説明

可燃性ガスを生成及び分離するための方法及び装置

電解装置(10)は、前記装置(10)内に配置された電解液が電気分解する際に生成される可燃性流体、特に、酸素及び水素を主として含有する可燃性流体を生成及び分離する。装置(10)は、アノードである第1の外部電極(12)と、カソードである第2の外部電極(14)と、間隔を置いて配置された2つの有孔部材であって、互いにほぼ平行に配列され、かつ、2つの端部電極(12及び14)の間に配置された第1の有孔部材(16)及び第2の有孔部材(18)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性ガスを生成及び分離するための方法及び装置に関する。特に、本発明は、水性電解液が電気分解する際に生成される水素ガス及び酸素ガスを、生成時に分離する電解セル及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解セルは、電気を用いて水を気相の水素及び酸素に変換する。公知の電解セルは、電解プロセスで生成される水素ガス及び酸素ガスを分離するために、プロトン交換膜を有している。電解セルは、さらに、プロトン交換膜の第1の面に沿って配置されるアノードと、前記プロトン交換膜の第2の対向面に沿って配置されるカソードとを有している。
【0003】
公知のプロトン交換膜は、一般にアイオノマーで形成され、酸素及び水素などの気体を通さずプロトンを伝導するように設計された半透膜である。電解セルに組み入れられた場合のプロトン交換膜の主な機能は、反応物を分離し、プロトンを運搬することである。プロトン交換膜は、純粋な高分子膜、又は、他の材料が高分子マトリックス中に埋め込まれた複合部材で形成され得る。
【0004】
公知のプロトン交換膜の第1の欠点は、膜のコストが高いことである。これは、水素の電子とプロトンを分離するために貴金属触媒(通常は、白金)を用いる必要があるためである。白金触媒はまた一酸化炭素中毒に対して非常に敏感であるため、水素がアルコール又は炭化水素燃料から得られる場合には、燃料ガス中の一酸化炭素を低減させるためにさらなるリアクタを使用する必要がある。そして、このことも、公知のプロトン交換膜を使用する際のコスト高に繋がってしまう。
【0005】
公知のプロトン交換膜のさらなる欠点としては、比較的低い相対湿度では伝導性が低いこと、約100℃を上回る温度では機械特性が良好でないことが挙げられる。これらの膜の動作温度は、比較的低く、100℃付近の温度は、有用なコジェネレーションを行うには不十分である。
【0006】
本明細書において、「可燃性流体」という用語は、その範囲内に、気相の水素及び/又は酸素を主として含有する可燃性ガスを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の欠点を克服し、可燃性ガスを分離するための公知の電解セル及び方法の有用な代替である、可燃性ガスを生成及び分離するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、電解プロセス中に電解液から生成される可燃性流体を分離するための方法であって、
電解液を提供する工程と、
その間に第1のチャンバを規定し、少なくとも1つの入口を有する、間隔を置いて配置された第1の有孔部材及び第2の有孔部材を有し、両有孔部材は、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の可燃性流体出口を有する第1の可燃性流体収集チャンバが、前記第1の有孔部材と前記第1の電極との間に規定され、第2の可燃性流体出口を有する第2の可燃性流体収集チャンバが、前記第2の有孔部材と前記第2の電極との間に規定される電解装置を提供する工程と、
入口を介して前記電解液を前記第1のチャンバへと通過させ、前記電解液が両有孔部材を通して同時に前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバへと通過するようにする工程と、
前記電極に電圧を印加して、前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバにおける前記電解液を電気分解し、第1の可燃性流体が、前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、第2の可燃性流体が、前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、前記第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口を介して前記第1の可燃性流体収集チャンバから排出され、前記第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口を介して前記第2の可燃性流体収集チャンバから排出されるようにする工程とを含む方法が提供される。
【0009】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、第1の外部電極及び第2の外部電極であってもよく、前記方法は、複数の中間浮遊電極を提供する工程を含み得る。
【0010】
前記第1のチャンバを規定し、少なくとも1つの入口を有する前記第1の有孔部材及び前記第2の有孔部材は、一緒になって1セットの有孔部材であってもよく、前記方法は、1つの中間浮遊電極を隣接する有孔部材のセットの間に配置して、背合せ構成で配列された複数セットの有孔部材を提供する工程を含み得る。
