説明

台間装置およびこれを含む遊技場セキュリティシステム

【課題】遊技台の前面扉が不正開放されることを効果的に防止できる不正対策機能を備え、遊技台とは別体として継続使用できる台間装置を提供する。
【解決手段】一側に設けた蝶番機構により他側を前方へ回動させることで開放可能な前面扉としてガラス扉21および主扉22を備える遊技機10の側方に設ける台間装置10の前面側に、適宜な強度を有する硬質樹脂等を略直方体に形成したロック部材11を回転可能に設け、ロック部材11が略鉛直方向に倒立した扉開放許容状態から遊技機20側へ略水平方向に傾倒した扉開放阻止状態に変換することで、ロック部材11が障害となって遊技機20の前面扉を開いて行うような不正行為を不可能とし、ロック部材11内に設けた磁気センサ18a,電波センサ18b,振動センサ18cにより、電波や磁気を使った不正行為等を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技台の一側に配置され、遊技台および周辺設備への不正対策に有用な台間装置およびこの台間装置を含む遊技場セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場に導入されているパチンコ機やスロットマシン等の遊技台は、不正に利益を得ようとする悪意の遊技者が行う不正行為に抗するべく、種々の不正対策が講じられている。例えば、不正電波によって遊技台に誤動作を引き起こす不正行為を防止するべく、遊技機に電波検出機能を設けておき、不正電波の特性に合致する電波を検出したときには、警報を発するなどして不正行為を防止する遊技機が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−129754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された遊技機によっては、不正電波により非接触で遊技台の遊技機能に誤動作を引き起こす不正行為には対応できるものの、遊技台の前面扉を開いて内部機能に不正アクセスする不正行為には対応できない。また、遊技機に不正電波検出機能や報知機能を設ける必要があるため、頻繁に入れ替えのある遊技台のコストアップにつながり、遊技店の負担が大きく、必ずしも良い解決策とは言えない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、遊技台の前面扉が不正開放されることを効果的に防止できる不正対策機能を備え、遊技台とは別体として継続使用できる台間装置と、この台間装置を含むことで不正行為に対するセキュリティを高めることが出来る遊技場セキュリティシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、一側に設けた蝶番機構により他側を前方へ回動させることで開放可能な前面扉を備える遊技台の側方に設ける台間装置であって、遊技台の前面扉の開放を阻害しない扉開放許容状態と、前面扉の前側に位置することで前面扉の開放を阻止する扉開放阻止状態とに変換可能な扉ロック手段を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の台間装置において、前記扉ロック手段は、適宜な強度を有するロック部材が遊技台の前面扉の前側から退避することで扉開放許容状態に、前記ロック部材が遊技台の前面扉の前側に位置することで扉開放阻止状態に、相互変換可能とし、前記ロック部材を扉開放許容状態と扉開放阻止状態に変換させる駆動部は、所定の動作指令を受けた状態変換制御手段からの制御によって動作するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の台間装置において、遊技台あるいはその周辺設備に対して行われる不正行為として予め定めた不正動作が行われた可能性の高い状態を検出する不正動作検出手段と、前記扉ロック手段が扉開放阻止状態にあるときに、前記不正動作検出手段による不正動作が検出されることに基づいて、不正動作の発生を報知する不正発生報知制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項2又は請求項3に記載の台間装置において、前記扉ロック手段の状態変換動作の指令を受け付けた前記状態変換制御手段は、指令者特定情報を含む動作履歴を記憶するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