可溶性袋体の連続回転成形の改良
可溶性袋体を連続回転熱成形機で形成する。その装置では、ドラム10の表面に複数のキャビティ11を有し、高分子フィルム状のウェブが真空によってキャビティ内に引き込まれて複数のポケットが形成される。これらポケットには1種又はそれ以上の内容物が充填され、高分子フィルムよりなる別のウェブによって閉じられる。複数のヒータ125にてキャビティ11を加熱することでキャビティ内の高分子フィルムの収縮が低減される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又はそれ以上の内容物を収容する可溶性袋体に関し、またそのような複数の袋体を製造する装置及び方法に関する。本発明は特に、高分子基材製の2枚又はそれ以上のウェブによって作られた熱成形パッケージへの適用であるが、それに限定されない。複数のウェブは溶剤内で可溶であるか分散可能であり、水溶性または水に分散する複数のフィルムである。
【背景技術】
【0002】
熱成形パッケージは、単一の区画室を有し、以下の工程によって製造される。
(1)フィルム状の第1ウェブ(ベースウェブ)にポケットを形成する。
(2)ポケットに充填する。
(3)フィルム状の第2ウェブ(トップウェブ又は蓋ウェブ)によってポケットを閉じ、パッケージを形成する。
(4)切断又はパンチングを行い、フィルム状の第1、第2ウェブで組合されたものからパッケージを分離する。
【0003】
複数の熱成形パッケージは水平面で間欠的に配置された複数の装置で製造される。そこでは、ウェブが間欠的に装置を通過し、ウェブが静止している状態で上述した個々の工程が実行される。
【0004】
このような複数の装置では、ベースウェブが成形金型から離間すると、冷却されはじめ、多くの不溶性の高分子基材とは異なり、実質的にポリビニルアルコールを含んだ多くの可溶性ウェブでは、続いて収縮が生じる。即ち、熱成形されたフィルムは自己の熱成形される前の状態に戻ろうとし、そのため熱成形されたポケットの容積を減少させる。ポケットに内容物が充填されたころまでにポケットが収縮すると、問題が顕著となる。収縮の問題を配慮しまた所望の充填物の容積を維持するためには、熱収縮が生じたとしても充填物を収容できるようにするために熱成形ポケットが充填物の容積よりも大きくしなければならない。しかし熱成形型のキャビティを大きく設計すると、引き抜きの深さが大きくなり、そのことによってより厚いウェブを用いなければならなくなる。そのことによってその後の溶解が遅れ、足跡(footprint)として知られる表面積が増加し、装置の配列方向やウェブを横切る方向におけるキャビティの数を減らすこととなり、装置やウェブの効率を低下させる。
【0005】
特許文献1は、熱成形パッケージを製造するための連続回転熱成形装置について記載している。そこでは、ベースウェブは加熱されて塑性状態となり、その後直ちに複数のポケットを取り囲んでいるドラムの表面に加圧される。ドラム表面に対してフィルム状のウェブを加圧するために加熱された金属ローラが用いられる。このローラは、フィルムが連続回転するドラムに加圧されることまでには、フィルムを可塑状態とするのに十分な温度で加熱される。実際の加熱温度は、フィルム、その厚さ、加熱ローラと接触している状態の時間の長さに依存して変化する。加熱ローラによってフィルムは約華氏140度(摂氏60度)程度に加熱され、最低で華氏100度(摂氏37.8度)、最高で華氏300度(摂氏148.9度)に加熱される。キャビティの底部には真空が作用し、キャビティを覆ってキャビティ内に入り込みポケットを規定してその後に封入されるべき内容物を受け入れる加熱されたフィルム状のウェブを引き出すようにしている。キャビティがフィルムで覆われると直ちに真空を適用すべきである。その後の動作では、回転するドラム上に位置してポケット内に内容物が充填されたベースウェブに対してトップウェブが押圧される。押圧は、トップウェブを熱伝導的に加熱する第2の加熱ローラと、スプリングによって行われる。スプリングは、ポケットの回りの表面で両方のウェブが互いに押圧しあい互いに接合するように、内容物が詰められたポケットに対してトップウェブを押圧する。水溶性のパッケージが望まれる場合には、封止ステーションに到着する前に、液体で湿らすことによりトップウェブに接着性が付与される。この場合フィルム状のトップウェブは可溶性であり、加熱と溶剤接合との組合せによって封止プロセスが実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許 第3218776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1による装置では、2箇の加熱ローラのみが熱源である。即ち第1の加熱ローラが熱成形の前にベースウェブを加熱し、第2の加熱ローラが袋体を閉じる前に蓋となるウェブを加熱する。これは多くの欠点を伴う。第一に、ベースウェブは第1の加熱ローラを通過するとすぐに冷却され始まる。そのため、収縮を防止するためには高い真空を適用してベースウェブをキャビティの壁に保持する必要がある。第二に、トップウェブは第2の加熱ローラを通過するとすぐに冷却され始まる。そのためベースウェブとトップウェブとの間で最強の封止力を得ることが困難となる。
【0008】
連続回転運動の熱成形は、間欠運動の水平熱成形に比較して有利であり、特により高い生産性と収縮の低減にとって有利である。連続回転の熱成形によって、より高い生産性が得られ、熱成形と内容物充填との間の時間間隔が短縮でき、熱成形されたウェブが冷却される時間が短くできる。しかし依然として、特許文献1では可溶性ウェブの収縮の問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上述したいくつかの問題点や不利益を克服するか少なくとも軽減することを目的とする。
【0010】
具体的には、本発明は連続運動の回転成形機における可溶性ウェブの収縮の問題に取り組むものである。
【0011】
本発明のより優先的な目的は、熱成形の可溶性パッケージであって一個又はそれ以上の区画室を備えて1種又はそれ以上の内容物を収容するパッケージを製造する改良された連続運動の回転成形機を提供することにある。
【0012】
本明細書において、「溶解性の複数のウェブ」とは高分子基材の複数のウェブであって溶剤中で溶解可能なものである。多くの場合において、かかる要件は水又は水溶液に溶解する袋体に必要であるが、袋体が水以外の溶液に溶解することが要求されている場合にはその他の溶液にも溶解可能であることが望まれる。
【0013】
また本明細書において、「水溶性」とはいかなる温度の水であっても均質に水に溶解する材料であることを意味する。また「水分散性」とは、いかなる温度の水であっても永久的にまたは一時的に懸濁液ができる材料を意味する。便宜状以下の説明及び請求項において「水溶性」の意味は「水分散性」を含むものとする。
【0014】
また本明細書において、「型」とは連続的に回転可能な成形器の構成要素であり、1箇又はそれ以上のキャビティを備える。この構成要素は成形器においてしばしば容易に交換されて、収容容積が異なる袋体とする。また「キャビティ」とは型の一部であり、熱成形の際にキャビティの中にベースウェブが引き込まれる。また「ポケット」とは閉鎖される前の容器のことであり、熱成形によりベースウェブによって形成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の観点によると、我々は、2個又はそれ以上の可溶性の高分子基材を有するウェブからなる可溶性の袋体を製造する連続回転熱成形機であって複数のポケット形成キャビティと複数のキャビティを加熱する手段を備えた成形機を提供している。
【0016】
ここで「連続回転成形機」とは、成形機内の複数のキャビティによって熱成形が実行され、回転が続いている間に可溶性袋体の製造に必要な複数の動作が順次実行されるものをいう。
【0017】
好ましくは、成形機を回転させる手段が設けられ、複数のキャビティは、成形、充填、封止、切断ステーションを通過しながら成形機の回転方向に無端の通路をたどる。回転手段はモータであり、例えば電動モータ、好ましくは可変速電動モータである。
【0018】
成形機は連続的に回転するドラムを有し、ドラムの外周面には複数のキャビティが開口している。これらのキャビティはドラムの幅方向に並んでもよくそして又はドラムの周面に沿って配列される。又は、成形機は連続的に回転する無端ベルトでもよくベルトの外周側に複数のキャビティが開口している。これらのキャビティはベルトの幅方向に並んでもよくそして又はベルトの長さ方向に沿って配列される。
【0019】
無端ベルトを横切るように配列されるか及び又はベルトの走行方向に沿うキャビティの配列は、ドラムにおけるキャビティの配列と同様である。いずれの場合であっても、こらキャビティは加熱されそれぞれのキャビティの底部を通じて真空が作用するのが好ましく、そのことによりひとたび熱成形されると、その後の内容物の充填、封止、切断が各ステーションで行われている間ベースウェブはキャビティの底部に強固に保持され、その後に真空が解除されて内容物が充填され封止された袋体はキャビティから排出される。
【0020】
回転する無端ベルトは、本発明による2枚又はそれ以上ウェブにより形成される可溶性袋体の製造のために必要な一連の動作である熱成形、充填、封止動作においてより広いスペースを提供できる。回転ドラムを用いるよりも無端ベルトを用いる方が、本発明の一連の動作を実行するためには実際上ベルトの水平部分において、より広いスペースが確保できる。水平状に設置される無端ベルトの長さは、一連の動作を実行するのに必要なスペースの増減に応じて決めることができる。可溶性袋体が備える区画室の数が増えれば、一連の動作の数も増える。しかして、3枚以上のウェブを使用して多数の区画室を備えた複数の袋体を製造するためには、回転する無端ベルトを使用することに特に価値がある。そこでは一連のウェブは熱成形され、一連のポケットは充填され封止される。ただし、可溶性袋体において多数の区画室が含まれる場合に、最も上側の熱成形されたウェブに封止されるトップウェブはそれ自体で熱成形されない。
【0021】
この装置は水溶性の複数の袋体を製造するのに特に適している。これら袋体が食べられるか否かが要求されているかによって、水溶性のウェブは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース(CMC)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような変成セルロース、プルラン、ある種のデンプン、デキストリン、グァーガム、ゼラチン、それらの誘導体等によって実質的に構成される。1枚又はそれ以上のウェブがPVOHにより構成される場合には、所定温度におけるそれらの溶解性は、PVOHの等級または結合度と共に特定分子量と特定%鹸化とを選択することによって調整される。例えば、温度が摂氏60度又はそれ以上の水溶性媒体における実質的にPVOHにより構成される水溶性フィルムの可溶化を得るためには、PVOHは十分に鹸化している種類のものであることが好ましく、即ち鹸化程度の範囲は90〜99.5%である。また、温度が摂氏25度又はそれ以下の水溶性媒体における実質的にPVOHにより構成される水溶性フィルムの可溶化を得るためにはPVOHは部分的に鹸化している種類のものであることが好ましく、即ち鹸化程度の範囲は71〜90%である。即ち、鹸化の程度が低くなると、実質的にPVOHで構成された水溶性フィルムが溶解可能な温度も低くなる。
【0022】
