説明

同報無線自動起動装置における記録媒体の内蔵化

【目的】
全国瞬時警報システム(J−ALERT)は、同報無線自動起動装置と呼ばれる装置により、消防庁/気象庁からの電文を衛星受信設備を介し、同報無線設備全体を起動させるものである。本書における発明は、同報無線自動起動装置における設定内容の記録媒体を、本体に内蔵する。本発明は、同報無線自動起動装置に関し、保守作業の簡素化と誤動作・外部衝撃による動作不良の低減を目的とする。
【構成】
設定情報を記録する媒体であるCFカードにおいて、その媒体を本体内に内蔵することを特徴とした同報無線自動装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル防災無線設備における作業・保守の効率化、および誤動作や外部衝撃による動作不良の低減を図るものである。
【背景技術】
【0002】
本書における同報無線自動起動装置(以下、自動起動装置と記す)とは、全国瞬時警報システムであるJ−ALERTの衛星受信設備と同報無線設備の間に設置され、衛星受信設備の解析装置から受信した電文に従って、起動、警報音声を通報するものである。
【0003】
図1に示す通り、警報音声を記録する媒体にCFカード12を用い、通常はそれを同報無線自動起動装置10のCFカードスロット11に挿して使用する。なお、CFカードには警報音声の他、設置する市町村のコード番号や、流す音声の起動条件など(以下「設定情報」と記す)を記録しておくが、これらの書き換えは全てCFカードリーダー13を介してパソコン14(以下「保守用PC」と記す)を用いる。
【0004】
例えば特許文献1では、保守用PCへのインターフェースとしてUSB接続を用いて、処理履歴を保存する手段が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−171380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、自動起動装置の保守の際、CFカードを抜く必要がある。基本的に、自動起動装置の電源が切れていない状態でCFカードを抜くと、装置側では動作異常と判別される。そのため、保守の際は自動起動装置の電源を一度切る必要がある。さらに、CFカードの挿入口は装置の表側に搭載されるため、誤ってCFカードが抜かれる可能性もある。
【0007】
また、前記特許文献1による方法は、記録装置はあくまでも外部に存在するものであって、記録するための中間媒体が必要であることには変わりはない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、記録媒体をCFカードから、フラッシュメモリへ変え、またそれを本体へ内蔵する。さらに本体へUSBポートを設ける事により、保守用PCから専用のケーブルを使い保守を行えるようにしたものである。
【0009】
また本発明は、設定情報を記録する媒体であるCFカードにおいて、媒体を自動起動装置本体へ内蔵する事を特徴とする。なお、記録媒体として用いるものは耐久性面を考慮すると、HDDよりも、Flash
SSD(シリコンディスク)が適する。また、その設定情報の書き換えをカードリーダーに代わり、USBポートを介して行い、多くの保守用PCとの互換性、汎用性を拡張する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、記録媒体が内蔵されることにより、本体外部より誤って記録媒体に触れる、あるいは外してしまう事による動作障害を防止する事が可能である。さらには、記録媒体を取り外し、カードリーダー等の装置を介する手間がないため、作業効率の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の技術であり、自動起動装置中にCFカードスロットが存在している事を示唆している。
【図2】新規の技術であり、自動起動装置の本体中にCFカードの代替媒体であるフラッシュメモリを内蔵し、そのフラッシュメモリの制御をするため、USBポートを設けている。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
添付図面は同報無線システムの中より、本発明の対象である自動起動装置と保守用PCの部分のみを簡素な図として挙げ、改良部分が比較できる状態としている。図2に、新規技術の実施例を示す。本図は、同報無線システムの一部であり、新規技術の対象となる同報無線自動起動装置10と保守用PC14の部分のみを記載している。
【0013】
新規技術は、前述の装置をUSBポート22を介してUSBケーブルで接続し、保守用PC14から同報無線自動起動装置10の内蔵メモリ21に記録されている内容の書き換えを行うことが出来る。なお、内蔵メモリにはハードディスク(以下、HDDと記す)ではなく、フラッシュメモリを搭載する。
【0014】
同報無線自動起動装置10は、固定系の設備であるため、通常時には衝撃や振動等の外的要因は少ないものの、緊急災害時に機能しなければならない装置であることから、外部からの衝撃に充分に耐える状態でなければならない。また、本設備は、緊急災害時の本動作をせずとも、大方の場合は待機画面である事が常である。
【0015】
以上の事から、内蔵の記録媒体は、省電力、耐衝撃性、高速なアクセスに優れているフラッシュメモリを用いる。
【0016】
一方、フラッシュメモリは容量単価の面ではHDDに劣るが、記録すべき内容は大容量を有するものではないため、現状であれば数MB単位の記録容量でもシステムの動作には問題はないと考えられる。

【符号の説明】
【0017】
10…同報無線自動起動装置、 11…CFカードスロット、
12…CFカード、 13…CFカードリーダー、
14…保守用PC、
21…内蔵メモリ、 22…USBポート。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定情報を記録する媒体であるCFカードにおいて、その媒体を本体内に内蔵することを特徴とする同報無線自動装置。
【請求項2】
設定情報の書き換えがカードリーダーを介する事において、その書換えを、本体へ取り付けたUSBポートを介して行うことを特徴とする、請求項1に記載の同報無線自動装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−164257(P2012−164257A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25775(P2011−25775)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】