説明

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

【課題】合わせガラスに用いられた場合に、該合わせガラスの全領域の耐貫通性を高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供する。
【解決手段】合わせガラス用中間膜1は、一端1aの厚みが他端1bの厚みよりも薄い。合わせガラス用中間膜1の厚みの薄い領域の含水率は、厚みの厚い領域の含水率よりも高い。合わせガラス21は、第1の合わせガラス構成部材22と、第2の合わせガラス構成部材23と、該第1,第2の合わせガラス構成部材22,23の間に挟み込まれた合わせガラス用中間膜1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヘッドアップディスプレイに好適に用いることができる合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、合わせガラスに用いられた場合に、該合わせガラスの全領域の耐貫通性を高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
【0003】
自動車に用いられる上記合わせガラスとして、ヘッドアップディスプレイ(HUD)が知られている。HUDでは、自動車のフロントガラスに、自動車の走行データである速度などの計測情報等を表示させることができる。
【0004】
上記HUDでは、フロントガラスに表示される計測情報が、二重に見えるという問題がある。
【0005】
二重像を抑制するために、下記の特許文献1には、一対のガラス板の間に、所定の楔角を有する楔状の中間膜が挟み込まれた合わせガラスが開示されている。このような合わせガラスでは、中間膜の楔角の調整により、1つのガラス板で反射される計測情報の表示と、別のガラス板で反射される計測情報の表示とを、運転者の視野で1点に結ぶことができる。このため、計測情報の表示が二重に見え難く、運転者の視界を妨げない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平4−502525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の楔状の中間膜を用いた合わせガラスでは、耐貫通性が低いことがある。特に、該合わせガラスでは部分的に、耐貫通性が低いことがある。
【0008】
本発明の目的は、合わせガラスに用いられた場合に、該合わせガラスの全領域の耐貫通性を高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、一端の厚みが、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、厚みの薄い領域の含水率が厚みの厚い領域の含水率よりも高い、合わせガラス用中間膜が提供される。
【0010】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記一端と上記他端との間の距離をXとしたときに、上記厚みの薄い領域は、上記一端から内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域であり、かつ上記厚みの厚い領域は、上記他端から内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域である。
【0011】
上記厚みの薄い領域の含水率は、上記厚みの厚い領域の含水率の1倍を越え3倍以下であることが好ましい。上記厚みの薄い領域の含水率は0.2〜0.7重量%の範囲内であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂はポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、第1の表面層と、第2の表面層と、該第1,第2の表面層の間に配置された中間層とが備えられる。
【0014】
上記第1,第2の表面層がそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有し、上記中間層が、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有し、上記第1,第2の表面層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量は、上記中間層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも高いことが好ましい。上記第1,第2の表面層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量は、上記中間層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも1モル%以上高いことが好ましい。上記第1,第2の表面層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量は、20〜38モル%であることが好ましい。
【0015】
上記中間層の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、上記第1,第2の表面層の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量よりも多いことが好ましい。上記中間層の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、上記第1,第2の表面層の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量よりも5重量部以上多いことが好ましい。上記中間層の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が45〜75重量部であり、かつ上記第1,第2の表面層の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量が20〜50重量部であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス構成部材と、第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備えており、上記中間膜が、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、一端の厚みが他端の厚みよりも薄く、厚みの薄い領域の含水率が厚みの厚い領域の含水率よりも高いので、合わせガラスに用いられた場合に、該合わせガラスの耐貫通性が部分的に低くなり難い。従って、合わせガラスの全領域の耐貫通性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び平面図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第1の変形例を示す断面図である。
【図4】図4は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第2の変形例を示す断面図である。
【図5】図5は、合わせガラス用中間膜の厚み方向の断面形状の第3の変形例を示す断面図である。
【図6】図6は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す断面図である。
【図7】図7は、実施例における耐貫通性を評価するための3つの合わせガラスC1〜C3を得る方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