加熱手段は成形機の内部又は外部又は内部と外部とに設けられ、複数のキャビティを加熱するのに適切なものであればよい。複数のキャビティの加熱は熱風のような対流によるか、赤外線のような輻射熱によるか、電気加熱のような熱伝導によるかいずれでもよい。好ましくは、ドラム又は無端ベルトにある複数のキャビティの表面温度は少なくとも摂氏60度である。本発明による実施の形態によれば、収縮の問題を減らすか無くするためにドラム又は無端ベルトは摂氏60度〜200度(華氏40度〜392度)に加熱され、そのことによって熱成形の品質を向上させている。そのことは充填されるべき内容物を受け入れるのに適したキャビティの容積が最適となるようにすることが可能となるという利点をもたらす。更なる利点として、収縮が減少するか無くなることにより、切断によって互いの袋体が分離した後でも真空が解除されるまでは、内容物が充填されている袋体をドラム又は無端ベルト内の真空によってドラム又は無端ベルト上に保持する点にある。真空が解除されれば、袋体はドラム又は無端ベルトから離れて、コンベア又は他の適当な手段上に落下し、装置例えばパッキングユニットから離間するように集められるか搬送される。収縮が発生した場合には、内容物が充填されたベースウェブはキャビティの内面から離間するので、内容物を充填している袋体をドラム又は無端ベルトに保持するための真空を弱めるか台無しとすることは明らかである。その結果、切断刃などにより内容物が充填された袋体を互いに分離した後には袋体はもはやドラム又は無端ベルトに強く保持されず、コンベヤに到着する前にドラム又は無端ベルトから落下してしまう。連続回転熱成形機の有効な動作のためには、袋体がコンベアに向かって離れるまでは、複数の袋体がドラム又は無端ベルトに強固に保持されることが重要である。
【0023】
ドラム又は無端ベルトの回転位置に応じたそれぞれの動作に要求される程度に応じて、異なる場所で異なる真空度が適用されてもよい。例えば決して限定する意図ではないが、加熱されたベースウェブをキャビティ内に引き込んで所定の場所にベースウェブを位置させ収縮を防止して内容物の充填が完了するまでに必要な真空度は、内容物が充填され封止された袋体を空気吹きつけによってドラム又は無端ベルトから排出してコンベヤ上に落下させて袋体を装置から離間させるまでは、これら袋体をドラム又は無端ベルト上に保持するのに必要な真空度よりも低い。
【0024】
ドラム又は無端ベルトの加熱は正確に設置されたヒータによってなされ、以下にいくつかの例を示す。
【0025】
(1)図1の参照番号125で示される複数の外付けヒータは、成形機の周囲のいくつかの場所で複数のキャビティに向けて設けられる。ヒータ配置の例として、熱風ヒータをほぼ4時、2時、8時の位置であって、ベースウェブが加熱ローラ14に到達する前の位置、加熱ローラ14の後の位置、回転軸に設けられた複数の横断ナイフ22の後の位置である。これらヒータの数や場所は変更可能である。複数の熱風ヒータは互いに異なる設計とすることができる。例えば、熱風ヒータとして中空の金属棒に長手方向の穴を開けてその中に管状のヒータを設置する。圧縮空気を背後から供給し、該空気が管状ヒータ内を通過しているときに加熱し、ドラムに面している狭いスロットから熱風ジェットを噴出する。かかる構成の概略が図1に示されている。
【0026】
(2)外付けの複数の赤外線ヒータ(図2の参照番号225)。これらは複数の熱風ヒータと同様な場所に設置される。ただしその数や場所は変更可能である。かかる構成の概略が図2に示されている。
【0027】
(3)内部に設けられた複数の電気ヒータ(図3の参照番号335)。これらは、成形機自体の内部に設けられる。これらは成形機の表面近くに位置して熱が容易に複数のキャビティに伝わるようにする。かかる構成の概略が図3に示されている。これら加熱手段を用いて、複数の袋体をキャビティからコンベア23に排出する空気を加熱してもよい。そのことによりドラム10を付加的に加熱する。
【0028】
(4)図1〜図3に示される上記外付けヒータや内部ヒータ又はその他の適当なヒータを組み合わせて用いる。
【0029】
本装置により、2枚又はそれ以上の水溶性高分子基材より構成される可溶性の複数の袋体が製造される。2枚又はそれ以上のウェブの溶解温度は同一であるか、異なってもよい。好ましくは、袋体が2枚のウェブによって形成される場合にはトップウェブをベースウェブにシールする封止手段が設けられ、袋体が3枚以上のウェブによって形成される場合には、トップウェブを中間ウェブにシールする封止手段が設けられる。これらの手段は少なくとも1つの加熱された封止ローラによって構成される。ウェブ間の封止力は、連続して配列された複数の加熱された封止ローラによってより強めることができる。本発明の好ましい実施の形態によれば、第2の加熱された封止ローラ(図4の参照番号21)が、第1の加熱された封止ローラ16で互いに封止された後に封止されたウェブを加圧する場所に設けられている。第2の加熱された封止ローラを付加することにより、封止性能が格段に向上することがわかった。このことは、袋体が低粘度の液体又はジェルを封入する場合に特に重要である。かかる構成により、温度が摂氏20度で粘度が10,000乃至60,000センチポアズの範囲の液体を良好に封入することができる。
【0030】
好ましくは、ウェブをインラインで塗布またはプリントする手段を設ける。例えば、ほどかれるウェブと加熱された封止ローラの間にローラを設けてウェブをインラインで塗布又はプリントする。第3のウェブを導入して2つの区画室を備えた袋体を製造できる。多区画室を備えた袋体であってウェブが高分子基材により構成され水溶性の場合には、水温の変化又はペーハの変化によって袋体の区画室は連続的に開く。
【0031】
ベースウェブ又はトップウェブを形成するに際して塗布されたウェブが必要となる場合がある。塗布剤としては着色剤かその他の塗布剤であって均質な塗布媒体となるために溶剤に対して十分な混和性がある。塗布されたウェブは通常はフィルム提供者から異なった塗布されたウェブを調達することで得られる。しかしそれは費用がかかり、特に互いに異なる塗布剤で類似の大きさの袋体を製造しようとするときに論理学的な問題がある。
【0032】
図5に示されるような本発明の好ましい実施の形態においては、混合タンク30を追加することで、トップウェブはインラインで塗布される。混合タンク30には入力管32を介して水のような溶剤が供給され、供給管33を介して塗布又はプリント用の濃縮物が供給される。トップウェブとともに又はトップウェブに代えて、ベースウェブに対して図5と同様な方法にて塗布又はプリントしてもよい。塗布又はプリント用の濃縮物と水との比率はウェブ上の所望の塗布重量(目付量)を達成するために混合タンク30内で調整される。塗布又はプリント媒体は次に供給管31を介して濡れ(湿潤)タンク34に供給される。いずれのウェブの封止面に施される塗布剤の例としては着色剤があり、それは溶剤二対して混和性のインクであるか、溶剤中に懸濁する顔料である。上述した方法により、着色剤、香料、又はその他の濃縮物、活性の成分などが1枚又はそれ以上のウェブのいずれかの面に塗布されるが、これら着色剤は上述した方法によってウェブそのものの肉厚内部に入り込むことはない。そのようなことが必要な場合には、これら着色剤、香料、又はその他の濃縮物、活性の成分などはウェブの成形又は押し出し前に材料中に混入されている必要がある。
【0033】
本装置は2個又はそれ以上の高分子基材によって構成される複数の袋体を製造できる。高分子基材は水溶性である。2枚のウェブの溶解温度は互いに同一であるか異なっている。高分子基材で形成される複数のウェブが水溶性であるような多区画室を備えた袋体の場合には、袋体の複数の区画室は水温の変化またはペーハの変化によって連続的に開口する。
【0034】
好ましい実施の形態は、2つ又はそれ以上の水溶性高分子基材のウェブで形成された可溶性の複数の袋体を製造するための連続回転熱成形装置であり、周面に複数の袋体成形キャビティを有する回転する成形器を有する。また加熱手段とそれぞれのキャビティの底部を通じて真空を作用させる真空手段とが設けられ、ひとたび熱成形されると、真空が解除されて充填され封止された袋体がそれぞれのキャビティから放出されるまで、真空手段は充填、封止、切断ステーションにおいてベースウェブをキャビティの底部に強固に保持する。
【0035】
ベースウェブはその他の手段により微細孔が形成されているか、多孔質のものである。2つのウェブ(ベースウェブとトップウェブ)は単一の区画室を備えた複数の袋体のために用いられる。2つ又はそれ以上の区画室を有する袋体のためには、1つ又はそれ以上の付加的ウェブ(中間ウェブ)を追加する。
【0036】
2つ又はそれ以上の区画室を有する複数の袋体のためには、複数のウェブは同様な条件下で溶解してもよい。そうするとそれぞれの区画室は実質的に同じ時点で開かれるようになる。又は、複数のウェブは互いに異なる条件で溶解してもよい。そうするとそれぞれの区画室は別々の時期に開口する。好ましくは、水温やペーハの変化に応じてそれぞれの区画室が連続的に開口するようにするとよい。
【0037】
その他の実施の形態では、2つ又はそれ以上の区画室を有し水溶性高分子基材の複数のウェブで形成された複数の袋体を製造するための連続回転熱成形装置であり、周面に複数の袋体成形キャビティを有する回転する成形器を有する。また加熱手段とそれぞれのキャビティの底部を通じて真空を作用させる真空手段とが設けられ、ひとたび熱成形されると、真空が解除されて充填され封止された袋体がそれぞれのキャビティから放出されるまで、真空手段は充填、封止、切断ステーションにおいてベースウェブをキャビティの底部に強固に保持する。
【0038】
ベースウェブはその他の手段により微細孔が形成されているか、多孔質のものである。2つの区画室を有する袋体の場合には、第3のウェブが提供される。
【0039】
本装置は3つの高分子基材によって構成される複数の袋体を製造できる。高分子基材は水溶性である。3枚のウェブの溶解温度は互いに同一である。すると複数の区画室は実質的に同時期に開口する。または3枚のウェブの溶解温度は互いに異なっている。すると、複数の区画室は互いに異なる時期に開口する。好ましくは袋体の複数の区画室は、水温の変化によって連続的に開口する。水温による変化に代えて又は水温による変化とともにペーハの変化その他使用される高分子基材の溶解性に影響を与える因子によって袋体の開口時期は変化する。
【0040】
好ましい実施の形態によると、第3のウェブが装置に設置され、図6に概略的に示されるような2つの区画室を有する袋体が提供される。ベースウェブ13は上述した態様で装置に供給される。しかしながら本実施の形態ではベースウェブは微細孔をなすか多孔質である。それはウェブ供給業者によって提供されるか、装置に設置された穿孔ユニット25によってインラインで微細孔を形成するか、その他の手段による。多孔性のベースウェブが過熱されたドラムまたは無端ベルトに到着するとすぐに、成形機内の真空によってベースウェブを介して微細穿孔はその他の多孔を通じて空気を引き抜く。ただし微細孔の場合にはそれらの数や大きさ、パターンはベースウェブを有効に熱成形するのを妨げる程度のものではない。第1の内容物が第1のホッパ又はインジェクタ18から充填され、次に第2のウェブ20でベースウェブを封止して上述した本発明の観点でのように第1の下側区画室が形成される。ここで、第2のウェブがベースウェブを封止するとすぐに、ベースウェブの微細孔の存在や多孔性によって下側区画室はドラム又は無端ベルト内の真空によって空気が引き抜かれる。微細孔を通じて第1の下側区画室の空気を引き抜くことで、第2ウェブ20はキャビティ内に落ち込み、そのことにより第2ウェブの上側に内容物供給ホッパ又はインジェクタ19からの第2の内容物が収容される空間である第2の上側区画室が提供される。第2の上側区画室は充填され、第3のウェブ21によって覆われて加熱されたローラ17によって封止される。好ましくは、下側区画室には粉体や粒状の内容物が充填され、上側区画室には第2の粉体又は粒状体か液体又はジェル状の内容物が充填される。
【0041】
多孔性を具備するための別の手段としては、ウェブ内に適当なサイズの鉱物粒子を含ませることである。そのことにより粒子の回りに微細な空気通路が発生することでウェブが多孔性となる。ただしかかる手段に限定されない。多孔性を具備させるために鉱物粒子をウェブに含ませる場合には、粒径はウェブの厚さよりも大きくする。
【0042】
本発明の第2の観点によれば、1つ又はそれ以上の新規な充填動作が採用されて、袋体の内容物に変化をもたせることにある。これら動作は図9(a)乃至図9(d)に示されている。ただしこれらの図には限定されるものではない。
【0043】
