説明

各台対応装置および遊技システム

【課題】遊技機の稼動効率を向上させることができる各台対応装置を提供する。
【解決手段】貸出処理機5は、所定時間Tsの計時するためのタイマ130を備えている。タイマ130が停止しているときに、メモリ部87に持玉データが記憶されている場合には、貸出処理機5の制御部80はタイマ130による所定時間Tsの計時を開始させる。タイマ130が作動されているときに、タイマクリアイベントが発生したときには、制御部80は、タイマ130をクリアした後、タイマ130による計時を開始させる。タイマ130がタイムアップしたときには、制御部80は、対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことを管理装置1に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各遊技機に1対1対応で設けられる各台対応装置およびそれを含む遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設には、パチンコ機等の遊技機が設置されている。各遊技機に対して、パチンコ玉の貸出処理等を行なう貸出処理機(各台対応装置)が1対1対応で設けられている場合がある。貸出処理機としては、パチンコ玉の貸出機能の他に、遊技客が獲得したパチンコ玉の計数を行う機能(各台計数機能)を備えたものもある。各台計数機能を備えた貸出処理機においては、対応する遊技機において遊技客が獲得したパチンコ玉を計数することができ、その計数結果は、持玉データとして貸出処理機の記憶部に記憶される。なお、同じ遊技機において同じ遊技客が遊技を継続して行っている場合において、複数回にわたってパチンコ玉の計数が行われた場合には、その都度、計数値が持玉データに加算されることにより、持玉データが更新される。また、貸出処理機の記憶部に持玉データが記憶されている状態において、持玉払出操作が遊技客によって行なわれた場合には、パチンコ玉の払い出しが行なわれるとともに、払い出されたパチンコ玉に相当する数が持玉データから減算されることにより、持玉データが更新される。遊技客が遊技終了操作を行うと、その時点での持玉データが遊技用記録媒体(会員カードまたは一般カード)に関連付けられた後、当該遊技用記録媒体が返却される。また、貸出処理機の記憶部に記憶されている持玉データが零にされる。
【0003】
持玉データが関連付けられた遊技用記録媒体が貸出処理機に挿入されると、遊技用記録媒体に関連付けられている持玉データが貸出処理機の記憶部に記憶される。したがって、遊技客は、持玉払出操作により、貸出処理機からパチンコ玉を払い出させることができる。
ところで、最近、パチンコ玉1個当たりの貸出金額(貸出レート)が低い低貸玉運用(低レート運用)を導入している遊技施設が増加している。低貸玉運用では、パチンコ玉を特殊景品に交換するときのレート(交換率)が低い。このため、獲得したパチンコ玉や持玉データを景品に交換せずに、遊技機に放置したまま、帰ってしまう遊技客が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-116327号公報
【特許文献2】特開平11-114189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技客が獲得したパチンコ玉や持玉データが遊技機に放置されたまま、その遊技客が帰った場合には、当該遊技機が、遊技継続中の遊技機であるのか、パチンコ玉が放棄された遊技機(持玉放棄台)であるかを判定できない。このため、遊技機が持玉放棄台であったとしても、他の遊技客は当該遊技機の使用を避けるので、遊技機の稼動効率が悪くなる。
この発明は、遊技機の稼動効率を向上させることができる各台対応装置およびそれを含む遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられ、遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置(5)であって、遊技客が保持している遊技媒体のうち現物ではなく数値データとして所有している持玉データを記憶する記憶手段(87)と、経過時間を計時するためのタイマ(130)と、前記タイマが停止しているときに、前記記憶手段に持玉データが記憶されていると判別されるかまたは前記記憶手段に持玉データが記憶されるべきイベントが発生したときには、前記タイマによる計時を開始させる手段(80)と、前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる計時を開始させる手段(80)とを含む、各台対応装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0007】
前記記憶手段に持玉データが記憶されていると判別されるかまたは前記記憶手段に持玉データが記憶されるべきイベント(タイマ作動イベント)が発生したときには、タイマによる計時が開始される。タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、タイマがクリアされた後、タイマによる計時が開始される。タイマが所定時間を計時したときには、当該各台対応装置に対応する遊技機が、持玉が放棄された持玉放棄台である可能性が高いと考えられる。したがって、タイマが所定時間を計時したときに、たとえば、係員にその旨を通知すれば、係員は当該遊技機が持玉放棄台であるか否かを判断できる。係員は、当該遊技機が持玉放棄台であると判断した場合には、当該遊技機を任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。これにより、遊技機の稼動効率を高めることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記タイマが所定時間を計時したときには、所定の情報を外部に報知する手段(80)をさらに含む、請求項1に記載の各台対応装置である。タイマが所定時間を計時したときには、所定の情報を外部に報知される。これにより、係員は当該遊技機が持玉放棄台であるか否かを判断することが可能となる。係員は、当該遊技機が持玉放棄台であると判断した場合には、当該遊技機を任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。これにより、遊技機の稼動効率を高めることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記タイマが所定時間を計時したときには、前記記憶手段に記憶されている持玉データを零にする手段(80)をさらに含む、請求項1に記載の各台対応装置である。タイマが所定時間を計時したときには、当該各台対応装置に対応する遊技機は、持玉放棄台である可能性が高いと考えられる。この構成では、タイマが所定時間を計時したときには、記憶手段に記憶されている持玉データが零にされる。これにより、当該各台対応装置に対応する遊技機(持玉放棄台である可能性が高いと考えられる遊技機)を、任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。このため、遊技機の稼動効率を高めることができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記タイマが作動しているときに、前記記憶手段に持玉データが記憶されていないと判別されたときには、前記タイマを停止させる手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の各台対応装置である。タイマが作動しているときに、記憶手段に持玉データが記憶されていないと判別されたときには、タイマが停止される。これにより、当該各台対応装置に対応する遊技機が、持玉放棄台であるか否かを判別する精度を向上させることができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられ、遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置(5)であって、所定時間を計時するためのタイマ(130)と、タイマ作動指令を入力するための手段(120,63)と、前記タイマが停止しているときに、前記タイマ作動指令が入力されたときには、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段(80)と、前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段(80)と、前記タイマがタイムアップしたときには、所定の情報を外部に報知する手段(80)とを含む、各台対応装置である。
