説明

可搬型ルータ装置

【課題】無線LAN対応機器等のLAN対応機器のユーザの利便性を高めることができる可搬型ルータ装置を提供する。
【解決手段】携帯電話網と接続して通信するように構成された移動体データ通信部110と、無線LAN対応機器と接続して通信するように構成された無線LAN通信部120とを具備し、携帯電話網と無線LAN対応機器との間で送受信されるパケットを中継する可搬型ルータ装置100は、携帯電話網と無線LAN対応機器との間で送受信されるパケットに含まれるIPアドレスを変換するアドレス変換部141と、携帯電話網から無線LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを変換するアプリケーションデータ変換部143とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WANとLAN対応機器との間で送受信されるパケットを中継する可搬型ルータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LAN(Local Area Network)に対応した電子機器、すなわち無線LAN対応機器が広く普及している。無線LAN対応機器は、接続可能な無線LANアクセスポイントが近くに存在しない場合(例えば外出先等)においては、インターネットにアクセスできないことが一般的である。
【0003】
外出先等においても無線LAN対応機器がインターネットにアクセス可能にするために、携帯電話網との接続機能と無線LAN対応機器との接続機能とを具備し、携帯電話網と無線LAN対応機器との間で送受信されるパケットを中継する可搬型ルータ装置が実用化されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−303234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無線LAN対応機器は、据置型のLAN対応機器と比較して性能が低いといった事情から、実行可能なアプリケーション形式が制限されることがある。例えば、無線LAN対応機器の中には、消費電力が大きい等の理由でFlash形式をサポートしないものや、処理能力が足りない等の理由でH.264形式をサポートしていないものがある。
【0006】
このため、無線LAN対応機器がサポートしないアプリケーション形式を用いたサービスについては、無線LAN対応機器のユーザが利用できないため、当該ユーザの利便性が損なわれる問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、無線LAN対応機器等のLAN対応機器のユーザの利便性を高めることができる可搬型ルータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る可搬型ルータ装置の特徴は、WAN(例えば携帯電話網300)と接続して通信するように構成されたWAN通信部(移動体データ通信部110)と、LAN対応機器(例えば無線LAN対応機器200)と接続して通信するように構成されたLAN通信部(無線LAN通信部120)とを具備し、前記WANと前記LAN対応機器との間で送受信されるパケットを中継する可搬型ルータ装置(可搬型ルータ装置100)であって、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを変換するアプリケーションデータ変換部(アプリケーションデータ変換部143)を具備することを要旨とする。
【0009】
このような特徴によれば、可搬型ルータ装置は、WANからLAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを変換することによって、LAN対応機器が実行可能なかたちでアプリケーションデータをLAN対応機器に中継することができる。従って、無線LAN対応機器等のLAN対応機器のユーザの利便性を高めることができる。
【0010】
本発明に係る可搬型ルータ装置の他の特徴は、上記特徴に係る可搬型ルータ装置において、前記WANと前記LAN対応機器との間で送受信されるパケットに含まれるIPアドレスを変換するアドレス変換部(アドレス変換部141)をさらに具備することを要旨とする。
【0011】
本発明に係る可搬型ルータ装置の他の特徴は、上記特徴に係る可搬型ルータ装置において、前記アドレス変換部は、グローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換を行うことを要旨とする。
【0012】
このような特徴によれば、グローバルIPアドレスを具備しない無線LAN対応機器等のLAN対応機器がインターネットにアクセスすることを可能にすることができる。
【0013】
本発明に係る可搬型ルータ装置の他の特徴は、上記特徴に係る可搬型ルータ装置において、前記WAN通信部は、前記WANとしての携帯電話網と接続して通信するように構成され、前記LAN通信部は、前記LAN対応機器としての無線LAN対応機器と接続して通信するように構成されることを要旨とする。
【0014】
このような特徴によれば、無線LAN対応機器が携帯電話網を介してインターネットにアクセスすることを可能にすることができる。
【0015】
本発明に係る可搬型ルータ装置の他の特徴は、上記特徴に係る可搬型ルータ装置において、変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式との対応付けを記憶する記憶部(記憶部130)と、前記記憶部を参照し、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータの変換先のアプリケーション形式を特定する変換先アプリケーション特定部(変換先アプリケーション特定部142)とをさらに具備し、前記アプリケーションデータ変換部は、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを、前記特定された変換先のアプリケーション形式に変換することを要旨とする。
【0016】
