説明

合成繊維及び親水化剤を含む繊維構造体を含む、吸収性物品

複数の合成繊維を含む不織布繊維構造体を含む吸収性物品。該合成繊維は、一つ以上の親水化剤と結合してもよい。不織布繊維構造体を作製するためのプロセスは、合成繊維と一つ以上の親水化剤との結合を伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維を含む繊維構造体を含む吸収性物品に関する。合成繊維は、親水化剤と更に結合してもよい。
【背景技術】
【0002】
おむつ、成人用失禁製品、及び女性用衛生製品などの吸収性のある使い捨て製品は、当該技術分野において周知である。このような使い捨て製品は、着用者によってこれらに沈着される尿、経血、及び糞便物質を収集し、保持する。
【0003】
紙ウェブなどの繊維構造体は、当該技術分野において周知であり、例えば、トップシート材として又は吸収性コアを取り囲むコアカバーとして、今日、吸収性物品によく使用される。セルロース繊維を含む様々な天然繊維並びに多様な合成繊維が抄紙に用いられてきた。一般的なティッシュペーパーには、主に天然繊維が含まれている場合がある。ティッシュに使用される天然繊維の圧倒的大部分は、木から得ることが可能である。針葉樹(球果植物又は裸子植物)を含む長繊維、及び広葉樹(落葉樹又は被子植物)を含む短繊維を含む、多くの種類が使用されてもよい。
【0004】
様々な天然繊維の種類があるにもかかわらず、使い捨てティッシュ及びタオル製品にのみ使用される際に木から得られる天然繊維は、制限的である場合がある。木部繊維は、乾燥弾性率が高く、直径が比較的大きい場合があり、これらの曲げ剛性が、一部の用途に対して所望以上となる場合がある。そのような高剛性繊維は、剛直で柔軟でないティッシュを生成する場合がある。更に、木部繊維は、乾燥時に比較的高い剛性を有するという、望ましくない特性を有する可能性があり、製品の柔軟性に悪影響を与える場合があり、水和により濡れた際、低い合剛性を有する場合があり、結果として生じる製品を低吸収性にする原因となる場合がある。また木部系繊維は、これら繊維の形状又はモルホロジーをあまり「工作する」ことができないので、制限的である場合がある。
【0005】
互いに及び/又は天然繊維に熱融着することができる合成繊維の使用は、天然繊維の前述の制限を克服する優れた方法である。木部系天然繊維は、熱可塑性ではないことから、他の繊維に熱結合することができない。合成熱可塑性ポリマーは、非常に小さな繊維を含む種々の直径を有する繊維に形成することができる。更に、合成繊維は、天然繊維よりも低い弾性率となるように形成することができる。したがって、合成繊維は非常に低い曲げ剛性で作成することができ、これによって製品の柔軟性を向上し得る。更に、合成繊維の機能的断面を、紡糸プロセス中に微小工作(micro-engineered)することができる。合成繊維は濡れた時に弾性率を維持するようにも設計可能であるので、そのような繊維で作成されたウェブは、吸収作業中に崩壊することに対して抵抗性があることがある。更に、合成繊維を使用することにより、ウェブの形成及び/又はその均一性を助長することが可能である。したがって、ティッシュ及びタオル製品への熱結合された合成繊維の使用は、耐水性で高伸縮性の結合(柔軟性及び湿潤強度に優れた)で接合された、高可撓性繊維(柔軟性に優れた)の頑丈な網状組織をもたらすことが可能である。
【0006】
しかし合成繊維の使用は、幾つかの制限を有する場合がある。合成繊維は、疎水性であるという一般的特性を有することができる。そのように、抄紙プロセス中の流動担体中の疎水性合成繊維の懸濁は、疎水性合成繊維が凝集したスラリーを生じる場合がある。そのようなスラリーから作られた繊維構造体は、乾燥時に剛性が高く、濡れた状態では剛性の低い領域を示す場合がある。したがって、濡れた状態の繊維構造体の弾性率を維持するために合成繊維を利用することの効果は、実現されない場合がある。更に、合成繊維の疎水性は、天然繊維の一般的な親水性を圧倒する場合がある。これは同様に、繊維構造体に対するマイナス効果を有する場合があり、吸収性の低下及び/又は構造体全体の吸収率の低下をもたらす場合がある。
【0007】
繊維構造体は、上述されるように、通常疎水性である。しかし、吸収性物品などの衛生製品における多くの用途では、親水性の繊維構造体を有することが必要である。したがって、繊維構造体はそのように処理されなければならない。
【0008】
吸収性のある使い捨て製品の代表的な構成要素の一つは、コアカバーである。コアカバーは、一般に、吸収性コアが濡れた状態、又は乾燥時に、吸収性コアを収容し、構造的一体性を提供するように設計された不織布材料であってもよい。コアカバーは、ティッシュラップ、又は親水性にされた不織布材料であってもよい。
【0009】
不織布繊維構造体を親水性にするための一般的な方法は、不織布繊維構造体の表面を親水性界面活性剤でコーティングすることである。このコーティングは不織布繊維構造体と界面活性剤との間に堅固な化学結合をもたらさないため、界面活性剤は、吸収性物品が濡れると、使用中に洗い流される可能性がある。液体透過時間の減少は、繊維構造体が界面活性剤でコーティングされている場合に望ましい効果である。液体の透過とは、液体が繊維構造体を通り抜けることをいい、液体の透過時間とは、特定の量の液体が繊維構造体を通り抜けるのにかかる時間をいう。しかし、コーティングされた繊維構造体が液体にさらされるときに界面活性剤が洗い流されるため、次の流れ出しにおける透過時間は増加する。この結果、このような繊維構造体を含むおむつ又は他の製品の、使用時における性能が低下することになる。更に、界面活性剤の使用により、液体の透過時間が減少すると同時に、繊維構造体と接触した液体の表面張力は減少する。この低下は、おむつ中での尿漏れの増加を引き起こす可能性があるため、望ましくない。
【0010】
繊維構造体を親水性にするための別の一般的な方法は、コロナ及び/又はプラズマ処理を適用することによるものである。プラズマは、ガス又は液体媒体をイオン化することによって得ることができる、ガスのイオン化形態である。プラズマは、種々の材料間の接着性を高めるために、有機材料及び無機材料を処理するために広く使用される。低い表面エネルギーを持った化学的に不活性な表面を有するポリマーは、結合性及び接着性を有する良好なコーティングを不可能にする。したがって、これらの表面は、他の基質、コーティング、接着剤、及び印刷インクとの結合を受け入れ可能とするように処理される。しかし、コロナ及びプラズマ処理は、その処理された材料を貯蔵する際に、コーティングの耐久性を低下させ、即ち親水性は時間経過に伴って減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、貯蔵時に耐久性があり、濡らされたときに容易に洗い流されず、不織布が複数回液体にさらされる場合にすばやい液体の染み通りを達成できるようにする、不織布の親水性コーティングが必要とされている。洗浄、温風衣服乾燥機での繊維乾燥などのような、家庭用及び産業用繊維処理プロセスに用いる様々な親水化剤は、当該技術分野において既知であり、これらの分野において、従来、「汚れ放出ポリマー」(SRP)又は「汚れ放出剤」(SRA)と称される。様々なオリゴマー又はポリマー親水化剤は、商用化され、洗剤組成物、及び柔軟仕上げ剤/静電気防止静電気防止製品並びに組成物における汚れ放出化合物としてのこれらの使用が知られている。選択用途で利用される親水化剤は、一般に、織布地の事前又は事後処理に採用される。親水化剤で事前処理された織布地は、染み防止特性を呈する場合がある一方、親水化剤で事後処理された織布地は、染み保護特性を呈する場合がある。織布地は、洗浄され、再洗浄されてもよく、これらの染み防止及び染み保護特性を保持する場合がある。オリゴマー又はポリマーエステル「主鎖」を含む、そのような親水化剤は、「汚れ放出エステル」(SRE’s)と称されることもある。
【0012】
また親水化剤は、不織布繊維構造体内の合成繊維と結合してもよい。今日、不織布繊維構造体の合成繊維を結合するために親水化剤を使用することによって、上記に記載の合成繊維の使用に関連する不利点の一つ以上を克服することができる可能性があることが、見出された。今日、親水化剤と合成繊維との結合は、合成繊維が親水性特性を示すことを可能にし、したがって、一般的な合成繊維の疎水性を克服する可能性があることが、判明している。これは、凝集する代わりに、不織布繊維構造体の全体に渡る合成繊維の分散を可能にし、天然繊維も含むウェブの繊維のより均質な分散を助長する場合がある。また天然繊維と組み合わせ、親水化剤と結合された合成繊維の均一な分配は、事実上親水性の繊維構造体をもたらす場合もある。事実上親水性である繊維構造体は、流動体の吸収性及び/又は吸収率の向上を呈する可能性がある。したがって、親水化剤の利用は、不織布繊維構造体の吸収性及び/又は吸収率にプラス効果をもたらす可能性がある。
【0013】
おむつ、成人用失禁製品及び女性用衛生製品などの吸収性物品は、主要製造業の既知の製品である。良好な全体的なフィット性及び高い吸収力を該製品に与えるために、多くの試みがなされてきた。最新の吸収性物品は、吸収性ポリマー材料又はいわゆる超吸収体物質を使用してもよい。吸収性ポリマー材料は、一般に、不織布材料で囲まれている。合成繊維を組み込む多くの不織材料は疎水性である。疎水性の繊維構造体で囲まれた吸収性ポリマー材料の性能は、流動体がポリマー材料により迅速に吸収されない場合があるために、取り囲んでいる疎水性の繊維構造体により拒絶される際、悪影響を受ける可能性がある。
【0014】
親水化剤と結合する合成繊維を含む改良された繊維構造体を提供することが望ましい。合成繊維が親水性特性を呈する繊維構造体を提供することが望ましい。合成繊維が繊維構造体の全体に渡り分散した繊維構造体を提供することが望ましい。吸収性がマイナス効果を受けていない繊維構造体を提供することが望ましい。吸収性物品の性能を向上するために、そのような繊維構造体を吸収性物品に利用することが望ましい。吸収性物品の消費者が受け入れられる吸収率である、吸収性物品を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、複数の合成繊維及び親水化剤を含む不織布繊維構造体を含む吸収性物品に関する。合成繊維及び親水化剤は、耐久性のある結合を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の一実施例において、1)複数の合成繊維であって、一つ以上(又は各)合成繊維は、ポリマーを含む、合成繊維と、2)親水化剤であって、ポリマー及び親水化剤は、互いと結合する相補的セグメントを含む、親水化剤と、を含む不織布繊維構造体を含む吸収性物品を提供する。
【0017】
繊維構造体の合成繊維は、ポリマーを含んでもよい。ポリマー及び親水化剤は、互いに結合してもよい、相補的セグメントを含んでもよい。少なくとも相補的セグメントの一つは、ポリエステルセグメントを含んでもよい。合成繊維のポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される物質を含んでもよい。繊維構造体は、複数の天然繊維を更に含んでもよい。
【0018】
親水化剤は、コポリマーであってもよい。親水化剤は、ポリエステル、ポリ(エトキシレート)、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テレフタレート、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシエチレンテレフタレート、エトキシレートシロキサン、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。親水化剤は、約1から約15のエトキシル化基を有してもよい。
【0019】
不織布繊維構造体は、結合物質を更に含んでもよい。結合物質は、永久湿潤強度樹脂、一時湿潤強度樹脂、乾燥強度樹脂、ラテックス結合剤、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書で使用するとき、次の用語は、次に示す意味を有する。
【0021】
