説明

合成ペプチド及びその応用

【課題】 4コピーTKPR断片を含むポリペプチド類分子を設計作製することと通じて、その免疫機能及び抗腫瘍活性を効率的に向上させて、さらに臨床に応用可能な抗腫瘍薬と免疫強化剤を開発する。
【解決手段】 本発明は、一つの4コピー分岐ペプチド及びその応用を公表され、当該分岐ペプチドの構造通式は(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3で、当該分岐ペプチドは動物試験で明らかな腫瘍成長抑制と免疫強化の作用が示され、臨床抗腫瘍薬及び免疫強化剤として開発する潜在力を持っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医学的領域でのポリペプチド薬剤の開発にかかわって、具体的に4コピー分岐ペプチドを設計・作製して、臨床的に腫瘍成長抑制及び免疫強化の用途に使用されることにかかわる。
【背景技術】
【0002】
生物体の遺伝子はポリヌクレオチド鎖に貯蔵されて、遺伝子は生物学的機能を実行する蛋白質をコーディングしている。生物体の蛋白質は多種多様で、それらは各種の生物学的機能の実行により生命活動を維持している。生体内の蛋白質は枚挙に堪えないが、それらも基本的に20個の自然界で存在しているアミノ酸からなる。アミノ酸の構成と配列順によって蛋白質はみなそれぞれ違う。一般的に言うと、50以上のアミノ酸を含む分子は蛋白質と呼ばれ、10アミノ酸以上のペプチド鎖をポリペプチドと呼ばれ、10アミノ酸以下の10アミノ酸を含むペプチド鎖をオリゴペプチドと呼ばれる。現在発見された一番小さい機能のある小さなペプチドは2つのアミノ酸しか含有していない。通常によく見られるのは4つ以上の機能のある小さなペプチドである。
【0003】
ヒトゲノム計画の完了及びヒトプロテオーム計画の展開によって、日増しに多くなる蛋白質の機能的断片が発見されて、それに薬剤として生物医学的領域に応用される。蛋白質の機能的断片は、通常にある特定な生物学的機能を持っていることが発見された直鎖状のポリペプチド断片で、それらは一般的に数十個乃至二個のアミノ酸からなるペプチド断片で、鑑定・発見された蛋白質の機能的断片を人工合成の経路で製作できる。現在すでに開発され、それに臨床的に使用されているポリペプチド薬剤としては、「オキシトシン」、「サイモシンα1」、「チモペンチン」等が挙げられて、その中の一部は天然ペプチド鎖をもとに人工構造変更されて消化管出血と先端巨大症治療に応用されたポリペプチド薬剤「オクトレオチド」及び抗凝血効果を持つ「ヒルジン」などになった。蛋白質中での機能的断片は、数十個のアミノ酸又は2つのアミノ酸だけの小さいなポリペプチド断片をよく選別できて、それらは人工合成されたポリペプチド断片とその応用に基礎を定めた。
【0004】
蛋白質及びポリペプチド、オリゴペプチドでは、単一のアミノ酸が欠損し・増加し又は交換されること、アミノ基端末(N端末)あるいはカルボキシル基端末(C端末)が閉鎖されること、並びに配列中あるいは自由端末が化学基により修飾されることも蛋白質及びポリペプチド、オリゴペプチドの本来の生物学的活性に予測可能できない変化を発生させる。新しい機能のあるペプチド断片を設計・選別し、あるいは効率的なペプチド断片を探すのは、薬剤開発での重要な一環である。
【0005】
Tuftsinはアメリカの科学者により発見された活性のある脾臓由来テトラペプチドThr-Lys-Pro-ArgあるいはTKPRである(Life Science,1981,26(10):1081-1091)。実験では、Tuftsinは脾臓内の小体を多くなって、発育センターの成長を活躍させて、顆粒球、単核細胞、マクロファージ、自然殺傷細胞の走化性及び、遊離、呑噬、細胞毒生成などの作用を強化させて、リンパ系の細胞免疫機能を向上させることが確認された。Tuftsinは単核食細胞のMHC非制限機能を促進できるだけでなく、その制限性の抗原提示機能も促進できて、細胞毒性を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、4コピーTKPR断片を含むポリペプチド類分子を設計作製することと通じて、その免疫機能及び抗腫瘍活性を効率的に向上させて、さらに臨床に応用可能な抗腫瘍薬と免疫強化剤を開発することにかかわる。
【0007】