記請求項3又は請求項4に記載の台間装置と、遊技場に設置された各遊技台を管理すると共に、各台間装置の不正報知制御手段からの不正検知を受ける管理コンピュータと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、前記請求項4に記載の台間装置と、遊技場に設置された各遊技台を管理すると共に、各台間装置の状態変換制御手段からの動作履歴を受ける管理コンピュータと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る台間装置によれば、遊技台の前面扉の開放を阻害しない扉開放許容状態と、前面扉の前側に位置することで前面扉の開放を阻止する扉開放阻止状態とに変換可能な扉ロック手段を備えるので、扉ロック手段を扉開放阻止状態とすれば、遊技台に特別な機能を設けなくても、前面扉の開放を実質的に不可能とすることができ、前面扉を開いて内部に不正アクセスするような不正行為を効果的に防止できる。しかも、遊技台に特別な機能を設ける必要がないので、頻繁に交換される遊技台のコストを上げることもないし、遊技場に導入した台間装置は遊技台の交換タイミングとは関係なく、継続して使用することが出来るので、不正防止機能導入のコストパフォーマンスが高い。
【0013】
また、請求項2に係る台間装置によれば、前記扉ロック手段は、適宜な強度を有するロック部材が遊技台の前面扉の前側から退避することで扉開放許容状態に、前記ロック部材が遊技台の前面扉の前側に位置することで扉開放阻止状態に、相互変換可能とし、前記ロック部材を扉開放許容状態と扉開放阻止状態に変換させる駆動部は、所定の動作指令を受けた状態変換制御手段からの制御によって動作するようにしたので、正規の動作指令により状態変換制御手段が機能しなければ、駆動部が駆動することはなく、不正遊技者らによってロック部材が状態変換されることを効果的に防止できる。
【0014】
また、請求項3に係る台間装置によれば、遊技台あるいはその周辺設備に対して行われる不正行為として予め定めた不正動作が行われた可能性の高い状態を検出する不正動作検出手段と、前記扉ロック手段が扉開放阻止状態にあるときに、前記不正動作検出手段による不正動作が検出されることに基づいて、不正動作の発生を報知する不正発生報知制御手段と、を備えるので、扉開放ではない不正動作も効果的に防止できる。
【0015】
また、請求項4に係る台間装置によれば、前記扉ロック手段の状態変換動作の指令を受け付けた前記状態変換制御手段は、指令者特定情報を含む動作履歴を記憶するようにしたので、扉ロック手段の状態変換動作を指令した指令者が不正を行ったような場合を、事後的にではあるが、検証・確認することができる。
【0016】
請求項5に係る遊技場セキュリティシステムによれば、前記請求項3又は請求項4に記載の台間装置と、遊技場に設置された各遊技台を管理すると共に、各台間装置の不正報知制御手段からの不正検知を受ける管理コンピュータと、を含むので、遊技台に対する不正行為の発生を管理コンピュータで集中管理することができ、不正行為に対する迅速・確実な対応が可能となる。
【0017】
また、請求項6に係る遊技場セキュリティシステムによれば、前記請求項4に記載の台間装置と、遊技場に設置された各遊技台を管理すると共に、各台間装置の状態変換制御手段からの動作履歴を受ける管理コンピュータと、を含むので、不審な扉ロック手段の状態変換動作が行われている場合は、管理コンピュータでリアルタイムに集中管理できるので、不正行為に対する迅速・確実な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る台間装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る台間装置の概略構成図である。
【図3】ホールコンピュータによる台間装置への設定操作説明図である。
【図4】台間装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図5】(a1),(a2)は第2実施形態に係る台間装置の構成説明図である。(b1),(b2)は第3実施形態に係る台間装置の構成説明図である。(c1),(c2)は第4実施形態に係る台間装置の構成説明図である。(d1),(d2),(d3)は第5実施形態に係る台間装置の構成説明図である。
【図6】第6実施形態に係る台間装置の構成説明図である。