【0012】
タイマがタイムアップしたときには、所定の情報が外部に報知される。これにより、係員は当該遊技機が遊技媒体放棄台であるか否かを判断することが可能となる。係員は、当該遊技機が遊技媒体放棄台であると判断した場合には、当該遊技機を任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。これにより、遊技機の稼動効率を高めることができる。
請求項6記載の発明は、タイマ停止指令を入力するための手段(120,63)と、前記タイマが作動しているときに、前記タイマ停止指令が入力されたときには、前記タイマを停止させる手段(80)をさらに含む、請求項5に記載の各台対応装置である。この構成では、タイマが作動しているときに、タイマ停止指令を入力させることによって、タイマによる所定時間の計時を停止させることができる。
【0013】
請求項7記載の発明は、時間表示指令を入力するための手段(120,63)と、前記タイマが作動しているときに、前記時間表示指令が入力されたときには、前記タイマによる計時済み時間あるいは前記所定時間までの残り時間を表示する手段(80)とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の各台対応装置である。
この構成では、タイマが作動しているときに、時間表示指令を入力させることによって、タイマによる計時済み時間あるいは前記所定時間までの残り時間を表示させることができる。係員は、表示された計時済み時間あるいは前記所定時間までの残り時間に基づいて、当該各台対応装置に対応する遊技機を任意の遊技客が使用できる状態にするか否かを判断することができる。
【0014】
請求項8記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられかつ遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置(5)を含む遊技システムであって、遊技客が保持している遊技媒体のうち現物ではなく数値データとして所有している持玉データを記憶する記憶手段(87)と、経過時間を計時するためのタイマ(130)と、前記タイマが停止しているときに、前記記憶手段に持玉データが記憶されていると判別されるかまたは前記記憶手段に持玉データが記憶されるべきイベントが発生したときには、前記タイマによる計時を開始させる手段(80)と、前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる計時を開始させる手段(80)とを含む、遊技システムである。この構成によれば、請求項1記載の発明と同様な効果を奏する遊技システムを実現できる。
【0015】
請求項9記載の発明は、各遊技機(4)に1対1対応で設けられかつ遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置(5)を含む遊技システムであって、所定時間を計時するためのタイマ(130)と、タイマ作動指令を入力するための手段(120,63)と、前記タイマが停止しているときに、前記タイマ作動指令が入力されたときには、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段(80)と、前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段(80)と、前記タイマがタイムアップしたときには、所定の情報を外部に報知する手段(80)とを含む、遊技システムである。この構成によれば、請求項5記載の発明と同様な効果を奏する遊技システムを実現できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、遊技機の稼動効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態に係る各台対応装置を備えた管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】遊技機および貸出処理機の外観を示す正面図である。
【図3】貸出処理機の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】景品管理機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】管理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】データ管理テーブルの内容の一例を示す模式図である。
【図7】貸出処理機によって実行される持玉放棄検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】持玉放棄検知処理の第1変形例を示すフローチャートである。
【図9】持玉放棄検知処理の第2変形例を示すフローチャートである。
【図10】変形例に係る遊技機および貸出処理機の外観を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る各台対応装置を備えた管理システムの構成を示している。
遊技施設には、島毎に、複数の遊技機(この例では、パチンコ台)4が設置されている。また、島毎に、1つの島コントローラ2が設けられている。各遊技機4の上方位置には、遊技機4の状態を表示するための状態表示装置(以下、「台ランプ」という)3が配置されている。また、各遊技機4には、パチンコ玉の貸出処理等を行なう各台対応装置(以下、「貸出処理機」という)5がそれぞれ設けられている。つまり、各貸出処理機5は、遊技機4と1対1対応している。島内の各貸出処理機5は、その島に対応して設けられた島コントローラ2とバス10を介して、管理装置(ターミナルコントローラ(T/C))1に接続されている。バス10には、さらに、精算機6および景品交換装置11が接続されている。
【0019】
景品交換装置11は、景品管理機7、カード処理機8および景品払出機9を含む。景品管理機7、カード処理機8および景品払出機9は、景品カウンタ上に隣接して設けられており、互いに接続されている。景品管理機7は、係員用表示部91を含んでいる。
管理装置1は、遊技客に対して発行されるプリペイドカードの有価価値の残高(以下、「プリペイド価値」という)、持玉データ、会員データ、貯玉データ等を管理する。プリペイドカード(遊技用記録媒体の一種に相当する。以下、単に「カード」という。)の種類には、会員に対して発行される会員カードと、会員カードを所持していない遊技客のために発行される一般カードとがある。
