説明

可変抵抗器

【課題】非操作時における可変抵抗器の抵抗素子での消費電力を抑えること。
【解決手段】第1絶縁性基板17の基板面に第1抵抗体11、第2抵抗体12を絶縁した状態で併設し、第1絶縁性基板17に対して離間して対向配置する第2絶縁性基板18には第1絶縁性基板17との対向面に導電体13を形成する。第1絶縁性基板17又は第2絶縁性基板18は第1抵抗体11、第2抵抗体12と導電体13とを押圧接触可能な可撓性基板で構成する。電圧出力部21から第1抵抗体11の第1の電圧印加部14と第2抵抗体12の電圧印加部15との間に電圧を印加し、待機状態となる非押圧状態では第1抵抗体11、第2抵抗体12を非道通とすることで消費電力を生じない構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に対してアナログ情報をタッチ式で入力可能な情報入力装置に使用することのできる可変抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の電子制御装置に対して所望のアナログ情報をタッチ式で入力するために可変抵抗器を用いた情報入力装置がある(例えば、特許文献1参照)。かかる情報入力装置には押圧接触型の可変抵抗器が用いられている。
【0003】
図9は上記特許文献1に記載された押圧接触型の可変抵抗器の構成図である。同図に示すように、可変抵抗器100は、所定長さの抵抗素子101と、該抵抗素子101に離間して対向配置された可撓性の短絡素子102とを備え、抵抗素子101の一端側の端子103に対して電池104の正極を接続し、抵抗素子101の他端側の端子105を接地した構成となっている。
【0004】
図9に示すように、短絡素子102を任意の位置で抵抗素子101に向かって押圧した場合、押圧位置に対応した接触点Pにて短絡素子102と抵抗素子101とが導通する。抵抗素子101の全抵抗値をRとし、接触点Pの両側の抵抗値をR1、R2(R=R1+R2)、電池104の直流電圧をVsとすると、短絡素子102の出力電圧Voutは、Vout=(Vs/R)×R2となって、出力端子106に現れる。図9に示す例では、出力電圧VoutをA/D変換器107でデジタル信号に変換し、入出力インターフェース108を介してCPU109に取り込んで各種制御に用いている。
【特許文献1】特開平6−53015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した可変抵抗器100は、抵抗素子101の両端間に常に電圧(Vs)を印加している構成であるので、非操作時においても抵抗素子101で電力が消費されてしまうという課題がある。例えば、携帯機器端末のように、電源としてバッテリを用いる機器では、可変抵抗器100の待機電力が機器の使用時間を短縮させることになるので、携帯機器端末の使用可能時間を延ばすためにも可変抵抗器100の待機電力を抑制することが望まれる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、非操作時における抵抗素子での消費電力を抑えることができる可変抵抗器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の可変抵抗器は、一面が押圧操作される側の操作側面とされた可撓性を有する第1の基板と、この第1の基板の他面に対して一面が離間して対向配置された第2の基板と、前記第1の基板の他面と前記第2の基板の一面とのうち何れか一方に設けられ互いに絶縁された第1と第2の抵抗体と、前記第1の基板の他面と前記第2の基板の一面とのうち何れか他方に設けられ、前記第1の基板の操作側面への押圧操作に伴って、押圧位置に応じた前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体の対応位置を導通させる導電体とを備え、前記第1の抵抗体の一部は第1の電圧印加部に、前記第2の抵抗体の一部は第2の電圧印加部にそれぞれ導通接続されており、前記第1の電圧印加部と第2の電圧印加部との間に電圧が印加されることを特徴とする。
【0008】
