説明

名刺撮影補助器具

【課題】簡易な構成にして、名刺を簡単かつ確実に撮影することができる名刺撮影補助具を提供する。
【解決手段】名刺撮影補助具1は、カメラCを用いた名刺Pの撮影の補助を行い、カメラCを載置させるカメラ載置部10と、カメラ載置部10より下側の傾斜方向に設けられ、名刺Pを載置させる名刺載置部20とを備え、カメラ載置部10は名刺Pを撮影できる可能な方向に傾斜する態様でカメラCを載置させる。名刺Pを簡単かつ確実に撮影することができる。しかも、カメラ載置部10および名刺載置部20のみであるため構成も簡易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置を用いた名刺の撮影の補助を行う名刺撮影補助器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等のように携帯電話にカメラが備えられていることは極めて一般的である。また、そのようなカメラを備えた携帯電話の普及に伴い、カメラで撮影した画像データを活用するようなアプリケーションも次々と開発され、広く普及している。
【0003】
このような中、ビジネスシーンでは、携帯電話のカメラを利用して名刺を撮影し、撮影した名刺の画像データを例えばOCR(Optical Character Reader)機能により文字の認識を行ってデータベース化し、名刺に記載された取引先の情報を管理するようなアプリケーションなども開発されている。
【0004】
ところが、撮影者が携帯電話のカメラで名刺を撮影する場合、名刺を机などの上に載置して撮影するか、あるいは名刺と携帯電話との両者を手に持って名刺を撮影するため、名刺とカメラとの位置を固定することができず、位置ずれや手ぶれが生じて正確に名刺を撮影することができない。また、OCR機能は機械的に文字の認識を行うため、そのような状態で撮影された名刺の画像データでは文字の認識が行えない虞もある。
【0005】
ところで、名刺を撮影する装置は、下記特許文献1〜4に開示されるように、従来から知られている。
【0006】
特許文献1に開示される装置は、名刺を撮影する専用のカメラを備えた装置であり、中空状の筺体を有し、その両端部において撮影装置と名刺とを水平方向に対向するように各々固定し、筺体内で一定の明るさの環境を形成した上で名刺を撮影するというものである。
【0007】
特許文献2に開示される装置は、特許文献1と同様、名刺を撮影する専用のカメラを備えた装置であり、撮影装置と名刺とを水平方向に対向するように各々固定して、名刺を撮影するものである。
【0008】
特許文献3に開示される装置は、特許文献1、2の装置と同様、名刺を撮影する専用のカメラを備えた装置であり、撮影装置には名刺を保持する保持部材が設けられており、保持部材により名刺を撮影装置に水平方向に対向するように固定して名刺を撮影するものである。
【0009】
特許文献4に開示されるデジタルカメラは、撮影するレンズ側に突出する複数の脚部(支柱)を備えており、机などの上に載置した名刺と垂直方向に対向するように脚部でデジタルカメラ本体を下方に向けた状態で支持し、名刺を上方から撮影するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】登録実用新案3077577号
【特許文献2】特開平10−173968号公報
【特許文献3】特開平10−221767号公報
【特許文献4】特開2000−10184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1〜4に開示される装置などはいずれも構成が複雑である。従って、製造コストがかかるため装置の販売価格が高くなり、名刺を撮影するということに対するコストパフォーマンスは悪い。また、名刺を撮影する手続きも煩雑であるため、名刺撮影の段階で不便さが生じ、名刺をデータベース化するアプリケーションを活用するに至らない虞がある。
【0012】
本発明は、簡易な構成にして、名刺を簡単かつ確実に撮影することができる名刺撮影補助器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る名刺撮影補助器具は、撮影装置を用いた名刺撮影の補助を行い、撮影装置を載置させる撮影装置載置部と、撮影装置載置部より下側の傾斜方向に設けられ、名刺を載置させる名刺載置部とを備え、撮影装置載置部は名刺を撮影できる方向に傾斜する態様で撮影装置を載置させることを特徴とする。これによれば、撮影装置載置部に撮影装置を載置して、名刺載置部に名刺を載置することにより、名刺を簡単かつ確実に撮影することができる。しかも、構成が簡易である。
【0014】
また、名刺載置部は撮影装置載置部により傾斜した撮影装置と対向するように名刺を傾斜させるのが好ましい。これによれば、名刺を撮影装置に正対させることができ、名刺をより一層確実に撮影することができる。
【0015】
また、撮影装置載置部および名刺載置部を上端部に備えた上下方向に延びる略筒形状に形成され、略円筒形状の側面には縦方向に複数の折目が形成されているのが好ましい。これによれば、不使用時には縦方向に複数の折目により略平面形状に折りたたむことができ、使用時には展開して略円筒形状にすることができる。
【0016】
また、名刺撮影補助器具は紙素材からなるのが好ましい。これによれば、コストを低減させることができ、取り扱いも容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮影装置載置部に撮影装置を載置して、名刺載置部に名刺を載置することにより、名刺を簡単かつ確実に撮影することができる。しかも、撮影装置載置部および名刺載置部のみであるため構成も簡易である。
【0018】