【0020】
「持玉データ」とは、遊技客が当日に獲得したパチンコ玉のうちの一部または全部を、現物として所有するのではなく数値データとしてカードに関連付けて所有する場合の、数値データをいう。一般カードに関連付けられている持玉データは、当日のみ有効であり、その日の営業が終了した時点で効力を失う。これに対して、会員カードに関連付けられている持玉データは、そのデータが発生した日の営業が終了した時点で、持玉データとしての効力は失うが、「貯玉データ」として会員カードに関連付けられる。
【0021】
この実施形態では、一般カードおよび会員カードには、カードID、プリペイド価値データ、持玉データなどのデータが記録される。カードに記録されているデータを総称して、カードデータという場合がある。
各貸出処理機5は、現金、カード(会員カード,一般カード)を利用したパチンコ玉の貸出を行う機能(貸出機能)、持玉の払出を行なう機能(持玉払出機能)、遊技客が獲得したパチンコ玉の計数を行う機能(各台計数機能)等を備えている。
【0022】
精算機6は、会員カード、一般カードに関連付けられているプリペイド価値データを現金に精算するものである。つまり、精算機6は、遊技客が所持するカードに関連付けられているプリペイド価値データを現金化するものである。
景品交換装置11(景品管理機7、カード処理機8および景品払出機9)は、一般カードに関連付けられている持玉データまたは会員カードに関連付けられている持玉データまたは貯玉データを、景品に交換するためのものである。カード処理機8は、カードからカードデータを読み取って、景品管理機7に与える機能等を備えている。景品管理機7は、カード処理機8から与えられたカードデータに基づいて、景品払出機9を制御する機能等を備えている。景品払出機9は、後述する特殊景品を払い出す機能等を備えている。なお、景品には、通常景品と、所定の金銭価値を有する特殊景品とがある。特殊景品には、たとえば、1000円、5000円といった金銭価値に応じた複数種類が存在し、特殊景品は景品払出機9から払い出される。遊技客は、持玉データ等を特殊景品と交換した場合には、当該特殊景品を遊技施設外に設置された景品交換所に持参し、景品交換所にて、特殊景品に相当する価値で買い取ってもらうことができる。
【0023】
図2は、遊技機4、貸出処理機5および台ランプ3の外観を示している。
貸出処理機5は、遊技機4の左側において遊技機4の左側面に沿って配置された縦長の台間カード処理部51と、台間カード処理部51の下端部に一体的に設けられた各台計数部52とからなる。通常、複数の遊技機4が横方向に並んで設置されているので、貸出処理機5の台間カード処理部51は、隣り合う2つの遊技機の間に配置されていることが多い。
【0024】
遊技機4の内部には、貸玉や賞球を払い出すための玉払出機構41が設けられている。遊技機の前面には、遊技機4に打ち出すためのパチンコ玉を一時的に貯留するための上皿42および下皿43が設けられている。上皿42のパチンコ玉が一杯になると、パチンコ玉が下皿43に流れてくるようになっている。上皿42の前面には、パチンコ玉貸出指令(以下、単に「貸出指令」という)を入力するための貸出ボタン44、カード返却指令(遊技を終了するための指令)を入力するためのカード返却ボタン45およびカードのプリペイド価値を表示するためのプリペイド価値表示部46が設けられている。
【0025】
台間カード処理部51の前面には、状態表示部61、紙幣挿入部62、リモコン受光部63、表示部64、操作部65、玉払出用ノズル66、カード挿入/返却部67などが設けられている。台間カード処理部51の内部には、紙幣挿入部62から挿入された紙幣を鑑別して取り込むための紙幣識別部81(図3参照)、カードからデータを読み取ったり、カードにデータを書き込んだりするためのカードリード/ライタ部(カードR/W部)82(図3参照)、玉払出用ノズル66を介して遊技機4の上皿42に、パチンコ玉を供給するための玉払出部83(図3参照)などが設けられている。状態表示部61は、貸出処理機5の運転状態等を表示するものである。リモコン受光部63は、係員が操作するリモコン120からのリモコン信号を受光するものである。
【0026】
各台計数部52は、台間カード処理部51の下端部に一体的に形成されかつ内部に計数部71を有する計数部本体72と、下皿43の下方に配置された玉受け皿73と、玉受け皿73内のパチンコ玉を計数部本体72内の計数部71に送るための玉通路74とを備えている。玉受け皿73の前面には、持玉払出ボタン75と持玉表示部76とが設けられている。
【0027】
持玉払出ボタン75は、持玉払出指令を入力するためのボタンである。持玉表示部76には、計数値、持玉データなどが表示される。なお、下皿43の底面にはシャッタ(図示略)が設けられており、このシャッタを開放することにより、下皿43に貯留されているパチンコ玉を、玉受け皿73に送り込むことができるようになっている。
図3は、貸出処理機5の電気的構成を示している。
【0028】
貸出処理機5は、制御部80によって制御される。制御部80は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部80には、状態表示部61、紙幣識別部81、リモコン受光部63、表示部64、操作部65、カードR/W部82、玉払出部83、タイマ130、上位通信I/F部84、台通信I/F部85、遊技機通信I/F部86、メモリ部87、各台計数部52、電源部88、台ランプ通信I/F部89などが接続されている。各台計数部52は、計数部71、持玉払出ボタン75および持玉表示部76を含む。
【0029】
操作部65には、テンキー(図示略)、各種操作ボタン等が設けられている。カードR/W部82には、複数枚の一般カードが収納されている。上位通信I/F部84は、島コントローラ2を介して管理装置1等と通信するためのインタフェースであり、島コントローラ2に接続されている。台通信I/F部85は、遊技機4の貸出ボタン44、返却ボタン45およびプリペイド価値表示部46を、制御部80に接続するためのインタフェースであり、これらのボタン44,45および表示部46に接続されている。遊技機通信I/F部86は、遊技機4と通信を行うためのインタフェースであり、遊技機4の制御部に接続されている。メモリ部87は、作業用メモリとして用いられる。台ランプ通信I/F部89は、台ランプ3を制御部80に接続するためのインタフェースである。電源部88は、入力電力から貸出処理機5の各部に必要とされる出力電力を生成する。タイマ130は、所定時間を計時するためのタイマであり、ハードウェアで構成されたタイマであっても、ソフトウェアで構成されたタイマであってもよい。
【0030】
図4は、景品管理機7の電気的構成を示している。
景品管理機7は、制御部90を備えている。制御部90は、CPUおよびそのプログラム等を記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部90には、係員用表示部91、客用表示部92、操作部93、印字部94、上位通信I/F部95、カード処理機用通信I/F部96、景品払出機用通信I/F部97、電源部98、メモリ部99などが接続されている。
【0031】
上位通信I/F部95は、管理装置1等と通信するためのインタフェースであり、バス10に接続されている。カード処理機用通信I/F部96は、カード処理機8と通信を行うためのインタフェースであり、カード処理機8に接続されている。景品払出機用通信I/F部97は、景品払出機9と通信を行うためのインタフェースであり、景品払出機9に接続されている。電源部98は、入力電力から景品管理機7の各部に必要とされる出力電力を生成する。メモリ部99は作業用メモリとして用いられる。
