説明

吐出器用のストッパー

【課題】吐出器からの取り外しを防止することができる、新規な吐出器用のストッパーを提供する。
【解決手段】ストッパー1は、ベース11を貫通する導管の上端に取り付けられたヘッド13の押し下げにより導管を通して送られた内容物を外界に吐出する吐出器に用いられ、ヘッド13とベース11との間に介在させて、ヘッド13の押し下げを阻止するものである。ヘッドとベースとの間から取り外し可能な側壁2と、この側壁2とヒンジ3を介して開閉可能に合さる補助側壁4とを有し、側壁2の外周面には、貫通孔を形成した把持部5が設けられている一方、補助側壁4には、側壁2と合せた状態で、貫通孔を通って把持部5に視認可能に掛り止めされる一方、側壁2から開くとき、補助側壁4から分離される係止片が設けられ、更に、ヒンジ3は、補助側壁4の操作により切断可能な薄肉部で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースを貫通する導管の上端に取り付けられたヘッドの押し下げにより導管を通して送られた内容物を外界に吐出する吐出器に用いられ、ヘッドとベースとの間に介在させて、ヘッドの押し下げを阻止する、吐出器用のストッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
吐出器の誤動作を防止するストッパーとしては、筒体の一部を軸線方向に沿って開放させることで、容器キャップから突出する導管から取り外し可能に収納するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−33646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のストッパーは、導管からの着脱が常時可能であるため、流通時における取り外しも可能である。このため、従来のストッパーは、吐出器からの取り外しを防止するための手段として、シュリンクフィルムで包装したり、ラベルを貼り付ける等、ストッパーとは別体の部材を用いなければならなかった。
【0005】
本発明は、こうした事実認識に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、別部材を用いることなく、吐出器からの取り外しを防止することができる、新規な吐出器用のストッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベースを貫通する導管の上端に取り付けられたヘッドの押し下げにより導管を通して送られた内容物を外界に吐出する吐出器に用いられ、ヘッドとベースとの間に介在させて、ヘッドの押し下げを阻止する、吐出器用のストッパーであって、
当該ストッパーは、ヘッドとベースとの間からの取り外しが可能な側壁と、この側壁とヒンジを介して開閉可能に合さる補助側壁とを有し、
側壁の外周面には、貫通孔を形成した突起部が設けられている一方、
補助側壁には、側壁と合せた状態で、突起部に形成した貫通孔を通って当該突起部に視認可能に掛り止めされる一方、側壁から開くとき、当該補助側壁から分離される係止片が設けられ、更に、ヒンジは、補助側壁の操作により切断可能に構成されたものであることを特徴とするものである。
【0007】
側壁は、ヘッドとベースとの間から取り外し可能なものであれば、ベース、導管及びヘッドの少なくともいずれか一つに対して取り外し可能な構成であればよい。また、補助側壁の操作によりヒンジを切断可能にする構成としては、例えば、切断予定線を薄肉で構成し、複数のスリット(開口)で構成し、又は、これらを組み合わせて構成するものが挙げられる。
【0008】
本発明によれば、係止片は補助側壁に設けるが、当該補助側壁は側壁に対して開閉するため、この開閉動作の際に用いられるタブを補助側壁に設ける場合には、当該タブと一体に設けることができる。
【0009】
また、係止片は、掛り止めされた状態で視認できれば、補助側壁の外周面のいずれにも設けることができるが、突起部に掛り止めされた状態で当該突起部から突出するものとすることも、突起部に掛り止めされた状態で貫通孔に収納されるものとすることもできる。
【0010】
更に、本発明に従えば、側壁には、ヘッドの接触を防止する保護カバーを一体に設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、側壁にヒンジを介して補助側壁を繋ぎ、当該補助側壁に設けた係止片を側壁に設けた突起部に視認可能に掛り止めることで構成されるため、補助側壁を開く等、外部からの積極的な操作が行われないと、吐出器から取り外すことができない。従って、本発明によれば、別部材を用いることなく、吐出器からの取り外しを防止することができる。