充填動作の一例としては、液体やジェル又は粉体が水溶性袋体の1つ又はそれ以上の区画室に充填されるに際して、その充填に先立つか又は充填と同時か又は充填後に、球形、半球、楕円、その他の3次元形状の物体、例えばタブレットやカプセル(これらに限定されない)が、熱成形されたポケット内に配置される。
【0044】
このような3次元形状の物体は、液体又はジェル内には存在していない活性物質を含んでもよい。3次元形状の物体の中の1種又はそれ以上の物質が、液体又はジェル内の1種又はそれ以上の物質と拮抗(干渉しあう)するような場合には、3次元形状の物体は水溶性ポリマーにて塗布される。この水溶性ポリマーは、袋体形成に用いられる1つ又はそれ以上のウェブを構成する高分子材料と同様または類似するものである。
【0045】
3次元形状の物体は袋体が水溶性媒体に接触したときに完全に溶解する必要はない。例えば、その物体は中空で、水溶性媒体中では溶解せず、水溶性媒体に置かれたときに穿孔を通じて物体内の内容物が放出されるが、3次元物体を構成している穿孔された外殻は溶解せずに留まっている。
【0046】
別の充填動作としては、区画室内に3次元物体を入れるか否かにかかわらず、水溶性袋体の一つの区画室内に1つ又はそれ以上の液体又はジェルと粒状体又は粉体との組合せたものを入れてもよい。それらの物が混ざり合ってそれら個々の正体(アイデンティティ)が視覚的に判らなくなることのないように、液体又はジェルは十分に高温にして溶融状態で充填されてもよい。少なくとも溶融物質の上面はポケット内で急速に固化して、その上に粒状体又は粉体が充填されても互いに実質的に混り合うことは避けられる。溶融液体又はジェルの温度は、ポケット内において熱成形された水溶性ウェブの歪みが生じない程度に、高すぎないようにしなければならない。ポケット内で溶融状態の液体又はジェルを受け入れる水溶性ウェブが、実質的にポリビニルアルコールの場合には、ウェブに接触する溶融状態の液体の温度はウェブの融点よりも10度またはそれ以下とすることで、歪みが防止できる。
【0047】
ベースウェブは微細孔が形成されてもよく、微細孔の形成は、機械的手段又はレーザ又はその他の適切な手段例えばそれぞれのキャビティに配置されている針などにより、ウェブを装置に配置した状態でインラインで行うか、フィルム供給業者やその委託業者によってオフラインで行われる。
【0048】
第3の観点として本発明は、第1の加熱された封止ローラで封止した後に少なくとも1つの付加的な加熱された封止ローラでトップウェブと第2ウェブとの間の封止を行うことで、封止を強めることができる連続回転熱成形機である。
【0049】
第4の観点として本発明は、1つ又はそれ以上のウェブのいずれかの面が、ほどかれるウェブと加熱された封止ローラとの間で、インラインで塗布を受けるかプリントされる連続回転熱成形機である。
【0050】
第3及び第4の観点における装置は、第1の観点による発明のいずれかの特徴を具備する。
【0051】
本発明は更に、2つ又はそれ以上の高分子基材によって複数の可用性の好ましくは水溶性の袋体を製造するための上述した本発明の観点による装置を用いた製造方法を提供する。
【0052】
本発明は更に、請求項1に規定された装置を提供し、その装置の好ましい特徴は請求項2乃至14に記載されている。この装置を用いた方法は請求項15乃至22に記載され、この方法により製造される袋体は請求項23に記載され、袋体の形成方法は請求項24に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】外付けの複数の熱風ヒータを備えた本発明の第1の実施の形態による装置の概略側面図。
【図2】外付けの複数の赤外線ヒータを備えた本発明の第2の実施の形態による装置の概略側面図。
【図3】複数の内部ヒータを備えた本発明の第3の実施の形態による装置の概略側面図。
【図4】2個の熱封止ローラを備えた本発明の第4の実施の形態による装置の概略側面図。
【図5】ウェブをコーティングする態様を示した本発明の第5の実施の形態による装置の概略側面図。
【図6】2個以上の画成室を備えた袋体を製造する態様を示した本発明の第6の実施の形態による装置の概略側面図。
【図7】無端ベルトを備えた本発明の第6の実施の形態による装置の概略側面図。
【図8】無端ベルトを備えた本発明の第7の実施の形態による装置の概略側面図。
【図9(a)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【図9(b)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【図9(c)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【図9(d)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の複数の実施の形態について図1から図6を参照して説明する。これら実施の形態では、複数のキャビティ11を備えたドラム10が用いられる。ドラムは適当な手段によって駆動軸10aを介して連続的に回転する。適当な手段は例えばモータであり、好ましくは電動モータであり、より好ましくは可変速の電動モータである。
【0055】
図1乃至図3の実施の形態では、ドラム10は加熱され、特にドラム10のキャビティ11は前述した様々な手段によって加熱される。図1の実施の形態では外付けの熱風ヒータ125が用いられ、図2では外付けの赤外線ヒータ225が用いられ、図3ではドラム内に設けられた電気ヒータ325が用いられる。
【0056】
ドラム10は矢印12で示される方向に回転する。複数の溶解性の袋体が、ロール13とロール20のそれぞれから引き出される2個のウェブから形成される。これらウェブは好ましくは溶解性の高分子基材を有し、それは互いに同様な温度で溶解する水溶性のフィルムである。ロール13からの第1のウェブ(ベースウェブ)は、加熱されたローラ14によって案内される。キャビティ11はドラム10の周面に位置し、ローラ14は第1のウェブをキャビティ11上で強固に押圧し、フィルム(第1のウェブ)は負圧によってドラム10内に引き込まれて複数のポケットを形成する。キャビティ11内の表面温度や加熱ローラ14の温度は、フィルムの種類や厚さ、ドラムの回転速度に依存する。好ましくは、キャビティ11内の表面温度は少なくとも摂氏60度である。キャビティを囲むドラムの表面は平滑でなければならず、研磨されているのが好ましい。ドラム10の頂部(12時の位置)でポケットは充填ホッパ又はインジェクタ18から充填される。粒状又は粉体状の生成物の場合には、充填物はワイパ(図示せず)によって平滑化され、ワイパは更にフィルム上面のポケット周囲の生成物を取り除く。ロール20からの第2のウェブ(トップウェブ又は覆う側のウェブ)は、フェルトローラ15によって十分な程度に濡らされることで粘着性を帯びる。フェルトローラ15は、液体浴槽内で回転しており、その液体は第2のウェブを溶解させる性質のものである。第2のウェブに粘着性を持たせるようにするためには、第2ウェブの表面に液体を供給する量を精密に制御することがきわめて重要である。量が過小であると、所望の粘着性が得られず、量が過多であるとフィルムが脆弱となり究極的には溶解してしまう。液体の供給量は、ロール20からのウェブを鉛直経路に沿って移動させること、図1〜図3ではローラ16によって規定される経路を移動させることによりきわめて精密に制御できる。液体の第2フィルムに対する供給点に関して浴槽内の液面を一定に維持することにより、(又は、供給点と浴槽の液面との距離を一定にすることにより)、フィルムの表面に供給される液体の量は正確に制御される。トップウェブが過熱ローラ16を通過するときに、トップウェブとベースウェブとは互いに加圧される。複数のキャビティを取り囲むドラム10の表面に対して加熱ローラ16は図示せぬスプリングによって弾性的に加圧される。充填された袋体の周囲は熱と溶剤接着との組合せによって確実に封止される。ドラム内の真空によってキャビティに保持されている封止された袋体は、次に、複数の横断ナイフ22と図示せぬ複数の縦ナイフによって互いに分離され、その後、空気吹き出しによって飛び出て搬送ベルト23上に落下する。
【0057】
図4に示される実施の形態では、ドラム10は図1〜図3で説明したいずれかの方法によって加熱されるか、または加熱されなくてもよい。ベースウェブとトップウェブとの間の封止性能は、ドラムの10時と11時方向の間に位置すする第2加熱ローラ21を付設することによって更に向上できる。液体とジェルを充填した袋体の封止性能の向上のために第2加熱ローラを設けることが特に有益であることが判明した。第2加熱ローラを用いて製造された封止された袋体と第2加熱ローラを用いないで製造された封止された袋体とを、真空室内で厳密に比較試験を行った結果、封止性能の向上が立証された。製造装置におけるその他の構造は上述した実施の形態と同様である。
【0058】
図5に示される実施の形態では、ドラム10は図1〜図3で説明したいずれかの方法によって加熱されるか、または加熱されなくてもよい。ローラ20からのトップウェブは、ドラムに到着する前に、ウェブの封止面が塗布されるかプリントされてもよい。トップウェブの封止面に対して塗布するかプリントするのがより有益であるが、本発明ではトップウェブの両面に塗布してもよい。トップウェブの封止面にカラーコーティングをすることが最も実践的であるが、その他のコーティングでもよい。例えば香料、酵素、活性材料等の塗布が考えられる。混合タンク30を浴槽34に隣接して設置し、供給管31によって塗布剤を浴槽34に送ることにより、簡便に塗布が実現できる。製造装置におけるその他の構造は上述した実施の形態と同様である。
【0059】
図6に示される実施の形態では、ドラム10は図1〜図3で説明したいずれかの方法によって加熱されるか、または加熱されなくてもよい。上述した2つのウェブに加えて、追加のウェブを用いることによって複数画成室を有する袋体が製造される。本実施の形態では、ローラ13からのベースウェブは好ましくは微細な多孔性ウェブであり、インラインの穿孔ユニット25またはフィルム提供業者又はその下請業者側によるオフラインの装置によって微細孔が形成される。インラインの穿孔ユニット25による微細孔形成の場合には、レーザ、その他の適当な手段によって機械的に穿孔される。ベースウェブの熱成形行程においてもそれぞれのキャビティの底部に1個またはそれ以上の針を位置させることにより微細孔が形成できる。ベースウェブによって形成されたポケットにホッパ又はインジェクタ18から充填物を充填し、ローラ20からのウェブで封止される。ベースウェブとローラ20からの第2ウェブによって形成された下側の画成室に内容物が充填され第1の加熱ローラ16によって画成室が封止されると、第1の画成室となる熱成形された基部であるベースウェブ13の穿孔の存在により、ドラム内の真空によって充填物内の空気が下側画成室から脱気される。下側画成室内に充填され封止された内容物が脱気された結果、下側画成室の蓋となるローラ20からの第2ウェブはドラム内の真空によって下方に引かれ、キャビティ内に上側画成室用の空間が形成される。空間内にはホッパ又はインジェクタ19から充填物が充填される。次に、トップウェブ21がローラ26から引き出され、フェルトローラ24を用いて溶剤で湿らされ、加熱ローラ17によって封止されて袋体における上側画成室が形成される。製造装置におけるその他の構造は上述した実施の形態と同様である。
【0060】
ベースウェブに多数の微細孔を形成せずに、多画成室を備えた袋体を別の方法によって製造してもよい。また、ベースウェブはその他の微細孔穿孔手段によって多孔質としてもよい。例えばベースウェブを粒子状物質に含浸させ、ウェブを貫通する微細な通路を複数提供する。ただし、これらはベースウェブを多孔質にするための例であり、これら方法に限定されない。ベースウェブがいかなる方法で多孔質となろうとも、上述した方法と同様な方法によってベースウェブが既に多孔質となっている状態で第2のウェブはドラム内の真空によってキャビティ内に引き落とされる。別の方法として、ベースウェブを多孔質とすることなく、またドラムまたは無端ベルト内を真空として第2のウェブをキャビティ内に引き落とす代わりに、機械的な手段又はウェブを外側で横切るように配置された空気ジェットを用いて、充填ステーションの前の段階で第2ウェブをキャビティの底部方向に押圧するようにしてもよい。
