説明

吐出器

【課題】販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる吐出器を提供する。
【解決手段】吐出器1において、カバー体18は周壁部31が押下ヘッド14及び案内筒部22に外嵌されることで吐出器本体16に装着され、押下ヘッド14に破断可能なブリッジ部36を介して連結された係合片35とカバー体18とが係合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、この装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、押下ヘッドを押下してステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、容器体内の内容物が移送されて吐出孔から吐出される吐出器本体、並びにこの吐出器本体のうち装着キャップの天壁部よりも上方に位置する部分を覆うカバー体を備える吐出器が知られている。
このようなカバー体として、例えば下記特許文献1に示されるように、不意に加えられた外力を受け止め、この外力がステムに伝わるのを防ぐことで内容物が吐出されることを防止する構成が知られている。
ところで近年では、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に加えられた外力によって内容物が吐出されてしまうことを防止でき、さらに未使用であることを容易に判別させることが可能な構成が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−327612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の吐出器では、カバー体が吐出器本体から外れ易く、しかも外された後に再度装着されると、カバー体が外れたことがあるか否かの判別が困難であり、前述の要望に対応し難いという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出器は、内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、前記装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドを押下して前記ステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、前記容器体内の内容物が移送されて前記吐出孔から吐出される吐出器本体を有する吐出器であって、前記吐出器本体のうち前記装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体を備え、前記カバー体は、前記押下ヘッドを上方から覆う頂部と、この頂部から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端が前記装着キャップの天壁部上に配置された周壁部と、を備え、前記装着キャップの天壁部には、前記押下ヘッドの上下動を案内する案内筒部が立設され、前記周壁部は、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部を有し、前記カバー体と前記吐出器本体との径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することで前記周壁部に対して着脱され、前記案内筒部には、前記周壁部内に周方向に沿って延設された内壁突起部が係止されることで前記吐出器本体に対する前記カバー体の上方に向けた移動を規制する凹部が形成され、前記押下ヘッドに、前記カバー体に係合することで前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することを規制する係合片が、破断可能なブリッジ部を介して連結されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ブリッジ部が破断される前には、押下ヘッドとカバー体とが、これらを連結する係合片によって径方向及び周方向の移動を規制される。また、カバー体の周壁部は装着キャップの天壁部上に配置され、かつ周壁部に設けられた内壁突起部が案内筒部の凹部に係止されているので、吐出器本体に対するカバー体の上下方向の相対移動も装着キャップによって規制される。したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができる。
【0008】
また、カバー体を吐出器本体から外すには、ブリッジ部を破断させ、その後、カバー体と吐出器本体とを径方向に沿って引き離すように相対的に移動させ、周壁部の開口部に吐出器本体を通過させて周壁部内から離脱させる。このように、カバー体を吐出器本体から外すために係合片のブリッジ部を破断しなければならないので、ブリッジ部を破断した後は初期構造に復元不能となり、購入者にカバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別させることができる。
【0009】
そして、購入者において内容物の使用後に保管する際には、周壁部の開口部と、吐出器本体の上側部分とを径方向で互いに対向させた状態で、カバー体と吐出器本体とを径方向に相対的に接近移動させる。これにより、吐出器本体の上側部分を周壁部の開口部に通過させて嵌合させ、カバー体を吐出器本体に装着する。装着されたカバー体は、その周壁部により押下ヘッドを径方向の外側から覆い、周壁部の下端は装着キャップの天壁部上に配置される。さらに、押下ヘッドの上方はカバー体の頂部により覆われる。
