説明

同時無侵襲的に得られた信号の相関

【課題】 本願発明は、被分析物濃度の測定、そして特に、人体組織中におけるブドウ糖濃度の測定における無侵襲分析を実行するための高精度かつ信頼性のあるコンパクトで強い低価格の無侵襲測定装置を供することを目的とする。
【解決手段】 生体組織の血中ブドウ糖濃度のような目標対象物の属性を測定するのに適した無侵襲画像生成および分析システムは、探査および光プローブ放射線を与える光学処理システムを含んでいる。システムはまた、光プローブ放射線を分析されるべき目標対象物に適用し、探査および参照放射線を干渉分光学的に結合せしめ、同時干渉信号を検出し、検出した信号を予め記憶された電気的データと相関させることによって目標対象物の属性を決定するための手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に関するクロスリファレンス]
本出願(ケースNo.JH051021PT)は、2005年10月19日付けで出願された「同時的かつ無侵襲的に得られた信号の相関をとる方法」という表題の米国特許出願(ケースNo.JH051019US)と対をなすものであり、2004年10月23日付けで出願された「パラレル三次元分析システム」という表題の米国仮特許出願No.60/621,366に基づく優先権主張を伴っている。本出願はまた、2004年10月23日付けで出願された「金属パラレル深度分析システム」という表題の米国仮特許出願No.60/621,417に基づく優先権主張を伴っている。
【0002】
本出願は、2004年12月29日付けで出願された「マルチレファレンス無侵襲分析システム」という表題の米国仮特許出願No.11/025,698および2005年8月18日付けで出願された同一の表題のそれに関係するPCT出願(ケースNo.JH050818PT1)に関連しており、これらの出願の内容を参考文献としてこの出願に組み込む。本願出願はまた、2005年1月31日付けで出願された「周波数分解イメーシングシステム」という表題の米国特許出願No.11/048,694および2005年8月18日付けで出願された同一の表題のそれに関係するPCT出願(ケースNo.JH050818PT2)に関連しており、これらの出願の内容もまた参考文献として本出願に組み込む。本出願は、2004年6月17日付けで出願された「無侵襲分析システム」という表題の特許出願No.10/870,121に関連しており、この出願の内容もまた参考文献として本出願に組み込む。本出願はまた、2004年6月17日付けで出願された「リアルタイムイメージングおよび分析システム」という表題の特許出願No.10/870,120に関連しており、この出願の内容もまた参考文献として本出願に組み込む。
【0003】
本出願は、一般に無侵襲分析に関係し、とりわけ、生体組織、器官および歯材のような生物医学的目標対象物の光学的な無侵襲分析に関するものである。本出願はまた、非破壊欠陥分析および書類が真正であることの証明に関するものである。
【背景技術】
【0004】
本発明の目的に関して、非破壊分析を含む無侵襲分析は、分析される系に損傷を与えるような望ましくない副次的な悪影響を生じさせずに、系または目標対象物に関する情報を獲得するための価値ある技術である。無侵襲分析は欠陥に関するアーチファクトの非破壊分析、紙幣のような書類が真正であることの証明、バイオメトリック分析および生体の生物医学的分析を含む広範囲のアプリケーションを伴っている。人間の組織のような生体を分析する場合は、侵襲分析の望ましくない副次的な悪影響は、その侵襲プロセスに関係する痛みや不快感とともに感染症を引き起こすおそれを有している。
【0005】
糖尿病患者の血中ブドウ糖濃度の測定のような特定の場合において、頻繁にかつ正確にブドウ糖濃度を測定することにより、適当な処置法の欠如によって、腎臓病や、心臓疾患または心臓発作を含む生体組織に致命的な健康上の問題を引き起こし得るとき、糖尿病の適切な処置を行なうことが非常に望ましい。無侵襲的な処置方法は、痛みや感染症のおそれを回避し、頻繁なあるいは連続した検査の機会をもたらす。
【0006】
無侵襲分析システムは、幾つかの技術に基づいており、これまでに種々のものが提案されてきている。これらの技術は、照射および反射プロセスの両方を用いる赤外分光学、空間的に分解された拡散反射率、周波数ドメイン反射率、蛍光分光法、およびポラリメトリおよびラマン分光法を含んでいる。
【0007】
これらの技術は、環境の変化、種々の干渉する汚れの存在、皮膚の不均質性および分析位置の変動のような問題に起因して、不正確性を生じやすい。これらの技術はまた、典型的には、多様性分析を用いることによる要求される測定値のデコンボリューションのための膨大なプロセスを必要とし、典型的には、その精度および信頼性が十分ではない。
【0008】
糖尿病患者の血中ブドウ糖濃度と無侵襲的に測定された生体組織の光学散乱係数との間の相関が、例えば、Optics Letters,Vol.19,No.24,Des.15,1994pages2062-2064およびOptics Letters/,Vol.22,No.3/Februay.1,1997pages190-192に発表された論文中に明確に示されている。
【0009】
この相関関係は、光学的干渉断層計(OCT)を含めることによって無侵襲ブドウ糖モニタリングの基礎として提案されている。この提案された技術は、OCT信号の傾きと生体組織散乱係数との間の関係あるいはブドウ糖濃度の変化に伴う光路長の変化を測定することに依存している。このアプローチが、議事録SPIE,Vol,4263,pages83-90(2001)、Optics Letters/Vol.26,No.13,July1,2001,Phys.Med.48(2003)1371-1390および2004年4月20日付けで特許された米国特許第6,725,073号および1998年1月20付けで特許された米国特許第5,710,630号に記載されている。
【0010】
これらの文献に記載されたOCTアプローチは、広い帯域幅および短コヒーレント長のビームを出力する超発光ダイオード(SLD)を使用する。OCT分析はSLD出力ビームを探査ビームおよび参照ビーム(または主要光の第1の部分および第2の部分)に分離することを含む。探査ビームを生成する同一のSLDから導出された参照ビームのみが探査に関係なく光と結合せしめられたときに、干渉分光学的に意味のある信号が生じ得る。探査ビームが分析すべき系(目標対象物)に対して適用される。目標対象物から後方散乱された光は、参照ビームと結合せしめられて測定信号を形成する。
【0011】
短コヒーレント長のために、探査および参照ビームの全光路長が等しくなるように、目標対象物内のある深度から散乱された光のみが干渉分光学的に結合せしめられる。すなわち、干渉分光学的な信号は、目標対象物内の特定の深度における散乱測定値を与える。
【0012】
参照光路長を変化させることによって、特定の深度における散乱測定値が得られ、そして、深度の関数としての散乱値が測定される。深度の関数としての散乱信号のプロファイルはOCT信号と呼ばれ、信号の関数としての散乱信号の変化の傾斜、すなわち変化率はOCT信号の傾斜と呼ばれる。
【0013】
OCT信号の傾斜と散乱係数との間の正確な相関は、平均して、生体組織の全体にわたって均一な散乱が生じているとして、前提条件を単純化することに依存している。実際の生体組織中においては、散乱素子は細胞膜であり、非常に不均一な分布を示す。実際の装置においては、生体組織のゆがみおよび生体組織とモニタリング装置との間の相対運動がまた、OCT信号の傾斜と散乱係数との間の相関を壊す。
【0014】
OCTシステムにおいて、深度走査が相対光路長、すなちわち参照光路および探査光路の長さを変化させることによって実行される。相対光路長は、検流計または運動するコイルアクチュエータのような電気機械的な技術、高速走査光学遅延ラインまたは回転多角形によって変化せしめられる。これらの技術はいずれも運動する部分を含んでおり、走査速度が制限され、また、重要な位置合わせを必要とし、またS/N比に関係する問題を引き起こす。
【0015】
走査の継続中に生じる運動が正確な信号検出に重大な問題を引き起こし得る。もし、運動が走査継続中に生じると、その運動に関係するアーチファクトは検出された信号中の真の信号情報から区別されなくなり、運動に関係するノイズまたはOCT信号の傾斜の測定の不正確さを招く。より大きな信号差を生じさせ、または参照エリアを位置決めするために長時間にわたる物理的な走査がなされると、運動のアーチファクトがより重要性を増し、OCT信号の傾斜とブドウ糖濃度の間の相関に破壊的な悪影響を及ぼす。
【0016】