「坪量」は、繊維構造体の(典型的には平方メートル単位で測定される)単位面積の(グラム単位で測定される)重量を指し、この単位面積は、繊維構造体の平面に取られる。坪量が測定される単位面積の大きさ及び形状は、異なる坪量を有する領域の相対的及び絶対的な大きさ及び形状に左右される。
【0022】
「結合剤」及び/又は「結合物質」は、抄紙技術分野で既知の様々な湿潤及び乾燥強度樹脂並びに歩留まり向上剤樹脂を指す。
【0023】
「繊維粗度」は、TAPPI方法T234cm−02で示されるような、100m当たりミリグラムとして表される繊維の単位長さ当りの重量を指す。
【0024】
「親水性化剤」は、親水性置換基が付加されるオリゴマー又はポリマー「主鎖」を含むとして、広く開示される場合がある。本明細書の「オリゴマー」は、二量体、三量体、四量体などの繰り返し単位が10未満の高分子を指す。本明細書の「ポリマー」は、繰り返し単位が10以上の分子を指す。上記に記載されるような様々な薬剤の汚れ放出化合物としての使用は、洗浄技術分野において周知である。そのような薬剤の製造は、本発明の一部を形成しない。そのような化合物、及び本明細書で以下に開示されるようなこれらの合成方法をより完全に開示する一連の特許を参照することができる。本発明は、本明細書に記載の改善された不織布繊維構造体に、そのような化合物、及びこれらの同等物を使用する。そのような化合物は、本明細書の好ましい使用条件の下、例えば、水性キャリア媒質を含む繊維スラリーにおいて、20℃〜90℃の作業条件、繊維重量の重量で約0.001%〜約20%の使用レベルスラリー内の親水化剤の重量比:疎水性繊維が約0.0001:1〜約1:1の下で、通常、水溶性又は水和性である。
【0025】
「不織布」は、スパンボンディング、カーディング、メルトブロウンイング、エアレイイング、湿式レイイング、コフォーム、又はそのような目的のための当該技術分野において既知のその他のプロセスによる、連続繊維の組立体、共押出繊維、非連続繊維、及びこれらの組み合わせから作られる、織られていない又は編まれていない繊維構造体を指す。不織布構造体は、そのような繊維組立体の一つ以上の層を含んでもよく、各層は、連続繊維、共押出繊維、非連続繊維、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
「単一繊維構造体」又は「繊維構造体」は、複数の合成繊維及び合成繊維を含む構成であり、これらの繊維は中で絡み合って、幾つかの所定の微視的な形状特性、物理的特性、及び外観特性を有する単プライシート製品を形成する。繊維構造体は、天然繊維を更に含んでもよい。合成及び/又は天然繊維は、単一繊維構造体の内部で、当該技術分野において既知であるように積層されてもよい。繊維構造体は不織布であってもよい。繊維構造体は、トイレットペーパー、紙タオル、ナプキン、化粧紙、拭き取り用品などの衛生製品、及びおむつ、生理用ナプキン、並びに及び失禁製品などの吸収性物品など、ティッシュ級の紙(即ち、衛生ティッシュ製品)のためのウェブとして有用である場合がある。本発明の繊維性構造体は、単又は多プライの衛生ティッシュ製品などの製品に組み込まれてもよい。本発明の繊維構造体は、積層されていてもよい、又は均質であってもよい。
【0027】
繊維性構造体
本発明の繊維構造体は、多数の異なる形状をとってもよい。繊維構造体は、100%合成繊維を含んでもよく、合成繊維と天然繊維の組み合わせであってもよい。本発明の一実施形態において、繊維構造体は、複数の合成繊維と複数の天然繊維が混合した一つ以上の層を含んでもよい。異なる繊維は、層全体を通して、一般にランダムに分散される場合があるという点において、合成繊維/天然繊維の混合は、比較的均質であってもよい。繊維の混合は、合成繊維と天然繊維が概してランダムにならないように配置されるように、構造化されてもよい。一実施形態において、繊維構造体は、複数の天然繊維を含む一つの層、及び複数の合成繊維を含む、少なくとも一つの隣接層を含む場合がある。別の実施形態において、繊維構造体は、複数の天然繊維と均質に混合された複数の合成繊維を含む、少なくとも一つの層、及び複数の天然繊維を含む、少なくとも一つの隣接層を含んでもよい。他の実施形態において、繊維構造体は、複数の天然繊維を含む、少なくとも一つの層、及び複数の合成繊維と複数の天然繊維の混合物を含んでもよい、少なくとも一つの隣接層を含んでもよく、合成繊維及び/又は天然繊維は、一般に非ランダムな形で配置されてもよい。更に、混合した天然繊維及び合成繊維の一つ以上の層は、繊維構造体の形成中又は後で、予め定められたパターン又はその他の非ランダムなパターンで混合した合成及び天然繊維の層を分散するために、操作されてもよい。そのようなパターンは、繰り返しパターンであってもよい。
【0028】
天然繊維の実施例は、広葉樹源、針葉樹源、又はその他の非木材植物からの繊維など、セルロース天然繊維を含んでもよい。天然繊維は、セルロース、デンプン、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。好適なセルロース天然繊維の非限定的な実施例は、木材パルプ、一般的な北部軟材クラフト(northern softwood Kraft)、一般的な南部軟材クラフト(southern softwood Kraft)、一般的なCTMP、一般的な脱インキ、コーンパルプ、アカシア、ユーカリ、アスペン、リードパルプ、カバノキ、カエデ、ラジエータ松、及びこれらの組み合わせを含む。植物からの天然繊維のその他の供給源は、アルバーディン(albardine)、エスパルト、麦、稲、コーン、サトウキビ、パピルス、黄麻、ヨシ、サビア(sabia)、ラフィア、竹、サイダル(sidal)、ケナフ、アバカ、サンヘンプ、レーヨン、リオセル、木綿、大麻、亜麻、ラミー、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。更にその他の天然繊維として、ダウン、羽毛、絹、及びこれらの組み合わせなど、その他の天然非植物源からの繊維が含まれてもよい。天然繊維は、望ましい特性を提供するために、機械的又は化学的に処理ないしは別の方法で変性されてもよく、又は自然界に見ることができる形態に概ね類似の形態であってもよい。本明細書に記述される開発に関しては、天然繊維の機械的及び/又は化学的操作によって、天然繊維と考えられる範疇からこれらが除外されることはない。
【0029】
合成繊維は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されるいずれの物質であってもよいが、これらに限定されない。合成繊維は、ポリマーを含んでもよい。ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される物質など、いずれの物質であってもよいが、これらに限定されない。より具体的には、ポリマーセグメントの物質は、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、イソフタル酸コポリマー(例えば、テレフタレートシクロヘキシレン−ジメチレンイソフタレンコポリマー)、エチレングリコールコポリマー(例えば、エチレンテレフタレートシクロヘキシレン−ジメチレンコポリマー)、ポリカプトラクトン、ポリ(ヒドロキシルエーテルエステル)、ポリ(ヒドロキシルエーテルアミド)、ポリエステルアミド、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシブチレート、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。ポリマーは、親水化剤及び/又はそのセグメントに対して相補的である場合があるポリマーセグメントなどのセグメントを含んでもよい。親水化剤に対して相補的な場合があるポリマーセグメントの一部は、合成繊維と親水化剤との間の結合を促進することができる。相補的セグメントは、ポリエステルセグメントを含んでもよい。ポリエステルセグメントは、ポリエチレンテレフタレートセグメントを更に含んでもよい。ポリマーの相補的セグメントは、合成繊維の表面上に置かれてもよい。上記は、合成繊維がコア及び外側表面を含む2成分繊維である場合がある、状況である可能性がある。
【0030】
更に、合成繊維は、単一成分(即ち、単一合成物質又は構成物が繊維全体を構成する)、2成分(即ち、繊維は、領域に分けられ、領域は、二つ以上の異なる合成物質又はその混合物を含み、共押出繊維を含む場合がある)、及びこれらの組み合わせであってもよい。2成分繊維又は単に2成分あるいはシースポリマーを使用することも可能である。これらの2成分繊維は、構造体の成分繊維として使用することができ、及び/又は不織布材料中に存在するその他の繊維の結合剤として作用するために存在してもよい。合成繊維のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの所望の特性を変化させるために、本発明のプロセスの前、その間、又は後で処理されてもよい。例えば、ある実施形態では、合成繊維は、より親水性、より湿潤性などにするために、抄紙プロセスの前又はその間に処理することが望ましい。
【0031】
本発明のある実施形態では、所望の特性を提供するために、繊維の特定の組み合わせを有することが望ましい場合がある。例えば、ある長さ、幅、繊維粗度、又は他の特性の繊維を、ある層群内に組み合わせて又は互いに分離して有するのが望ましいことがある。繊維は、約0.20mmを上回る繊維の長さの平均を有してもよい。繊維は、約0.20mm〜約10.0mmの繊維の長さの平均を有してもよい。繊維は、約5マイクロメートルを上回る繊維の幅の平均を有してもよい。繊維は、約5マイクロメートル〜約50マイクロメートルの繊維の幅の平均を有してもよい。繊維は、約5mg/100mを上回る粗さを有してもよい。繊維は、約5mg/100m〜約75mg/100mの粗さを有してもよい。繊維は、個々に、ある種の所望の特性を有することができる。
【0032】
繊維構造体は、結合物質を更に含んでもよい。繊維構造体は、永久湿潤強度樹脂、一時湿潤強度樹脂、乾燥強度樹脂、歩留まり向上剤樹脂、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される結合物質の約0.01%〜約1%、3%、又は5%重量を含んでもよい。
【0033】
永久湿潤強度が望まれる場合、結合物質は、ポリアミド−エピクロロヒドリン、ポリアクリルアミド、スチレン−ブタジエンラテックス、不溶化ポリビニルアルコール、ユリアホルムアルデヒド、ポリエチレンイミン、キトサンポリマー、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0034】
一時湿潤強度が望ましい場合、結合物質は、カチオン性ジアルデヒドデンプン系樹脂、ジアルデヒドデンプン、及びこれらの組み合わせから成るデンプン系一時湿潤強度樹脂の群より選択されてもよい。また米国特許番号第4,981,557号に記載の樹脂を使用してもよい。
【0035】
乾燥強度が望ましい場合、結合物質は、ポリアクリルアミド、デンプン、ポリビニルアルコール、グアー又はイナゴマメガム、ポリアクリルラテックス、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0036】
またラテックス結合物質も、利用することができる。そのようなラテックス結合剤は、約0℃、−10℃、又は−20℃から−40℃、−60℃、又は−80℃のガラス転移温度を有してもよい。使用可能なラテックス結合剤の実施例は、一般にアクリルポリマーと称されるアクリレートエステルのポリマー及びコポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、塩化ビニルポリマー、塩化ビニリデンポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、アクリロ−ニトリルコポリマー、アクリル−エチレンコポリマー、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。これらのラテックス結合剤の水エマルションは、通常、界面活性剤を含む。再び濡れることがないように、これらの界面活性剤を乾燥及び硬化中に変性してもよい。
【0037】
