説明

可搬型画像記録表示装置及び同装置へのデータ書込み装置

【課題】電子ペーパに機密画像データが格納されている場合、必要に応じて機密画像を表示と非表示(機密画像を正常に読み取れないようにする)が選択できる。
【解決手段】電子ペーパ11に機密画像データとマスクデータが格納される。電子ペーパ11は、普段は、マスクデータに基づくマスク画像を表示する。所定条件が成立すると、電子ペーパ11は機密画像データを表示し、その後、所定条件が不成立になると、再びマスク画像を表示する。所定条件として、正しいキーデータをもつキーユニット31が電子ペーパ11に接続されている。キーユニット31が接続されてから、所定時間が経過していない、環境の明るさが暗くなる、または、電子ペーパ11が所定場所内に在る、などが採用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパに代表される可搬型画像記録表示装置及びこれに画像データを書込むためのデータ書込み装置に関し、特に、可搬型画像記録表示装置に書き込まれた画像データのセキュリティと電子ペーパの使い勝手の向上のための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
会議などで使用された電子ペーパに表示された画像が機密情報を表している場合は少なくない。この機密情報の外部への漏えいを防ぐために、会議室などを退場するときに電子ペーパが室外に持ち出されたことが無線タグ(RFIDタグ)等によって検知されると、その電子ペーパに記録されたデータが全て削除されるセキュリティシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、バッテリ付電子ペーパにおいて、電子ペーパからバッテリを抜くとその電子ペーパに記録されたデータが削除されるセキュリティシステムも知られている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2004−78808号公報
【特許文献2】特開2006−350190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のセキュリティシステムによれば、電子ペーパから一度データが削除されると再びそのデータを再表示させることができない。また、特許文献1に記載された電子ペーパのセキュリティシステムでは、例えば、関連する会議において会議室を移動した場合は、他の会議室では前の会議記録などを読むことができないので、電子ペーパの使い勝手が悪い。さらに、特許文献2に記録された電子ペーパのセキュリティシステムにおいては、例えば、会議の途中で電池が消耗して電池交換を行うと、これまでの会議記録が全て消えてしまうので、やはり、電子ペーパの使い勝手が悪い。
【0004】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、電子ペーパに代表される可搬型画像記録表示装置において、そこに機密画像データが書き込まれている場合に、必要に応じて機密画像を表示したり、表示しなかったり(正常に読み取れないようにしたり)することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの側面に従う可搬型画像記録表示装置は、外部機器と接続して、機密画像を表わす機密画像データを前記外部機器から入力するデータ入力部と、前記機密画像データ及びマスクデータを記憶するデータメモリと、画像を表示する表示パネルと、前記データ入力部、前記データメモリ、及び前記表示パネルを制御する制御部とを備え、前記制御部は、マスク有効モードとマスク解除モードのいずれかを選択するモード選択手段と、マスク有効モードが選択されたときに、前記マスクデータに基づいて、人がそれを見ても前記機密画像を正しく読み取ることができないマスク画像を前記表示パネルに表示させるマスク手段と、マスク解除モードが選択されたときに、前記機密画像データに基づいて前記機密画像を前記表示パネルに表示させるマスク解除手段とを有する。
【0006】
上記の可搬型画像記録表示装置によれば、そこに機密画像データが記憶されている場合に、必要なときにはマスク解除モードを選択することで、機密画像を表示することができ、必要ないときにはマスク有効モードを選択することで、マスク画像を表示して、人が機密画像を正常に読み取れないようにすることができる。ここで、マスク画像としては、例えば、機密画像とは全く関係のない別の画像、機密画像の一部をマスクで隠した画像、機密画像をスクランブルするなど変形または暗号化した画像などが採用できる。マスク画像が表示されているときでも、機密画像データは可搬型画像記録表示装置内に保持されているから、その後に再びマスク解除モードが選択されれば、機密画像が再表示される。
【0007】
