説明

可膨張性壁を持つ建物

本発明は、各々剛性フロアアセンブリ2を有しその上に可膨張性壁3が固定される個別のコンポーネント1のモジュールから成る、可膨張性壁3を持つ建物、特に住居用建物、ホテル、オフィスまたは病院に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可膨張性壁を持つ建物、特に住居用建物、ホテル、オフィスまたは病院に関する。
【背景技術】
【0002】
夏用別荘及び週末用別荘、キャンプ用建物及び小型倉庫など比較的小さい建物が可膨張性部材から作られることは知られている。さらに大型の建物特に住居用建物、ホテル、オフィスまたは病院に関して、充分な強度及び簡単な取り扱いが提供されていないことも知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、安定性が高くかつ希望に応じて拡張可能でありながら移動、解体・組立て及び保管が容易な可膨張性建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明により、建物が複数の個別のルームモジュールによって構成され、ルームモジュールが各々剛性フロアユニットを持ち、フロアユニットの上に可膨張性壁が締結されることによって達成される。
【0005】
剛性フロアユニットと共に可膨張性の壁がルームモジュールを構成し、多様な条件を満たすために希望の任意の数のルームモジュールを相互に取り付けることができる。ルームモジュールは輸送、解体及び組立てが簡単であり、解体収縮状態においては小さい外形寸法を持ち、小さいスペースで輸送し保管することができる。
【0006】
剛性フロアユニットは高い安定性を与え、可膨張性部材を簡単にかつ確実に収容しかつ容易に輸送できるようにする。本発明による建物は1年中使用可能であり、希望の任意の数を希望に応じて組み合わせることができるので住居用建物、ホテル、オフィスまたは病院を迅速に、コスト効率よくかつ柔軟に建てることができる。
【0007】
フロアユニットの床の外周から上向きに剛性下部壁領域が突き出す場合特に有利である。これにより、この床領域に垂直断面においてU字形の収容チェンバが得られ、膨張状態ではないときこれに壁及び特に天井も置くことができ、これらがプロセス中に損傷から保護される。
【0008】
この壁領域の高さが可膨張性壁の高さの1/3から1/10までである場合特に有利である。
【0009】
フロアユニットが隣接するフロアユニットに取外し可能に締結するための周囲締結部品を持つ場合、迅速かつ確実な組立てが保証される。この場合、フロアユニットの締結部品は差込み装置を形成することができる。
【0010】
フロアユニットの床が上下に重ねて配置される少なくとも2枚の水平の床を持ち、その間に供給導管が配置される場合、特に有利である。この場合、急動閉鎖装置を介して供給導管のラインを隣接するフロアユニットのラインに接続することが可能である。
【0011】
フロアユニットがその下面に可変高さの支持材を持つ場合不均等な地面での確実かつ簡単な組立てが保証される。
【0012】
可膨張性壁が特に外面に一体化された断熱及び(または)遮音層を持つ場合有利である。また、ルームモジュールの天井/屋根を膨張可能にして、分離可能にまたは分離不能に可膨張性壁に接続することも提案される。ルームモジュールの天井/屋根が逆V字形の垂直断面を持つ場合、雨水が確実に排水される。
【0013】
フロアユニットの上に剛性床を越えて側方に突き出す少なくとも1つの可膨張性床領域が配置される場合特に有利である。これは、フロアユニットの外部寸法を増大することなくルームモジュールの床面積を簡単に拡張できることを意味する。この突出する可膨張性床領域を就寝エリアとして使用でき、特に有利である。好ましくは、突出する可膨張性床領域の幅は外方向に減少する。
【0014】
組立てが特に簡単で取り扱い易い方法でかつ可膨張性壁を使用することなくルームモジュール内に衛生製品を収容できるようにするために、衛生設備を持ちフロアユニットの供給導管に接続できる移動可能なキャビネットを床の上に立てることが提案される。
【0015】
好ましくは、防音及び(または)防火手段として相互に隣接するルームモジュールの間に垂直パネルが配置される。
【0016】
本発明の実施態様例について下に詳細に説明され、図面に示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
平屋の可膨張性建物は、例えば作業室または書斎、居間、団欒室、就寝エリアまたは寝室、台所、貯蔵室または廊下または玄関など多様な目的のために使用できる個々のルームモジュールから構成される。実施態様例は、ホテルの客室を構成するルームモジュール1を示しており、複数のモジュールが並列して、特に廊下2の両側に配置される。廊下もルームモジュールによって構成される。ホテルの残りの客室は示されていないが、好ましくは可膨張性ルールモジュールを含む。
【0018】
ルームモジュール1は、外周に垂直の可膨張性側壁3が締結される剛性フロアユニット2を持つ。この場合、この締結は取外し可能でも取外し不能でもよい。可膨張性壁で構成される屋根4は側壁3の上面に締結され、屋根は切り妻屋根または寄棟屋根形であり、逆V字形の垂直断面を持つ。可膨張性壁及び屋根壁は特にその外面に一体化された絶縁層(図示せず)を持つ。
【0019】
剛性フロアユニット2は、好ましくは上下に重ねて配置されその間にキャビティを含む少なくとも2枚の水平床を含む水平の剛性床5を持ち、供給導管がキャビティの中に配置される。フロアユニット特に剛性床は、隣接するフロアユニットに取外し可能に締結するための周囲締結部品を形成する。好ましくはフロアユニットの締結部品は差込み装置を形成し、同じ様に急動閉鎖装置を介して供給導管のラインは隣接するフロアユニット特に廊下ユニット2のラインに接続される。
【0020】
剛性下部壁領域6はフロアユニット2の床5の少なくとも2つの外周から垂直にまたは斜め上方に突き出し、この壁領域は可膨張性壁3の高さH2の1/3から1/10までの高さH1を持つ側面周囲を形成する。従ってフロアユニット2はU字形の垂直断面を持つ。
【0021】
フロアユニット2はU字形であるため、ルームモジュール1の内部8に向かって上向きに開放される底部サブチェンバ7を形成し、ルームモジュールの側壁3及び屋根から空気が排出されたらこれらを底部サブチェンバの中に詰め込むことができる。