【0032】
図5は、管理装置1の電気的構成を示している。
管理装置1は、制御部110によって制御される。制御部110は、CPUおよびそのプログラムなどを記憶したメモリ(ROM、RAM等)を備えており、プログラムにしたがって所定の処理を実行する。制御部110には、不揮発性メモリ部111、電源部112、下位通信I/F部113、メモリ部114などが接続されている。
【0033】
不揮発性メモリ部111は、たとえば、書き換え可能な不揮発性メモリからなる。不揮発性メモリ部111には、データ管理テーブル111aなどが設けられている。データ管理テーブル111aには、図6に示すように、一般カードまたは会員カードのカードIDに関連付けて、プリペイド価値データと持玉データとが記憶される。
図5に戻り、電源部112は、入力電力から管理装置1の各部に必要とされる出力電力を生成する。メモリ部114は、作業用メモリとして用いられる。下位通信I/F部113は、島コントローラ2を介して各貸出処理機5と通信したり、精算機6、景品管理機7、カード処理機8等と通信したりするためのインタフェースである。
【0034】
遊技客が遊技機4で遊技を行なう際の貸出処理機5の基本的な動作について説明する。まず、現金(紙幣)に基づいて玉貸が行なわれる場合の、貸出処理機5の基本的な動作について説明する。
貸出処理機5の紙幣挿入部62に紙幣が投入されると、挿入された紙幣の金額に相当する度数(プリペイド価値)が遊技機4のプリペイド価値表示部46に表示される。また、カードR/W部82内に収納されている一般カードのうちの1枚のカードIDが仮発行され(この時点では、当該一般カードからカードIDが読み取られるだけで、当該カードは排出されない)、当該カードIDに関連して、プリペイド価値データ(この場合は挿入された紙幣の金額に相当する値)が、メモリ部87に一時的に記憶されるとともに、管理装置1に送信される。管理装置1は、データ管理テーブル111aに、受信したカードIDに関連付けて、受信したプリペイド価値データを記憶する。このとき、プリペイド価値データは、カードIDに関連付けられるとともに、当該貸出処理機5に関連付けられることになる。
【0035】
遊技機4の貸出ボタン44が押下されると、遊技機4側の玉払出機構41から、1回分の貸玉払出数に相当するパチンコ玉(貸玉)が、上皿42に払い出される。たとえば、100個のパチンコ玉が払い出される。これにより、前記プリペイド価値データが減算される。つまり、仮発行されたカードIDに関連付けられているプリペイド価値データ(メモリ部87上のプリペイド価値データおよび管理装置1側で管理しているプリペイド価値データ)が更新される。遊技客は、より多くの貸玉の払出を受けたい場合には、再度、貸出ボタン44を押下すればよい。
【0036】
貸出処理機5の計数部71によって計数処理が行なわれたときには、その計数値がメモリ部87に持玉データとして記憶される。このとき、持玉データは、前記仮発行されたカードIDに関連付けられるとともに、当該貸出処理機5に関連付けられることになる。メモリ部87に持玉データが記憶されている状態において、貸出処理機5の計数部71によって計数処理が行なわれた場合および持玉払出指令に基づいて貸出処理機5により遊技機4にパチンコ玉が払い出された場合には、メモリ部87内の持玉データは更新(加算または減算)される。
【0037】
遊技客が遊技機4のカード返却ボタン45を押下すると、カード返却処理が行なわれる。カード返却処理においては、仮発行されたカードIDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データが、当該カードIDとともに、管理装置1に送られる。管理装置1は、データ管理テーブル111aに、受信した持玉データを、受信したカードIDに関連付けて記憶する。また、貸出処理機5側では、貸出処理機5の内部にストックされておりかつ前述の仮発行されたカードIDが記録された一般カードに、メモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが記録された後、当該一般カードが発行(返却)される。また、メモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが消去される。
【0038】
遊技客は、他の遊技機4に台移動した後、この一般カードを挿入して、プリペイド価値データに基づく貸玉の払出や持玉データに基づく持玉の払出を受けることが可能である。また、遊技客は、遊技施設に設置された精算機6において、一般カードに関連付けられたプリペイド価値データを精算することができる。さらに、遊技客は、遊技施設内の景品カウンタに設置された景品交換装置11によって、一般カードに関連付けられた持玉データを、景品に交換することができる。持玉データを、景品に交換した場合には、当該カードに関連付けられている持玉データ(管理装置1側で管理されている持玉データおよびカードに記録されている持玉データ)が更新される。つまり、持玉データの値は、景品交換に使用された分だけ、減少する。
【0039】
なお、会員カードについても、同様に、精算機6において、会員カードに関連付けられたプリペイド価値データを精算することができる。また、景品管理機7およびカード処理機8において、会員カードに関連付けられた持玉データまたは貯玉データを、景品に交換することができる。
貸出処理機5に一般カードまたは会員カードが挿入され、挿入されたカードに関連付けられているプリペイド価値データに基づいて玉貸が行なわれる場合の、貸出処理機5の基本的な動作について説明する。
【0040】
貸出処理機5のカード挿入/返却部67に一般カードまたは会員カードが挿入されると、カードIDを含むカードデータが読み取られる。貸出処理機5は、当該カードIDを管理装置1に送信する。
管理装置1は、貸出処理機5から受信したカードIDに対応するプリペイド価値データおよび持玉データを、データ管理テーブル111aから検索して、貸出処理機5に送信する。この際、管理装置1は、データ管理テーブル111a内における受信したカードIDに対応する持玉データを消去(零)にする。貸出処理機5は、管理装置1から送信されてきたプリペイド価値データおよび持玉データを、当該カードIDに関連してメモリ部87に一時的に記憶する。このとき、カードIDに関連付けられているプリペイド価値データおよび持玉データは、当該貸出処理機5にも関連付けられることになる。また、貸出処理機5は、取得したプリペイド価値データに対応する度数を遊技機4のプリペイド価値表示部46に表示させる。
【0041】
そして、貸出ボタン44が押下されると、遊技機4側の玉払出機構41から、1回分の貸玉払出数に相当するパチンコ玉(貸玉)が、上皿42に払い出される。また、プリペイド価値データが減算される。つまり、遊技客によって挿入されたカードに関連付けられているプリペイド価値データ(メモリ部87上のプリペイド価値データおよび管理装置1側で管理しているプリペイド価値データ)が更新される。
【0042】
なお、当該カードIDに関連してメモリ部87に記憶された持玉データは、貸出処理機5の計数部71によって計数処理が行なわれる場合および持玉払出指令に基づいて貸出処理機5により遊技機4に持玉が払い出された場合には、更新される。
