説明

可搬型通信端末の表示プログラム

【課題】
可搬型通信端末の表示装置で画面を表示する際の表示プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】
可搬型通信端末を、可搬型通信端末の表示装置において表示している画面または該表示装置の変更を監視する画面監視部、画面監視部において変更を検出後、表示装置で表示している画面を構成する部品に、再配置の対象となる部品があるかを判定する再配置判定部、再配置判定部において再配置の対象となる部品があることを判定すると、該対象となった部品のデータを、該対象となった部品について、変更後の画面のサイズに対応するほかのデータに変更して画面を生成する再配置処理部、再配置処理部において生成した画面を、表示装置で表示する表示処理部、として機能させる可搬型通信端末の表示プログラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型通信端末の表示装置で画面を表示する際の表示プログラムに関する。詳細には、可搬型通信端末を縦方向、横方向のいずれで所持したとしても、視認性良く画面を表示させる可搬型通信端末の表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
可搬型通信端末の高機能化に伴い、さまざまな処理が可搬型通信端末を通して操作できるようになっている。そのため日常生活のほか、企業などの業務でも広く利用されている。特に、外出時に可搬型通信端末から、企業内の業務システムにアクセスし、そのデータを取得、閲覧等する際などにも用いられている。
【0003】
可搬型通信端末の性能自体は上述のように高機能化しているが、そのディスプレイ(表示装置)の大きさは、可搬性に係わる事項であることから自ずと限界があり、一定の制約を受けざるを得ない。そのため、企業のデスクで利用しているような大きさで表示を行うことは物理的に出来ない。
【0004】
例えば非特許文献1乃至非特許文献3に記載の、可搬型通信端末でもデータの閲覧が可能な業務システムの従来の製品の場合には、表示データをPDF形式に変換し、それを可搬型通信端末にダウンロードさせ、あるいは可搬型通信端末に電子メールで送信することで、可搬型通信端末の表示装置でそれを表示させることが可能となっている。そして、ダウンロードしたデータを拡大、縮小、上下左右に移動といった操作をすることで、ユーザはデータの内容の確認を行う。
【0005】
可搬型通信端末、とくにスマートフォンと呼ばれるタッチパネル形式で表示を行う可搬型通信端末の場合、可搬型通信端末を縦に所持する場合と横に所持する場合とで、画面の表示方向が90度回転する。すなわち、可搬型通信端末を縦に所持した場合と横に所持した場合のいずれでもユーザに向かって画面が表示されるようになっている。なお、可搬型通信端末を縦に所持するとは、可搬型通信端末を手のひらの上に載置した状態において、可搬型通信端末(またはその表示装置)の長辺がY軸に平行に位置する場合であって、通常の可搬型通信端末の所持態様である。また可搬型通信端末を横に所持するとは、その状態を90度回転させた状態(可搬型通信端末(またはその表示装置)の長辺がX軸に平行に位置する)である。図7(a)が可搬型通信端末を縦に所持した場合、図7(b)が可搬型通信端末を横に所持した場合を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社インターコム、”Web給金帳 V3 スマートフォン対応について”、[online]、インターネット<URL:http://www.intercom.co.jp/kyu/smartphone.html>
【非特許文献2】株式会社日立中国ソリューションズ、”Hi−PerBTモバイル給与の特徴”、[online]、インターネット<URL:http://www.hcu.co.jp/solution/general_affairs/mkyuyo/products/feature/index.html>
【非特許文献3】株式会社日立システムズ、”モバイル給与明細配信サービス”、[online]、インターネット<URL:http://www.hitachi-systems.com/solution/s006/mobile_kyuyo/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可搬型通信端末の表示装置でデータを画面で表示する場合、縦に所持した場合にはY軸方向に多くのデータを表示でき、横に所持した場合にはX軸方向に多くのデータを表示できることから、ユーザは表示するデータに応じて、可搬型通信端末での所持の方向を適宜変更することで、自ら視認性を向上させている。たとえばY軸方向に多くのデータが表示される場合には可搬型通信端末を縦に所持し、X軸方向に多くのデータが表示される場合には可搬型通信端末を横に所持する。
