説明

可搬式火花養生装置

【課題】取扱いが容易で自立安定性に優れ、さらにコンパクトに収納可能な可搬式火花養生装置を提供する。
【解決手段】中央に位置する中央枠体12と中央枠体12の両側に位置する左右一対の側部枠体14a、14bとをヒンジ21a、21b、22a、22bで回動自在に連結した枠体16、中央枠体12と各側部枠体14a、14bとを各々所定の角度で回動不能に固定可能な固定手段18a、18b、枠体16の前面に防火シートを着脱可能に掛止する枠体16に設けられたフック20(20a〜20l)を備える自立可能な防火シート支持架台10と、防火シートとを含み、防火シート支持架台10は、中央枠体12と側部枠体14a、14bとを重ね合わせるように折り畳むこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接時に発生する火花、ガス切断作業時に発生する火花が周囲に飛散することを防止する火花養生装置に関し、特に可搬式の火花養生装置に関する。本発明において、特に断りがない限り火花には火玉も含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
工場内で行われる工作作業又は屋外で行われる建築工事等において、多くの溶接作業が
行われるが、溶接時には火花が発生するため安全上これらの養生対策が必要となる。溶接作業が決められた場所で行われる場合には、発生する火花が周囲に飛散しないように防火材で囲むなどにより比較的簡単に火花の養生対策を施すことができるが、溶接作業が決められた場所で行われることなく、場所を移動しながら溶接する必要がある場合には、火花の養生対策が問題となる。一箇所での溶接作業が短時間の場合には、監視員又は作業補助者などが防火シートを持ち、発生する火花が周囲に飛散することを防止することができる。しかしながら監視員又は作業補助者などが防火シートを持ち、溶接場所の周囲を囲む方法は、溶接作業者とは別に火花を監視するための人が必要となり効率的な火花の養生方法とは言えない。これら火花の養生に関しては、ガス切断作業時に発生する火花についても同様である。
【0003】
上記問題を解決するために、自立式、可搬式の溶接火花養生装置が多く考案されている。例えば、建築、土木工事等における溶接火花の飛散を防止する溶接火花養生装置として、分解して持ち運び可能な組み立て式の溶接火花養生架台が提案されている。この溶接火花養生架台はロープに吊り下げて使用するタイプのものであり、下方に取り付けられた耐熱シートで溶接火花を受け止め、溶接火花が下方に落下することを防ぐ(例えば特許文献1参照)。また金網に防炎シートを取り付け、折り曲げ自在で形状保持可能な火花受けシートも提案されている(例えば特許文献2、特許文献3参照)。さらに溶接、溶断時に発生する火玉が床面から外に飛び出さないようにするため、衝立の下辺に可撓性を有する防火シートを取り付けた防火用衝立も考案されている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−33984号公報
【特許文献2】特開2001−239369号公報
【特許文献3】特開平9−10946号公報
【特許文献4】実開昭62−189884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
場所を移動しながら溶接又はガス切断等を行う作業に使用する火花養生装置としては、可搬式で安定して自立可能であり、火花の飛散を確実に防止できることが要求される。さらに可能な限り火花発生源に近い場所で使用できること、取扱い、移動が簡便で任意の場所に設置できる装置であることが好ましい。また、傷みやすい防火材の取替えが容易であることも重要である。これらの観点から上記特許文献1から4に記載の火花養生装置等を見てみると、必ずしも十分とは言えない。特許文献1に記載の溶接火花養生架台は、吊り下げ方式の溶接火花養生架台であり、自立式の火花養生装置ではない。特許文献2、特許文献3に記載の火花受けシートは、折り曲げ自在で形状保持も可能な火花受けシートであるが、構造上耐久性、自立安定性が十分に高いとは言い難い。特許文献4に記載の防火用衝立は、基台の形状が直線状であり、防火用衝立に衝突した火花が左右に飛散する恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、取扱いが容易で自立安定性に優れ、さらにコンパクトに収納可能な可搬式火花養生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、中央に位置する中央枠体及び前記中央枠体の両側に位置し前記中央枠体とヒンジを介して回動可能に連結する左右一対の側部枠体を有する枠体、前記中央枠体と前記各側部枠体とを各々所定の角度で回動不能に固定可能な固定手段、前記枠体の前面に防火シートを着脱可能に掛止する前記枠体に設けられた掛止具を備える自立可能な防火シート支持架台と、防火シートと、