結合物質の適用方法は、水性エマルション、ウェットエンド添加、噴霧、及び転写を含んでもよい。少なくとも結合物質の有効量が繊維構造体に適用されてもよい。乾燥繊維重量基準で計算した約0.01%から約1.0%、3.0%、又は5.0%が繊維構造体上に保持されてもよい。結合物質は、一般に構造体の表面積の約50%未満を覆う断続的なパターンの繊維構造体に適用されてもよい。結合物質は、一般に繊維構造体の約50%を超えて覆うパターンの繊維構造体に適用されてもよい。結合物質は、ランダムな分配で繊維構造体上に配置されてもよい。あるいは、結合物質は、非ランダム繰り返しパターンの繊維構造体上に配置されてもよい。
【0038】
繊維構造体に関する追加情報は、米国特許公開番号第2004/0154768号及び2004/0157524号、米国特許番号第4,588,457号、5,397,435号、及び5,405,501号に見ることができる。
【0039】
本発明の繊維構造体を用いて様々な製品を作成することができる。結果として生じる製品は、使い捨てであってもよい。結果生じた製品は、空気、油及び水用フィルタ、掃除機用フィルタ、炉用フィルタ、フェイスマスク、コーヒーフィルタ、ティー又はコーヒーバッグ、断熱材及び遮音材、おむつ、女性用パッド及び失禁用製品などの吸収性物品の不織布、微小繊維又は通気性布地のような吸水性及び着用の柔軟性のための生分解性織物布地、粉塵の回収及び除去のための静電的に帯電した構造ウェブ、補強材、及び包装紙、筆記用紙、新聞印刷用紙、ダンボールのような硬質紙用ウェブ、及びトイレットペーパー、紙タオル、ナプキン及びフェイシャルティッシュなどの紙のティッシュ級用ウェブ、外科用カーテン、創傷包帯、包帯及び皮膚貼付剤のような医療用途での使用を見出し得る。また繊維構造体は、特定用途のための臭い吸収剤、シロアリ忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤などを包含してもよい。得られた製品は、水及び油を吸収することができ、油若しくは水こぼれの清掃、又は農業若しくは園芸の用途のための制御された水保持及び放出に用途を見出すことができる。
【0040】
吸収性物品
上記に記載の繊維構造体は、吸収性物品の構成成分を形成するために利用されてもよい。「吸収性物品」は、排泄物を吸収及び/又は収容する場合があるデバイスを指し、より具体的には、着用者の体に接して又は近接して配置されて、身体から排出される様々な排出物を吸収し収容するデバイスを指す。これには、尿、経血、及び膣排泄物、汗、及び糞便を含むが、これらに限定されない。実例となる吸収性のある使い捨て製品の例としては、おむつ、成人用失禁製品、トレーニングパンツ、女性用衛生パッド、パンティライナーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
図1は、吸収性のある使い捨て製品、具体的にはおむつ20の平面図である。おむつは20は、収縮させずに広げた状態(即ち、弾性によって収縮させていない状態)で示してある。その構造の部分を切り取って、吸収性コア10を含むおむつ20の下層構造が示されている。おむつ20の着用者に接触する部分が、観察者の方を向いている。図1のおむつ20のシャーシ22は、おむつ20の本体を含む場合がある。シャーシ22は、液体透過性トップシート24及び/又は液体不透過性バックシート26を含む外側カバーを含んでもよい。またシャーシ22は、トップシート24とバックシート26との間に包まれた吸収性コア10のほとんど又は全てを包含してもよい。
【0042】
シャーシ22は、他の機構が付加されて複合おむつ構造を形成する、おむつ20の主要構造を含んでもよい。トップシート24、バックシート26、及び吸収性コア10は、多数の異なる材料を含んでいてもよく、また多様な周知の構成で組み立ててもよく、例示的なおむつの材料及び構成が、米国特許番号第3,860,003号、第5,151,029号、第5,221,274号、第5,569,234号、及び第6,004,306号に大まかに記載されている。
【0043】
当該技術分野において既知の、本発明に適合する任意のトップシートを、本発明において使用することができる。トップシートに好適な材料は、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔プラスチックフィルム、又は、天然繊維(例えば木繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル若しくはポリプロピレン繊維)、若しくは天然繊維と合成繊維の組み合わせの織布又は不織布材料など、種々の材料から製造してもよい。一例として、トップシートにおける使用に好適なある材料は、ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを備えており、このウェブは、マサチューセッツ州ウォルポール(Walpole, MA)のインターナショナルペーパーカンパニー(International Paper Company)の一部門であるベラテック社(Veratec、Inc.)によってP−8の呼称で製造されている。
【0044】
好適なトップシートの幾つかの実施例は、更に米国特許番号第3,929,135号、第4,324,246号、第4,342,314号、第4,463,045号、第5,006,394号、第4,609,518号、及び第4,629,643号に記載される。トップシートのいずれかの部分を、当該技術分野において既知のローションでコーティングしてもよい。好適なローションの例は、米国特許番号第5,607,760号、第5,609,587号、第5,635,191号、第5,643,588号、第5,968,025号、第6,716,441号、及びPCT公開番号WO95/24173に記載のものを含む。
【0045】
図1のトップシート24は、全体的に又は部分的に伸縮性であってもよく、又は短縮させて、トップシート24と吸収性コア10との間に空隙空間を提供してもよい。伸縮性又は収縮性トップシートを含む代表的な構造体が、米国特許番号第4,892,536号、第4,990,147号、第5,037,416号、及び第5,269,775号に更に詳細に記載される。
【0046】
図1のバックシート26は、一般に、バックシート26とトップシート24との間の吸収性コア10と共に配置されるおむつ20の一部であってもよい。バックシート26はトップシート24と接合してもよい。バックシート26は、吸収性コア10に吸収されておむつ20内に収容された排出物が、おむつ20と接触することがあるベッドシーツ及び下着などの他の外部物品を汚すことを防止することができる。バックシート26は、液体(例えば、尿)に対して実質的に不透過性であってもよく、不織布と、厚さ約0.012mm(0.5ミル)から約0.051mm(2.0ミル)を有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムとの積層体を含んでもよい。好適なバックシートフィルムは、インディアナ州テレホート(Terre Haute, IN)のトレデガー・インダストリーズ社(Tredegar Industries Inc.)によって製造され、X15306、X10962、及びX10964の商標名で販売されているものを包含してもよい。他の好適なバックシート材料には、おむつ20から蒸気を逃すものの、それでも排出物がバックシート26を通過することを防ぐ通気性材料を含んでもよい。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブなどの複合材料、並びにエスポアール(ESPOIR)NOの名称で日本の三井東圧株式会社(Mitsui Toatsu Co.)により製造されているミクロ孔質フィルム及びエグザイア(EXXAIRE)の名称でテキサス州ベイシティー(Bay City, TX)のエクソン・ケミカル社(EXXON Chemical Co.)により製造されているようなミクロ孔質フィルムなどの材料を挙げることができる。ポリマーブレンドを含む好適な通気性複合材料は、名称ハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097として、クロペイ社(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティー(Cincinnati, OH))から入手可能である。
【0047】
本発明によるおむつは、少なくとも一つの締着部材及び少なくと一つの既製ランディング領域を含むことがある再閉締可能な締着装置を提供されてよい。おむつを着用者の周りの適所に保持するために、第1の腰部区域の一部を締着部材によって第2の腰部区域の一部に取り付け、これによって脚開口部及びウエストを形成する。あるいは、おむつは、パンツ型おむつの形状で提供されてもよい。また、より良好なフィット性、収容性及び美的特性をもたらすために、おむつは、ウエストキャップ特徴、弾性材料などを含めて、当該技術分野において既知であるようなその他の特徴を含んでもよい。シャーシは、サイドパネル、弾性脚部カフ、及び弾性的ウエスト構造部を更に含む場合があり、レッグカフ及び弾性的ウエスト構造部は、一般に、それぞれ伸縮部材を含む。おむつの一つの末端部分は、おむつの第1の腰部区域として構成されてもよい。反対側の末端部分は、おむつの第2の腰部区域として構成されてもよい。おむつの中間部分は、第1の腰部区域と第2の腰部区域との間を長手方向に延在してもよい股領域として構成されてもよい。腰部区域は、フィット及び封入性の向上を提供するために、着用者のウエスト周りで縮む、弾性要素を含んでもよい。股領域は、おむつを着用した際、通常、着用者の脚の間に位置するおむつの部分であってもよい。ウエスト構造部及びカフに関する更なる詳細は、米国特許番号第3,860,003号、第4,515,595号、第4,695,278号、第、4,909,803号、第5,151,092号、及び5,221,274号に見られる場合がある。
【0048】
おむつ20は、前側耳部及び後側耳部を含んでよい。前側及び/又は後側耳部は、おむつ20の統合された要素(即ち、これらはおむつ20に固定される独立して操作可能な要素ではなく、むしろ、おむつの様々な層の一つ以上から形成され、これらの延長部分である)であってもよい。ある実施形態において、前側及び/又は後側耳部は、図1に示すように、シャーシ22に接合される別個の要素であってもよい。他の実施形態において、前側及び/又は後側耳部は、前側及び/又は後側の上に延在する層、要素又は基材を有する、シャーシ22に接合された別個の要素を含んでよい。前側耳部及び後側耳部は、延伸性、非延伸性、伸縮性、又は非伸縮性であってもよい。また前側及び/又は後側耳部に対して、米国特許番号第5,167,897号、第5,143,679号、第5,156,793号、第5,705,013号、第5,683,533号、及び第5,580,411号に記載されるような、駆動、機械的駆動、リングローリングなどが行われる。「駆動」又は「駆動する」という用語は、本明細書では、不織布を作成する、又は弾性のある不織布積層体をより伸張可能にするプロセスを指す。
【0049】
吸収性物品は、体液の獲得、移送、分配、及び貯蔵を含む、製品の流体処理特性に主として関与する場合がある吸収性コアを含んでもよい。そのようなものとして、吸収性コアは典型的には、吸収性物品のトップシート又はバックシートを含まない。図1の吸収性コア10は、一般的に、トップシート24とバックシート26との間に配置されている。図2に示されているように、吸収性コア10はコアカバー42及び貯蔵層80を含んでもよい。貯蔵層60は、概ね圧縮性であって、体型に合いやすく、着用者の皮膚に対して非刺激性であり、尿などの液体及び他のある種の身体滲出物を吸収して保持できる、いかなる吸収性材料を含んでもよい。貯蔵層60は、エアフェルト若しくはフラフ(fluff)と一般に呼ばれる粉砕木材パルプなどの、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に普通に使用される、種々多様な液体吸収性材料を含んでよい。その他の好適な吸収性材料の例は、縮みセルロース詰め物(creped cellulose wadding)、コフォームを含むメルトブロウンポリマー、米国特許番号第5,137,537号に記載されるような科学的に剛化、変性、又は架橋したセルロース繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含む、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、米国特許番号第5,599,335に記載されるような超吸収性ポリマー(超吸収性繊維など)、吸収性ゲル材料、又はいずれのその他の既知の吸収性材料あるいは材料の組み合わせを含む。好適な吸収性材料の幾つかの組み合わせの例は、フラフ(fluff)と吸収性ゲル化材料及び/若しくは超吸収性ポリマー、並びに吸収性ゲル化材料と超吸収性繊維などである。任意の一実施形態では、貯蔵層はエアフェルトフリーであり、即ちエアフェルトを含有しない。貯蔵層は、微量(通常10%未満)の非液体吸収性材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを更に含んでもよい。