【図7】第7実施形態に係る台間装置の構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る台間装置およびこれを含む遊技場セキュリティシステムの実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、台間装置10による不正防止対象の遊技台として、遊技球を遊技媒体として弾球遊技を行える遊技機20を適用した例を説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを使うスロット式遊技機を不正防止対象の遊技台としても構わない。
【0020】
遊技機20は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備えるもので、その前面側には、一側(例えば、図1の紙面に向って左側)に設けた蝶番機構により他側(例えば、図1の紙面に向って右側)を前方へ回動させることで開放可能な前面扉を備える。前面扉としては、遊技領域(各種の遊技装置が配置されて遊技球が流下して行く領域)の前面側を閉止するガラスを保持するガラス扉21や、ガラス扉21が開閉可能に取り付けられる主扉22があり、ガラス扉21や主扉22の開閉は、鍵穴23に正規のキーを差し込んで操作することにより行う。なお、鍵穴23は、ガラス扉21や主扉22の開放側となる右側適所に設けてある。
【0021】
上記遊技機20の側方(例えば、鍵穴23が設けてある開放側)に設ける台間装置10には、遊技機20の前面扉の開放を阻害しない扉開放許容状態と、前面扉の前側に位置することで前面扉の開放を阻止する扉開放阻止状態とに変換可能な扉ロック手段として、ロック部材11を備える。このロック部材11は、適宜な強度を有する硬質樹脂等を略直方体に形成したものであり、その一方端側が、台間装置10の本体前面より前方へほぼ水平に延出する回動軸12(図2を参照)に固定され、この回動軸12を回転中心として、略鉛直面内を回転可能である。
【0022】
すなわち、回動軸12の回転向きや回転角度を適宜制御することで、ロック部材11が遊技機20の前面扉の前側から退避した扉開放許容状態(略鉛直方向に倒立した状態で、図1中、破線で示す)と、ロック部材11が遊技機20の前面扉の前側に位置することで扉開放阻止状態(略水平方向に傾倒した状態で、図1中、実線で示す)とに、相互変換可能である。また、本実施形態の台間装置10においては、ロック部材11の長さを適宜に設定することで、扉開放阻止状態のロック部材11先端部がガラス扉21の開放側の前方に位置してガラス扉21を開放不能にしつつも、遊技領域の視認性を損なわないようにした。なお、ロック部材11自体を透光性材料で形成しておけば、ロック中のロック部材11によって遊技台20の視認性が著しく損なわれることを抑制できる。また、ロック部材11の形状も特に限定されるものではなく、遊技台20の前面扉が開放されることを物理的に阻止できる扉開放阻止状態に変換できれば、如何様に構成しても構わない。例えば、前面側へ突出する可動ロック部と回動軸部の前方端が半円弧状に連結されることで略U字状を呈するロック部材とした場合には、回動軸部を回転軸として他方の可動ロック部を回転させて遊技台20の前面扉の前方へ移動させることで、扉開放阻止状態にすることが出来る。
【0023】
台間装置10の主たる制御を司る主制御回路13は、電源部14からの給電を受けて動作するもので、ロック部材駆動部15aの動作制御を行って回動軸12を適宜に回動させることにより、ロック部材11を扉開放許容状態と扉開放阻止状態に変換させる。すなわち、主制御回路13により、ロック部材11を扉開放許容状態と扉開放阻止状態に変換させる状態変換制御手段13aの機能を実現する。なお、状態変換制御手段13aによるロック部材駆動部15aの駆動制御に際しては、ロック部材11の位置を検知する位置センサ15bからの検知情報を用いる。
【0024】
本実施形態の台間装置10によれば、扉ロック手段としてのロック部材11を扉開放阻止状態とすることで、遊技機20に特別な機能を設けなくても、前面扉の開放を実質的に不可能とすることができ、前面扉を開いて内部に不正アクセスするような不正行為を効果的に防止できる。しかも、遊技機20に特別な機能を設ける必要がないので、頻繁に交換される遊技機20のコストを上げることもないし、遊技場に導入した台間装置10は遊技機20の交換タイミングとは関係なく、継続して使用することが出来るので、不正防止機能導入のコストパフォーマンスが高い。しかも、ロック部材駆動部15aは、正規の動作指令により状態変換制御手段13aからの駆動信号を受けなければ、駆動することはなく、不正遊技者らによってロック部材11が容易に状態変換されてしまうことを効果的に防止できる。