を含み、前記防火シート支持架台は、前記中央枠体と側部枠体とを重ね合わせるように折り畳み可能なことを特徴とする可搬式火花養生装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の可搬式火花養生装置において、前記左右一対の側部枠体は、同一の形状及び同一大きさであり、各側部枠体の長さは前記中央枠体の長さの半分であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の可搬式火花養生装置において、前記掛止具は、L字型の複数個のフックであり、前記防火シートの周縁部にはとめを設け、該はとめを前記フックに引っ掛け、防火シートを前記防火シート支持架台に掛止することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の可搬式火花養生装置において、前記固定手段は、先端部が折り曲げられたL字型の棒状体及び前記棒状体の他端部に取り付けられた支持ピンを有するストッパと、前記棒状体の先端部が入り込む前記中央枠体の上部又は側部枠体の上部に穿設された複数個の貫通孔とを含み、前記ストッパの支持ピンは、前記貫通孔が側部枠体の上部に穿設されているときは前記中央枠体の上部に回動自在かつ上下動自在に、前記貫通孔が中央枠体の上部に穿設されているときは前記側部枠体の上部に回動自在かつ上下動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明によれば、本発明に係る可搬式火花養生装置は、防火シート支持架台の骨格部材である枠体が中央枠体及び側部枠体を含み構成され、それらがヒンジを介して回動可能に連結されているので、枠体を自立可能な角度にすることが可能であり、これにより防火シート支持架台を安定して自立させることができる。また、防火シート支持架台は、折り畳むことも可能であり、収納、運搬、取扱いが容易である。さらに枠体を構成する中央枠体と各側部枠体とを所定の角度で回動不能に固定する固定手段を有するので、枠体を一定の角度に保持可能であり、可搬式火花養生装置を安定的に自立させることができる。また、中央枠体と側部枠体との角度を、火花発生源を取り囲むような角度とすることも可能であり、火花が周囲に飛散することを確実に防止できる。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、左右一対の側部枠体は、同一の形状及び同一大きさであり、一の側部枠体の長さは中央枠体の長さの半分であるので、防火シート支持架台を折り畳んだとき、側部枠体同士がぶつからず非常にコンパクトに折り畳むことができる。さらに、各側部枠体の長さが、中央枠体の長さの半分であるので側部枠体の長さが比較的長く、防火シート支持架台の自立安定性に優れる。
【0013】
請求項3に記載の本発明によれば、掛止具は、L字型の複数個のフックであり、防火シートの周縁部にはとめを設け、このはとめをフックに引っ掛け防火シートを防火シート支持架台に掛止するので、防火シート支持架台への防火シートの取り付け、取り外しを簡単に行うことができる。また防火シートを防火シート支持架台に確実に取り付けることができる。
【0014】
請求項4に記載の本発明によれば、固定手段は、先端部が折り曲げられたL字型の棒状体が支持ピンを介して中央枠体の上部又は側部枠体の上部に回動自在かつ上下動自在に取り付けられ、棒状体の先端部を中央枠体の上部又は側部枠体の上部に穿設された貫通孔に嵌め入れる方式であるので、構造が簡単でかつ確実に中央枠体と側部枠体とを所定の角度で回動不能に固定することができる。貫通孔が複数個設けられているので、中央枠体と側部枠体との固定開度を可変させることが可能である。また左右の側部枠体を異なる角度で固定させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の一形態としての防火シート支持架台10に防火シート2を取り付けた自立状態の可搬式火花養生装置1の斜視図である。
【図2】図1の可搬式火花養生装置1の防火シート支持架台10の自立状態の斜視図である。
【図3】図1の可搬式火花養生装置1の防火シート支持架台10を折り畳んだ状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の一形態としての防火シート支持架台10に防火シート2を取り付けた自立状態の可搬式火花養生装置1の斜視図である。また図2は、可搬式火花養生装置1の防火シート支持架台10の自立状態の斜視図、図3は可搬式火花養生装置1の防火シート支持架台10を折り畳んだ状態の平面図である。
【0017】
可搬式火花養生装置1は、溶接時などに発生する火花が周囲に飛散することを防止するための火花養生装置であって、自立可能な可搬式火花養生装置である。可搬式火花養生装置1は、防火シート2と、防火シート2を掛止、支持し、防火シート2を支持した状態で自立可能な防火シート支持架台10とを含み構成される。