【0011】
前記電解装置は、少なくとも1つの入口経路を、すべての前記入口と流体フローが連通するように規定してもよく、前記方法は、前記入口経路を介して前記電解液を前記有孔部材のすべてのセットの前記第1のチャンバへと通過させるようにする工程を含み得る。
【0012】
前記電解装置は、少なくとも1つの第1の可燃性流体出口経路を、すべての前記第1の可燃性流体出口と流体フローが連通するように規定し、第2の可燃性流体出口経路を、すべての前記第2の可燃性流体出口と流体フローが連通するように規定してもよく、前記配置では、前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で形成される前記第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口経路を介して前記電解装置から排出され、前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で形成される前記第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口経路を介して前記電解装置から排出される。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、電解プロセス中に電解液から生成される可燃性流体が分離される電解装置であって、
間隔を置いて配置された第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、間隔を置いて配置された第1の有孔部材及び第2の有孔部材と、
前記第1の有孔部材と前記第2の有孔部材との間に規定された第1のチャンバと、
前記第1の有孔部材と前記第1の電極との間に規定された第1の可燃性流体収集チャンバと、
前記第2の有孔部材と前記第2の電極との間に規定された第2の可燃性流体収集チャンバと、
前記電解液のための前記第1のチャンバへの少なくとも1つの入口と、
前記第1の可燃性流体収集チャンバからの第1の可燃性流体出口と、
前記第2の可燃性流体収集チャンバからの第2の可燃性流体出口とを備え、
前記配置では、前記電解液は、前記入口を介して前記第1のチャンバへと通過し、両有孔部材を通して同時に前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバへとそれぞれ通過し、そこで電気分解が発生し、第1の可燃性流体が、前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、第2の可燃性流体が、前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、前記第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口を介して前記第1の可燃性流体収集チャンバから排出され、前記第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口を介して前記第2の可燃性流体収集チャンバから排出される電解装置が提供される。
【0014】
前記第1の電極は、第1の外部電極であってもよく、前記第2の電極は、第2の外部電極であってもよく、前記装置は、複数の中間浮遊電極を含み得る。
【0015】
前記第1のチャンバを規定し、前記少なくとも1つの入口を有する前記第1の有孔部材及び前記第2の有孔部材は、1セットの有孔部材であってもよく、前記装置は、1つの中間浮遊電極を隣接する有孔部材のセットの間に配置して、背合せ構成で互いに接続された複数セットの有孔部材を含み得る。
【0016】
前記電解装置は、前記有孔部材のセットを形成する前記2つの有孔部材の間の周辺領域に配置されたガスケットを含み得る。
【0017】
前記ガスケットは、第1のガスケットであってもよく、前記電解装置は、それぞれが、隣接する有孔部材のセットの間の周辺領域に配置され、前記中間浮遊電極の外周を囲む複数の第2のガスケットを含み得る。
【0018】
各有孔部材には、前記有孔部材を前記隣接する有孔部材及び電極から間隔を置いて配置するための、その両面から突出するスペーサ手段が設けられ得る。
【0019】
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極には、それぞれ、電圧を前記電解装置に供給して前記電解液を電気分解する電源に接続するためのコネクタが設けられ得る。
【0020】
前記電極及び前記有孔部材は、すべてディスク状であってもよく、前記装置は、円筒状である。
【0021】
前記装置は、前記電解液を前記装置を通して循環させて前記電解液を前記第1のチャンバへ強制的に流入させるためのポンプなどの循環手段を含み得る。
【0022】
前記有孔部材の前記入口は、入口経路を規定するように位置合わせされていてもよく、電解液が、前記入口経路を介して前記装置のすべての前記第1のチャンバへと通過する。
【0023】
前記第1の可燃性流体出口は、第1の可燃性流体出口経路を規定するように位置合わせされていてもよく、すべての前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で生成される第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口経路を介して前記装置から排出される。
【0024】