本発明の目的は一つの4コピー分岐ペプチド及びその腫瘍成長抑制薬剤と免疫強化剤の応用を提供することで、解決される技術的な問題はこの4コピー分岐ペプチドが機能性オリゴペプチドの生物学的活性を保留するだけでなく、その生物学的活性を有意に向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的及びその技術的な問題の解決は、以下の技術案により実現された。本発明で4コピー分岐ペプチドを提供する。即ち、当該アミノ酸配列特徴構成を持つオリゴペプチド断片を原材料として、2つの自由活性化アミノ基を持ちアミノ付加反応と縮合反応に供するリジン(Lys、>K-で表示される)で連接する接続チェーンによる4コピー分岐分子に作製する。その構造通式は(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3で、その中で、XAとXcは非電荷極性アミノ酸を表し、セリン(Ser,S)、トレオニン(Thr,T)、システイン(Cys,C)、プロリン(Pro,P) 、グルタミン(Gln,Q)及びアスパラギン(Asn,N)を含む。XBとXDはアルカリ性アミノ酸を表し、ヒスチジン(His,H)、リジン(Lys、K)及びアルギニン(Arg,R)を含む。Kは2つの活性化アミノ基を有して、アミノ付加反応と縮合反応に供するリジン(Lys、>K-で表示される)である。X1とX2はそれぞれ0-5個の任意のアミノ酸からなるアミノ酸配列を代表して、X1とX2との間のアミノ酸配列が同じであってもよく、互いに異なってもよい。この内に、X1とX2が存在しなくてもよいが、Xは1つ以上4つ以下の任意のアミノ酸組成を含む配列である。
【0009】
【化1】

【0010】
本発明で提出された4コピー分岐ペプチド(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3により製作されたTKPR分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gは動物実験で顕著な免疫強化と腫瘍増殖抑制の作用を示された。
【0011】
本発明で提出された4コピー分岐ペプチド設計通式により製作された(TKPR)4>K2>K-TKPRは動物実験で顕著な免疫強化作用を示された。
【0012】
本発明の設計通式により製作された4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gあるいは(TKPR)4>K2>K-TKPRは、直鎖状オリゴペプチドであるTKPRの体内に進入後分解されやすい欠点を克服して、TKPR断片の免疫強化活性と抗腫瘍作用を維持するだけでなく、TKPRオリゴペプチドと比較してその生物学的活性を大幅に改善された。
【0013】
この方式により製作された活性ポリペプチドが薬剤に開発されて、体内で最終的な分解産物が遊離アミノ酸で、有機体により直接に吸収されて、明らかな薬剤残留と毒性副作用がなく、薬剤として良好な安全性を持って、臨床応用で開発の可能性がある。
【0014】
本発明で提出された4コピー分岐ペプチド(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3の利点は下記の通りである。
1、4コピー分子は有機体に入った後、酵素の作用の下で分解されてより小さいオリゴペプチド断片になって、これを単一コピーの分子にして役割を果させる。
【0015】
2、合成プロセスの観点から、固相樹脂に4コピー分岐ペプチドを作製し、分岐ペプチド分子の開始カルボキシル基端末(C端末)に一つのアミノ酸又は幾つかのアミノ酸を含む単鎖オリゴペプチドを接続し、すなわち本発明で提出された分子通式(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3によって代表される分岐ペプチドであり、この中で、X3アミノ酸排列の存在は「アーム」の役割のように、分岐ペプチドと固体樹脂間の距離を増加させて、固体樹脂での緊密に分布している分岐ぺプチド分子間の空間立体障害を低減させて、合成効率を向上させるのに役立つ。
【0016】
3、この設計通式により製作された合成産物を試験で鑑定した結果、4コピー分岐ペプチドのカルボキシル基端末(C端末)に一つから四つまでのアミノ酸を接続した後、4分岐活性ポリペプチドの生物学的活性を遮断し低減しないだけでなく、単一の4コピー分岐ペプチドに比べて活性を向上させることが認められた。
【0017】
本発明に一つの4コピー分岐ペプチドの構造通式(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3を与えて、下記に示す。
【0018】
【化2】

【0019】
具体的に4コピー分岐ペプチドの構造式が(TKPR)4>K2>K-Gであることを表して、このポリペプチドが試験を通じて免疫力と抗腫瘍効果を高める作用を持っていることが確認された。その構造式は下記の通りである。
【0020】
【化3】

【0021】