以上の構成によれば、可変抵抗器の抵抗素子を構成する第1と第2の抵抗体は互いに絶縁されているので、第1の基板の操作側面が押圧されていない待機状態では第1、第2の抵抗体は非導通状態に保たれ、第1と第2の抵抗体での消費電力は生じないこととなる。一方、第1の基板の操作側面が押圧された使用状態では導電体により第1と第2の抵抗体が押圧位置に対応した位置で導通し、押圧位置に応じた出力電圧が得られる。
【0009】
また本発明は、上記可変抵抗器において、前記第1の基板の操作側面の押圧領域が一端と他端とを有して延在されており、前記第1の電圧印加部は、前記押圧領域の一端側に対応した位置で前記第1の抵抗体と導通接続され、前記第2の電圧印加部は、前記押圧領域の他端側に対応した位置で前記第2の抵抗体と導通接続されていることを特徴とする。
【0010】
この構成により、第1の電圧印加部が押圧領域の一端側に対応した位置で第1の抵抗体と接続され、第2の電圧印加部が押圧領域の他端側に対応した位置で第2の抵抗体と接続されるので、押圧領域の一端側から他端側に亘り押圧位置に応じて出力電圧を変化させることができる。
【0011】
また本発明は、上記可変抵抗器において、前記第1と第2の抵抗体と、前記導電体とが接離可能に対向配置されることが望ましい。これにより、小型化された可変抵抗器を実現できる。
【0012】
また本発明は、上記可変抵抗器において、前記第1と第2の抵抗体は、それぞれ帯状に形成され、前記導電体は、前記第1と第2の抵抗体のいずれの幅よりも幅広に設けられることが望ましい。これにより、押圧状態では幅広の導電体を第1と第2の抵抗体に対して確実に接触させることができ、第1と第2の抵抗体を確実に導通させることができる。
【0013】
また本発明は、上記可変抵抗器において、前記第1の基板の他面又は前記第2の基板の一面のうち前記第1と第2の抵抗体が設けられた何れか一方の面に、少なくとも前記操作側面が押圧操作された状態において、前記導電体と導通する出力用導電パターンが設けられていることを特徴とする。
【0014】
この構成により、第1と第2の抵抗体が形成された第1又は第2の基板と同一の基板から出力用導電パターンを介して出力電圧を取り出すことができ、引き出し線や引き出し用パターンの処理が容易になる。
【0015】
また本発明は、上記可変抵抗器において、前記第1と第2の抵抗体は、同一の印刷工程で形成されたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、第1と第2の抵抗体の抵抗率を揃えることができ、出力電圧のバラツキを抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、待機状態での消費電力の無駄を無くすことができ、携帯機器端末等に用いることによりその使用可能時間を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる可変抵抗器に対して電子制御部を接続した状態を示す構成説明図である。なお、この図1では第1及び第2の基板を省略している。
【0019】
可変抵抗器1は、抵抗素子が第1抵抗体11と第2抵抗体12とに分割されていて、これら第1抵抗体11、第2抵抗体12に対して導電体13が対向配置された構成となっている。第1抵抗体11及び第2抵抗体12は共に一方向に直線的に伸びる帯状をなしており、絶縁した状態で互いに所定幅を隔てて配置されている。第1抵抗体11の一端に第1の電圧印加部14が導通接続され、第2抵抗体12の一端であって上記第1の電圧印加部14を設けた端部とは反対側に第2の電圧印加部15が導通接続されている。本例では、第1、第2の電圧印加部14、15を抵抗体11,12の一部に直接設けているが、第1、第2の電圧印加部14、15を抵抗体11,12から離れた位置に設け、良導電性の導電パターンや導線を介して接続するように構成することも出来る。図1に示す例では、第1抵抗体11の第1の電圧印加部14は第1の電位となる所定電位(Vin)が印加され、第2抵抗体12の第2の電圧印加部15に第1の電位とは異なる第2の電位である接地電位(GROUND)が印加される。なお、図中のP1は押圧位置での押圧範囲を示している。押圧範囲P1は第1、第2抵抗体11、12に対して導電体13が同時に接触する面積となっている。
