説明

吐出キャップ

【課題】簡単な構造で容易に製造できるうえ、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出すること。
【解決手段】容器本体2の口部2aに装着され、容器本体内に連通する連通開口27が天壁部20に形成され、天壁部の外周縁の少なくとも一部が吐出端26aとされた吐出ヘッド3と、天壁部の上面に被覆されたフィルム体4と、を備え、フィルム体が、連通開口を囲繞し且つ吐出端において開口した第1固着部33を介して天壁部に固着され、第1固着部の内側部分30aが連通開口を覆ってシールする上層フィルム30と、上層フィルムと天壁部との間に配設され且つ吐出端と連通開口との間に亘って天壁部に重ねられ、上層フィルムに離間可能に密着する下層フィルム31と、を備え、下層フィルムが天壁部において、吐出端と連通開口との間に位置する部分を横断し且つ吐出端において開口した第2固着部32を介して天壁部に固着されている吐出キャップ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に取り付けられ、内容物を外部に吐出する吐出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の内容物が収容される容器において、容器が倒れた時に内容物が零れないようにするため、手動式の弁体による開閉機構を設けた容器が知られている(特許文献1参照)。
この容器は、吐出口(注ぎ口)と空気穴とを同じ方向に働くスプリングの付勢力により同一方向から同時に密閉し、さらに空気穴を利用した釦をスプリングの付勢に抗して押すことで、吐出口と空気穴とを同時に開口させて内容物を吐出できるようにした開閉機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3078012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記容器に設けられる吐出口の開閉機構は、ばね部材の付勢力を利用した複雑な弁体機構であり、部品数も多く組立作業に手間が掛かるうえ、量産性が劣るといった問題があり、その点で改良の余地があった。
また、内容物の吐出時にあっても、毎回釦を押すといった手動による開閉操作を行う必要があり、操作性に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構造で容易に製造できるうえ、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出することができる吐出キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る吐出キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、前記口部に装着され、前記容器本体の内部に連通する連通開口が天壁部に形成されると共に、該天壁部の外周縁の少なくとも一部が吐出端とされた有頂筒状の吐出ヘッドと、前記天壁部の上面に被覆されたフィルム体と、を備え、前記フィルム体が、前記連通開口を囲繞し、且つ前記吐出端において開口した第1固着部を介して前記天壁部に固着され、第1固着部の内側部分が連通開口を覆ってシールする上層フィルムと、前記上層フィルムと前記天壁部との間に配設され、且つ前記吐出端と前記連通開口との間に亘って天壁部に重ねられ、上層フィルムに離間可能に密着する下層フィルムと、を備え、前記下層フィルムが、前記天壁部において、前記吐出端と前記連通開口との間に位置する部分を横断し、且つ吐出端において開口した第2固着部を介して天壁部に固着されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出キャップによれば、使用前の段階ではフィルム体の上層フィルムによって連通開口がシールされているので、容器本体の密閉性が確保されている。
そして、使用する場合には、容器本体を傾けたりスクイズ変形させたりして、容器本体内の内容物を連通開口から流出させる。すると、連通開口から天壁部上に流出した内容物によって上層フィルムが押し上げられ、この上層フィルムのうち第1固着部の内側部分が天壁部から離間して上側に凸となるドーム状に膨出する。そのため、連通開口から流出した内容物は、上層フィルムと天壁部との間の隙間に画成された流路に流れ込んだ後、互いに密着している上層フィルムと下層フィルムとを上下に剥離しながら両フィルムの間を吐出端に向けて流れる。そしてこの内容物は、吐出端に達した時点で上層フィルムと下層フィルムとの間に画成された隙間である吐出口から外部に吐出される。
なお下層フィルムは、吐出端と連通開口との間に位置する部分を横断する第2固着部によって天壁部上に固着されているので、上記吐出時に内容物が下層フィルムと天壁部との間に入り込んでしまうことがない。
【0008】