このような特徴によれば、アプリケーション形式毎に変換先のアプリケーション形式を設定可能になるため、様々なアプリケーション形式に柔軟に対応可能になる。
【0017】
本発明に係る可搬型ルータ装置の他の特徴は、上記特徴に係る可搬型ルータ装置において、複数のLAN対応機器のそれぞれについて、変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式との対応付けを記憶する記憶部(記憶部130)と、一のLAN対応機器からのアクセスに応じて前記一のLAN対応機器に対応する前記対応付けを前記記憶部から参照し、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータの変換先のアプリケーション形式を特定する変換先アプリケーション特定部(変換先アプリケーション特定部142)とをさらに具備し、前記アプリケーションデータ変換部は、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを、前記特定された変換先のアプリケーション形式に変換することを要旨とする。
【0018】
このような特徴によれば、様々なLAN対応機器が可搬型ルータ装置と接続する場合であっても、LAN対応機器毎、且つアプリケーション形式毎に、変換先のアプリケーション形式を設定可能になるため、様々なLAN対応機器及び様々なアプリケーション形式に柔軟に対応可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、無線LAN対応機器等のLAN対応機器のユーザの利便性を高めることができる可搬型ルータ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る可搬型ルータ装置を含むシステム全体の概略構成図である。
【図2】図2(a)は第1実施形態に係る可搬型ルータ装置の構成を示すブロック図であり、図2(b)は第1実施形態に係る可搬型ルータ装置の記憶部が記憶するテーブルの構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る可搬型ルータ装置のアプリケーション変換に関する動作を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態に係る可搬型ルータ装置の記憶部が記憶するテーブルの構成を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る可搬型ルータ装置のアプリケーション変換に関する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0022】
(1)第1実施形態
以下、第1実施形態について、(1.1)全体概略構成、(1.2)ルータ装置の構成、(1.3)ルータ装置の動作例、(1.4)第1実施形態の効果の順に説明する。
【0023】
(1.1)全体概略構成
図1は、第1実施形態に係る可搬型ルータ装置100を含むシステム全体の概略構成図である。
【0024】
図1に示すように、可搬型ルータ装置100は、携帯電話網300と接続して通信するように構成されると共に、無線LAN対応機器200と接続して通信するように構成される。
【0025】
また、可搬型ルータ装置100は、携帯電話網300と無線LAN対応機器200との間で送受信されるパケットを中継する。ここでパケットとはIPパケットであり、宛先IPアドレス及び送信元IPアドレスを含むヘッダと、アプリケーションデータを含むペイロードとによって構成される。
【0026】
携帯電話網300は、例えば第3世代携帯電話方式に従って構成されるWANであり、無線基地局310を含んで構成される。携帯電話網300は、インターネットに接続される。
【0027】
無線LAN対応機器200は、無線LAN接続機能を有するタブレット機器又はノートPC等の可搬型機器であり、アプリケーションを実行可能に構成される。
【0028】
(1.2)ルータ装置の構成
次に、図2を用いて、第1実施形態に係る可搬型ルータ装置100の構成について説明する。図2(a)は、第1実施形態に係る可搬型ルータ装置100の構成を示すブロック図である。
【0029】
図2(a)に示すように、可搬型ルータ装置100は、アンテナ101、アンテナ102、移動体データ通信部110、無線LAN通信部120、記憶部130、処理部140、及びバッテリ150を具備する。移動体データ通信部110、無線LAN通信部120、及び記憶部130は、処理部140と電気的に接続される。
【0030】
アンテナ101は、無線基地局310との間の無線信号の送受信に用いられる。移動体データ通信部110は、アンテナ101が受信した無線信号を増幅及びダウンコンバートして復調する受信機能と、送信信号を変調してアップコンバート及び増幅する送信機能とを有する。第1実施形態において移動体データ通信部110は、WAN通信部に相当する。携帯電話通信(移動体データ通信)の規格としては、例えば、3G、LTE(Long Term Evolution)、LTE-Advanced、TD-LTE、WiMAX、HSPA、IEEE802.16mが挙げられる。
【0031】
アンテナ102は、無線LAN対応機器200との間の無線信号の送受信に用いられる。無線LAN通信部120は、アンテナ102が受信した無線信号を増幅及びダウンコンバートして復調する受信機能と、送信信号を変調してアップコンバート及び増幅する送信機能とを有する。第1実施形態において無線LAN通信部120は、LAN通信部に相当する。無線LAN通信の規格としては、例えばIEEE802.11が挙げられる。
【0032】
記憶部130は、例えばDRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリを用いて構成され、処理部140で実行されるプログラムや、処理部140での処理に使用される各種のデータを記憶する。処理部140は、例えばCPUやDSP等のプロセッサを用いて構成され、記憶部130に記憶されているプログラムを実行する。バッテリ150は、移動体データ通信部110、無線LAN通信部120、記憶部130、及び処理部140のそれぞれに電力を供給する。
【0033】