【0008】
しかし従来の場合、縦が基本となっている画面を、可搬型通信端末を横に所持することで、横向きに画面を表示しようとすると、縦に所持した場合の画面を、単純に90度回転して表示しているに過ぎない。これは、同じ画面であっても、単にX軸方向の表示範囲が広がり、Y軸方向の表示範囲が狭くなっているに過ぎないことを意味している。また、横が基本となっている画面を、可搬型通信端末を縦に所持することで、縦向きに画面を表示しようとした場合であっても同様である。これを図8に示す。図8(a)は可搬型通信端末を縦方向に所持した場合に表示される画面であって、図8(b)は横方向に所持した場合に表示される画面である。
【0009】
これは、ユーザがどちらか一方の方向だけで可搬型通信端末を所持することを前提として画面を生成しているために発生する問題である。結果として、ユーザは自らが所持しやすい方向ではなく、画面の表示によって、可搬型通信端末を所持する向きを、いわば強制されることとなっている。これはユーザにとって負担の一つとなる。そして、ユーザが所持しやすい向きで可搬型通信端末を所持した場合、画面がその向きに対応して生成されていないと、視認性が悪化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明者は上記課題に鑑み、ユーザが所持しやすい向きで可搬型通信端末を所持したとしても、可搬型通信端末の向きにかかわらず、画面を視認しやすく表示する、可搬型通信端末の表示プログラムを発明した。
【0011】
第1の発明は、可搬型通信端末を、前記可搬型通信端末の表示装置において表示している画面または該表示装置の変化を監視する画面監視部、前記画面監視部において変化を検出後、前記表示装置で表示している画面を構成する部品に、再配置の対象となる部品があるかを判定する再配置判定部、前記再配置判定部において再配置の対象となる部品があることを判定すると、該対象となった部品のデータを、該対象となった部品について、変化後の画面のサイズに対応するほかのデータに変更して前記画面を生成する再配置処理部、前記再配置処理部において生成した前記画面を、前記表示装置で表示する表示処理部、として機能させる可搬型通信端末の表示プログラムである。
【0012】
本発明のように構成することで、ユーザが所持しやすい向きで可搬型通信端末を所持した場合、その可搬型通信端末の向きに合わせて画面の部品を再配置することから、向きにかかわらず視認性を維持することが出来る。
【0013】
また、従来、パーソナルコンピュータでは、画面のサイズを変更した際に、画面内の部品を自動的に再配置する構成はあった。しかし、本発明のように、ひとまとまりとなった部品が大きさに応じて複数のパターンが用意され、画面の大きさに応じて適切な部品が選択され、表示される構成を採っていないので、図9に示すように、画面の大きさによっては部品が途中で行替え等され、視認性が悪化することがあった。
【0014】
一方、本発明では、画面を構成する部品は、ひとまとまりとなった部品が大きさに応じて複数のパターンが用意され、画面の大きさに応じて適切な部品が選択され、表示される構成を用いるので、画面の大きさで部品が意味なく自動的に分断されたり、行替え等されてしまい、視認性が悪化することもない。また、表示される部品は画面の大きさに応じて適切な部品が選択されていることから、直感的に部品のまとまりを認識することも出来る。
【0015】
上述の発明において、前記画面監視部は、前記可搬型通信端末の表示装置において表示している前記画面の縦および/または横のサイズ、または該表示装置の向きに変化があったかを監視する、可搬型通信端末の表示プログラムのように構成することができる。
【0016】
上述の画面の監視は、本発明のように構成することが出来る。
【0017】
上述の発明において、前記可搬型通信端末の表示プログラムは、前記可搬型通信端末を、さらに、前記画面監視部において変化を検出後、前記変化後の表示装置の表示可能領域の縦および/または横のサイズを取得するサイズ取得部、として機能させ、前記再配置判定部は、前記画面監視部において変化を検出後、前記表示装置で表示している画面を構成する部品のデータの縦および/横のサイズと、前記サイズ取得部で取得した表示可能領域の縦および/または横のサイズとを比較し、条件に合致しているかを判定することで、再配置の対象となる部品があるかを判定する、可搬型通信端末の表示プログラムのように構成することができる。
