説明

吐出容器

【課題】内容物を吐出孔から正確な位置に付着させること。
【解決手段】内部に容器本体11が収容され、かつ吐出ヘッド19が固定される外ケース13と、該外ケース13の内部から外部に向けて露出する操作ボタン14と、を備え、外ケース13は、開閉軸O3回りに開閉自在に連結された一対のケース分割体42、43が互いに組み合わされてなり、操作ボタン14は、容器軸O1に交差する押込み方向に沿って外ケース13の内側に向けて押し込まれるように、外ケース13に回動軸O2回りに回動自在に連結され、該操作ボタン14には、押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、装着キャップ15に該装着キャップ15の下方から当接する押上げ部35が設けられている吐出容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を吐出孔から吐出して被付着部分に付着させる吐出容器として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器本体と、該容器本体内の内容物を吐出する吐出器と、を備える構成が知られている。該吐出器は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、ステムの上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔が頂壁部に形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−13053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容物を被付着部分に付着させるときに、吐出ヘッドを容器本体に対して押し下げて内容物を吐出孔から吐出するため、この吐出時に吐出ヘッドが移動することで、内容物を正確な位置に付着させることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体内の内容物を吐出する吐出器と、を備え、該吐出器は、前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、前記ステムの上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔が頂壁部に形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備える吐出容器であって、内部に前記容器本体が収容され、かつ前記吐出ヘッドが固定される外ケースと、該外ケースの内部から外部に向けて露出する操作ボタンと、を備え、前記外ケースは、開閉軸回りに開閉自在に連結された一対のケース分割体が互いに組み合わされてなり、前記操作ボタンは、容器軸に交差する押込み方向に沿って前記外ケースの内側に向けて押し込まれるように、前記外ケースに回動軸回りに回動自在に連結され、該操作ボタンには、前記押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、前記装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、当該吐出容器を形成するときには、まず、一対のケース分割体のうちの一方のケース分割体において、その分割面に沿って形成された開口を通して、該ケース分割体に操作ボタンを配置するとともに回動軸回りに回動自在に連結する。その後、該ケース分割体と他方のケース分割体とを開閉軸回りに相対的に接近移動させ、これらの両分割体の間に、操作ボタンと、吐出器が組み付けられた容器本体と、の両方を挟みこむようにして両分割体を組み合せ、外ケースを形成する。
また、当該吐出容器から内容物を吐出するときには、操作ボタンを押し込むと、操作ボタンが、回動軸回りに回動することで押込み方向に沿った前側に移動する。このとき、操作ボタンの押上げ部と、装着キャップと、が互いに摺接した状態で、操作ボタンが押込み方向に沿った前側に移動することとなり、装着キャップが、押上げ部上を摺動して上方に向けて移動する。これにより、装着キャップが、容器本体とともに外ケースの内部でステムおよび吐出ヘッドに対して押し上げられ、容器本体内の内容物が吐出孔から吐出される。
【0008】
以上より、操作ボタンを押し込むことで、内容物を吐出孔から吐出させることができるので、内容物の吐出時に、吐出ヘッドおよび外ケースは上下動させないままにしておくことが可能になり、吐出孔の被付着部分に対する位置を安定させ、内容物を正確な位置に付着させることができる。