(合わせガラス用中間膜)
図1(a)及び(b)に、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に断面図及び平面図で示す。
【0022】
図1(a)では、中間膜1の厚み方向の断面が示されている。なお、図1(a)及び後述の図では、図示の便宜上、中間膜及び中間膜を構成する各層の厚み、並びに楔角θは、実際の厚み及び楔角とは異なるように示されている。
【0023】
中間膜1は、第1の表面層2と、第2の表面層3と、第1,第2の表面層2,3の間に挟み込まれた中間層4とを備える。中間層4の一方の面(第1の面)に第1の表面層2が積層されている。中間層4の他方の面(第1の面とは反対の第2の面)に第2の表面層3が積層されている。中間層4は、第1の表面層2と第2の表面層3との間に配置されており、第1の表面層2と第2の表面層3との間に挟み込まれている。中間膜1は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、多層中間膜である。
【0024】
中間膜1は、一端1aと、該一端1aとは反対側の他端1bとを有する。一端1aと他端1bとは対向し合う両側の端部である。第1,第2の表面層2,3の厚み方向の断面形状は楔状である。中間層4の厚み方向の断面形状は矩形である。第1,第2の表面層2,3の厚みは、一端1a側のほうが他端1b側よりも薄い。従って、中間膜1の一端1aの厚みは他端1bの厚みよりも薄い。従って、中間膜1は、厚みの薄い領域(以下、領域Aと記載することがある)と、厚みの厚い領域(以下、領域Bと記載することがある)とを有する。
【0025】
本実施形態の主な特徴は、厚みの薄い領域Aの含水率が、厚みの厚い領域Bの含水率よりも高いことにある。
【0026】
本発明者らは、一端の厚みが他端よりも薄い合わせガラス用中間膜を用いた従来の合わせガラスの耐貫通性が、合わせガラスの部分により異なることを見出した。これは、厚みの厚い領域の合わせガラス構成部材に対する接着力と、厚みの薄い領域の合わせガラスに対する接着力とが異なることが影響していると考えられる。
【0027】
さらに、本発明者らは、合わせガラスの全領域において合わせガラスの耐貫通性を高めるために鋭意検討した。そして、本発明者らは、一端の厚みが他端の厚みよりも薄い合わせガラス用中間膜において、合わせガラス用中間膜の厚みの薄い領域Aの含水率を、厚みの厚い領域Bの含水率よりも高くすることで、合わせガラスの全領域において耐貫通性を高めることができることを見出した。
【0028】
図1(a)及び(b)に示すように、一端1aと他端1bとの間の距離をXとしたときに、厚みの薄い領域Aは、一端1aから内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域A1であり、かつ厚みの厚い領域Bは、他端1bから内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域B1であることが好ましい。厚みの薄い領域A及び厚みの厚い領域Bが上記領域A1,B1であると、合わせガラスの全領域の耐貫通性を充分に高めることができる。
【0029】
合わせガラスの全領域の耐貫通性をより一層高める観点からは、厚みの薄い領域A,A1の含水率は、厚みの厚い領域B,B1の含水率の1倍を越え3倍以下であることが好ましい。上記厚みの薄い領域A,A1の含水率は、上記厚みの厚い領域B,B1の含水率の1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましく、1.4倍以上であることが特に好ましく、2.5倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることがさらに好ましく、1.8倍以下であることが特に好ましい。
【0030】
合わせガラスの全領域の耐貫通性をより一層高める観点からは、厚みの薄い領域A,A1の含水率は0.15〜0.8重量%の範囲内であることが好ましい。厚みの薄い領域A,A1の含水率のより好ましい下限は0.2重量%、さらに好ましい下限は0.22重量%、特に好ましい下限は0.25重量%、最も好ましい下限は0.3重量%、より好ましい上限は0.75重量%、更に好ましい上限は0.7重量%、特に好ましい上限は0.6重量%、最も好ましい上限は0.55重量%である。合わせガラスの全領域の耐貫通性を効果的に高める観点からは、厚みの薄い領域A,A1の含水率は0.2〜0.7重量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0031】
厚みが薄い一端と厚みが厚い他端との間の距離をXとしたときに、厚みが薄い一端から内側に向かって0.2X〜0.3X、0.3X〜0.4X、0.4X〜0.5X、0.5X〜0.6X、0.6X〜0.7X及び0.7X〜0.8Xの各領域の含水率の好ましい下限は0.2重量%、より好ましい下限は0.25重量%、好ましい上限は0.7重量%、より好ましい上限は0.6重量%である。合わせガラスの全領域の耐貫通性を更に一層高める観点からは、一端から内側に向かって0.2X〜0.3X、0.3X〜0.4X、0.4X〜0.5X、0.5X〜0.6X、0.6X〜0.7X及び0.7X〜0.8Xの各領域の含水率は、一端から内側に向かって0.1X〜0.2Xの含水率よりも低いことが好ましく、一端から内側に向かって0.8X〜0.9X(他端から内側に向かって0.1X〜0.2X)の含水率よりも高いことが好ましい。中間膜では、厚みが薄くなるに従って、含水率が高くなることが好ましい。
【0032】
中間膜1の含水率を部分的に異ならせる方法は、特に限定されない。中間膜1の含水率を部分的に異ならせる方法としては、一定の湿度下で一定の時間、中間膜1を保管する方法、並びに厚みの厚い領域を温度が高く、かつ、湿度が低い環境下となるように中間膜1を保管する方法等が挙げられる。
【0033】
上記一定の湿度下で一定の時間、中間膜1を保管する方法の具体例としては、23℃及び相対湿度25%の恒温恒室の条件下で数時間〜数日間、中間膜1を保管する方法が挙げられる。
【0034】
中間膜1の接着力をより一層高める観点からは、第1,第2の表面層2,3及び中間層4はそれぞれ、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス構成部材に対する中間膜1の接着力をさらに一層高くすることができる。上記熱可塑性樹脂及び可塑剤の詳細は後述する。
【0035】
第1,第2の表面層2,3及び中間層4が上記ポリビニルアセタール樹脂を含有する場合に、中間膜1の遮音性をさらに一層高める観点からは、第1,第2の表面層2,3に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量は、中間層4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも高いことが好ましい。第1,第2の表面層2,3に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量は、中間層4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも1モル%以上高いことが好ましく、3モル%以上高いことがより好ましく、4モル%以上高いことがさらに好ましく、5モル%以上高いことが特に好ましい。中間層4に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が低いと、ポリビニルアセタール樹脂の親水性が低下する。このため、可塑剤の含有量を多くすることができ、この結果、中間膜1の遮音性を高くすることができる。
【0036】