一つの好適な実施形態では、前記モード選択手段は、可搬型画像記録表示装置が外部機器から切り離されているとき、所定の条件が不成立のときにはマスク有効モードを選択し、所定の条件が成立したときにのみマスク解除モードを選択するようになっている。従って、可搬型画像記録表示装置が外部機器から切り離されているときには、上記所定の条件が成立しない限り機密画像は表示されない。従って、例えば、執務室内で可搬型画像記録表示装置を外部機器に接続して機密画像データをそこに書き込んだ後、その可搬型画像記録表示装置を外部機器から切り離して会議室へ持っていき、その会議室内でのみ(または会議中にのみ)上記所定の条件を成立させるように可搬型画像記録表示装置を使用すれば、会議室内で(または会議中に)だけ機密画像が表示され、それ以外の場所(または時)にマスク画像が表示されるようにすることができる。その後、もし別の会議室で会議が再開したならば、その時に上記所定条件を再成立させれば、機密画像を再表示することができる。
【0008】
また、一つの好適な実施形態では、可搬型画像記録表示装置が、キーデータを外部から入力するキーデータ入力手段をさらに備える。そして、モード選択手段は、可搬型画像記録表示装置が外部機器から切り離されているときに、上記キーデータ入力手段から入力されたキーデータが正しいか否かをチェックし、正しいと判断されたときに上記所定条件が成立したと判断する。従って、例えば、会議室内(または会議開始直前に)でキーデータを可搬型画像記録表示装置に入力するようにすれば、会議室に入った後(または会議開始時)に、マスク画像から機密画像へ表示を切り返えることができる。
【0009】
さらに、一つの好適な実施形態では、キーデータを記憶する外部のキーユニットを可搬型画像記録表示装置に接続可能であり、モード選択手段は、そのキーユニットが可搬型画像記録表示装置に接続されていなければ上記所定条件が不成立と判断する。これにより、キーユニットを可搬型画像記録表示装置に接続してないときには、マスク画像が表示される。従って、例えば、会議室外(または会議中以外の時)には、キーユニットを可搬型画像記録表示装置から切り離すようにすることで、会議室内(または会議中)にだけ機密画像を表示することができる。
【0010】
さらに、変形例として、上記所定条件が成立したときであっても、所定の別の条件が成立したならば、マスク有効モードを選択するようにしてもよい。ここで、上記別の条件としては、例えば、(1)時間(例えば、現在時刻、画像書き込み時からの経過時間、または、所定条件成立時からの経過時間など)を計測して、計測された時間が所定時間を超えたこと、(2)可搬型画像記録表示装置の周囲の明るさを検知して、その明るさが所定値以下に暗いこと、または、(3)可搬型画像記録表示装置の位置が所定場所外であること、などが採用することができる。上記(1)の方法を用いると、例えば、会議が終了した時に、上記(2)の方法を採用すると、例えば、会議室の照明が消えたり、可搬型画像記録表示装置がカバンの中に入れられたりした時に、また、上記(3)の方法を使用すると、可搬型画像記録表示装置が会議場所外へ持ち出された時に、それぞれ、機密画像からマスク画像に自動的に表示を切り替えることができる。
【0011】
また、別の変形例として、上記の所定条件として、上記キーコードの入力および/又は上記キーユニットの接続に代えて、または、それと併用して、可搬型画像記録表示装置の位置が所定場所内に在るという条件を、採用することもできる。これにより、例えば、可搬型画像記録表示装置が会議場所外へ持ち出された時に、機密画像からマスク画像に自動的に表示を切り替えることができる。
【0012】
また、本発明は、上記の可搬型画像記録表示装置に機密画像データを書込むためのデータ書込み装置も提供する。このデータ書込み装置は、前記機密画像データを前記可搬型画像記録表示装置に書込む機密画像データ書込み手段と、前記可搬型画像記録表示装置を制御して、前記マスク画像を表示させるマスク画像表示手段と、前記可搬型画像記録表示装置を制御して、前記機密画像を表示させる機密画像表示手段とを備える。
【0013】
上記データ書込み装置によれば、可搬型画像記録表示装置に機密画像データを書き込んだ後、可搬型画像記録表示装置上に、機密画像を表示させたり、マスク画像を表示させたりして、ユーザに両画像を確認させることができる。
【0014】
一つの好適な実施形態では、データ書込み装置は、上記マスクデータを可搬型画像記録表示装置に書込むマスクデータ書込み手段を更に備える。このように可搬型画像記録表示装置に外部から任意のマスクデータを書き込めることで、シチュエーションに応じて適当なマスク画像を表示させるようにすることができる。他方、可搬型画像記録表示装置内に予め、固定的なマスクデータが用意されていても勿論よい。
【0015】