【0010】
以上のように、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体を吐出器本体に装着した状態では、周壁部の下端が装着キャップの天壁部上に配置されるとともに、カバー体の頂部により押下ヘッドの上方が覆われているので、吐出器に押下ヘッドおよびステムを下方に移動させる外力が加えられても、その力が、周壁部を介して装着キャップに伝達されて容器体により受け止められることとなり、押下ヘッドおよびステムの下方への移動は防止される。
したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体が吐出器本体に装着されているときには、不意に加えられた外力などによって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0011】
前記押下ヘッドが、頂壁部と、前記頂壁部の外周縁から下方に向けて延設された筒体とを有しており、前記係合片が、側面視で前記開口部内に配置されるとともに前記筒体の下端部に前記ブリッジ部を介して連結され、前記開口部の上方の前記頂部に形成された被係合部に係合されることも好ましい。
この構成によれば、カバー体と係合片との係合操作が容易であり、しかも係合片と被係合部との係合が解除されにくい構造とすることができる。
【0012】
前記係合片に、他の部位よりも変形容易な変形部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、カバー体と係合片との係合操作をより円滑に行うことができる吐出器となる。
より具体的には、前記変形部が、前記係合片に形成された凹溝であることが好ましく、あるいは、前記係合片に、前記ブリッジ部から前記係合部に向かう方向に延びるリブが形成されており、前記変形部が、前記リブに形成された切欠部であることも好ましい。
【0013】
前記周壁部に破断可能なブリッジ部を介して連結された一対の係合腕部を有し、前記係合片の前記押下ヘッドの周方向の両端部に、一対の前記係合腕部がそれぞれ係合される構成であってもよい。
このような構成とした場合にも、カバー体と係合片との係合操作が容易であり、しかも係合片と被係合部との係合が解除されにくい構造とすることができる。
より具体的には、前記周壁部の内面側に、前記案内筒部の周面に沿って配置される上面視円弧状の内壁突起部が設けられており、一対の前記係合腕部が、前記内壁突起部の各々の先端部に破断可能なブリッジ部を介して連結されていることが好ましい。
【0014】
前記押下ヘッドの周面に形成された凹部と、前記周壁部の内面に形成され前記凹部に係合されることで前記カバー体の前記押下ヘッドに対する周方向の移動を規制するリブと、を有することも好ましい。
この構成によれば、カバー体と押下ヘッドとの位置合わせを簡便に行うことができ、その結果、係合腕部と係合片との位置合わせが容易に成されるため、係合腕部と係合片との連結操作を円滑に行うことができる吐出器となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吐出容器は、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能であり、しかも購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吐出器の半縦断面図。
【図2】図1のB方向矢視図。
【図3】(a)は図1の領域Xを拡大した図、(b)は係合片の変形例を示す図。
【図4】ユーザーにより取り外されたカバー体及び係合片を示す図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る吐出器の半縦断面図。
【図6】図5のC方向矢視図。
【図7】図5のA−A線に沿う位置における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る吐出器1は、図1から図3に示されるように、内容物が収容された容器体2の口部2aに装着される有頂筒状の装着キャップ11と、この装着キャップ11に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム12を有するポンプ13と、ステム12の上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッド14と、を備える吐出器本体16、並びに吐出器本体16のうち装着キャップ11の天壁部17よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体18を備えている。
吐出器1は、カバー体18を吐出器本体16から外した状態で、押下ヘッド14を押下してステム12を下方に移動させポンプ13を作動させることにより、容器体2内の内容物を移送し吐出孔から吐出させる。
【0019】
ここで、容器体2、装着キャップ11およびステム12それぞれの中心軸は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を中心軸Oといい、中心軸O方向に沿ってカバー体18の頂部30側を上側、容器体2の図示されない底部側を下側といい、また中心軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに中心軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0020】