また操作ボタンが、回動軸回りに回動することで押込み方向に沿った前側に移動するので、操作ボタンの押込み方向に沿った移動を安定させることが可能になり、押上げ部により装着キャップを確実に押し上げることができる。
さらに、吐出容器を形成するときに、容器本体および操作ボタンを、外ケース内にその口部を通さずに配置することができるので、容器本体および操作ボタンの大きさによらず、外ケースの口部を小さくすることが可能になり、当該吐出容器の小型化を図ることができる。
【0009】
また、前記外ケース内には、前記装着キャップの前記押込み方向に沿った前側に向けた移動を規制するとともに、該装着キャップの上方に向けた移動を案内する案内部が設けられていてもよい。
【0010】
この場合、外ケース内に前記案内部が設けられているので、操作ボタンを押し込んだときに、装着キャップの押込み方向の位置を安定させた状態で、装着キャップを円滑に上方に向けて移動させることが可能になり、内容物を確実に吐出させることができる。
【0011】
また、前記開閉軸は、前記回動軸と平行に延在していてもよい。
【0012】
この場合、開閉軸が、回動軸と平行に延在しているので、ケース分割体を開閉軸回りに開閉させる方向を、操作ボタンを回動軸回りに回動させる方向と一致させることが可能になり、両ケース分割体を簡便に組み合わせることができる。
【0013】
また、前記操作ボタンには、該操作ボタンが後退端位置に位置するときに、前記外ケースに設けられた被係合部に係合することで、該操作ボタンの前記押込み方向に沿った後側に向かう回動を規制する規制部が設けられていてもよい。
【0014】
この場合、操作ボタンに、前記規制部が設けられているので、操作ボタンが押し込まれておらず後退端位置に位置する待機状態で、操作ボタンが外ケースの外部に向けて意図せず大きく張り出すのを抑えることが可能になり、操作ボタンが不用意に押し込まれるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る吐出容器によれば、内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の部分縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器の側面図である。
【図3】図1に示す吐出容器の平面図である。
【図4】図1に示す吐出容器において、ケース分割体を組み合わせる前の状態を示す部分縦断面図である。
【図5】図1に示す吐出容器の作用を説明するための部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器を説明する。
図1および図2に示すように、吐出容器10は、内容物が収容される容器本体11と、該容器本体11内の内容物を吐出する吐出器12と、内部に容器本体11が収容される外ケース13と、該外ケース13の内部から外部に向けて露出する操作ボタン14と、を備えている。該吐出容器10は、例えば内容物としての点鼻剤を鼻孔内に吐出する点鼻容器などとして用いられる。
【0018】
ここで、容器本体11および外ケース13は有底筒状に形成され、これらの容器本体11および外ケース13の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸O1といい、容器軸O1に沿って外ケース13の口部13a側を上側といい、その反対側を下側という。
【0019】
吐出器12は、容器本体11の口部11aに装着される装着キャップ15と、該装着キャップ15に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム16を有する吐出器本体17と、ステム16の上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔18が頂壁部19aに形成された有頂筒状の吐出ヘッド19と、を備えている。該吐出器12は、吐出ヘッド19を押し下げてステム16を下方に移動させ、吐出器本体17を作動させることにより、容器本体11内の内容物を、吐出ヘッド19内を通して吐出孔18から吐出させる。
【0020】
装着キャップ15は、容器軸O1と同軸に配置されるとともに容器軸O1方向の両側に開口し容器本体11の口部11aに外装された本体筒部20と、該本体筒部20の外周面に突設された軸部21と、を備えている。
本体筒部20は、下方から上方に向かうに従い漸次、縮径する多段の筒状に形成されており、本体筒部20のうちの下段部が、前記口部11aに外装されている。