また、一つの好適な実施形態では、データ書込み装置は、上記所定条件が成立したか否かを判断するために可搬型画像記録表示装置によって使用されることになる条件データを、前記可搬型画像記録表示装置に書込む条件データ書込み手段を更に有する。可搬型画像記録表示装置に書き込まれる条件データを変えることで、上記所定条件の具体的な内容(例えば、上記キーコードの具体的な値、上記時間の具体的な値など)を変えることができる。
【0016】
また、一つの好適な実施形態では、データ書込み装置の上記機密画像表示手段は、上記条件データが可搬型画像記録表示装置に書き込まれる前は、機能せず、条件データが書き込まれた後に、機能するようになっている。従って、データ書込み装置上の可搬型画像記録表示装置に機密画像が表示されるかどうかをチェックすることで、条件データが正常に可搬型画像記録表示装置に書き込まれたたかどうかを確認することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子ペーパに代表される可搬型画像記録表示装置において、そこに機密画像データが書き込まれている場合に、必要に応じて、機密画像を表示したり、表示しなかったり(正常に読み取れないようにしたり)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る可搬型画像記録表示装置の一実施形態(以下、「電子ペーパ」という)及び電子ペーパへのデータ書込み装置の一実施形態の全体構成を示す。図1において、データ書込み装置は、一例として、MFP(Multi Function Printer;多機能プリンタ)1として実現されており、このMFP1は、プリンタ部3、スキャナ部5、制御パネル部7、及びホルダ部9を備え、ホルダ部9には電子ペーパ11が接続可能である。
【0019】
説明を分かり易くするために、執務室と会議室を別に有する会社を例にとる。MFP1は例えば執務室に設置され、そのMFP1にはそれに接続されたパーソナル端末(図示省略)から、会議資料の文書のデータが送信されてくるものとする。その文書が、機密文書である場合と、そうでない場合とがある。利用者は、MFP1のホルダ部9に電子ペーパ11を接続する。MFP1は、受信した文書データをレンダリングしてその文書の画像データを生成し、その画像データを、ホルダ部9に接続された電子ペーパ11に、以下のようにして書き込む。
【0020】
すなわち、MFP1は、電子ペーパ11に書き込もうとする文書が機密文書であるか否かを判断する。例えば、パーソナル端末からMPF1へ、その文書データがセキュリティモードで伝送されてきた場合や、その文書データ中に、機密文書であることを意味するコードが含まれていた場合や、あるいは、利用者がMFP1のコントロールパネルに機密文書である旨の入力をした場合などに、MPF1は、その文書が機密文書であると判断する。
【0021】
その文書が機密でない場合には、機密でない旨を示す機密コードを電子ペーパ11に書き込む。また、MFP1は、その機密でない文書データから、その機密でない文書の画像(以下、「通常画像」という)を表したラスタイメージ形式の通常画像データに変換して、その通常画像データを電子ペーパ11に書き込み、そして、その通常画像を電子ペーパ11に表示させる。
【0022】
他方、MFP1は、その文書が機密文書である場合には、機密である旨を示す機密コードを電子ペーパ11に書き込む。また、MFP1は、その機密文書の文書データから、その機密文書の画像(以下、「機密画像」という)を表したラスタイメージ形式の機密画像データを生成して、電子ペーパ11に書き込む。加えて、MFP1は、マスクデータと認証データを、電子ペーパ11に書き込む。そして、MFP1は、電子ペーパ11に認証データが書き込まれるまでは、電子ペーパ11に、上記マスクデータに基づくマスク画像を表示させ、その後、認証データが書き込まれると、電子ペーパ11に上記機密画像を表示させる。
【0023】
ここで、上記マスクデータとは、上記マスク画像を生成するためのデータである。また、上記マスク画像とは、その画像を人が見ても機密画像の情報を正常に読み取ることができないような内容の画像をいう。マスク画像として、例えば、(1)機密画像とは全く関係のない別の画像、(2)機密画像の一部をマスクで隠した画像、(3)機密画像をスクランブルするなどして変形または暗号化した画像などが採用できる。この実施形態では、説明を簡単にするために、マスク画像には上記(1)を採用し、そして、マスクデータには、ラスタイメージ形式のマスク画像データそのものを採用する。なお、変形例として、電子ペーパ11内にマスクデータが予め記憶されていてもよい(この場合は、MFP1から電子ペーパ11へのマスクデータの書き込みは省略してもよい)。
【0024】
