説明

可燃性液体の供給制御装置

【課題】可燃性液体の供給制御を低コストで行い得るようにする。
【解決手段】本発明に従う可燃性液体の供給制御装置は、タンクT内に貯留された可燃性液体を吐出する空気圧駆動式のポンプPと、タンクT内の可燃性液体中に浸漬されるようにしてタンクT内に挿入される検出管2と、ポンプPを駆動するとともに検出管2の先端から常時空気を漏出させるに充分な圧力および量の空気を連続的に供給し得る空気供給源4と、検出管2および空気供給源4間に介設される絞り11と、空気供給源4およびポンプP間に介設される開閉制御弁6と、検出管2内の空気圧を検出するようにして検出管2に接続される圧力検出器Sと、該圧力検出器Sの検出値に基づいてタンクT内の可燃性液体の残量を判定するとともに当該残量が設定量以下になったときに開閉制御弁6を閉じるように該開閉制御弁6の作動を制御する制御ユニットCとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油等の可燃性液体の供給制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータで駆動されるポンプでオイルタンク内のオイルを供給するようにし、オイルタンク内の液面を検出するフロートスイッチによって前記モータの作動を制御するようにした給油装置が、たとえば特許文献1によって既に知られている。
【特許文献1】特開平6−74392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1で開示されるように、電動モータで駆動されるポンプによって可燃性液体を供給するようにしたり、液面をフロートスイッチで検出する場合には、防爆構造とする必要があり、コスト高を招くことになる。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、低コストで可燃性液体の供給制御を行い得るようにした可燃性液体の供給制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、タンク内に貯留された可燃性液体を吐出する空気圧駆動式のポンプと、前記タンク内の可燃性液体中に浸漬されるようにして前記タンク内に挿入される検出管と、前記ポンプを駆動するとともに前記検出管の先端から常時空気を漏出させるに充分な圧力および量の空気を連続的に供給し得る空気供給源と、前記検出管および前記空気供給源間に介設される絞りと、前記空気供給源および前記ポンプ間に介設される開閉制御弁と、前記検出管内の空気圧を検出するようにして前記検出管に接続される圧力検出器と、該圧力検出器の検出値に基づいて前記タンク内の可燃性液体の残量を判定するとともに当該残量が設定量以下になったときに前記開閉制御弁を閉じるように該開閉制御弁の作動を制御する制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、可撓性を有する材料によって形成されて前記タンク内に投入される前記検出管の先端に重錘が取付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、検出管には、絞りによって流量が絞られた少量の空気が常時供給され、検出管の先端からは少量の空気が気泡となって常時漏出することになり、その際の検出管内の圧力は、検出管の先端から液面までの圧力に対応した値となっており、検出管内の圧力を検出する圧力検出器で液面レベルに応じた圧力を検出してタンク内の可燃性液体の残量を正確に判定することができる。また可燃性液体を供給するポンプは空気圧駆動式のものであり、液面の検出および可燃性液体の供給のいずれもが共通な空気供給源からの空気を用いるものであるのでタンクの近傍の防爆区画に防爆構造の電気部品を配置する必要がなく、コストの低減を図ることができる。しかもタンク内の残量が設定量以下になったときにはポンプの駆動が停止されるので、ポンプがタンク内の空気を吸い込むことはない。
【0008】
また請求項2記載の発明によれば、タンクの深さに正確に対応した長さの検出管を準備することが不要であり、検出管をタンク内で確実に直立状態に維持して、タンク内の可燃性液体の残量をより正確に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1および図2は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明装置の構成を示す図、図2は圧力検出器の縦断面図である。
【0011】
先ず図1において、タンクT内には、可燃性液体たとえば潤滑油が貯留されており、このタンクTの天井部TaからタンクT内に挿入された吸入管1aがタンクTの外部に配置される空気圧駆動式のポンプPに接続され、該ポンプPに接続された吐出管1bから被供給部に潤滑油が供給される。またタンクT内の潤滑油の残量を検出するために、可撓性を有する材料たとえば合成樹脂により形成された検出管2がその先端をタンクTの底部Tbに近接させるようにしてタンクTの前記天井部Taを貫通して挿入され、検出管2の先端部は潤滑油中に浸漬される。
【0012】
しかも検出管2の先端には、タンクTの底部Tbに当接するようにして重錘Wが取付けられており、重錘Wの下面には、検出管2の先端から漏出する空気を通過せしめる複数の溝3,3…が設けられる。
【0013】