運動しない部分を用いるという解決法は、音響光学的な走査を含んでおり、これは高速で実施可能である。しかしながら、このような解決法は、非常に高くつき、装置が大がかりなものとなり、熱的な制御を必要とし、それに関連して、熱的S/N比に関する問題を生じさせてしまう。光ファイバに基づくOCTシステムはまた、圧電ファイバストレッチャを用いる。しかしながら、このシステムは、極回転に関係するS/N比の問題を生じさせ、また、物理的に非常に大がかりなものとなり、高価であり、高圧の電源制御システムを必要とする。
【0017】
ブドウ糖濃度を測定するためのOCTアプローチによれば、典型的にはSLD出力ビームが目標対象物の生体組織上に収束せしめられて、深度走査が実行され、ビーム走査機構が移動せしめられて、異なる位置での種々の深度走査がなされる。OCT信号はこれらの多数の走査について平均化され、平均化されたOCT信号の傾斜がブドウ糖濃度を決定するための用いられる。
【0018】
この多数の走査を行なうアプローチのシーケンシャルな特性は、さらに従来の低速走査機構において問題のあるモーション・アーチファクトに関係するノイズを増大させる。この問題に立ち向かうべく、多数のSLDを同時的に用いると、受け入れがたいコスト負担を招き、OCT信号の傾斜に関する運動の根本的な悪影響を解消することはできない。
【0019】
分析される生体組織中における、例えば、応力、または応力勾配、または温度変化、または温度勾配から生じる物理的な圧縮に起因する一時的な、または時間とともに生じる物理的な変化は、深度構造に一時的なゆがみを生じさせ、異なる深度走査位置毎に異なる構造があらわれる。このような一時的な変化は、OCT信号の傾斜に影響を及ぼし、異なる走査位置での走査毎に異なってしまう。
【0020】
さらに、生体組織中における散乱要素の不均一な分布が、深度走査において、並びに異なる位置での深度走査の間にOCT信号の傾斜を歪ませる(運動または一時的な破壊が生じないときでさえ)。この生体組織中における散乱要素の不均一な分布は、近似的なモデルにのみ基づくOCT信号の傾斜およびブドウ糖濃度の間の相関に破壊的な影響を及ぼす。これらの破壊的な影響は、OCT信号の傾斜およびブドウ糖濃度の間の相関関係を弱め、またはランダム化し、そして、信号をぼやけさせる。ノイズに対して弱いブドウ糖濃度測定を基礎としてOCT信号の傾斜が用いられ、あるいは光路長の測定がなされる。
【0021】
これらの特徴は、OCT信号の傾斜を用い、または光路長の測定を行なうことによってブドウ糖濃度をモニタリングするための従来のアプローチをもたらし、それは結果的に望ましくないS/N比の特性および十分に高精度で強くコンパクトな構成を伴う市場において入手可能な現実的な手段を提供することはできない。これらの問題のある特徴はまた、広範囲にわたるアプリケーションを目的としてOCT無侵襲分析を用いることを困難にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、被分析物濃度の測定、そして特に、人体組織中におけるブドウ糖濃度の測定における無侵襲分析を実行するための高精度かつ信頼性のあるコンパクトで強い低価格の無侵襲測定装置が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、無侵襲分析のための方法、装置およびシステムに関する。本発明は、人体生体組織中のブドウ糖濃度を含む目標対象物中の特定の成分または被分析物の濃度のような目標対象物の属性を決定するのに適している。本発明は、光プローブ放射線および参照放射線を与える光源、並びに光学処理システムを有している。本発明はまた、光プローブ放射線を分析される目標対象物に適用し、探査および参照放射線を干渉分光学的に再結合することによって検出され予め記憶された電子データと相関をとられる同時的干渉分光学的信号を生成して、目標対象物の属性を決定するための手段を有している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による無侵襲分析システムを示す図である。
【図2】無侵襲分析システムのより詳細な図である。
【図3A】マルチセグメント検出器、マスク、およびマイクロレンズアレイを示す図である。
【図3B】マルチセグメント検出器、マスク、およびマイクロレンズアレイを示す図である。
【図3C】マルチセグメント検出器、マスク、およびマイクロレンズアレイを示す図である。
【図3D】マルチセグメント検出器、マスク、およびマイクロレンズアレイを示す図である。
【図4A】環境センサとともにハウジング内に取り付けられた走査ミラーを示す図である。
【図4B】環境センサとともにハウジング内に取り付けられた走査ミラーを示す図である。
【図5】デジタル化および多重化モジュール、並びにデータバンクメモリを示す図である。
【図6】無侵襲分析システムの別の実施例を示す図である。
【図7】4つの反射素子を備えた複合反射系を示す図である。
【図8A】異なる深度領域をもって反射素子を示す図である。
【図8B】異なる深度領域をもって反射素子を示す図である。
【図8C】異なる深度領域をもって反射素子を示す図である。
【図9】システムの光学的特徴の別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
光学的干渉断層法は、広帯域の光源からの出力を光プローブ放射線および参照放射線に分離し、参照放射線の光路長を変化させることによつて生体組織のような目標対象物の深度走査を実行し、その深度走査のOCT信号を生成することに基づいた無侵襲分析技術である。OCTを用いて血中ブドウ糖を分析する特定のアプリケーションにおいては、光路長の変化が複数の深度において順次測定され、あるいは複数の深度走査のOCT信号の傾斜が平均化されることによって生体組織(目標対象物)中のブドウ糖濃度が決定される。
【0026】
このアプローチは、モーション・アーチファクト、一時的な物理的変動を含む問題に関連する制限を有しているが、いずれにおいても近似的なモデルに基づくものである。本発明の目的に関して、モーション・アーチファクトは光学的分析系および目標対象物間の相対運動、そしてまた、目標対象物の種々の構成要素間の相対運動の干渉またはぼやけの影響を含んでいる。
【0027】
別の無侵襲光学的分析アプローチは、これらの問題および制限に立ち向かうものであるが、分析すべき生体組織に対して放射線を適用することを含んでいる。そして、このアプローチによれば、目標対象物中の複数の深度からの複数の干渉信号が同時的に検出され、それによって、モーション・アーチファクトが回避され、検出された空間的に分解された干渉信号が規格化されることによって一時的な物理的特性並びに信号レベルの変動が補正され、この規格化された検出された空間的に分解された干渉信号がデータバンクに予め記憶されたデータと相関をとられることによって相関データが生成され、そして、この相関データが処理されることによってブドウ糖濃度が決定される。
【0028】
この新規なアプローチの長所は、干渉信号の完全な組を同時的に獲得し、運動に関係する問題を回避し、そして、光路長の変化またはOCT信号の傾斜を測定するというよりもむしろ干渉信号データの組を予め記憶されたデータの組と相関させ、そして、目標対象物の単純化されたモデルを想定することにある。干渉信号はブドウ糖濃度によって変更せしめられる生体組織(目標対象物)の特性あるいは属性を示す。データの組(またはデータのマップ)を参照データの組(またはデータの基準マップ)と相関させることは単純な前提条件を設定すること、または近似的なモデルを用いることを必要としない。
【0029】
データの組をデータの基準マップと相関させることは、散乱要素の不均一な分布を前提とせず、現実の生体組織のより正確な表現を可能とする。一般に、データの組を基準マップと相関させることは、干渉信号を生じさせるメカニズムの正確な理解または記述を必要としない。理想的には、干渉信号に干渉する別の因子が環境センサを用いることによって補正され、決定されるべき目標対象物の属性は、これらの干渉信号に支配的な影響を及ぼす。
【0030】
この出願の目的に関して、同時信号は瞬間的な信号、およびモーション・アーチファクトに関して高速で生じる信号を含んでおり、それによって、このような信号をモーション・アーチファクトの影響を受けない。本出願の目的に関して、環境センサは干渉信号に影響を及ぼす因子を測定する任意のセンサからなっている。
【0031】
瞬間的にまたは高速度で、よって同時的に複数の深度から干渉信号を得るための技術が本出願中に組み込まれた前述の参考文献中に記載されている。これらの技術は、異なる深度に対応する干渉信号を瞬間的に生成して、異なる信号が異なる周波数成分をもち、それ故、電磁フィルタリングによって分離され得るようにし、さらに、異なる周波数でモードロック周波数を有する2つのモードロックレーザを用いることによって高速の電子的走査を実行することを含む。