【0025】
なお、扉開放阻止状態にあるロック部材11の状態保持を一層確実にするべく、ロック部材の状態を固定するストッパ機構を別途設けても良い。例えば、ロック部材11が扉開放許容状態から扉開放阻止状態へ変換する向きに回転するときには障害とならないが、逆向きに回転することを阻止するようなラチェット機構を設けておき、ロック部材11を扉開放阻止状態から扉開放許容状態へ変換する際には、回動軸12の回転動作とリンクしてラチェット機構を解除するような構造を採用することで、不正遊技者が扉開放阻止状態にあるロック部材11を扉開放許容状態へ変換するのは一層困難となり、不正対策に好適である。
【0026】
また、本実施形態においては、遊技台20における前面扉開放側となる右側に台間装置10を隣接配置するものとしたが、これに限らず、遊技台20の左側、あるいは遊技台20の左側に配置されるカードユニットを挟んで左側方に台間装置10を配置し、遊技台20における前面扉軸着側をロックするようにしても良い。このように、遊技台20の軸着側に台間装置10を設置する場合には、遊技台20のヒンジ部のすき間など、異物の不正挿入を防止するようにロック部材でガードする構造としても良い。更に、一つの台間装置10で、左右両側に隣接する2機の遊技台20を同時にロックできるように、2つのロック部材を設けるようにしても良い。
【0027】
台間装置10の前面側適所(例えば、最上部)には、リモコン受光部16aを設けてあり、遊技場の係員等が所持するリモコン30からの動作指令信号をリモコン受光部16aにて受信し、これを受けた主制御回路13がその動作指令に応じて、ロック部材11の状態変換制御を行う。なお、リモコン30からの指令信号は、近接した複数の台間装置10によって受信される可能性があるので、誤動作を防止するために、遊技場に設置された台間装置10毎に割り振られた装置番号等を動作指令信号に含ませて送信することで、特定の台間装置10のみが動作指令に応じた動作を行うようにしても良い。
【0028】
また、各リモコン30にも固有の識別番号等を割り振っておき、動作指令信号にリモコン識別番号を含ませて送信すれば、ロック部材11の状態変換動作の指令を送信したリモコン30を特定することができ、このリモコン識別番号と当該リモコン30を所持する係員とを紐付けして管理しておけば、ロック部材11の状態変換動作の指令を行った係員(リモコン30の所持者)を特定する指令者特定情報としてリモコン識別番号を用いることができる。そして、ロック部材11の状態変換動作の指令を受け付けた状態変換制御手段3aが、指令者特定情報を含む動作履歴を記憶するようにしておけば、どの係員がいつ状態変換の指示を行ったか等を、履歴情報から確認することができる。なお、リモコン30にメモリを設けておき、リモコン30にも履歴情報を記録しておくようにしても良い。
【0029】
さらに、指令者からの指示に基づいて状態変換制御手段13aがロック部材11の状態変換動作を行った履歴情報を、外部機器接続用中継基板17を介して遊技場内のホールコンピュータ40へ送信し、ホールコンピュータ40にて各台間装置10の履歴を管理できるようにしても良い。すなわち、遊技場に設置された各遊技機20を管理すると共に、各台間装置10の状態変換制御手段13aからの動作履歴を受ける管理コンピュータとしてのホールコンピュータ40と、上述した台間装置10とを含む遊技場セキュリティシステムによれば、不審な扉ロック手段の状態変換動作が行われている場合は、ホールコンピュータ40でリアルタイムに集中管理できるので、不正行為に対する迅速・確実な対応が可能となり、遊技場におけるセキュリティを一層高めることが出来る。
【0030】
なお、本実施形態の台間装置10においては、リモコン30からのみ動作指令を受け付けるものとしたが、例えば、台間装置10に操作パネル等を設けておき、遊技場の係員に各々割り当てた識別番号と適正な認証コードを操作パネルから入力することで、ロック部材11の変換動作を指示できるようにしても良い。このような動作指令方式を採用した場合も、ロック部材11の状態変換動作の指令を行った係員を特定できるので、状態変換制御手段13aにて履歴情報を記録したり、ホールコンピュータ40で履歴情報を集中管理したりすることも可能である。