また、撮影装置載置部に撮影装置を載置するに際して、撮影装置の種類や大きさが限定されず、また撮影者の使い慣れた撮影装置を用いることが可能である。
【0019】
また、撮影装置および名刺の位置も必然的に特定されるため、名刺の位置調整や撮影における手ぶれなどが生じることがない。
【0020】
また、撮影装置が名刺の斜め上方から撮影するため、撮影装置および撮影者の影が名刺にかかることなく周囲の光を当てた状態で名刺を撮影することができる。
【0021】
また、撮影状況の確認をするためのファインダを覗く際においても、従来のように撮影者が撮影装置の水平方向あるいは垂直方向の位置にわざわざ覗き込みに行く必要もなく、軽く見下ろす程度で良くなる。
【0022】
また、簡易な構成であるため、ノベルティ商品や雑誌などの付録商品にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】名刺撮影補助器具の斜視図である。
【図2】名刺撮影補助器具の平面図である。
【図3】名刺撮影補助器具の左側面図である。
【図4】名刺撮影補助器具の略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係る名刺撮影補助器具(以下「本補助器具」という)の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本補助器具1は、図1に示すように、カメラ機能および電話機能を備える携帯端末(以下「カメラ」という)Cと名刺Pとを上端部に載置させて、カメラCによる名刺Pの撮影を補助するものである。
【0026】
本補助器具1は、上下方向に延びる中空の略筒形状に形成されており、上端部においてカメラ載置部(撮影装置載置部)10と名刺載置部20とを備える。ここにおける本補助器具1は、段ボール箱に用いられるボール紙(紙素材)からなる。
【0027】
なお、ここで用いられるカメラCは、外形が矩形状で所定の厚みの略筺体であり、一方面側の略中央には名刺Pを撮影するためのレンズL、他方面側にはファインダに相当する表示部Dが設けられている。また、カメラCの長手方向の長さは一般的な名刺の長手方向より長い。
【0028】
本補助器具1は、図2に示すように、同一形状の平面部材が対向して一対をなす左面部材31および右面部材32と、左面部材31および右面部材32を前方で連結する略平面形状の前面部材33と、左面部材31および右面部材32を後方で連結する略平面形状の後面部材34とを備えており、各面部材31〜34を立設させて水平方向に隣接した各面部材31〜34の左右両端部を屈曲可能に接続することによって略筒形状に形成されている。左面部材31と右面部材32とが平行となるよう前面部材33および後面部材34は同一幅を有している。このとき、前面部材33および後面部材34の幅方向の長さは、名刺Pの長手方向の長さよりも短い。なお、以下の説明においては、左面部材31および右面部材32を総じて「側面部材30」と称する。
【0029】
側面部材30は、図3に示すように、上端部において連続した2つのV字形状が前後に異なる高さで形成されている。後方側のV字形状は前記カメラ載置部10であり、前方側のV字形状は前記名刺載置部20である。
【0030】
前記カメラ載置部10は、カメラ支持端部11とカメラ背面端部13とによりV字形状が形成されている。図2に示すように、カメラ支持端部11は左面部材31の上端部11aおよび右面部材32の上端部11bにより、カメラ背面端部13は左面部材31の上端部13aおよび右面部材32の上端部13bにより構成されており、これらによって溝部12が形成されている。また、このカメラ支持端部11は、図3に示すように、水平に対して傾斜角θが約50度で形成されている。
【0031】
カメラ支持端部11においては、各上端部11a、11bが平行して傾斜しているため、カメラCのレンズLを有する面の両端部が上端部11aおよび上端部11bの2箇所で線接触している。従って、上端部11aおよび上端部11bの傾斜角θに基づいてカメラCのレンズLのある面を安定的に支持することができる。換言すれば、カメラCのレンズLの向きを下側に傾斜させた図3に示すような状態で支持することができる。また、カメラCの両端部を上端部11a、11bの2箇所で支持していることより、図4に示すように、レンズL前を遮るものがないため、カメラ支持端部11によって支持された状態でのカメラCは撮影が可能である。
【0032】
カメラ背面端部13は、図3に示すように、カメラ支持端部11とV字形状を形成することにより溝部12を形成している。従って、カメラ支持端部11と当接するカメラCを下方に落ちないように特定の位置で係止することができる。
【0033】
上記のカメラ載置部10によれば、レンズLが下側の傾斜方向に向くようカメラCを載置すると、溝部12によりカメラCが特定の位置(高さ)で係止されるとともに、カメラ支持端部11の傾斜角θに基づいてレンズLのある面を安定した状態で支持することができる。
【0034】
前記名刺載置部20は、図3に示すように、カメラ載置部10より前方下側に配置されており、名刺支持端部21と名刺前面端部23とによりV字形状が形成されている。名刺載置部20はカメラ載置部10と同様、図2に示すように、名刺支持端部21が左面部材31の上端部21aおよび右面部材32の上端部21bにより、名刺前面端部23が左面部材31の上端部23aおよび右面部材32の上端部23bにより構成されており、これらによって溝部22が形成されている。
【0035】