【0012】
また、本発明は、吐出器から取り外すとき、補助側壁を操作して側壁から開かなければならないが、補助側壁を開くときに係止片は補助側壁から分離される。これにより、使用者は係止片の有無により取り外し行為があったかどうかを判断できる。
【0013】
加えて、本発明は、吐出器から取り外すため補助側壁を操作すると、当該補助側壁と側壁とを繋ぐヒンジが切断される。これにより、使用者はヒンジの状態によっても取り外し行為があったかどうかを判断できる。
【0014】
特に、係止片を補助側壁の開閉する際に用いられるタブと一体に設ければ、補助側壁の操作に起因した外力が係止片の分離に効率的に作用するため、僅かな取り外し行為があった場合にも、かかる行為の有無を容易に判断することができる。
【0015】
また、係止片を突起部に掛り止めされた状態で当該突起部から突出するものとすれば、係止片の有無を比較的容易に認識できるので、取り外し行為の判断に有効である。
【0016】
或いは、係止片を突起部に掛り止めされた状態で貫通孔に収納されるものとすれば、係止片が未開封時において邪魔にならないため、省スペース化を図りつつ、取り外し行為を判断することができる。
【0017】
更に、側壁に、ヘッドの接触を防止する保護カバーを一体に設ければ、吐出器からの取り外し防止と共に、ストッパー本来の機能である、ヘッドの押し下げを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の形態である容器用ポンプのストッパーが、当該ポンプに装着された状態を模式的に示す正面図である。
【図2】図1の一部断面図である。
【図3】同形態のストッパーが、当該ポンプに装着された状態を模式的に示す側面図である。
【図4】同形態のストッパーが、当該ポンプに装着された状態を模式的に示す平面図である。
【図5】図1のX−X断面図である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、同形態のストッパーの開放状態を模式的に示す正面図及び、そのY−Y断面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、同形態のストッパーに係る係止片が掛り止めされた状態及び分離された状態を模式的に示す要部断面図であり、(c)は、本発明の第2の形態である容器用ポンプのストッパーの要部を模式的に示す要部断面図である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第3及び第4の形態である容器用ポンプのストッパーの要部を模式的に示す要部断面図である。
【図9】本発明の第4の形態である容器用ポンプのストッパーを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一形態を詳細に説明する。
【0020】
容器用ポンプ10は、図1に示すように、容器口部に螺着される装着筒(ベース)11と、この装着筒11から一体に起立する周壁11a(図2等参照)の内側を貫通して当該装着筒11の下側に配置したポンプPに繋がる導管12と、この導管12の先端に取り付けられたヘッド13とを備える。ヘッド13は、ノズル13aを有し、当該ヘッド13を上下動させることでポンプ作用を生起させる。
【0021】
ポンプPは、図2に示すように、シリンダP1に配置したピストンP2を導管12に連結したピストンガイドP3で保持すると共に、当該ピストンガイドP3の内側でポンププランジャP4を保持した既存のポンプである。
【0022】
ストッパー1は、その上端及び下端がそれぞれ、押圧ヘッド13の下端及び装着筒11の上端に接触することで、押圧ヘッド13の押し下げを阻止する、合成樹脂からなる一体成形品である。
【0023】
ストッパー1は、図5に示すように、周壁11aに包囲された導管12を取り囲む取り外し可能な側壁2と、この側壁2とヒンジ3を介して開閉可能に合さって当該側壁2と共に筒体を形成する補助側壁4とを有する。
【0024】
側壁2は、図6に示すように、筒体の一部を軸線O方向に沿って開放することで、その側端面f1の相互間に開口部A1が形成されている。これにより、側壁2は、図5に示すように、その開口部A1を通して導管12を周壁11aと共に、その横方向から収納し、また、当該周壁11aから取り外すことができる。なお、本形態では、側壁2の内側に、周壁11aを保持する複数の縦リブ2rが設けられている。
【0025】
また、側壁2の外周面には、把持部5が一体に設けられている。把持部5は、側壁2から外向きに突出する基部(以下、「把持部側基部」)5aと、この把持部側基部5aに繋がる把持部本体5bとからなる。把持部側基部5aには、貫通孔A2が形成されている。貫通孔A2は、図7(b)に示すように、その一部に段差5cを形成するように形作られている。