本発明で予定発明目的を達成することに採用された技術手段及び効果を更に述べる為に、次に実施例に結びついて本発明に基づいて提示された4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gの設計方式、具体応用、実施方式、特徴及び効果について下記の説明を行う。
【0022】
アメリカの科学者であるR.B.Merrifieldは1963年に目標ペプチドのカルボキシル基端末(C端末)に位置するアミノ酸のカルボキシル基端末(C端末)を不溶性樹脂に固定させて、樹脂に結合されたアミノ酸のアミノ基端末(N端末)が接続するアミノ酸のカルボキシル基端末(C端末)と付加・縮合反応を行うことによってペプチド鎖の延長を達成する固相合成法を発明した。ポリペプチドの合成順序は、ポリペプチドのカルボキシル基端末(C端末)から一つ一つのアミノ酸を縮合・接続して、ペプチド断片のアミノ基端末(N端末)へ伸びることである。アミノ酸のカルボキシル基接合反応を行う際に、そのアミノ基及び側鎖ラジカルを保護することによって反応発生を避ける必要がある。常用の方法として、現在tert-ブトキシカボニル(Boc)保護法とフルオレニルメチルオキシカボニル(Fmoc)保護法に分ける。従って、一つのアミノ酸を接合する度に、一回の固相担体上に結びつくアミノ酸がアミノ基の脱保護ラジカルとなり、また過量の次の接合待ちアミノ酸の活性化カルボキシル基との縮合反応を通じてペプチド鎖が延ばされている。このような手順を経て何度も繰り返して行くと、縮合→洗浄→脱保護→中和と洗浄→次のラウンドの縮合(もう一つのアミノ酸を接合する)を通じて、合成必要なペプチドの長さに達するまで実施する。
【0023】
ポリペプチド合成反応完了後、TFA方法あるいはHF方法でポリペプチドを固相樹脂から分裂分解させてきて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)C18逆相クロマトグラフィーカラムにより分離・純化した後、最終的に合成産物を得る。以上の原理に基づいて、ポリペプチド合成は手動操作で合成できるし、ポリペプチド合成装置を採用して合成配列入力とプログラム自動化合成を通じて取得できる。現在、固相合成方法はすでにポリペプチドと蛋白質合成での一般的な技術になった。
【0024】
ここで説明する必要なのは、4コピー分岐ペプチド断片の合成方式がリジンに位置する自由活性化アミノ基の上にアミノ酸の縮合反応を同時に行い、またこれからのアミノ酸付加・縮合反応で伸ばされながらマルチコピーの分岐ペプチドを合成する目的を達成させる。直鎖状のポリペプチドの合成経過で、一つの活性化アミノ基だけのリジンを用いて、ほかのアミノ基が保護されているので、縮合反応が発生できない。我々はマルチコピーのペプチド断片を合成したい時、2つの自由アミノ基が保護されていなく活性化・縮合反応ができるリジン(>K-で表示される)を選んで、付加・縮合反応を通じて2つのアミノ酸を接続する。2つのリジン(>K-)を接続する場合、引き続き4つのアミノ酸を接続できて、順次に引き続きアミノ酸の付加・縮合反応を行なわれると、マルチコピーの分岐ペプチド分子を取得できる。
【0025】
ポリペプチドは生物学的活性のある分子タイプで、それらのアミノ酸配列と構造はこれらの生物学的作用を決定した。現在ポリペプチド合成はすでに一般的な技術になって、顧客のニーズによって合成産物を提供する商業化サービス会社がある。ポリペプチド合成及び純化の具体的な細部と原理について、ここで述べる必要がなく、「Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach」、W. C. Chan (Editor), Peter D. White (Editor)、Publisher: Oxford University Press,New York,USA、1 Edition (March 2, 2000) を参照されたい。本発明での分岐ペプチドの合成・作製方法について、上記の固相合成方式を参照できるが、この方式に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
Tuftsinは脾臓で生成された免疫強化活性と顕著な抗腫瘍活性のあるテトラペプチドThr-Lys-Pro-Arg (TKPR)の活性オリゴペプチドで、効率的に免疫強化活性と抗腫瘍活性のあるポリペプチド産物を作製するために、一つのTKPR断片を含む4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gを作製・設計した。
【0027】