図3に示すように、軸部21は、本体筒部20の前記下段部の外周面に、容器軸O1を間に挟むように一対配設されている。これらの軸部21同士の容器軸O1方向の位置は、互いに同等となっている。
【0021】
図1および図2に示すように、吐出器本体17は、前記ステム16と、装着キャップ15から下方に向けて延在するとともに容器本体11内に収容され、内部にステム16の下端部が上下動自在に配設された図示しないシリンダと、ステム16の下端部に設けられるとともに前記シリンダの内部に上下摺動自在に配設された図示しないピストン部材と、ステム16と前記シリンダとの間に介装されるとともに、ステム16を上方付勢する図示しない付勢部材と、を備えており、本実施形態では吐出器本体17として、いわゆるポンプ機構を採用している。
ステム16は、容器軸O1と同軸に配置され、ステム16の上端部は、本体筒部20の上端から上方に突出している。
【0022】
吐出ヘッド19は、容器軸O1と同軸に配置されるとともに、下端から上端に向かうに従い漸次、縮径しており、例えば前記鼻孔内に挿入容易に構成されている。
吐出ヘッド19の頂壁部19aには、前記吐出孔18が、容器軸O1と同軸に配設されている。また該頂壁部19aには、容器軸O1と同軸に配置され内部が吐出孔18と連通するノズル筒部22が、下方に向けて延設されており、該ノズル筒部22の下端部内には、吐出器本体17のステム16の上端部が嵌合されている。
【0023】
吐出ヘッド19の下端部は、装着キャップ15における本体筒部20のうちの上段部に上下動自在に外挿されており、該下端部の外周面には、その全周にわたって延在する環状溝23が形成されている。図示の例では、吐出ヘッド19の下端部の外周面には、容器軸O1と同軸に配置された環状のフランジ部24の内周縁が連結されている。該フランジ部24は、容器軸O1方向に間隔をあけて一対配設されており、これらのフランジ部24の間に前記環状溝23が形成されている。そして該環状溝23内に外ケース13の口部13aが嵌合されており、これにより、外ケース13に吐出ヘッド19が固定されている。
【0024】
図1に示すように、該操作ボタン14は、容器軸O1に交差する押込み方向に沿って外ケース13の内側に向けて押し込まれるように、外ケース13に回動軸O2回りに回動自在に連結されている。本実施形態では、押込み方向は、容器軸O1に直交する方向とされており、押込み方向と回動軸O2方向とが、容器軸O1に直交する図示しない直交面上で互いに直交している。
ここで外ケース13のうち、当該吐出容器10を回動軸O2方向から見た正面視で、容器軸O1よりも押込み方向の後側に位置する後側部分には、該後側部分を押込み方向に貫通する開口部25が形成されており、前記操作ボタン14は、該開口部25から外部に向けて露出している。
【0025】
操作ボタン14は、開口部25よりも押込み方向に沿った後側に位置する押込み部材26と、押込み部材26の下端部から、押込み方向に沿った前側斜め下側に向けて延設され、下端部が外ケース13内に位置する下部材27と、押込み部材26の上端部から押込み方向に沿った前側に延設され、前端部が外ケース13内に位置する上部材28と、これらの下部材27および上部材28に上下両端部が各別に連結されるとともに、後端部が押込み部材26に連結された側部材29と、側部材29から押込み方向に沿った前側に向けて突設された押上げ部材30と、を備えている。
【0026】
押込み部材26は、表裏面が押込み方向に直交する板状に形成されており、押込み部材26において押込み方向に沿った後側を向く表面26aが、操作ボタン14における被押込み部分となっている。
図2に示すように、当該吐出容器10を押込み方向から見た側面視において、押込み部材26は前記開口部25の内側に位置している。なお図示の例では、押込み部材26および開口部25それぞれの側面視形状はいずれも、辺部が容器軸O1方向および回動軸O2方向の各方向に沿う矩形状となっており、押込み部材26の回動軸O2方向に沿った大きさは、容器本体11および装着キャップ15の回動軸O2方向に沿った各大きさよりも大きくなっている。
【0027】
下部材27は、両側端部が押込み部材26の両側端部に面一に連結された板状に形成されており、下部材27において両側端部の間に位置する部分には、該下部材27を押込み方向に貫通するとともに該下部材27の下端縁に向けて開口する第1進入凹部31が形成されている。図1に示すように、この第1進入凹部31内には、前記容器本体11が配置されており、第1進入凹部31の端縁と、容器本体11の外周面と、の間には、押込み方向の第1隙間S1があいている。