【0026】
これに対し、補助側壁4は、図5に示すように、側壁2の開口部A1に合さって当該開口部A1を閉じる小径部4aと、この小径部4aに段差4bを介して繋がり側壁2を取り囲む大径部4cとを有する。これにより、補助側壁4は、ヒンジ3を介して側壁2に合せたとき、側壁2と重なり合うようにして合さることで、周壁11aを取り囲む筒体を形成する。
【0027】
また補助側壁4は、更に、補助側壁4を開閉するために用いられるタブ4dを有する。タブ4dは、大径部4cから突出する基部(以下、「タブ側基部」)4d1と、このタブ側基部4d1に繋がるタブ本体4d2からなる。タブ側基部4d1は、図5等に示すように、補助側壁4を閉じたとき、側壁2の把持部側基部5aに合さる一方、タブ本体4d2は、把持部本体5bを迂回してその先端が把持部本体5bよりも外向きに突出する。
【0028】
タブ側基部4d1には、図6等に示すように、補助側壁4を閉じることで把持部側基部5aに掛り止めされる係止部4eが設けられている。係止部4eは、図7に示すように、タブ側基部4d1から突出する基部(以下、「係止部側基部」)4e1と、この係止部側基部4e1と一体に繋がる係止片4e2とを有する。
【0029】
係止片4e2は、図7(a)に示すように、タブ側基部4d1が把持部側基部5aに合さったとき、貫通孔A2を通って段差5cに引っ掛かることで、把持部側基部5aに外部からの視認が可能なように掛り止めされる。
【0030】
また、係止部側基部4e1と係止片4e2との間には薄肉部4e3が設けられている。これにより、係止片4e2は、図7(b)に示すように、タブ4dを用いて補助側壁4を開くとき、薄肉部4e3が切断されることでタブ側基部4d1から分離される。
【0031】
係止片4e2が分離すると、補助側壁4は、図6に示すように、ヒンジ3を基点に側壁2から開くことができるので、本発明では、ヒンジ3も図5等に示すように薄肉部として構成する。これにより、タブ4dを用いて補助側壁4を上向き(ヘッド13方向)或いは下向き(装着筒11方向)に操作すると、係止片4e2が分離した後、ヒンジ3が切断される。
【0032】
ヒンジ3が切断されると、補助側壁4は側壁2から分離されることで、容器用ポンプ10から取り外される。この後、使用者が把持部5を用いて側壁2を外側に引っ張れば、側壁2の側端面f2がそれぞれ周壁11aに沿って押し開かれ、開口部A1が拡大することで、周壁11aから当該側壁2を取り外すことができる。
【0033】
これにより、ヘッド13の押し下げが可能になることから、容器用ポンプ10では、ヘッド13を上下動させることでポンプ本体Pでのポンプ作用を生起させることができる。
【0034】
上述したとおり、本形態のストッパー1は、側壁2にヒンジ3を介して補助側壁4を繋ぎ、当該補助側壁4に設けた係止片4e2を側壁2に設けた把持部5に掛り止めるため、補助側壁4を開く等、外部からの積極的な操作が行われないと、容器用ポンプ10から取り外すことができない。従って、ストッパー1によれば、別部材を用いることなく、容器用ポンプ10からの取り外しを防止することができる。
【0035】
また、ストッパー1は、容器用ポンプ10から取り外すとき、補助側壁4を操作して側壁2から開かなければならないが、補助側壁4を開くときに係止片4e2は補助側壁4から分離される。これにより、使用者は係止片4e2の有無により取り外し行為があったかどうかを判断できる。即ち、ストッパー1は、係止片4e2を分離可能にしたことで、不正開封がなされたか否かを判別することができる、所謂、バージン機能を兼ね備える。
【0036】
加えて、ストッパー1は、容器用ポンプ10から取り外すため補助側壁4を操作すると、ヒンジ3が切断される。これにより、使用者はヒンジ3の状態によっても取り外し行為があったかどうかを判断できる。即ち、ストッパー1は、ヒンジ3を切断可能にしたことでも、バージン機能を発揮する。
【0037】
また、本形態の如く、係止片4e2を、補助側壁4を開閉する際に用いられるタブ4dと一体に設ければ、タブ4dの操作に起因した外力が係止片4e2の分離に効率的に作用するため、僅かな取り外し行為があった場合にも、かかる行為の有無を容易に判断することができる。
【0038】
加えて、ストッパー1は、図5等に示すように、係止片4e2を把持部側基部5aに掛り止めされた状態で視認可能に貫通孔A2に収納している。この場合、係止片4e2が未開封時において邪魔にならないため、省スペース化を図りつつ、取り外し行為を判断することができる。
【0039】
