説明

吐出容器

【課題】内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる吐出容器を提供すること。
【解決手段】内容物を収容する容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、内容物を吐出する吐出孔4Aが形成された吐出器4と、を備え、吐出器4が、容器本体2の口部3に装着される装着キャップ15と、装着キャップ15に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム16を有するポンプ17と、ステム16の上端部に固定されると共に、頂壁部38に吐出孔4Aが形成された有頂筒状の吐出ヘッド18と、吐出ヘッド18を径方向外側から囲繞し、装着キャップ15に固着された外郭筒19と、を有し、吐出ヘッド18が、ステム16と共に装着キャップ15及び外郭筒19に対して押下されたときに、内容物を外郭筒19の先端開口19Aを通して吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を吐出孔から吐出させて被付着部分に付着させる吐出容器として、内容物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着されて内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出器と、を備え、吐出器が、容器本体の口部に装着される装着キャップと、装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、ステムの上端部に固定されると共に、頂壁部に吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−13053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような吐出容器では、内容物を被付着部分に付着させる際に、吐出ヘッドを容器本体に対して押し下げて内容物を吐出孔から吐出させるので、吐出ヘッドが被付着部分に対して押し下げ前の位置から移動する。そのため、吐出孔が押し下げ前後で移動してしまい、内容物を正確な位置に付着させることが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、内容物を正確な位置に付着させることができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出容器は、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出器と、を備え、前記吐出器が、前記容器本体の前記口部に装着される装着キャップと、前記装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、前記ステムの上端部に固定されると共に、頂壁部に前記吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドを径方向外側から囲繞し、前記装着キャップに固着された外郭筒と、を有し、前記吐出ヘッドが、前記ステムと共に前記装着キャップ及び前記外郭筒に対して押下されたときに、内容物を前記外郭筒の先端開口を通して吐出させることを特徴とする。
【0007】
この発明では、吐出ヘッドを上下動させても外郭筒の先端開口が被付着部分に対して移動せず、吐出孔から吐出した内容物がこの先端開口を通って吐出容器の外部に吐出されるので、内容物を正確な位置に付着させることができる。すなわち、吐出ヘッドをステムと共に装着キャップ及び外郭筒に対して押し下げると、外郭筒が装着キャップに固着されていることから、吐出ヘッドが外郭筒に対して下降する。そして、吐出孔から内容物を吐出するときに、吐出孔の上下方向における位置が外郭筒の先端開口と同じまたはこの先端開口よりも下方に位置すると、吐出孔から吐出した内容物は、外郭筒の先端開口を通って被付着部分に向けて吐出される。このように、吐出ヘッドの押下前後で被付着部分に対して移動しない外郭筒の先端開口を通して被付着部分に向けて内容物を吐出させるので、内容物を被付着部分に対して正確に付着させることができる。
【0008】
また、本発明の吐出容器では、前記吐出ヘッドが、径方向外側に突出する操作部を有し、前記外郭筒には、前記操作部が径方向に貫通する貫通部が形成されてもよい。
この場合では、操作部を操作して吐出ヘッドを下方に移動させることによって吐出ヘッドをステムと共に装着キャップ及び外郭筒に対して押し下げることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる吐出容器によれば、吐出ヘッドを上下動させても被付着部分に対して移動しない外郭筒の先端開口を通して被付着部分に向けて内容物を吐出させるので、内容物を被付着部分に対して正確に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態における吐出容器を示す軸方向断面図である。
【図2】図1の吐出容器を示す別の軸方向断面図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】図1の吐出容器の使用状態を説明する軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明における吐出容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態における吐出容器1は、図1及び図2に示すように、例えば点鼻薬などの内容物を収容する有底円筒状の容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、内容物を吐出する吐出孔4Aが形成された吐出器4と、を備えている。