【0061】
本実施の形態では、いかなる方法で多孔質にしたベースウェブを用いる場合には、下側画成室に収容された内容物は自然状態で好ましくは粒状または粉体状であり、内容物が多孔質のウェブから漏れ出ないようにしている。2個又はそれ以上の画成室を備えた袋体であって少なくとも下側画成室に液体またはジェル状の内容物を収容する場合には、ベースウェブは多孔質とはしない。
【0062】
図7,図8に示される実施の形態では、上述したドラム10に代えて、キャビティ11を有する無端ベルト100が設けられる。無端ベルト100は側面視で、水平部を含んだ略長円状の経路を周回(回転)する。かかる構成により、単一の画成室を備えた袋体内に2種以上の充填物を充填するためのより広い空間を得ることが可能となる。無端ベルト100は適当な手段を用いて連続的に周回する。適当な手段とは例えばモータで歯車100aを駆動することであり、好ましくは電動モータ、より好ましくは可変速電動モータである。
【0063】
図7に示される実施の形態では、加熱された封止ローラ16によりトップウェブ20が熱成形されたベースウェブに封止されて単一の画成室が閉鎖される前に、互いに異なる内容物を充填している2体の充填装置18、194を用いて2回の充填動作が行われる。
【0064】
図8に示される実施の形態では、加熱された封止ローラ16によりトップウェブ20が熱成形されたベースウェブに封止されて単一の画成室が閉鎖される前に、互いに異なる内容物を充填している3体の充填装置18、194、195を用いて3回の充填動作が行われる。
【0065】
図7、図8の無端ベルト100が備える複数のキャビティは、上述した手段によって加熱してもよい。また、無端ベルト100を用いて単一の画成室を備えた袋体のみならず、複数の画成室を備えた袋体を製造してもよい。
【0066】
図9(a)は、単一の画成室内において、互いに異なる内容物が互いに混ざることがなく、潜在的に拮抗していることを示している。それは、はじめに第1の溶融ジェルを充填し、次にジェルの上面を冷却手段で冷却して皮膜を形成し、次に粒体又は粉体の内容物を固化したジェルの上面に両者が互いに混ざり合わないように直接充填する。
【0067】
図9(b)は、単一の画成室内において、互いに異なる3種の内容物が互いに混ざることがなく、潜在的に拮抗していることを示している。それは、図9(a)の動作に加えて、溶融ジェルの上面に固化した皮膜が生成される前に、3次元固形物例えば球体を溶融ジェル内に挿入する。3次元固形物と溶融ジェルとの間の化学的物理的相互作用を防ぐために、袋体に用いられるウェブのいずれか一方又は両方と類似するか同一の材料のポリマー材料を、3次元固形物に塗布する。塗布は、本装置内でインラインで行われるか、別の工程でオフラインで行われる。粒体又は粉体の内容物を固化し終わったジェルの上面に充填することで袋体の充填が完了する。
【0068】
図9(c)は、図9(b)と同様に単一の画成室内において、互いに異なる3種の内容物が収容されることを示しているが、図9(b)とは異なり固化し終わった溶融ジェルの上面に第2のジェルを充填するものである。
【0069】
図9(d)は、多種のジェルを収容した単一の画成室を有する袋体を、静止する複数のノズル又は回転する複数のノズルを用いて製造する過程を示しており、ジェルは互いに組成、色、外観のいずれか又は全部が異なり、袋体内で魅力的な模様をなしている。
【0070】
図面に示される整理番号のうち、10は回転するドラム(成形器)、10aは駆動軸、11はキャビティを形成するポケットであり、回転する成形器の周面に位置する。12は成形器が回転する方向を示す。13はほどかれる第1のウェブである。14はベースウェブがドラムに到着したときにベースウェブを加熱する加熱ローラ、15はウェブに溶剤を供給するフェルトローラ、16、17は加熱された封止ローラ、18は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、キャビティが充填機の下方を通過するときに充填を行う。19は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、袋体の第2の画成室に対して充填を行う。20はほどかれる第2ウェブである。21は加熱された封止ローラ、22は回転軸に設けられた横断ナイフ、23は封止され充填された袋体を機械から離間する方向に搬送するコンベア、24はウェブに溶剤を供給する第2のフェルトローラ、25はインラインの穿孔機、26はほどかれる第3のウェブ、30は混合タンク、31は混合タンクから濡れタンクへの供給管、32は溶剤供給管、33は塗布剤またはプリント媒体供給管、34は濡らすための浴槽、100は周回する無端ベルト、100aは歯車、135は外付けの熱風ジェット、194は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、袋体の単一の画成室に対して第2の内容物の充填を行う。195は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、袋体の単一の画成室に対して第3の内容物の充填を行う。225は外付けの赤外線ヒータであり、325は内装の電気ヒータである。
【0071】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10:ドラム(成形器)
10a:駆動軸
11:ポケット
13:第1のウェブ
14:加熱ローラ
15:フェルトローラ
16、17:封止ローラ
18、19:ホッパ又はインジェクタ
20:第2ウェブ
21:封止ローラ
22:横断ナイフ
23:搬送コンベア
24:第2のフェルトローラ
25:穿孔機
26:第3のウェブ
30:混合タンク
31:供給管
32:溶剤供給管
33:塗布剤またはプリント媒体供給管
34:浴槽
100:無端ベルト
100a:歯車
135:熱風ジェット
194:195:充填装置
225:赤外線ヒータ
325:電気ヒータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又はそれ以上の内容物を収容する可溶性袋体に関し、またそのような複数の袋体を製造する装置及び方法に関する。本発明は特に、高分子基材製の2枚又はそれ以上のウェブによって作られた熱成形パッケージへの適用であるが、それに限定されない。複数のウェブは溶剤内で可溶であるか分散可能であり、水溶性または水に分散する複数のフィルムである。
【背景技術】
【0002】
熱成形パッケージは、単一の区画室を有し、以下の工程によって製造される。
(1)フィルム状の第1ウェブ(ベースウェブ)にポケットを形成する。
(2)ポケットに充填する。
(3)フィルム状の第2ウェブ(トップウェブ又は蓋ウェブ)によってポケットを閉じ、パッケージを形成する。
(4)切断又はパンチングを行い、フィルム状の第1、第2ウェブで組合されたものからパッケージを分離する。
【0003】
複数の熱成形パッケージは水平面で間欠的に配置された複数の装置で製造される。そこでは、ウェブが間欠的に装置を通過し、ウェブが静止している状態で上述した個々の工程が実行される。
【0004】
このような複数の装置では、ベースウェブが成形金型から離間すると、冷却されはじめ、多くの不溶性の高分子基材とは異なり、実質的にポリビニルアルコールを含んだ多くの可溶性ウェブでは、続いて収縮が生じる。即ち、熱成形されたフィルムは自己の熱成形される前の状態に戻ろうとし、そのため熱成形されたポケットの容積を減少させる。ポケットに内容物が充填されたころまでにポケットが収縮すると、問題が顕著となる。収縮の問題を配慮しまた所望の充填物の容積を維持するためには、熱収縮が生じたとしても充填物を収容できるようにするために熱成形ポケットが充填物の容積よりも大きくしなければならない。しかし熱成形型のキャビティを大きく設計すると、引き抜きの深さが大きくなり、そのことによってより厚いウェブを用いなければならなくなる。そのことによってその後の溶解が遅れ、足跡(footprint)として知られる表面積が増加し、装置の配列方向やウェブを横切る方向におけるキャビティの数を減らすこととなり、装置やウェブの効率を低下させる。
【0005】
特許文献1は、熱成形パッケージを製造するための連続回転熱成形装置について記載している。そこでは、ベースウェブは加熱されて塑性状態となり、その後直ちに複数のポケットを取り囲んでいるドラムの表面に加圧される。ドラム表面に対してフィルム状のウェブを加圧するために加熱された金属ローラが用いられる。このローラは、フィルムが連続回転するドラムに加圧されることまでには、フィルムを可塑状態とするのに十分な温度で加熱される。実際の加熱温度は、フィルム、その厚さ、加熱ローラと接触している状態の時間の長さに依存して変化する。加熱ローラによってフィルムは約華氏140度(摂氏60度)程度に加熱され、最低で華氏100度(摂氏37.8度)、最高で華氏300度(摂氏148.9度)に加熱される。キャビティの底部には真空が作用し、キャビティを覆ってキャビティ内に入り込みポケットを規定してその後に封入されるべき内容物を受け入れる加熱されたフィルム状のウェブを引き出すようにしている。キャビティがフィルムで覆われると直ちに真空を適用すべきである。その後の動作では、回転するドラム上に位置してポケット内に内容物が充填されたベースウェブに対してトップウェブが押圧される。押圧は、トップウェブを熱伝導的に加熱する第2の加熱ローラと、スプリングによって行われる。スプリングは、ポケットの回りの表面で両方のウェブが互いに押圧しあい互いに接合するように、内容物が詰められたポケットに対してトップウェブを押圧する。水溶性のパッケージが望まれる場合には、封止ステーションに到着する前に、液体で湿らすことによりトップウェブに接着性が付与される。この場合フィルム状のトップウェブは可溶性であり、加熱と溶剤接合との組合せによって封止プロセスが実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許 第3218776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1による装置では、2箇の加熱ローラのみが熱源である。即ち第1の加熱ローラが熱成形の前にベースウェブを加熱し、第2の加熱ローラが袋体を閉じる前に蓋となるウェブを加熱する。これは多くの欠点を伴う。第一に、ベースウェブは第1の加熱ローラを通過するとすぐに冷却され始まる。そのため、収縮を防止するためには高い真空を適用してベースウェブをキャビティの壁に保持する必要がある。第二に、トップウェブは第2の加熱ローラを通過するとすぐに冷却され始まる。そのためベースウェブとトップウェブとの間で最強の封止力を得ることが困難となる。
【0008】
連続回転運動の熱成形は、間欠運動の水平熱成形に比較して有利であり、特により高い生産性と収縮の低減にとって有利である。連続回転の熱成形によって、より高い生産性が得られ、熱成形と内容物充填との間の時間間隔が短縮でき、熱成形されたウェブが冷却される時間が短くできる。しかし依然として、特許文献1では可溶性ウェブの収縮の問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上述したいくつかの問題点や不利益を克服するか少なくとも軽減することを目的とする。
【0010】
具体的には、本発明は連続運動の回転成形機における可溶性ウェブの収縮の問題に取り組むものである。
【0011】
本発明のより優先的な目的は、熱成形の可溶性パッケージであって一個又はそれ以上の区画室を備えて1種又はそれ以上の内容物を収容するパッケージを製造する改良された連続運動の回転成形機を提供することにある。
【0012】
本明細書において、「溶解性の複数のウェブ」とは高分子基材の複数のウェブであって溶剤中で溶解可能なものである。多くの場合において、かかる要件は水又は水溶液に溶解する袋体に必要であるが、袋体が水以外の溶液に溶解することが要求されている場合にはその他の溶液にも溶解可能であることが望まれる。
【0013】