【0018】
再配置の対象となるかは、表示装置の表示可能領域の縦、横のサイズと、変化後の画面を構成する部品の縦、横のサイズとを比較することがよい。本発明では部品単位で表示がされるので、そのひとまとまりの単位を維持するためである。
【0019】
上述の発明において、前記再配置処理部は、前記再配置判定部において再配置の対象となる部品があることを判定すると、該対象となった部品のデータを、前記サイズ取得部で取得した表示可能領域の縦および/または横のサイズの条件に合致している、該部品のほかのデータに変更することで、前記画面を生成する、可搬型通信端末の表示プログラムのように構成することができる。
【0020】
画面を構成する部品のデータを変更するには、本発明の構成を採ることも出来る。
【0021】
上述の発明において、上述の各表示プログラムを備えた可搬型通信端末を構成することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の可搬型通信端末の表示プログラムを用いることで、可搬型通信端末で表示される画面の向きに応じて、ユーザは可搬型通信端末を所持する向きを強制されることがなくなり、ユーザの負担の軽減になる。また、いずれの向きで所持したとしても、その向きに適した画面が表示されるため、いずれの方向で所持したとしても画面の視認性を維持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の可搬型通信端末の表示プログラムの各機能を含む、全体のシステム構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の可搬型通信端末の表示プログラムの処理プロセスの一例を模式的に示すフローチャートである。
【図3】表示装置で表示させる得意先別売上実績表が各部品から構成されていることを示す図である。
【図4】画面を構成する部品が画面のサイズに応じて複数あることを示す図である。
【図5】可搬型通信端末の表示装置で得意先別売上実績表が表示された状態の一例を模式的に示す図である。
【図6】可搬型通信端末の表示装置で、変更後の画面のサイズで得意先別売上実績表が表示された状態の一例を模式的に示す図である。
【図7】可搬型通信端末を縦または横に所持した状態を模式的に示す図である。
【図8】従来の表示プログラムにおいて、可搬型通信端末を縦または横にしたときに表示される画面の一例を示す図である。
【図9】従来の表示プログラムにおいて、画面のサイズが調整された状態の画面の一例を示す図である。
【図10】実施例2の可搬型通信端末の表示プログラムの各機能を含む、全体のシステム構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の可搬型通信端末2の表示プログラム1(以下、単に「表示プログラム1」という)を用いて可搬型通信端末2で所定のアプリケーションシステム3からデータを取得し、画面で表示させる場合の、各機能を含む全体のシステム構成の一例を図1に示す。
【0025】
なお、可搬型通信端末2で画面を表示させるアプリケーションシステム3としてはさまざまなアプリケーションシステム3を用いることが出来るが、たとえば業務システムとすることが出来る。業務システムが可搬型通信端末2で表示させる画面には、項目毎にデータが対応づけられていることが多く、本発明に特に適しているからである。しかしそれに限定されない。
【0026】
業務システムとは、企業などの業務活動の遂行に用いるコンピュータシステムである。業務システムには、業務活動に関する処理を実行する基幹系システム、情報系システムが該当する。これらの一例としては、たとえば販売管理システム、購買管理システム、財務管理システム、人事管理システム、給与管理システム、生産管理システム、グループウェアシステム、ドキュメント管理システム、ワークフローシステム、スケジューラーシステムなどが該当するが、これらに限定されるものではない。
【0027】
また可搬型通信端末2は、携帯電話(スマートフォンを含む)、PHS、タブレット型コンピュータなど、小型のディスプレイ(表示装置23)を備えた端末であって、インターネットやLAN、イントラネットなどのネットワークを介して、所定のアプリケーションシステム3(業務システムなど)から、可搬型通信端末2の表示装置23において、画面で表示させるデータを取得する。なお、この際に、表示装置23で表示する画面を構成する各部品のデータを、画面のサイズに応じて複数取得すると良い。
【0028】