【0022】
フロアユニット2はその下面に複数の可変高さの支持材9を有し、それによって、フロアユニット従ってルームモジュールを地面またはその他の基礎面の上に組み立てることができる。
【0023】
剛性フロアユニット2の床面積を増大するために、フロアユニットには剛性床5を越えて側方に突き出す可膨張性床領域10が締結され、これに可膨張性壁及び可膨張性屋根が締結され、かつ実施態様例においてこれは就寝エリアを形成する。実施態様例において、突出した可膨張性床領域の幅は外方向に減少する。
【0024】
図3及び4は床上で移動でき衛生設備特に旋回式に出し入れされる便器と洗面台(a swivel-out WC and a swing-out washbasin)を収容するキャビネット11を示している。このキャビネット11はリネンボックス、テレビ、ワードローブ及びソファを含むこともできる。
【0025】
2つのルームモジュールの間の音の伝達を減少しかつ(または)防火性を高めるために、可燃性側壁3の厚みのある割合に等しい厚みを持つ垂直パネル12が2つの隣接するルームモジュール1の間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ルームモジュールの垂直断面図を示す。
【図2】ルームモジュールの端面図を示す。
【図3】隣接する接近廊下の断面図と一緒にルームモジュールの垂直縦断面図を示す。
【図4】接近廊下と一緒にルームモジュールの平面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物が複数の個別のルームモジュール(1)から構成され、該ルームモジュール(1)は各々剛性フロアユニットを有し、該フロアユニットの上に可膨張性壁(3)が締結されることを特徴とする、可膨張性壁(3)を持つ建物、特に住居用建物、ホテル、オフィスまたは病院。
【請求項2】
剛性下部壁領域(6)が前記フロアユニット(2)の床(5)の外周から垂直にまたは斜め上方へ突き出すことを特徴とする、請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記壁領域(6)の高さが前記可膨張性壁(3)の高さの1/3から1/10までであることを特徴とする、請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記フロアユニット(2)がU字形の垂直断面を持つことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の建物。
【請求項5】
前記フロアユニット(2)が隣接するフロアユニット(2)に取外し可能に締結するための周囲締結部品を有することを特徴とする、請求項1に記載の建物。
【請求項6】
前記フロアユニット(2)の前記締結部品が差し込み(plug−in)装置であることを特徴とする、請求項1または2に記載の建物。
【請求項7】
前記フロアユニット(2)の前記床(5)が上下に重ねて配置される少なくとも2枚の水平床を有し、供給導管がその間に配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の建物。
【請求項8】
前記供給導管のラインが急動閉鎖装置を介して隣接するフロアユニット(2)のラインに接続されることを特徴とする、請求項7に記載の建物。
【請求項9】
非膨張状態のとき前記壁(3)を輸送コンテナの役割をする前記フロアユニット(2)の上及び(または)その中に収容することができ、特にその上にまたはその中へ畳み込むことができることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の建物。
【請求項10】
前記フロアユニットがその下面に可変高さの支持材(9)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の建物。
【請求項11】
前記可膨張性壁(3)が特にその外面に一体化された断熱及び(または)遮音層を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の建物。
【請求項12】
前記ルームモジュール(1)の天井または屋根(4)が膨張可能であり、かつ分離可能にまたは分離不能に前記可膨張性壁(3)に接続されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の建物。
【請求項13】
前記ルームモジュール(1)の前記天井/屋根(4)が逆V字形の垂直断面を持つことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の建物。
【請求項14】
前記フロアユニット(2)に前記剛性床から側方へ突き出す少なくとも1つの可膨張性床領域(10)が配置されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の建物。
【請求項15】
前記突出する可膨張性床領域(10)の幅が外方向に減少することを特徴とする、請求項14に記載の建物。
【請求項16】
衛生設備を有しかつ前記フロアユニット(2)の供給導管に接続できる移動可能なキャビネット(11)が前記床(5)の上に立つことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の建物。
【請求項17】
相互に隣接する複数のルームモジュール(1)の間に防音または防火手段として垂直パネル(12)が配置されることを特徴とする、以上の請求項のうちいずれか一項に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−511789(P2009−511789A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535895(P2008−535895)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011335
【国際公開番号】WO2007/045263
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508120639)
【出願人】(508120640)
【Fターム(参考)】