ここで、容器本体2及び吐出孔4Aそれぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を中心軸Oとし、中心軸Oに沿って吐出孔4A側を上側、容器本体2側を下側と称し、中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸O回りの方向を周方向と称する。
【0013】
容器本体2は、有底円筒状の胴部11と、胴部11の上端に上方に向けて突設された円筒状の口部3と、を有する。これら胴部11及び口部3は、中心軸Oと同軸に配設されている。口部3の外周面には、雄ネジ部が形成されている。
吐出器4は、容器本体2の口部3に装着される円筒状の装着キャップ15と、装着キャップ15に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム16を有するポンプ(吐出器本体)17と、ステム16の上端部に固定されると共に、頂壁部38に吐出孔4Aが形成された有頂円筒状の吐出ヘッド18と、吐出ヘッド18を径方向外側から囲繞し、装着キャップ15に固着された円筒状の外郭筒19と、を有する。これら装着キャップ15、ポンプ17、吐出ヘッド18及び外郭筒19は、中心軸Oと同軸に配設されている。
【0014】
装着キャップ15は、口部3に螺着される円筒状の装着筒部21と、装着筒部21の上端から上方に向けて突設された円筒状の固着筒部22と、装着筒部21及び固着筒部22よりも径方向内側に配設された円筒状の案内筒部23と、案内筒部23の下端と装着筒部21の上端とを接続する平面視円環状の接続板部24と、を有する。
【0015】
装着筒部21の内周面には、口部3の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。
案内筒部23の上部における外径は、案内筒部23の下部における外径よりも小さく、案内筒部23における上部と下部との接続部分には、段部が形成されている。また、案内筒部23の上部の下端部には、径方向内側に張り出すと共に下方に向けて突出する嵌合筒部25が形成されている。つまり、案内筒部23の上部と嵌合筒部25との接続部分には、段部が形成されている。
接続板部24の下面には、接続板部24と口部3の開口端縁との間で挟みこまれる平面視円環状のパッキン26が配設されている。
【0016】
ポンプ17は、装着キャップ15に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム16と、内部にステム16の下端部が上下動自在に配設された円筒状のシリンダ28と、シリンダ28の内部に上下摺動自在に配設されたピストン部材(図示略)と、ステム16を上方に付勢する付勢部材(図示略)と、を有する。
【0017】
ステム16の上部は、シリンダ28の上端から上方に突出し、かつ装着キャップ15の案内筒部23の径方向内側に配設されている。また、ステム16の上端部は、案内筒部23の上端から上方に突出している。
シリンダ28の上端部は、案内筒部23における下部と嵌合筒部25との間で挟み込まれており、嵌合筒部25の外周面と案内筒部23の下部の内周面との間に形成される間隙内に嵌め込まれて固定されている。
シリンダ28の下端部内には、パイプ29の上端部が嵌合されており、このパイプ29の下端開口部は、容器本体2の底部に位置している。
【0018】
吐出ヘッド18は、円筒状のヘッド本体部31と、ヘッド本体部31の上端部内に配設された有頂円筒状の吐出部32と、を有する。
ヘッド本体部31は、円筒状のヘッド筒部33と、ヘッド筒部33の下端から下方に向けて突設された円筒状の取付筒部34と、ヘッド筒部33よりも径方向外側に配設された円筒状の外筒部35と、ヘッド筒部33の下端と外筒部35の上端とを接続する平面視円環状の連結板部36と、外筒部35の上下方向の中間部から径方向外側に向けて突設された一対の操作部37と、を有する。
【0019】
ヘッド筒部33の内周面には、径方向内側に向けて突設された複数の突出リブ部33Aが周方向に間隔をあけて複数形成されており、突出リブ部33Aの下端は、ステム16の上端に当接している。
取付筒部34は、ステム16の上端部と案内筒部23との間に配設されており、ステム16の上部に装着されている。また、外筒部35は、案内筒部23の径方向外側に配設されている。これら取付筒部34及び外筒部35の上端部は、案内筒部23よりも上方に位置している。
一対の操作部37は、図3に示すように、平面視矩形状の板部材であり、中心軸Oを径方向で挟むように形成されている。
【0020】
吐出部32は、図1及び図2に示すように、有頂円筒状をなしており、平面視円状の頂壁部38と、頂壁部38の外周縁から下方に向けて突設された円筒状の外壁部39と、を有する。
頂壁部38の中央には、吐出孔4Aが形成されており、外壁部39は、ヘッド筒部33の上端部の径方向内側に装着されている。
吐出ヘッド18の上端は、外郭筒19の先端開口19Aよりも上方に突出している。
【0021】
外郭筒19は、円筒状の上筒部41と、上筒部41の下端から下方に向けて突設された円筒状の下筒部42と、を有する。
上筒部41は、ヘッド筒部33を径方向外側から囲繞している。