中間膜1の遮音性をさらに一層高める観点からは、第1,第2の表面層2,3に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量(水酸基の含有率)は、20〜38モル%の範囲内であることが好ましい。第1,第2の表面層2,3に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量のより好ましい下限は22モル%、さらに好ましい下限は25モル%、より好ましい上限は35モル%、さらに好ましい上限は32モル%である。
【0037】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量(水酸基の含有率)は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0038】
第1,第2の表面層2,3及び中間層4がポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤とを含有する場合に、中間膜1の遮音性をさらに一層高める観点からは、中間層4の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、第1,第2の表面層2,3の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量よりも多いことが好ましい。中間層4の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量は、第1,第2の表面層2,3の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量よりも5重量部以上多いことが好ましく、10重量部以上多いことがより好ましく、15重量部以上多いことがさらに好ましい。
【0039】
さらに、中間膜1の遮音性をさらに一層高める観点からは、中間層4の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量が45〜75重量部であり、かつ第1,第2の表面層2,3の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量が20〜50重量部であることが好ましい。中間層4の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は70重量部、さらに好ましい上限は65重量部である。第1,第2の表面層2,3の上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する上記可塑剤の各含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は45重量部である。
【0040】
図2に、本発明の他の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を断面図で示す。
【0041】
図2に示す中間膜11は、単層の合わせガラス用中間膜である。
【0042】
中間膜11は、一端11aと、該一端11aとは反対側の他端11bとを有する。一端11aの厚みは他端11bの厚みよりも薄い。中間膜11の厚みの薄い領域Aの含水率は、厚みの厚い領域Bの含水率よりも高い。
【0043】
図2に示すように、一端11aと他端11bとの間の距離をXとしたときに、厚みの薄い領域Aは、一端11aから内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域A1であり、かつ厚みの厚い領域Bは、他端11bから内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域B1であることが好ましい。
【0044】
中間膜11の厚みの薄い領域A,A1並びに厚みの厚い領域B,B1の含水率の好ましい範囲及び関係は、中間膜1の厚みの薄い領域A,A1並びに厚みの厚い領域B,B1の含水率の好ましい範囲及び関係と同様である。
【0045】
中間膜11の接着力をより一層高める観点からは、中間膜11は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂はポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0046】
単層の中間膜11が上記ポリビニルアセタール樹脂を含有する場合には、該ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は20モル%、より好ましい下限は22モル%、さらに好ましい下限は25モル%、好ましい上限は40モル%、より好ましい上限は35モル%、さらに好ましい上限は32モル%である。上記水酸基量が上記好ましい下限及び上限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。
【0047】
単層の中間膜11が上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤とを含有する場合には、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量の好ましい下限は20重量部、より好ましい下限は25重量部、好ましい上限は50重量部、より好ましい上限は45重量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限及び上限を満たすと、合わせガラスの耐貫通性をより一層高めることができる。
【0048】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、合わせガラス用中間膜は、多層構造を有することが好ましく、第1,第2の表面層2,3と、該第1,第2の表面層2,3の間に挟み込まれた中間層4とを備えることがより好ましい。
【0049】
図1に示す中間膜1は、楔状の第1,第2の表面層2,3の間に、矩形の中間層4が挟み込まれた構造を有する。図3〜5に、中間膜の各層の形状をかえた第1〜第3の変形例を示す。
【0050】
図3に示す第1の変形例に係る中間膜51は、厚み方向の断面形状が楔状である第1,第2の表面層52,53と、第1,第2の表面層52,53の間に挟み込まれており、かつ厚み方向の断面形状が楔状である中間層54とを備える。第1,第2の表面層52,53及び中間層54の厚みは、一端51a側の方が他端51b側よりも薄い。
【0051】
図4に示す第2の変形例に係る中間膜61は、厚み方向の断面形状が楔状である第1の表面層62と、厚み方向の断面形状が矩形である第2の表面層63と、第1,第2の表面層62,63の間に挟み込まれており、かつ厚み方向の断面形状が矩形である中間層64とを備える。第1の表面層62の厚みは、一端61a側の方が他端61b側よりも薄い。
【0052】
図5に示す第3の変形例に係る中間膜71は、厚み方向の断面形状が楔状である第1の表面層72と、厚み方向の断面形状が矩形である第2の表面層73と、第1,第2の表面層72,73の間に挟み込まれており、厚み方向の断面形状が矩形であり、かつ2層構造を有する中間層74とを備える。中間層74は、第1の中間層74aと、第2の中間層74bとが積層された多層構造を有する。第1の表面層72の厚みは、一端71a側のほうが他端71b側よりも薄い。
【0053】
中間膜1,11,51,61,71の厚み方向の断面形状は楔状である。中間膜1,11,51,61,71は、一端1a,11a,51a,61a,71aから他端1b,11b,51b,61b,71bに向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有する。中間膜の厚み方向の断面形状は、楔状であることが好ましい。中間膜は、一端から他端に向かって厚みが次第に厚くなる形状を有することが好ましい。中間膜の厚み方向の断面形状としては、台形又は三角形が挙げられる。