【0020】
図2(a)(b)及び図3を参照して、可変抵抗器1の構成をさらに詳しく説明する。図2(a)は基板上に形成された第1抵抗体11及び第2抵抗体12の平面図であり、図2(b)は基板上に形成された導電体13の平面図である。
【0021】
図2(a)に示すように、第2の基板としての第1絶縁性基板17の基板面上に第1抵抗体11及び第2抵抗体12が形成されている。第1抵抗体11及び第2抵抗体12は図中左右方向に伸びた長方形状をなし、互いに所定幅だけ離間して絶縁されている。本実施の形態では、第1抵抗体11と第2抵抗体12との離間幅は押圧操作時以外には短絡しない程度まで近接させることとする。後述する押圧領域の一端に対応した第1抵抗体11の右端部に所定電位Vinが印加される第1の電圧印加部14が形成され、押圧領域の他端に対応した第2抵抗体12の左端部に接地電位が印加される第2の電圧印加部15が形成されている。
【0022】
図2(b)に示すように、第1の基板としての第2絶縁性基板18の基板面上に長方形状の導電体13が形成されている。第2絶縁性基板18の一方の面であって導電体13が形成された面とは反対側の面が操作側面となる。第2絶縁性基板18は、可撓性を有している。第2絶縁性基板18の操作側面に押圧力を加えた押圧状態では、導電体13が第1、第2抵抗体11,12に十分に接する程度まで変形する。また、第2絶縁性基板18の操作側面に対する押圧力を解除した非押圧状態では、導電体13を第1、第2抵抗体11,12から離間させて元の状態に復帰する。第2絶縁性基板18としてフレキシブル基板を用いることができる。導電体13の端部には出力電圧Voutを外部へ取り出すための導電性パターンの電圧取出し部16が導通接続されている。
【0023】
図2(a)(b)に示すように、長方形状の導電体13と第1、第2抵抗体11,12の形成領域とは略同一形状をなしている。操作側面側から導電体13の形成領域のいずれの場所を押圧しても、押圧位置に応じた第1、第2抵抗体11,12の対応位置に導電体13がほぼ同時に接して導通し得るように導電体13の幅や第1、第2抵抗体11,12の離間幅を設定する。本実施の形態では、第1、第2抵抗体11,12の幅よりも導電体13を幅広にすることにより、押圧状態では幅広の導電体13を第1、第2抵抗体11,12に対して確実に接触させ、第1、第2抵抗体11,12を確実に導通させることができるようにしている。
【0024】
図3は可変抵抗器1の側断面構造を模式的に示す図である。第1絶縁性基板17の第1、第2抵抗体11,12形成面と第2絶縁性基板18の導電体13形成面とが向き合うように、第1絶縁性基板17に対して第2絶縁性基板18が離間して対向配置されている。第1絶縁性基板17と第2絶縁性基板18との間に介在させたスペーサ19が、第2絶縁性基板18の押圧変形により導電体13が第1、第2抵抗体11,12に接離するのに好適なスペース(離間幅)を形成している。第1絶縁性基板17及び第2絶縁性基板18の外周部は保持部材20にて保持されている。ここで、第1及び第2抵抗体11,12と導電体13とが接離可能に対向配置されている領域が押圧領域であり、本実施の形態においては導電体13と略同一形状をした長方形状をしている。そして、この押圧領域は、第1、第2抵抗体11,12の長手方向に一端と他端を有するものとなっている。
【0025】
なお、図3には示されていないが、操作領域(押圧領域)を初めとした各種表示を印刷した可撓性を有する印刷シートを、第2絶縁性基板18の操作側面上に載置又は貼着することとする。
【0026】
ここで、第1、第2抵抗体11,12の製造工程について説明する。第1絶縁性基板17の抵抗体形成面に対して第1、第2抵抗体11,12の形状及び離間幅に対応したパターンが形成されたスクリーン(印刷マスク)を配置し、該スクリーンの上から抵抗体材料(例えば、カーボンインク)をスクリーン印刷して、抵抗体材料を加熱する。これにより、第1抵抗体11と第2抵抗体12とは同一成分の抵抗体材料によって形成されることになるので、第1抵抗体11と第2抵抗体12の抵抗率等の電気的特性を揃えることができ、出力電圧Voutのバラツキを抑えることができる。