【0031】
また、台間装置10には、遊技機20あるいはその周辺設備に対して行われる不正行為として予め定めた不正動作が行われた可能性の高い状態を検出する不正動作検出手段として、磁気センサ18a(金属製の遊技球を磁力により引き付けて自然流下させないような不正動作が行われた可能性の高い状態を磁気強度で検出する不正動作検出手段)、電波センサ18b(遊技機20の電子機器に誤動作を引き起こすような電波を放射するような不正動作が行われた可能性の高い状態を電波強度で検出する不正動作検出手段)、振動センサ18c(遊技機20に対して扉のヒンジ部をこじ開ける等の物理的(力学的)な不正攻撃が行われた可能性の高い状態を台間機10もしくは遊技機20の振動として検出する不正動作検出手段)を設け、各不正動作検出手段からの検出信号に基づいて、不正動作の有無を検出し、各不正動作検出手段からの不正検知信号を受けた主制御回路13の不正発生報知制御手段13bは、不正動作の発生を状態表示部16bに表示し、必要に応じてカメラ16cにより撮像して記録する。このように不正動作検出手段の機能を台間装置10に設ければ、扉開放ではない不正動作も効果的に防止でき、高セキュリティの台間装置10となる。
【0032】
なお、本実施形態の台間装置10においては、ロック部材11内に磁気センサ18a,電波センサ18b,振動センサ18cを設けるものとしたので、扉開放阻止状態時に遊技機20の前面側に不正動作検出手段を位置させ、不正動作の検出感度を高めるようにしたが、不正動作検出手段の配設位置はこれに限定されるものではなく、遊技機20やその周辺設備の適所に取付けるようにしても良い。また、ロック部材11が扉開放阻止状態にあるとき、そのまま遊技機20の前面扉を強引に開けようとして、回動軸12やロック部材11を無理に折り曲げるような圧力がかかる不正を検出する不正動作検出手段として、圧力センサ18d(あるいは歪みセンサ)等を設けでも良いし、夜間等の通常は人がいない非営業中の時間帯に不審者がいることを人感センサ18e(赤外線による人体の熱検知や画像処理による動き検知など)により検知することを不正動作の一態様としても良い。
【0033】
さらに、不正動作の検知に際して、不正発生報知制御手段13bは、不正検知信号をホールコンピュータ40へ送信したり、遊技機20の上方部に設けられた台ランプ50へ警告表示信号を送信したりするように構成しても良い。すなわち、遊技場に設置された各遊技機20を管理すると共に、各台間装置10の不正報知制御手段13bからの不正検知を受ける管理コンピュータとしてのホールコンピュータ40と、上述した台間装置10とを含む遊技場セキュリティシステムによれば、遊技機20やその周辺設備に対する不正行為の発生をホールコンピュータ40で集中管理することができ、遊技場内のインカムシステムで各係員に指示したり、監視カメラ追尾システムによる映像録画と連動させたりできるので、不正行為に対する迅速・確実な対応が可能となる。また、ネットワーク中継器60を介して、遊技場外の警備会社等へ通報できるようにしておけば、閉店後の遊技場にて不正が行われた場合にも、迅速な対処を期待できる。さらに、当該遊技場のオーナー、店舗責任者へ通報するようにしてもよい。
【0034】
なお、台間装置10のロック部材11が扉開放許容状態にあるときは、遊技機20に対する不正を判定する必要はないので、本実施形態の台間装置10においては、状態変換制御手段13aがロック部材11を扉開放阻止状態にしているとき(ロック中)に限って、不正発生放置制御手段13bが不正動作の検知機能を有効にするものとしたが、これに限定されるものではなく、台間装置10が扉開放許容状態中(アンロック中)でも、不正発生報知機能を有効とするようにしても構わない。また、1台の台間装置10で左右両側に隣接する2機の遊技台20をロックする構成とする場合には、各遊技台20に対応した不正検知手段と、その報知手段を設けておけば、どちらの遊技台20に異常が生じているかを的確に報らせることができる。
【0035】