【0028】
上部材28は、両側端部が押込み部材26の両側端部に面一に連結された板状に形成されており、上部材28において両側端部の間に位置する部分には、該上部材28を容器軸O1方向に貫通するとともに該上部材28の前端縁に向けて開口する第2進入凹部32が形成されている。この第2進入凹部32内には、前記装着キャップ15が配置されており、第2進入凹部32の端縁と、装着キャップ15の外周面と、の間には、押込み方向の第2隙間S2があいている。
【0029】
また、上部材28の側端部には、操作ボタン14が後退端位置に位置するときに、外ケース13に設けられた被係合部33に係合することで、該操作ボタン14の押込み方向に沿った後側に向かう回動を規制する規制部34が設けられている。本実施形態では、被係合部33は、外ケース13における開口部25の開口周縁部により構成されるとともに、規制部34は、上部材28から上方に向けて突出する突起状に形成されており、被係合部33に、該被係合部33の押込み方向に沿った前側から当接している。
側部材29は、押込み部材26、下部材27および上部材28の各側端部同士を連結し、表裏面が回動軸O2方向に直交する板状に形成されており、装着キャップ15および容器本体11を回動軸O2方向に挟むように一対配設されている。
【0030】
押上げ部材30は、一対の側部材29それぞれに設けられ、装着キャップ15を回動軸O2方向に挟むように一対配設されており、表裏面が側部材29の表裏面に面一に連結された板状に形成されている。押上げ部材30は、側部材29の下端部よりも上側に配設されるとともに、押上げ部材30の容器軸O1方向の位置は、押込み部材26の容器軸O1方向の位置と同等とされており、押上げ部材30は、当該操作ボタン14を押し込んだときに押込み方向に沿った前側に移動する。
【0031】
そして本実施形態では、該押上げ部材30には、押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、装着キャップ15に該装着キャップ15の下方から当接する押上げ部35が設けられている。
押上げ部35は、押上げ部材30の端縁により構成されており、図示の例では、押上げ部材30の上端縁により構成されている。押上げ部35は、前記正面視で、容器軸O1を押込み方向に跨るように延在している。また押上げ部35は、装着キャップ15の軸部21に、該軸部21の下方から当接しており、図示の例では、押上げ部35のうち、前記正面視で容器軸O1よりも押込み方向に沿った後側に位置する部分が、装着キャップ15の軸部21に当接している。また図3に示すように、押上げ部35は、装着キャップ15のうち、容器軸O1を間に挟んで互いに反対側に位置する各部分である各軸部21に当接するように、一対配設されている。
【0032】
以上のように構成された操作ボタン14において、押込み部材26、下部材27の上端部、上部材28の後端部および側部材29の後端部からなる操作ボタン14の後端部が、外ケース13の内部から外部に向けて前記開口部25を通して張り出すとともに、側部材29および下部材27の各下端部からなる操作ボタン14の下端部が、外ケース13に連結されている。
【0033】
操作ボタン14の下端部には、外ケース13に設けられた被連結部36に連結される連結部37が設けられている。連結部37は、回動軸O2と同軸に配置された正面視円形状の軸部材とされ、図2に示すように、操作ボタン14の下端部から回動軸O2方向の外側に向けて突設されている。
図1および図4に示すように、被連結部36は、外ケース13の前記後側部分における下端部の内周面に配設されており、本実施形態では、内部に前記連結部37が回動軸O2回りに回転自在に嵌合された正面視円形状の凹部とされている。
【0034】
なお図示の例では、外ケース13の前記後側部分における下端部には、回動軸O2方向の内側に向けて張り出す張出し部38が形成されており、この張出し部38と外ケース13の底面との間に前記被連結部36が形成されている。さらに張出し部38には、該張出し部38の前端縁と被連結部36とを接続する接続溝39が形成されており、被連結部36は、この接続溝39を通して押込み方向に沿った前側に向けて開口している。
【0035】
また外ケース13内には、装着キャップ15の押込み方向に沿った前側に向けた移動を規制するとともに、装着キャップ15の上下動を案内する案内部40が設けられている。