【0027】
以上のように構成された可変抵抗器1は、第1、第2抵抗体11、12から構成される抵抗素子に対して、第1、第2の第1の電圧印加部14、15を介して所定電圧(Vin−GROUND)が印加されることになるが、分割されて離間した第1、第2抵抗体11、12から導電体13が離間した状態(非押圧状態)では、第1抵抗体11と第2抵抗体12とが非導通状態のままであるので、抵抗素子(第1抵抗体11及び第2抵抗体12)における電力消費は発生しない。
【0028】
次に、上記可変抵抗器1に対して接続される情報入力装置側の電子制御部2について説明する。電子制御部2は、可変抵抗器1の第1抵抗体11に接続した第1の電圧印加部14と第2抵抗体12に接続した第2の電圧印加部15との間に所定電圧を印加する電圧出力部21を備える。本実施の形態では、第1抵抗体11に接続した第1の電圧印加部14に対する印加電位をVinとし、第2抵抗体12に接続した第2の電圧印加部15に対する印加電位を接地電位(GROUND)としている。導電体13に接続した電圧取出し部16に現れる出力電圧(Vout)はA/D変換部22のアナログ入力端子に入力されている。A/D変換部22は出力電圧(Vout)をデジタル値に変換してCPU部23に入力する。CPU部23は出力電圧(Vout)の値から第2絶縁性基板18の操作側面上でのタッチ位置を算出する演算機能を備える。
【0029】
次に、図4(a)〜(c)及び図5(a)(b)を参照して可変抵抗器1を操作した場合の動作例を説明する。
【0030】
図4(a)は、不使用状態(待機状態)を示しており、第2絶縁性基板18の操作側面を押圧する前の状態を示している。第2絶縁性基板18の操作側面が押圧されていないために、導電体13が第1、第2抵抗体11,12から離間した状態が保たれている。図5(a)は可変抵抗器1の待機状態における回路模式図である。待機状態では、導電体13が第1抵抗体11と第2抵抗体12の双方に接触しない状態となっている。第1抵抗体11と第2抵抗体12とは離間して絶縁されているので、非導通状態となっている。したがって、電圧出力部21から第1抵抗体11と第2抵抗体12との間に電圧が印加されているが、第1抵抗体11及び第2抵抗体12の双方には電流が流れないので第1抵抗体11及び第2抵抗体12における電力消費は生じていない。
【0031】
図4(b)は、使用状態を示しており、第2絶縁性基板18の操作側面が押圧されている状態を示している。第2絶縁性基板18が操作側面の押圧位置において第1絶縁性基板17側に変形し、該第2絶縁性基板18に形成された導電体13が押圧位置にて第1、第2抵抗体11,12に接触する。
【0032】
図5(b)は、可変抵抗器1が使用状態となっている押圧時の回路模式図である。第1抵抗体11と第2抵抗体12とは押圧位置に応じた位置で導電体13を介して導通している。第1抵抗体11の電圧印加端部(第1の電圧印加部14)から押圧位置までの距離及び第2抵抗体12の電圧印加端部(第2の電圧印加部15)から押圧位置までの距離に応じた出力電圧Voutが、導電体13に接続された電圧取り出し部16に現れる。
【0033】
ここで、説明を簡略化するために、第1抵抗体11と第2抵抗体12は同一サイズであり、全抵抗値をそれぞれ同じ値のRとし、第1抵抗体11の第1の電圧印加部14から押圧位置までの抵抗値をR1、第2抵抗体12の第2の電圧印加部15から押圧位置までの抵抗値をR2とし、双方の抵抗率が同じであるとする。この場合、R=R1+R2となり、Vout=(Vin/R)×R2となる。すなわち、第1抵抗体11の電圧印加端部及び第2抵抗体12の電圧印加端部から押圧位置までのそれぞれの距離を抵抗値として扱うことができ、出力電圧Voutから押圧位置を検出できることになる。出力電圧VoutをA/D変換部22でデジタル信号に変換してCPU23に取り込み、押圧位置を計算する。
【0034】