【0050】
吸収性コアの貯蔵層は、吸収性ポリマー材料を含んでもよい。また吸収性ポリマー材料は、エアフェルト材などの吸収性繊維材料と混合されてもよく、これは、超吸収性ポリマー材料を不動化するマトリックスを提供することができる。しかし、セルロース繊維性材料の約40重量%、20重量%、又は10重量%未満の重量など、吸収性ポリマー材料の重量と比較し、比較的に少量のセルロース繊維性材料が使用されてもよい。同様に、ほぼエアフェルトが存在しないコアが有用な場合もある。
【0051】
所望により、また吸収性コアの貯蔵層は、吸収性繊維材料、例えば、セルロース繊維も含んでもよい。この繊維性材料は、吸収性ポリマー材料とプレミックスされて、一つの加工工程で置かれてもよいか、又は別の方法としては、別個の加工工程で置かれてもよい。
【0052】
更に、好適な吸収性コアは、減少した量のセルロースエアフェルト材を含んでもよい。例えば、そのようなコアは、約40%、30%、20%、10%、5%、又は更には約1%未満を含んでもよい。そのようなコアは、少なくとも約60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は更には約100%の量の吸収性ゲル材料を主に含み、コアのその残りは、マイクロファイバー接着剤を含む(妥当な場合)。そのようなコア、マイクロファイバー接着剤、及び吸収性ゲル材料は、米国特許番号第5,599,335号、第5,562,646号、第5,669,894号、第6,790,798号、及び米国特許公開番号第2004/0158212A1号及び第2004/0097895A1号、並びに共に2004年1月15日付出願の米国特許出願番号第10/758,375号及び10/758,138号に記載される。
【0053】
更なる実施形態において、本発明の製品は、湿潤感知部材を更に含んでもよい。この部材は、製品内の様々な位置に配置されてもよい。例えば、湿潤感知部材は、トップシートの上に配置されてもよい。部材は、「濡れた」感覚により、着用者が排尿が行われたという事実を認識するように、尿は、透過性層を通り抜けるが、不透過性層を通り抜けない、透過性層及び不透過性層を含んでもよい。好適な部材は、米国特許番号第6,627,786号に詳細に記載される。
【0054】
本発明の吸収性物品は、着用時の快適さを向上する、比較的狭い股幅を含んでもよい。本発明の吸収性物品は、約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm、又は更に約50mm未満の股幅を含んでもよい。したがって、本発明の吸収性コアは、コアの前側縁部及び後側縁部で等しい距離に位置する横断線に沿って測定した時、約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm、又は更に約50mm未満の股幅を有してもよい。ほとんどの吸収性物品において、液体の排出は、主に前側半分で生じることが分かっている。故に、吸収性コアの前側半分は、コアの吸収能力の大部分を含むべきである。該吸収性コアの前側半分は、約60%を上回る吸収能力、又は約65%、70%、75%、80%、85%、又は90%を上回る吸収能力を含んでもよい。
【0055】
これらの材料は、公開された第WO 98/22279号に記載の獲得層、科学的に剛化、変性、又は架橋したセルロースファイバを含むような分配層、及び超吸収性ポリマーを含むような貯蔵層などの流体処理層を含んでもよい、一つ以上の層の形状である吸収層コアを提供するために、組み合わせてもよい。また吸収性コアは、その他のコア構成要素を安定化する層を含んでもよい。そのような層は、貯蔵層の上に横たわり、その他のコア構成要素が存在する場合には、その下に横たわるコアカバー、及び貯蔵層の下に横たわってもよいダスティング層を含む。そのような層に好適な物質は、坪量約10から約15g/mを有するスパンボンド/メルトブロウン/スパンボンド不織布(メルトブロウンは、約5g/m未満を占める)を含んでもよい。また本明細書に記載の繊維構造体は、そのような層への使用にも適している。
【0056】
獲得層、分配層、貯蔵層、コアカバー、及びダスティング層は、一般にラップシートとして既知である場合がある。不織布ラップシートは、吸収性コアの流体処理特性、更には後続の流れ出しに対しても悪影響を及ぼすことなく、吸収性コアのそこに物質を収容するという一次機能を有する場合がある、本明細書に記載の繊維構造体のような繊維構造体であってもよい。収容機能は、ASTM試験方法F316−86に従い、コールター・ポロメータ平均流量孔径(Coulter Porometer Mean Flow Pore size)及び孔径分散試験により測定される際、30μm未満のような、小さな平均孔径を有する繊維構造体により達成される可能性がある。
【0057】
ラップシートは、繊維ウェブ又は穿孔フィルム材料のように、多孔質であることによってなど、水溶液に対して透過性であってもよい。ラップシートは、吸収性コアを完全に包んでもよい。あるいは、ラップシートは、吸収性コアを完全に包む必要はない。ラップシートは、吸収性コアの上面を覆ってもよく、そしてコアの隣りに止められてもく、そのような側面は、ラップシートに必ずしも必要というわけではないが、覆われてもよい。更にその他の実施形態において、ラップシートは、底面を部分的又は完全に覆うように吸収性コアの上面及び二つの側面の周囲に折り畳まれることで、これらの表面を覆ってもよい。
【0058】
また吸収性コアを包むことは、二つ以上のラップシート、又はその異なる部位で異なる特性を有する一つのラップシートによっても、達成することができる。例えば、流動体の流路内ではない吸収性コアの表面部分は、永続的ではない、又は非永続的な流動体の親水性を有することができる。又は、異なるラップ材料をそのような領域に使用することができ、あるいは吸収性コア材料は、従来のティッシュ材料などのその他の要素に収容されているが、不透過性シートでもあることができ、同時に、その他の機能を有する場合がある。
【0059】
特に、また親水性の繊維構造体も、吸収性物品のその他の部分において有用である。例えば、上記に記載されるような親水性の繊維構造体を含むトップシート及び獲得層(捕捉層)は、うまく機能することが判明している。
【0060】
液体の透過時間は、繊維構造体の親水性レベルの一定の尺度である。その値は、本明細書に記載される試験方法を使用して測定されてもよい。
【0061】
親水化剤
図1は、二量体「主鎖」を有する親水化剤1、相補的セグメント3、及び合成繊維2の相補的セグメントに結合する親水性置換基4の分子レベルの製品の概念であって、nは約1から約15であってよい、概念の事例であるが、決して制限はない。
【0062】
理論に制限されるものではないが、親水化剤は、疎水性合成繊維の表面の一つ以上と結合すると考えられる。親水化剤と合成繊維との間の結合は、耐久性のある結合であってもよい。親水化剤と合成繊維との結合は、合成繊維単独により示される疎水性特性とは対照的に、合成繊維が親水性特性を呈することを提供してもよい。合成繊維単独の疎水性は、ウェブ作成プロセス中、又は繊維構造体内において、一般に合成繊維が凝集する原因となる可能性があることが、更に考えられる。理由はともあれ、今では、親水化剤と合成繊維との結合は、繊維構造体における合成繊維の分散を提供する可能性があることが判明している。例えば、湿式抄紙プロセス中、流動担体中の合成繊維の分散があってもよく、その後、繊維構造体中の合成繊維の分散を促進してもよい。天然繊維は、所望により、天然繊維が親水化剤と合成繊維との結合を妨げないように、分散して存在してもよい。親水化剤は、天然繊維と結合してもよいが、この結合は、親水化剤が合成繊維と結合することを妨げない。
【0063】
親水化剤は、様々な荷電アニオン又はカチオン種及び非電化モノマー単位を含むことができる。アニオン性及びカチオン性ポリマーは、合成繊維の付着性及び湿潤性の両方を向上することができる。カチオン機能を含む親水化剤は、米国特許番号第4,956,447号に記載される。親水化剤の構造は、線状、分枝状、又は更に星型でもよい。構造及び電化分布が、異なる繊維又は繊維製品の種類への用途に調整されてもよい。
【0064】
親水化剤は、親水化剤と合成繊維の表面特性との間の対応により合成繊維と結合してもよい。この対応は、合成繊維及び親水化剤の物理特性に基づいてもよい。そのような物理特性は、結晶化度及び分子量を含むが、これらに限定されない。親水化剤及び合成繊維の物理特性間の対応は、親水化剤と合成繊維との間に形成される結合の耐久性を助長する場合がある。物理特性に基づく結合は、親水化剤が合成繊維から洗い流されない場合に、耐久性があることが発見されている。このように、本発明の親水化剤は、一般的な界面活性剤から区別されてもよい。合成繊維と親水化剤との間の結合は、耐久性がある場合がある。合成繊維は、耐久性のある湿潤性を呈する場合がある。合成繊維は、約72°未満の平均接触角を呈する場合がある。合成繊維は、約72°未満の平均接触角を呈する場合があり、10分間の水洗後の合成繊維の平均接触角は、約72°より下に保たれる場合がある。合成繊維は、10分間の水洗後、約66°、63°、60°、55°、又は50°未満の平均接触角を呈する場合がある。そのような平均接触角を呈する合成繊維は、親水化剤と結合してもよい。合成繊維と親水化剤との間の結合は、耐久性がある場合があり、親水化剤は、流動体による1回の損害後に合成繊維から洗い流されなくてもよい。界面活性剤は、一方、そのような耐久性のある結合を形成することができず、1回の損害後に合成繊維から洗い流される場合がある。更に、合成繊維及び界面活性剤を含む繊維構造体は、持続的湿潤性を示さない場合がある一方、合成繊維及び親水化剤を含む繊維構造体は、本明細書に記載されるように、持続的湿潤性を示す場合がある。親水化剤の融解温度を上回る温度で親水化剤及び合成繊維の組み合わせを加熱することによって、親水化剤と合成繊維との間に、より永続的な結合が形成されることがある。
【0065】
親水化剤は、約3ppmを上回る親水化剤/合成繊維及び/又は天然繊維の組み合わせを含んでもよい。親水化剤は、一般に、約10、20、30、又は40ppmから約50、60、80、又は100ppmの親水化剤/合成繊維及び/又は天然繊維の組み合わせを含んでもよい。本明細書の組成物は、約0.001%を上回る親水化剤を含んでもよい。本明細書の組成物は、約0.001%から約2%、5%、10%、又は20%を上回る親水化剤を含んでもよい。
【0066】