【0018】
防火シート支持架台10は、中央枠体12及び中央枠体12の両側に位置し中央枠体12とヒンジ21(21a、21b)、22(22a、22b)を介して回動可能に連結する左右一対の側部枠体14(14a、14b)からなる枠体16、中央枠体12と各側部枠体14a、14bとをそれぞれ所定の角度で回動不能に固定する固定手段18(18a、18b)、枠体16の前面に防火シート2を着脱可能に掛止する掛止具とを含む。防火シート支持架台10の大きさは、特定の大きさに限定されないことは言うまでもないが、大きさの一例を示せば、防火シート支持架台10を広げた状態である図2において、幅が1m程度である。
【0019】
中央枠体12は、中央、両側端部に位置し縦方向に配設された同じ長さの3本の縦桟23、24、25と、この3本の縦桟23、24、25の上端に3本の縦桟23、24、25と直交するように接合された上横桟26と、3本の縦桟23、24、25の下方に位置し、3本の縦桟23、24、25と直行するように接合された下横桟28(28a、28b)とを有する。中央枠体12の上部には、防火シート支持架台10を持ち上げるための取っ手30が取り付けられている。縦桟23、24、25、上横桟26、下横桟28は、耐熱性を有し、容易に変形することなく防火シート2を支持可能な強度を有すればよく、特定の材料に限定されない。例えば鉄製、ステンレス製、アルミニウム製のパイプを使用することができる。パイプではなく、中実材である棒を使用することもできるが、運搬を考えれば中空材であるパイプが好ましい。また縦桟23、24、25、上横桟26、下横桟28にパイプを使用する場合、両側の縦桟24、25にヒンジ21、22を取り付けることを考えれば、本実施形態で示すような角パイプが好ましい。中央枠体12を構成する縦桟23、24、25及び横桟26、28の本数は、変形することなく防火シート2を確実に支持できれば特定の本数に限定されない。中央枠体12の幅が広くなれば必要に応じて縦桟の本数を増加させればよく、中央枠体12の高さが高くなれば必要に応じて横桟の本数を増加させればよい。一方、中央枠体12の幅が狭い場合には、中央の縦桟23をなくし、両側端部に位置する縦桟24、25のみとしてもよい。
【0020】
側部枠体14a、14bは、中央枠体12の左右に各々位置する。各側部枠体14a、14bは、両側端部に位置する縦桟32(32a、32b)、34(34a、34b)と縦桟32、34に直交するように接合された上横桟36(36a、36b)、下横桟38(38a、38b)からなる。2本の縦桟32、34のうち中央枠体12側の縦桟34の長さは、中央枠体12の縦桟23、24、25に比べ短く、上横桟36と下横桟38とを連結できるだけの長さである。一方、外側の縦桟32の長さは、中央の縦桟23、24、25の長さと同一である。側部枠体14a、14bの長さとなる上横桟36a、36bの長さは、中央枠体12の長さとなる上横桟26の長さの半分である。側部枠体14a、14bに使用可能な材料は中央枠体12と同じように考えることができる。
【0021】
中央枠体12と側部枠体14a、14bとは、上下2箇所に設けられたヒンジ21(21a、21b)、22(22a、22b)を介して、中央枠体12と側部枠体14a、14bとの上端が同じ高さなるように回動可能に連結されている。ここで使用されるヒンジ21、22は、一般的に使用されるヒンジを使用可能である。これにより側部枠体14a、14bは、ヒンジ21、22を中心に回動可能となり、中央枠体12と側部枠体14a、14bとの開閉角度θを0〜180°とすることができる。防火シート支持架台10を自立させるときは、中央枠体12と側部枠体14a及び/又は中央枠体12と側部枠体14bの開閉角度θを自立可能な角度とすればよい。防火シート支持架台10を自立させるときの角度は、任意に選択できることは言うまでもないが、一例を示せば開閉角度θを90〜150°とすることができる。また、側部枠体14a、14bを中央枠体12と重なるように折り畳むことができる。このとき、側部枠体14a、14bの長さが中央枠体12の長さの半分であるので、両側の側部枠体14a、14bを同時に中央枠体12側に折り畳んでも2つの側部枠体14a、14bが重なることはない。このためコンパクトに折り畳み可能となる。
【0022】
固定手段18(18a、18b)は、枠体16を構成する中央枠体12と左右一対の側部枠体14a、14bとをそれぞれ所定の角度で回動不能に固定するため左右にそれぞれ設けられている。固定手段18a、18bは、ストッパ42(42a、42b)とストッパ42の先端部41(41a、41b)を嵌め入れるための孔44(44a、44b)とで構成される。ストッパ42は、先端部41(41a、41b)が折り曲げられたL字型の棒状体43(43a、43b)と、棒状体43の他端部に設けられた支持ピン46(46a、46b)とを備える。支持ピン46は、支持ピン46自身が抜け落ちることを防ぐためピンの上下にピンの直径よりも径の大きい円板が接合されている。このようなストッパ42は、中央枠体12の上横桟26の端部近傍に設けた貫通孔に支持ピン46が回転自在に取付けられる。これよりストッパ42は、支持ピン46を中心に自在に回転することができる。またピンの高さは、上横桟26の厚さと棒状体43の折り曲げられた先端部41の高さとを加算した高さよりも若干高い。このためストッパ42は、支持ピン46を中心の回転自在であると共に、支持ピン46を中心に上下方向に移動させることができる。