本発明で述べたように、ABI433A型固相合成装置を用いて、Fmoc-Thr(tBu)、Fmoc-Lys、(Boc)Fmoc-Pro、Fmoc-Avg(Pbf)、Fmoc-Lys(Fmoc)及びFmoc-Glyを合成原料として、選ばれた固相樹脂は王樹脂(100-200メッシュ)である。ポリペプチドの合成はカルボキシル基端末(C端末)からアミノ基端末(N端末)のアミノ酸毎に縮合して接続伸びることである。2分岐箇所と4分岐箇所でのLysはFmoc-Lys(Fmoc)を採用して、他の直鎖箇所のLysはFmoc-Lys(Boc) を採用する。ペプチド鎖合成が終了して、また末端のFmoc保護を脱された後、TFA/水でペプチド鎖を樹脂から分裂分解させてきて、減圧蒸留でTFAを除去した後、HPLC逆相クロマトグラフィーC18を使用して、流動相を水/TFA/アセトニトリルとして勾配溶出と分離純化を行って、得られるポリペプチド産物を冷凍し・乾燥された後、白い羊毛状の固体になる。
【0028】
本実施例は、人工固相合成方法でポリペプチドTKPR(分子量500.6ダルトン)と4コピー分岐ペプチド(TKPR) 4>K2>K-G(分子量2389.97)を得って、合成ペプチド産物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)C18クロマトグラムにより、流動相を水/TFA/アセトニトリルとして分離純化して、純度>98.0%の合成産物が得られる。
【0029】
本発明の分岐ペプチドの抗腫瘍作用を検定する
1、試験目的
分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gの昆明マウス肝癌H22移植腫瘍成長に対する影響を評価した。実験動物は昆明マウス、SPF級、4-6週齢、15-20g、雌、群毎に10匹である。
【0030】
2、実験方法と薬剤処置
無菌の条件の下で、二匹のH22腫瘍付きマウスの腹水を約6mlを取って、無菌生理食塩水を使用して、1:5の比例で希釈し、腫瘍細胞の濃度が約1.76×107 個/mlで、マウスの右前肢腋の下の皮下に0.2mlの腹水を接種する。接種された細胞数が約3.52×106個/匹である。マウスに腫瘍細胞を接種した後、マウスの体重を計り、無作為にグループを分けて、腫瘍を接種してから24時間後薬剤を投与する。
【0031】
試験群の設置は次の通りである。
空白対照群は次の通りである。生理食塩水 200ul/回
陽性対照群は次の通りである。TKPR 2mg/kg
試験群は次の通りである。(TKPR)4>K2>K-G 2mg/kg
【0032】
各群の動物に対して、1日あいだを置いて腹腔内投与し、それぞれ腫瘍接種後の第1日、第5日、第7日、第9日と第11日で投与する。1日あいだを置いてマウスの体重を量り、ノギスで腫瘍の外径と内径を測定して、腫瘍の体積を算出する。投与12日後、投与を終了して、頚部脱臼で動物を殺して、腫瘍塊と脾臓を剥離し、取り出して、重量を計って、腫瘍塊重量と測定体積によって薬剤の治療効果を評価する。
【0033】
3、結果
試験群の結果、(TKPR)4>K2>K-Gは昆明マウス肝癌H22移植腫瘍成長に明らかな影響を与えた。腫瘍重量により得られた抑制率が48.4%で、腫瘍堆積により得られた抑制率が55.9%で、これで腫瘍に明らかな抑制作用を示して、統計学的意味を有する(P<0.001)。
【0034】
試験期間で、試験群の動物に死亡が発生せず、急性毒性反応も見えず、各群の動物の活動が正常で、試験群の動物の体重の増加が空白対照群と一致している。各群の動物の脾臓の重量に明確な差異がないので、試験薬剤(TKPR)4>K2>K-Gに毒性副作用がないことを示す。各群の詳細なデータを、表2及び表3に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【実施例2】
【0038】
本発明で提出された4コピー分岐ペプチドの設計通式(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X4に基づいて、ABI433A型固相合成装置を使用して、Fmoc-Thr(tBu)、Fmoc-Lys、(Boc)Fmoc-Pro、Fmoc-Avg(Pbf)、Fmoc-Lys(Fmoc)とFmoc-Glyを合成原料として、選ばれた固相樹脂は王樹脂(100-200メッシュ)である。ポリペプチドの合成はカルボキシル基端末(C端末)からアミノ基端末(N端末)のアミノ酸毎に接続し伸びることである。2分岐箇所と4分岐箇所のLysはFmoc-Lys(Fmoc)を採用して、他の直鎖箇所のLysはFmoc-Lys(Boc) を用いる。ペプチド鎖合成終了後、末端のFmoc保護が脱された後、TFA/水でペプチド鎖を固相樹脂から分裂分解させてきて、減圧蒸留でTFAを除去した後、HPLC C18逆相クロマトグラフィーカラムにより、流動相を水/ TFA/アセトニトリルで勾配溶出と分離純化を行って、得られるポリペプチド産物を冷凍・乾燥された後、白い羊毛状の固体になる。構造式は下記の通りである。