また、上記認証データとは、電子ペーパ11がMFP1から切り離され後に、上記機密画像を表示するか否かを判断するために電子ペーパ11内で行われる認証処理において使用されるコードデータである。この認証データは、MFP1に予め記憶されているコードデータであってもよいし、あるいは、利用者からまたはパーソナル端末からまたは後述するキーユニット31(図2参照から)MFP1に入力されるコードデータであってもよい。或いは、変形例として、電子ペーパ11内に予め認証データが予め記憶されていてもよい(この場合は、MFP1から電子ペーパ11への認証データの書き込みは省略してもよい)。
【0025】
このようにして、MFP1から電子ペーパ11に、機密文書か否かに応じて上記のようなデータが書き込まれた後、利用者は、電子ペーパ11をMFP1のホルダ部9から取り外す。MFP1から切り離され後の電子ペーパ11の機能については、後述する。
【0026】
図2は、図1に示された電子ペーパ11の構成を示す。
【0027】
電子ペーパ11は、画像を表示するための表示パネル13、外部のキーユニット31と接続してキーユニット31からキーデータを入力するためのキーユニットインタフェース15、図1に示されたMFP1と接続して上述した画像データ(機密画像データまたは通常画像データ)、機密コード、マスクデータ及び認証データを入力するためのプリンタインタフェース17、入力された画像データ(機密画像データ又は通常画像データ)、機密コード、マスクデータ及び認証データを格納するためのデータメモリ19、電子ペーパ11内の諸部品を制御するための制御部21、及び電子ペーパ11の電源となるバッテリ23などを備える。
【0028】
ここで、キーユニット31は、電子ペーパ11とは分離された記憶装置(例えば、半導体メモリ、磁気カード、ICカード、あるいは、携帯電話などのような携帯型情報処理装置等)であり、そこには、キーユニット31が電子ペーパ11に接続された時に電子ペーパ11に読み込まれて、電子ペーパ11内に記憶された上記認証データと照合されることになるキーデータが記憶されている。変形例として、上記のようなキーユニット31に代えて、または、それと併用して、電子ペーパ11上に設けられた入力ボタン、または電子ペーパ11と接続される通信ネットワーク(有線又は無線)から、キーデータが電子ペーパ11に入力できるようになっていてもよい。
【0029】
制御部21は、データメモリ17に記憶されている画像データが、通常画像データであるか機密画像データであるかを、上記機密コードに基づいて判別する。制御部21は、電子ペーパ11がMFP1に接続されているときには、MFP1からの制御に従って画像を表示パネル13に表示するが、電子ペーパ11がMFP1から切り離されているときには、次のようにして、画像を表示パネル13に表示する。
【0030】
すなわち、制御部21は、上記判別の結果、データメモリ17に記憶されている画像データが通常画像データである場合には、その通常画像データに基づく通常画像を表示パネル13に表示する。他方、上記判別の結果、データメモリ17に記憶されている画像データが機密画像データである場合には、制御部21は、表示モードとしてマスク有効モードとマスク解除モードのいずれかを選択し、マスク有効モードを選択しているときには、マスクデータに基づくマスク画像を表示パネル13に表示し、マスク解除モードを選択しているときには、機密画像データに基づく機密画像を表示パネル13に表示する。マスク画像の一例は、図3に参照番号40で示すようなものであり、他方、機密画像の例は、図3に参照番号42で示すようなものである。
【0031】
ここで、上記のマスク有効モードとマスク解除モードの選択は、次のようにして行われる。すなわち、電子ペーパ11がMFP1から取り外された当初は、原則としてマスク有効モードが選択され、マスク画像3が表示される。その後、所定条件が成立すると、表示モードはマスク有効モードからマスク解除モードへ切り替えられて、機密画像42が表示される。その後、その所定条件が不成立になると、表示モードはマスク解除モードからマスク有効モードへ切り替えられて、マスク画像40が再び表示される。
【0032】
上記所定条件の一例として、本実施形態では、キーユニット31が電子ペーパ11に接続されており、かつ、キーユニット31内のキーデータと電子ペーパ11内の認証データとを用いた認証処理が成功したこと、が採用される。すなわち、電子ペーパ11がMFP1から取り外された後に、利用者がキーユニット31を電子ペーパ11に接続すると、制御部21は、キーユニット31からキーユニットインタフェース15を通じて上記キーデータを読み込み、入力されたキーデータと、データメモリ17に記憶されている認証データとを用いて認証処理を行う。この認証処理の方法の一例として、本実施形態では、キーデータと認証データとを照合して、両者が一致していれば認証成功、不一致ならば認証失敗と判断する方法が採用されるが、別の方法が採用されてもよい。この認証処理の結果が認証成功であれば、制御部21は、表示モードをマスク有効モードからマスク解除モードへと切り替えて、機密画像データに基づく機密画像を表示パネル13に表示するが、認証失敗であれば、マスク有効モードを維持して、機密画像を表示しない。また、一旦、認証が成功して機密画像を表示した後、キーユニット31が電子ペーパ11から切り離されれば、制御部21は、表示モードをマスク解除モードからマスク有効モードへと切り替えるので、表示パネル13から機密画像42が消えてマスク画像が再び表示される。