前記第2の可燃性流体出口は、第2の可燃性流体出口経路を規定するように位置合わせされていてもよく、すべての前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で生成される第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口経路を介して前記装置から排出される。
【0025】
前記装置は、前記第1の可燃性流体出口経路に接続された第1の可燃性流体収集コンテナと、前記第2の可燃性流体出口経路に接続された第2の可燃性流体収集コンテナとを含み得る。
【0026】
前記第1の可燃性流体収集コンテナ及び前記第2の可燃性流体収集コンテナは、それぞれ、操作によって底端部となる各コンテナの部分に向かって設けられた第2の電解液出口と、操作によって頂端部となる前記第1の可燃性流体収集コンテナ及び前記第2の可燃性流体収集コンテナのそれぞれの部分に向かって設けられた第1の可燃性ガス出口及び第2の可燃性ガス出口とを有していてもよく(each have a second electrolytic solution outlet located towards the operatively bottom end of each container and a first combustible gas and second combustible gas outlet located towards the operatively top end of the first and second combustible fluid collection containers respectively)、前記配置では、電解液は、前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバから、それぞれのガスと共に、前記第1の可燃性流体収集コンテナ及び前記第2の可燃性流体収集コンテナへと、前記第1の可燃性流体出口及び前記第2の可燃性流体出口から排出されてもよく、その後、第1の可燃性ガス及び第2の可燃性ガスが前記第1の可燃性ガス出口及び前記第2の可燃性ガス出口を介して前記コンテナから排出され、前記電解液は、前記第2の電解液出口を介して前記コンテナから排出され、前記循環手段を介して前記入口へと循環され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施の形態による電解装置の一部の分解斜視図である。
【図2】図2は、図1の電解装置の斜視図である。
【図3】図3は、III−III線に沿った図2の装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照しながら本発明を実施例によってさらに説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0029】
図面を参照すると、本発明の好ましい実施の形態による電解装置は、概して参照符号10によって示される。
【0030】
電解装置10は、装置10内に配置された電解液が電気分解する際に形成される可燃性流体、特に、水素及び酸素を主として含有する可燃性流体を生成及び分離するように構成されている。装置10は、アノードである第1の外部電極12と、カソードである第2の外部電極14とを備えている。第1の外部電極12及び第2の外部電極14は、互いにほぼ平行に配置され、かつ、互いに間隔を置いて配置されている。
【0031】
装置10はさらに、間隔を置いて配置された2つの有孔部材である、第1の有孔部材16及び第2の有孔部材18を含んでいる。2つの有孔部材16及び18もまた、互いにほぼ平行に配置され、かつ、互いに間隔を置いて配置され、共に2つの端部電極12及び14の間に配置されている。第1のチャンバ20は、第1の有孔部材16と第2の有孔部材18との間に配置されている。酸素収集チャンバ22である第1の可燃性流体収集チャンバは、第1の有孔部材16と第1の電極12との間に配置され、水素収集チャンバ24である第2の可燃性流体収集チャンバは、第2の有孔部材18と第2の電極14との間に配置されている。
【0032】
第1のチャンバ20は、電解液を第1のチャンバ20へと通過させるための2つの入口26を有している。酸素収集チャンバ22及び水素収集チャンバ24には、それぞれ、可燃性流体出口が設けられている。酸素収集チャンバ22には、酸素出口28が設けられ、水素収集チャンバ24には、水素出口30が設けられている。
【0033】
第1のチャンバ20を規定する第1の有孔部材16及び第2の有孔部材18は、1セットの有孔部材を形成する。装置10は、背合せ構成で配列され、互いに接続された複数セットの有孔部材を含んでいる。図2及び図3は、第1の外部電極12と第2の外部電極14との間に4セットの有孔部材を含む装置10を示している。
【0034】
装置は、隣接する有孔部材のセットの間に配置された複数の中間浮遊電極42を含んでいる。
【0035】
電解装置10はさらに、複数の第1のガスケット32及び複数の第2のガスケット34を含んでいる。第1のガスケット32は、周辺領域で、かつ、第1の有孔部材16と第2の有孔部材18との間に配置されて、2つの部材16及び18を互いに封止し、第2のガスケット34は、隣接する有孔部材のセットの間の周辺領域に配置され、中間電極42を囲んでいる。
【0036】