また、内容物の吐出を終了する場合には、容器本体を元の正立姿勢に戻したりスクイズ変形を解除したりして、連通開口からの内容物の流出を停止させる。これにより、内容物によって上下に離間していた上層フィルムと下層フィルムとが再度密着すると共に両フィルムが元の状態に復元されて天壁部に密接する。よって、上記吐出口が閉塞されると共に連通開口が上層フィルムによってシールされ、容器本体の密閉性が再び確保される。
【0009】
上述したように、容器本体の傾け等により連通開口から内容物を流出させるだけの簡便な方法で吐出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に吐出操作を行うことができ、使い易い。また、ばね部材を利用した複雑な弁体機構を用いる従来のものとは異なり、天壁部の上面に下層フィルム及び上層フィルムからなるフィルム体を被覆するだけの簡単な構成であるため、部品数が少なく容易に製造でき製造効率を高めることができるうえ、量産性の向上及び低コスト化を図り易い。
【0010】
特に、上層フィルムに対して下層フィルムが離間可能に密着しているので、例えば内容物を繰り返し吐出するうちに上層フィルムに皺や局所的な膨らみ等の癖が付いてしまったとしても、それに追従するように下層フィルムのうち第2固着部の内側部分が変形して上記癖を吸収でき、両フィルム同士の密着状態が維持して両フィルム間に隙間等が開き難い。従って、長期的に亘って内容物の漏出を防止し易く、容器本体の密閉性を高めることができる。
【0011】
(2)また、上記本発明の吐出キャップにおいて、前記第1固着部及び第2固着部が、前記第2固着部が前記天壁部を横断している部分よりも前記吐出端側に位置する部分において、互いに重なり合っていても良い。
【0012】
この場合には、上層フィルムのうち第1固着部の内側部分と、下層フィルムのうち第2固着部の内側部分とを、より広範囲に密着させることができるので、上層フィルムに上記癖が付いてしまったとしても、この癖をより効果的に吸収し易く、内容物の漏出を防止し易い。また、吐出時に、連通開口から流出した内容物が、下層フィルムと天壁部との間に入り込んでしまうことをより確実に防止することができる。
【0013】
(3)また、上記本発明の吐出キャップにおいて、前記上層フィルム及び前記下層フィルムが、前記吐出端から外方に向けて突出していても良い。
【0014】
この場合には、両フィルム同士をさらに広範囲に密着させることができるので、密着性を高めて内容物の漏出をより効果的に防止し易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る吐出キャップによれば、簡単な構造で容易に製造することができるうえ、特別な操作を行うことなく内容物を容易に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る吐出キャップの実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す吐出キャップの縦断面図である。
【図3】図1に示す吐出キャップを構成する下層フィルムの取付状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す吐出キャップを構成する上層フィルムの取付状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す状態から、連通開口を介して内容物を天壁部上に流出させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る吐出キャップの実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
本実施形態の吐出キャップ1は、図1及び図2に示すように、液体状の図示しない内容物が収容される容器本体2の口部2aに装着されるキャップであって、容器本体2の口部2aに装着されて該口部2aを閉塞する吐出ヘッド3と、該吐出ヘッド3の天壁部20の上面に被覆されたフィルム体4と、を備えている。
【0018】
なお、図1及び図2に示す一点鎖線Oは、容器本体2の口部2aの中心軸線を示しており、以下、単に容器軸Oと記す。また、容器軸Oに沿った方向を「軸方向」とし、容器軸Oに直交する方向を「径方向」とし、容器軸Oを中心に周回する方向を「周方向」とする。また、軸方向に沿って、容器本体2における口部2a側を上側とし、その反対側を下側とする。
【0019】
本実施形態の容器本体2は、外層10と内層11とが剥離可能に積層された積層剥離(デラミ)容器である。或いは、スクイズ変形可能な胴部を有するボトル(外層10)の内部に、内容物を収容した袋体(内層11)が収納された容器を採用しても良い。この場合、内容物の減少と共に内層11が収縮するため、内容物の保存性を高めることができると共に、内容物の残量が少なくなっても良好な吐出操作が維持できる。
容器本体2の上端部には、軸方向に延在する略円筒形状の口部2aが立設されており、この口部2aには、径方向外側に向けて膨出した係止部12が全周に亘って形成されている。
【0020】
吐出ヘッド3は、容器本体2の口部2aに装着される有頂筒状の蓋部であり、容器軸Oに対して垂直に配設された天壁部20と、天壁部20から垂下された周壁部21と、天壁部20から垂下されていると共に周壁部21の径方向内側に配設されたシール筒部22と、を備えている。