【0033】
従って、執務室内でMFP1から電子ペーパ11に機密画像データが書き込まれた場合、会議室内でのみキーユニット31を電子ペーパ11に接続するようにすれば、会議室内でのみ電子ペーパ11に機密画像が表示されることになる。また、その会議質とは別の会議室で次の会議が開かれる場合、その会議室を出る前にキーユニット31を電子ペーパ11から抜き、別の会議室に入ってから再びキーユニット31を電子ペーパ11に接続すれば、その別の会議室で、機密画像を再表示させることができる。
【0034】
変形例として、前記の条件成立時のみ機密画像を表示するという機能のセキュリティ性をより向上させるために、電子ペーパ11に、前記の最初の条件とは別の条件の成立を検出する手段を設けて、上述した最初の条件(キーユニット31が接続されていて、かつ認証が成功した)が成立した場合であっても、上記別条件が成立したならば、表示モードをマスク解除モードからマスク有効モードへと切り替えるようにしてもよい。上記別の条件としては、例えば、(1)電子ペーパ11に設けた時計により時間(例えば、現在時刻、機密画像データ書き込み時からの経過時間、または、上記の最初の条件成立時からの経過時間など)を計測して、計測された時間が所定時間を超えたこと、(2) 電子ペーパ11に設けた光センサにより電子ペーパ11の周囲の明るさを検知して、その明るさが所定値以下に暗いこと、または、(3))電子ペーパ11の位置が所定場所(例えば、会議室、会議室のある建物など)内か外かどうかを(例えば、電子ペーパ11に設けたRFICタグのような無線受信ICと、所定場所内に設けた無線発信機との協働により)検知して、その検地結果が所定場所外であること、などが採用することができる。上記(1)の方法を用いると、例えば、設定された会議の終了時に、上記(2)の方法を採用すると、例えば、会議室の照明が消えたり、可搬型画像記録表示装置がカバンの中に入れられたりした時に、また、上記(3)の方法を使用すると、可搬型画像記録表示装置が会議場所外へ持ち出された時に、(キーユニット31が電子ペーパ11に接続されたままであっても)機密画像からマスク画像に自動的に表示パネル13の表示を切り替えることができる。
【0035】
また、別の変形例として、上記の最初の条件として、上述したようなキーユニット31が接続されていて、かつ認証が成功したという条件に代えて、またはそれと併用して、電子ペーパ11の位置が所定場所(例えば、会議室、会議室のある建物など)内か外かどうかを(例えば、電子ペーパ11に設けたRFICタグのような無線受信ICと、所定場所内に設けた無線発信機との協働により)検知して、その検地結果が所定場所内であるという条件を、採用することもできる。これにより、例えば、電子ペーパ11が会議場所外へ持ち出された時に、(キーユニット31が電子ペーパ11に接続されたままであっても)機密画像からマスク画像に自動的に表示を切り替えることができる。
【0036】
また、さらに別の変形例として、上述した表示モードを切り替えるいずれかの機能と併用して、上記のようにして電子ペーパ11の位置が所定場所(例えば、会議室、会議室のある建物など)内か外かどうかを検知して、その検地結果が所定場所外である場合(または、所定場所内から外へと移動することが検知された場合)に、電子ペーパ11又は所定場所内に設けられた警報器から警報を発するようにしてもよい。
【0037】
次に、図4〜図6に示されたフローチャートを参照して、上述した構成をもつ本実施形態にかかるMFP1と電子ペーパ11の動作について説明する。
【0038】
図4は、MFP1が電子ペーパ11にデータを書き込む制御を示す。
【0039】
図4に示すように、MFP1は、外部のパーソナル端末などから文書データを受信すると、MFP1のホルダ9に電子ペーパ11が挿入済みであるか否かを判断し(ステップS1)、電子ペーパ11がMFP1に挿入されていなければ(ステップS1でNoの場合)、MFP1は通常の印刷処理を行う(すなわち、その受信した文書データをレンダリングして、その文書の画像を用紙に印刷する)(ステップS2)。
【0040】