遊技客が遊技機4のカード返却ボタン45を押下すると、カード返却処理が行なわれる。カード返却処理においては、メモリ部87に記憶されている持玉データが、対応するカードIDとともに、管理装置1に送られる。管理装置1は、データ管理テーブル111aに、受信したカードIDに関連して、受信した持玉データを記憶する。また、貸出処理機5側では、遊技客により挿入されているカードにメモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが記録された後、当該カードが返却される。ただし、挿入されたカードが一般カードであって、プリペイド価値データおよび持玉データがとも零である場合には、当該カードは収納され、再利用される。また、メモリ部87上のプリペイド価値データおよび持玉データが消去される。
【0043】
遊技客が獲得したパチンコ玉を計数部71によって計数させる場合の貸出処理機5の基本的な動作について説明する。遊技客が下皿43の底面のシャッタを開放すると、下皿43に貯留されているパチンコ玉が、玉受け皿73に送り込まれる。玉受け皿73に送り込まれたパチンコ玉は、玉通路74を通って計数部71に送られる。計数部71に送られてきたパチンコ玉の数が計数部71によって計数される。計数動作中においては、計数開始前にメモリ部87に記憶されている持玉データに、その時点での計数値が加算された値が演算されることにより、持玉データが更新される。そして、更新された持玉データが持玉表示部76に表示される。つまり、計数動作中においては、持玉表示部76に表示される持玉データが変化する。
【0044】
持玉払出ボタン75が押下された場合の貸出処理機5の基本的な動作について説明する。持玉払出ボタン75が押下されると、貸出処理機5は、カードIDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データが所定数以上あれば、持玉払出単位に相当する所定個数のパチンコ玉を払い出し、持玉データが所定数未満であれば持玉データに相当する数のパチンコ玉を払い出す。貸出処理機5は、カードIDに関連してメモリ部87に記憶されている持玉データを更新する。具体的には、貸出処理機5は、カードIDに関連してメモリ部87に一時的に記憶されている持玉データから、払出されたパチンコ玉の数(持玉払出数)を減算することにより、メモリ部87上の持玉データを更新する。
【0045】
遊技客の中には、貸出処理機5に持玉データや獲得玉を放置したまま、帰ってしまう遊技客がいる。たとえば、遊技終了段階において持玉データが残っているにもかかわらず、カード返却ボタン45を押下することなく帰ってしまう遊技客がいる。特に、低貸玉運用では、パチンコ玉を特殊景品に交換するときのレート(交換率)が低いので、貸出処理機5に持玉データや獲得玉を放置したまま、帰ってしまう遊技客が増加している。貸出処理機5に持玉データや獲得玉を放置したまま、遊技客が帰った場合には、当該貸出処理機5に対応する遊技機4が、遊技継続中の遊技機であるのか、持玉データや獲得玉が放棄された遊技機(以下、「持玉放棄台」という)であるかを判定できない。このため、遊技機4が持玉放棄台であったとしても、他の遊技客は当該遊技機4の使用を避けるので、遊技機4の稼動効率が悪くなる。
【0046】
この実施形態による貸出処理機5は、対応する遊技機4が持玉放棄台となった可能性が高い場合に、そのことを検知して所定の処理を行なう持玉放棄検知機能を備えている。貸出処理機5は、持玉放棄検知機能を実現するために、持玉放棄検知処理を行なう。
図7は、貸出処理機5によって実行される持玉放棄検知処理の手順を示している。
図7の処理は、所定の演算周期毎に実行される。貸出処理機5の制御部80は、タイマ130の作動状態を記憶するフラグFがセットされているか否かを判別する(ステップS1)。フラグFは、タイマ130が作動状態であるとき、つまり、計時動作を行なっているときにはセット(F=1)され、タイマ130が停止状態であるときには、リセット(F=0)される。フラグFは、電源オン時の初期設定において、リセットされる。
【0047】
ステップS1において、フラグFがリセット(F=0)されていると判別された場合、つまり、タイマ130が停止しているときには(ステップS1:NO)、制御部80はメモリ部87に持玉データが記憶されているか否かを判別する(ステップS2)。メモリ部87に持玉データが記憶されていない場合には(ステップS2:NO)、制御部80は今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
【0048】
ステップS2において、メモリ部87に持玉データが記憶されていると判別された場合には(ステップS2:YES)、制御部80はタイマ130による所定時間Tsの計時を開始させるとともに(ステップS3)、フラグFをセット(F=1)する(ステップS4)。そして、制御部80は、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
ステップS1において、フラグFがセット(F=1)されていると判別された場合、つまり、タイマ130が作動しているときには(ステップS1:YES)、制御部80はメモリ部87に持玉データが記憶されているか否かを判別する(ステップS5)。メモリ部87に持玉データが記憶されていない場合には(ステップS5:NO)、制御部80はタイマ130をクリアして停止させるとともに(ステップS6)、フラグFをリセット(F=0)する(ステップS7)。そして、制御部80は、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
【0049】
ステップS5において、メモリ部87に持玉データが記憶されていると判別された場合には(ステップS5:YES)、制御部80は、タイマ130をクリアすべきイベント(以下、「タイマクリアイベント」という)が発生したか否かを判別する(ステップS8)。タイマクリアイベントは、遊技客による遊技が継続していることを示すイベントである。タイマクリアイベントには、たとえば、計数部71による計数動作が開始されたこと、各台計数部52の持玉払出ボタン75が押下されたこと、台間カード処理部51の操作部65が操作されたこと、遊技機4にパチンコ玉が流入していることが検知されたこと、遊技機4からパチンコ玉が流出していることが検知されたこと、台間カード処理部51に紙幣やカードが挿入されたこと、貸出ボタン44が押下されたことなどが含まれる。遊技機4にパチンコ玉が流入していることは、遊技機4からパチンコ玉が流入する毎に出力されるセーフ信号に基づいて検知することができる。遊技機4からパチンコ玉が流出していることは、遊技機4からパチンコ玉が流出する毎に出力されるアウト信号に基づいて検知することができる。予め定められた複数のタイマクリアイベントのうち、いずれか1つでも発生した場合には、ステップS8においてタイマクリアイベントが発生したと判別される。
【0050】
タイマクリアイベントが発生したと判別された場合には(ステップS8:YES)、制御部80は、タイマ130をクリアした後、タイマ130による計時を開始させる(ステップS9)。そして、制御部80は、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
ステップS8において、タイマクリアイベントが発生していないと判別された場合には(ステップS8:NO)、制御部80はタイマ130がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS10)。タイマ130は、所定時間Tsを計時し終わったときに、タイムアップする。タイマ130がタイムアップしていなければ(ステップS10:NO)、制御部80は、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
【0051】