装着キャップ11は、中央部に円形の開口が形成された天壁部17と、天壁部17の外周縁部から下方に向けて延設された外筒部21と、天壁部17に前記開口と同軸に配置されるとともに上方に向けて延設された案内筒部22と、を備えている。外筒部21の内周面には雌ねじ部が形成されており、この雌ねじ部が容器体2の口部2aに形成された雄ねじ部に螺合されることにより、装着キャップ11が容器体2に装着されている。案内筒部22の基端部(装着キャップ11との連結部)近傍には、全周にわたってフランジ部22aが径方向の外側に向けて突設されている。フランジ部22aと天壁部17とによって案内筒部22の全周にわたる溝状の凹部22bが形成されている。
【0021】
ポンプ13は、ステム12と、内部にステム12の下部が上下動自在に配設されたシリンダ23と、シリンダ23の内部に上下摺動自在に配設された図示されないピストン部材と、ステム12を上方に向けて付勢する図示されない付勢部材と、を備えている。
ステム12の上部は、シリンダ23の上端から上方に突出し、かつ装着キャップ11の案内筒部22内に配設され、さらにその上端部は案内筒部22の上端から上方に突出している。
シリンダ23は、円筒状に形成されるとともに中心軸Oと同軸に配設されている。シリンダ23の上端には、全周にわたってフランジ部23aが径方向の外側に向けて突設されている。フランジ部23aは、装着キャップ11の天壁部17の下面と、容器体2の口部2aの開口端縁上のパッキン24と、により上下方向に挟み込まれている。シリンダ23の下端部内には、図示されないパイプの上端部が嵌合されており、このパイプの下端開口部が容器体2内の底部に位置している。
【0022】
押下ヘッド14は、頂壁部26と、頂壁部26の下面における中央部から下方に向けて延設された筒体である装着筒部27と、頂壁部26の外周縁から下方に向けて延設され装着筒部27を径方向の外側から囲繞する筒体である囲繞筒部28と、囲繞筒部28の外周面に径方向の外側に向けて突設された吐出筒29とを備えている。囲繞筒部28の外周面にはブリッジ部36を介して係合片35が連結されている。
装着筒部27内にステム12の上端部が嵌合され、装着筒部27の内部とステム12の内部とは連通している。吐出筒29の先端には、吐出筒29の内部を介して装着筒部27の内部に連通する吐出孔29aが形成されている。
【0023】
囲繞筒部28において、上部28aの外周面は上方から下方に向かうに従い漸次縮径されている。一方、下部28bの外周面は上下方向における全長にわたって同等の外径となっている。囲繞筒部28の下部28bの外径は、上部28aの下端における外径と同等である。
囲繞筒部28の下部28bにおける内径は案内筒部22の外径よりも大きく、押下ヘッド14の上下動に伴い、案内筒部22が囲繞筒部28内に下側から進退移動する。また、カバー体18を後述のように吐出器本体16から外したときには、囲繞筒部28の下端開口縁は、その全周にわたって装着キャップ11の天壁部17の上面に上方から対向する。図示の例では、案内筒部22の上端部は、押下ヘッド14の押下時および非押下時の別を問わず常に囲繞筒部28内に位置している。
【0024】
上記の構成において、押下ヘッド14を押下すると、まずステム12が下方に向けて移動させられる。このステム12の移動に追従して、上記したピストン部材がシリンダ23の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ23内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ23内の内容物が、ステム12内に進入してステム12内を上方に向けて移動する。
その後、押下ヘッド14の押下を解除すると、上記した付勢部材の上方付勢力により上記ピストン部材がシリンダ23の内周面に摺接しつつ上方に向けて復元移動する。これにより、シリンダ23内が減圧され、容器体2内に収容されている内容物がポンプ13のパイプを通してシリンダ23内に吸い上げられる。
【0025】
そして本実施形態では、カバー体18は、吐出器本体16の上側部分である押下ヘッド14と案内筒部22とを覆うものとされている。カバー体18は、吐出器本体16において押下ヘッド14を上方から覆う頂部30と、頂部30から下方に向けて延設され、押下ヘッド14及び案内筒部22の外周面に離脱可能に外嵌される周壁部31と、を備えている。
【0026】
頂部30は、平板状に形成されており、押下ヘッド14の頂壁部26を上方からそのほぼ全域にわたって覆っている。頂部30には上面視で押下ヘッド14の頂壁部26から径方向に張り出した部分が設けられており、この張り出した部分に押下ヘッド14と連結された係合片35が係合される貫通孔30a(被係合部)が形成されている。また、頂部30の頂壁部26と対向する面には、頂部30の変形を防止する2本のリブ30bが設けられている。
【0027】
周壁部31は、その下端が装着キャップ11の天壁部17上に配置され、上部側が押下ヘッド14の囲繞筒部28の外周面に当接若しくは近接させられて、押下ヘッド14及び案内筒部22に外嵌されている。周壁部31は、図2に示すように、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部31aを有しており、上面視でC字状に形成されている。