【化4】

【0039】
本実施例は、人工固相合成方法でポリペプチドTKPR(分子量500.6ダルトン)、(TKPR)4>K2>K(分子量2332.92ダルトン)、(TKPR)4>K2>K-G(分子量2389.97ダルトン)、4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-TKPR(分子量2815.51ダルトン)を得て、合成ペプチド産物を高速液体クロマトグラフィー (HPLC)C18クロマトグラムにより、流動相を水/TFA/アセトニトリルとして分離純化して、純度>98.0%の合成産物を得る。
【0040】
実験方法は次の通りである。
鶏のニューカッスル病ウイルス(Newcastle Disease Virus,NDV)は、鶏の赤血球と凝集できて、これは特異性抗体中和反応で、その原理としては、ウイルスの血球凝集素が赤血球を凝集させることによるものである。但し、まず特異性抗体をウイルスと反応させてから、赤血球を加えると、赤血球凝集が発生しない。これは血液凝集抑制試験(HI)。検定で使用される抗血清の最高希釈倍数は抗体の力価である。測定待ち抗体の力価が多いほど、免疫効果がより良いことを示す。HI方法は下記の優位性を持つ。
【0041】
(1)敏感性が強く、微量の抗体を検定できて、結果も精確で、敏感な血清学反応の一つである。
(2)特異性が強い。ウィルス凝集紅細胞は特異な抗体だけにより抑制される。
(3)検定速度が速い。一回のHI試験は2時間前後に掛かって結果を判定できる。
(4)HI試験の環境に対する要求が高くなく、操作が簡単で、それに、一回で大量なサンプルを検定できる。従って、血球凝集抑制試験(HI)は、鳥類動物血清抗体検定によく応用される検定方法であり、具体的な細部について、郭金により編集されて、中国農業大学出版社2007年で出版された「動物免疫学実験教科書」を参照されたい。
【0042】
試験目的は次の通りである。
鶏のニューカッスル病不活化ワクチンを使用して、異なる合成産物4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-G及び(TKPR)4>K2>K-TKPRと連合使用し、それに(TKPR)4>K2>Kと対照して、SPF若鶏に接種してHI抗体を検定して、合成産物(TKPR)4>K2>K-Gと(TKPR)4>K2>K-TKPRの若鶏に対する免疫強化役割を有するかどうか観察して、それに(TKPR)4>K2>Kとの差異を観察する。
【0043】
材料と方法は次の通りである。
一ヶ月齢のSPF鶏を選んで5グループに分けて、各グループに10匹の鶏がある。鶏の胸部にニューカッスル病不活化ワクチン(La Sota株)を0.3ml注射する。
【0044】
試験群は次の通りである。
空白群は次の通りである。各鶏の胸部筋肉に0.3mlの生理食塩水を注射する。
【0045】
正常群は次の通りである。各鶏の胸部筋肉に0.3mlのワクチンを注射する。
【0046】
試験群1は次の通りである。各鶏の胸部筋肉に0.3mlのワクチンを注射して、合成産物(TKPR)4>K2>K 1ugを含む。
【0047】
試験群2は次の通りである。各鶏の胸部筋肉に0.3mlのワクチンを注射して、合成産物(TKPR)4>K2>K-G 1ugを含む。
【0048】
試験群3は次の通りである。各鶏の胸部筋肉に0.3mlのワクチンを注射して、合成産物(TKPR)4>K2>K- TKPR 1ugを含む。
【0049】
飼養方式は各群を同時にアイソレーターに飼養する。
採血は次の通りである。接種後第28日で採血して、血清を分離してHI試験を行う。
結果は次の通りである。
検定の結果、ワクチンに合成産物(TKPR)4>K2>K-Gと(TKPR)4>K2>K- TKPRを追加した試験グループでのHI抗体力価は(TKPR)4>K2>Kグループと比べると、明らかに向上した。具体的な結果について、下表を参照されたい。
【0050】
【表4】

【0051】
結果評価は次の通りである。