また本明細書において、「水溶性」とはいかなる温度の水であっても均質に水に溶解する材料であることを意味する。また「水分散性」とは、いかなる温度の水であっても永久的にまたは一時的に懸濁液ができる材料を意味する。便宜状以下の説明及び請求項において「水溶性」の意味は「水分散性」を含むものとする。
【0014】
また本明細書において、「型」とは連続的に回転可能な成形器の構成要素であり、1箇又はそれ以上のキャビティを備える。この構成要素は成形器においてしばしば容易に交換されて、収容容積が異なる袋体とする。また「キャビティ」とは型の一部であり、熱成形の際にキャビティの中にベースウェブが引き込まれる。また「ポケット」とは閉鎖される前の容器のことであり、熱成形によりベースウェブによって形成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一の観点によると、我々は、2個又はそれ以上の可溶性の高分子基材を有するウェブからなる可溶性の袋体を製造する連続回転熱成形機であって複数のポケット形成キャビティと複数のキャビティを加熱する手段を備えた成形機を提供している。
【0016】
ここで「連続回転成形機」とは、成形機内の複数のキャビティによって熱成形が実行され、回転が続いている間に可溶性袋体の製造に必要な複数の動作が順次実行されるものをいう。
【0017】
好ましくは、成形機を回転させる手段が設けられ、複数のキャビティは、成形、充填、封止、切断ステーションを通過しながら成形機の回転方向に無端の通路をたどる。回転手段はモータであり、例えば電動モータ、好ましくは可変速電動モータである。
【0018】
成形機は連続的に回転するドラムを有し、ドラムの外周面には複数のキャビティが開口している。これらのキャビティはドラムの幅方向に並んでもよくそして又はドラムの周面に沿って配列される。又は、成形機は連続的に回転する無端ベルトでもよくベルトの外周側に複数のキャビティが開口している。これらのキャビティはベルトの幅方向に並んでもよくそして又はベルトの長さ方向に沿って配列される。
【0019】
無端ベルトを横切るように配列されるか及び又はベルトの走行方向に沿うキャビティの配列は、ドラムにおけるキャビティの配列と同様である。いずれの場合であっても、こらキャビティは加熱されそれぞれのキャビティの底部を通じて真空が作用するのが好ましく、そのことによりひとたび熱成形されると、その後の内容物の充填、封止、切断が各ステーションで行われている間ベースウェブはキャビティの底部に強固に保持され、その後に真空が解除されて内容物が充填され封止された袋体はキャビティから排出される。
【0020】
回転する無端ベルトは、本発明による2枚又はそれ以上ウェブにより形成される可溶性袋体の製造のために必要な一連の動作である熱成形、充填、封止動作においてより広いスペースを提供できる。回転ドラムを用いるよりも無端ベルトを用いる方が、本発明の一連の動作を実行するためには実際上ベルトの水平部分において、より広いスペースが確保できる。水平状に設置される無端ベルトの長さは、一連の動作を実行するのに必要なスペースの増減に応じて決めることができる。可溶性袋体が備える区画室の数が増えれば、一連の動作の数も増える。しかして、3枚以上のウェブを使用して多数の区画室を備えた複数の袋体を製造するためには、回転する無端ベルトを使用することに特に価値がある。そこでは一連のウェブは熱成形され、一連のポケットは充填され封止される。ただし、可溶性袋体において多数の区画室が含まれる場合に、最も上側の熱成形されたウェブに封止されるトップウェブはそれ自体で熱成形されない。
【0021】
この装置は水溶性の複数の袋体を製造するのに特に適している。これら袋体が食べられるか否かが要求されているかによって、水溶性のウェブは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース(CMC)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような変成セルロース、プルラン、ある種のデンプン、デキストリン、グァーガム、ゼラチン、それらの誘導体等によって実質的に構成される。1枚又はそれ以上のウェブがPVOHにより構成される場合には、所定温度におけるそれらの溶解性は、PVOHの等級または結合度と共に特定分子量と特定%鹸化とを選択することによって調整される。例えば、温度が摂氏60度又はそれ以上の水溶性媒体における実質的にPVOHにより構成される水溶性フィルムの可溶化を得るためには、PVOHは十分に鹸化している種類のものであることが好ましく、即ち鹸化程度の範囲は90〜99.5%である。また、温度が摂氏25度又はそれ以下の水溶性媒体における実質的にPVOHにより構成される水溶性フィルムの可溶化を得るためにはPVOHは部分的に鹸化している種類のものであることが好ましく、即ち鹸化程度の範囲は71〜90%である。即ち、鹸化の程度が低くなると、実質的にPVOHで構成された水溶性フィルムが溶解可能な温度も低くなる。
【0022】
加熱手段は成形機の内部又は外部又は内部と外部とに設けられ、複数のキャビティを加熱するのに適切なものであればよい。複数のキャビティの加熱は熱風のような対流によるか、赤外線のような輻射熱によるか、電気加熱のような熱伝導によるかいずれでもよい。好ましくは、ドラム又は無端ベルトにある複数のキャビティの表面温度は少なくとも摂氏60度である。本発明による実施の形態によれば、収縮の問題を減らすか無くするためにドラム又は無端ベルトは摂氏60度〜200度(華氏40度〜392度)に加熱され、そのことによって熱成形の品質を向上させている。そのことは充填されるべき内容物を受け入れるのに適したキャビティの容積が最適となるようにすることが可能となるという利点をもたらす。更なる利点として、収縮が減少するか無くなることにより、切断によって互いの袋体が分離した後でも真空が解除されるまでは、内容物が充填されている袋体をドラム又は無端ベルト内の真空によってドラム又は無端ベルト上に保持する点にある。真空が解除されれば、袋体はドラム又は無端ベルトから離れて、コンベア又は他の適当な手段上に落下し、装置例えばパッキングユニットから離間するように集められるか搬送される。収縮が発生した場合には、内容物が充填されたベースウェブはキャビティの内面から離間するので、内容物を充填している袋体をドラム又は無端ベルトに保持するための真空を弱めるか台無しとすることは明らかである。その結果、切断刃などにより内容物が充填された袋体を互いに分離した後には袋体はもはやドラム又は無端ベルトに強く保持されず、コンベヤに到着する前にドラム又は無端ベルトから落下してしまう。連続回転熱成形機の有効な動作のためには、袋体がコンベアに向かって離れるまでは、複数の袋体がドラム又は無端ベルトに強固に保持されることが重要である。
【0023】
ドラム又は無端ベルトの回転位置に応じたそれぞれの動作に要求される程度に応じて、異なる場所で異なる真空度が適用されてもよい。例えば決して限定する意図ではないが、加熱されたベースウェブをキャビティ内に引き込んで所定の場所にベースウェブを位置させ収縮を防止して内容物の充填が完了するまでに必要な真空度は、内容物が充填され封止された袋体を空気吹きつけによってドラム又は無端ベルトから排出してコンベヤ上に落下させて袋体を装置から離間させるまでは、これら袋体をドラム又は無端ベルト上に保持するのに必要な真空度よりも低い。
【0024】
ドラム又は無端ベルトの加熱は正確に設置されたヒータによってなされ、以下にいくつかの例を示す。
【0025】
(1)図1の参照番号125で示される複数の外付けヒータは、成形機の周囲のいくつかの場所で複数のキャビティに向けて設けられる。ヒータ配置の例として、熱風ヒータをほぼ4時、2時、8時の位置であって、ベースウェブが加熱ローラ14に到達する前の位置、加熱ローラ14の後の位置、回転軸に設けられた複数の横断ナイフ22の後の位置である。これらヒータの数や場所は変更可能である。複数の熱風ヒータは互いに異なる設計とすることができる。例えば、熱風ヒータとして中空の金属棒に長手方向の穴を開けてその中に管状のヒータを設置する。圧縮空気を背後から供給し、該空気が管状ヒータ内を通過しているときに加熱し、ドラムに面している狭いスロットから熱風ジェットを噴出する。かかる構成の概略が図1に示されている。
【0026】
(2)外付けの複数の赤外線ヒータ(図2の参照番号225)。これらは複数の熱風ヒータと同様な場所に設置される。ただしその数や場所は変更可能である。かかる構成の概略が図2に示されている。
【0027】
(3)内部に設けられた複数の電気ヒータ(図3の参照番号335)。これらは、成形機自体の内部に設けられる。これらは成形機の表面近くに位置して熱が容易に複数のキャビティに伝わるようにする。かかる構成の概略が図3に示されている。これら加熱手段を用いて、複数の袋体をキャビティからコンベア23に排出する空気を加熱してもよい。そのことによりドラム10を付加的に加熱する。
【0028】
(4)図1〜図3に示される上記外付けヒータや内部ヒータ又はその他の適当なヒータを組み合わせて用いる。
【0029】
本装置により、2枚又はそれ以上の水溶性高分子基材より構成される可溶性の複数の袋体が製造される。2枚又はそれ以上のウェブの溶解温度は同一であるか、異なってもよい。好ましくは、袋体が2枚のウェブによって形成される場合にはトップウェブをベースウェブにシールする封止手段が設けられ、袋体が3枚以上のウェブによって形成される場合には、トップウェブを中間ウェブにシールする封止手段が設けられる。これらの手段は少なくとも1つの加熱された封止ローラによって構成される。ウェブ間の封止力は、連続して配列された複数の加熱された封止ローラによってより強めることができる。本発明の好ましい実施の形態によれば、第2の加熱された封止ローラ(図4の参照番号21)が、第1の加熱された封止ローラ16で互いに封止された後に封止されたウェブを加圧する場所に設けられている。第2の加熱された封止ローラを付加することにより、封止性能が格段に向上することがわかった。このことは、袋体が低粘度の液体又はジェルを封入する場合に特に重要である。かかる構成により、温度が摂氏20度で粘度が10,000乃至60,000センチポアズの範囲の液体を良好に封入することができる。
【0030】
好ましくは、ウェブをインラインで塗布またはプリントする手段を設ける。例えば、ほどかれるウェブと加熱された封止ローラの間にローラを設けてウェブをインラインで塗布又はプリントする。第3のウェブを導入して2つの区画室を備えた袋体を製造できる。多区画室を備えた袋体であってウェブが高分子基材により構成され水溶性の場合には、水温の変化又はペーハの変化によって袋体の区画室は連続的に開く。
【0031】
ベースウェブ又はトップウェブを形成するに際して塗布されたウェブが必要となる場合がある。塗布剤としては着色剤かその他の塗布剤であって均質な塗布媒体となるために溶剤に対して十分な混和性がある。塗布されたウェブは通常はフィルム提供者から異なった塗布されたウェブを調達することで得られる。しかしそれは費用がかかり、特に互いに異なる塗布剤で類似の大きさの袋体を製造しようとするときに論理学的な問題がある。
【0032】
図5に示されるような本発明の好ましい実施の形態においては、混合タンク30を追加することで、トップウェブはインラインで塗布される。混合タンク30には入力管32を介して水のような溶剤が供給され、供給管33を介して塗布又はプリント用の濃縮物が供給される。トップウェブとともに又はトップウェブに代えて、ベースウェブに対して図5と同様な方法にて塗布又はプリントしてもよい。塗布又はプリント用の濃縮物と水との比率はウェブ上の所望の塗布重量(目付量)を達成するために混合タンク30内で調整される。塗布又はプリント媒体は次に供給管31を介して濡れ(湿潤)タンク34に供給される。いずれのウェブの封止面に施される塗布剤の例としては着色剤があり、それは溶剤二対して混和性のインクであるか、溶剤中に懸濁する顔料である。上述した方法により、着色剤、香料、又はその他の濃縮物、活性の成分などが1枚又はそれ以上のウェブのいずれかの面に塗布されるが、これら着色剤は上述した方法によってウェブそのものの肉厚内部に入り込むことはない。そのようなことが必要な場合には、これら着色剤、香料、又はその他の濃縮物、活性の成分などはウェブの成形又は押し出し前に材料中に混入されている必要がある。