処理部140は、記憶部130に記憶されているプログラムを実行することで、アドレス変換部141、変換先アプリケーション特定部142、及びアプリケーションデータ変換部143のそれぞれの機能を提供する。
【0034】
アドレス変換部141は、携帯電話網300と無線LAN対応機器200との間で送受信されるパケットに含まれるIPアドレスを変換する。具体的には、アドレス変換部141は、NAT(Network Address Translation)機能、すなわち、グローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換を行う。
【0035】
アドレス変換部141は、無線LAN対応機器200から携帯電話網300へ送信されるパケットについては、送信元IPアドレスをローカルIPアドレスからグローバルIPアドレスに変換する。一方、アドレス変換部141は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケットについては、宛先IPアドレスをグローバルIPアドレスからローカルIPアドレスに変換する。
【0036】
変換先アプリケーション特定部142は、記憶部130を参照し、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータの変換先のアプリケーション形式を特定する。
【0037】
図2(b)は、第1実施形態に係る可搬型ルータ装置100の記憶部130が記憶するテーブルの構成を示す図である。
【0038】
図2(b)に示すように、記憶部130は、変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式とを対応付けたテーブルを記憶する。図2(b)の例では、変換対象のアプリケーション形式としての“Flash”と、変換先のアプリケーション形式としての“H.264”とが対応付けられている。この場合、変換先アプリケーション特定部142は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケット(パケット群)にFlash形式のアプリケーションデータが含まれる場合に、変換先のアプリケーション形式として“H.264”を特定する。
【0039】
なお、記憶部130が記憶するテーブルは、無線LAN対応機器200側から可搬型ルータ装置100に予め設定してもよく、PC等のWeb設定を用いて携帯電話網300側から可搬型ルータ装置100に予め設定してもよい。
【0040】
アプリケーションデータ変換部143は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケット(パケット群)に含まれる変換対象のアプリケーションデータを、変換先アプリケーション特定部142によって特定された変換先のアプリケーション形式に変換する。具体的には、アプリケーションデータ変換部143は、移動体データ通信部110から入力されたパケット(パケット群)からアプリケーションデータを抽出し、データ変換を行った後に、変換後のアプリケーションデータを含むパケット(パケット群)を無線LAN通信部120に出力する。
【0041】
(1.3)ルータ装置の動作例
次に、図3を用いて、第1実施形態に係る可搬型ルータ装置100の動作のうちアプリケーション変換に関する動作について説明する。図3は、第1実施形態に係る可搬型ルータ装置100のアプリケーション変換に関する動作を示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、ステップS101において、移動体データ通信部110は、インターネット上のサーバからのレスポンスを受信する。なお、当該レスポンスは、無線LAN対応機器200からのリクエストに対してサーバが送信するものであり、アプリケーションデータを含むパケットによって構成される。当該パケットは、当該アプリケーションデータを識別する情報を含む。
【0043】
ステップS102において、変換先アプリケーション特定部142は、当該レスポンスに含まれる情報により、サーバから送信されるアプリケーションデータのアプリケーション形式を判別する。
【0044】
ステップS103において、変換先アプリケーション特定部142は、記憶部130を参照し、判別したアプリケーション形式が変換対象のアプリケーション形式(例えば“Flash形式”)であるか否かを判定する。具体的には、変換先アプリケーション特定部142は、判別したアプリケーション形式が、記憶部130が記憶するテーブルにおいて変換対象として登録されているアプリケーション形式であるか否かを判定する。
【0045】
判別したアプリケーション形式が、記憶部130が記憶するテーブルにおいて変換対象として登録されているアプリケーション形式である場合(ステップS103;YES)、ステップS104において、アプリケーションデータ変換部143は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケット(パケット群)に含まれる変換対象のアプリケーションデータを、変換先アプリケーション特定部142によって特定された変換先のアプリケーション形式に変換する。
【0046】
ステップS105において、無線LAN通信部120は、アプリケーションデータを含むパケットによって構成されるレスポンスを無線LAN対応機器200に送信する。
【0047】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、可搬型ルータ装置100は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを変換することによって、無線LAN対応機器200が実行可能なかたちでアプリケーションデータを無線LAN対応機器200に中継することができる。従って、無線LAN対応機器200のユーザの利便性を高めることができる。
【0048】
また、可搬型ルータ装置100は、アドレス変換部141がグローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換を行うことによって、グローバルIPアドレスを具備しない無線LAN対応機器200等の無線LAN対応機器200がインターネットにアクセスすることを可能にすることができる。