以上の結果から、合成産物4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gと(TKPR)4>K2>K-TKPRがワクチンと併用することによって、ワクチンの抗体平均力価を著しく向上できて、抗体力価が(TKPR)4>K2>Kと比べて明らかに向上させて、試験動物に異常と毒性副作用が見られていないので、合成産物4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>K-Gと(TKPR)4>K2>K-TKPRが、(TKPR)4>K2>Kと比べると、より著しい免疫強化役割を持っていることを示す。
【0052】
まとめは次の通りである。
以上の二つの実施例より、本発明の設計通式で製作された(TKPR)4>K2>K-Gと(TKPR)4>K2>K-TKPR産物で、分岐ペプチドのカルボキシル基端末(C端末)の-X3はそれぞれアミノ酸GとTKPRにより置換されて、X3が代表する任意アミノ酸の数量が1と5であるので、(1)当通式の4コピー分岐ペプチドのカルボキシル基端末にアミノ酸又は短いペプチドが接続されることによって、単コピーオリゴペプチドTKPRの役割を取り消すどころか、単コピーオリゴペプチドTKPRの元の活性を保留すると同時に、(2)単純な4コピー分岐ペプチド(TKPR)4>K2>Kの生物活性の役割と比べて顕著に向上させたことが確認された。
【0053】
このことから、この通式(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3で設計・作製されたペプチド分子が免疫強化又は抗腫瘍活性を持って、これらは単独に薬剤原料になることもできるし、又は常用薬剤補助材料を加えて臨床用免疫強化剤又は腫瘍抑制剤にも製作できることが認められた。
【0054】
本発明の設計通式により発生される4コピー分岐ペプチドが下記の化学修飾を通じて発生する化学誘導体が臨床用免疫強化又は抗腫瘍領域に使用される。
【0055】
1、前記の4コピー分岐ペプチドにある水酸基がエーテル、エステル、グルコシド等の化合物を形成できるが、これに限らない。
【0056】
2、前記の4コピー分岐ペプチドにあるメルカプト基がチオエーテル、グルコシノラート又はシステイン又はシステインのあるポリペプチドと形成したジスルフィド結合化合物を形成できるが、これに限らない。
【0057】
3、前記の4コピー分岐ペプチドにあるアミノ基がアシル化物、炭化水素化合物及び糖類と形成したグルコシド等の化合物を形成できるが、これに限らない。
【0058】
4、前記の4コピー分岐ペプチドにあるカルボキシル基がエステルとアミド型化合物を形成できるが、これに限らない。
【0059】
5、前記の4コピー分岐ペプチドにあるイミノ基がグルコシド、アシル化物と炭化水素化合物等を形成できるが、これに限らない。
【0060】
6、前記の4コピー分岐ペプチドにあるフェノール性水酸基がエステル、エーテル、グルコシド又は有機アルカリ又は無機アルカリと形成した塩類の化合物を形成できるが、これに限らない。
【0061】
7、前記の4コピー分岐ペプチドが有機酸又は無機酸と塩類化合物を形成した。
【0062】
8、前記の4コピー分岐ペプチドが金属イオンと配合物、複合物又はキレート化合物を形成できるが、これに限らない。
【0063】
9、前記の4コピー分岐ペプチドが水和物又は溶剤物を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明で述べた4コピー分岐ペプチド、例えばTKPR)4>K2>K-Gと(TKPR)4>K2>K-TPRRが以上の任意の一種又は同時に多種の化学修飾を通じて発生される誘導体が臨床腫瘍成長抑制の抗腫瘍薬剤又は臨床免疫強化用途に使用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造通式が下記の通りである、
(XA-XB-XC-XD-X1)4>(K-X2)2>K-X3で、この内に、XAとXcは非電荷極性アミノ酸を代表して、XBとXDはアルカリ性アミノ酸を代表し、
一般の状況の下で、ポリペプチド合成に使用されるリジン(Lys,K)は、一つだけの自由アミノ基が活性化されてアミノ酸の添加縮合反応に参加して、二つの活性化されてアミノ酸の添加縮合反応に参加する自由アミノ基を持つリジンは>K-で表示され、
X1とX2はそれぞれ0-5個の任意のアミノ酸からなるアミノ酸配列を代表して、X1とX2との間のアミノ酸配列が同じであっても良く、互いに異なってもよく、X3は1-4個の任意のアミノ酸からなる配列であることを特徴とする一種の4コピー分岐ペプチド。
【請求項2】
前記非電荷極性アミノ酸がセリン、トレオニン、システイン、プロリン、グルタミン又はアスパラギンであることを特徴とする請求項1に記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項3】