係止片4e2は、他の形態として、図7(c)に示すように、段差5cに対して傾斜して掛り止めされるものとすることもできる。この場合、引っ掛かりを浅くすることで、係止片4e2(貫通孔A2)をコンパクト化することができる。
【0040】
また、係止片4e2は、他の形態として、図8(a)に示すように、貫通孔A2を形作る段差5cを側壁2側に形成することで掛り止めすることもできる。また、本形態のように、係止片4e2を把持部側基部5aに掛り止めされた状態で当該把持部側基部5aから突出するものとすれば、係止片4e2の有無を比較的容易に認識できるので、取り外し行為の判断に有効である。
【0041】
係止片4d2は、更に他の形態として、図8(b)に示すように、側壁2側と把持部側との両側で掛り止めすることもできる。この場合、他の形態のように、貫通孔A2に段差5cを形作ることなく、同図に示すように、把持部側基部5aの表面に掛り止めすることができる。
【0042】
更に、他の形態として、図9に示すように、側壁2に、ヘッド13の接触を防止する保護カバー6を一体に設けることもできる。この場合、容器用ポンプ10からの取り外し防止と共に、ストッパー本来の機能である、ヘッド13の押し下げを確実に防止することができる。
【0043】
また、本形態では、把持部5とは別体に側壁2の外周面から突起部7を突出させ、この突起部7に形成した貫通孔A2に補助側壁4の係止片4e2を通して当該突起部7に視認可能に掛り止めさせている。なお、本形態の突起部7は、補助側壁4の側端面f2を一体に構成することで、補助側壁4を閉じたときにタブ4dと合さるが、図1等に示す形態の如く、構成することも可能である。
【0044】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、本発明に係る側壁2は、装着筒11とヘッド13との間から取り外し可能な構成であれば、本形態のように装着筒11に対して取り外し可能な構成であるものに限らず、装着筒11、導管12及びヘッド13の少なくともいずれか一つに対して取り外し可能な構成とすることができる。また、各形態に採用された各構成はそれぞれ、互いに適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ストッパー
2 側壁
3 ヒンジ
4 補助側壁
4a 小径部
4b 段差
4c 大径部
4d タブ
4d1 タブ側基部
4d2 タブ本体
4e 係止部
4e1 係止部側基部
4e2 係止片
4e3 薄肉部
5 把持部
5a 把持部側基部
5b 把持部本体
5c 把持部側段差
6 保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースを貫通する導管の上端に取り付けられたヘッドの押し下げにより導管を通して送られた内容物を外界に吐出する吐出器に用いられ、ヘッドとベースとの間に介在させて、ヘッドの押し下げを阻止する、吐出器用のストッパーであって、
当該ストッパーは、ヘッドとベースとの間から取り外し可能な側壁と、この側壁とヒンジを介して開閉可能に合さる補助側壁とを有し、
側壁の外周面には、貫通孔を形成した突起部が設けられている一方、
補助側壁には、側壁と合せた状態で、突起部に形成した貫通孔を通って当該突起部に視認可能に掛り止めされる一方、側壁から開くとき、当該補助側壁から分離される係止片が設けられ、更に、
ヒンジは、補助側壁の操作により切断可能に構成されたものであることを特徴とする、吐出器用のストッパー。
【請求項2】
請求項1において、係止片が、補助側壁を開閉するために用いられるタブと一体に設けられていることを特徴とする、吐出器用のストッパー。
【請求項3】
請求項1又は2において、係止片は、突起部に掛り止めされた状態で当該突起部から突出するものであることを特徴とする、吐出器用のストッパー。
【請求項4】
請求項1又は2において、係止片は、突起部に掛り止めされた状態で貫通孔に収納されるものであることを特徴とする、吐出器用のストッパー。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、側壁が、ヘッドの接触を防止する保護カバーを一体に有するものであることを特徴とする、吐出器用のストッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−172861(P2010−172861A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20786(P2009−20786)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】