【0049】
さらに、可搬型ルータ装置100は、移動体データ通信部110は、携帯電話網300と接続して通信するように構成され、無線LAN通信部120は、無線LAN対応機器200と接続して通信するように構成されるため、無線LAN対応機器200が携帯電話網300を介してインターネットにアクセスすることを可能にすることができる。
【0050】
第1実施形態では、アプリケーションデータ変換部143は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを、変換先アプリケーション特定部142によって特定された変換先のアプリケーション形式に変換する。これにより、アプリケーション形式毎に変換先のアプリケーション形式を設定可能になるため、様々なアプリケーション形式に柔軟に対応可能になる。
【0051】
(2)第2実施形態
第2実施形態では、第1実施形態との相違点を説明する。以下、第2実施形態について、(2.1)ルータ装置の構成、(2.2)ルータ装置の動作例、(2.3)第2実施形態の効果の順に説明する。
【0052】
(2.1)ルータ装置の構成
図2(a)及び図4を用いて、第2実施形態に係る可搬型ルータ装置100の構成について説明する。図4は、第2実施形態に係る可搬型ルータ装置100の記憶部130が記憶するテーブルの構成を示す図である。
【0053】
図4に示すように、第2実施形態では、記憶部130は、複数の無線LAN対応機器200のそれぞれについて、変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式との対応付けを記憶する。例えば、記憶部130は、複数の無線LAN対応機器200のそれぞれのMACアドレス毎に、変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式との対応付けを記憶する。
【0054】
図4の例では、無線LAN対応機器“A”についてのテーブルにおいて、変換対象のアプリケーション形式としての“Flash”と、変換先のアプリケーション形式としての“H.264”とが対応付けられている。また、無線LAN対応機器“B”についてのテーブルにおいて、変換対象のアプリケーション形式としての“H.264”と、変換先のアプリケーション形式としての“MPEG2”とが対応付けられている。
【0055】
なお、記憶部130が記憶する各テーブルは、無線LAN対応機器200側から可搬型ルータ装置100に予め設定してもよく、PC等のWeb設定を用いて携帯電話網300側から可搬型ルータ装置100に予め設定してもよい。
【0056】
変換先アプリケーション特定部142は、一の無線LAN対応機器200からのアクセスに応じて当該一の無線LAN対応機器200に対応するテーブルを記憶部130から参照する。例えば、変換先アプリケーション特定部142は、一の無線LAN対応機器200からのパケットに含まれるMACアドレスを抽出し、当該MACアドレスと対応付けられたテーブルを記憶部130から選択する。そして、変換先アプリケーション特定部142は、選択したテーブルを用いて、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータの変換先のアプリケーション形式を特定する。
【0057】
アプリケーションデータ変換部143は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケット(パケット群)に含まれる変換対象のアプリケーションデータを、変換先アプリケーション特定部142によって特定された変換先のアプリケーション形式に変換する。
【0058】
(2.2)ルータ装置の動作例
次に、図5を用いて、第2実施形態に係る可搬型ルータ装置100の動作のうちアプリケーション変換に関する動作について説明する。図5は、第2実施形態に係る可搬型ルータ装置100のアプリケーション変換に関する動作を示すフローチャートである。
【0059】
図5に示すように、ステップS201において、無線LAN通信部120は、無線LAN対応機器200からのリクエストを受信する。当該リクエストは、アプリケーションデータの送信をサーバに要求するものであり、送信元の無線LAN対応機器200のMACアドレスを含むパケットによって構成される。
【0060】
ステップS202において、変換先アプリケーション特定部142は、無線LAN通信部120から入力されたパケットに含まれるMACアドレスを抽出し、当該MACアドレスと対応付けられたテーブルを記憶部130から選択する。
【0061】
ステップS203において、移動体データ通信部110は、無線LAN通信部120が受信したリクエストを送信する。
【0062】
ステップS204において、移動体データ通信部110は、サーバからのレスポンスを受信する。なお、当該レスポンスは、無線LAN対応機器200からのリクエストに対してサーバが送信するものであり、アプリケーションデータを含むパケットによって構成される。当該パケットは、当該アプリケーションデータを識別する情報を含む。
【0063】
ステップS205において、変換先アプリケーション特定部142は、当該レスポンスに含まれる情報により、サーバから送信されるアプリケーションデータのアプリケーション形式を判別する。
【0064】
ステップS206において、変換先アプリケーション特定部142は、ステップS202で選択したテーブルを参照し、判別したアプリケーション形式が変換対象のアプリケーション形式であるか否かを判定する。具体的には、変換先アプリケーション特定部142は、判別したアプリケーション形式が、ステップS202で選択したテーブルにおいて変換対象として登録されているアプリケーション形式であるか否かを判定する。
【0065】
判別したアプリケーション形式が、ステップS202で選択したテーブルにおいて変換対象として登録されているアプリケーション形式である場合(ステップS206;YES)、ステップS207において、アプリケーションデータ変換部143は、携帯電話網300から無線LAN対応機器200へ送信されるパケット(パケット群)に含まれる変換対象のアプリケーションデータを、変換先アプリケーション特定部142によって特定された変換先のアプリケーション形式に変換する。