図4(c)に示すように、そのまま指をスライドさせることにより、押圧位置が変化するのに伴い第1抵抗体11と第2抵抗体12の導電体13との接触位置(導通位置)が変化する。すなわち、指のスライドに応じてR1、R2の値が変化し、出力電圧Voutが変化する。ここで、図2に示すように、第1抵抗体11の電圧印加端(第1の電圧印加部14)と第2抵抗体12の電圧印加端(第2の電圧印加部15)とを抵抗体(押圧領域)長手方向であって押圧領域の一端側と他端側とに位置する各対向端に設けることにより、出力電圧が変化するスライド範囲を最も長くすることができる。スライド範囲を長くして出力電圧の変化量が大きいほど正確な情報入力が可能になる。
【0035】
このように、本実施の形態によれば、可変抵抗器1においてタッチ位置を出力電圧Voutに変換する抵抗素子を、複数の抵抗体に分割して所定幅を隔てて併設し、該分割された抵抗体を操作時にだけ導通させて出力電圧Voutを検出できるように構成したので、待機状態における抵抗素子での消費電力を無くすことができる。したがって、このような可変抵抗器1を用いた情報入力装置を携帯機器端末に用いれば、携帯機器端末の使用時間を延ばすことができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、第1、第2抵抗体11,12の離間幅を短絡しない程度まで近接させると共に第1、第2抵抗体11,12に対して直接対面するように導電体13を対向配置したので、第1、第2抵抗体11,12と導電体13とを水平方向にずらした配置に比べて、可変抵抗器1の面積を小さくでき小型化を図ることができる。
【0037】
本発明は、上記一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0038】
例えば、上記実施の形態では、可撓性を有する第2絶縁性基板18に導電体13を形成しているが、第2絶縁性基板18に第1、第2抵抗体11,12を形成し、第1絶縁性基板17に導電体13を形成する構成としてもよい。このような構成を採用した場合、押圧状態では第1、第2抵抗体11,12が導電体13側へ変位して導電体13に対して接触することとなるが、それ以外の作用効果は上記実施の形態と同様である。
【0039】
また、上記実施の形態では、可変抵抗器1への電圧印加は第1絶縁性基板17に形成された第1、第2の電圧印加部14,15に対して行い、可変抵抗器1の出力電圧Voutは第2絶縁性基板18に形成された電圧取出し部16から取り出していた。すなわち、第1絶縁性基板17の第1、第2の電圧印加部14,15から導線あるいは導電パターン(図示せず)が引き出され、第2絶縁性基板18の電圧取出し部16から導線あるいは導電パターン(図示せず)が引き出されていた。これを第1、第2抵抗体11、12が形成された絶縁性基板側だけから導線あるいは導電パターン(図示せず)が引き出されるように構成することも可能である。
【0040】
図6(a)(b)は、可変抵抗器の抵抗素子に対する電圧印加用の電圧印加部と出力電圧Voutを取り出す電圧取出し部とを同一基板に設けた構成を示す図である。図6(a)に示すように、第1、第2抵抗体11,12が形成された基板面に第1、第2抵抗体11,12の形成方向に沿って出力用導電部31を形成し、出力用導電部31の一端部に電圧取出し部32を設けている。出力用導電部31は第1、第2抵抗体11,12と略同じ高さとなるように設定する。また、図6(b)に示すように、導電体33から電圧取出し部は削除している。例えば、導電体33の形成された第2絶縁性基板18の操作側面を押圧した場合、押圧位置において第1、第2抵抗体11,12及び出力用導電部31が導電体33に接する。これにより、第1、第2抵抗体11,12が導電体33との接触点で導通すると共に当該接触点に応じた出力電圧が出力用導電部31の電圧取出し部32に現れる。
【0041】