案内部40は、外ケース13のうち、前記正面視で、容器軸O1よりも押込み方向の前側に位置する前側部分に配設されており、本実施形態では、外ケース13の前記前側部分から押込み方向の後側に向けて突設されている。そして案内部40は、装着キャップ15の本体筒部20の外周面に形成された縦溝41内に、該縦溝41の内壁面に押込み方向に沿った前側から近接または当接した状態で、上下摺動自在に配置されている。なお図示の例では、案内部40は、容器軸O1方向に延在するとともに、縦溝41は、容器軸O1方向の両側に向けて開口しており、案内部40の下端部が、縦溝41内にその上端開口部を通して上方から挿入されている。
【0036】
ここで図4に示すように、外ケース13は、開閉軸O3回りに開閉自在に連結された一対のケース分割体42、43が互いに組み合わされてなる。本実施形態では、開閉軸O3は、回動軸O2に平行に延在しており、外ケース13は、押込み方向に直交するとともに容器軸O1が通過する図示しない分割面に沿って押込み方向に2分割されており、本実施形態では、一対のケース分割体42、43として、外ケース13の前記前側部分を構成する第1分割体42と、外ケース13の前記後側部分を構成する第2分割体43と、が備えられている。
【0037】
これらの両分割体42、43は、両分割体42、43に各別に設けられた取付け部材44、45を介して連結されている。図2および図4に示すように、第1分割体42には、下方に向けて延在する第1取付け部材44が、回動軸O2方向に隙間をあけて一対配設されている。これらの両第1取付け部材44にはそれぞれ、回動軸O2方向に貫通する正面視円形状の取付け孔44aが、開閉軸O3と同軸に配設されている。また第2分割体43には、両第1取付け部材44の間に配置される第2取付け部材45が突設されており、この第2取付け部材45には、両第1取付け部材44の各取付け孔44a内に、開閉軸O3回りに回転自在に嵌合される正面視円形状の一対の取付け軸45aが突設されている。
【0038】
ここで、以上のように構成された吐出容器10を形成するときには、まず、第2分割体43において、その分割面に沿って形成された開口を通して、第2分割体43に操作ボタン14を配置し、操作ボタン14の前記後端部を開口部25から外ケース13の外部に張り出させるとともに、連結部37を、接続溝39を通して被連結部36内に嵌合させ、操作ボタン14の下端部を外ケース13に連結する。これにより操作ボタン14が、第2分割体43において回動軸O2回りに回動自在に連結される。
また、第1分割体42において、その分割面に沿って形成された開口を通して、第1分割体42に吐出器12が組み付けられた容器本体11を配置し、第1分割体42における口部13aを、吐出ヘッド19の環状溝23内に嵌合させながら、第1分割体42の案内部40を装着キャップ15の縦溝41内に配置する。
さらに、第2分割体43の取付け軸45aを、第1分割体42の取付け孔44a内に嵌合させる。
【0039】
その後、両分割体42、43を開閉軸O3回りに相対的に接近移動させ、これらの両分割体42、43の間に、操作ボタン14と容器本体11との両方を挟みこむ。そして、第2分割体43における口部13aを、吐出ヘッド19の環状溝23内に嵌合させて両分割体42、43を組み合わせ、外ケース13を形成する。
以上により、吐出器12および容器本体11が外ケース13内に配置された吐出容器10が形成される。
【0040】
次に、前記吐出容器10を用いて内容物を吐出するときには、図5に示すように、操作ボタン14の押込み部材26の表面26aを外ケース13の内側に向けて押し込むと、操作ボタン14が、前記第1隙間S1および前記第2隙間S2を押込み方向に狭めながら回動軸O2回りに回動することで、押込み方向に沿った前側に移動する。
【0041】
すると、装着キャップ15の押込み方向に沿った前側に向けた移動が案内部40により規制され、かつ操作ボタン14の押上げ部35と、装着キャップ15と、が互いに摺接した状態で、操作ボタン14が押込み方向に沿った前側に移動することとなり、装着キャップ15の軸部21が、押上げ部35上を摺動し、装着キャップ15が、上方に向けて移動する。このとき本実施形態では、案内部40が縦溝41内を摺動することで、この案内部40により、装着キャップ15の上方に向けた移動が案内される。
【0042】