上述した台間装置10の不正動作検知機能は、ホールコンピュータ40から設定することができる。図3に示すように、ホールコンピュータ40と店内のLAN回線70を介して接続される各台間装置10に対して、ホールコンピュータ40の設定画面で設定された設定情報(例えば、磁気センサ18aの検知による警告条件および報知条件、電波センサ18bの検知による警告条件および報知条件、振動センサ18cの検知による警告条件および報知条件、圧力センサ18dの検知による警告条件および報知条件、カメラ撮影の有無、外部報知有効時間帯の指定など)が指定範囲の各装置へ送信される。なお、台間装置10による不正防止対策を行う遊技機20には、各々遊技媒体貸出装置80を設けてあり、プリペイドカード等を使った遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置80に対する不正動作が行われる可能性もあるので、台間装置10によって遊技媒体貸出装置80に対する不正動作検知を行うようにしても良い。
【0036】
次に、台間装置10の動作処理を図4に基づいて説明する。電源投入により、イニシャライズを行い(ステップS01)、前回の電源遮断時の状態を確認し(ステップS02)、ロック部材11がロック中(扉開放阻止状態)にあるか否かを判定する(ステップS03)。
【0037】
上記ステップS03にて、ロック部材11がロック中と判定された場合には、位置センサ15bからの検知情報に基づいてロック部材11が適切なロック位置にあるか否かを判定し(ステップS04)、ロック位置にないと判定された場合には、状態表示部16bにロック位置エラー表示を行い(ステップS05)、遊技場の係員等によるエラー解除を促す。その後は、エラー解除されたか否かを監視し(ステップS06)、エラー解除されるまで操作を受け付けない。
【0038】
一方、上記ステップS03にてロック中でないと判定された場合には、遊技場の係員等によるロック操作を受け付けたか否かを監視し(ステップS06)、ロック操作を受け付ければ、ロック操作のログを記録して操作履歴をホールコンピュータ40へ送信し(ステップS08)、状態表示部16bにロック状態を表示する(ステップS09)。
【0039】
続いて、不正動作検知手段としての各種センサを順次監視し(ステップS10)、センサ反応の有無を判定し(ステップS11)、センサ反応があった場合には、当該センサの検知状態が警告条件を満たしているか否かを判定し(ステップS12)、警告条件が成立していた場合には、この警告事象を記録するとともに不正動作に対する警告表示を行う(ステップS13)。さらに、センサの検知状態が報知条件を満たしているか否かを判定し(ステップS14)、報知条件が成立していた場合には、この不正に対する異常検知を記録すると共に異常表示を行い、カメラ撮影を行うよう設定されていればカメラ16cによる撮像データを記録し、併せてホールコンピュータ40へ異常検知を報知する。
【0040】
上記のようにして異常を検知した後は、異常解除操作が行われたか否かを監視し(ステップS16)、異常解除操作が行われれば、この異常解除操作についてのログを記録すると共に解除履歴をホールコンピュータ40へ送信する(ステップS17)。以後は、上記ステップS10〜S17の処理を繰り返す。
【0041】
上記ステップS11でセンサ反応が無いと判定された場合には、ロック解除操作の有無を判定し(ステップS18)、ロック解除操作を受けた場合には、ロック解除操作ログを記録すると共に、解除操作履歴をホールコンピュータ40へ送信し(ステップS19)、状態表示部16cにロック解除中表示を行い(ステップS20)、電源が遮断されるのを待つ。なお、電源遮断操作が行われる前に、ホールコンピュータ40から設定指示があった場合には、この設定値を保存し(ステップS21)、電源断を待つ。
【0042】
上述した第1実施形態に係る台間装置10の扉ロック手段は、角柱状のロック部材11を遊技機20の前面側に位置させて物理的に前面扉の開放を困難にする構成を採用したが、扉ロック手段の構成はこれに限定される物ではない。
【0043】
例えば、図5(a1),(a2)に示す第2実施形態の台間装置10Aにおいては、ロック部材11aを傾倒することによって遊技機20の鍵穴23を隠すものとした。斯くすれば、鍵穴23にアクセスできなくなるので、遊技機20の扉ロック機構を解除することも困難となり、不正な扉開放を一層効果的に抑制できる。なお、遊技機20における鍵穴23の位置は遊技機メーカーによって多少異なる場合もあるので、台間装置10Aに縦長の回動軸調整孔19を設け、ロック部材駆動部15aと一緒にロック部材11を上下に位置調整できるようにしても良い。