【0032】
超発光ダイオード(SLD)またはレーザダイオードのような光源の出力レベルの向上によって、(低出力の収束した放射線よりむしろ)高帯域のコリメートされた光プローブ放射線を用いることができ、マルチセグメント検出器を用いるのに十分な後方散乱放射線を得ることができ、それによって、複数の空間的に分解された干渉信号を瞬間的に検出することができる。1つまたはそれ以上の光学的マスク、またはマイクロレンズアレイが使用され、それによって、個々のセグメントに対する干渉信号のオーバーラップが分離され、そして減じられる。これは複数の空間的に分散された干渉信号を同時的に得る機会をもたらす。
【0033】
種々の深度および複数の空間的に分解された目標対象物の位置からの同時的信号の組が複数の光プローブ放射線を生成するための広範囲に広がる放射線を用いることによって、あるいは単一の狭い光プローブ放射線を順次異なる空間的分解された位置へと移動させることによって得られる。一般に、このような単一の光プローブ放射線または複数の光プローブ放射線は、光プローブ放射線と総称される。信号が分析されるべき種々の深度が参照放射線の特性によって、またはタイミング信号によって決定される。
【0034】
理想的には、決定される種々の深度は、モニタされる生体組織中の対応する深度に、正確にかつ繰り返し対応する。実際の使用において、生体組織は、例えば、モニタを皮膚に適用するときの圧力によってゆがめられ得る。このようなゆがみは、ゆがみの影響を測定することによって補正される。例えば、応力を測定するためのひずみゲージを準備し、それらの測定値を用いることによってゆがみの影響を補正することができる。補正は、このようなゆがみを考慮するための名目深度を調節することによって達成される。
【0035】
また、理想的には、固定された強度の光プローブ放射線を用いることによって、種々の深度および空間的位置において同一の探査強度を正確にかつ繰り返し得ることができる。現実の使用において、皮膚表面における変化、光プローブ放射線の皮膚表面に対する法線方向の入射からのずれ、および圧力のようなゆがみの影響は、すべて、異なる深度および空間位置に達する現実の探査強度を変化させる。これらの変化の影響は、検出された種々の干渉信号の測定された強度を調節することによってそれらの影響を測定し、それに基づいて補正を行なうことによって補正される。
【0036】
補正を実行するための技術は、それに限定されないが、以下のとおりである。すなわち、1つの深度(例えば、皮膚表面)での強度を測定し、その測定値と予測値との間の差を用いて異なる深度に対する変更因子の組を導出し、1組の深度において平均強度を測定し、測定値と予測値との間の差を用いて異なる深度に対する変更因子の組を導出し、異なる空間位置における強度を同一の名目深度と比較することによって調節因子を導出することからなっている。
【0037】
一般に、これらの補正技術は、ここでは検出された空間的に分解された干渉信号の規格化と呼ばれる。規格化された信号強度の測定値の組は、生体組織の規格化された干渉信号マップを補正する。この干渉信号マップは、メモリに記憶されたデータバンクと相関をとられる。データバンクは、異なる深度および空間位置における異なる規格化された干渉信号に対応するブドウ糖濃度の基準マップ、または参照データの組を含んでいる。
【0038】
低コストのコンシューマデバイス中に意味のある個別のデータバンクを記憶させることは、フラッシュメモリのような記憶機構中においてすでに実際になされている。あるいは、データバンクはディスクに基づくメモリのようなリモートメモリに記憶され、そして例えば、無線携帯電話技術またはインターネットによる電子的処理システムとの通信を介して、そのような記憶が達成される。
【0039】
データバンク中に記憶された基準マップは、予め実行される校正プロセスにおいて生成され、それによって、実際のブドウ糖濃度が予め校正されたブドウ糖濃度測定システムによって正確に測定され、一方、(ブドウ糖濃度が知られる間に)装置が1つまたそれ以上の特定の組織部位に適用され、種々の深度および空間位置における干渉信号強度およびその影響が測定される。あるいは、基準マップは、測定データを意味のある時間にわたって処理することにより、校正データを生成する継続的な測定プロセスによって形成される。
【0040】
校正プロセスの間に、異なる干渉の影響の値がまた測定される。この干渉の影響(または環境センサデータ)に関係する補正因子が生成され、ブドウ糖濃度および補正因子が、例えば、干渉信号強度に関係するメモリアドレスに記憶される。フィギュア・オブ・メリットデータが記憶される。
【0041】
予め校正されたシステムは、それに限定されないが、従来のフィンガープリッキングシステム、またより複雑な専門的なレベルの侵襲または無侵襲システムのような直接的な血液分析法を含むシスデムを有している。これらの校正測定は、多数の異なるブドウ糖濃度において繰り返される。種々の適応アルゴリズムまたは学習アルゴリズムが使用されることによって記憶されたデータが新たな完全な信号測定と相関をとられるときに正確なブドウ糖濃度の測定値を与えることが補償される。
【0042】
測定されなかった付加的なブドウ糖濃度における強度が測定された濃度から内挿または外挿によって生成され得る。校正は相対的に短い時間にわたって完備された方法で実行され得る。この間に、ブドウ糖濃度は規則的に測定され、広範囲にわたって変動する。あるいは、校正は予め校正されたブドウ糖測定システムを間欠的に使用することによって拡張された時間にわたって実行される。この拡張された校正時間の間、校正されていない装置がモニタの傾向を検出するためにのみ使用さ得る。
【0043】
校正される装置の精度が性能指数を用いてモニタリングされ、検査され得る。性能指数は、校正される装置が信頼できるブドウ糖濃度の測定、またはモニタリング装置として独立して使用されるだけの十分な精度を有していること、すなわち、それが十分に校正されたことを表わし得る。同様にして、フィギュア・オブ・メリットは、再校正が必要であるかどうかも表わす。
【0044】
規格化され、検出された空間的に分化された干渉信号をデータバンクからの基準マップと相関させることはそれに限定されないが、データバンクを特定の空間位置における特定の深度に対応する、規格化され、検出された空間的に分解された干渉信号の強度の組合わせからなるアドレスにアドレス指定することを含み得る。選択されたアドレスからのデータ出力は、それに制限されないが、ブドウ糖濃度および重み付け因子のデータを含み得る基準マップデータからなっている。
【0045】
生成された基準マップデータは、処理されてブドウ糖濃度が決定される。または、一般に目標対象物の特性がデータバンに記憶された基準マップと相関をとられて目標対象物の属性が決定される。基準マップデータを処理することによって、被分析物濃度を決定することはそれに限定されないが、以下のことを含み得る。すなわち、基準マップデータから生じるすべてのブドウ糖濃度の重み付けされた平均値を計算し、許容されたブドウ糖濃度範囲の外側にあるマップ基準マップデータは除外し、さらに、基準マップデータから生じるブドウ糖濃度の減じられた組の重み付けされた平均値を再計算し、そして、複数回にわたってこれら全プロセスを繰り返した結果を平均化することを含んでいる。
【0046】
得られた基準マップデータはまた、処理されて、種々の測定間における補正の程度を表わす性能指数が得られる。この性能指数は、記憶され、一定の時間にわたってモニタリングされ、それによって、当初の校正が依然として有効であり、再校正を必要とするときを表すのに使用可能か否かの程度が測定される。校正が複数の組織部位において実行される場合、この性能指数はまた、望ましい部位を表わすため、または特定の組織部位が関係してはならないことを表わすために用いられ得る。
【0047】
そして、部位はそれに限定されないが、指紋、またはしみ、または皮膚の傷の縁または入れ墨のような人工的なマークを含む特性またはマークを検出することによって識別され得る。本出願の目的に関して、これらの特性は登録マークと呼ばれる。種々の技術が登録マークに正確に位置合わせされることを保証するため用いられる。例えば、マルチセグメント検出器または公知の電荷結合素子(CCD)検出器から導出された目標エリアの拡大されたイメージが、理想的に配置された他のイメージとともに、(液晶ディスプレイまたは薄膜技術に基づくディスプレイ(LLDまたはTFT)のような)ディスプレイ上に表示され、手動によるモニタの位置決めをアシストする。
【0048】