可搬型通信端末2は、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置20と、情報を記憶する半導体メモリなどの記憶装置21と、ディスプレイなどの表示装置23と、操作ボタンやタッチパネルなどの入力装置22と、演算装置20の処理結果や記憶装置21に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置24とを有している。可搬型通信端末2で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置20に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置21に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置21から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置20における処理に用いる。
【0029】
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【0030】
表示プログラム1は、可搬型通信端末2を、画面監視部10とサイズ取得部11と再配置判定部12と再配置処理部13と表示処理部14として機能させる。
【0031】
画面監視部10は、可搬型通信端末2の表示装置23において表示されている画面のサイズが変更されたかを監視する。たとえばユーザが可搬型通信端末2を縦から横向きに所持する方向を変えると、それに伴い、表示装置23において表示されている画面のサイズも縦から横向きに変更されるので、それを監視する。また、ユーザが可搬型通信端末2を横から縦向きに所持する方向を変えると、それに伴い、表示装置23において表示されている画面のサイズも横から縦向きに変更されるので、それを監視する。また、画面監視部10は、可搬型通信端末2の表示装置23の縦方向、横方向などを監視していても良い。この場合、たとえば加速度センサーなどでその方向を監視することが出来る。
【0032】
サイズ取得部11は、画面監視部10において表示装置23で表示されている画面のサイズが変更されたことを判定すると、変更後の表示装置または画面のサイズを取得する。なお変更後の表示装置または画面のサイズとしては、あらかじめ定められたサイズ(表示装置23の表示可能領域の縦、横のサイズ、画面の縦、横のサイズ)を取得すれば良い。なお、サイズ取得部11は、上記の場合に判定するほか、上記の判定の前、たとえば表示プログラム1を起動した段階などで表示装置23の縦、横のサイズを取得することで、サイズを判定しても良い。この場合には、起動した段階で取得した表示装置23の縦、横のサイズを記憶装置21に記憶させておき、後述する再配置判定部12、再配置処理部13などの際に、そのサイズを記憶装置21から抽出することで、利用できる。これは、可搬型通信端末2ではその表示装置23の全面にわたって画面を表示することから、表示装置23の縦、横のサイズと、画面のサイズとを同値とすることが出来るためである。また、上記の判定の前と、判定後の2回、それぞれ画面のサイズを取得しても良い。このように、任意のタイミングで任意の回数、実行することが可能である。
【0033】
再配置判定部12は、表示装置23で表示している画面の部品の中で再配置の対象となる部品があるかを判定する。すなわち、表示装置23で表示する画面は、複数の部品から構成されている。従って、表示している画面を構成する部品のサイズと、サイズ取得部11が取得したサイズとが合致しているかを判定する。なお、本明細書において「合致」とは、表示している画面を構成する部品のサイズと、サイズ取得部11が取得したサイズとが、あらかじめ定められた条件を充足しているかを意味する。従って、表示している画面を構成する部品のサイズと、サイズ取得部11が取得したサイズとが一致していなくても、所定の条件、例えばその差がXピクセルの範囲内、X%の範囲内、Xピクセルより大きく、Yピクセル以下、といった条件を充足していれば、合致と判定する。
【0034】
再配置処理部13は、表示装置23で表示している画面を構成する部品に、再配置の対象となる部品があることを再配置判定部12が判定した場合、当該部品を、サイズ取得部11が取得したサイズに対応する部品に変更して、当該画面を生成する。
【0035】
表示処理部14は、画面を表示装置23で表示させる。
【0036】