このように、可変抵抗器1の抵抗素子(11,12)に対する電圧印加用の電圧印加部(14,15)と出力電圧Voutを取り出す電圧取出し部(32)とを同一基板に設けたことにより、可変抵抗器1に対する引き出し線あるいは引き出し用パターンを同一基板にまとめる事ができ引き出し線や引き出し用パターンの処理が容易になり、作業効率を改善することもできる。なお、引き出し用パターンを設ける場合には、電圧取出し部32につながる導電パターンを、第1、第2抵抗体11,12の形成された例えば、第1絶縁性基板17に印刷により形成する。この場合、第1、第2の電圧印加部14,15に接続される導電パターンを同様に印刷形成するのが好ましい。
【0042】
また、上記実施の形態では、第1、第2抵抗体11,12と導電体13とを直接対面させていたが、必ずしも双方を対面させなくても第1、第2抵抗体11,12とを押圧位置で導通させることができる。
【0043】
図7は、第1、第2抵抗体と導電体とを対面させない配置例を示す図である。例えば、第1絶縁性基板17の基板面上に導電性の櫛歯43を有する第1抵抗体41と導電性の櫛歯44を有する第2抵抗体42とを、互いの櫛歯43、44を接触させないようにかみ合わせた配置とする。導電体45は、互いにかみ合わされた櫛歯43,44と対面するように対向配置する。導電体45は、図示されていない第2絶縁性基板18の基板面に形成されている。これにより、押圧位置にある第1絶縁性基板17の櫛歯43と第2抵抗体42の櫛歯44とが押圧により変位した導電体45に接して導通する。第1抵抗体41と第2抵抗体42とは導通している櫛歯43,44位置が短絡点となる。短絡点に応じた出力電圧Voutは導電体45の電圧取出し部16から取り出される。この場合には、互いにかみ合わされた櫛歯43,44と接離可能に対向配置された導電体45の形成領域が押圧領域となる。
【0044】
このように、第1、第2抵抗体と導電体とが対面しないように配置した場合であっても、押圧位置に応じた出力電圧Voutを得ることができ、双方を対向配置できない又は対向配置しないほうが好ましいといった制約が在る場合であっても対応することが可能である。
【0045】
また、以上の説明では、第1、第2抵抗体11,12等は長尺な長方形状をしているが本発明はそのような直線状の形状に限定されるものではない。例えば、第1、第2抵抗体11,12が蛇行する形状、円弧状に曲がった形状、U字状に曲がった形状等からなる非直線的に伸びる帯状であってもよい。また、帯状をなさない例えば半円形状の第1、第2抵抗体11,12が互いの直線部を近接して離間配置されるようにしても良い。
【0046】
図8(a)(b)は第1抵抗体の形状を概略U字形状に変形した変形例を示す図である。第1抵抗体51が略U字形状に二股に分かれていて、該第1抵抗体51の間に収まるように長尺な長方形状の第2抵抗体52が配置されている。第2絶縁性基板18に形成された導電体13は、第1抵抗体51と第2抵抗体52との離間領域(略U字形状)をカバーするサイズに設定している。この場合においても、第1抵抗体51及び第2抵抗体52と接離可能に対向配置された部分における導電体13の領域が押圧領域となり、本実施の形態においても、押圧領域は図8の左右方向に長い略長方形状をしている。
【0047】
このように第1抵抗体51の略U字形状に二股に分かれた間に第2抵抗体52を配置することにより、導通可能領域を操作面の全域に幅広に分布させることが可能になる。したがって、例えば、図8(a)に示されるように、操作側面の端部寄りの位置P1又はP2を押圧した場合であっても、第1抵抗体51と第2抵抗体52とを確実に導通させることができ、安定したアナログ入力が可能となる。
【0048】
また、第1絶縁性基板17と第2絶縁性基板18とは必ずしも分離された別々の基板である必要はなく、例えば1枚のポリエステルフィルム等からなる可撓性基板を二つ折りにしたものでも良い。この場合、押圧される側の基板に対向配置される下側の基板を鋼板等の硬い支持板で支持する構成とすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、アナログ情報をタッチ式で入力可能な情報入力装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一実施の形態にかかる情報入力装置の構成図
【図2】(a)図1に示す可変抵抗器の抵抗素子形成側の絶縁性基板の平面図、(b)図1に示す可変抵抗器の導電体形成側の絶縁性基板の平面図