【0033】
本装置は2個又はそれ以上の高分子基材によって構成される複数の袋体を製造できる。高分子基材は水溶性である。2枚のウェブの溶解温度は互いに同一であるか異なっている。高分子基材で形成される複数のウェブが水溶性であるような多区画室を備えた袋体の場合には、袋体の複数の区画室は水温の変化またはペーハの変化によって連続的に開口する。
【0034】
好ましい実施の形態は、2つ又はそれ以上の水溶性高分子基材のウェブで形成された可溶性の複数の袋体を製造するための連続回転熱成形装置であり、周面に複数の袋体成形キャビティを有する回転する成形器を有する。また加熱手段とそれぞれのキャビティの底部を通じて真空を作用させる真空手段とが設けられ、ひとたび熱成形されると、真空が解除されて充填され封止された袋体がそれぞれのキャビティから放出されるまで、真空手段は充填、封止、切断ステーションにおいてベースウェブをキャビティの底部に強固に保持する。
【0035】
ベースウェブはその他の手段により微細孔が形成されているか、多孔質のものである。2つのウェブ(ベースウェブとトップウェブ)は単一の区画室を備えた複数の袋体のために用いられる。2つ又はそれ以上の区画室を有する袋体のためには、1つ又はそれ以上の付加的ウェブ(中間ウェブ)を追加する。
【0036】
2つ又はそれ以上の区画室を有する複数の袋体のためには、複数のウェブは同様な条件下で溶解してもよい。そうするとそれぞれの区画室は実質的に同じ時点で開かれるようになる。又は、複数のウェブは互いに異なる条件で溶解してもよい。そうするとそれぞれの区画室は別々の時期に開口する。好ましくは、水温やペーハの変化に応じてそれぞれの区画室が連続的に開口するようにするとよい。
【0037】
その他の実施の形態では、2つ又はそれ以上の区画室を有し水溶性高分子基材の複数のウェブで形成された複数の袋体を製造するための連続回転熱成形装置であり、周面に複数の袋体成形キャビティを有する回転する成形器を有する。また加熱手段とそれぞれのキャビティの底部を通じて真空を作用させる真空手段とが設けられ、ひとたび熱成形されると、真空が解除されて充填され封止された袋体がそれぞれのキャビティから放出されるまで、真空手段は充填、封止、切断ステーションにおいてベースウェブをキャビティの底部に強固に保持する。
【0038】
ベースウェブはその他の手段により微細孔が形成されているか、多孔質のものである。2つの区画室を有する袋体の場合には、第3のウェブが提供される。
【0039】
本装置は3つの高分子基材によって構成される複数の袋体を製造できる。高分子基材は水溶性である。3枚のウェブの溶解温度は互いに同一である。すると複数の区画室は実質的に同時期に開口する。または3枚のウェブの溶解温度は互いに異なっている。すると、複数の区画室は互いに異なる時期に開口する。好ましくは袋体の複数の区画室は、水温の変化によって連続的に開口する。水温による変化に代えて又は水温による変化とともにペーハの変化その他使用される高分子基材の溶解性に影響を与える因子によって袋体の開口時期は変化する。
【0040】
好ましい実施の形態によると、第3のウェブが装置に設置され、図6に概略的に示されるような2つの区画室を有する袋体が提供される。ベースウェブ13は上述した態様で装置に供給される。しかしながら本実施の形態ではベースウェブは微細孔をなすか多孔質である。それはウェブ供給業者によって提供されるか、装置に設置された穿孔ユニット25によってインラインで微細孔を形成するか、その他の手段による。多孔性のベースウェブが過熱されたドラムまたは無端ベルトに到着するとすぐに、成形機内の真空によってベースウェブを介して微細穿孔はその他の多孔を通じて空気を引き抜く。ただし微細孔の場合にはそれらの数や大きさ、パターンはベースウェブを有効に熱成形するのを妨げる程度のものではない。第1の内容物が第1のホッパ又はインジェクタ18から充填され、次に第2のウェブ20でベースウェブを封止して上述した本発明の観点でのように第1の下側区画室が形成される。ここで、第2のウェブがベースウェブを封止するとすぐに、ベースウェブの微細孔の存在や多孔性によって下側区画室はドラム又は無端ベルト内の真空によって空気が引き抜かれる。微細孔を通じて第1の下側区画室の空気を引き抜くことで、第2ウェブ20はキャビティ内に落ち込み、そのことにより第2ウェブの上側に内容物供給ホッパ又はインジェクタ19からの第2の内容物が収容される空間である第2の上側区画室が提供される。第2の上側区画室は充填され、第3のウェブ21によって覆われて加熱されたローラ17によって封止される。好ましくは、下側区画室には粉体や粒状の内容物が充填され、上側区画室には第2の粉体又は粒状体か液体又はジェル状の内容物が充填される。
【0041】
多孔性を具備するための別の手段としては、ウェブ内に適当なサイズの鉱物粒子を含ませることである。そのことにより粒子の回りに微細な空気通路が発生することでウェブが多孔性となる。ただしかかる手段に限定されない。多孔性を具備させるために鉱物粒子をウェブに含ませる場合には、粒径はウェブの厚さよりも大きくする。
【0042】
本発明の第2の観点によれば、1つ又はそれ以上の新規な充填動作が採用されて、袋体の内容物に変化をもたせることにある。これら動作は図9(a)乃至図9(d)に示されている。ただしこれらの図には限定されるものではない。
【0043】
充填動作の一例としては、液体やジェル又は粉体が水溶性袋体の1つ又はそれ以上の区画室に充填されるに際して、その充填に先立つか又は充填と同時か又は充填後に、球形、半球、楕円、その他の3次元形状の物体、例えばタブレットやカプセル(これらに限定されない)が、熱成形されたポケット内に配置される。
【0044】
このような3次元形状の物体は、液体又はジェル内には存在していない活性物質を含んでもよい。3次元形状の物体の中の1種又はそれ以上の物質が、液体又はジェル内の1種又はそれ以上の物質と拮抗(干渉しあう)するような場合には、3次元形状の物体は水溶性ポリマーにて塗布される。この水溶性ポリマーは、袋体形成に用いられる1つ又はそれ以上のウェブを構成する高分子材料と同様または類似するものである。
【0045】
3次元形状の物体は袋体が水溶性媒体に接触したときに完全に溶解する必要はない。例えば、その物体は中空で、水溶性媒体中では溶解せず、水溶性媒体に置かれたときに穿孔を通じて物体内の内容物が放出されるが、3次元物体を構成している穿孔された外殻は溶解せずに留まっている。
【0046】
別の充填動作としては、区画室内に3次元物体を入れるか否かにかかわらず、水溶性袋体の一つの区画室内に1つ又はそれ以上の液体又はジェルと粒状体又は粉体との組合せたものを入れてもよい。それらの物が混ざり合ってそれら個々の正体(アイデンティティ)が視覚的に判らなくなることのないように、液体又はジェルは十分に高温にして溶融状態で充填されてもよい。少なくとも溶融物質の上面はポケット内で急速に固化して、その上に粒状体又は粉体が充填されても互いに実質的に混り合うことは避けられる。溶融液体又はジェルの温度は、ポケット内において熱成形された水溶性ウェブの歪みが生じない程度に、高すぎないようにしなければならない。ポケット内で溶融状態の液体又はジェルを受け入れる水溶性ウェブが、実質的にポリビニルアルコールの場合には、ウェブに接触する溶融状態の液体の温度はウェブの融点よりも10度またはそれ以下とすることで、歪みが防止できる。
【0047】
ベースウェブは微細孔が形成されてもよく、微細孔の形成は、機械的手段又はレーザ又はその他の適切な手段例えばそれぞれのキャビティに配置されている針などにより、ウェブを装置に配置した状態でインラインで行うか、フィルム供給業者やその委託業者によってオフラインで行われる。
【0048】
第3の観点として本発明は、第1の加熱された封止ローラで封止した後に少なくとも1つの付加的な加熱された封止ローラでトップウェブと第2ウェブとの間の封止を行うことで、封止を強めることができる連続回転熱成形機である。
【0049】
第4の観点として本発明は、1つ又はそれ以上のウェブのいずれかの面が、ほどかれるウェブと加熱された封止ローラとの間で、インラインで塗布を受けるかプリントされる連続回転熱成形機である。
【0050】
第3及び第4の観点における装置は、第1の観点による発明のいずれかの特徴を具備する。
【0051】
本発明は更に、2つ又はそれ以上の高分子基材によって複数の可用性の好ましくは水溶性の袋体を製造するための上述した本発明の観点による装置を用いた製造方法を提供する。
【0052】
本発明は更に、請求項1に規定された装置を提供し、その装置の好ましい特徴は請求項2乃至14に記載されている。この装置を用いた方法は請求項15乃至22に記載され、この方法により製造される袋体は請求項23に記載され、袋体の形成方法は請求項24に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】外付けの複数の熱風ヒータを備えた本発明の第1の実施の形態による装置の概略側面図。
【図2】外付けの複数の赤外線ヒータを備えた本発明の第2の実施の形態による装置の概略側面図。
【図3】複数の内部ヒータを備えた本発明の第3の実施の形態による装置の概略側面図。
【図4】2個の熱封止ローラを備えた本発明の第4の実施の形態による装置の概略側面図。
【図5】ウェブをコーティングする態様を示した本発明の第5の実施の形態による装置の概略側面図。
【図6】2個以上の画成室を備えた袋体を製造する態様を示した本発明の第6の実施の形態による装置の概略側面図。
【図7】無端ベルトを備えた本発明の第6の実施の形態による装置の概略側面図。
【図8】無端ベルトを備えた本発明の第7の実施の形態による装置の概略側面図。
【図9(a)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【図9(b)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【図9(c)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【図9(d)】本発明の装置において包装体に内容物を充填する動作を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の複数の実施の形態について図1から図6を参照して説明する。これら実施の形態では、複数のキャビティ11を備えたドラム10が用いられる。ドラムは適当な手段によって駆動軸10aを介して連続的に回転する。適当な手段は例えばモータであり、好ましくは電動モータであり、より好ましくは可変速の電動モータである。
【0055】
図1乃至図3の実施の形態では、ドラム10は加熱され、特にドラム10のキャビティ11は前述した様々な手段によって加熱される。図1の実施の形態では外付けの熱風ヒータ125が用いられ、図2では外付けの赤外線ヒータ225が用いられ、図3ではドラム内に設けられた電気ヒータ325が用いられる。
【0056】