【0021】
天壁部20は、上面が凹曲面状に形成された板部であり、口部2aの上方に配設されている。この天壁部20は、周壁部21の上端を閉塞する頂壁部25と、頂壁部25の外縁から径方向外側に向かって突出したフランジ部26と、を備えている。
【0022】
頂壁部25は、中心から両側(図1に示す矢印L方向)に向かうに従い漸次せり上がって全体として縦断面視弓形に湾曲されている。なお、この頂壁部25は、径方向に沿ってフランジ部26と反対側の部分も中心から径方向外側に向かうに従い漸次せり上がっていても良く、つまり、平面視においてC字形状に漸次せり上がった形状にすることも可能である。
また、頂壁部25には、容器本体2の内部に連通する平面視円形の連通開口27が形成されている。この連通開口27は、頂壁部25の上面のうちで最も窪んだ位置、つまり頂壁部25の中心位置に形成されており、連通開口27の中心が容器軸Oと一致している。
【0023】
フランジ部26は、径方向に延在する平面視矩形の板部であり、頂壁部25の外縁のうち、せり上がった両側部分同士の間から径方向外側に向かって突出されている。このフランジ部26は、頂壁部25と同様に中心から両側に向かうに従い漸次せり上がって全体として縦断面視弓形に湾曲されており、フランジ部26の上面は、頂壁部25の上面と面一に形成されている。
つまり、フランジ部26の上面は、フランジ部26の基端(頂壁部25側)から先端(突出側)に向かって延在する円弧溝状に形成されている。
【0024】
このように本実施形態では、頂壁部25とフランジ部26とで天壁部20が構成されており、外周縁の一部が内容物を吐出させる際の吐出側となる吐出端26aとされている。具体的には、フランジ部26の先端が吐出端26aとして機能する。
【0025】
周壁部21は、頂壁部25の外縁から垂下された円筒状の筒部であり、容器軸Oを共通軸にして口部2aと同軸上に延設されていると共に口部2aの外周に周設されている。この周壁部21には、径方向内側に突出した係止部21aが全周に亘って形成されており、この係止部21aが口部2aの係止部12に対して下方から係止されることで周壁部21が口部2aにアンダーカット嵌合されている。
【0026】
シール筒部22は、連通開口27の内縁から垂下された円筒形状の筒部であり、容器軸Oを共通軸にして周壁部21及び口部2aと同軸上に延設されていると共に口部2aの内側に嵌合されている。このシール筒部22の外周面は口部2aの内周面に液密に密接されており、これにより口部2aとシール筒部22との間がシールされている。また、シール筒部22の下端は開口されており、このシール筒部22を介して連通開口27が容器本体2の内部に連通されている。
【0027】
フィルム体4は、上記天壁部20の上面に被覆された弾性変形可能な膜体であり、天壁部20の全面を覆う上層フィルム30と、該上層フィルム30と天壁部20との間に天壁部20の一部を覆うように配設され、上層フィルム30に対して離間可能に密着する下層フィルム31と、を備えている。
これら上層フィルム30及び下層フィルム31は天壁部20の上面に沿って共に湾曲している。そして、下層フィルム31は第2固着部32を介して天壁部20上に固着され、上層フィルム30は第1固着部33を介して下層フィルム31を間に挟んで天壁部20上に固着、或いは天壁部20上に直接固着されている。
【0028】
詳細に説明する。
まず、下層フィルム31は、図1から図3に示すように、フランジ部26の吐出端26aを覆いながら該吐出端26aと連通開口27との間に亘って天壁部20上に重ねられている。つまり、フランジ部26を完全に覆うと共に、頂壁部25のうちフランジ部26と連通開口27との間に位置する部分を覆うように配設されている。そして、下層フィルム31は、第2固着部32を介して天壁部20上に固着されている。
この第2固着部32は、天壁部20上において、フランジ部26の吐出端26aと連通開口27との間に位置する部分を横断し、且つ吐出端26aにおいて開口するように形成されていると共に、横断している部分よりも吐出端26a側に位置する部分が天壁部20の外周縁に沿って延在するように形成されている。
【0029】
そして、下層フィルム31のうち第2固着部32の内側部分は非固着部31aとされており、上層フィルム30に密着すると共に上層フィルム30の動きに追従して該上層フィルム30に対する密着状態を維持する部分とされている。
また、本実施形態の下層フィルム31は、フランジ部26の吐出端26aから径方向外方に向けて突出するように形成されている。
【0030】
上層フィルム30は、図1、図2及び図4に示すように、天壁部20の全面、即ちフランジ部26及び頂壁部25の全面を覆うと共に、フランジ部26の吐出端26aから外方に向けて突出しており、下層フィルム31の全面を覆うように形成されている。そして、この上層フィルム30は、第1固着部33を介して、下層フィルム31を間に挟んで天壁部20上に固着、或いは天壁部20上に直接固着されている。