【0044】
また、図5(b1),(b2)に示す第3実施形態の台間装置10Bにおいては、横方向へ伸縮可能なロック部材11bを用い、ロック部材11bを縮めることで扉開放許容状態を、ロック部材11bを伸ばすことで扉開放阻止状態を生ぜしめる。斯くする場合、少なくとも、扉開放阻止状態にしたロック部材11bを縮めることができないようなラッチ機構などを設けておき、適正なロック解除操作を受け付けたときにラッチが解除されてロック部材11bを縮めることができるように構成する。
【0045】
また、図5(c1),(c2)に示す第4実施形態の台間装置10Cにおいては、略扇形のロック部材11cによって遊技機20の鍵穴23の前面を塞ぐことで扉開放阻止状態を生ぜしめるものとした。
【0046】
また、図5(d1),(d2),(d3)に示す第5実施形態の台間装置10Dにおいては、角柱状のロック部材11dの下部に設けた水平方向の第1軸Aにより上部を手前に倒すように傾倒させ、続いてブロック部材11dの後部に設けた鉛直方向の第2軸bにより前部を遊技機20側へ倒すことで扉開放阻止状態にする。
【0047】
上述した各実施形態の台間装置10A〜10Dは、前面扉が平坦な状態の遊技台20に適用可能なものであったが、最近は、装飾のために左右側方にランプ飾り等の樹脂製突起物が設けられているタイプの遊技台もあり、このような遊技台にも対応できる台間装置の実施形態を説明する。
【0048】
図6は、第6実施形態の台間装置10Eを示すもので、前方に突出する側部飾り部材24を右側端部に備える遊技台20′(例えば、図6(a)を参照)に適用可能なロック部材11eを設けたものである。ロック部材11eは、台間装置10Eの前面適所に固定した基端ベース11e1と、水平軸HAにより基端ベース11e1と回動自在に軸着された第1腕部11e2と、鉛直軸VAにより第1腕部11e2と回動自在に軸着された第2腕部11e3とで構成される。なお、図6(b1),(c1),(d1)は、台間装置10Eと遊技台20′の側部飾り部材24近傍を上方から見た図で、図6(b2),(c2),(d2)は、台間装置10Eと遊技台20′の前方部を右側方より見た図である。
【0049】
扉開放許容状態のロック部材11eは、基端ベース11e1に対して第1腕部11e2と第2腕部11e3が鉛直上向きに屹立した状態(図6(b1),(b2)を参照)であり、この状態から水平軸HA回りに第1腕部11e2を手前に引き倒して略水平な状態にし(図6(c1),(c2)を参照)、この状態から鉛直軸VA回りに第2腕部11e3を遊技台20′の前面側に回動させて略V字状に屈曲させると(図6(d1)、(d2)を参照)、第2腕部11e3の自由端側が遊技台20′の側部飾り部材24(水平断面が略三角形状)を乗り越えて前面扉の前面側に位置する扉開放阻止状態となる。なお、ロック部材11eを扉開放阻止状態に変換したとき、第1,第2腕部11e2,11e3を逆方向へ回せないように、ラッチ機構等を用いてロックしておく。
【0050】
上述した第6実施形態の台間装置10Eによれば、ロック部材11eが側部飾り部材24を左右方向に乗り越えるように遊技台20′の前面側に延出するような扉開放阻止状態を生ぜしめるので、側部飾り部材24の前面側突出端にロック部材を引っ掛かる程度のロック状態に比べて、強固な扉開放阻止状態を安定的に保持できるという利点がある。
【0051】
なお、遊技台の側部飾りには様々な形状があり、第6実施形態の台間装置10Eが備えるロック部材11eでは対応できない場合、水平方向に屈曲させる腕部の数を増やして屈曲形状の自由度を高めれば、様々な形状の遊技台に適合させることが可能となる。
【0052】
図7は、第7実施形態に係る台間装置10Fを示すもので、水平断面が略円弧状に前方へ突出する形状の側部飾り部材25を備える遊技台20″に適用可能なロック部材11fを設けたものである。ロック部材11fは、台間装置10Fの前面適所に固定した基端ベース11f1と、水平軸HAにより基端ベース11f1と回動自在に軸着された第1腕部11f2と、第1鉛直軸VA1により第1腕部11f2と回動自在に軸着された第2腕部11f3と、第2鉛直軸VA2により第2腕部11f3と回動自在に軸着された第3腕部11f4とで構成される。なお、図7(a)〜(d)は、台間装置10Fと遊技台20″の側部飾り部材25近傍を上方から見た図である。
【0053】