ステップS10において、タイマ130がタイムアップしたと判別された場合には(ステップS10:YES)、制御部80は、フラグFをリセットした後(ステップS11)、対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことを管理装置1に報知する(ステップS12)。また、制御部80は、対応する貸出処理機5を操作禁止状態にする(ステップS13)。これにより、貸出処理機5は、係員処理の待ち状態となる。
【0052】
遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことが管理装置1に報知された場合には、管理装置1側に待機している管理者は、遊技店舗内にいる係員にそのことを通知する。係員は、この報知に基づいて、当該遊技機4が持玉放棄台であるか否かを判断する。係員は、当該遊技機4が持玉放棄台であると判断した場合には、係員操作によって遊技機4に放置されているカードを排出させて任意の遊技客が使用できる状態にするとともに、貸出処理機5を操作可能状態にさせる。排出させたカードは、貸出処理機5の識別番号(台番号)や排出時刻を関連付けてホール側で所定期間保管し、元の遊技客からの申出があれば、真偽を確認して返却するようにしてもよい。
【0053】
この実施形態では、貸出処理機5の制御部80は、持玉放棄台である可能性が高い遊技機4を検知して、そのことを係員等に報知することができる。このため、その遊技機4が持玉放棄台であるか否かを係員が迅速に判断することができる。そして、係員は、その遊技機4が持玉放棄台であると判断した場合には、その遊技機4を任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。これにより、遊技機4の稼動効率を高めることができる。
【0054】
図7のステップS2では、メモリ部87に持玉データが存在しているか否かが判別されているが、持玉データが記憶されていることまたは持玉データが記憶されるべきことを示すイベント(以下、「タイマ作動イベント」という)が、発生したか否かを判別するようにしてもよい。タイマ作動イベントには、たとえば、計数部71による計数動作が終了したこと、持玉データが関連付けられたカードが貸出処理機5に挿入されたことなどが含まれる。予め定められた複数のタイマ作動イベントのうち、いずれか1つでも発生した場合には、タイマ作動イベントが発生したと判別される。制御部80は、タイマ作動イベントが発生した場合にはステップS3に進み、タイマ作動イベントが発生していない場合には、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
【0055】
また、図7のステップS12では、制御部80は、対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことを管理装置1に報知しているが、制御部80は、それに代えて、またはそれに加えて次のような報知処理を行なってもよい。つまり、制御部80は、貸出処理機5の状態表示部61を点灯または点滅させる。制御部80は、台ランプ3に、対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことを表示させる。制御部80は、景品管理機7と通信し、景品管理機7の係員用表示部91に、対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことを表示させる。制御部80は、対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高いことを、係員に無線で知らせる。
【0056】
また、前記ステップS12では、「対応する遊技機4が持玉放棄台である可能性が高い」旨を管理装置1に報知しているが、単に「係員による確認が必要である」旨を報知するようにしてもよい。
図8は、持玉放棄検知処理の第1変形例を示している。図8において、図7に示された各ステップと同様の処理が行われるステップには、図7中と同一参照符号を付して示す。
【0057】
図8に示される持玉放棄検知処理は、図7に示される持玉放棄検知処理と比べて、タイマ130がタイムアップした場合の処理が異なっている。
ステップS10において、タイマ130がタイムアップしたと判別された場合には(ステップS10:YES)、制御部80は、フラグFをリセットした後(ステップS11)、メモリ部87内の持玉データを消去(持玉データを零に)する(ステップS14)。つまり、対応する遊技機4を任意の遊技者が使用できる状態とする。また、制御部80は、持玉データを消去したことを含むログ作成用情報を管理装置1に送信する(ステップS15)。具体的には、制御部80は、消去した持玉データ、当該持玉データに関連して記憶されていたカードID、当該貸出処理機5の識別番号、データ消去時刻、持玉データを消去したことを含むログ作成用情報を、管理装置1に送信する。管理装置1は、受信したログ作成用情報に基づいてログデータを作成して記憶する。制御部80は、ステップS15の処理が終了すると、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
【0058】
第1変形例では、制御部80は、持玉放棄台である可能性が高い遊技機4を検知すると(ステップS10参照)、メモリ部87内の持玉データを消去することにより、対応する遊技機4を任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。これにより、遊技機4の稼動効率を高めることができる。この第1変形例であれば、係員を介在させることなく、持玉放棄台を開放できるので、速やかな対応が可能となる。なお、ステップS14で消去した持玉データは、前述したログ作成用情報のように、貸出処理機5の識別番号(台番号)や持玉データの消去時刻等に関連付けてホール側で所定期間管理し、元の遊技客からの申出があれば、真偽を確認してから、返却する(当該持玉データが関連つけられたカードを発行する)ようにしてもよい。
【0059】
図9は、持玉放棄検知処理の第2変形例を示している。図9において、図7に示された各ステップと同様の処理が行われるステップには、図7中と同一参照符号を付して示す。
図9に示される持玉放棄検知処理の特徴は、係員の操作に基づいてタイマ130による計時が開始されたり、タイマ130が停止されたりする点にある。具体的には、図9に示される持玉放棄検知処理では、図7のステップS2,S5の処理の代わりにステップS2A,S5Aの処理が行われる。係員は、リモコン120(図2参照)を操作することにより、リモコン120からタイマ作動指令、タイマ停止指令等のリモコン信号を送出させることができる。リモコン120から送出されたリモコン信号は、リモコン受光部63を介して制御部80に入力される。
【0060】
ステップS1において、フラグFがセットされていないと判別された場合には(ステップS1:NO)、制御部80は、リモコン120からのタイマ作動指令が入力されたか否かを判別する(ステップS2A)。タイマ作動指令が入力されていない場合には(ステップS2A:NO)、制御部80は今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。タイマ作動指令が入力された場合には(ステップS2A:YES)、制御部80はタイマ130による所定時間Tsの計時を開始させるとともに(ステップS3)、フラグFをセット(F=1)する(ステップS4)。そして、制御部80は、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。