前記ポンプPには、空気供給源4に連なる空気圧管路5が接続されるものであり、この空気圧管路5には、空気供給源4側から順に、開閉制御弁6および第1開閉弁7が介設される。また前記検出管2には、空気供給源4および開閉制御弁6間で空気圧管路5から分岐した検出用空気圧管路8が接続されるものであり、この検出用空気圧管路8には、空気供給源4側から順に、第2開閉弁9、一方向弁10および絞り11が介設され、絞り11よりも下流側で検出用空気圧管路8には圧力検出器Sが接続される。而して前記タンクTの近傍に設定される防爆区画から充分離れた位置には制御ボックス12が設置されており、この制御ボックス12内に、前記開閉制御弁6、第2開閉弁9、一方向弁10、絞り11および圧力検出器Sが収容される。
【0014】
空気供給源4からはポンプPを駆動するのに充分な量ならびに圧力であるとともに前記絞り11で絞られた少量の空気が前記検出管2の先端から空気を漏出させるに充分な圧力の空気が供給される。また開閉制御弁6は、たとえば常閉型電磁弁である。
【0015】
図2において、圧力検出器Sは、半導体圧力センサ13を用いるものであり、該半導体圧力センサ13が備える半導体感圧要素14に対する空気圧を検出するように構成される。
【0016】
半導体圧力センサ13は、圧力導入管15aを有して合成樹脂により形成されるハウジング15内に半導体感圧要素14が内蔵されて成るものであり、半導体感圧要素14に連なる複数の端子16,16…がハウジング15を液密に貫通してハウジング15外に突出され、図1で示すように、制御ボックス12内に配設される制御ユニットCに接続される。
【0017】
半導体圧力センサ13は支持部材17に取付けられる。この支持部材17は、円盤部17aと、円盤部17aの一端中心部から同軸に突出する円筒部17bと、円盤部17aの他端外周から半径方向外方に張出す鍔部17cとを一体に有して、たとえば真鍮等の金属により形成されるものであり、該支持部材17の中心部には貫通孔18が設けられる。
【0018】
前記貫通孔18の一端側には大径孔部18aが形成されており、半導体圧力センサ13のハウジング15が備える圧力導入管15aは、前記大径孔部18aの内面との間にリング状のシール部材19を介在させて、貫通孔18にその一端側から液密に嵌入される。
【0019】
貫通孔18に圧力導入管15aを嵌入させたハウジング15は円筒部17bの先端に当接され、その状態のハウジング15に支持部材17とは反対側から係合する内向き鍔部20aを一端に有する円筒状のカバー20に前記ハウジング15および前記円筒部17bが収容され、該カバー20の他端に設けられて半径方向外方に張り出す外向き鍔部20bが、複数のねじ部材21,21…で円盤部17aの一端に締結される。これにより半導体圧力センサ13は、そのハウジング15を円筒部17bおよび一対の係合部材20,20間で挟持するようにして支持部材17に取付けられる。
【0020】
支持部材17の他端側には、貫通孔18の他端側を覆う金属たとえばステンレス鋼製のダイヤフラム22が取付けられ、該ダイヤフラム22の一面を臨ませて支持部材17およびハウジング15内に形成される受圧室23に、たとえばシリコーンオイル等の液状媒体が充填される。
【0021】
支持部材17の他端側外周部すなわち鍔部17cの外周部には、金属たとえばステンレス鋼によってダイヤフラム22の他面側を臨ませる皿状に形成される挟持部材24の外周部全周が、支持部材17との間にダイヤフラム22の周縁部を挟持するようにしてかしめ結合される。
【0022】
ダイヤフラム22の周縁部を挟持するにあたり、支持部材17の鍔部17cおよび挟持部材24には、相互に対応してリング状に形成される挟持突部17d,24aがそれぞれ突設されており、ダイヤフラム22の周縁部は、それらの挟持突部17d,24a間に挟持される。
【0023】
また挟持突部17d,24aよりも外方側で、ダイヤフラム22および鍔部17c間にはリング状のシール部材25が挟持され、ダイヤフラム22および挟持部材24間にはリング状のシール部材26が挟持されており、これらのシール部材25,26によりシール性を維持するようにして、ダイヤフラム22の周縁部が支持部材17の鍔部17cおよび挟持部材24の外周部間に挟持される。
【0024】
挟持部材24の中央部にはダイヤフラム22とは反対側に突出する連結筒部24bが一体に連設され、該連結筒部24bには袋ナット27が連結される。この袋ナット27は、前記連結筒部24bを挿通させる挿通孔28が中心部に設けられる端壁27aを有するものであり、挿通孔28に挿通された連結筒部24bの先端を袋ナット27内で彎曲させて成る係合部24cが端壁27aの内面に係合することにより、袋ナット27に連結筒部24cが連結される。
【0025】
一方、検出用空気圧管路8の途中に設けられる管継手31(図1参照)が備える分岐管部31aの先端部外面には前記袋ナット27に螺合する雄ねじ29が刻設されており、袋ナット27内には、前記挿通孔28に挿通された連結筒部24cの先端部と、前記分岐管部7aの先端との間に挟まれるリング状のシール部材30が収容されており、管継手31の分岐管部31aに袋ナット27が螺合されることにより、管継手31すなわち検出用空気圧管路8が圧力検出器Sに気密に接続される。この圧力検出器Sからは、検出管2内の圧力が増加するのに応じて比例的に増大する信号が出力される。
【0026】