より詳しくは、周壁部31は、囲繞筒部28の上部28aに外嵌される上部31bと、囲繞筒部28の下部28b及び案内筒部22に外嵌される下部31cとを有する。上部31bの外周面は、囲繞筒部28の上部28aの外周面に倣い上方から下方に向かうに従って漸次縮径されている。下部31cの外周面は、囲繞筒部28の下部28bと同様に、上下方向における全長にわたって一様な外径を有する。
【0028】
また周壁部31の下部31cは、上部31bの側端面よりも周方向に張り出した張出部31d、31dを有しており、下部31cは囲繞筒部28及び案内筒部22の周方向においてそれらの半周以上を覆う長さとされている。これにより、カバー体18および吐出器本体16の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、押下ヘッド14及び案内筒部22が開口部31aを周方向に拡幅するように周壁部31を弾性変形させながら開口部31aを径方向に通過することで、押下ヘッド14及び案内筒部22が周壁部31内に対して着脱される。
【0029】
周壁部31における下部31cの下端部には、上面視円弧状の内壁突起部31eが形成されている。内壁突起部31eは、案内筒部22の基端近傍に形成されたフランジ部22aと天壁部17との間の凹部22bに嵌合される。内壁突起部31eが凹部22bに嵌合されることで、カバー体18の吐出器本体16に対する上下方向の移動が規制される。
また、下部31cの案内筒部22上端近傍には、上面視円弧状の内壁突起部31fが形成されている。内壁突起部31fに囲繞筒部28の下端部が突き当てられることで、押下ヘッド14の装着キャップ11に対する上下方向の移動が規制される。
また、周壁部31の上部31bにおける周方向の中央部に、内部に押下ヘッド14の吐出筒29が収納される先端閉塞の収納体38が径方向の外側に向けて突設されている。なお、収納体38の内面と吐出筒29の外面との間には隙間が設けられている。
【0030】
上記構成のカバー体18は、押下ヘッド14に連結された係合片35によって吐出部本体16に固定される。
ここで、係合片35は、図1及び図2に示すように矩形の板状の部材であり、囲繞筒部28の外周面に形成された凹部28c内に、2本のブリッジ部36を介して連結されている。係合片35は、ブリッジ部36を屈曲(弾性変形)させることで上下方向に揺動させることができる。
係合片35の一方の面には、係合片35の長さ方向に沿って延びる変形防止用のリブ35bが形成されている。また係合片35の先端には、カバー体18の貫通孔30aに係止される鉤形の係止部35a(係合部)が形成されている。さらに、図3(a)に示すように、係止部35aとリブ35bとの間に凹溝35cが形成されている。かかる凹溝35cにより肉厚が薄くされた部位が、他の部位よりも変形容易な変形部とされている。
【0031】
係合片35をカバー体18に固定するには、カバー体18を吐出部本体16に被着した状態で、図1に示すように係合片35を上方に立ち上げ、係合片35の係止部35aを頂部30の貫通孔30aに係止させる。図3(a)に示すように、貫通孔30aに係止された係合片35は、囲繞筒部28の外周面と当接あるいは近接して配置され、囲繞筒部28の径方向外側に突出する膨出部28dと貫通孔30aとにより移動(上下方向の揺動)を規制される。これにより、貫通孔30aと係合片35との係合が解除されることが防止される。
【0032】
また本実施形態の場合、頂部30のリブ30bが、係合片35によってカバー体18が移動を規制される方向(図1左右方向、図2奥行き方向)に沿って延びており、かつ2本のリブ30bが貫通孔30aを挟み込むようにして配置されている。これにより、貫通孔30a近傍における頂部30の変形が防止され、より係合が解除されにくい構造とされている。
【0033】
さらに、本実施形態の場合、係合片35に凹溝35cが形成されていることで、係止部35aを貫通孔30aに円滑に係止させることができる。図3(a)に示すように、係合片35を係合させる動作において、係合片35を上方に立ち上げて貫通孔30aに接近させると、係合片35の先端面35dが頂部30の側端面30cに突き当たる。この状態からさらに係合片35を囲繞筒部28側へ押し込むと、係合片35の凹溝35cの形成部位(変形部)で係合片35が屈曲され、先端面35dが側端面30cから逃がされる。これにより係止部35aが貫通孔30a内に滑り込み、係止部35aが貫通孔30aに係止される。
【0034】
さらに本実施形態の場合、係合片35の先端面35dが曲面形状とされるとともに、頂部30の側端面30cが斜め下方に向いた傾斜面とされている。これにより、係合片35を囲繞筒部28側へ押し込んだときに、先端面35dを側端面30c上で摺動させることができるので、小さい力で係合片35を押し込むことができる。
【0035】
なお、係合片35に設けられる変形部の構成は、図3(a)に示す凹溝35cに限られず、係合片35に所望の弾性変形を生じさせ得る任意の構造を採用することができる。例えば、図3(b)に示すように、係合片35に設けられたリブ35bに切欠部35eを形成した構成とすることができる。
かかる構成では、切欠部35eが設けられた部位が、リブ35bが設けられた他の部位よりも変形容易な変形部となり、係合片35を囲繞筒部28側へ押し込んだときに係合片35に弾性変形を生じさせる。これにより、係止部35aの貫通孔30a内への円滑な移動が達成される。
【0036】