【0054】
二重像を抑制するために、合わせガラスの取付角度に応じて、中間膜の楔角θを適宜設定することができるが、二重像をより一層抑制する観点からは、中間膜の楔角θの好ましい下限は0.01mrad(0.0006度)、より好ましい下限は0.2mrad(0.0115度)、好ましい上限は2mrad(0.1146度)、より好ましい上限は0.7mrad(0.0401度)である。
【0055】
中間膜は、一部の領域に着色帯を有していてもよい。中間膜は、一部の領域に着色領域を有していてもよい。多層の中間膜1が着色帯又は着色領域を有する場合には、第1,第2の表面層2,3のいずれか一方が着色帯又は着色領域を有することが好ましい。ただし、中間層4が着色帯又は着色領域を有していてもよい。上記着色帯又は着色領域は、例えば、合わせガラス用中間膜又は該中間膜の各層を押出成形する際に、着色剤を所定の領域に配合することにより形成できる。
【0056】
上記中間膜の厚みは特に限定されない。上記中間膜の厚みは、中間膜を構成する各層の合計の厚みを示す。よって、多層の中間膜1の場合には、該中間膜1の厚みは、第1,第2の表面層2,3及び中間層4の合計の厚みを示す。中間膜の最大厚みの好ましい上限は3mm、より好ましい上限は2mm、さらに好ましい上限は1.5mmである。中間膜の最小厚みの好ましい下限は0.1mm、より好ましい下限は0.25mm、さらに好ましい下限は0.5mm、特に好ましい下限は0.8mmである。一端と他端との間の距離をXとしたときに、中間膜は、一端から内側に向かって0X〜0.2Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X〜0.2Xの距離の領域に最大厚みを有することが好ましく、中間膜は、一端から内側に向かって0X〜0.1Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X〜0.1Xの距離の領域に最大厚みを有することがより好ましい。中間膜の一端が最小厚みを有し、中間膜の他端が最大厚みを有することが好ましい。中間膜1,11,51,61,71では、一端1a,11a,51a,61a,71aが最小厚みを有し、他端1b,11b,51b,61b,71bが最大厚みを有する。
【0057】
実用面の観点、並びに接着力及び耐貫通性を充分に高める観点からは、第1,第2の表面層2,3の最大厚みの好ましい上限は1mm、より好ましい上限は0.8mmである。第1,第2の表面層2,3の最小厚みの好ましい下限は0.001mm、より好ましい下限は0.2mm、さらに好ましい下限は0.3mmである。
【0058】
実用面の観点、並びに耐貫通性を充分に高める観点からは、中間層4の最大厚みの好ましい上限は0.8mm、より好ましい上限は0.6mm、さらに好ましい上限は0.3mmである。中間層4の最小厚みの好ましい下限は0.001mm、より好ましい下限は0.1mm、さらに好ましい下限は0.2mmである。
【0059】
以下、多層の中間膜の各層、並びに単層の中間膜を構成する材料の詳細を説明する。
【0060】
(熱可塑性樹脂)
上記熱可塑性樹脂は、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。
【0062】
上記ポリビニルアセタール樹脂の製造方法は特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール樹脂を温水もしくは熱水に溶解し、得られた水溶液を0〜95℃程度の所定の温度に保持する。水溶液に、アルデヒド及び酸触媒を添加し、攪拌しながらアセタール化反応を進行させる。次いで、反応温度を上げて熟成させることにより反応を完結させる。その後、中和、水洗及び乾燥の諸工程を行う。このようにして、粉末状のポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。
【0063】
上記中間層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記中間層に含まれている上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.4モル%、更に好ましい下限は0.8モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は25モル%、更に好ましい上限は20モル%、特に好ましい上限は15モル%である。上記第1,第2の表面層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合には、上記第2,第3の表面層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.4モル%、好ましい上限は20モル%、より好ましい上限は5モル%、更に好ましい上限は2モル%、特に好ましい上限は1.5モル%である。上記アセチル化度が上記好ましい下限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセチル化度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の耐湿性をより一層高めることができる。
【0064】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記中間層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、上記第1,第2の表面層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも高いことが好ましい。合わせガラスの遮音性をさらに一層高める観点からは、上記中間層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、上記第1,第2の表面層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度よりも0.1モル%以上高いことが好ましく、1モル%以上高いことがより好ましく、5モル%以上高いことが更に好ましく、10モル%以上高いことが特に好ましい。
【0065】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記中間層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、上記第1,第2の表面層に含まれているポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度よりも高いことが好ましい。
【0066】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0067】
上記中間層がポリビニルアセタール樹脂を含む場合、合わせガラスにおける発泡の発生及び発泡の成長をより一層抑制することができ、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができることから、上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル化度aが8モル%以下であり、かつアセタール化度aが70モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂Aであるか、又はアセチル化度bが8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂Bであることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル化度aが8モル%以下であり、かつアセタール化度aが70モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂Aであってもよく、アセチル化度bが8モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂Bであってもよい。
【0068】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセチル化度aの上限は8モル%、好ましい上限は7.5モル%、より好ましい上限は7モル%、更に好ましい上限は6.5モル%、特に好ましい上限は5モル%、好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は0.5モル%、更に好ましい下限は0.8モル%、特に好ましい下限は1モル%である。上記アセチル化度aが上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0069】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセタール化度aの下限は70モル%、好ましい下限は70.5モル%、より好ましい下限は71モル%、更に好ましい下限は71.5モル%、特に好ましい下限は72モル%、好ましい上限は85モル%、より好ましい上限は83モル%、更に好ましい上限は81モル%、特に好ましい上限は79モル%である。上記アセタール化度aが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセタール化度aが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Aを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0070】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aの水酸基の含有率aの好ましい下限は18モル%、より好ましい下限は19モル%、更に好ましい下限は20モル%、特に好ましい下限は21モル%、好ましい上限は31モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は29モル%、特に好ましい上限は28モル%である。上記水酸基の含有率aが上記好ましい下限を満たすと、中間膜の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率aが上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0071】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aはポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0072】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセチル化度bは、8モル%を超え、好ましい下限は9モル%、より好ましい下限は9.5モル%、更に好ましい下限は10モル%、特に好ましい下限は10.5モル%、好ましい上限は30モル%、より好ましい上限は28モル%、更に好ましい上限は26モル%、特に好ましい上限は24モル%である。上記アセチル化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセチル化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0073】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセタール化度bの好ましい下限は50モル%、より好ましい下限は53モル%、更に好ましい下限は55モル%、特に好ましい下限は60モル%、好ましい上限は80モル%、より好ましい上限は78モル%、更に好ましい上限は76モル%、特に好ましい上限は74モル%である。上記アセタール化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記アセタール化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂Bを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
【0074】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bの水酸基の含有率bの好ましい下限は18モル%、より好ましい下限は19モル%、更に好ましい下限は20モル%、特に好ましい下限は21モル%、好ましい上限は31モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は29モル%、特に好ましい上限は28モル%である。上記水酸基の含有率bが上記好ましい下限を満たすと、中間膜の接着力をより一層高くすることができる。上記水酸基の含有率bが上記好ましい上限を満たすと、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
【0075】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bはポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0076】
上記ポリビニルアセタール樹脂A及び上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数1〜10のアルデヒドであることが好ましく、炭素数4又は5のアルデヒドであることがより好ましい。
【0077】
(可塑剤)
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0078】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤として、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)を用いてもよい。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0079】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0080】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0081】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0082】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0083】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOA)及びジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)からなる群から選択された少なくとも一種を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも一種を含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を含むことがさらに好ましい。
【0084】
(他の成分)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0085】