ドラム10は矢印12で示される方向に回転する。複数の溶解性の袋体が、ロール13とロール20のそれぞれから引き出される2個のウェブから形成される。これらウェブは好ましくは溶解性の高分子基材を有し、それは互いに同様な温度で溶解する水溶性のフィルムである。ロール13からの第1のウェブ(ベースウェブ)は、加熱されたローラ14によって案内される。キャビティ11はドラム10の周面に位置し、ローラ14は第1のウェブをキャビティ11上で強固に押圧し、フィルム(第1のウェブ)は負圧によってドラム10内に引き込まれて複数のポケットを形成する。キャビティ11内の表面温度や加熱ローラ14の温度は、フィルムの種類や厚さ、ドラムの回転速度に依存する。好ましくは、キャビティ11内の表面温度は少なくとも摂氏60度である。キャビティを囲むドラムの表面は平滑でなければならず、研磨されているのが好ましい。ドラム10の頂部(12時の位置)でポケットは充填ホッパ又はインジェクタ18から充填される。粒状又は粉体状の生成物の場合には、充填物はワイパ(図示せず)によって平滑化され、ワイパは更にフィルム上面のポケット周囲の生成物を取り除く。ロール20からの第2のウェブ(トップウェブ又は覆う側のウェブ)は、フェルトローラ15によって十分な程度に濡らされることで粘着性を帯びる。フェルトローラ15は、液体浴槽内で回転しており、その液体は第2のウェブを溶解させる性質のものである。第2のウェブに粘着性を持たせるようにするためには、第2ウェブの表面に液体を供給する量を精密に制御することがきわめて重要である。量が過小であると、所望の粘着性が得られず、量が過多であるとフィルムが脆弱となり究極的には溶解してしまう。液体の供給量は、ロール20からのウェブを鉛直経路に沿って移動させること、図1〜図3ではローラ16によって規定される経路を移動させることによりきわめて精密に制御できる。液体の第2フィルムに対する供給点に関して浴槽内の液面を一定に維持することにより、(又は、供給点と浴槽の液面との距離を一定にすることにより)、フィルムの表面に供給される液体の量は正確に制御される。トップウェブが過熱ローラ16を通過するときに、トップウェブとベースウェブとは互いに加圧される。複数のキャビティを取り囲むドラム10の表面に対して加熱ローラ16は図示せぬスプリングによって弾性的に加圧される。充填された袋体の周囲は熱と溶剤接着との組合せによって確実に封止される。ドラム内の真空によってキャビティに保持されている封止された袋体は、次に、複数の横断ナイフ22と図示せぬ複数の縦ナイフによって互いに分離され、その後、空気吹き出しによって飛び出て搬送ベルト23上に落下する。
【0057】
図4に示される実施の形態では、ドラム10は図1〜図3で説明したいずれかの方法によって加熱されるか、または加熱されなくてもよい。ベースウェブとトップウェブとの間の封止性能は、ドラムの10時と11時方向の間に位置すする第2加熱ローラ21を付設することによって更に向上できる。液体とジェルを充填した袋体の封止性能の向上のために第2加熱ローラを設けることが特に有益であることが判明した。第2加熱ローラを用いて製造された封止された袋体と第2加熱ローラを用いないで製造された封止された袋体とを、真空室内で厳密に比較試験を行った結果、封止性能の向上が立証された。製造装置におけるその他の構造は上述した実施の形態と同様である。
【0058】
図5に示される実施の形態では、ドラム10は図1〜図3で説明したいずれかの方法によって加熱されるか、または加熱されなくてもよい。ローラ20からのトップウェブは、ドラムに到着する前に、ウェブの封止面が塗布されるかプリントされてもよい。トップウェブの封止面に対して塗布するかプリントするのがより有益であるが、本発明ではトップウェブの両面に塗布してもよい。トップウェブの封止面にカラーコーティングをすることが最も実践的であるが、その他のコーティングでもよい。例えば香料、酵素、活性材料等の塗布が考えられる。混合タンク30を浴槽34に隣接して設置し、供給管31によって塗布剤を浴槽34に送ることにより、簡便に塗布が実現できる。製造装置におけるその他の構造は上述した実施の形態と同様である。
【0059】
図6に示される実施の形態では、ドラム10は図1〜図3で説明したいずれかの方法によって加熱されるか、または加熱されなくてもよい。上述した2つのウェブに加えて、追加のウェブを用いることによって複数画成室を有する袋体が製造される。本実施の形態では、ローラ13からのベースウェブは好ましくは微細な多孔性ウェブであり、インラインの穿孔ユニット25またはフィルム提供業者又はその下請業者側によるオフラインの装置によって微細孔が形成される。インラインの穿孔ユニット25による微細孔形成の場合には、レーザ、その他の適当な手段によって機械的に穿孔される。ベースウェブの熱成形行程においてもそれぞれのキャビティの底部に1個またはそれ以上の針を位置させることにより微細孔が形成できる。ベースウェブによって形成されたポケットにホッパ又はインジェクタ18から充填物を充填し、ローラ20からのウェブで封止される。ベースウェブとローラ20からの第2ウェブによって形成された下側の画成室に内容物が充填され第1の加熱ローラ16によって画成室が封止されると、第1の画成室となる熱成形された基部であるベースウェブ13の穿孔の存在により、ドラム内の真空によって充填物内の空気が下側画成室から脱気される。下側画成室内に充填され封止された内容物が脱気された結果、下側画成室の蓋となるローラ20からの第2ウェブはドラム内の真空によって下方に引かれ、キャビティ内に上側画成室用の空間が形成される。空間内にはホッパ又はインジェクタ19から充填物が充填される。次に、トップウェブ21がローラ26から引き出され、フェルトローラ24を用いて溶剤で湿らされ、加熱ローラ17によって封止されて袋体における上側画成室が形成される。製造装置におけるその他の構造は上述した実施の形態と同様である。
【0060】
ベースウェブに多数の微細孔を形成せずに、多画成室を備えた袋体を別の方法によって製造してもよい。また、ベースウェブはその他の微細孔穿孔手段によって多孔質としてもよい。例えばベースウェブを粒子状物質に含浸させ、ウェブを貫通する微細な通路を複数提供する。ただし、これらはベースウェブを多孔質にするための例であり、これら方法に限定されない。ベースウェブがいかなる方法で多孔質となろうとも、上述した方法と同様な方法によってベースウェブが既に多孔質となっている状態で第2のウェブはドラム内の真空によってキャビティ内に引き落とされる。別の方法として、ベースウェブを多孔質とすることなく、またドラムまたは無端ベルト内を真空として第2のウェブをキャビティ内に引き落とす代わりに、機械的な手段又はウェブを外側で横切るように配置された空気ジェットを用いて、充填ステーションの前の段階で第2ウェブをキャビティの底部方向に押圧するようにしてもよい。
【0061】
本実施の形態では、いかなる方法で多孔質にしたベースウェブを用いる場合には、下側画成室に収容された内容物は自然状態で好ましくは粒状または粉体状であり、内容物が多孔質のウェブから漏れ出ないようにしている。2個又はそれ以上の画成室を備えた袋体であって少なくとも下側画成室に液体またはジェル状の内容物を収容する場合には、ベースウェブは多孔質とはしない。
【0062】
図7,図8に示される実施の形態では、上述したドラム10に代えて、キャビティ11を有する無端ベルト100が設けられる。無端ベルト100は側面視で、水平部を含んだ略長円状の経路を周回(回転)する。かかる構成により、単一の画成室を備えた袋体内に2種以上の充填物を充填するためのより広い空間を得ることが可能となる。無端ベルト100は適当な手段を用いて連続的に周回する。適当な手段とは例えばモータで歯車100aを駆動することであり、好ましくは電動モータ、より好ましくは可変速電動モータである。
【0063】
図7に示される実施の形態では、加熱された封止ローラ16によりトップウェブ20が熱成形されたベースウェブに封止されて単一の画成室が閉鎖される前に、互いに異なる内容物を充填している2体の充填装置18、194を用いて2回の充填動作が行われる。
【0064】
図8に示される実施の形態では、加熱された封止ローラ16によりトップウェブ20が熱成形されたベースウェブに封止されて単一の画成室が閉鎖される前に、互いに異なる内容物を充填している3体の充填装置18、194、195を用いて3回の充填動作が行われる。
【0065】
図7、図8の無端ベルト100が備える複数のキャビティは、上述した手段によって加熱してもよい。また、無端ベルト100を用いて単一の画成室を備えた袋体のみならず、複数の画成室を備えた袋体を製造してもよい。
【0066】
図9(a)は、単一の画成室内において、互いに異なる内容物が互いに混ざることがなく、潜在的に拮抗していることを示している。それは、はじめに第1の溶融ジェルを充填し、次にジェルの上面を冷却手段で冷却して皮膜を形成し、次に粒体又は粉体の内容物を固化したジェルの上面に両者が互いに混ざり合わないように直接充填する。
【0067】
図9(b)は、単一の画成室内において、互いに異なる3種の内容物が互いに混ざることがなく、潜在的に拮抗していることを示している。それは、図9(a)の動作に加えて、溶融ジェルの上面に固化した皮膜が生成される前に、3次元固形物例えば球体を溶融ジェル内に挿入する。3次元固形物と溶融ジェルとの間の化学的物理的相互作用を防ぐために、袋体に用いられるウェブのいずれか一方又は両方と類似するか同一の材料のポリマー材料を、3次元固形物に塗布する。塗布は、本装置内でインラインで行われるか、別の工程でオフラインで行われる。粒体又は粉体の内容物を固化し終わったジェルの上面に充填することで袋体の充填が完了する。
【0068】
図9(c)は、図9(b)と同様に単一の画成室内において、互いに異なる3種の内容物が収容されることを示しているが、図9(b)とは異なり固化し終わった溶融ジェルの上面に第2のジェルを充填するものである。
【0069】
図9(d)は、多種のジェルを収容した単一の画成室を有する袋体を、静止する複数のノズル又は回転する複数のノズルを用いて製造する過程を示しており、ジェルは互いに組成、色、外観のいずれか又は全部が異なり、袋体内で魅力的な模様をなしている。
【0070】
図面に示される整理番号のうち、10は回転するドラム(成形器)、10aは駆動軸、11はキャビティを形成するポケットであり、回転する成形器の周面に位置する。12は成形器が回転する方向を示す。13はほどかれる第1のウェブである。14はベースウェブがドラムに到着したときにベースウェブを加熱する加熱ローラ、15はウェブに溶剤を供給するフェルトローラ、16、17は加熱された封止ローラ、18は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、キャビティが充填機の下方を通過するときに充填を行う。19は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、袋体の第2の画成室に対して充填を行う。20はほどかれる第2ウェブである。21は加熱された封止ローラ、22は回転軸に設けられた横断ナイフ、23は封止され充填された袋体を機械から離間する方向に搬送するコンベア、24はウェブに溶剤を供給する第2のフェルトローラ、25はインラインの穿孔機、26はほどかれる第3のウェブ、30は混合タンク、31は混合タンクから濡れタンクへの供給管、32は溶剤供給管、33は塗布剤またはプリント媒体供給管、34は濡らすための浴槽、100は周回する無端ベルト、100aは歯車、135は外付けの熱風ジェット、194は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、袋体の単一の画成室に対して第2の内容物の充填を行う。195は充填機、ホッパ又はインジェクタであり、袋体の単一の画成室に対して第3の内容物の充填を行う。225は外付けの赤外線ヒータであり、325は内装の電気ヒータである。
【0071】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10:ドラム(成形器)
10a:駆動軸
11:ポケット
13:第1のウェブ
14:加熱ローラ
15:フェルトローラ
16、17:封止ローラ
18、19:ホッパ又はインジェクタ
20:第2ウェブ
21:封止ローラ
22:横断ナイフ
23:搬送コンベア
24:第2のフェルトローラ
25:穿孔機
26:第3のウェブ
30:混合タンク
31:供給管
32:溶剤供給管
33:塗布剤またはプリント媒体供給管
34:浴槽
100:無端ベルト
100a:歯車
135:熱風ジェット
194:195:充填装置
225:赤外線ヒータ
325:電気ヒータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの可溶性高分子基材のウェブで形成された可溶性の複数の袋体を製造するための連続回転熱成形装置であって、
周面に複数の袋体成形キャビティを有する成形器と、
成形、内容物充填、封止、切断ステーションを通過している間、該成形器の回転する方向に該キャビティが無端の通路をたどるように該成形器を連続的に回転するための回転手段と、
該キャビティを加熱する加熱手段と、