これにより、装着キャップ15が、容器本体11とともに外ケース13の内部でステム16および吐出ヘッド19に対して押し上げられ、ステム16が、容器本体11に対して相対的に下方に向けて移動させられる。このとき、ステム16の移動に追従して前記ピストン部材が前記シリンダの内周面に摺接しつつ下方に移動し、該シリンダ内の内容物が圧縮され、ステム16内および吐出ヘッド19の前記ノズル筒部22内を流通して吐出孔18から吐出される。
【0043】
その後、操作ボタン14の押し込みを解除すると、ステム16に作用する付勢力により、装着キャップ15が容器本体11とともにステム16および吐出ヘッド19に対して押し下げられる。このとき装着キャップ15の軸部21が、押上げ部材30の押上げ部35に摺接しながら、装着キャップ15が下方に移動することで、押上げ部材30が、押込み方向に沿った後側に向けて移動させられ、操作ボタン14が復元移動させられる。
【0044】
以上説明したように、操作ボタン14を押し込むことで、内容物を吐出孔18から吐出させることができるので、内容物の吐出時に、吐出ヘッド19および外ケース13は上下動させないままにしておくことが可能になり、吐出孔18の被付着部分に対する位置を安定させ、内容物を正確な位置に付着させることができる。
また操作ボタン14が、回動軸O2回りに回動することで押込み方向に沿った前側に移動するので、操作ボタン14の押込み方向に沿った移動を安定させることが可能になり、押上げ部35により装着キャップ15を確実に押し上げることができる。
【0045】
また、外ケース13内に前記案内部40が設けられているので、操作ボタン14を押し込んだときに、装着キャップ15の押込み方向の位置を安定させた状態で、装着キャップ15を円滑に上方に向けて移動させることが可能になり、内容物を確実に吐出させることができる。
【0046】
また、操作ボタン14に、前記規制部34が設けられているので、操作ボタン14が押し込まれておらず後退端位置に位置する待機状態で、操作ボタン14が外ケース13の外部に向けて意図せず大きく張り出すのを抑えることが可能になり、操作ボタン14が不用意に押し込まれるのを抑制することができる。
【0047】
また、吐出容器10を形成するときに、容器本体11および操作ボタン14を、外ケース13内にその口部13aを通さずに配置することができるので、容器本体11および操作ボタン14の大きさによらず、外ケース13の口部13aを小さくすることが可能になり、当該吐出容器10の小型化を図ることができる。
さらに、開閉軸O3が、回動軸O2と平行に延在しているので、ケース分割体42、43を開閉軸O3回りに開閉させる方向を、操作ボタン14を回動軸O2回りに回動させる方向と一致させることが可能になり、両ケース分割体42、43を簡便に組み合わせることができる。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、開閉軸O3が、回動軸O2と平行でなくてもよい。
また前記実施形態では、外ケース13は、押込み方向に直交するとともに容器軸O1が通過する分割面に沿って押込み方向に2分割されているものとしたが、開閉軸回りに開閉自在に連結された一対のケース分割体が互いに組み合わされてなる他の構成に、適宜変更可能である。例えば、外ケース13が、容器軸O1を通過しない分割面に沿って押込み方向に2分割されていてもよく、また、外ケース13が、回動軸O2方向や容器軸O1方向に2分割されていてもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、一対のケース分割体42、43は、両分割体42、43に各別に設けられた取付け部材44、45を介して連結されているものとしたが、これに限られず、これらの両分割体42、43が、ヒンジを介して連結されて一体に成形されていてもよい。さらに、ケース分割体と操作ボタンとがヒンジを介して一体に成形されていてもよい。
【0050】
また、案内部40は、前記実施形態に示したものに限られず、装着キャップの押込み方向に沿った前側に向けた移動を規制するとともに、該装着キャップの上方に向けた移動を案内する構成であれば、適宜変更することが可能である。
さらに案内部40はなくてもよい。
【0051】
また、規制部34は前記実施形態に示したものに限られず、該操作ボタンが後退端位置に位置するときに、外ケースに設けられた被係合部に係合することで、該操作ボタンの押込み方向に沿った後側に向かう回動を規制する構成であれば、適宜変更することが可能である。例えば、規制部34としての下部材27が、被係合部33としての外ケース13における開口部25の開口周縁部に、該開口周縁部の押込み方向に沿った前側から係合してもよい。