次に、吐出器1において、カバー体18を吐出器本体16から取り外すには、カバー体18を図1に示す矢印aの方向に引っ張ることで貫通孔30aに係止されている係合片35に径方向への力を加え、係合片35と押下ヘッド14とを連結しているブリッジ部36を破断させる。あるいは、係合片35に直接力を加えてブリッジ部36を破断させてもよい。そして、カバー体18を吐出器本体16に対して径方向に離間移動させることで、装着キャップ11の案内筒部22を周壁部31の開口部31aに径方向に通過させ、吐出器本体16の上側部分を周壁部31から離脱させる。
【0037】
上記の操作により、カバー体18と係合片35とが吐出器本体16から取り外される。図4に示すように、取り外されたカバー体18では、係合片35は自在に移動可能となるため、係合片35を図示の矢印b方向に移動させることで容易に貫通孔30aから離脱させることができる。
そして、係合片35を取り除かれたカバー体18は、購入者において内容物の使用後に保管する際に再使用することができる。再使用する際には、カバー体18の周壁部31の開口部31aと、装着キャップ11の案内筒部22及び押下ヘッド14とを径方向で互いに対向させた状態で、カバー体18と吐出器本体16とを相対的に径方向に接近移動させる。そうして押下ヘッド14と案内筒部22とを開口部31aに径方向に通過させて周壁部31に嵌合させる。これにより、押下ヘッド14は、上方から頂部30により覆われるとともに、径方向の外側から周壁部31により覆われ、周壁部31の下端は、装着キャップ11の天壁部17上に配置される。さらに、周壁部31の内壁突起部31eは案内筒部22の凹部22bに嵌合され、内壁突起部31fには囲繞筒部28の下端が当接される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、係合片35のブリッジ部36が破断される前には、カバー体18の周壁部31が押下ヘッド14を径方向の外側から覆い、係合片35がカバー体18と押下ヘッド14とを連結しているので、カバー体18の吐出器本体16に対する径方向の移動が規制される。また、周壁部31の下端部に形成された内壁突起部31eが案内筒部22の凹部22bに嵌合されているので、カバー体18の吐出器本体16に対する上下方向の移動も規制される。
【0039】
したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体18が吐出器本体16から外れるのを防ぐことができる。
また、カバー体18を吐出器本体16から外すためには、係合片35と押下ヘッド14とを連結しているブリッジ部36を破断しなければならず、ブリッジ部36を破断した後は、係合片35は貫通孔30aに遊嵌状態となるか、あるいは貫通孔30aから脱落するため、初期構造に復元不能となる。よって、購入者にカバー体18が吐出器本体16から外されたことがあるか否かを容易に判別させることができる。
【0040】
さらに、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体18を吐出器本体16に装着した状態では、押下ヘッド14が上方からカバー体18の頂部30により覆われており、周壁部31の下端が装着キャップ11の天壁部17上に配置されるとともに、内壁突起部31fと囲繞筒部28の下端とが当接した状態となる。したがって、吐出器1に押下ヘッド14およびステム12を下方に移動させる外力が加えられても、その力は周壁部31を介して装着キャップ11に伝達されて容器体2により受け止められることとなり、押下ヘッド14およびステム12の下方への移動を防止することができる。
よって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体18が吐出器本体16に装着されているときには、不意に加えられた外力などによって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0041】
また本実施形態では、収納体38が、周壁部31の上部31bにおける周方向の中央部に径方向の外側に向けて突設されているので、内容物の使用後にカバー体18を再び吐出器本体16に装着する際、収納体38により吐出筒29の進入方向を案内させながら周壁部31を案内筒部22に嵌合することが可能になり、カバー体18を吐出器本体16に容易に装着することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る吐出器の第2の実施形態について、図5から図7を参照しつつ説明する。
なお、以下で参照する各図において、先の第1実施形態に係る吐出器1と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略することとする。また、図5において破断部分に示される断面構造は、それぞれ図7に示すE−E線、F−F線に沿う位置における断面構造である。
【0043】
第2の実施形態に係る吐出器100は、図5及び図6に示されるように、内容物が収容された容器体2の口部2aに装着される有頂筒状の装着キャップ111と、この装着キャップ111に上方付勢状態で下方移動可能に貫設された図示されないステムを有するポンプ13と、上記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッド114と、を備える吐出器本体116、並びに吐出器本体116のうち装着キャップ111の天壁部17よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体118を備えている。
本実施形態の吐出器100は、カバー体118を吐出器本体116から外した状態で、押下ヘッド114を押下して上記ステムを下方に移動させポンプ13を作動させることにより、容器体2内の内容物を移送し吐出孔から吐出させるものである。
