説明

可搬式柱上機器

【課題】1つの電柱への装柱作業を容易にした複数からなる可搬式柱上機器を提供することにある。
【解決手段】1つの電柱2に複数からなる可搬式柱上機器1,5をそれぞれ取り付ける。可搬式柱上機器1に、バンド3,4を用いて電柱2の周囲を締め付けて装柱されるようにバンド挿通孔11a1,11a2(11b1,11b2)が形成された装柱金具11a,11bを取り付ける。可搬式柱上機器5に、バンド3に吊り下げられた状態で装柱されるように取付金具51を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数からなり、1つの電柱にそれぞれ取り付けられる可搬式柱上機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電線を懸架する電柱には区分開閉器がその上部に装注されると共に、この区分開閉器を開閉制御する開閉器子局が区分開閉器より下側に装柱されている。また、配電線で発生した地絡故障点が取付位置を基準として電源側か負荷側かの方向表示をして地絡故障点の検出を行う地絡検出表示装置が開閉器子局を装柱している電柱に新たに装注されることがある。または、これらの開閉器子局及び地絡検出表示装置が同じ電柱に新規に装柱されることがある。ここで、このような開閉器子局及び地絡検出表示装置を可搬式柱上機器という。
【0003】
可搬式柱上機器を電柱に装注させる場合、電柱を締め付けるように構成されたバンドを用いてそれぞれ取り付けられている。このようにバンドを用いて可搬式柱上機器を電柱に取り付けることは、例えば、特許文献1に示されている。
【0004】
可搬式柱上機器を長期に安定して取り付けるために、2つのバンドが用いられている。この場合、2つのバンドは電柱の長手方向に対して上下に離隔させている。
【0005】
図2(A)は従来の2つの可搬式柱上機器が装注されている状態を示す正面図、(B)はその上面図である。図示するように、例えば2つの可搬式柱上機器の一方の開閉器子局1には、先端側に延伸した面が電柱2の曲面と当接されるように板材を「く」の字状に形成した一対の装柱金具11a,11bがそのケース側面にそれぞれ起立された状態で溶接により取り付けられている。装柱金具11a,11bの起立側の平坦面には、上下に離隔してバンド挿通孔11a1,11a2(11b1,11b2)が形成されており、例えば金属製のバンド3,4をそれぞれ通して電柱2の周囲を締め付けるようにして開閉器子局1が取付けられている。また、他方の地絡検出表示装置5には、上記と同様に形成された一対の装柱金具51a,51bがそのケース側面にそれぞれ起立された状態で溶接により取り付けられている。装柱金具51a,51bの起立側の平坦面には、上下に離隔してバンド挿通孔51a1,51b1が形成されており、例えば金属製のバンド6.7を通して電柱2の周囲を締め付けるようにして地絡検出表示装置5が取り付けられている。
【0006】
バンド3,4,6,7は共に同じものであり、例えば、バンド3は長手方向に数多くの係止孔3a1,…が形成されたバンド本体3aと、係止孔3a1と係止させる係止部3b1が形成されたボルト3bと、バンド本体3aの一端に形成されてボルト3bを貫通させて支持させる支持部3cと、係止部3b1を1つの係止孔3a1に係止させた状態で締め付け状態を調整させるナット3dとから構成されている。
【特許文献1】実開平7−27243号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来では、2つの可搬式柱上機器のうちの新設分に対し、既設分と同じ構成にしているために、また、2つの可搬式柱上機器の新設分に対し、共に同じ構成にしているために、装柱作業が煩雑になるという問題が生じる。
【0008】
本発明の目的は、1つの電柱への装柱作業を容易にした複数からなる可搬式柱上機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、複数からなり、1つの電柱にそれぞれ取り付けられる可搬式柱上機器を対象とする。複数のうちの1つには、2つのバンドを用いて電柱の周囲を締め付けて装柱されるように2つのバンドをそれぞれ通すバンド挿通孔を形成した装柱金具が取り付けられ、複数のうちの残りには、2つのバンドの1つに吊り下げられた状態で装柱されるように取付金具が設けられるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、第1の発明によれば、2つの可搬式柱上機器のうちの一方に用いたバンドを共用するようにしたので、2つの可搬式柱上機器のうちの他方を容易に装柱させることができると共に、装柱コストを低減させることができ、また、他方のバンドが不要になるので、廉価に製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1(A)は本発明に係る2つの可搬式柱上機器が装注されている状態を示す正面図、(B)はその上面図である。図示するように、開閉器子局1には、先端側に延伸した面が電柱2の曲面と当接されるように板材を「く」の字状に形成した一対の装柱金具1a,1bがそのケース側面にそれぞれ起立された状態で溶接により取り付けられている。装柱金具11a,11bの起立側の平坦面には、上下に離隔してバンド挿通孔11a1,11a2(11b1,11b2)が形成されており、例えば金属製のバンド3,4をそれぞれ通して電柱2の周囲を締め付けるようにして開閉器子局1が取り付けられている。地絡検出表示装置5には、L字状に形成された板状の取付金具51がそのケース側面に基部511を起立させた状態で溶接により取り付けられており、取付金具51の折曲延伸部512が電柱2とバンド3との間に挟まれて締め付けられるようにして地絡検出表示装置5が取り付けられている。
【0012】
地絡検出表示装置5を新たに装柱させる場合には、開閉器子局1を取り付けているバンド3を緩め、緩めたことにより形成されるバンド3と電柱2との空間に取付金具51の折曲延伸部512を差し込み、バンド3を再度締め直すようにする。
【0013】
また、開閉器子局及び地絡検出表示装置が同じ電柱に新規に装柱させる場合には、開閉器子局1を取り付けるバンド4を先に締め付けて開閉器子局1を取り付けておき、バンド3と電柱2との間に適宜に形成させた空間に取付金具51の延伸折曲部512を差し込み、バンド3を締め付けるようにして地絡検出表示装置を取り付ける。
【0014】
上記の実施形態においては、装柱金具11a,11bを一対で形成したが、一体化してもよい。また、装柱金具11a,11bを上下方向に分離して形成し、バンド挿通孔11a1,11a2(11b1,11b2)をそれぞれ形成するようにしてもよい。さらに、可搬式柱上機器を2つとしたが、3つ以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は本発明に係る2つの可搬式柱上機器が装注されている状態を示す正面図、(B)はその上面図である。
【図2】(A)は従来の2つの可搬式柱上機器が装注されている状態を示す正面図、(B)はその上面図である。
【符号の説明】
【0016】
1,5 可搬式柱上機器
2 電柱
3,4 バンド
11a,11b 装柱金具
11a1,11a2,11b1,11b2 バンド挿通孔
51 取付金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数からなり、1つの電柱にそれぞれ取り付けられる可搬式柱上機器であって、
前記複数のうちの1つには、2つのバンドを用いて前記電柱の周囲を締め付けて装柱されるように前記2つのバンドをそれぞれ通すバンド挿通孔を形成した装柱金具が取り付けられ、
前記複数のうちの残りには、前記2つのバンドの1つに吊り下げられた状態で装柱されるように取付金具が設けられた可搬式柱上機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−113478(P2008−113478A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293612(P2006−293612)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】