親水化剤は、合成繊維のポリマーに対して相補的であるセグメントを含んでもよい。相補的セグメントは、ポリエステルセグメントを含んでもよい。ポリエステルセグメントは、ポリエチレンテレフタレートセグメントを含んでもよい。親水化剤は、オリゴマー又はポリマーであってもよい。親水化剤は、エトキシレートシロキサンのコポリマーであってもよい。親水化剤は、汚れ放出剤であってもよい。そのような親水化剤は、ポリマーであってもよい。ポリマー親水化剤は、本発明において有用であり、ポリエステル、ポリ(エトキシレート)、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テレフタレート、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシエチレンテレフタレート、エトキシレートシロキサン、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される物質を含んでもよいが、これらに限定されない。その他のポリエステルポリマーと共に、ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシエチレンテレフタレート、及びポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコールポリマーなどの汚れ放出特性を有するテレフタル酸及びその他の芳香族ジカルボン酸のポリエステルは、繊維構造体における親水化剤として利用されてもよい。上述されるように、SRP’s、SRA’s、及びSRE’sとしても知られる様々な親水化剤は、洗浄技術分野において、よく認識されている物質であり、多くは市販されるか、又はプロクターアンドギャンブル社(Procter & Gamble Company)及び様々な製造業者の複数の特許で開示される合成スキームにより、入手可能である。
【0067】
ランダム又はブロックエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール(PEG)テレフタレート単位を含有する、より高い分子量(例えば、分子量40,000〜50,000)ポリエステルは、洗濯洗浄組成物における汚れ放出剤として使用されている。米国特許番号第3,893,929号、第3,959,230号、第3,962,152号を参照。スルホン化直鎖テレフタレートエステルオリゴマーは、米国特許第4,968,451号で開示される。末端保護された非イオン性1,2−プロピレン/ポリオキシエチレンテレフタレートポリエステルは、米国特許番号第4,711,730号で、末端保護された非イオン性ブロックポリエステルオリゴマー化合物は、米国特許第4,702,857号で開示される。部分的に及び完全に末端保護されたアニオン性オリゴマーエステルは、米国特許第4,721,580号で更に開示され、アニオン性、特にスルホアロイル、末端保護されたテレフタレートエステルは、米国特許第4,877,896号及び第5,415,807号で開示される。
【0068】
米国特許番号第4,427,557号は、ポリエステル繊維に汚れ放出特性を付与するために水性分散液に用いることのできる低分子量コポリエステル(分子量2,000〜10,000)を開示している。コポリエステルは、エチレングリコール、平均分子量200〜1000のポリエチレングリコール、芳香族ジカルボン酸(例えばジメチルテレフタレート)、及びスルホン化芳香族ジカルボン酸(例えば、ジメチル5−スルホイソフタレート)の反応により形成される。ポリエチレングリコールは、メチル、エチル、及びブチルエーテルのようなポリエチレングリコールのモノアルキルエーテルと部分的に置換することができる。
【0069】
親水化剤は、テレフタレート及びポリエチレンオキシドのブロックを有するコポリマーであってもよい。より具体的には、これらのポリマーは、エチレン及び/又はプロピレンテレフタレート並びにポリエチレンオキシドテレフタレートの繰り返し単位を、エチレンテレフタレート単位対ポリエチレンオキシドテレフタレート単位のモル比約25:75から約35:65で含んでもよく、該ポリエチレンオキシドテレフタレートは、約300から約2000の分子量を有するポリエチレンオキシドブロックを含む。ポリマー親水化剤の分子量は、約5,000から約55,000であってもよい。
【0070】
その他のポリマー親水化剤は、平均分子量約300から約6,000であり、結晶性ポリマー化合物内のエチレンテレフタレート単位対ポリオキシエチレンテレフタレート単位のモル比は、2:1から6:1の間である、ポリオキシエチレングリコールから生じる、エチレンテレフタレート単位の約10重量%から約15重量%とポリオキシエチレンテレフタレート単位の約10重量%から約50重量%を共に含む、エチレンテレフタレート単位の繰り返し単位を有する結晶性ポリエステルであってもよい。このポリマーの例は、市販の材料であるゼルコン(ZELCON)(登録商標)4780(デュポン(DuPont)製)及びミリーズ(MILEASE)(登録商標)T(ICI製)を含む。
【0071】
別の実施形態において、ポリ(エトキシレート)部位は、約1から約9、12、又は15のエトキシル化基、及び約1〜約15のいずれかのその他の数のエトキシル化基を有するように調整されてもよい。ポリ(エトキシル化)部位の数は、合成繊維の湿潤性を高めるために調整されてもよい。合成繊維の湿潤性は、ポリ(エトキシレート)部位内のエトキシル化基が増加するにつれて、向上することがある。所望により、親水化剤の結晶化度を制御するために、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどの更なるコポリマーが使用されてもよいが、これらに限定されない。
【0072】
別の実施形態において、本発明により提供される親水化剤は、実験に基づく式(キャップ)(EG/PG)y’(DEG)y”(ポリエチレングリコール)y’”(T)(SIP)であって、(キャップ)は、該末端保護単位i)の形状のナトリウム塩を示し、(EG/PG)は、該オキシエチレンオキシ及びオキシ−1,2−プロピレンオキシ単位ii)を示し、(DEG)は、該ジ(オキシエチレン)オキシ単位iii)を示し、(ポリエチレングリコール)は、該ポリ(オキシエチレン)オキシ単位iv)を示し、(T)は、該テレフタロイル単位v)を示し、(SIP)は、5−スルホイソフタロイル単位vi)の形状のナトリウム塩を示し、xは、約1から2であり、y’は約0.5から約66であり、y”は、0から約50で、y’”は、0から約50であり、y’+y”+y’”の合計は、約0.5から約66であり、zは、約1.5から約40であり、qは、約0.5から約26であり、x、y’、y”、y’”、z、及びqは、該エステルのモル当たりの対応する単位の平均モル数を示す、式を有するエステルの約25重量%から約100重量%を含むものにより例示されてもよい。親水化剤は、該エステルの少なくとも約50重量%は、分子量約500から約5,000を有するものであってもよい。
【0073】
一実施形態において親水化剤は、オキシエチレンオキシ:オキシ−1,2−プロピレンオキシのモル比約0.5:1から約10:1を有する場合があり、xは約2であり、y’は約2から約27であり、zは約2から20であり、qは約0.4から約8である。別の実施形態において、xは約2であり、y’は約5であり、zは約5であり、qは約1である。
【0074】
親水化剤は、繊維の再パルプ化プロセス中に、合成繊維表面と結合してもよい。合成繊維は、繊維の再パルプ化の前に、親水化剤の仕上げ剤と共に提供されてもよい。更に、親水化剤は、合成繊維の押し出し前に、溶解した添加物として、合成繊維と結合してもよい。
【0075】
親水化剤に関する更なる情報は、米国特許番号第4,702,857号、第4,861,512号、第5,574,179号、及び第5,843,878号に見ることができる。
【0076】
繊維構造体作成方法
一般に、単一繊維構造体を作成するための本発明のプロセスは、一般に繊維構造体全体に渡り、ランダムなパターン上に配置されるの複数の合成繊維を有するウェブを形成する点から説明されてもよい。また複数の天然繊維は、繊維構造体全体に渡り、一般にランダムなパターン中に配置されてもよい。別の実施形態において、合成繊維の一部は、非ランダムな繰り返しパターン中に再分配されてもよい。また合成及び天然繊維の積層配置も、本発明により考慮される。
【0077】
一般的な湿式プロセスにおいて、複数の繊維は、流動担体中に浮遊する。これは、繊維の「再パルプ化」として知られる場合がある。合成繊維は、天然繊維とは別に、又は組み合わせて再パルプ化されてもよい。別の実施形態において、複数の合成繊維及び複数の天然繊維は両方ともリパルパーに加えられてもよい。合成繊維と結合するために、次に親水化剤が加えられてもよい。更にその他の実施形態において、複数の合成繊維がリパルパーに加えられ、親水化剤と混合されてもよい。この組み合わせは、次に複数の天然繊維と混合されてもよい。あるいは、合成繊維は、再パルプ化される前に、親水化剤を含む仕上げ剤を合成繊維に提供することによって、親水化剤と結合してもよい。合成繊維は、そして再パルプ化され、天然繊維と組み合わせられてもよい。あるいは、親水化剤は、繊維の押し出し前に、溶解した添加物として、合成繊維と結合してもよい。
【0078】
更にその他の実施形態において、プロセスは、親水化剤と結合した複数の合成繊維が抄紙機械装置に直接置かれるエアレイドであってもよい。そのような実施形態において、複数の天然繊維は、抄紙機械装置に直接置かれてもよい。湿式載置及びエアレイドに加え、その他の方法は、メルトブロウン、スパンボンド、カード、コフォーム、接着剤結合、ニードルパンチ、水力による巻き込み、積層、又はそのような目的において当該技術分野において既知のその他のプロセスを含むが、これらに限定されない。方法の組み合わせも使用可能である。
【0079】
結果として生じる繊維構造体は、一般に層全体に渡りランダムに配置される天然及び合成繊維を含んでもよい。あるいは、天然及び合成繊維は、合成繊維及び天然繊維が一般に非ランダムに配置されるように、より構造化されてもよい。一実施形態において、繊維構造体は、複数の天然繊維を含む、少なくとも一つの層、及び複数の合成繊維を含む、少なくとも一つの隣接層を含む場合がある。別の実施形態において、繊維構造体は、均質に天然繊維と混合された複数の合成繊維を含む、少なくとも一つの層、及び複数の天然繊維を含む、少なくとも一つの隣接層を含む場合がある。他の実施形態において、繊維構造体は、複数の天然繊維を含む、少なくとも一つの層、及び複数の合成繊維と複数の天然繊維の混合物を含む、少なくとも一つの隣接層を含む場合があり、合成繊維及び/又は天然繊維は、一般に非ランダムな形で配置される場合がある。更に、天然繊維及び合成繊維の混合した層の一つ以上は、予め定められたパターン又はその他の非ランダムなパターンで分配されてもよい。
【0080】
図7は、天然繊維110は、構造体の全体に渡ってランダムに分配され、合成繊維120は、非ランダム反復パターンで再分配される、繊維構造体100の一つの実施形態を概略的に示す。図8は、繊維構造体全体に渡りランダムに分配された、複数の天然繊維110及び複数の合成繊維120を含む場合がある、繊維構造体100を例示する。
【0081】
次の例は、本発明の実施を例示するものであって、それを制限するものではない。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
異なる親水化剤の使用の有無にかかわらず、ノーザーンソフトウッドクラフト(Northern Softwood Kraft)、及びCoPET/PET(イソフタル酸コポリマー)繊維を使用する四つの異なる手抄き紙が用意され、以下に記載される水平全面シート(HFS)試験方法により決定される、これらの水平吸収能力(H.A.C)に対する影響が試験される。
【0083】
以下の値は、個々の四つの手抄き紙の平均である。
【0084】
以下の表に示されるように、合成繊維の追加は、水平吸収能力(H.A.C.)においてマイナス効果(〜8%減少)を有する。親水化剤の追加は、合成繊維を、吸収能力の損失を回復するために十分親水性にする。
【表1】

【表2】

【0085】
CoPET/PET繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City, TN)のファイバー・イノベーション・テクノロジー社(Fiber Innovation Technology, Inc.)から市販される。本実施例で使用されるCoPET/PET繊維は、ファイバー・イノベーション・テクノロジー(Fiber Innovation Technology)により、T−235として指定されている。テックスケア(TexCare)SRN−100及びテックスケア(TexCare)SRN−240は、フランクフルトアムマイン(Frankfurt am Main)のクラリアント社(Clairant GmBH)、機能薬品部門(Division Functional Chemicals)から市販される。
H.A.C.率=試料のH.A.C/基準試料AのH.A.C.