【0044】
吐出器本体116を構成する装着キャップ111は、中央部に円形の開口が形成された天壁部17と、天壁部17の外周縁部から下方に向けて延設された外筒部21と、天壁部17に前記開口と同軸に配置されるとともに上方に向けて延設された案内筒部122と、を備えている。本実施形態の場合、案内筒部122の上端近傍の外周面に、溝状の凹部122bが全周にわたって形成されている。
【0045】
押下ヘッド114は、頂壁部26と、頂壁部26の下面における中央部から下方に向けて延設された図示されない装着筒部と、頂壁部26の外周縁から下方に向けて延設され上記装着筒部を径方向の外側から囲繞する囲繞筒部128と、囲繞筒部128の外周面に径方向の外側に向けて突設された吐出筒29と、を備えている。囲繞筒部128の外周面にはブリッジ部136を介して係合片135が連結されている。
【0046】
囲繞筒部128において、上部128aの外周面は上方から下方に向かうに従い漸次縮径されている。一方、下部128bの外周面は上下方向における全長にわたって同等の外径となっている。下部128bの外径は、上部128aの下端における外径と同等である。
囲繞筒部128の下部128bの外周面のうち、吐出筒29の下方の領域には、上下方向に延びる溝状の凹部128dが形成されている。凹部128dの形成位置から外周面を回り込んだ反対側に、ブリッジ部136を介して係合片135が連結されている。
【0047】
係合片135は、図7に示すように、上面視で囲繞筒部128の外周面に沿って延びる円弧状である。係合片135は、その両端部の2箇所と中央部の1箇所に形成されたブリッジ部136を介して囲繞筒部128の外周面下端部に連結されている。
係合片135の両端部には、それぞれ下方に突出する突起体137が形成されている。突起体137は、先端に係止部を有するキノコ形であり、笠形の係止部と、この係止部と係合片135とを接続する柱状の接続部とを有している。
【0048】
カバー体118は、吐出器本体116において押下ヘッド114を上方から覆う頂部130と、頂部130から下方に向けて延設され、押下ヘッド114及び案内筒部122の外周面に離脱可能に外嵌される周壁部131と、を備えている。
【0049】
頂部130は、平板状に形成されており、押下ヘッド114の頂壁部26を上方からそのほぼ全域にわたって覆っている。
周壁部131は、その下端が装着キャップ111の天壁部17上に配置され、上部側が押下ヘッド114の囲繞筒部128の外周面に当接若しくは近接させられて、押下ヘッド114及び案内筒部122に外嵌されている。周壁部131は、図5及び図7に示すように、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部131aを有する上面視C字状に形成されている。
周壁部131は、図6に示すように、囲繞筒部128の上部128aに外嵌される上部131bと、囲繞筒部128の下部128b及び案内筒部122に外嵌される下部131cとを有する。上部131bの外周面は、囲繞筒部128の上部128aの外周面に倣い上方から下方に向かうに従って漸次縮径されている。一方、下部131cの外周面は、囲繞筒部128の下部128bと同様に上下方向における全長にわたって一様な外径を有する。
【0050】
また周壁部131の下部131cは、図5に示すように、上部131bの側端面よりも周方向に張り出した張出部131dを有しており、かかる張出部131dが形成された部位において、下部131cは囲繞筒部128の半周以上を覆う長さとされている。これにより、カバー体118および吐出器本体116の径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、押下ヘッド114及び案内筒部122が、開口部131aを周方向に拡幅するように周壁部131を弾性変形させながら開口部131aを径方向に通過することで、押下ヘッド114及び案内筒部122が周壁部131内に対して着脱される。
【0051】
周壁部131の下部131cの内面には、案内筒部122の凹部122bに嵌合される円弧状の内壁突起部140が形成されている。内壁突起部140の両端には、それぞれ、ブリッジ部146を介して係合腕部145が連結されている。
また、下部131cの内面において案内筒部122の外周面と対向する領域には、リブ131eが設けられている。かかるリブ131eは、周壁部131の変形を防止する部材であるとともに、カバー体118を吐出器本体116に装着したときに案内筒部122の外周面に突き当たり、周壁部131と案内筒部122との間隔を規定する部材となる。
また、下部131cの内面において、押下ヘッド114の凹部128dと対向する領域には、リブ131fが設けられている。かかるリブ131fはカバー体118を吐出器本体116に装着したときに凹部128dに係合され、カバー体118と吐出器本体116との軸回りの相対移動を規制する。
【0052】
また、周壁部131の上部131bにおける周方向の中央部に、内部に押下ヘッド114の吐出筒29が収納される先端閉塞の収納体38が径方向の外側に向けて突設されている。なお、収納体38の内面と吐出筒29の外面との間には隙間が設けられている。
【0053】
上記構成のカバー体118は、押下ヘッド114に連結された係合片135と、周壁部131に連結された係合腕部145とを係合させることにより吐出器本体116に固定される。