画面データ記憶部211は、表示装置23で表示する画面を構成する各部品のデータを記憶する。好ましくは、各部品は、画面のサイズに対応した複数のパターンのデータを記憶している。なお、画面における部品とは、画面デザインの設計者によって意味的なまとまりを持つ一つの単位として構成されたものであって、たとえば当該部品の名称、入力部分、表示部分などのモジュールから構成されている。これら部品は、画面デザインの設計段階であらかじめ一単位として構成されているから、一つのまとまった単位として画面内において表示される。
【実施例1】
【0037】
次に本発明の表示プログラム1の処理の一例を、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、以下の説明では、アプリケーションシステム3として業務システムの場合を説明するが、それ以外のアプリケーションシステム3を用いることも出来る。
【0038】
まず、ユーザは可搬型通信端末2の入力装置22で所定の操作を行うことにより、可搬型通信端末2からネットワークを介して、可搬型通信端末2の表示装置23で表示させるデータの取得要求を業務システムに送る。この取得要求を受け付けた業務システムは、取得要求に対応するデータを生成し、ネットワークを介して可搬型通信端末2に送る。なお、業務システムは、データの取得要求を可搬型通信端末2から受け付けなくても、たとえば所定の日時が到来したなどをトリガーとして、可搬型通信端末2にデータを送るようにすることも出来る。
【0039】
以上のようにして業務システムから送られた、可搬型通信端末2の表示装置23で表示させるデータを可搬型通信端末2は取得し、それを画面データ記憶部211に記憶させる。この際に取得するデータとして、画面を構成する各部品について、画面サイズ毎の複数のパターンのデータを取得することが良い。
【0040】
可搬型通信端末2の表示処理部14は、画面データ記憶部211に記憶したデータに基づいて画面を生成し、表示装置23で表示させる。
【0041】
具体的には、サイズ取得部11は、その時点における可搬型通信端末2の向きに応じた表示装置23の表示可能領域、または画面の縦および/または横のサイズを取得する。そして表示装置23で表示させる画面を構成する部品のうち、上記で取得した縦および/または横のサイズの条件に合致する部品を選択し、画面を構成する部品として決定する。
【0042】
たとえば図3に示すような得意先別売上実績表を、可搬型通信端末2の表示装置23で表示させる場合を説明する。
【0043】
この場合、この画面は、部品「集計期間の範囲」、「得意先コードの範囲」、「得意先コード」から構成されている。図3の部品「集計期間の範囲」は、その部品を示す名称「集計期間の範囲」と期間の入力モジュールとから構成されている。また、図3の部品「得意先コードの範囲」は、その部品を示す名称「得意先コードの範囲」とチェックボックスのモジュールとから構成されている。さらに部品「得意先コード」は、その部品を示す名称「得意先コード」とコードの入力モジュールとから構成されている。
【0044】
そしてこの部品は、それぞれ複数の画面サイズに対応するものが画面データ記憶部211にあらかじめ記憶されている。たとえば図4に示すように、部品「集計期間の範囲」は、横のサイズに応じて3パターンが用意されている。図4(a)は横のサイズが300ピクセル以下の場合に用いる部品、図4(b)は横のサイズが301ピクセルから400ピクセル以下の場合に用いる部品、図4(c)は横のサイズが500ピクセル以上の場合に用いる部品である。なお、あらかじめ画面データ記憶部211に記憶するほか、後述するS140の処理の際に、アプリケーションシステム3(業務システム)に問い合わせ、取得しても良い。
【0045】
このように、画面を構成する各部品について、画面の縦および/または横のサイズに応じて複数のパターンが画面データ記憶部211に記憶されているので、サイズ取得部11で取得した表示装置23または画面のサイズに応じて、条件に合致するサイズの部品を抽出し、表示処理部14は表示を行う。たとえばサイズ取得部11で取得した表示装置23または画面のサイズが、縦900ピクセル、横290ピクセルであった場合、画面を構成する部品である「集計期間の範囲」からは、図4(a)の部品が表示される部品として選択される。
【0046】
この処理を、表示装置23で表示させる画面を構成する各部品について実行する。つまり、画面を構成する部品毎に一つずつのデータを選択し、それらを組み合わせることで画面を生成し、表示装置23で表示させる。このようにして生成された画面を表示処理部14は、表示装置23で表示させる。業務システムから送られたデータに基づいて生成した画面を、可搬型通信端末2の表示装置23で表示した状態の一例を、図5に模式的に示す。
【0047】