イメージ間の異なる情報がまた、モニタを自動的に位置決めするために用いられ得る。ひずみゲージおよび/またはマルチセグメント検出器からの情報が、モニタの傾斜角を調節して実質上皮膚表面に対して垂直な放射線が得られるようにするために用いられる。一組の点滅する発光ダイオード(LED)のような、別の位置および向き表示手段が用いられ得る。例えば、LEDがモニタの縁に配置され、点滅周波数が動かすべき方向を表示し、また、LEDの発光強度が垂線に関する現在の傾斜角を表示し得る。
【0049】
位置決めされたイメージを生成するための放射線は、生体組織のブドウ糖濃度を分析するために使用されるものと同一であってよい。あるいは、LEDのような別の光源からの放射線であってもよい。2つの放射源の間の干渉は、この両方の放射源を位相をずらせてパルス的に発光させることによって防ぐことができる。分析放射線のパルス照射がまた、背景放射線からの干渉を抑制するため用いられる。分析放射線のパルス照射はまた、より高いピーク出力を生成し、それによって、改善されたS/N比をもたらし、それによって、より正確なブドウ糖濃度測定に導くより正確な散乱係数の測定をもたらす。
【0050】
本発明の好ましい実施例が図1に説明される。この実施例では、無侵襲分析システムが開示される。以下の説明は、本発明の特定のブドウ糖濃度モニタリングのアプリケーションに関係している。しかし、本発明は、広範囲のアプリケーションを伴っている。一般に、本発明は、目標対象物の属性を決定するための方法、装置およびシステムである。ブドウ糖濃度測定のアプリケーションにおいて目標対象物は生体組織であり、決定される属性はブドウ糖濃度である。
【0051】
好ましい実施例において、光学処理システム101は光プローブ放射線102を生成し、この光プローブ放射線102の一部が目標対象物103に適用され、そして、後方散乱放射線が生成される。後方散乱X線は光学処理システムにおいて干渉分光学的に分析され、得られた干渉信号が光電検出器によって検出される。好ましい実施例において、光プローブ放射線は広範囲に広がる放射線であり、検出器はマルチセグメント検出器からなっている。得られた電子的信号104は電子的処理システム105に送られる。
【0052】
電子的処理システム105はまた、コントロールシステム107からタイミング信号106を受信する。コントロールシステム107は電子的な制御信号108および変調信号109を用いることによって光源および光学処理システム101内の複数の変調反射素子を制御する。電子的処理システム105はまた、電子的環境センサ信号111を用いることによって環境センサ110からデータを受信する。環境センサ110は、表面圧、血圧および体温を測定する機能を有している。
【0053】
電子的処理システム105はまた、フラッシュメモリまたはディスクメモリのようなデータバンクメモリ112から予め記憶されたデータを検索する。データバングメモリ112はセンサの検出値の変動を補正するためのデータ並びに検出された干渉信号およびセンサの検出信号の種々の組合わせに対応するブドウ糖濃度データの基準マップを含んでいる。電子的処理システム105は、従来のアドレス/データバスからなるアドレス/データバス113によって、またはリモートデータバンクの場合には、例えば、無線携帯電話技術によってデータバンクメモリ112と通信する。
【0054】
電子的処理システム105はまた、検出された信号およびセンサの測定値を処理することによって、光学処理システム101を目標対象物上の登録マークに対して位置合わせする。これは、電子的位置合わせデータ114をコントロールシステム107に与え、そして、コントロールシステム107がこのデータを用いて光学処理システム101を登録マークに対して位置合わせする位置合わせ制御信号115を生成するようにすることによって達成され得る。
【0055】
電子的処理システム105は、検出された干渉信号104、干渉センサ信号111、およびデータバングメモリ112からのデータを処理することによって、位置合せされた目標対象物のブドウ糖濃度を計算する。この処理は、位置合わせのための調節とともに繰り返し実行される。また、別の位置合わせが、位置合せエラーを測定し、マルチセグメント検出器の空間的な強度分布をサイドマッピングすることによって電気的に実行され得る。
【0056】
この別の位置合わせのためのアプローチは、多数の検出セグメントを備えたマルチセグメント検出器を用いて最適化され得る。処理が、アナログドメインまたはデジタルドメインまたはそれらの組合わせにおいて生じ得る。例えば、検出された干渉信号は規格化されて、アナログドメインにおける強度変化、そしてさらに、デジタル化された規格化信号の強度変化を生じさせ、それに続いて、デジタルドメインにおける環境センサ信号(または情報またはデータ)を変化させる。
【0057】
アナログおよびデジタル処理の多数の組合わせが可能である。本出願の目的に関し、干渉信号または環境信号のような用語を使用するとき、「信号」、「情報」および「データ」という用語は、相互に交換可能である。また、信号または情報の規格化は、空間的な分解の前または後において実行され得る。あるいは、空間的な分解の前にその一部が、空間的な分解の後に残りの部分が実行される。
【0058】
電子的処理システム105は、位置合わせ検出干渉信号104、環境センサ信号111、およびデータバンクメモリ112からのデータを繰り返し処理し、周波数インターバル毎の目標対象物のブドウ糖濃度を計算する。人体の変化する状況に関するブドウ糖濃度の応答時間は、典型的には、数分または10分のオーダである。数分または10分のオーダの時間間隔毎のブドウ糖濃度の計算または測定またはモニタリングは、ブドウ糖濃度の連続的なモニタリングを効果的に校正する。
【0059】
好ましい実施例が図2により詳細に説明されている。SLD、LEDまたはモードロックレーザのような光源201は、光学レンズ203(または光学レンズ系)によって広範囲に広がる放射線となるようにコリメートされる。コリメートされた広範囲に広がる放射線204は、ビームスプリッタ205によって方向選定され、そして、光プローブ放射線を形成するコリメートされた広範囲に広がる放射線206の第1の部分が光学走査ミラー208によって目標対象物207に適用される。目標対象物内に後方散乱放射線が生成される。
【0060】
広範囲に広がる放射線204の第2の部分209は、第1のビームスプリッタ205によって部分反射ミラー210に向けられる。部分反射ミラー210は、一部に反射面211を備え、残りの部分に反射を妨げるコーティング面212を備えており、そして、そこから伝送された部分が変調反射素子214に適用される。部分反射面211および変調反射素子214の組合わせは、後方散乱放射線と組み合わされたときに、目標対象物の異なる深度に対応する複数の干渉信号を生成する複合参照放射線を生成する。
【0061】
変調反射素子214の変調周波数は制御信号212によって制御される。本出願に組み込まれた参考文献中に記載されているように、複数の干渉信号は異なる周波数成分を有していて、異なる深度に対応する信号を電子的フィルタリングによって分離可能とし、異なる深度からの情報を同時的に与えるので、運動の影響をほとんど受けない。複数の深度間の相対的な光路長が、部分反射面211および変調反射素子214の間の距離によって決定される。
【0062】
変調された参照放射線は、第1のビームスプリッタ205(ビーム結合器としてもまた機能する)に向けられ、そしてそこで、目標対象物中において生成された後方散乱放射線の一部と結合せしめられ、光電子検出器217によって検出される同時環境信号の組を形成する。光電子検出器は、図3に示されるようなマルチセグメント検出器であり、空間的に分解された干渉信号を検出する。
【0063】
マルチセグメント検出器からの出力信号、すなわち空間的に分解された干渉信号229は、処理システム218に送られる。コントロールシステム219は、信号221および215によって光源201および変調反射素子214を制御する。コントロールシステム219はまた、処理システム218に対してタイミング信号220を供給し、このタイミング信号220によって、処理システムは、異なる深度式に対応する干渉信号に関係付けられた情報を分解することができる。
【0064】
この電子的フィルタリングは、異なる深度に対応し、マルチセグメント検出器によって検出された干渉信号(または複合干渉信号)のそれぞれから引き出される情報を空間的に分解し得る。
【0065】
処理システム218はまた、目標対象物の表面に配置されたひずみゲージおよび温度センサのようなセンサ222から環境信号231を受信する。環境信号は深度補正データを与え、この深度補正データによって環境因子の影響に対する補正のために名目深度信号が調節され得る。
【0066】
