装置において、無線信号を連結する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−18374(P2011−18374A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229878(P2010−229878)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2006−548401(P2006−548401)の分割
【原出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(508093252)ジェイ.エム.スタネック リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】