画面監視部10は、表示処理部14が可搬型通信端末2の表示装置23で表示した画面について、表示装置23の表示可能領域または画面のサイズが変更されたかを監視している(S100)。そして、可搬型通信端末2の所持の向きが変更(縦から横、横から縦に変更)されたことにより、表示装置23または画面のサイズが変更された場合には、画面監視部10はそれを検出し(S110)、その検出によって、サイズ取得部11が、変更後の表示装置23の表示可能領域または画面のサイズを取得する(S120)。なお、上述のように、サイズ取得部11による変更後のサイズの取得は、このタイミングのほか、S110よりも前のタイミングで行われても良いし、複数回、行われても良い。
【0048】
たとえば上述の例では、図5の状態における画面のサイズは縦900ピクセル、横290ピクセルであったが、ユーザが当該可搬型通信端末2を所持する向きを縦から横に変更した場合、可搬型通信端末2の向きが変わるため、それに伴い、可搬型通信端末2の表示装置23の表示可能領域のサイズが変更される。たとえば、縦290ピクセル、横900ピクセルに変更される。そのため、画面監視部10は、画面のサイズが変更されたことを検出するので、サイズ取得部11が、変更後の画面のサイズ、縦290ピクセル、横900ピクセルを取得する。
【0049】
なお、サイズ取得部11は、表示装置23または画面のサイズを都度、可搬型通信端末2の表示装置23などから取得するのではなく、既に取得している表示装置23または画面のサイズの縦と横のサイズを互いに入れ替えることで、変更後の画面の縦と横のサイズとしても良い。
【0050】
また再配置判定部12は、画面監視部10においてサイズが変更されたことを検出すると、当該可搬型通信端末2の表示装置23で表示している画面を構成する各部品について、変更後のサイズの条件に合致しているかを判定し、再配置処理が必要かを判定する(S130)。そして、変更後のサイズの条件に合致していない部品については、条件に合致する部品に変更し、再配置処理を実行する(S140)。そして再配置処理後の画面を、表示処理部14は可搬型通信端末2の表示装置23で表示する(S150)。
【0051】
すなわち上記例では、変更後の画面のサイズが縦290ピクセル、横900ピクセルに変更になったことから、当該画面を構成する部品「集計期間の範囲」、「得意先コードの範囲」、「得意先コード」について、変更後のサイズの条件に合致するかを、再配置判定部12は判定する。そうすると、部品「集計期間の範囲」は、変更前は横のサイズが300ピクセル以下であることを条件としていることから、変更後のサイズの条件とは合致しない(変更後のサイズは上記のように横900ピクセル)。そのため、再配置処理部13は、変更後の画面のサイズの条件に合致する部品に変更し、再配置処理を行う。つまり、再配置処理部13は、部品「集計期間の範囲」の図4(c)のデータを画面データ記憶部211から抽出して、図4(a)のデータから、抽出した図4(c)のデータに変更する。そして、変更後の部品を含む画面を表示処理部14は、可搬型通信端末2の表示処理部14で表示する。変更後の部品で再配置処理をした画面を、可搬型通信端末2の表示装置23で表示した状態の一例を、図6に模式的に示す。
【0052】
このような処理を実行することで、ユーザは自らが所望した向きで可搬型通信端末2を所持し、かつそれに対応した画面が表示されるので、視認性を維持することが出来る。
【実施例2】
【0053】
上述の別の実施態様としては、可搬型通信端末2の場合、その表示装置23の全面にわたって画面を表示させることが一般的である。そのため、可搬型通信端末2の機種が特定出来れば、その表示装置23のサイズ(縦、横のサイズ)が特定出来る。
【0054】
そこで、本実施態様では、サイズ取得部11の代わりに、機種特定部15を備えても良い。この場合の可搬型通信端末2の表示プログラム1の各機能を含む、全体のシステム構成の一例を図10に模式的に示す。
【0055】
機種特定部15は、任意のタイミングで可搬型通信端末2の機種を特定する。すなわち、可搬型通信端末2は、その記憶装置21に当該可搬型通信端末2の機種情報を記憶している。そのため、機種特定部15は、任意のタイミング、たとえば本発明の表示プログラム1が起動したタイミング、画面監視部10において可搬型通信端末2の表示装置23において表示されている画面のサイズが変更されたことを判定したタイミングなどで、記憶装置21から可搬型通信端末2の機種情報を抽出し、当該可搬型通信端末2の機種を特定する。なお、機種特定部15は任意のタイミングで任意の回数、処理が行われても良い。
【0056】