一方、ステップS11で、電子ペーパ11がMFP1に挿入されていれば(ステップS1でYesの場合)、MFP1は、受信した文書データが機密文書データであるか否かを、前述した方法で判断する(ステップS3)。その結果、受信した文書データが機密文書データでなければ(ステップS3でNoの場合)、MFP1は、その受信した文書データをレンダリングしてその文書の画像(通常画像)データを作成し、その通常画像データと、その通常画像データが機密でない旨を示す機密コードとを、電子ペーパ11に書き込んで、その通常画像データに基づく通常画像を電子ペーパ11に表示させる(ステップS4)。
【0041】
一方、ステップS3で、MFP1が受信した文書データが機密文書データであれば(ステップS3でYesの場合)、MFP1は、その機密文書データをレンダリングして機密画像データを作成し、そして、その機密画像データと、その機密画像データが機密である旨を示す機密コードと、所定のマスクデータとを、電子ペーパ11に書き込み、さらに、上記書き込まれたマスクデータに基づくマスク画像を電子ペーパ11に表示させる(ステップS5)。
【0042】
次に、MFP1は、事前認証処理を行う(ステップS6)。事前認証処理では、MFP1は、認証データ(上記パーソナル端末、は利用者またはキーユニット31から入力されるか、または、MFP1に予め設定されている)を電子ペーパ11に書き込み(ただし、電子ペーパ11に予め記憶されている認証データを用いる場合は、この認証データの書き込みは省略される)、その後に、電子ペーパ11にその書き込まれた認証コードと同じコードのキーデータを電子ペーパ11に入力して、電子ペーパ11に上述した認証処理をテストとして行わせ、その認証結果をチェックする。
【0043】
そして、上記事前認証の結果が判断され(ステップS7)、その結果が認証失敗であるときは(ステップS17でNoの場合)、MFP1は所定のエラー処理を行ない(ステップS18)、一方、事前認証結果が認証成功であるときは(ステップS7でYesの場合)、MFP1は、電子ペーパ11に機密画像を表示させる(ステップS9)。
【0044】
そして、MFP1は、電子ペーパ11がMFP1から抜き取られたか否かを判断し(ステップS10)、MFP1から電子ペーパ11が抜き取られたら(ステップS10でYesの場合)、上記の制御ルーチンを終了する。
【0045】
図5は、電子ペーパ11の制御部21によって行われる制御の全体のフローを示す。
【0046】
図5に示すように、電子ペーパ11がMFP1に接続されているか否かが判断され(ステップS11)、電子ペーパ11がMFP1に接続されていなければ(ステップS11でNoの場合)、MFP1からの制御(図4に示したような制御)に従って電子ペーパ11の動作が行われる(ステップS12)。
【0047】
一方、ステップS11で、電子ペーパ11がMFP1に接続されていれば(ステップS11でYesの場合)、電子ペーパ11に書き込まれた画像データが機密画像データであるか否かが、MFP1からの機密コードに基づき判断される(ステップS13)。その結果、電子ペーパ11に書き込まれた画像データが機密画像データであれば(ステップS13でYesの場合)、図6に示すような「機密画像データの表示制御」が行われる(ステップS14)。一方、電子ペーパ11に書き込まれた画像データが通常画像データであれば(ステップS13でNoの場合)、「通常画像データの表示制御」を行われる(ステップS15)。「通常画像データの表示制御」では、単純に、書き込まれた通常画像データに基づく通常画像が表示パネル13に表示される。
【0048】
図6は、図5に示された「機密画像データの表示制御」のフローを示す。
【0049】
図6に示すように、電子ペーパ11がMFP1から切り離されると、初期的に、マスク有効モードが選択されてマスク画像が表示パネル13に表示される(ステップS21)。
【0050】
次に、電子ペーパ11にキーユニット31が接続されたか否かが判断され、キーユニット31接続されると上記の認証処理が行われて、認証結果がチェックされる(ステップS22)。その結果、電子ペーパ11にキーユニット31が接続されかつ認証結果が認証成功であれば(ステップS22でYesの場合)、表示モードがマスク有効モードからマスク解除モードへ切り替えられて(ステップS23)、機密画像が表示パネル13に表示される(ステップS24)。
【0051】
次に、電子ペーパ11からキーユニット31が切り離されたか否かが判断され(ステップS25)、キーユニット31が切り離されたならば(ステップS25でYesの場合)、表示モードを再びマスク有効モードに戻して、マスク画像を表示する(ステップS26)。その後、再びキーユニット31が電子ペーパ11に接続されて、認証処理が成功すれば(ステップS22)、機密画像が再び表示される(ステップS23,24)。
【0052】