(合わせガラス)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、合わせガラスを得るために用いられる。
【0086】
図6に、図1に示す中間膜1を用いた合わせガラスの一例を示す。
【0087】
図6に示す合わせガラス21は、中間膜1と、第1,第2の合わせガラス構成部材22,23とを備える。中間膜1は、合わせガラス用中間膜である。中間膜1は、第1,第2の合わせガラス構成部材22,23の間に挟み込まれている。従って、合わせガラス21は、第1の合わせガラス構成部材22と、中間膜1と、第2の合わせガラス構成部材23とがこの順で積層されて構成されている。第1の合わせガラス構成部材22は、第1の表面層2の外側の表面2aに積層されている。第2の合わせガラス構成部材23は、第2の表面層3の外側の表面3aに積層されている。
【0088】
第1,第2の合わせガラス構成部材22,23としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラス21には、2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に合わせガラス用中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラス21は、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
【0089】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0090】
合わせガラス構成部材22,23の厚みは、特に限定されないが、1〜5mmの範囲内であることが好ましい。また、合わせガラス構成部材22,23がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、1〜5mmの範囲内であることが好ましい。合わせガラス構成部材22,23がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0091】
合わせガラス21の製造方法は特に限定されない。例えば、第1,第2の合わせガラス構成部材22,23の間に、中間膜1を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス構成部材22,23と中間膜1との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラス21を得ることができる。
【0092】
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜は、建築用又は車両用の中間膜であることが好ましく、車両用の中間膜であることがより好ましい。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜であることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、二重像を抑制できるので、自動車のフロントガラスに好適に用いることができる。上記中間膜は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)である合わせガラスに用いられることが好ましい。上記合わせガラスは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)であることが好ましい。
【0093】
上記合わせガラスでは、コントロールユニットから送信される速度などの計測情報等を、インストゥルメンタル・パネルの表示ユニットから、フロントガラスに映し出すことができる。このため、自動車の運転者が視野を下げることなく、前方の視野と計測情報とを同時に視認することができる。
【0094】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0095】
(実施例1)
第1,第2の表面層の作製:
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量30モル%)100重量部に、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、第1,第2の表面層を作製するための組成物1を調製した。
【0096】
中間層の作製:
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量25モル%)100重量部に、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)60重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練し、中間層を作製するための組成物2を調製した。
【0097】
多層中間膜の作製:
得られた組成物1及び組成物2を、押出機を用いて共押出することにより、第1,第2の表面層の間に、中間層が積層された積層体を得た。次に、得られた積層体を、温度が高く、かつ湿度が高い環境下、又は、温度が高く、かつ湿度が低い環境下で、温度及び湿度を部分的に異ならせて保管することにより含水率を部分的に変化させ、多層中間膜(縦1000mm×横350mm)を作製した。この多層中間膜では、縦方向における一端の厚みを、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄くし、横方向における厚みは均一にし、第1,第2の表面層及び中間層の各最大厚み及び各最小厚み、及び中間膜の楔角θを下記の表1に示すようにした。得られた中間膜の厚み方向の断面形状は楔状であり、中間膜は、一端から他端に向かって、厚みが次第に厚くなる形状を有していた。
【0098】
合わせガラスの作製:
得られた多層中間膜を、2枚の透明なフロートガラス(縦1000mm×横300mm×厚さ2.5mm)で挟み込んで、積層体を得た。230℃の加熱ロールを用いて、得られた積層体を仮圧着した。その後、加熱ロール法により、オートクレーブを用いて、135℃、圧力1.2MPaの条件で、仮圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラス(縦1000mm×横300mm)を作製した。
【0099】
(実施例2〜11)
PVB樹脂の水酸基量、可塑剤の種類及び含有量、厚み方向の断面形状、最大厚み及び最小厚み、並びに楔角θを下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、多層中間膜及び合わせガラスを得た。
【0100】
(実施例12)
単層中間膜の作製:
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量30モル%)100重量部に、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部を添加し、ミキシングロールで充分に混練した後、押出機を用いて押出成形して、成形体を作製した。得られた成形体を温度が高く、かつ湿度が高い環境下、又は、温度が高く、かつ湿度が低い環境下で、温度及び湿度を部分的に異ならせて保管することにより含水率を部分的に変化させ、単層中間膜(縦1000mm×横350mm)を作製した。この単層中間膜では、縦方向における一端の厚みを、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄くし、横方向における厚みは均一にし、中間膜の最大厚み、最小厚み及び楔角θを下記の表2に示すようにした。
【0101】
(実施例13〜21)