【0023】
孔44は、中央枠体12と各々側部枠体14a、14bとを所定の角度θで固定可能なように各々の側部枠体14a、14bの上横桟36a、36bの中央枠体12側に複数個穿設されている。孔44は、側部枠体14a、14bを開いたときのみならず、側部枠体14a、14bを中央枠体12側に折り畳むように閉じたときも、側部枠体14a、14bが開かないように固定するための孔が設けられている。
【0024】
固定手段18は、上記の通り先端部が折り曲げられたストッパ42と、ストッパ42の先端部41を嵌め入れるための孔44とを備えるので、側部枠体14a、14bを閉じた状態又は開いた状態で簡単に固定することができる。このとき、ストッパ42の回転中心位置と側部枠体14a、14bの回動中心位置が異なるので、ストッパ42を孔44に嵌め入れると側部枠体14a、14bは回動不能となる。固定手段18(18a、18b)は、左右それぞれの側部枠体14a、14bと中央枠体12とを固定することができるように設けられているので、左右の側部枠体14a、14bを異なる角度で固定することもできる。上記実施形態では、ストッパ42の支持ピン46を中央枠体12に取り付ける例を示したが、ストッパ42の支持ピン46を側部枠体14a、14bに取り付け、ストッパ42の先端部41を嵌め入れるための孔44を中央枠体12に設けてもよい。
【0025】
中央枠体12と側部枠体14a、14bとを所定の角度で固定する固定手段は、上記固定手段18に限定されるものではなく、中央枠体12と各側部枠体14a、14bとを回動不能に固定できれば、他の固定手段であってもよい。例えば、中央枠体12の上横桟26の上部端部に、一端に支持ピンを有し該支持ピンを中心に回動自在な板状体を取り付け、さらに側部枠体14a、14bの上横桟36a、36bの上部中央枠体側にネジを設け、前記板状体をネジと側部枠体14a、14bの上横桟36a、36bとで挟みこみ側部枠体14a、14bと中央枠体12とを固定させてもよい。また、前記板状体に孔を設け、この孔にネジを差込み、側部枠体14a、14bと中央枠体12とを固定させてもよい。また他の固定手段として、中央枠体12の上横桟26の上部端部及び側部枠体14a、14bの上横桟36a、36bの上部中央枠体側端部にそれぞれ、一端に支持ピンを有し該支持ピンを中心に回動自在な板状体を取り付け、各々の板状体の他端部に孔を設け、2つの孔を貫通するようにボルトを挿入し、側部枠体14a、14bを開閉させるときは、ボルトを緩めた状態とし、固定する場合は、ボルトを閉め固定する方法がある。
【0026】
掛止具は、防火シート2を枠体16に掛止するための部材であり、L字型のフック20からなる。このフック20(20a〜20l)は、中央枠体12の上部、下部に各々3箇所、各々の側部枠体14a、14bの上部に2箇所、下部に1箇所、合計12個取り付けられている。中央枠体12の上部両側フック20a、20c及び側部枠体の上部フック20g、20h、20j、20kは出来るだけ端部の方が好ましい。これにより防火シート2を枠体16に密接させることができる。フック20は、側部枠体14a、14bを折り畳んだとき、中央枠体12に取り付けたフック20a、20b、20c、20d、20e、20fと側部枠体14a、14bに取り付けたフック20g、20h、20i、20j、20k、20lとがぶつからない位置に設けられている。これにより、側部枠体14a、14bを折り畳むときフック20がじゃまとならない。またフック20は、中央のフック20b、20eを中心に左右対称位置に取り付けられている。このようにフックを中央のフック20b、20eを中心に左右対称位置に取り付けることで、防火シート2の裏表を確認することなく防火シート2を取り付けることができるので便利である。フック20の大きさは、防火シート2をしっかりと保持できる大きさであれば必要以上に大きくする必要はない。フック20の幅をヒンジ21、22の厚さと同一とすれば、側部枠体14a、14bを折り畳んだとき、中央枠体12と側部枠体14a、14bとが平行になるので、収納、保管及び美観の点から好ましい。上記のような掛止具は、防火シートの取り付け、取外しが容易であり、構造も簡単でかつ安価であり好ましい。なお、掛止具は、フックに限定されるものではなく、防火シート2を枠体16に簡単かつ確実に掛止できれば他の掛止具であってもよい。
【0027】