【0086】
本実施例では、HFS手順は修正される。手順に記載される27.9cm×27.9cm(11インチ×11インチ)の試料よりもむしろ、10.2cm×10.2cm(4インチ×4インチ)の紙試料を使用する。
【0087】
(実施例2)
本実施例では、パイロット規模の長網抄紙機が使用される。北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft:NSK)の3重量%の水性スラリーが従来型リパルパー内に作成される。NSKスラリーは、徐々に純化され、永久湿潤強度樹脂の2%溶液(即ち、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, Del)のハーキュレス社(Hercules Inc.)により販売されるカイメン(Kymene)557LX)をNSK紙料に乾燥繊維の1重量%の比率で加える。カイメン(Kymene)557LXのNSKへの吸着は、インラインミキサーにより強められる。カルボキシメチルセルロース(CMC)の1%溶液が、乾燥繊維の0.2重量%の率でインラインミキサーの後に添加され、繊維基材の乾燥強度を上昇する。ユーカリ繊維の3重量%の水性スラリーが、従来型リパルパー内で作成される。
【0088】
NSKスラリー及びユーカリ繊維は、ヘッドボックス内で積層されて、異なる層として長網抄紙機上に堆積され、初期ウェブを形成する。長網抄紙機ワイヤを通して脱水が生じ、デフレクター及びバキュームボックスにより補助される。長網抄紙機ワイヤは、2.5cm(インチ)当たりモノフィラメントを機械方向に84本及び機械横方向に76本それぞれ有する、5シェッド(shed)サティン織りの構成である。湿式初期ウェブは、長網抄紙機ワイヤから移転点において約18%の繊維濃度で、6.5cm(平方インチ)当り150のリニアー・アイダホ(Linear Idaho)セル、20%のナックル面積、及び0.43mm(17ミル)の感光性ポリマー深さを有する、感光性ポリマーファブリックへ移転される。ウェブが約22%の繊維濃度になるまで、真空補助水切れにより、更なる脱水が達成される。模様付きウェブは、約56重量%の繊維濃度まで通風により前乾燥される。ウェブは、次に、ポリビニルアルコール(PVA)の0.25%水溶液を含むスプレーされたクレーピング接着剤で、ヤンキードライヤーの表面に接着される。繊維濃度は、スカルペルブレードでウェブをドライクレーピングするまでに、推定96%に上昇される。スカルペルブレードは、約25度のベベル角を有し、ヤンキードライヤーに対して約81度の衝撃角を形成するように配置され、ヤンキードライヤーは、毎分約183m(約600fpm(毎分フィート))で運転される。乾燥ウェブは、毎分171m(560fpm)の速度でロールに形成される。
【0089】
2プライのウェブが、PVA接着剤の使用で共にラミネート及びエンボス加工されることにより、紙タオル製品に形成される。その紙タオルは、約40g/mの坪量を有し、北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft)70重量%とユーカリ30重量%の組成を含む。結果として生じる紙タオルは、26.3g/gの吸収能力を有する。また結果として生じる紙タオルは、本明細書に記載の試験方法にしたがって決定される水平率容量(HRC)値も提供する場合がある。本実施例において、HRC値は、0.57g/秒である。
【0090】
(実施例3):
紙タオルは、実施例2と同様の方法によるが、ユーカリの10重量%を長さ6mm及び直径約20μの合成2成分ポリエステル繊維の10重量%で置換して作成される。本実施例で使用されるポリエステル繊維は、ファイバー・イノベーション・テクノロジー(Fiber Innovation Technology)からT−201という表記で市販される。40ppmのテックスケア(TexCare)(商標)SRN−240をユーカリ−合成繊維のパルプ混合物に加える。紙タオルは、約40g/mの坪量を有し、一つの層に70重量%の北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft)を含み、他方の層に20重量%のユーカリと10重量%及び長さ6mmの合成繊維の混合物を含む。結果として生じる紙タオルは、26.3g/gの吸収能力を有する。この紙タオルの結果として生じるHRC値は、0.56g/秒である。
【0091】
(実施例4):
紙タオルは、実施例2と同様の方法によるが、ユーカリの5重量%を長さ6mmの合成2成分ポリエステル繊維の5重量%で置換して作成される。本実施例のポリエステル繊維は、ファイバー・イノベーション・テクノロジー(Fiber Innovation Technology)からT−201という表記で市販される。40ppmのテックスケア(TexCare)(商標)SRN−240をユーカリ−合成繊維のパルプ混合物に加える。紙タオルは、約40g/mの坪量を有し、並びに一つの層に70重量%の北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft)と、他方の層に25重量%のユーカリ及び5重量%の6mm長さ合成繊維の混合物とを含む。結果として生じる紙タオルは、26.2g/gの吸収能力を有する。この紙タオルの結果として生じるHRC値は、0.57g/秒である。
【0092】
(実施例5):
親水化剤の使用の有無にかかわらず、北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft)、及びCoPET/PET(イソフタル酸コポリマー)繊維を使用する二つの異なる手抄き紙が用意され、以下に記載される液体の透過試験方法により決定される、これらの液体処理に対する影響が試験される。
【表3】

GCAS64011333、リスターモデル(Lister Model)2005、SN L5877
【表4】

【0093】
CoPET/PET繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City, TN)のファイバー・イノベーション・テクノロジー社(Fiber Innovation Technology, Inc.)から市販される。本実施例で使用されるCoPET/PET繊維は、ファイバー・イノベーション・テクノロジー(Fiber Innovation Technology)により、T−201として指定される。テックスケア(TexCare)SRN−240は、フランクフルトアムマイン(Frankfurt am Main)のクラリアント社(Clairant GmBH)、機能薬品部門(Division Functional Chemicals)から市販される。
【0094】
(実施例6):
使い捨て製品は、米国特許番号第3,860,003号、第4,632,207号、第4,695,278号、第4,704,115号、第4,795,454号、第4,900,317号、第4,909,803号(USRE34920として再発行された)、第5,085,654号、第5,492,751号、第6,476,288号、第6,627,787号、第5,507,760号、第5,609,587号、第5,635,191号、第5,643,588号、第6,118,041号、及びSIR H1630のいずれか一つに詳細が記載され、コアが以下に記載の一つと置換されているという例外のある、トレーニングパンツ又はおむつである。ポリプロピレンダスティング層(13gsm)から構成される本実施例の製品に含まれるコアは、大きさが約140mm×390mmである。ダスティング層は、好適な接着剤、例えば、HBフラー(HB Fuller)1358LOで中央下97mmに縦方向下に、追加量約5gで長さに沿ってコーティングされたスロットに組み込まれる。超吸収体物質、例えば、BASFのASAP600Zは、長さの4分の1毎に90mm幅である、矩形のダスティング層の長さに沿って、追加量約9.4gで、浮き上がる超吸収体物質のパターンがダスティング層上に配置されるように、印刷ロールによりコーティングされたダスティング層のスロットに置かれる。十分な量の例えば、マイクロファイバー接着剤、例えば、フラー(Fuller)のNW1151ZPは、物質を不動化するために、噴霧により継続的に超吸収体物質上に塗布される。実施例1〜4のいずれか一つの物質は、ダスティング層と同じ大きさに切断され、同じ好適な接着剤HL1358LOでコーティングされたスロットに組み込まれ、超吸収体でコーティングされたダスティング層の最上部に置かれる。このパッドは、吸収性コアを形成し、そして上記に記載のいずれか1つの吸収性物品に使用される。
【0095】
(実施例7):
使い捨て製品は、実施例6に記載される特許のいずれか一つに詳細に記載され、コアが以下に記載の一つと置換されているという例外のある、トレーニングパンツ又はおむつである。本実施例の製品に含まれるコアは、大きさが約140mm×390mmであるポリプロピレンダスティング層(13gsm)から構成される。ダスティング層は、好適な接着剤、例えば、HBフラー(HB Fuller)1358LOで長手方向で中央下97mmに、追加量約5gで長さに沿ってスロットコーティングされる。超吸収体物質の層は、印刷ロールにより、スロットコーティングされたダスティング層に適用される。超吸収体物質、例えばBASFのASAP600Zの第1の層は、長さの4分の1毎に90mm幅である、矩形のダスティング層の長さに沿って、追加量約2.2gで、浮き上がる超吸収体物質のパターンがダスティング層上に配置されるように、印刷ロールによりスロットコーティングされたダスティング層に適用される。十分な量の例えば、マイクロファイバー接着剤、例えば、フラー(Fuller)のNW1151ZPは、物質を不動化するために、噴霧により間欠的に超吸収体物質上に塗布される。ダスティング層と同じ大きさである超吸収体物質、例えば、BASFのASAP600Zの第2の層は、実施例1〜4のいずれか一つに記載されるような材料の一部に適用される。この材料は、コアカバーとしての機能を果たし、超吸収体物質の付着の前に、好適な接着剤でスロットコーティングされる。浮き上がった超吸収体物質のパターンは、長さの4分の1毎に90mm幅である、矩形のコアカバーの長さに沿って追加量約6.8gでコアカバー上に堆積される。超吸収体物質の総量は、約9.0gである。十分な量の例えば、マイクロファイバー接着剤、例えば、フラー(Fuller)のNW1151ZPは、物質を不動化するために、噴霧により継続的に超吸収体物質の第2の層の上に塗布される。このパッドは、吸収性コアを形成し、そして上記に記載のいずれか1つの吸収性物品に使用される。
【0096】
(実施例8):