また、名刺支持端部21は、カメラ載置部10のカメラ支持端部11と対をなすように平行に設けられ、このカメラ支持端部11に基づいて名刺前面端部23が構成されている。ここにおいては、名刺支持端部21もカメラ支持端部11と同様、図3に示すように水平に対して傾斜角θが約50度で構成されている。従って、情報の記載された面を上方に向けるようにして名刺支持端部21に当接させるように名刺Pを載置することにより、安定した状態でカメラCに対向するように名刺Pを正対させることができる。
【0036】
前面部材33および後面部材34は、図2に示すように、それぞれ略中央において外側に屈曲し得るように折目33aおよび34aが形成されている。この折目33a、34aにより、図2中の矢印Aが示す方向に33aに力を、また、矢印A’が示す方向に34aに力が加えられることにより、図2中の破線で示すように略筒形状から略平面形状に変形する。従って、不使用時には本補助器具1を略平面形状に折りたため、使用時には本補助器具1を展開して略円筒形状にすることができる。これにより、本補助器具1の携帯性や保存性を向上させることができる。
【0037】
以上のような構成を有する本補助器具1においては、カメラ載置部10のカメラ支持端部11に当接させるようにレンズLが下方に向くようしてカメラCを載置し、名刺載置部20の名刺支持端部21に当接させるように撮影したい面がを上方に向くようにして名刺Pを載置する。これにより、カメラCは下側の傾斜方向にある名刺Pに向くような状態で載置され、名刺PはカメラCに正対された状態で載置される。すなわち、カメラCおよび名刺Pを載置することのみで、名刺Pを撮影するための位置合わせなどを含むセッティングが完了する。
【0038】
従って、あとはカメラCのシャッターを切ることのみで、名刺Pを確実に撮影することができる。しかも、カメラ載置部20および名刺載置部20のみであるため構成も簡易である。
【0039】
また、カメラ載置部10にカメラCを載置するに際して、カメラCの種類や大きさが限定されず、また撮影者の使い慣れた撮影装置を用いることが可能である。
【0040】

また、カメラCおよび名刺Pの位置も必然的に特定されるため、名刺Pの位置調整や撮影における手ぶれなどが生じることがない。
【0041】
また、カメラCが名刺の斜め上方から撮影するため、カメラCおよび撮影者の影が名刺Pにかからず、周囲の光を当てた状態で名刺Pを撮影することができる。
【0042】
また、撮影状況の確認をするためのファインダを覗く際においても、従来のように撮影者がカメラCの水平方向あるいは垂直方向の位置にわざわざ覗き込みに行く必要もなく、軽く見下ろす程度で良くなる。
【0043】
また、簡易な構成であるため、ノベルティ商品や雑誌などの付録商品にも適用できる。
【0044】
なお、上記の実施形態において、カメラCがカメラ機能を備えた携帯電話である場合について説明したが、その他のカメラ機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0045】
また、カメラ載置部10のカメラ支持端部11および名刺載置部20の名刺支持端部21の傾斜角θが約50度である場合について説明したが、傾斜角θは0度<θ<90度であれば約50度に限定されない。
【0046】
また、カメラ載置部10のカメラ支持端部11および名刺載置部20の名刺支持端部21の傾斜角θは同一である場合について説明したが、同一でなくてもよい。要は、カメラCが名刺Pを撮影できる方向に傾斜する態様で載置され、カメラCの撮影する視野角に名刺Pが載置されればよい。
【0047】
また、前面部材33および後面部材34における折目33a、34aは外側に屈曲する場合について説明したが、内側に屈曲するようにしてもよい。また、折目は3つ以上であってもよい。あるいは、上記で説明した名刺撮影補助器具1であれば、各面部材31〜34が屈曲可能に接続されているため、折目33a、34aがなくてもよい。
【0048】
また、名刺撮影補助器具1はボール紙(紙素材)により構成される場合について説明したが、プラスチックなどの硬質素材により構成されてもよい。
【0049】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…名刺撮影補助器具
10…カメラ載置部
11…カメラ支持端部
20…名刺支持端部
21…名刺支持端部
33a、34a…折目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置を用いた名刺の撮影の補助を行う名刺撮影補助器具であって、
撮影装置を載置させる撮影装置載置部と、
前記撮影装置載置部より下側の傾斜方向に設けられ、名刺を載置させる名刺載置部とを備え、
前記撮影装置載置部は名刺を撮影できる方向に傾斜する態様で撮影装置を載置させることを特徴とする名刺撮影補助器具。
【請求項2】
前記名刺載置部は前記撮影装置載置部により傾斜した撮影装置と対向するように名刺を傾斜させる請求項1に記載の名刺撮影補助器具。
【請求項3】
前記撮影装置載置部および前記名刺載置部を上端部に備えた上下方向に延びる略筒形状に形成され、略円筒形状の側面には縦方向に複数の折目が形成されている請求項1または請求項2に記載の名刺撮影補助器具。
【請求項4】
前記名刺撮影補助器具は紙素材からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の名刺撮影補助器具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−137521(P2012−137521A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287986(P2010−287986)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(507081256)株式会社スタック (4)
【Fターム(参考)】