有孔部材16及び18は、不活性、非導電性、かつ、非反応性となるようにポリプロピレンで形成されている。各有孔部材16及び18は、各々がその中に約200個の孔を規定する中央部16.1及び18.1をそれぞれ含み、各々が入口26及び出口28、30を規定する外側境界部16.2及び18.2をそれぞれ含んでいる。有孔部材16及び18の中央部16.1及び18.1が規定する各孔は、直径が約0.1mmから3mmであり、特に、約1mmである。各有孔部材16及び18の面には、さらにスペーサ手段36が設けられ、有孔部材16及び18を互いに、かつ、隣接する電極12、14又は42から間隔を置いて配置させている。
【0037】
第1の電極12及び第2の電極14は、ステンレス鋼などの導電性材料で形成され、共に、電源(図示せず)に接続するためのコネクタ38をそれぞれの外面上に含んでいる。このように、電源は、1Vと6Vとの間の電圧、好ましくは3Vの電圧を電解装置10に印加して電解液を電気分解する。中間浮遊電極42もまた、ステンレス鋼などの導電性材料で形成されている。
【0038】
第1の電極12及び第2の電極14、並びに、第1の有孔部材16及び第2の有孔部材18は、すべてディスク状であるため、装置10は、円筒状である。装置10は、直径が約250mmであり、第1の有孔部材16及び第2の有孔部材18の直径は、約250mmである。第1の有孔部材16及び第2の有孔部材18は、互いに約4mm離れて配置され、第1の電極12は、第1の有孔部材16から約2mm離れて配置されている。同様に、第2の電極14は、第2の有孔部材18から約2mm離れて配置されている。
【0039】
装置10の有孔部材の対応する入口26は、入口経路44を規定するように位置合わせされているため、電解液は、入口経路44を介して装置10のすべての第1のチャンバへと通過する。酸素出口28もまた酸素出口経路46を規定するように位置合わせされているため、すべての酸素収集チャンバ22内で生成される酸素は、酸素出口経路46を介して排出される。同様に、水素出口30もまた、水素出口経路48を規定するように位置合わせされているため、すべての水素収集チャンバ24内で生成される水素は、水素出口経路48を介して排出される。
【0040】
装置10はさらに、電解液を装置10に循環させるためのポンプなどの循環手段(図示せず)を含んでいる。入口26を介して第1のチャンバ20に流れ込む電解液は、ポンプによって装置10に送り込まれて加圧されるため、電解液は、有孔部材16及び18中の孔を通して水素収集チャンバ22及び酸素収集チャンバ24に強制的に流入される。この配置では、電解液が入口26を介して第1のチャンバ20に流れ込み、有孔部材16及び18の孔を通して酸素収集チャンバ22及び水素収集チャンバ24にそれぞれ流れ込み、そこで電解分離が生じる。酸素は、酸素出口28を介して酸素収集チャンバ22から排出され、水素は、水素出口30を介して水素収集チャンバ24から排出される。
【0041】
装置10はさらに、水素出口経路48に接続された水素収集コンテナ(図示せず)と、酸素出口経路46に接続された酸素収集コンテナ(同様に図示せず)とを含んでいる。酸素収集コンテナ及び水素収集コンテナは、それぞれ、操作によって底端部となるコンテナの部分向かって設けられた第2の電解液出口と、操作によって頂端部となる酸素収集コンテナ及び水素収集コンテナのそれぞれの部分に向かって設けられた酸素ガス出口及び水素ガス出口とを有している。電解液は、酸素収集チャンバ22及び水素収集チャンバ24から、それぞれのガスと共に、酸素収集コンテナ及び水素収集コンテナへと、出口経路46及び48を介して、水素出口28及び酸素出口30から排出される。この配置では、それぞれのコンテナへと通過する水素ガス及び酸素ガスは、水素ガス出口及び酸素ガス出口を介してコンテナから排出され、電解液は、第2の電解液出口を介してコンテナから排出される。第2の電解液出口は、入口経路44に接続され、電解液は、ポンプによって装置10へと循環される。
【0042】
装置10の第1のチャンバ20から酸素収集チャンバ22及び水素収集チャンバ24への積極的なフロー(positive flow)が存在すると想定される。
【0043】
孔を通した、第1のチャンバ20から酸素収集チャンバ22及び水素収集チャンバ24への電解液の加圧フロー(pressurised flow)は、第1の電極(アノード)12上で形成された後の酸素ガス、及び、第2の電極(カソード)14上で形成された後の水素ガスが第1のチャンバ20に入るのを制限する。
【0044】
水素イオン及び電子は、第1の有孔部材16及び第2の有孔部材18を通して、第2の電極(カソード)14に移動し、そこで再結合して水素を形成することがさらに想定される。
【0045】
言うまでもなく、本発明による可燃性ガスを生成及び分離するための方法及び装置では、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、詳細の変形が可能である。例えば、有孔部材中の孔の量は様々であり、異なるサイズであってもよい。さらに、有孔部材と電極との間のスペーシングだけでなく、セル及び装置のサイズも変更可能である。装置10はさらに、装置10に印加される電圧に応じて、任意の数の有孔部材のセット及び中間浮遊電極42を含み得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解プロセス中に電解液から生成される可燃性流体を分離するための方法であって、
電解液を提供する工程と、
その間に第1のチャンバを規定し、少なくとも1つの入口を有する、間隔を置いて配置された第1の有孔部材及び第2の有孔部材を有し、両有孔部材は、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の可燃性流体出口を有する第1の可燃性流体収集チャンバが、前記第1の有孔部材と前記第1の電極との間に規定され、第2の可燃性流体出口を有する第2の可燃性流体収集チャンバが、前記第2の有孔部材と前記第2の電極との間に規定される電解装置を提供する工程と、