【0031】
この第1固着部33は、連通開口27を囲繞し、且つフランジ部26の吐出端26aにおいて開口されている。詳しく説明すると、第1固着部33は、フランジ部26の吐出端26aからフランジ部26の一方の側端に沿ってフランジ部26の基端まで延在し、該基端から頂壁部25の外縁に沿って周方向に延在し、フランジ部26の基端からフランジ部26の他方の側端に沿って吐出端26aまで延在している。
つまり、本実施形態の第1固着部33及び第2固着部32は、第2固着部32が天壁部20を横断している部分よりも吐出端26a側に位置する部分において、互いに重なりあっている。
【0032】
加えて、本実施形態の第1固着部33は、フランジ部26の吐出端26aから突出している下層フィルム31の両側端にも形成されている。これにより、上層フィルム30は、フランジ部26の吐出端26aから突出した部分においても、下層フィルム31に対して部分的に固着されている。
【0033】
そして、上層フィルム30のうち第1固着部33の内側部分は非固着部30aとされており、下層フィルム31を介して天壁部20上に密接、或いは直接的に天壁部20の上面に密接されている。これにより、連通開口27は上層フィルム30によってシールされ、容器本体2の密閉性が確保されている。
特に、上述したように第1固着部33及び第2固着部32が形成されているので、下層フィルム31の非固着部31aは、全面に亘って上層フィルム30の非固着部30aに密着している。
【0034】
なお、上層フィルム30及び下層フィルム31としては、天壁部20の上面が凹曲面状に形成されているので、伸縮性を有しない一般的なフィルムを使用することができるが、伸縮性を有するフィルムを使用することも可能である。
また、上層フィルム30及び下層フィルム31の固着方法としては、熱溶着等の溶着の他、接着剤を用いた接着や超音波等を利用した固着等、特に限定されず公知の方法で構わない。
【0035】
次に、上述したように構成された吐出キャップ1を利用して、内容物を吐出する場合について説明する。
内容物を吐出する場合には、容器本体2を傾けたり、容器本体2の胴部をスクイズ変形させたりして、容器本体2内の内容物を連通開口27から流出させる。すると、図5に示すように、連通開口27から天壁部20上に流出した内容物によって上層フィルム30が押し上げられ、この上層フィルム30の非固着部30aが反転変形して上側に凸となるドーム状に膨出し、天壁部20から離間する。そのため、連通開口27から流出した内容物は、上層フィルム30と天壁部20との間の隙間に画成された流路に流れ込んだ後、吐出端26aに向かって流れ始める。
【0036】
ところで、上層フィルム30が膨出すると、該上層フィルム30に密着している下層フィルム31の非固着部31aが追従して反転変形し、同様に上側に凸となるドーム状に膨出して天壁部20から一旦離間するが、上記内容物が互いに密着している上層フィルム30と下層フィルム31とを上下に剥離しながら両フィルム30、31の間を吐出端26aに向けて流れるので、下層フィルム31の非固着部31aは押し下げられて天壁部20上に密接した状態となる。
そして、両フィルム30、31間を流れた内容物は、吐出端26aに達した時点で、該吐出端26aにおいて上層フィルム30と下層フィルム31との間に画成された吐出口40から外部に吐出される。
なお、下層フィルム31は、吐出端26aと連通開口27との間に位置する部分を横断する第2固着部32によって天壁部20上に固着されている(図3参照)ので、上記吐出時に内容物が下層フィルム31と天壁部20との間に入り込んでしまうことがない。しかも、上記横断部分よりも吐出端26a側に位置する部分において、第1固着部33と第2固着部32とが互いに重なりあっているので、内容物が下層フィルム31と天壁部20との間に入り込んでしまうことを確実に防止し易い。
【0037】
また、内容物の吐出を終了する場合には、容器本体2を元の正立姿勢に戻したりスクイズ変形を解除したりして、連通開口27からの内容物の流出を停止させる。これにより、上層フィルム30に付与されていた内容物による押圧力が解除され、反転変形していた上層フィルム30が弾性や容器本体2の内圧(負圧)によって元の状態に復元されるので、上下に離間していた上層フィルム30と下層フィルム31とが再度密着すると共に、両フィルム30、31が天壁部20に密接する。
これにより、図1に示すように、上記吐出口40が閉塞されると共に連通開口27が上層フィルム30によってシールされ、容器本体2の密閉性が再び確保される。
【0038】
上述したように、本実施形態の吐出キャップ1によれば、容器本体2の傾け等により連通開口27から内容物を流出させるだけの簡便な方法で吐出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に吐出操作を行うことができ、使い易い。なお、容器本体2を傾けるだけで内容物を吐出するように構成した場合には、スクイズ変形させるための握力が不要となり、力が小さい人でも容易に使用できる。