【0061】
ステップS1において、フラグFがセット(F=1)されていると判別された場合には(ステップS1:YES)、制御部80はリモコン120からのタイマ停止指令が入力されたか否かを判別する(ステップS5A)。タイマ停止指令が入力された場合には(ステップS5A:YES)、制御部80はタイマ130をクリアして停止させるとともに(ステップS6)、フラグFをリセット(F=0)する(ステップS7)。そして、制御部80は、今演算周期での持玉放棄検知処理を終了する。ステップS5Aにおいて、タイマ停止指令が入力されていないと判別された場合には(ステップS5A:NO)、制御部80は、タイマクリアイベントが発生したか否かを判別する(ステップS8)。
【0062】
第2変形例では、たとえば、係員が、パチンコ玉(獲得玉)が残っている非稼動の遊技機4を発見した場合に、係員がリモコン120を操作して、タイマ作動指令をその遊技機4に対応する貸出処理機5に入力させることができる。これにより、タイマ130による所定時間Tsの計時が開始される。タイマ130が作動中である場合に、たとえば、当該遊技機4に遊技客が戻ってきた場合には、係員はリモコン120を操作して、タイマ停止指令をその遊技機4に対応する貸出処理機5に入力させることができる。これにより、タイマ130を停止させることができる。
【0063】
タイマ130が係員のリモコン操作によって作動された後に、タイマ130がタイムアップしたときには、そのことが係員等に報知される。このため、その遊技機4が持玉放棄台であるか否かを係員が判断することができる。そして、係員は、その遊技機4が持玉放棄台であると判断した場合には、係員処理によって、その遊技機4を任意の遊技客が使用できる状態にすることができる。これにより、遊技機4の稼動効率を高めることができる。
【0064】
以上、この発明の実施形態、第1変形例および第2変形例について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、タイマ130が作動されている場合には、制御部80は、タイマ130による計時済み時間(タイマ130が作動されてから現在までの時間に相当する)やタイムアップまでの残り時間を、表示部64、台ランプ3等に表示させるようにしてもよい。係員は、この表示に基づいて、対応する遊技機4を任意の遊技客が使用できる状態にするタイミングを判断できる。制御部80は、係員によるリモコン120操作等によって所定の指令(時間表示指令)が入力されたときに、前記計時済み時間やタイムアップまでの残り時間を表示するようにしてもよい。貸出処理機5が有する持玉放棄検知機能の一部を島コントローラ2や管理装置(T/C)1に持たせてもよい。具体的には、貸出処理機5によって実行される持玉放棄検知処理(図7、図8または図9に示される処理)の一部を島コントローラ2や管理装置(T/C)1に実行させるようにしてもよい。
【0065】
また、台ランプ3に持玉放棄検知機能(タイマ機能)を持たせるとともに、タイマ作動指令、タイマ停止指令、時間表示指令等の入力手段(操作ボタン)を設けるようにしてもよい。この場合、台ランプ3は、持玉データの有無や、タイマクリアイベントの発生したことを、貸出処理機5から通信で取得する機能を持っていてもよい。
また、この発明は、遊技客が獲得した遊技媒体を計数する計数装置と、プリペイド価値に関する処理を行なうカードユニットとが別体かつ通信可能に設けられる所謂「ダブルサンド」方式の各台計数システムにも適用することができる。
【0066】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
たとえば、図2を参照して、前述した遊技機4では、貸出処理機5から貸し出されたパチンコ玉や玉払出機構41から払い出されたパチンコ玉は、一旦、上皿42に溜められてから遊技に用いられる。そして、遊技で入賞することによって遊技機4から払い出されたパチンコ玉(いわゆる賞球)は、下皿43に溜められてから、玉受け皿73および玉通路74を経由した後に、貸出処理機5の計数部71によって計数される。つまり、前述した遊技機4では、遊技機4の外部から上皿42にパチンコ玉を供給したり、下皿43を介して遊技機4の外部へパチンコ玉を放出したりすることができるので、遊技客は、パチンコ玉の現物に触れることができる。
【0067】
本発明は、前述した(パチンコ玉の現物に触れることができる構成の)遊技機4に限らず、いわゆる封入式の遊技機4にも適用可能である。
図10は、変形例に係る(封入式の)遊技機4および貸出処理機5の外観を示す正面図である。図10の遊技機4および貸出処理機5において、前述した部品と同一の部品には、同一の符号を付して当該部品の説明を省略する。
【0068】
図10を参照して、封入式の遊技機4は、遊技機4の装置本体4Aの内部に封入されたパチンコ玉を用いて遊技できる遊技機である。封入式の遊技機4では、前述したプリペイド価値データや持玉データが存在する限り、これらのデータの範囲内で、封入されたパチンコ玉を用いて遊技できる。詳しくは、封入式の遊技機4内には、封入式でない場合と同様に、遊技客がハンドル100を操作することに応じて打ち込まれたパチンコ玉が動き回れる領域101が存在し、当該領域101には、入賞領域(図示せず)が設けられている。封入式の遊技機4では、パチンコ玉が当該入賞領域を通過すると、センサ(図示せず)によって、当該パチンコ玉の通過が検出される。そして、このセンサが入賞領域におけるパチンコ玉の通過を検出すると、その検出に応じて遊技客に付与すべき賞球の数(「賞球数」ということにする)が、遊技機4から貸出処理機5に通知される。
【0069】
なお、遊技客は、賞球を、パチンコ玉の現物として獲得することはなく、追加の持玉データとして獲得する。そのため、遊技客がパチンコ玉の現物に触れることは、遊技の開始に先立ってパチンコ玉を借りる場合も含めて、一切ない。そのため、封入式の遊技機4では、上皿42や下皿43(図2参照)が省略されているとともに、封入式の遊技機4に対応する貸出処理機5では、各台計数機能に関わる各台計数部52や玉払出用ノズル66(図2参照)が省略されている。一方、前述した実施形態で上皿42に設けられていた貸出ボタン44、カード返却ボタン45およびプリペイド価値表示部46(図2参照)、ならびに、各台計数部52の玉受け皿73に設けられていた持玉表示部76(図2参照)は、装置本体4Aに設けられている。なお、貸出ボタン44は、前述した持玉払出ボタン75(図2参照)の役割も兼ねている。
【0070】
貸出処理機5の制御部80(図3参照)は、前述したように遊技機4から通知された賞球数を、メモリ部87(図3参照)の持玉データに加算する。なお、プリペイド価値データが残っている状態で貸出ボタン44が押されると、制御部80は、プリペイド価値データを減算し、貸出ボタン44を1回押した場合に貸し出すパチンコ玉(いわゆる貸玉)の数を、持玉データに一旦加算してもよい。
【0071】
そして、遊技客によって貸出ボタン44が押されてハンドル100が操作されることにより遊技機4内でパチンコ玉が打ち込まれると、制御部80は、打ち込まれたパチンコ玉の数だけ、メモリ部87における持玉データ(場合によってはプリペイド価値データ)を減算する。
そして、このような封入式の遊技機4の場合において、今まで遊技していた遊技客が、貸出処理機5のカード挿入/返却部67に各種カードを差し込んだままにする等によって持玉データやプリペイド価値データが残った(零でない)まま席を離れた場合にも、貸出処理機5の制御部80は、図7〜図9の処理を行う。そのため、封入式の遊技機4の場合であっても、前述した持玉放棄台を、速やかに、任意の遊技客が使用できる状態にして、遊技機4の稼動効率を高めることができる。