扉開放許容状態のロック部材11fは、基端ベース11f1に対して第1腕部11f2と第2腕部11f3と第3腕部11f4が鉛直上向きに屹立した状態(図7(a)を参照)であり、この状態から水平軸HA回りに第1腕部11f2を手前に引き倒して略水平な状態にし(図7(b)を参照)、この状態から第1鉛直軸VA1回りに第2腕部11f3を遊技台20″の前面側に回動させて前面扉とほぼ水平になるような屈曲状態にし(図7(c)を参照)、この状態から第2鉛直軸VA2回りに第3腕部11f4を遊技台20″の前面扉に対向するように回動させて前面扉とほぼ直交するよう屈曲状態にする(図7(d)を参照)。
【0054】
このように、第1〜第3腕部11f2〜11f4を備えるロック部材11fによれば、第2,第3腕部11f3,11f4が遊技台20″の側部飾り部材25に当接することなく乗り越えることができ、第3腕部22f4の先端部が遊技台20″の前面扉の前面側に位置する扉開放阻止状態となる。なお、ロック部材11fを扉開放阻止状態としたときには、第3腕部11f4の先端部が遊技台20″におけるキーシリンダ26の前端部にある鍵穴を閉塞する状態となるので、より好適な扉開放阻止状態となる。また、軸回りに回動する腕部の数を更に増やしてロック部材を構成すれば、一層多様な形状で扉開放阻止状態を生ぜしめることができる。
【0055】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【符号の説明】
【0056】
10 台間装置
11 ロック部材
12 回動軸
13 主制御回路
13a 状態変換制御手段
13b 不正発生報知制御手段
15a ロック部材駆動部
16a リモコン受光部
18a 磁気センサ
18b 電波センサ
18c 振動センサ
20 遊技機
21 ガラス扉
22 主扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に設けた蝶番機構により他側を前方へ回動させることで開放可能な前面扉を備える遊技台の側方に設ける台間装置であって、
遊技台の前面扉の開放を阻害しない扉開放許容状態と、前面扉の前側に位置することで前面扉の開放を阻止する扉開放阻止状態とに変換可能な扉ロック手段を備えることを特徴とする台間装置。
【請求項2】
前記扉ロック手段は、適宜な強度を有するロック部材が遊技台の前面扉の前側から退避することで扉開放許容状態に、前記ロック部材が遊技台の前面扉の前側に位置することで扉開放阻止状態に、相互変換可能とし、
前記ロック部材を扉開放許容状態と扉開放阻止状態に変換させる駆動部は、所定の動作指令を受けた状態変換制御手段からの制御によって動作するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の台間装置。
【請求項3】
遊技台あるいはその周辺設備に対して行われる不正行為として予め定めた不正動作が行われた可能性の高い状態を検出する不正動作検出手段と、
前記扉ロック手段が扉開放阻止状態にあるときに、前記不正動作検出手段による不正動作が検出されることに基づいて、不正動作の発生を報知する不正発生報知制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の台間装置。
【請求項4】
前記扉ロック手段の状態変換動作の指令を受け付けた前記状態変換制御手段は、指令者特定情報を含む動作履歴を記憶するようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の台間装置。
【請求項5】
前記請求項3又は請求項4に記載の台間装置と、
遊技場に設置された各遊技台を管理すると共に、各台間装置の不正報知制御手段からの不正検知を受ける管理コンピュータと、
を含むことを特徴とする遊技場セキュリティシステム。
【請求項6】
前記請求項4に記載の台間装置と、
遊技場に設置された各遊技台を管理すると共に、各台間装置の状態変換制御手段からの動作履歴を受ける管理コンピュータと、
を含むことを特徴とする遊技場セキュリティシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−178824(P2010−178824A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23488(P2009−23488)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】