入口を介して前記電解液を前記第1のチャンバへと通過させ、前記電解液が両有孔部材を通して同時に前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバへと通過するようにする工程と、
前記電極に電圧を印加して、前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバにおける前記電解液を電気分解し、第1の可燃性流体が、前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、第2の可燃性流体が、前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、前記第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口を介して前記第1の可燃性流体収集チャンバから排出され、前記第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口を介して前記第2の可燃性流体収集チャンバから排出されるようにする工程とを含む方法。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、第1の外部電極及び第2の外部電極であり、前記方法は、複数の中間浮遊電極を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のチャンバを規定し、少なくとも1つの入口を有する前記第1の有孔部材及び前記第2の有孔部材は、一緒になって1セットの有孔部材であり、前記方法は、1つの中間浮遊電極を隣接する有孔部材のセットの間に配置して、背合せ構成で配列された複数セットの有孔部材を提供する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電解装置は、少なくとも1つの入口経路を、すべての前記入口と流体フローが連通するように規定し、前記方法は、前記入口経路を介して前記電解液を前記有孔部材のすべてのセットの前記第1のチャンバへと通過させるようにする工程を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記電解装置は、少なくとも1つの第1の可燃性流体出口経路を、すべての前記第1の可燃性流体出口と流体フローが連通するように規定し、第2の可燃性流体出口経路を、すべての前記第2の可燃性流体出口と流体フローが連通するように規定し、前記配置では、前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で形成される前記第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口経路を介して前記電解装置から排出され、前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で形成される前記第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口経路を介して前記電解装置から排出される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
電解プロセス中に電解液から生成される可燃性流体が分離される電解装置であって、
間隔を置いて配置された第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた、間隔を置いて配置された第1の有孔部材及び第2の有孔部材と、
前記第1の有孔部材と前記第2の有孔部材との間に規定された第1のチャンバと、
前記第1の有孔部材と前記第1の電極との間に規定された第1の可燃性流体収集チャンバと、
前記第2の有孔部材と前記第2の電極との間に規定された第2の可燃性流体収集チャンバと、
前記電解液のための前記第1のチャンバへの少なくとも1つの入口と、
前記第1の可燃性流体収集チャンバからの第1の可燃性流体出口と、
前記第2の可燃性流体収集チャンバからの第2の可燃性流体出口とを備え、
前記配置では、前記電解液は、前記入口を介して前記第1のチャンバへと通過し、両有孔部材を通して同時に前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバへとそれぞれ通過し、そこで電気分解が発生し、第1の可燃性流体が、前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、第2の可燃性流体が、前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で形成され、前記第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口を介して前記第1の可燃性流体収集チャンバから排出され、前記第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口を介して前記第2の可燃性流体収集チャンバから排出される電解装置。
【請求項7】
前記第1の電極は、第1の外部電極であり、前記第2の電極は、第2の外部電極であり、前記装置は、複数の中間浮遊電極を含む、請求項6に記載の電解装置。
【請求項8】