PVB樹脂の水酸基量、可塑剤の種類及び含有量、厚み方向の断面形状、最大厚み及び最小厚み、並びに楔角θを下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例12と同様にして、単層中間膜及び合わせガラスを得た。
【0102】
(実施例22〜32)
表面層を作製するための熱可塑性樹脂として、下記の3種のポリビニルブチラール樹脂を用意した。
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量30モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量35モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度64モル%)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量22モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度77モル%)
【0103】
中間層を作製するための熱可塑性樹脂として、下記の3種のポリビニルブチラール樹脂を用意した。
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量25モル%、アセチル化度12モル%、ブチラール化度63モル%)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量30モル%、アセチル化度13モル%、ブチラール化度57モル%)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB樹脂、水酸基量17モル%、アセチル化度4モル%、ブチラール化度79モル%)
【0104】
上述したPVB樹脂の中から、表面層及び中間層を作製するために下記の表3に示すPVB樹脂を選択して、更に可塑剤の種類及び含有量、厚み方向の断面形状、最大厚み及び最小厚み、並びに楔角θを下記の表3に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、多層中間膜及び合わせガラスを得た。
【0105】
(評価)
(1)含水率
得られた中間膜(縦1000mm×横350mm、縦方向における厚みが異なる、多層中間膜又は単層中間膜)の厚みが薄い一端から内側に向かって100mm〜200mmの距離の領域A1の中間膜を切り出した。また、中間膜の厚みが厚い他端から内側に向かって100mm〜200mmの距離の領域B1の中間膜を切り出した。シリカゲルを内部に有するデシケータ内に、得られた中間膜を置いて、デシケータの蓋を閉め、密封した。なお、シリカゲルは中間膜に含まれる水を充分に吸収できる量で用いた。その後、該デシケータを23℃に保管し、中間膜の重量変化がなくなるまで、中間膜を乾燥させた。
【0106】
乾燥前後の中間膜の重量を測定し、下記式(1)により中間膜の含水率を求めた。なお、デシケータから取り出した中間膜の重量を、取り出し後に重量が変化しないようにすぐに測定した。
合わせガラス用中間膜の含水率(重量%)={(乾燥前の中間膜の重量−乾燥後の中間膜の重量)×100}/(乾燥前の中間膜の重量) ・・・式(1)
【0107】
(2)耐貫通性
実施例で得られた合わせガラス(縦1000mm×横300mm)における3つの部分(厚い部分、中央部分、薄い部分)による耐貫通性を評価するために、実施例で得られた中間膜(多層中間膜又は単層中間膜)を用いて、3つの合わせガラス(縦300mm×横300mm)を作製した。
【0108】
すなわち、図7に示すように、得られた中間膜(縦1000mm×横350mm)の縦方向の厚みの薄い側の端部から25〜325mmの領域、かつ、横方向の一方の端部から25〜325mmの領域を覆うように、2枚の透明なフロートガラス(縦300mm×横300mm×厚さ2.5mm)の間に中間膜を配置した(C2)。同様にして、得られた中間膜の縦方向の厚みの薄い側の端部から350〜650mmの領域、かつ、横方向の一方の端部から25〜325mmの領域を覆うように、2枚の透明なフロートガラス(縦300mm×横300mm×厚さ2.5mm)の間に中間膜を配置した(C1)。さらに、得られた中間膜の縦方向の厚みの薄い側の端部から675〜975mmの領域、かつ、横方向の一方の端部から25〜325mmの領域を覆うように、2枚の透明なフロートガラス(縦300mm×横300mm×厚さ2.5mm)の間に中間膜を配置した(C3)。このようにして、得られた中間膜を複数のフロートガラスで挟み込んで、中間膜をフロートガラスの形状(図7の斜線部分の形状)に切り抜いて、3つの積層体C1〜C3を得た。230℃の加熱ロールを用いて、得られた積層体を仮圧着した。その後、加熱ロール法により、オートクレーブを用いて、135℃、圧力1.2MPaの条件で、仮圧着された積層体を20分間圧着し、3つの合わせガラスC1〜C3(縦300mm×横300mm)を作製した。得られた合わせガラスC1〜C3の最大厚みは、C3>C1>C2の順で厚かった。
【0109】
得られた合わせガラスC1〜C3(縦300mm×横300mm)を、表面温度が23℃となるように調整した。次いで、JIS R3212に準拠して、4mの高さから、6枚の合わせガラスに対してそれぞれ、質量2260g及び直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させた。6枚の合わせガラス全てについて、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった合わせガラスが3枚以下であった場合は不合格とした。4枚の場合には、新しく6枚の合わせガラスの耐貫通性を評価した。5枚の場合には、新しく1枚の合わせガラスを追加試験し、剛球が衝突した後5秒以内に剛球が貫通しなかった場合を合格とした。同様の方法で、5m及び6mの高さから、6枚の合わせガラスに対してそれぞれ、質量2260g及び直径82mmの剛球を、合わせガラスの中心部分に落下させ、合わせガラスの耐貫通性を評価した。
【0110】
(3)遮音性
実施例1〜11,22〜32において、上記(2)耐貫通性の評価で得られた合わせガラスC2(縦300mm×横300mm)をダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21−005D」)により加振し、そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG−81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレッドパッカード社製「FFTアナライザー HP3582A」)により解析した。
【0111】
このようにして得られた損失係数と合わせガラスとの共振周波数との比から、20℃における音周波数(Hz)と音響透過損失(dB)との関係を示すグラフを作成し、音周波数2,000Hz付近における極小の音響透過損失(TL値)を求めた。このTL値が高いほど、遮音性が高くなる。TL値が35dB以上の場合を「○」、TL値が35dB未満の場合を「×」として、結果を下記の表1,3,4に示した。
【0112】
(4)二重像
得られた合わせガラス(縦1000mm×横300mm)をフロントガラスの位置に設置した。合わせガラスの下方に設置した表示ユニットから表示情報を合わせガラスに反射させ、所定の位置で二重像の有無を目視で確認した。二重像が確認されない場合を「○」、二重像が確認される場合を「×」として、結果を下記の表1〜4に示した。
【0113】