それぞれのキャビティの底部を通じて真空を作用させる真空手段と、を有し、ひとたび熱成形されると、真空が解除されて充填され封止された袋体がそれぞれのキャビティから放出されるまで、該真空手段は充填、封止、切断ステーションにおいてベースウェブを該キャビティの底部に強固に保持することを特徴とする連続回転熱成形装置。
【請求項2】
切断ステーションの後に、該キャビティの底部に圧縮空気を作用して、充填され封止された袋体をそれぞれのキャビティから放出させる圧縮空気供給手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
1個又はそれ以上のキャビティの表面温度は少なくとも摂氏60度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
該加熱手段は、外付けの熱風ジェットで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項5】
該加熱手段は、外付けの赤外線ヒータで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項6】
該加熱手段は、内装された加熱素子で構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項7】
該加熱手段は、外付けの熱風ジェット、外付けの赤外線ヒータ、内装された加熱素子のなかのいずれかの組合せにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項8】
2個のウェブを互いに封止して袋体または袋体の画成室を形成するための少なくとも1つの熱封止ローラを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の装置。
【請求項9】
2個のウェブを互いに順次封止して袋体又は袋体の画成室を形成するための少なくとも2個又はそれ以上の熱封止ローラを更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
、ウェブをコーティング又はプリントするローラをほどかれたウェブと加熱された封止ローラとの間に設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の装置。
【請求項11】
該成形器は回転可能なドラムにて構成されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載の装置。
【請求項12】
該成形器は回転可能な無端ベルトにより構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の装置。
【請求項13】
ベースウェブを穿孔する穿孔手段が更に設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載の装置。
【請求項14】
該袋体は水溶性の袋体であり、水溶性の高分子基材を有する複数のウェブにて形成された2個又はそれ以上の画成室を含んでいる袋体を製造すること特徴とする請求項1乃至13のいずれか一に記載の装置。
【請求項15】
2個又はそれ以上の可溶性の高分子基材製の複数の袋体を製造するための、請求項1乃至14のいずれか一に記載された装置を用いた方法。
【請求項16】
複数のウェブの溶解温度は互いに等しいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複数のウェブの溶解温度は互いに異なることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複数の袋体は水溶性であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
複数の袋体は、2個又はそれ以上の画成室を有し、それら画成室は水温又はペーハの変化によって順次開くことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該袋体の下側画成室は、粒状又は粉体状の内容物を収納することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
粒状体又は粉体物、ジェル、3次元個体物のうちの少なくとも2種が該袋体の1箇又はそれ以上の画成室内に収納され、それらすべての収納物は互いに混じり合うことなく、また互いに性質を変化させることなく拮抗して収納されていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
別の手段によりベースウェブは穿孔されているか又は多孔質に形成されていること特徴とする請求項15乃至21のいずれか一に記載の方法。
【請求項23】
請求項15乃至22のいずれか一に記載の方法によって製造された水溶性の袋体。
【請求項24】
可溶性の高分子基材製の少なくとも2個のウェブにより袋体を製造する方法であって、
複数のキャビティを有する成形器を提供する工程と、
該成形器を連続的に回転する工程と、
該キャビティを加熱する工程と、
真空によりベースウェブを複数のキャビティ内に引きつけベースウェブに複数のポケットを形成する工程と、
少なくとも1つの内容物を複数のポケットに充填する工程と、
トップウェブによって複数のポケットを封鎖する工程を備えたことを特徴とする方法。
【請求項1】
少なくとも2つの可溶性高分子基材のウェブで形成された可溶性の複数の袋体を製造するための連続回転熱成形装置であって、
周面に複数の袋体成形キャビティを有する成形器と、
成形、内容物充填、封止、切断ステーションを通過している間、該成形器の回転する方向に該キャビティが無端の通路をたどるように該成形器を連続的に回転するための回転手段と、
該キャビティを加熱する加熱手段と、
それぞれのキャビティの底部を通じて真空を作用させる真空手段と、を有し、ひとたび熱成形されると、真空が解除されて充填され封止された袋体がそれぞれのキャビティから放出されるまで、該真空手段は充填、封止、切断ステーションにおいてベースウェブを該キャビティの底部に強固に保持することを特徴とする連続回転熱成形装置。
【請求項2】
切断ステーションの後に、該キャビティの底部に圧縮空気を作用して、充填され封止された袋体をそれぞれのキャビティから放出させる圧縮空気供給手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
1個又はそれ以上のキャビティの表面温度は少なくとも摂氏60度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
該加熱手段は、外付けの熱風ジェットで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項5】
該加熱手段は、外付けの赤外線ヒータで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項6】
該加熱手段は、内装された加熱素子で構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項7】
該加熱手段は、外付けの熱風ジェット、外付けの赤外線ヒータ、内装された加熱素子のなかのいずれかの組合せにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の装置。
【請求項8】
2個のウェブを互いに封止して袋体または袋体の画成室を形成するための少なくとも1つの熱封止ローラを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の装置。
【請求項9】
2個のウェブを互いに順次封止して袋体又は袋体の画成室を形成するための少なくとも2個又はそれ以上の熱封止ローラを更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
、ウェブをコーティング又はプリントするローラをほどかれたウェブと加熱された封止ローラとの間に設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の装置。
【請求項11】
該成形器は回転可能なドラムにて構成されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載の装置。
【請求項12】
該成形器は回転可能な無端ベルトにより構成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の装置。
【請求項13】
ベースウェブを穿孔する穿孔手段が更に設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一に記載の装置。
【請求項14】
該袋体は水溶性の袋体であり、水溶性の高分子基材を有する複数のウェブにて形成された2個又はそれ以上の画成室を含んでいる袋体を製造すること特徴とする請求項1乃至13のいずれか一に記載の装置。
【請求項15】
2個又はそれ以上の可溶性の高分子基材製の複数の袋体を製造するための、請求項1乃至14のいずれか一に記載された装置を用いた方法。
【請求項16】
複数のウェブの溶解温度は互いに等しいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
複数のウェブの溶解温度は互いに異なることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複数の袋体は水溶性であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
複数の袋体は、2個又はそれ以上の画成室を有し、それら画成室は水温又はペーハの変化によって順次開くことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該袋体の下側画成室は、粒状又は粉体状の内容物を収納することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
粒状体又は粉体物、ジェル、3次元個体物のうちの少なくとも2種が該袋体の1箇又はそれ以上の画成室内に収納され、それらすべての収納物は互いに混じり合うことなく、また互いに性質を変化させることなく拮抗して収納されていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
別の手段によりベースウェブは穿孔されているか又は多孔質に形成されていること特徴とする請求項15乃至21のいずれか一に記載の方法。
【請求項23】
請求項15乃至22のいずれか一に記載の方法によって製造された水溶性の袋体。
【請求項24】
可溶性の高分子基材製の少なくとも2個のウェブにより袋体を製造する方法であって、
複数のキャビティを有する成形器を提供する工程と、
該成形器を連続的に回転する工程と、
該キャビティを加熱する工程と、
真空によりベースウェブを複数のキャビティ内に引きつけベースウェブに複数のポケットを形成する工程と、
少なくとも1つの内容物を複数のポケットに充填する工程と、
トップウェブによって複数のポケットを封鎖する工程を備えたことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図9(d)】
【公表番号】特表2013−511445(P2013−511445A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539435(P2012−539435)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003144
【国際公開番号】WO2011/061628
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512132505)リドー マシーナリー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003144
【国際公開番号】WO2011/061628
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512132505)リドー マシーナリー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]