使い捨て製品は、実施例6に記載される特許のいずれか一つに詳細に記載され、コアが以下に記載の一つと置換されているという例外のある、トレーニングパンツ又はおむつである。本実施例の製品に含まれるコアは、4分の1の1番目及び4番目で90mm幅であり、4分の1の2番目及び3番目では、80mm幅など、狭くなっている。ポリプロピレンダスティング層(13gsm)から構成される本実施例の製品に含まれるコアは、大きさが約125mm×390mmである。ダスティング層は、好適な接着剤、例えば、HBフラー(HB Fuller)1358LOで中央下97mmに縦方向下に、追加量約5gで長さに沿ってコーティングされたスロットに組み込まれる。超吸収体物質の層は、印刷ロールによりコーティングされたダスティング層のスロットに置かれる。超吸収体物質の第1の層、例えば、BASFのASAP600Zは、ダスティング層の長さに沿って、追加量約3.2gで、浮き上がる超吸収体物質のパターンがダスティング層上に配置されるように置かれる。十分な量の例えば、マイクロファイバー接着剤、例えば、フラー(Fuller)のNW1151ZPは、物質を不動化するために、噴霧により間欠的に超吸収体物質上に塗布される。ダスティング層と同じの大きさである超吸収体物質の第2の層、例えば、BASFのASAP600Zは、実施例1〜4のいずれか一つに記載されるような物質の一部に置かれれる。浮き上がった超吸収体物質のパターンは、追加量約9.3gで、コアカバーの長さに沿って、コアカバー上に堆積される。超吸収体物質の総量は、約12.5gである。十分な量の例えば、マイクロファイバー接着剤、例えば、フラー(Fuller)のNW1151ZPは、物質を不動化するために、噴霧により継続的に超吸収体物質の第2の層の上に塗布される。このパッドは、吸収性コアを形成し、そして上記に記載のいずれか1つの吸収性物品に使用される。
【0097】
水平全面シート(HFS)試験方法
水平全面シート(HFS)試験方法は、本発明の繊維構造体が吸収し、保持する蒸留水の量を決定する。この方法は、まず試験すべき繊維構造体の試料を秤量し(本明細書中では「試料の乾燥重量」と呼ぶ)、次いで、完全に試料を濡らし、濡れた試料を水平位置にて水切りし、その後再秤量する(本明細書中では「試料の湿潤重量」と呼ぶ)ことによって行われる。次いで、試料の吸収能力が、試料により吸収され、保持される水の量としてグラム単位で計算される。異なる繊維構造体の試料を評価する際、全ての試験される試料には、同じ大きさの繊維構造体が使用される。
【0098】
繊維構造体のHFS容量を決定するための装置は、以下を備える。
1)少なくとも±0.01gの感度及び最小容量1200gを有する電子天秤。この天秤を天秤台の上に置き、スラブを敷いて、床/ベンチトップ秤量の振動の影響を最小に抑えなければならない。また天秤は、試験される試料の大きさ(即ち、約27.9cm×27.9cm(11インチ×11インチ)繊維構造体の試料)を取り扱うことができる特殊な天秤皿を有するべきである。天秤皿は多様な材料から作成可能である。プレキシガラスは、一般的な使用材料である。
2)試料支持ラック及び試料支持カバーも必要である。支持ラック及び支持カバーは両方とも軽量金属フレームからなり、このフレームには0.305cm(0.012インチ)直径のモノフィラメントが張られ、1.27cm2(0.5平方インチ)の格子が形成されている。支持ラック及び支持カバーのサイズは、試料のサイズをその二つの間に都合よく配置できるようなものである。
【0099】
HFS試験は、23±1℃、相対湿度50±2%に維持した環境で行われる。水容器又は水槽には、深さ7.6cm(3インチ)まで23±1℃の蒸留水が充填されている。
【0100】
試験される繊維構造体の試料は、天秤上で慎重に0.01g単位で秤量される。試料の乾燥重量を0.01gの単位まで報告する。上述の特殊な天秤皿を備えた天秤の上に空の試料支持ラックを置く。次いで、天秤をゼロに合わせる(風袋を差し引く)。試料支持ラックの上に試料を注意深く置く。支持ラックカバーを支持ラックの上に置く。試料(この時、支持ラックとカバーの間に挟まれている)を水容器に沈める。試料を60秒間沈めた後、試料支持ラック及びカバーを容器から静かに引き上げる。
【0101】
試料を過度に揺らしたり、振ったりしないように注意しながら、試料、支持ラック及びカバーを120±5秒間水平に水切りする。試料の水切り中、ラックカバーを注意深く取り外し、全ての過剰水を支持ラックから拭き取る。予め計測された天秤で濡れた試料及び支持ラックを秤量する。0.01g単位で重量が記録される。これは、試料の湿潤重量である。
【0102】
試料のグラム当たりの繊維構造体試料の吸収能力は、(試料の湿潤重量−試料紙の乾燥重量)として定義される。水平吸収能力は、吸収能力=(試料の湿潤重量−試料の乾燥重量)/(試料の乾燥重量)として定義され、g/gの単位を有する。
【0103】
水平率容量(HRC)方法
水平率容量(HRC)は、2秒間に紙試料により吸収される水の量を測定する、吸収率試験である。値は、1秒間当たりの水のグラムで記録される。HRC測定を実行するために使用される機器は、ポンプ、圧力計、注入シャント、ロトメータ、容器、汚水槽、排出シャント、給水管、サンプルホルダー、試料、天秤、及びチューブを備える。機器は、キャベル(Cabell)等に発行され、開示は、HRC測定を実行するために使用される機器を示す目的で参照として本明細書に組み込まれる、米国特許番号第5,908,707号に例示される。
【0104】
この方法において、試料(直径7.6cm(3インチ)の打抜型を使用して切断する)を電子天秤にぶら下がるホルダーに水平に置く。ホルダーは、およそ17cm×17cm(7インチ×7インチ)の大きさの軽量フレームで構成され、フレームを通って糸でつながれた軽量ナイロン単一フィラメントを有し、1.27cm(0.5インチ)の正方形の格子を形成する。支持ラックを吊るすためのナイロン単一フィラメントは、直径0.175cm±0.0127cm(0.069±0.005インチ)(例えば、透明な0.9KG(2ポンド)テストのバークレートリレーンライン(Berkley Trilene Line))であるべきである。使用される電子天秤は、0.001g単位で測定可能であるべきである(例えば、サルトリオース(Sartorious)L420P+)。
【0105】
ホルダー内の試料は、給水管の上に集められる。給水は、23℃±1℃の蒸留水を含む、内径0.79cm(0.312インチ)を有する、プラスチックチューブである。供給チューブは、試験試料に対して静水頭部がゼロで流動体容器に接続される。給水管は、プラスチック(例えば、タイゴン(Tygon)RTM)チューブを使用して容器に接続される。サンプルホルダーのナイロン単一フィラメントの高さは、給水管の上部から0.32cm±0.04cm(0.125インチ±1/64インチ)上である。
【0106】
容器内の水位は、給水管の上部と同じ高さであるべきである。送水ポンプ(例えば、コール−パルマーマスターフレックス(Cole-Palmer Masterflex)7518−02)と#6409−15プラスチックチューブを使用し、送水ポンプ循環速度85〜93mL/秒で容器内の水を継続的に循環する。循環速度は、ステンレススチール弁及びフロートを有するロトメータチューブ(例えば、コール−パルマー(Cole-Palmer)N092−04)で測定される。ロトメータによるこの循環速度は、アシュクロフト(Ashcroft)グリセリン充填ゲージにより測定される、17.2±3.4kPa(2.5±0.5psi)の上部圧力を生成する。
【0107】
この測定を実行する前に、試料を23℃±1℃及び50±2%の相対湿度で2時間調湿する。またHRC試験は、これらの制御された環境状態で実行される。
【0108】
7.62cm(3インチ)の試料をサンプルホルダーにおき、吸収率測定を開始する。重量は、1秒間に1回、合計5秒間記録される。重量を平均する(本明細書では、「試料の平均乾燥重量」と称される)。次に、弁を通して分流することにより、循環水を0.5秒間試料給水に分流する。電子天秤の重量読み取りをモニタリングする。重量がゼロから上昇し始めると、ストップウォッチが始動する。2.0秒後に試料給水を循環ポンプの注入口に分流し、供給チューブ内の試料と水の接触を絶つ。
【0109】
弁で転換して分流を実行する。最小分流時間は、少なくとも5秒間である。11.0、12.0、13.0、14.0及び15.0秒の時点の試料及び吸収された水の重量を0.001g単位で記録する。5つの測定値を平均し、「試料の平均湿潤重量」として記録する。
【0110】
水がチューブから試料に吸収された結果としての試料の重量の増加を、吸収率の決定に使用する。この場合、率(1秒間当たりの水のグラム)は、
(試料の平均湿潤重量−試料の平均乾燥重量)/2秒間として計算される。
【0111】
タイミング、パルスシーケンス、及び電子重量測定は、コンピュータにより自動化することができることが当業者により理解される。
【0112】
液体透過性試験
オーストリアのレンチングAG(Lenzing AG)により製造されるリスター(Lister)型透過装置を使用して、液体の透過時間を測定する。試験手順は、10プライの濾紙からなる吸収パッド(エンピリカルマニュファクチャリング社(Empirical Manufacturing Co., Inc.)から入手可能なアールストローム(Ahlstrom)グレード989又は同等物)上に置かれる試験試料を用いる、標準WSP(世界戦略パートナー)70.7(05)に基づく。一般的な実験において、吸収パッドを変更せずに、1分間に試験液(0.9%食塩水溶液)を3回連続5mL流し出し、不織布試料に注ぎ、それぞれの透過時間を記録する。
【0113】
最初の流れ出しの透過時間の測定に加え、WSP方法に記載されるように、以下に記載の試験は、最初の流れ出しのみ測定するのではなく、その後の数回の流れ出し、特に第5回目の流れ出しを測定する。
【0114】
機器−リスター透過装置(Lister Strike-through Equipment)−(i)磁気弁で取り付けた漏斗:3、5(±0.25)秒間に25mLの排出速度、(ii)透過プレート:厚さ25mmのアクリルグラスで構成される。プレートの全重量は500gでなければならない。電極は非腐蝕性材料のものであるべきである。電極は、プレートの底部に切り込まれた断面の溝(4.0mm×7.0mm)にセットされ、急速に固まるエポキシ樹脂で固定される。図6、図7、及び図8は、電極210を含む透過プレート200を示す。図6は、透過プレート200の平面図であり、一方、図7は、図6の透過プレート200の9〜9に沿った断面図である。図8は、(iii)ベースプレート:およそ125mm×125mmの正方形のアクリルガラス、(iv)漏斗を支持するためのリングスタンド、(v)0.01秒まで測定する電子タイマー、(vi)容量SOmLのビュレット、及び(vii)コア濾紙アールストローム(Ahlstrom)グレード989又はその同等物(平均透過時間1.7秒+−0.3秒、寸法:10×10cm)である、図6の透過プレート200の10〜10に沿った断面斜視図である。
【0115】
手順:(1)必要な数だけ12.5cm×12.5cmのサンプルを、サンプルの端でのみサンプルに触るようにして注意深く切断する。(2)10プライのコア濾紙を取り、ベースプレート上の10プライの濾紙のセットの上に一つのサンプルをのせる。試料は、(吸収性物品に適用される場合)使用者の皮膚に面するように意図される不織布の側が最上部にくるように、濾紙の上に配置されるべきである。(3)試験片の中心の上に透過プレートの中心を合わせて、プレートをその上に置く。ビュレット及び漏斗をプレートの真上の中心に配置する。(4)電極がタイマーに接続されていることを確認し、タイマーのスイッチを入れて時計をゼロに合わせる。(5)ビュレットを食塩水溶液(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)で満たす。(6)漏斗の排出弁を閉じたままで、ビュレットから漏斗に5.0mLの液体(=1回の流れ出し)を流す。(7)漏斗の磁気弁を開け、5.0mLの液体を排出させる。液体の最初の流れが電気回路を完成させ、タイマーが開始する。タイマーは、液体がパッド内に浸透し、透過用プレートの電極のレベルより下に落ちたときに停止する。(8)電子タイマーに示されている時間を記録する。(9)60秒間待ち、工程(4)及び(6)から(9)を繰り返し、2度目、3度目及びそれに続く何度かの流れ出しを行い、それぞれの流れ出しは5mLの液体を含む。(例えば、漏斗に5mLを入れ、磁気弁を開く、など)1回目、2回目、及びそれに続くいずれの流れ出し時間を秒で記録する。