また、天壁部20の上面に下層フィルム31及び上層フィルム30からなるフィルム体4を被覆するだけの簡単な構成であるので、部品数が少なく容易に製造でき製造効率を高めることができるうえ、量産性の向上及び低コスト化を図り難い。
【0039】
特に、上層フィルム30に対して下層フィルム31が離間可能に密着しているので、例えば内容物を繰り返し吐出するうちに上層フィルム30に皺や局所的な膨らみ等の癖が付いてしまったとしても、それに追従するように下層フィルム31の非固着部31aが変形して上記癖を吸収するので、両フィルム30、31同士の密着状態が維持され、両フィルム30、31間に隙間等が生じ難い。従って、長期的に亘って内容物の漏出を防止し易く、容器本体2の密閉性を高めることができる。
【0040】
しかも、下層フィルム31の非固着部31aの全面が、上層フィルム30の非固着部30aに密着するので、密着面積を広範囲に確保でき、密着性をより高めて内容物の漏出をより効果的に抑制し易い。
加えて、下層フィルム31及び上層フィルム30は、吐出端26aから外方に向けて突出しているので、両フィルム30、31同士をより広範囲に密着させることができることからも、内容物の漏出をより効果的に抑制し易い。
【0041】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では容器本体2を積層剥離容器としたが、本発明に係る吐出キャップ1は他の構成の容器本体であっても適用可能であり、例えば容器本体2が通常の1層のボトルや剥離しない積層ボトル、ガラス瓶容器であっても良いし、口部付きのパウチ容器やチューブ容器であっても良い。
【0043】
また、吐出ヘッド3をアンダーカット嵌合により容器本体2の口部2aに装着させたが、アンダーカット嵌合に限定されるものではなく、例えば螺着させても構わない。この場合には、吐出口40が所望する方向に向くように、吐出ヘッド3を口部2aに対して周方向に位置決めさせる機構を設けることが好ましい。その機構としては、一般的に知られている周方向への回転規制を行う各種の方法を採用すれば良い。
【0044】
また、第1固着部33を天壁部20の外周縁に沿って延設したが、外周縁に沿って延設されていなくても良く、連通開口27を囲繞し、且つ吐出端26aにおいて開口するように延設されていれば良い。例えば、天壁部20が平面視円形状の場合、第1固着部33が平面視楕円状に延設されていても良い。
また、吐出端26aを1箇所としたが、2つ以上の吐出端26aを有するように構成しても構わない。
【0045】
また、天壁部20の上面を凹曲面状としたが、平坦面や凸曲面状にしても構わない。この場合には、天壁部20の上面を被覆するフィルム体4としては、伸縮性を有するフィルムを使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0046】
1…吐出キャップ
2…容器本体
2a…口部
3…吐出ヘッド
4…フィルム体
20…吐出ヘッドの天壁部
26a…吐出端
27…連通開口
30…上層フィルム
31…下層フィルム
32…第2固着部
33…第1固着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、
前記口部に装着され、前記容器本体の内部に連通する連通開口が天壁部に形成されると共に、該天壁部の外周縁の少なくとも一部が吐出端とされた有頂筒状の吐出ヘッドと、
前記天壁部の上面に被覆されたフィルム体と、を備え、
前記フィルム体は、
前記連通開口を囲繞し、且つ前記吐出端において開口した第1固着部を介して前記天壁部に固着され、第1固着部の内側部分が連通開口を覆ってシールする上層フィルムと、
前記上層フィルムと前記天壁部との間に配設され、且つ前記吐出端と前記連通開口との間に亘って天壁部に重ねられ、上層フィルムに離間可能に密着する下層フィルムと、を備え、
前記下層フィルムは、前記天壁部において、前記吐出端と前記連通開口との間に位置する部分を横断し、且つ吐出端において開口した第2固着部を介して天壁部に固着されていることを特徴とする吐出キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出キャップにおいて、
前記第1固着部及び第2固着部は、前記第2固着部が前記天壁部を横断している部分よりも前記吐出端側に位置する部分において、互いに重なり合っていることを特徴とする吐出キャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吐出キャップにおいて、
前記上層フィルム及び前記下層フィルムは、前記吐出端から外方に向けて突出していることを特徴とする吐出キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−251703(P2011−251703A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125068(P2010−125068)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】