【図3】図1に示す可変抵抗器の断面構造を示す図
【図4】(a)上記実施の形態において可変抵抗器の操作面にタッチ前の不使用状態を示す図、(b)上記実施の形態において可変抵抗器の操作面にタッチした使用状態を示す図、(c)上記実施の形態において可変抵抗器の操作面のタッチ位置をスライドした使用状態を示す図
【図5】(a)図4(a)に対応した不使用状態における可変抵抗器の等価回路図、(b)図4(b)に対応した使用状態における可変抵抗器の等価回路図
【図6】(a)出力電圧の取り出し口を変更した変形例における抵抗素子形成側の絶縁性基板の平面図、(b)同変形例における導電体形成側の絶縁性基板の平面図
【図7】抵抗体と導電体との配置関係を変更した変形例における抵抗素子形成側の絶縁性基板の平面図
【図8】(a)第1抵抗体をU字形状に変更した変形例における抵抗素子形成側の絶縁性基板の平面図、(b)同変形例における導電体形成側の絶縁性基板の平面図
【図9】従来の押圧接触型の可変抵抗器の構成図
【符号の説明】
【0051】
1 可変抵抗器
2 電子制御部
11、41、51 第1抵抗体
12、42、52 第2抵抗体
13、33、45 導電体
14、15 電圧印加部
16、32 電圧取出し部
17 第1絶縁性基板(第2の基板)
18 第2絶縁性基板(第1の基板)
19 スペーサ
21 電圧出力部
22 A/D変換部
23 CPU部
31 出力用導電部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が押圧操作される側の操作側面とされた可撓性を有する第1の基板と、この第1の基板の他面に対して一面が離間して対向配置された第2の基板と、前記第1の基板の他面と前記第2の基板の一面とのうち何れか一方に設けられ互いに絶縁された第1と第2の抵抗体と、前記第1の基板の他面と前記第2の基板の一面とのうち何れか他方に設けられ、前記第1の基板の操作側面への押圧操作に伴って、押圧位置に応じた前記第1の抵抗体と前記第2の抵抗体の対応位置を導通させる導電体とを備え、前記第1の抵抗体の一部は第1の電圧印加部に、前記第2の抵抗体の一部は第2の電圧印加部にそれぞれ導通接続されており、前記第1の電圧印加部と前記第2の電圧印加部との間に電圧が印加されることを特徴とする可変抵抗器。
【請求項2】
前記第1の基板の操作側面の押圧領域が一端と他端とを有して延在されており、前記第1の電圧印加部は、前記押圧領域の一端側に対応した位置で前記第1の抵抗体と導通接続され、前記第2の電圧印加部は、前記押圧領域の他端側に対応した位置で前記第2の抵抗体と導通接続されていることを特徴とする請求項1記載の可変抵抗器。
【請求項3】
前記第1と第2の抵抗体と、前記導電体とが接離可能に対向配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の可変抵抗器。
【請求項4】
前記第1と第2の抵抗体は、それぞれ帯状に形成され、前記導電体は、前記第1と第2の抵抗体のいずれの幅よりも幅広に設けられたことを特徴とする請求項3記載の可変抵抗器。
【請求項5】
前記第1の基板の他面又は前記第2の基板の一面のうち前記第1と第2の抵抗体が設けられた何れか一方の面に、少なくとも前記操作側面が押圧操作された状態において、前記導電体と導通する出力用導電パターンが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の可変抵抗器。
【請求項6】
前記第1と第2の抵抗体は、同一の印刷工程で形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の可変抵抗器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−35930(P2007−35930A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217132(P2005−217132)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】