尚、変形例として、キーユニット31を電子ペーパ11に接続する代わりに、電子ペーパ11をネットワークに接続することにより、外部から認証のためのキーデータを送信することによって電子ペーパ11の表示モードを切り替えるようにしてもよい。
【0053】
あるいは、キーユニット31を電子ペーパ11に接続すると、電子ペーパ11がネットワークにアクセスできるようになり、そのネットワークを用いて認証処理を行うようにしてもよい。例えば、会議室においてキーユニット31を電子ペーパ11に接続することによって、電子ペーパ11が社内のネットワーク上の管理サーバにアクセスできるようになり、そして、ネットワーク上の管理サーバで、キーユニット31内のキーデータを電子ペーパ11から受信して、そのキーデータと管理サーバに予め記憶されている認証データ(例えば、MFP1に固有の識別コード)とを用いて、管理サーバが認証処理をおこなうようにしてもよい。さらに、この場合、電子ペーパ11に記憶されているマスクデータは、MFP1に固有のものであり、上記認証処理が成功すると、管理サーバが、そこに記憶されているMFP1に固有のマスク解除パターンを電子ペーパ11に送る(これが、上述した所定条件の成立に該当する)ことで、電子ペーパ11がマスクを解除して機密画像を表示する、ようにしてもよい。このように、電子ペーパ11側でなく、管理サーバ側に認証機能を持たせるようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の適用範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る可搬型画像記録表示装置の一実施形態(電子ペーパ)及び電子ペーパへのデータ書込み装置の一実施形態の全体構成を示す図。
【図2】電子ペーパ11の構成を示すブロック図。
【図3】マスク画像と機密画像の例を示す図。
【図4】MFP1が電子ペーパ11にデータを書き込む制御を示すフローチャート。
【図5】電子ペーパ11で行われる制御の全体を示すフローチャート。
【図6】図5に示された「機密画像データの表示制御」を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0056】
1 MFP(データ書込み装置)
3 プリンタ部
5 スキャナ部
7 制御パネル部
9 ホルダ部
11 電子ペーパ(可搬型画像記録表示装置)
13 表示パネル
15 キーユニットインタフェース
17 プリンタインタフェース
19 データメモリ
21 制御部
23 バッテリ
31 キーユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と接続して、機密画像を表わす機密画像データを前記外部機器から入力するデータ入力部と、
前記機密画像データ及びマスクデータを記憶するデータメモリと、
画像を表示する表示パネルと、
前記データ入力部、前記データメモリ、及び前記表示パネルを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
マスク有効モードとマスク解除モードのいずれかを選択するモード選択手段と、
マスク有効モードが選択されたときに、前記マスクデータに基づいて、人がそれを見ても前記機密画像を正しく読み取ることができないマスク画像を前記表示パネルに表示させるマスク手段と、
マスク解除モードが選択されたときに、前記機密画像データに基づいて前記機密画像を前記表示パネルに表示させるマスク解除手段と
を有する可搬型画像記録表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬型画像記録表示装置において、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、所定の条件が不成立のときには前記マスク有効モードを選択し、所定の条件が成立したときにのみ前記マスク解除モードを選択する可搬型画像記録表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の可搬型画像記録表示装置において、
キーデータを外部から入力するキーデータ入力手段をさらに有し、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記キーデータ入力手段から入力されたキーデータが正しいか否かをチェックし、前記入力されたキーデータが正しいと判断されたならば前記所定の条件が成立したと判断する可搬型画像記録表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の可搬型画像記録表示装置において、