また圧力検出器Sからの信号が入力される制御ユニットCは、圧力検出器Sの検出値に基づいて前記タンクT内の潤滑油の残量を判定するとともに当該残量に応じて、第1および第2警報ランプ32,33、警報ブザー34、回転警告灯35の作動を制御するとともに開閉制御弁6の作動を制御する。而して制御ユニットCでは、タンクT内での吸入管1aの下端よりも上方に液面がある状態として定められる第1の設定残量と、第1の設定残量よりも高い位置に液面がある状態として定められる第2の設定残量とが予め設定されており、圧力検出器Sの検出値に基づいて判定した潤滑油残量が第2の設定残量以下となったときに第2警報ランプを警音作動せしめ、圧力検出器Sの検出値に基づいて判定した潤滑油残量が第1の設定残量以下となったときに第1警報ランプを警音作動せしめるとともに回転警告灯35を作動せしめ、さらに開閉制御弁6を閉弁作動せしめる。
【0027】
次にこの実施例の作用について説明すると、タンクT内の潤滑油中に先端部を浸漬させるようにして検出管2がタンクTに挿入され、空気供給源4からの空気が絞り11で絞られることにより、少量の空気が検出管2に常時供給され、検出管2の先端からは少量の空気が気泡となって常時漏出される。しかも検出管2には、該検出管2内の空気圧を検出する圧力検出器Sが接続されている。
【0028】
このように少量の空気が常時供給されるとともに供給された分の少量の空気が漏出して入る状態で、検出管2内の圧力は、検出管2の先端から液面Lまでの液体圧力に対応した値となっている。したがって検出管2内の圧力を圧力検出器Sで検出することにより、水頭圧すなわち液面Lに応じた圧力を検出することができ、圧力検出器Sの検出値に応じた制御ユニットCの演算によりタンクT内の潤滑油残量を正確に得ることができる。
【0029】
また検出管2内に常時少量の空気が供給されるので、環境温度の変化が生じても検出管2内の空気の容積が大きく変化することはなく、環境温度の変化によってもタンクT内の潤滑油残量を精度良く検出することができる。
【0030】
また潤滑油を供給するポンプPは空気圧駆動式のものであり、液面の検出および潤滑油の供給のいずれもが共通な空気供給源4からの空気を用いるものであるのでタンクTの近傍の防爆区画に防爆構造の電気部品を配置する必要がなく、コストの低減を図ることができる。しかもタンクT内の残量が第1の設定残量以下になったときには開閉制御弁6を閉じてポンプPの駆動が停止されるので、ポンプPがタンクT内の空気を吸い込むことはない。
【0031】
さらに検出管2は可撓性を有する材料によって形成されおり、タンクT内に投入される当該検出管2の先端に重錘Wが取付けられるので、タンクTの深さに正確に対応した長さの検出管を準備することが不要であり、検出管2をタンクT内で確実に直立状態に維持して、タンクT内の潤滑油の残量を正確に判定することができる。
【0032】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0033】
たとえば上記実施例では、可燃性液体としての潤滑油の供給制御装置について説明したが、本発明は、可燃性液体の供給制御装置として広く実施可能である。
【0034】
また上記実施例では、圧力検出器Sおよび制御ユニットCを相互に分離して構成したが、圧力検出器に制御ユニットの残量判断機能を付加することで圧力スイッチとして構成することも可能であり、その場合、複数の設定残量が設定されているときには複数の圧力スイッチを検出管2に連なる検出用空気圧管路8に接続されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明装置の構成を示す図である。
【図2】圧力検出器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
2・・・検出管
4・・・空気供給源
6・・・開閉制御弁
11・・・絞り
C・・・制御ユニット
P・・・ポンプ
S・・・圧力検出器
T・・・タンク
W・・・重錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(T)内に貯留された可燃性液体を吐出する空気圧駆動式のポンプ(P)と、前記タンク(T)内の可燃性液体中に浸漬されるようにして前記タンク(T)内に挿入される検出管(2)と、前記ポンプ(P)を駆動するとともに前記検出管(2)の先端から常時空気を漏出させるに充分な圧力および量の空気を連続的に供給し得る空気供給源(4)と、前記検出管(2)および前記空気供給源(4)間に介設される絞り(11)と、前記空気供給源(4)および前記ポンプ(P)間に介設される開閉制御弁(6)と、前記検出管(2)内の空気圧を検出するようにして前記検出管(2)に接続される圧力検出器(S)と、該圧力検出器(S)の検出値に基づいて前記タンク(T)内の可燃性液体の残量を判定するとともに当該残量が設定量以下になったときに前記開閉制御弁(6)を閉じるように該開閉制御弁(6)の作動を制御する制御ユニット(C)とを備えることを特徴とする可燃性液体の供給制御装置。
【請求項2】
可撓性を有する材料によって形成されて前記タンク(T)内に投入される前記検出管(2)の先端に重錘(W)が取付けられることを特徴とする請求項1記載の可燃性液体の供給制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−238111(P2007−238111A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60509(P2006−60509)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000112635)フジコントロールズ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】