防火シート2は、矩形形状を有し、枠体16の前面と同一の大きさである。ここで同一の大きさとは、完全同一のほか同一とみなせる大きさも含む。防火シート2は、従来から溶接作業等で発生する火花の養生に一般的に使用されている防火シートを使用することができる。防火シートに類似のシートである防炎シート、耐熱シートなど、溶接作業等で発生する火花に接触しても破損しないシートであれば同様に使用することができる。防火シート2の四辺には、枠体16に設けられたフック20に対応する位置にはとめ4(4a〜4l)が取り付けられている。ここで使用するはとめ4は、従来から一般的に使用されているはとめである。本実施形態では、防火シート2の高さを枠体16の高さと同じとしているが、防火シート2の高さを高くし、防火シート2の一部が地面を這うようにしてもよい。
【0028】
以上からなる可搬式火花養生装置1を使用するときは、防火シート支持架台10を所望の角度とし、ストッパ42を用いて側部枠体14a、14bを固定した後、防火シート2をフック20にひっかければよい。収納するときは、フック20から防火シート2を取外し、ストッパ42を解除した後に防火シート支持架台10を折り畳み、折り畳んだ状態で再度ストッパ42を嵌め入れ、側部枠体14a、14bを固定する。もちろん防火シート支持架台10に防火シート2を取り付けたまま折り畳むことも広げることもできる。
【0029】
上記のように可搬式火花養生装置1は、コンパクトに収納可能で取扱い、運搬性に優れる。また防火シート支持架台10は、構造が簡単で耐久性に優れ、防火シート2の着脱が容易なので防火シート2の取替えも簡単に行うことができる。また自立安定性にも優れ、火花発生源を取り囲むように設置することもできるので、確実に火花の養生ができる。また、上記実施形態に示す可搬式火花養生装置1は、左右対称であり美観に優れる。また、上記可搬式火花養生装置1は、縦桟の下端部に横桟がないので、床面に凹凸があっても、安定して自立させることができる。本発明に係る可搬式火花養生装置1は、溶接作業、ガス切断作業以外にも、工作作業等で発生する火花の養生に好適に使用することができる。なお、本発明に係る可搬式火花養生装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、側部枠体14の長さは、必ずしも中央枠体12の長さの半分でなくてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 可搬式火花養生装置
2 防火シート
4 はとめ
10 防火シート支持架台
12 中央枠体
14 側部枠体
16 枠体
18 固定手段
20 フック
21 ヒンジ
22 ヒンジ
30 取っ手
41 先端部
42 ストッパ
44 孔
43 棒状体
46 支持ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に位置する中央枠体及び前記中央枠体の両側に位置し前記中央枠体とヒンジを介して回動可能に連結する左右一対の側部枠体を有する枠体、前記中央枠体と前記各側部枠体とを各々所定の角度で回動不能に固定可能な固定手段、前記枠体の前面に防火シートを着脱可能に掛止する前記枠体に設けられた掛止具を備える自立可能な防火シート支持架台と、
防火シートと、を含み、
前記防火シート支持架台は、前記中央枠体と側部枠体とを重ね合わせるように折り畳み可能なことを特徴とする可搬式火花養生装置。
【請求項2】
前記左右一対の側部枠体は、同一の形状及び同一大きさであり、各側部枠体の長さは前記中央枠体の長さの半分であることを特徴とする請求項1に記載の可搬式火花養生装置。
【請求項3】
前記掛止具は、L字型の複数個のフックであり、
前記防火シートの周縁部にはとめを設け、該はとめを前記フックに引っ掛け、防火シートを前記防火シート支持架台に掛止することを特徴とする請求項1又は2に記載の可搬式火花養生装置。
【請求項4】
前記固定手段は、先端部が折り曲げられたL字型の棒状体及び前記棒状体の他端部に取り付けられた支持ピンを有するストッパと、前記棒状体の先端部が入り込む前記中央枠体の上部又は側部枠体の上部に穿設された複数個の貫通孔とを含み、
前記ストッパの支持ピンは、前記貫通孔が側部枠体の上部に穿設されているときは前記中央枠体の上部に回動自在かつ上下動自在に、前記貫通孔が中央枠体の上部に穿設されているときは前記側部枠体の上部に回動自在かつ上下動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可搬式火花養生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−20136(P2011−20136A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166334(P2009−166334)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(509200495)株式会社メタルワン建材西日本 (1)