【0072】
ここで、封入式の遊技機4は、打ち込める(遊技に使える)パチンコ玉の残数データを、自身で管理できてもよい。この場合、残数データが残っているにもかかわらず、遊技客が席を離れることで一定時間(たとえば5分)経過すると、当該残数データが、遊技機4から貸出処理機5に移されて貸出処理機5で別管理され、遊技機4の残数データが貸出処理機5からの指示によって消去される。これにより、残数データが消去された遊技機4は、待機状態(使用できる状態)になる。そして、当該残数データは、持玉データとして貸出処理機5や管理装置1(つまりホール側)で所定期間管理され、元の遊技客からの申出があれば、真偽を確認してから、元の遊技客に対して当該残数データを返却する(当該持玉データが関連つけられたカードを発行する)ようにしてもよい。
【0073】
そして、封入式の場合に限らず、貸出処理機5が遊技機4の一部として遊技機4に組み込まれていても構わない。
なお、会員が、会員カードや自身の携帯電話で会員認証してから遊技機4で遊技していた場合において、この会員が席を離れてしまった後に別の会員が当該遊技機4において会員認証した場合には、席を離れた会員の持玉データは、当該遊技機4に対応する貸出処理機5のメモリ部87(図3参照)において強制的に消去されてもよい。この場合、当該別の会員は、当該遊技機4を速やかに使用できるので、遊技機4の稼動効率を高めることができる。一方、消去された持玉データは、席を離れた会員のものとして、管理装置1で管理されているので、当該持玉データに関して特に問題が生じることはない。
【0074】
また、遊技機4に残ったパチンコ玉が放棄玉であること(当該遊技機4が持玉放棄台であること)を判断する際、当該パチンコ玉の数(つまり、持玉データの数値)が所定数以下(または未満)であることを判断条件としてもよい。つまり、遊技客が1000玉や2000玉のパチンコ玉を放棄することはまず考えられず、遊技客が放棄するパチンコ玉の数は、10玉前後の少数である可能性が高い。そこで、タイマによる計時開始(前述したステップS3)の条件に、メモリ部87の持玉データの数値が所定数以上であるか否かのチェックを行い、当該持玉データの数値が所定数以下(または未満)であれば、タイマによる計時を開始してもよい。また、当該持玉データの数値の大小に応じて、タイマ時間(計時開始からタイムアップするまでの時間であり、前述した所定時間Ts)を変更するようにしてもよい。たとえば、当該持玉データの数値が100以上であれば、報知(前述したステップS12)を行うまでの時間(所定時間Ts)が少し長くなるようにタイマ設定してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 管理装置
4 遊技機
5 貸出処理機
7 景品管理機
80 制御部
130 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各遊技機に1対1対応で設けられ、遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置であって、 遊技客が保持している遊技媒体のうち現物ではなく数値データとして所有している持玉データを記憶する記憶手段と、
経過時間を計時するためのタイマと、
前記タイマが停止しているときに、前記記憶手段に持玉データが記憶されていると判別されるかまたは前記記憶手段に持玉データが記憶されるべきイベントが発生したときには、前記タイマによる計時を開始させる手段と、
前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる計時を開始させる手段とを含む、各台対応装置。
【請求項2】
前記タイマが所定時間を計時したときには、所定の情報を外部に報知する手段をさらに含む、請求項1に記載の各台対応装置。
【請求項3】
前記タイマが所定時間を計時したときには、前記記憶手段に記憶されている持玉データを零にする手段をさらに含む、請求項1に記載の各台対応装置。
【請求項4】
前記タイマが作動しているときに、前記記憶手段に持玉データが記憶されていないと判別されたときには、前記タイマを停止させる手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の各台対応装置。
【請求項5】
各遊技機に1対1対応で設けられ、遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置であって、 所定時間を計時するためのタイマと、
タイマ作動指令を入力するための手段と、
前記タイマが停止しているときに、前記タイマ作動指令が入力されたときには、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段と、
前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段と、
前記タイマがタイムアップしたときには、所定の情報を外部に報知する手段とを含む、各台対応装置。
【請求項6】
タイマ停止指令を入力するための手段と、前記タイマが作動しているときに、前記タイマ停止指令が入力されたときには、前記タイマを停止させる手段をさらに含む、請求項5に記載の各台対応装置。
【請求項7】
時間表示指令を入力するための手段と、
前記タイマが作動しているときに、前記時間表示指令が入力されたときには、前記タイマによる計時済み時間あるいは前記所定時間までの残り時間を表示する手段とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の各台対応装置。
【請求項8】
各遊技機に1対1対応で設けられかつ遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置を含む遊技システムであって、
遊技客が保持している遊技媒体のうち現物ではなく数値データとして所有している持玉データを記憶する記憶手段と、
経過時間を計時するためのタイマと、
前記タイマが停止しているときに、前記記憶手段に持玉データが記憶されていると判別されるかまたは前記記憶手段に持玉データが記憶されるべきイベントが発生したときには、前記タイマによる計時を開始させる手段と、
前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる計時を開始させる手段とを含む、遊技システム。
【請求項9】
各遊技機に1対1対応で設けられかつ遊技媒体の貸出処理を行なう各台対応装置を含む遊技システムであって、
所定時間を計時するためのタイマと、
タイマ作動指令を入力するための手段と、
前記タイマが停止しているときに、前記タイマ作動指令が入力されたときには、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段と、
前記タイマが作動しているときに、予め定められたタイマクリアイベントが発生したときには、前記タイマをクリアさせた後、前記タイマによる前記所定時間の計時を開始させる手段と、
前記タイマがタイムアップしたときには、所定の情報を外部に報知する手段とを含む、遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−66057(P2012−66057A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172096(P2011−172096)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】