結果を下記の表1〜4に示す。なお、表1〜4において、可塑剤の含有量は、PVB樹脂100重量部に対する含有量(重量部)を示す。また、可塑剤の種類に関して、3GOはトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを示し、DINCHは、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレートを示し、DOAは、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシルを示す。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
表1〜4に示すように、実施例1〜32の中間膜では、中間膜の厚みが薄い一端から内側に向かって100mm〜200mmの距離の領域A1の含水率は、中間膜の厚みが厚い他端から内側に向かって100mm〜200mmの距離の領域B1の含水率よりも高かった。なお、実施例1〜32の中間膜では、領域A1及び領域B1以外の他の領域においても、厚みの薄い領域の含水率が厚みの厚い領域の含水率よりも高かった。また、実施例22〜32の多層中間膜では、厚みが薄い一端と厚みが厚い他端との間の距離をXとしたときに、厚みが薄い一端から内側に向かって0.2X〜0.3X、0.3X〜0.4X、0.4X〜0.5X、0.5X〜0.6X、0.6X〜0.7X及び0.7X〜0.8Xの各領域の含水率は、一端から内側に向かって0.1X〜0.2Xの含水率よりも低く、一端から内側に向かって0.8X〜0.9X(他端から内側に向かって0.1X〜0.2X)の含水率よりも高かった。実施例22〜32の多層中間膜では、厚みが薄くなるに従って、含水率が高くなっていた。
【符号の説明】
【0119】
1…中間膜
1a…一端
1b…他端
2…第1の表面層
2a…外側の表面
3…第2の表面層
3a…外側の表面
4…中間層
11…中間膜
11a…一端
11b…他端
21…合わせガラス
22…第1の合わせガラス構成部材
23…第2の合わせガラス構成部材
51,61,71…中間膜
51a,61a,71a…一端
51b,61b,71b…他端
52,53,62,63,72,73…第1,第2の表面層
54,64,74…中間層
74a,74b…第1,第2の中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端の厚みが、該一端とは反対側の他端の厚みよりも薄く、厚みの薄い領域の含水率が厚みの厚い領域の含水率よりも高い、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記一端と前記他端との間の距離をXとしたときに、
前記厚みの薄い領域が、前記一端から内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域であり、かつ前記厚みの厚い領域が、前記他端から内側に向かって0.1X〜0.2Xの距離の領域である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記厚みの薄い領域の含水率が、前記厚みの厚い領域の含水率の1倍を越え3倍以下である、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記厚みの薄い領域の含水率が0.2〜0.7重量%の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である、請求項5に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
第1の表面層と、第2の表面層と、該第1,第2の表面層の間に配置された中間層とを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
前記第1,第2の表面層がそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有し、
前記中間層が、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含有し、
前記第1,第2の表面層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量が、前記中間層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも高い、請求項7に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記第1,第2の表面層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量が、前記中間層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも1モル%以上高い、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
前記第1,第2の表面層に含まれている前記ポリビニルアセタール樹脂の各水酸基量が、20〜38モル%である、請求項8又は9に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項11】
前記中間層の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第1,第2の表面層の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の各含有量よりも多い、請求項8〜10のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
前記中間層の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が、前記第1,第2の表面層の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の各含有量よりも5重量部以上多い、請求項11に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
前記中間層の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の含有量が45〜75重量部であり、かつ前記第1,第2の表面層の前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する前記可塑剤の各含有量がそれぞれ20〜50重量部である、請求項11又は12に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
厚み方向の断面形状が楔状である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】
第1の合わせガラス構成部材と、第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた中間膜とを備え、
前記中間膜が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜である、合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−106932(P2012−106932A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32680(P2012−32680)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【分割の表示】特願2011−544726(P2011−544726)の分割
【原出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】