これは、深度補正データを、名目深度位置データ、および公知のアドレス/データバイス224によってメモリデータバンク223から予め記憶された深度補正データを検索するためのアドレスデータとしての空間位置とともに用いることによって達成される。検索された深度補正データは、サンプルタイミング信号を変化させるため、または測定された干渉信号強度またはそれら両方の組合わせを補正するために用いるられる。
【0067】
処理システム218はまた、検出された空間的に分解された干渉信号の強度を補正する。強度補正は、生体組織の表面上またはその近傍のようなブドウ糖(または被分析物)の濃度によって影響を受けない深度における測定された干渉信号強度を比較し、深度位置データ、およびメモリデータバンク223から予め記憶された強度補正データを検索するためのアドレスデータとしての空間位置とともに使用される強度補正データを生成することによって達成され得る。
【0068】
処理システム218は、強度補正データおよび深度補正データを、検出された空間的に分解された干渉信号の測定強度と結合させることによって、検出された空間的に分解された干渉信号を規格化する。規格化された、検出された空間的に分解された干渉信号の強度は、データバンクに記憶され、予め記憶されたブドウ糖濃度データの基準マップを含むデータと相関せしめられる。
【0069】
これは、規格化された、検出された空間的に分解された干渉信号強度データを深度データ、およびメモリデータバンク223から予め記憶された相関データ、または基準マップを検出するためのアドレスデータとしての空間位置を用いることによってなされる。補正データは、ブドウ糖濃度データおよび重み付け因子データを含んでいる。
【0070】
補正データは、処理されて、補正データから導出されるすべてのブドウ糖濃度の重み付けされた平均値を計算し、許容され得るブドウ糖濃度範囲を確立し、許容されたブドウ糖濃度の範囲外にあるブドウ糖濃度を除外し、そして、ブドウ糖濃度の減じられた組の重み付けされた平均値を再計算することによって、生体組織(目標対象物)のブドウ糖濃度(属性)を決定する。
【0071】
補正データがまた、処理され、探査信号が皮膚表面上の位置的特性またはマークに対して位置合わせされる。これは皮膚表面に関係付けられたマルチセグメント検出器からの干渉信号の空間的相関を分析し、コントロールシステム219に送られる位置合わせ情報225を生成することによって実行され得る。
【0072】
コントロールシステムは位置合わせ信号226を生成する。位置合わせ信号226は、光学処理システム227を電気機械的手段のような公知の手段によってフレーム228に対して動かすために用いられる。光学光プローブ放射線を目標対象物の登録マークに対して移動させるめの種々の方法が、本出願に参考文献として組み込まれた特許出願に開示されている。
【0073】
干渉信号の完全な検出および処理が複数回にわたって繰り返され、平均ブドウ糖濃度が計算される。必要な場合、再度の位置合わせが処理の間に実行され得る。処理の完全な一周期の繰り返しは、連続的なブドウ糖濃度のモニタリングを校正する。
【0074】
図3Aには、クォドラント光電子検出器(光学的データ記憶装置において一般に用いられているのと同様の構造を有する)からなるマルチセグメント検出器が記載されている。この検出器は、典型的に、円形の光プローブ放射線からの後方散乱放射線に集中せしめられる。そのうちの1つが番号301で表わされるセグメントはそれぞれ、後方散乱信号から生ずる干渉信号の1/4の量に等しく応答する。この場合、各セグメントは等しい面積を有し、後方散乱放射線に対し空間的に対称となるように配置されている。
【0075】
図3Bは、すべてが同じ面積を有してるわけではない、多数のセグメントを備えた検出器の一例が示してある。詳細な構造は、例えば、セグメントの面積を光プローブ放射線のエネルギプロファイルに一致させること、または外部セグメントを登録マークの特性に一致させることによって最適化され得る。図3Cには、従来のN×M検出器アレイ(例えば、4×4)が示してある。このようなアレイは、増大する光源出力に適合する多数個のエレメントによって形成される。多数個のアレイによって、複数の検出器セグメントの出力は、互いにグループ化され、それによって検出器セグメントの有効面積が増大する。
【0076】
このグループ化は、光学処理システムを登録マークに関係する処理情報に応答して位置合わせする方法として、ダイナミックになされ得る。この位置合わせのアプローチは、光学処理の物理的な再位置決めを必要としないが、物理的な再位置決めと組合わせることはもちろん可能である。例えば、ダイナミックなグループ化は、再位置合わせの間に、標準的なグループ化とコンパチブルな位置合わせを実現する位置合せによって用いられ得る。
【0077】
図3Dには、そのうちの1つが番号302によって表わされた、ボールアレイからなるマスクが示されている。マスクは、不透明な材料によって周囲を取り込まれており、図3Cの検出器アレイとともに使用するのに適している。1つまたはそれ以上のマスクが、異なる検出器セグメント間の信号の干渉または重畳を減じるために用いられ得る。図3Dはまた、そのうちの1つが番号302によって示されるマイクロレンズアレイを示したものである。
【0078】
このようなマイクロレンズアレイは、放射線をマルチセグメント検出器上に収束させるのに適している。長いラーレーレンジを有する類似のマイクロレンズアレイは、放射線を目標対象物中に収束させるのに適している。別のマスクおよびマイクロレンズアレイの構造は、異なる面積をもつ複数のホールまたはレンズを有していて、光学的放射線の外側部分に対してより大きな直径のホールまたはレンズを用いることにより、光学的出力を均一化することを助ける。
【0079】
図4は、光プローブ放射線401をビーム・ステアリング・ミラー403(図2の208)にによって目標対象物402に適用するための構成を示したものである。光プローブ放射線401は、剛体のハウジング404内の(透明な位相からなる)アパーチャを通って目標対象物402に向けられる。ハウジング404の下側から見たとき、目標対象物に対して直接物理的に接触した状態にあるが、それを図4Dに示した。
【0080】
図4Bにおいて、光プローブ放射線405は、ハウジング中央のアパーチャに集中せしめられている。ハウジング406の図示された下面(変形可能である)は、埋め込まれたゆがみゲージを有し、このゲージは、その1つが407で表されるが、接着された金属製の応力ゲージまたは半導体緩圧分散ゆがみゲージのようなゲージからなっている。ハウジング406はまた、温度センサ408のような環境センサを含み得る。温度センサ408は、アパーチャのまわりに配置されたリングに熱的に接触した状態にあり、目標対象物に対しても接触している。環境センサの電気的出力は、図1の電子処理システム105によって利用される。
【0081】
図1の電子処理システム105が種々の電気信号を処理できるようにする構成が図5に示されている。図5において、データバンク501は、256メガバイトのオーダの記憶容量を有するフラッシュメモリのようなメモリ中に記憶される。モード制御データ502が、アナログ/デジタル変換器(A/D変換器)およびマルチプレクサを含むモジュールによって特定の環境信号503または干渉信号504を選別するために用いられる。このA/Dマルチプレクサモジール505は、データバンクメモリ501をアドレス指定するために、モードデータ502に結合せしめられるアドレスデータ506のような選択された信号をデジタル化して使用可能にする。
【0082】
データバンクメモリの出力データ507は、電子処理システム105(図1参照)が使用できるように処理される。出力データ507は、モードデータ502およびアドレスデータ506に関係する対応する信号に依存する補正データまたはブドウ糖濃度からなっている。モード選択データは、最上位ビットまたは最下位ビットの間の選択をすることによって、8または16ビットよりも高い精度を許容することを含んでいる。
【0083】
出力データ507のデータバスは双方向のデータバスであり、決定されるブドウ糖濃度、環境条件、およびブドウ糖濃度決定に関する測定時間、およびフィギュア・オブ・メリットの情報がデータバンクメモリに記憶されて、将来の分析およびの利用のために用いられ得る。上述の補正および処理技術によって決定された現在のブドウ糖濃度がディスプレ
イ表示され、警告をトリガするために使用され、または例えば、リモートモニタリングまたはデータ・ログのために無線技術によって送信される。
【0084】