【0066】
ステップS208において、無線LAN通信部120は、アプリケーションデータを含むパケットによって構成されるレスポンスを無線LAN対応機器200に送信する。
【0067】
(2.3)第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、第1実施形態で説明した効果に加えて、次のような効果が得られる。
【0068】
具体的には、様々な無線LAN対応機器200が可搬型ルータ装置100と接続する場合であっても、無線LAN対応機器200毎、且つアプリケーション形式毎に、変換先のアプリケーション形式を設定可能になるため、様々な無線LAN対応機器200及び様々なアプリケーション形式に柔軟に対応可能になる。
【0069】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は各実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0070】
上述した各実施形態では、可搬型ルータ装置100は、WANとしての携帯電話網300と接続して通信可能な移動体データ通信部110を具備していたが、有線WANと接続して通信可能な有線WAN通信部を具備していてもよい。
【0071】
また、上述した各実施形態では、可搬型ルータ装置100は、LAN対応機器としての無線LAN対応機器200と接続して通信可能な無線LAN通信部120を具備していたが、有線LANと接続して通信可能な有線LAN通信部を具備していてもよい。
【0072】
さらに、上述した各実施形態では、可搬型ルータ装置100は、アプリケーション形式の変換を行っていたが、アプリケーション形式の変換に限らず、アプリケーションデータの圧縮率(あるいはデータレート)を変換してもよい。
【0073】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0074】
100…可搬型ルータ装置、101…アンテナ、102…アンテナ、110…携帯電話通信部、120…無線LAN通信部、130…記憶部、140…処理部、141…アドレス変換部、142…変換先アプリケーション特定部、143…アプリケーションデータ変換部、150…バッテリ、200…無線LAN対応機器、300…携帯電話網、310…無線基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
WANと接続して通信するように構成されたWAN通信部と、LAN対応機器と接続して通信するように構成されたLAN通信部とを具備し、前記WANと前記LAN対応機器との間で送受信されるパケットを中継する可搬型ルータ装置であって、
前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを変換するアプリケーションデータ変換部を具備することを特徴とする可搬型ルータ装置。
【請求項2】
前記WANと前記LAN対応機器との間で送受信されるパケットに含まれるIPアドレスを変換するアドレス変換部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の可搬型ルータ装置。
【請求項3】
前記アドレス変換部は、グローバルIPアドレスとローカルIPアドレスとの変換を行うことを特徴とする請求項2に記載の可搬型ルータ装置。
【請求項4】
前記WAN通信部は、前記WANとしての携帯電話網と接続して通信するように構成され、
前記LAN通信部は、前記LAN対応機器としての無線LAN対応機器と接続して通信するように構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の可搬型ルータ装置。
【請求項5】
変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式との対応付けを記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照し、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータの変換先のアプリケーション形式を特定する変換先アプリケーション特定部と
をさらに具備し、
前記アプリケーションデータ変換部は、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを、前記特定された変換先のアプリケーション形式に変換することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の可搬型ルータ装置。
【請求項6】
複数のLAN対応機器のそれぞれについて、変換対象のアプリケーション形式と変換先のアプリケーション形式との対応付けを記憶する記憶部と、
一のLAN対応機器からのアクセスに応じて前記一のLAN対応機器に対応する前記対応付けを前記記憶部から参照し、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータの変換先のアプリケーション形式を特定する変換先アプリケーション特定部と
をさらに具備し、
前記アプリケーションデータ変換部は、前記WANから前記LAN対応機器へ送信されるパケットに含まれるアプリケーションデータを、前記特定された変換先のアプリケーション形式に変換することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の可搬型ルータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80489(P2012−80489A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226543(P2010−226543)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】