また機種特定部15は、機種を特定することで、表示装置23のサイズ(縦、横のサイズ)を特定する。これは記憶装置21に、機種と表示装置23のサイズの対応テーブル(あらかじめ表示プログラム1のインストール時に併せて記憶しておく)を記憶していても良いし、あるいは所定のサーバに機種情報を送り、当該機種に対応する表示装置23の情報を取得しても良い。
【0057】
そして機種特定部15で取得した表示装置23の縦、横のサイズと、表示している画面を構成する部品のサイズの条件が合致しているかを、再配置判定部12で判定を行う。以降は、実施例1と同様の処理で実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の可搬型通信端末2の表示プログラム1を用いることで、可搬型通信端末2で表示される画面の向きに応じて、ユーザは可搬型通信端末2を所持する向きを強制されることがなくなり、ユーザの負担の軽減になる。また、いずれの向きで所持したとしても、その向きに適した画面が表示されるため、いずれの方向で所持したとしても画面の視認性を維持することが出来る。
【符号の説明】
【0059】
1:可搬型通信端末の表示プログラム
2:可搬型通信端末
3:アプリケーションシステム
10:画面監視部
11:サイズ取得部
12:再配置判定部
13:再配置処理部
14:表示処理部
20:演算装置
21:記憶装置
22:入力装置
23:表示装置
24:通信装置
211:画面データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型通信端末を、
前記可搬型通信端末の表示装置において表示している画面または該表示装置の変化を監視する画面監視部、
前記画面監視部において変化を検出後、前記表示装置で表示している画面を構成する部品に、再配置の対象となる部品があるかを判定する再配置判定部、
前記再配置判定部において再配置の対象となる部品があることを判定すると、該対象となった部品のデータを、該対象となった部品について、変化後の画面のサイズに対応するほかのデータに変更して前記画面を生成する再配置処理部、
前記再配置処理部において生成した前記画面を、前記表示装置で表示する表示処理部、
として機能させることを特徴とする可搬型通信端末の表示プログラム。
【請求項2】
前記画面監視部は、
前記可搬型通信端末の表示装置において表示している前記画面の縦および/または横のサイズ、または該表示装置の向きに変化があったかを監視する、
ことを特徴とする請求項1に記載の可搬型通信端末の表示プログラム。
【請求項3】
前記可搬型通信端末の表示プログラムは、前記可搬型通信端末を、さらに、
前記画面監視部において変化を検出後、前記変化後の表示装置の表示可能領域の縦および/または横のサイズを取得するサイズ取得部、として機能させ、
前記再配置判定部は、
前記画面監視部において変化を検出後、前記表示装置で表示している画面を構成する部品のデータの縦および/横のサイズと、前記サイズ取得部で取得した表示可能領域の縦および/または横のサイズとを比較し、条件に合致しているかを判定することで、再配置の対象となる部品があるかを判定する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可搬型通信端末の表示プログラム。
【請求項4】
前記再配置処理部は、
前記再配置判定部において再配置の対象となる部品があることを判定すると、該対象となった部品のデータを、前記サイズ取得部で取得した表示可能領域の縦および/または横のサイズの条件に合致している、該部品のほかのデータに変更することで、前記画面を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の可搬型通信端末の表示プログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の可搬型通信端末の表示プログラムを備える、
ことを特徴とする可搬型通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−90041(P2013−90041A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226834(P2011−226834)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【特許番号】特許第4960529号(P4960529)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(596166623)株式会社OSK (25)
【Fターム(参考)】