さらに前記実施形態では、操作ボタン14の押込み方向が、容器軸O1に直交する方向であるものとしたが、容器軸O1に交差する方向であれば、これに限られない。
【0052】
また前記実施形態では、押上げ部35が、押上げ部材30の上端縁により構成されているものとしたが、これに限られない。例えば、押上げ部材30に回動軸O2方向に貫通するとともに、押上げ部材30の押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在する貫通溝が形成され、この貫通溝を画成する端縁が、押上げ部35とされてもよい。
【0053】
また前記実施形態では、押上げ部35が、装着キャップ15の軸部21に、軸部21の下方から当接しているものとしたが、これに限られるものではない。例えば装着キャップ15の本体筒部20に、該本体筒部20の下方から当接していてもよい。
さらに前記実施形態では、前記待機状態で、押上げ部35が、装着キャップ15に当接しているものとしたが、操作ボタン14が押し込まれたときに、押上げ部35が装着キャップ15に当接する構成であれば、前記待機状態で、押上げ部35が、装着キャップ15に当接せずに近接していたり、離間していたりしてもよい。
【0054】
また操作ボタン14は、前記実施形態に示したものに限られず、容器軸に交差する押込み方向に沿って外ケースの内側に向けて押し込まれるように、外ケースに回動軸回りに回動自在に連結される他の構成を採用することが可能である。
さらに前記実施形態では、吐出器本体17として、いわゆるポンプ機構を採用したが、これに代えて、例えばエアゾール機構などの他の構造を採用してもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 吐出容器
11 容器本体
11a 口部
12 吐出器
13 外ケース
14 操作ボタン
15 装着キャップ
16 ステム
17 吐出器本体
18 吐出孔
19 吐出ヘッド
19a 頂壁部
33 被係合部
34 規制部
40 案内部
41 縦溝
42、43 ケース分割体
O1 容器軸
O2 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
該容器本体内の内容物を吐出する吐出器と、を備え、
該吐出器は、
前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、
前記ステムの上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔が頂壁部に形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備える吐出容器であって、
内部に前記容器本体が収容され、かつ前記吐出ヘッドが固定される外ケースと、
該外ケースの内部から外部に向けて露出する操作ボタンと、を備え、
前記外ケースは、開閉軸回りに開閉自在に連結された一対のケース分割体が互いに組み合わされてなり、
前記操作ボタンは、容器軸に交差する押込み方向に沿って前記外ケースの内側に向けて押し込まれるように、前記外ケースに回動軸回りに回動自在に連結され、
該操作ボタンには、前記押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、前記装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記外ケース内には、前記装着キャップの前記押込み方向に沿った前側に向けた移動を規制するとともに、該装着キャップの上方に向けた移動を案内する案内部が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出容器であって、
前記開閉軸は、前記回動軸と平行に延在していることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出容器であって、
前記操作ボタンには、該操作ボタンが後退端位置に位置するときに、前記外ケースに設けられた被係合部に係合することで、該操作ボタンの前記押込み方向に沿った後側に向かう回動を規制する規制部が設けられていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246043(P2012−246043A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121467(P2011−121467)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】