別の実施例が図6に示されている。この実施例によれば、SLD、LEDまたはモードロックレーザのような光源601は、光学レンズ603(または光学レンズ系)によって広範囲に広がる放射としてコリメートされた放射線602を生成する。コリメートされた広範囲に広がる放射線604は、第1ビームスプリッタ605によって選定され、そして、コリメートされた広範囲に広がる放射線606の第1の部分が光学ステアリング・ミラー608によって目標対象物607に適用されて、目標対象物に中における後方散乱放射線を生成する。
【0085】
広範囲にわたって広がる放射線604の第2の部分は、第1ビームスプリッタ605によって第2のビームスプリッタ630に向けられ、そしてそこで、第1および第2の参照放射線に分離される。第1の参照放射線610は変調反射素子611によって反射せしめられる。変調反射素子611の変調周波数は、制御信号612によって制御される。第2の参照放射線613は変調反射素子614によって反射せしめられる。変調反射素子614の変調周波数は制御信号615によって制御される。変調反射素子611および614は(ここに組み込まれた参照文献に記載されているように)位相変調を行い、または圧電素子によって変調が行なわれる。
【0086】
第1および第2の参照放射線610および613の相対光路長が関係する干渉信号が、対応する目標対象物内の深度差を決定する。変調制御信号612、615は異なる周波数成分を有し、関係する干渉信号が電子的フィルタリングによって分離され得るようする。
【0087】
変調され反射された第1および第2の参照放射線が、ビームスプリッタ630(ビーム結合器としても機能する)内において再結合される。再結合された参照放射線609は第1ビームスプリッタ605(ビーム結合器としても機能する)に向けられ、そしてそこで、目標対象物中において生成された後方散乱放射線の一部と結合せしめられ、目標対象物中の2つの深度から干渉分光学的情報を含む複合干渉信号616を生成する。
【0088】
複合干渉信号616は光電子検出器617によって検出され、光電子検出器617は図3に示されたマルチセグメント検出器からなっている。この光電子検出器617は空間的に分解された干渉信号を検出する。マルチセグメント検出器からの出力信号、すなわち空間的に分解された干渉信号629は、処理システム619に送られる。コントロールシステム619は、光源601および変調反射素子611および614を信号621、612および615によって制御する。
【0089】
コントロールシステム619はまた、処理システム618が異なる深度位置に対応する干渉信号に関係付けられた情報を分解できるようにするタイミング信号620を供給する。この電子的フィルタリングによって、異なる深度に対応して、空間的に分解された情報がマルチセグメント検出器によって検出された干渉信号のそれぞれから引き出され得るようにする。
【0090】
好ましい実施例によれば、処理システム618はまた、ひずみゲージおよび温度センサのようなセンサ622から環境信号631を受信して環境因子の影響を補正する。この補正は、公知のアドレス/データバス624を用いて、メモリデータバンク623から検索された予め記憶された深度補正データと組み合わせることによってなされる。検索された深度補正データは、サンプルタイミング信号を変更するため、または測定された干渉信号強度を補正するために使用される。
【0091】
処理システム618はまた、前に説明したように、検出された空間的に分解された干渉信号の強度を補正する。処理システム618は、強度補正データおよび深度補正データを検出された空間的に分解された干渉信号の測定された強度と結合することによって、検出された空間的に分解された干渉信号を規格化する。規格化された検出された空間的に分解
された干渉信号の強度は、メモリ内に記憶されたデータバンクからのデータと相関せしめられるる。
【0092】
相関データは処理され、生体組織(目標対象物)のブドウ糖濃度(属性)を決定し、また、コントロールシステム619に送られる位置合わせ情報625を生成することによって皮膚表面上の位置決め特性またはマークに対して探査信号を合わせするために用いられる。コントロールシステムは、位置合わせ信号626を生成し、位置合わせ信号626は光学処理システム627を電気機械的手段のような公知の手段によってフレーム628に対して移動させるために用いられる。
【0093】
別の実施例では、付加的な振動からの干渉信号が2つの変調反射素子を用いることによって得られる。各検出器セグメント毎に、4つの異なる深度から干渉信号を得るのに適した複数の参照放射線特性が図7に示されている。光プローブ放射線から分離された放射線701が、3つのビームスプリッタ702、703および704によって4つの参照放射線に分離される。4つの参照放射線705、706、707および708は、4つの変調反射素子709、710、711および712によって反射せしめられる。4つの変調反射素子709、710、711および712はそれぞれ異なる周波数において変調を行なう。
【0094】
別の実施例によれば、1つまたはそれ以上の変調反射素子は、異なる光路長を規定し、それによって、異なる深度に対応する干渉信号を生成するゾーン(またはセグメント)を有し得る。この特徴が図8Aに示されている。図8Aでは、拡大された側面図において、参照放射線801が、正面803(破線で示される)が典型的に無反射コーティングを有する複合またはゾーン反射素子802に向けられる。
【0095】
後面は、第1のゾーンを構成する反射面806、807、および第3のゾーンを構成する反射面808からなる多重反射面を備えている。これらのゾーンはさらに、図8Bに示されており、図8Bでは、第1のゾーン809、第2のゾーン810、第3のゾーン811が示されたゾーン反射素子の後面が示されている。
【0096】
これらのゾーンは、再び図8Cに示されるように、マルチセグメント検出器に適合するように設計される。第3のゾーン811は、マルチセグメント検出器の中央の4つの検出器セグメントに適合し、第1のゾーン809は16の検出器セグメントの外側リングに適合する一方、第2のゾーンは残りの12の検出器セグメントに適合する。これらの複数のゾーン(またはレベル)反射素子は、(単一のゾーンのみを有する)単一レベル反射素子と組み合わせて使用され、前述の位相変調および圧電変調技術を用いて変調される。
【0097】
別の実施例では、単一のマルチゾーン反射器および電気機械的音声コイルのような従来の移動技術によって、光学処理システムの全体が目標対象物に対して移動せしめられる。移動は移動速度によって決定される周波数で干渉信号を生成する。このアプローチは、位相変調器または圧力変調器必要としないという長所を有している。
【0098】
反射素子および変調素子に対する多くのアプローチの組合わせがまた、特定のアプリケーションを最適化するために使用可能である。本出願の目的に関して、複合反射系は以下のものを含んでいる。すなわち、例えば、図7に示されるような、マルチシングルゾーン反射素子ビームスプリッタ、例えば、図8Aおよび図8B示されるような、シングルマルチゾーン反射素子、1つ以上のマルチゾーン反射素子およびビームスプリッタ、シングルゾーンおよびマチゾーン反射素子の組み合わせ。
【0099】
このような複合反射系は、参照放射線を生成し、この参照放射線は三次元空間的に分解された情報を含む同時干渉信号を生成する。空間的に分解された情報を引き出すことは、マルチセグメント検出器によって干渉信号を検出し、異なる深度に関係する情報を電子的フィルタリングによって異なる干渉信号から分離することを含んでいる。
【0100】
光学系のさらに別の実施例が図9に示されている。第1のモードロックレーザのような第1の光源901は光プローブ放射線902を生成し、この光プローブ放射線902は光学レンズ903(または光学レンズ系)によって広範囲に広がるビームにコリメートされる。広範囲に広がるコリメートされた光プローブ放射線904は、ビームスプリッタ905によって方向選定され、そして、広範囲に広がるコリメートされた光プローブ放射線906の一部が目標対象物907に適用される。
【0101】
後方散乱放射線が目標対象物中において生成され、後方散乱放射線の一部がビームスプリッタ905によって第2のビームスプリッタ910に向けられる。後方散乱放射線の再方向選定された部分には、番号909が付されている。第2のモードロックレーザのような第2の光源911は、その出力が同様にして光学レンズ912(または光学レンズ系)にコリメートされて広範囲に広がるコリメートされた走査参照放射線913を形成する。
【0102】
走査参照放射線913および後方散乱放射線部分909がビームプリッタ910(またはビーム結合系としても機能する)において結合されて光電検出器916および917によって検出される補助干渉分光学的信号914、915を生成する。光電検出器は、マルチセグメント検出器からなっており、それ故、空間的に分解された干渉信号を検出する。
【0103】