前記第1のチャンバを規定し、前記少なくとも1つの入口を有する前記第1の有孔部材及び前記第2の有孔部材は、1セットの有孔部材であり、前記装置は、1つの中間浮遊電極を隣接する有孔部材のセットの間に配置して、背合せ構成で互いに接続された複数セットの有孔部材を含む、請求項6又は7に記載の電解装置。
【請求項9】
前記装置は、前記有孔部材のセットを形成する前記2つの有孔部材の間の周辺領域に配置されたガスケットを含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項10】
前記ガスケットは、第1のガスケットであり、前記電解装置は、それぞれが、隣接する有孔部材のセットの間の周辺領域に配置され、前記中間浮遊電極の外周を囲む複数の第2のガスケットを含む、請求項9に記載の電解装置。
【請求項11】
各有孔部材には、前記有孔部材を前記隣接する有孔部材及び電極から間隔を置いて配置するための、その両面から突出するスペーサ手段が設けられている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項12】
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極には、それぞれ、電圧を前記電解装置に供給して前記電解液を電気分解する電源に接続するためのコネクタが設けられている、請求項6〜11のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項13】
前記電極及び前記有孔部材は、すべてディスク状であり、前記装置は、円筒状である、請求項6〜12のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項14】
前記装置は、前記電解液を前記装置を通して循環させて前記電解液を前記第1のチャンバへ強制的に流入させるためのポンプなどの循環手段を含む、請求項6〜13のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項15】
前記有孔部材の前記入口は、入口経路を規定するように位置合わせされ、電解液が、前記入口経路を介して前記装置のすべての前記第1のチャンバへと通過する、請求項6〜14のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項16】
前記第1の可燃性流体出口は、第1の可燃性流体出口経路を規定するように位置合わせされ、すべての前記第1の可燃性流体収集チャンバ内で生成される第1の可燃性流体は、前記第1の可燃性流体出口経路を介して前記装置から排出される、請求項6〜15のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項17】
前記第2の可燃性流体出口は、第2の可燃性流体出口経路を規定するように位置合わせされ、すべての前記第2の可燃性流体収集チャンバ内で生成される第2の可燃性流体は、前記第2の可燃性流体出口経路を介して前記装置から排出される、請求項6〜16のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項18】
前記装置は、前記第1の可燃性流体出口経路に接続された第1の可燃性流体収集コンテナと、前記第2の可燃性流体出口経路に接続された第2の可燃性流体収集コンテナとを含む、請求項6〜17のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項19】
前記第1の可燃性流体収集コンテナ及び前記第2の可燃性流体収集コンテナは、それぞれ、操作によって底端部となる各コンテナの部分に向かって設けられた第2の電解液出口と、操作によって頂端部となる前記第1の可燃性流体収集コンテナ及び前記第2の可燃性流体収集コンテナのそれぞれの部分に向かって設けられた第1の可燃性ガス出口及び第2の可燃性ガス出口とを有し、前記配置では、電解液は、前記第1の可燃性流体収集チャンバ及び前記第2の可燃性流体収集チャンバから、それぞれのガスと共に、前記第1の可燃性流体収集コンテナ及び前記第2の可燃性流体収集コンテナへと、前記第1の可燃性流体出口及び前記第2の可燃性流体出口から排出され、その後、第1の可燃性ガス及び第2の可燃性ガスが前記第1の可燃性ガス出口及び前記第2の可燃性ガス出口を介して前記コンテナから排出され、前記電解液は、前記第2の電解液出口を介して前記コンテナから排出され、前記循環手段を介して前記入口へと循環される、請求項6〜18のいずれか1項に記載の電解装置。
【請求項20】
添付の図面を参照しながら実質的に本明細書で説明される方法。
【請求項21】
添付の図面を参照しながら実質的に本明細書で説明される電解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511634(P2012−511634A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540306(P2011−540306)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055591
【国際公開番号】WO2010/067310
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508207516)ハイドロクス ホールディングス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】