【0116】
親水化剤と合成繊維との結合の検出方法
様々な方法での合成繊維と親水化剤との結合のために、不織布繊維構造体を分析する場合がある。繊維構造体は、合成繊維及び天然繊維を含む場合がある、その構成部分に分離されてもよい。合成繊維及び天然繊維は、当業者に既知の好適な方法により、互いから分離されてもよい。
【0117】
合成繊維と親水化剤との結合を分析する方法は、ウィルヘルミー(Wilhelmy)天秤技術の利用を含んでもよい。そのような方法において、分析は、上記に記載されるように、繊維構造体から分離された合成繊維など、個々の繊維を垂直にのせ、繊維が水に浸かる位置の作用として、水力を測定して実施される。接触角は、抵抗力の退行データ及び繊維の直径から計算される。そのような方法の一実施例として、以下の表は、二つの手抄き紙から得られた繊維の平均接触角を例示する場合がある。提示される数は、各試料タイプに対して三つ作成したうちの、三つの繊維の平均である。二つの繊維タイプの平均接触角は、統計的に異なり、浸水化剤が試料Bの合成繊維と結合し、したがって、繊維を試料Aより親水性化したことを示す可能性がある。
【表5】

【0118】
試料A:北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft)約70%セルロース繊維及びCoPET/PET約30%繊維。
試料B:北部軟材クラフト(Northern Softwood Kraft)約70%セルロース繊維、及びCoPET/PET約30%繊維、並びにテックスケア(TexCare)(商標)SRN−240約40ppm。
【0119】
合成繊維と親水化剤との結合を分析するためのその他の方法は、記載されるような繊維の分離を含んでもよい。そしていずれの表面コーティング、要素、汚染物質などを合成繊維から除去し、「混じりけのない合成繊維」を得るために、合成繊維に溶媒抽出などの抽出プロセスを施す。溶媒抽出は、ポリエステルセグメントを含む親水化剤などの親水化剤の存在を決定するために、液体クロマトグラフィー、質量分析、統計的飛行時間型二次イオン質量分析などを含むが、これらに限定されない、当業者に既知の好適な方法のいずれかによって分析されてもよい。繊維構造体中に存在する実際の合成繊維及び実際の親水化剤を測定するために、合成繊維及び親水化剤を分析してもよい。合成繊維及び親水化剤両方の存在は、親水化剤と合成繊維との結合を特徴付ける。
【0120】
親水化剤と合成繊維との結合の耐久性の測定方法
合成繊維と親水化剤との結合の耐久性のために、合成繊維を分析する場合がある。結合の耐久性を測定するための方法は、合成繊維の湿潤性と関連する場合がある。合成繊維と接触する水など、液体の接触角の測定は、合成繊維と親水化剤との間の結合の耐久性の測定を提供する場合がある。湿潤性合成繊維は、合成繊維と親水化剤との結合を示す場合がある。複数回の洗浄後の合成繊維の湿潤性の実証は、合成繊維と親水化剤との結合の耐久性を示す場合がある。
【0121】
空流乾燥機約で約24時間、80℃で合成繊維を乾燥されてもよい。加工助剤の残留物を除去するために、合成繊維をビーカーに入れ、ゆっくりと撹拌しながら温水(約60℃)で2時間洗浄してもよい。水量に対する繊維の比率は、約1:200である。洗浄後、繊維を収集し、室温で一晩乾燥してもよい。合成繊維を、各グループが重量約36gの四つのグループに分離し、空気流の中に約10時間放置してもよい。それぞれ約5gの四つのアリコートを析出し、40ppmと400ppmなど、二つの可変レベルの親水化剤及び界面活性剤で処理してもよい。したがって、合成繊維の5gのアリコートの一つを、約40ppmの親水化剤に約10分間浸してもよい。合成繊維の5gの第2のアリコートを、約400ppmの親水化剤に約10分間浸してもよい。合成繊維の約5gの第3のアリコートを、約40ppmの界面活性剤に約10分間浸してもよい。合成繊維の約5gの第4のアリコートを、約400ppmの界面活性剤に約10分間浸してもよい。各処理グループの合成繊維と処理の比率は、5g:溶液100mLである。処理後に、合成繊維の四つのグループを室温で乾燥してもよい。乾燥後、合成繊維の四つのグループは、約45℃の蒸留水を2倍使用して、約10分間洗浄してもよい。
【0122】
合成繊維と親水化剤又は界面活性剤との結合を分析する方法は、ウィルヘルミー(Wilhelmy)天秤技術の利用を含んでもよい。そのような方法において、分析は、個々の繊維を垂直にのせ、繊維が水に浸かる位置の作用として、水力を測定して実施される。接触角は、抵抗力の退行データ及び繊維の直径から計算される。そのような方法の実施例として、以下の表は、上記の様々な処理及び洗浄工程を受けた合成繊維の平均接触角を例示する場合がある。提示される数は、各試料タイプに対して三つ作成したうちの、二つの繊維の平均である。
【表6】

【0123】
各試料に使用される合成繊維は、CoPET/PETの2成分繊維である。利用される親水化剤は、テックスケア(TexCare)(商標)SRN−240であり、利用される界面活性剤は、ダウケミカル社(Dow Chemical Company)から市販される、トリトン−X100(Triton-X 100)である。
【0124】
上記の表に示されるように、親水化剤で処理された合成繊維は、界面活性剤で処理した合成繊維の処理後の洗浄と比較し、より小さな接触角を示し、したがって、耐久性のある湿潤性を示す場合がある。
【0125】
持続的湿潤性
以下の方法で、不織布繊維構造体の持続的湿潤性を分析してもよい。繊維構造体の試料を吸収パッド上に置いてもよい。繊維構造体に試験液による複数回の損害を時限間隔で行ってもよい。液体の各損害は、透過と見なしてよい。そして、吸収パッドを交換することなく、透過時間が記録されてよい。
【0126】
一実施例において、不織布繊維構造体は、持続的湿潤性を呈し、繊維構造体を水(試験液)で複数回(少なくとも10回以上)に渡り飽和した後であっても、繊維構造体は、少なくとも約0.1g/秒、及び/又は少なくとも約0.2g/秒、及び/又は少なくとも約0.3g/秒、及び/又は少なくとも約0.4g/秒、及び/又は少なくとも約0.5g/秒のHRC値を呈する。
【0127】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、結合部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0128】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0129】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】吸収性コア及びコアカバーを包む吸収性のある、使い捨て製品の一部が切り取られた平面図。
【図2】図2の吸収性のある使い捨て製品の吸収性コアの別の一実施形態の2〜2に沿った部分断面図。
【図3】二量体親水化剤と合成繊維との結合の概念の想像を描写。
【図4】合成繊維は、非ランダムなパターンで分配される、本発明の繊維構造体の実施形態の概略平面図を描写。
【図5】合成繊維及び天然繊維は、繊維構造体の全体に渡り、ランダムに分配される、本発明の繊維構造体の実施形態の概略平面図を描写。
【図6】基材の液体の透過を測定するために使用され得る透過プレートの概略平面図。
【図7】図6の透過場所の、9〜9に沿った断面図。
【図8】図6の透過プレートの、10〜10に沿った断面斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の合成繊維を含む不織布繊維構造体を備える吸収性物品であって、
前記合成繊維のうちの一以上は、ポリマー及び親水化剤を含み、
前記ポリマー及び前記親水化剤は、耐久性のある結合を有する、吸収性物品。
【請求項2】
前記ポリマー及び前記親水化剤は、互いと結合する相補的セグメントを含む、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記相補的セグメントの少なくとも一つは、ポリエステルセグメントを含む、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記ポリエステルセグメントは、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記ポリマーの前記相補的セグメントは、ポリエステルセグメントを含み、
前記親水化剤の前記相補的セグメントは、ポリエステルセグメントを含む、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類、及び、それらの組み合わせから成る群より選択される物質を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記親水化剤は、ポリエステル、ポリ(エトキシレート)、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テレフタレート、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシエチレンテレフタレート、エトキシレートシロキサン、及び、それらの組み合わせから成る群より選択される物質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記親水化剤は、約1〜約15のエトキシル化ユニットを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記繊維構造体は、複数の天然繊維を更に含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記繊維構造体は、結合物質を更に含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記繊維構造体は、コアカバー、獲得層、ダスティング層、及び、それらの組み合わせから成る群より選択される前記物品の構成要素である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記繊維構造体は、コアカバーである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記合成繊維は、耐久性のある湿潤性を呈する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記合成繊維は、約72°未満の平均接触角を有し、
10分間の水洗後、前記平均接触角は、約72°より下に保たれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−532099(P2009−532099A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503034(P2009−503034)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/007939
【国際公開番号】WO2007/123702
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】