キーデータを記憶する外部のキーユニットと接続可能であり、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記キーユニットが前記可搬型画像記録表示装置に接続されていなければ前記一定の条件が不成立と判断する可搬型画像記録表示装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の可搬型画像記録表示装置において、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記所定の条件が成立したときであっても、所定の別の条件が成立したならば前記マスク有効モードを選択する可搬型画像記録表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の可搬型画像記録表示装置において、
時間を計測する時計手段を更に備え、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記時計手段により計測された時間が所定時間を超えたならば、前記所定の別の条件が成立したと判断する可搬型画像記録表示装置。
【請求項7】
請求項5または6のいずれか一項に記載の可搬型画像記録表示装置において、
前記可搬型画像記録表示装置の周囲の明るさを検出する光検出手段を更に備え、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記光検出手段により検出された明るさが所定値以下であることが検出されたならば、前記所定の別の条件が成立したと判断する可搬型画像記録表示装置。
【請求項8】
請求項5〜7に記載の可搬型画像記録表示装置において、
前記可搬型画像記録表示装置の位置が所定場所内であるか外であるかを検出する位置検出手段を更に備え、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記位置検出手段により前記可搬型画像記録表示装置の位置が前記所定場所外にあると検出されたならば、前記所定の別の条件が成立したと判断する可搬型画像記録表示装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の可搬型画像記録表示装置において、
前記可搬型画像記録表示装置の位置が所定場所内であるか外であるかを検出する位置検出手段を更に備え、
前記モード選択手段は、前記可搬型画像記録表示装置が前記外部機器から切り離されているとき、前記位置検出手段により前記可搬型画像記録表示装置の位置が前記所定場所内にあると検出されたならば、前記所定の条件が成立したと判断する可搬型画像記録表示装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の可搬型画像記録表示装置と接続して、前記可搬型画像記録表示装置に前記機密画像データを書き込むためのデータ書込み装置において、
前記機密画像データを前記可搬型画像記録表示装置に書込む機密画像データ書込み手段と、
前記可搬型画像記録表示装置を制御して、前記マスク画像を表示させるマスク画像表示手段と、
前記可搬型画像記録表示装置を制御して、前記機密画像を表示させる機密画像表示手段と
を備えるデータ書込み装置。
【請求項11】
請求項10に記載のデータ書込み装置において、
前記マスクデータを前記可搬型画像記録表示装置に書込むマスクデータ書込み手段を更に備えるデータ書込み装置。
【請求項12】
請求項2に記載の可搬型画像記録表示装置と接続して、前記可搬型画像記録表示装置に前記機密画像データを書き込むためのデータ書込み装置において、
前記機密画像データを前記可搬型画像記録表示装置に書込む機密画像データ書込み手段と、
前記マスクデータを前記可搬型画像記録表示装置に書込むマスクデータ書込み手段と、
前記所定の条件が成立したか否かを判断するために前記可搬型画像記録表示装置によって使用する条件データを前記可搬型画像記録表示装置に書込む条件データ書込み手段と、
前記可搬型画像記録表示装置を制御して、前記マスク画像を表示させるマスク画像表示手段と、
前記可搬型画像記録表示装置を制御して、前記機密画像を表示させる機密画像表示手段と
を備えるデータ書込み装置。
【請求項13】
請求項12に記載のデータ書込み装置において、
前記条件データ書込み手段により前記可搬型画像記録表示装置に前記条件データが書き込まれる前は、前記機密画像表示手段が機能せず、前記条件データが書き込まれた後に、前記機密画像表示手段が機能するデータ書込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−157036(P2009−157036A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333947(P2007−333947)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】