マルチセグメント検出器からの出力信号、すなわち空間的に分解された干渉信号918および919は、前述の実施例の場合と同様に処理システムに送られる。この実施例では、超高速電子深度走査が光源901、911のようなモードロックレーザを用いることによってなされる。光源901は探査レーザであり、光源911は参照レーザである。
【0104】
探査および参照レーザダイオードを異なる周波数においてモードロックすることによって、目標対象物中の順次変化する深度から生じた意味のある干渉信号が、モードロック周波数の差によって決定される繰り返し周波数で生成される。モードロックは、RF信号921および920を光源901および911に適用することによってなされ得る。これらの電気的RF信号はメガヘルツのオーダの周波数の差を有し得る。
【0105】
これによって、電子的深度走査が目標対象物中のモーション・アーチファクトに対して高速で可能となる。この実施例において、情報は(同時的よりもむしろ)順次異なる深度から得られるにもかかわらず、その情報は同時的情報となる。なぜなら、シーケンシャルな情報が高速度で獲得され、それ故、運動の影響を受けないからである。
【0106】
電子深度走査はさらに、本出願に参考文献として組み込まれる特許出願中に記載されている。別の実施例によれば、検出された干渉信号918および919は、環境因子によって補正され、規格化され、そして、予め記憶された基準マップと相関せしめられて目標対象物の属性の測定をもたらす。
【0107】
好ましい実施例の上記説明は、ブドウ糖濃度のモニタリングへのアプリケーションに基づいているが、本発明は、多くの潜在的なアプリケーション、すなわちそれらに限定されないが、バイオメトリック分析、アーチファクトの欠陥分析、紙幣のような書類が真正であることの証明を含むアプリケーションを伴っている。
【0108】
バイオメトリック分析へのアプリケーションにおいて、各個人の識別は、皮膚および生体組織の下位の表面の三次元マップを、通常の指紋分析技術に結合させることによってより高精度でなされる。本出願の目的に関して、「指紋」という用語は通常の指紋および皮膚生体組織の下位の表面および皮膚表面上に存在する任意の物質の三次元マップを含む。
【0109】
このような三次元高速分析はまた、人工的なプリントが用いられていること、また、分析される生体組織が生体の生体組織であることを証明することができる。このアプリケーションにおいて、データバンクメモリは巨大な集中されたディスクベースの記憶システムからなっている。データバンクとの通信は、公知の無線技術、または公知のイントラネット、またはインターネット通信技術によってなされる。
【0110】
プラスチックまたはセラミック製のパーツ、生物学的または半導体コンポーネントのようなアーチファクトが分析され、それらに欠陥のないことが確認される。登録マークは欠陥のないアーチファクトの縁および表面からなっている。基準マップは欠陥のないアーチファクトに対応する干渉信号データを含み、容易に更新可能な中央ディスクに記憶される。性能指数の補正は、このアプリケーションにおいては、典型的には製造ライン環境においてアーチファクトを拒絶し、または許容するために用いられる。
【0111】
紙幣が真正であることの証明へのアプリケーションにおいて、このアプローチの長所は、内部的な下位の表面のまたは埋め込まれた特性が分析され、紙幣が真正であることの証明に用いられ得るということである。このアプリケーションにおいて、登録マークは紙幣の表面上の適切なマークからなっている。基準マップは異なる主要な紙幣の表現からなり、性能指数は目標紙幣が、特定の主要な紙幣の真正なバージョンであるかどうかを決定するために用いられ、環境センサは温度または湿度を測定する。
【0112】
一般に、本出願の目的に関して、性能指数という用語は、補正データの任意の機能を含んでおり、属性が決定される信頼性または精度に関係付けられる。フィギュア・オブ・メリットを決定するのに適した補正データの機能は、それに限定されないが、補正データの平均偏差および補正データの部分群の平均偏差を含んでいる。校正プロセスおよび目標対象物の属性を決定するプロセスの両方において、補正データが処理され、性能指数が生成される。
【0113】
性能指数はモニタの状態を表わすために用いられ得る。モニタの状態は、それに限定されないが、必要とされるモニタの再校正または許容されたモニタ上の増大した信頼性を含んでいる。状態は、ディスプレイを用いて、またはその他の通信方法を用いて、またはモニタの1つまたはそれ以上の機能または性能の使用を可能とすることまたは不可能とすることによって表示される。
【0114】
これまでの記述は、もっぱら説明を意図したものであって、本発明の構成を限定するものではない。上記実施例の多くの変形および組合わせが可能であり、例えば、別の環境センサとして、パルス率または湿度を用いるために、種々の組合わせおよび構成が用いられ得る。
【0115】
広範囲にわたって広がる放射線は、単一の光源よりもむしろVCSELアレイ(垂直キャビティ表面照射レーザアレイ)、SLDアレイまたはLEDアレイのような光源のアレイによって生成され得る。このようなアレイはマルチセグメント検出器に空間的に適合したマイクロレンズアレイによってコリメートされる。このようなアレイを用いることの利点は、隣接する光学的信号間のクロストークに対する影響を防止できることにある。なぜなら、それらは互いにインコヒーレントだからである。第1および第2のモードロックレーザは、モードロックレーザダイオードまたはモードロックマイクロレーザからなっていてもよい。
【0116】
上で説明されたマルチセグメント検出器は、二次元の検出器であり、高度の対称性を有している。多数の別のトポロジーが使用可能であり、それらは対称性を伴わないものや、一次元のセグメントアレイを含んでいる。一次元セグメントアレイは、二次元的な同時的情報をもたらす。二次元の同時的情報の組が光学系を公知の手段によって移動させることにより情報の三次元的な組を与えることによって獲得され得る。同様に、単一のセグメント検出器が一次元的な同時情報を与えるために用いられ、一次元的同時情報の組が光学系を公知の手段によって移動させることにより、情報の二次元または三次元的な組が得られる。
【0117】
ビームスプリッタは、くさび状のまたは平行な面を備えた出力カプラから構成され得る。ペリクルスがまた、ビームスプリッタとして使用され得る。本発明の説明された構成は、自由空間において実行される。本発明のそれと等価な光ファイバに基づく構成がまた可能である。光ファイバに基づく実施例において、光ファイバスプリッタがビームスプリッタとして用いられ、ファイバブラッグ格子またはファイルバループが反射素子として用いられる。
【0118】
図2、6および7に示された複合参照ビームと呼ばれる複数の参照ビームを生成させる実施例に加えて、他の多くの変形実施例を創作することが可能である。例えば、図2を参照して、部分反射素子211の位置が変更され、そして、反射素子214は変更されず、あるいは素子211および214の両方がいずれも変更され得る。素子214はまた、部分反射素子から構成され得る。一般に、複合参照放射線は、少なくとも2つの反射素子および少なくとも1つの変調素子によって生成される。
【0119】
また、別のアプリケーションが可能である。例えば、画像生成のアプリケーションにおいては、異なる環境条件下に、干渉信号データの組を繰り返し生成し、記憶することが含まれる。記憶されたデータの組は、将来的な分析のための基準マップとなり、例えば、生体組織中の異常な変化をモニタリングすることを容易にする。このような変化の分析は、皮膚癌のような悪条件の進行、またはやけどのようなトラウマ的な損傷後の治癒の経過を日常的にモニタリングする方法を提供する。
【0120】
上述の実施例は、光学的な放射線を使用するが、本発明は、光学的な使用に限定されるものではない。本発明は、別の形態の放射線、すなわち限定されないが、超音波のような音響放射線、およびマイクロ波放射線、またはX線のような別の形態の電磁的放射線を使用することができる。
【0121】
基準マップを使用して、または使用せずに、画像生成のアプリケーションにおいて、マルチセグメント検出器によって捕捉された複数の空間的に分解された干渉信号を同時に検出することができる。複数の反射素子を使用することによって、速度をあげて深度走査をすることが可能となる。これによって、モーション・アーチファクトに影響を及ぼされない高速画像生成技術が実現可能である。
【0122】
それ故、本発明の構成は、上述の実施例の説明のみで決定されるものではなく、添付の請求の範囲および図面、並びにこれらの請求の範囲および図面に記載された構成およびその均等物を考慮して決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織バイオメトリック特性を決定するための方法であって、