ここで、係合腕部145は、図5及び図7に示すように、矩形の板状の部材であり、周壁部131の内面に形成された内壁突起部140の先端に、破断可能なブリッジ部146を介して連結されている。係合腕部145の先端側には、係合片135の突起体137が係止される貫通孔145aが形成されている。
周壁部131を案内筒部122に外嵌させると、内壁突起部140は、案内筒部122の凹部122bに嵌合され、ブリッジ部146から延びる係合腕部145の貫通孔145aが、係合片135の突起体137と上面視で重なる位置に配置される。この状態から、係合腕部145を上方に移動させ貫通孔145aに突起体137を挿入する。すると、突起体137の係止部が貫通孔145aに引っかかり、係合片135と2つの係合腕部145とが連結される。
なお、本実施形態では、周壁部131の内面に形成されたリブ131fを囲繞筒部128の外周面に形成された凹部128dに係止させることで、周壁部131と押下ヘッド114とが周方向に位置合わせされる。これにより、係合腕部145の貫通孔145aと、係合片135の突起体137との位置合わせが容易かつ確実に成される。
【0054】
次に、吐出器100において、カバー体118を吐出器本体116から取り外すには、まず、カバー体118を押下ヘッド114に固定している係合片135に力を加えて取り去る。その際、係合片135と係合腕部145とは突起体137と貫通孔145aとにより連結されているので、係合片135に力を加えるとブリッジ部136及びブリッジ部146が破断される。これにより、図7に示すように、係合片135と係合腕部145とが吐出器本体116から離脱される。
その後、カバー体118を吐出器本体116に対して径方向(図5の矢印a方向)に離間移動させることで、装着キャップ111の案内筒部122を周壁部131の開口部131aに径方向に通過させて離脱させる。
【0055】
また本実施形態においても、係合腕部145を取り除かれたカバー体118は、購入者において内容物の使用後に保管する際に再使用することができる。この場合には、周壁部131の開口部131aと、装着キャップ111の案内筒部122及び押下ヘッド114とを径方向で互いに対向させた状態で、カバー体118と吐出器本体116とを相対的に径方向に接近移動させる。そうして押下ヘッド114と案内筒部122とを開口部131aに径方向に通過させ、周壁部131に嵌合させ、カバー体118を吐出器本体116に装着する。これにより、押下ヘッド114は、上方から頂部130により覆われるとともに、径方向の外側から周壁部131により覆われ、周壁部131の下端は、装着キャップ111の天壁部17上に配置される。さらに、周壁部131の内壁突起部140は案内筒部122の凹部122bに嵌合され、内壁突起部140の上面には囲繞筒部128の下端が突き当てられる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態による吐出器100においても、係合片135のブリッジ部136及び係合腕部145のブリッジ部146が破断される前には、押下ヘッド114とカバー体118とが固定されており、カバー体118の吐出器本体116に対する径方向の移動が規制される。また、周壁部131に形成された内壁突起部140が案内筒部122の凹部122bに嵌合されているので、カバー体118の吐出器本体116に対する上下方向の移動も規制される。
【0057】
したがって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体118が吐出器本体116から外れるのを防ぐことができる。
また、カバー体118を吐出器本体116から外すためには、係合片135と押下ヘッド114とを連結しているブリッジ部136、及び係合腕部145と内壁突起部140とを連結しているブリッジ部146を破断しなければならず、ブリッジ部136、146を破断した後は、係合片135及び係合腕部145は取り去られるため、初期構造に復元不能となる。よって、カバー体118が吐出器本体116から外されたことがあるか否かを購入者に容易に判別させることができる。
【0058】
さらに、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体118を吐出器本体116に装着した状態では、押下ヘッド114が上方からもカバー体118の頂部130により覆われており、周壁部131の下端が装着キャップ111の天壁部17上に配置されるとともに、内壁突起部140の上面と囲繞筒部128の下端とが当接した状態となる。したがって、吐出器100に対してカバー体118の上方から外力が加えられても、その力は周壁部131を介して装着キャップ111に伝達されて容器体2(装着キャップ111)により受け止められることとなり、押下ヘッド114の下方への移動を防止することができる。
よって、販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時、さらには購入者による内容物の使用後の保管時の別を問わず、カバー体118が吐出器本体116に装着されているときには、不意に加えられた外力などによって内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【0059】
また本実施形態においても、収納体38が、周壁部131の上部131bにおける周方向の中央部に径方向の外側に向けて突設されているので、内容物の使用後にカバー体118を再び吐出器本体116に装着する際、収納体38により吐出筒29の進入方向を案内させながら周壁部131を案内筒部122に嵌合することが可能になり、カバー体118を吐出器本体116に容易に装着することができる。