前記アルカリ性アミノ酸がヒスチジン、リジン又はアルギニンであることを特徴とする請求項1に記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項4】
前記請求項1でのXAがトレオニン(Thr,T)で、XBがリジン(Lys,K) で、XCがプロリン(Pro,P) で、XDがアルギニン(Arg,R)で、X1とX2がゼロで、X3がグリシン(Gly,G)で、前記4コピー分岐ペプチドの構造式が(TKPR)4>K2>K-Gであることを特徴とする請求項1に記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項5】
前記請求項1でのXAがトレオニンで、XBがリジンで、XCがプロリンで、XDがアルギニンで、X1とX2がゼロで、X3がトレオニン-リジン-プロリン-アルギニンで、前記4コピー分岐ペプチドの構造式が(TKPR)4>K2>K-TKPRであることを特徴とする請求項1に記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項6】
前記のポリペプチドにある水酸基がエーテル、エステル、グルコシド等の化合物を形成できるが、これに限らないことを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項7】
前記のポリペプチドにあるメルカプト基がチオエーテル、グルコシノラート又はシステイン又はシステインのあるポリペプチドと形成したジスルフィド結合化合物を形成できるが、これに限らないことを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項8】
前記のポリペプチドにあるアミノ基がアシル化物、炭化水素化合物及び糖類と形成したグルコシド等の化合物を形成できるが、これに限らないことを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項9】
前記のポリペプチドにあるカルボキシル基がエステルとアミド型化合物を形成できるが、これに限らないことを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項10】
前記のポリペプチドにあるイミノ基がグルコシド、アシル化物と炭化水素化合物等を形成できるが、これに限らないことを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項11】
前記のポリペプチドにあるフェノール性水酸基がエステル、エーテル、グルコシド又は有機アルカリ又は無機アルカリと形成した塩類の化合物を形成できるが、これに限らないことを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項12】
前記のポリペプチドが有機酸又は無機酸と塩類化合物を形成できることを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項13】
前記のポリペプチドが金属イオンと配合物、複合物又はキレート化合物を形成できることを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項14】
前記のポリペプチドが水和物又は溶剤物を形成できることを特徴とする前記請求項1-5のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド。
【請求項15】
前記の前記請求項1-14のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド及び化学誘導体を含むことを特徴とする腫瘍成長を抑制する臨床薬剤。
【請求項16】
前記の前記請求項1-14のいずれかに記載の4コピー分岐ペプチド及び化学誘導体を含むことを特徴とする臨床で免疫強化に使用される薬剤。

【公表番号】特表2012−522021(P2012−522021A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502430(P2012−502430)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/CN2010/071096
【国際公開番号】WO2010/111910
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511221046)元森泰生物科技(天津)有限公司 (1)
【出願人】(511221057)河北元森▲製薬▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】