光プローブ放射線を生成するステップと、
前記光プローブ放射線の少なくとも一部を、前記生体組織に照射することによって後方散乱放射線を生成するステップであって、前記生体組織に照射される前記光プローブ放射線の少なくとも一部は、前記生体組織に係る登録マークに対して位置合わせされているステップと、
参照放射線を生成するステップと、
前記後方散乱放射線および前記参照放射線を結合することによって干渉信号を生成するステップと、
前記干渉信号を検出器によって検出するステップと、
電子的処理によって、前記検出された干渉信号から情報を引き出すステップであり、前記情報は、前記生体組織におけるモーション・アーチファクトよりも速い速度で取得される、ステップと、
前記引き出された情報をメモリ内に記憶されたデータバンクからのデータと相関させるステップと、
前記相関により得られたデータを処理することによって前記生体組織バイオメトリック特性を決定するステップと、
を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記引き出された情報が環境センサ信号に関係付けられたデータによって変化せしめられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体組織バイオメトリック特性がブドウ糖濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生体組織バイオメトリック特性がそのイメージであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記相関により得られたデータが処理されることによって性能指数が生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記性能指数がモニタの状態を表示するために使用されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記検出器がマルチセグメント検出器からなっていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記光プローブ放射線が超発光ダイオードによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光プローブ放射線がモードロックレーザによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記光プローブ放射線が光源のアレイによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記参照放射線が前記生成された光プローブ放射線の一部からなっていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光プローブ放射線が複合参照放射線からなっていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複合参照放射線が少なくとも2つの反射素子および少なくとも1つの変調素子によって生成されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生体組織バイオメトリック特性を決定するための装置であって、
光プローブ放射線を生成するための手段と、
前記光プローブ放射線の少なくとも一部を、前記生体組織照射することによって後方散乱放射線を生成する手段であって、前記生体組織に照射される前記光プローブ放射線の少なくとも一部は、前記生体組織に係る登録マークに対して位置合わせされている手段と、
参照放射線を生成するための手段と、
前記後方散乱放射線および前記参照放射線を結合することによって干渉信号を生成するための手段と、
前記干渉信号を検出器によって検出する手段と、
電子的処理によって、前記検出された干渉信号から情報を引き出すための手段であり、前記情報は、前記生体組織におけるモーション・アーチファクトよりも速い速度で取得される、手段と、
前記引き出された情報をメモリ内に記憶されたデータバンクからのデータと相関させることによって相関データを生成するための手段と、
前記引き出された情報をメモリ内に記憶されたデータバンクからのデータと相関させることによって相関データを生成するための手段と、
前記相関データを処理することによって前記生体組織バイオメトリック特性を決定するための手段と、
を有していることを特徴とする装置。
【請求項15】
前記引き出された情報が環境センサ信号に関係付けられたデータによって変化せしめられることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記生体組織バイオメトリック特性がブドウ糖濃度であることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記生体組織バイオメトリック特性がそのイメージであることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記相関データが処理されて性能指数が生成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記性能指数がモニタの状態を表わすために用いられることを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記検出器がマルチセグメント検出器からなっていることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記光プローブ放射線が超発光ダイオードによって生成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記光プローブ放射線がモードロックレーザによって生成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記光プローブ放射線が光源のアレイによって生成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記参照放射線が前記生成された光プローブ放射線の一部であることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項25】
前記光プローブ放射線が複合参照放射線であることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記複合参照放射線が少なくとも2つの反射素子および少なくとも1つの変調素子によって生成されることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
生体組織バイオメトリック特性を決定するためのシステムであって、
光プローブ放射線および参照放射線を生成して、前記光学プローブ放射線の少なくとも一部を前記生体組織に照射することによって後方散乱放射線を生成し、前記後方散乱放射線を前記参照放射線に結合することによって干渉信号を生成する光学システムであって、前記生体組織に照射される前記光プローブ放射線の少なくとも一部は、前記生体組織に係る登録マークに対して位置合わせされている光学システムと
前記干渉信号を検出する検出器と、
前記光学システムおよび電子処理システムを制御する制御システムと、
データバンクのデータを格納するメモリと、
を備え、
前記電子処理システムは、前記検出器によって検出された干渉信号から情報を引き出し、前記情報は、前記生体組織におけるモーション・アーチファクトよりも速い速度で取得され、前記引き出された情報を前記メモリに格納されたデータと相関させて相関データを生成するようになっており、前記相関データは、さらに前記電子処理システムによって処理され、それによって前記生体組織バイオメトリック特性が決定されることを特徴とするシステム。
【請求項28】
環境センサをさらに備えていることを特徴とする、請求項27に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−78674(P2013−78674A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19638(P2013−19638)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2007−538123(P2007−538123)の分割
【原出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(507129961)
【Fターム(参考)】