【0060】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0061】
例えば、押下ヘッド14、114において、内壁突起部31f、131fの上面に、上側から囲繞筒部28、128の下端開口縁が当接若しくは近接する構成としたが、内壁突起部31f、131fは設けなくとも良い。
【0062】
また、押下ヘッド14、114に吐出筒29を設けなくてもよい。また、カバー体18、118に収納体38を設けなくてもよい。また、ポンプ13は、前記実施形態に限らず例えば、空気シリンダや空気ピストン等がポンプ13に付け加えられたいわゆるフォーマポンプや、霧化用のチップを吐出孔に設けたスプレーポンプ、エアゾールバルブ等としてもよい。
さらに、装着キャップを容器の口部に凹凸係合(所謂、アンダーカット係合)やスナップ嵌合によって取り付けてもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
販売前の流通、保管時あるいは販売陳列時等に、他人により意図的にあるいは不意に外力が加えられてもカバー体が吐出器本体から外れるのを防ぐことができるとともに、カバー体が吐出器本体から外されたことがあるか否かを容易に判別することが可能で、さらに購入者自身が内容物の使用を開始した後も、不意に加えられた外力により内容物が吐出されてしまうのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0065】
1,100 吐出器、2 容器体、2a 口部、11,111 装着キャップ、17 天壁部、12 ステム、13 ポンプ、14,114 押下ヘッド、16,116 吐出器本体、18,118 カバー体、21 外筒部、22,122 案内筒部、22b,122b 凹部、23 シリンダ、26 頂壁部、27 装着筒部、28,128 囲繞筒部、29 吐出筒、30 頂部、30a,145a 貫通孔(被係合部)、31,131 周壁部、31a 開口部、32 頂部、35,135 係合片、36,136,146 ブリッジ部、38 収納体、137 突起体、140 内壁突起部、145 係合腕部、O 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、前記装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されるとともに吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドを押下して前記ステムを下方に移動させ前記ポンプを作動させることにより、前記容器体内の内容物が移送されて前記吐出孔から吐出される吐出器本体を有する吐出器であって、
前記吐出器本体のうち前記装着キャップの天壁部よりも上方に位置する上側部分を覆うカバー体を備え、
前記カバー体は、前記押下ヘッドを上方から覆う頂部と、この頂部から下方に向けて延設され前記上側部分を径方向の外側から覆うとともに下端が前記装着キャップの天壁部上に配置された周壁部と、を備え、
前記装着キャップの天壁部には、前記押下ヘッドの上下動を案内する案内筒部が立設され、
前記周壁部は、上下方向に延び下方に向けて開口する開口部を有し、前記カバー体と前記吐出器本体との径方向に沿った相対的な進退移動に伴い、前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することで前記周壁部に対して着脱され、
前記案内筒部には、前記周壁部内に周方向に沿って延設された内壁突起部が係止されることで前記吐出器本体に対する前記カバー体の上方に向けた移動を規制する凹部が形成され、
前記押下ヘッドに、前記カバー体に係合することで前記上側部分が前記開口部を径方向に通過することを規制する係合片が、破断可能なブリッジ部を介して連結されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出器であって、
前記押下ヘッドが、頂壁部と、前記頂壁部の外周縁から下方に向けて延設された筒体とを有しており、
前記係合片が、側面視で前記開口部内に配置されるとともに前記筒体の下端部に前記ブリッジ部を介して連結され、前記開口部の上方の前記頂部に形成された被係合部に係合されることを特徴とする吐出器。
【請求項3】
請求項2記載の吐出器であって、
前記係合片に、他の部位よりも変形容易な変形部が形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項4】
請求項1に記載の吐出器であって、
前記周壁部に破断可能なブリッジ部を介して連結された一対の係合腕部を有し、
前記係合片の前記押下ヘッドの周方向の両端部に、一対の前記係合腕部がそれぞれ係合されることを特徴とする吐出器。
【請求項5】
請求項4に記載の吐出器であって、
前記周壁部の内面側に、前記案内筒部の周面に沿って配置される上面視円弧状の内壁突起部が設けられており、
一対の前記係合腕部が、前記内壁突起部の各々の先端部に破断可能なブリッジ部を介して連結されていることを特徴とする吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−274225(P2010−274225A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131526(P2009−131526)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】