下筒部42は、外筒部35を径方向外側から囲繞しており、その上側部分が下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向けて膨出している。また、下筒部42の下端部は、固着筒部22内に嵌合されている。さらに、下筒部42の上下方向の中間部には、径方向外方に向けて突出するフランジ部43が設けられている。このフランジ部43と下筒部42の下端部のうちの少なくとも一方は、例えば超音波溶着、接着、融着などによって固着筒部22に固着されている。なお、外郭筒19は、吐出ヘッド18の操作に伴って装着キャップ15に対して上下動しないように固着されていれば、超音波溶着、接着、融着などを用いなくてもよい。
また、下筒部42には、中心軸Oを径方向で挟むように一対のスリット部(貫通部)42Aが上下方向にわたって形成されている。一対のスリット部42Aは、一対の操作部37と周方向で位置合わせされており、操作部37は、このスリット部42Aを通って外郭筒19よりも径方向外側に突出し、スリット部42Aによって上下方向で案内される。
【0022】
次に、以上のような構成の吐出容器1における内容物の吐出方法について説明する。
まず、容器本体2を指などで支持し、外郭筒19の先端を鼻腔に挿入する。そして、吐出ヘッド18の操作部37を指などで押し下げる。これにより、吐出ヘッド18と共にステム16が下方に向けて移動させられる。そして、ステム16の移動に追従して上記ピストン部材がシリンダ28の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ28内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ28内の内容物は、ステム16内に侵入してステム16内を上方に向けて移動する。そして、ステム16から吐出ヘッド18のヘッド筒部33内を通って吐出部32の吐出孔4Aから吐出される。
例えばこのとき、取付筒部34を案内筒部23の上部と嵌合筒部25との接続部分である上記段部に当接させることで、ストローク量(吐出量)を安定させるように構成してもよい。
【0023】
ここで、吐出ヘッド18の操作部37を押し下げると、外郭筒19が装着キャップ15に固着されていることから、外郭筒19が吐出ヘッド18の操作に伴って上下動せず、吐出部32の吐出孔4Aは、外郭筒19の先端開口19Aに対して下降していく。そして、吐出孔4Aは、図4に示すように、吐出孔4Aから内容物を吐出させるときに、外郭筒19の先端開口19Aよりも下方に位置する。そのため、内容物は、外郭筒19の先端開口19Aを通って被付着部分である鼻腔の患部に向けて吐出され、患部に付着する。
【0024】
その後、操作部37の押し下げを解除すると、上記ピストン部材が上記付勢部材の上方付勢力によってシリンダ28の内周面に沿って摺接しつつ上方に向けて復元移動する。これにより、シリンダ28内が減圧され、容器本体2内に収容されている内容物がパイプ29を通じてシリンダ28内に吸い上げられる。
以上のようにして、内容物を吐出容器1の外部に吐出する。
【0025】
以上のような構成の吐出容器1によれば、外郭筒19を装着キャップ15に固着することによって、吐出ヘッド18を上下動させても被付着部分に対して不動である外郭筒19の先端開口19Aから内容物を吐出させるので、内容物を被付着部分に対して正確に付着させることができる。
また、外郭筒19から径方向外方に突出する操作部37を操作することで、吐出ヘッド18を容易に押し下げることができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、吐出孔の上下方向の位置は、内容物の吐出時に外郭筒の先端開口よりも下方に位置しているが、先端開口を通して内容物を吐出容器の外部に吐出できればよく、内容物の吐出時に外郭筒の先端開口と同じ位置であってもよい。また、吐出孔の上下方向の位置は、吐出ヘッドの押し下げ前の状態において、外郭筒の先端開口と同じ位置またはこの先端開口よりも下方に位置していてもよい。
さらに、吐出孔の上下方向の位置を、内容物の吐出前後のいずれの場合においても、外郭筒の先端開口より上方に位置させてもよい。
吐出ヘッドは、一対の操作部を有しているが、外郭筒よりも径方向外側に突出する操作部を少なくとも1つ有していればよい。また、吐出ヘッドが操作部を有し、外郭筒にスリット部が形成されているが、吐出ヘッドを外郭筒に対して下方に移動させることができれば、他の構成の操作部であってもよい。
吐出容器は、被付着部分として鼻腔の患部に向けて内容物を吐出しているが、他の部分を被付着部分としてもよい。
吐出器本体として、ポンプを用いているが、エアゾール機構を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明によれば、内容物を正確な位置に付着させることができる吐出容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0028】
1 吐出容器、2 容器本体、3 口部、4 吐出器、4A 吐出孔、15 装着キャップ、16 ステム、17 ポンプ(吐出器本体)、18 吐出ヘッド、19 外郭筒、19A 先端開口、37 操作部、38 頂壁部、42A スリット部(貫通部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出器と、
を備え、
前記吐出器が、
前記容器本体の前記口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、
前記ステムの上端部に固定されると共に、頂壁部に前記吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドを径方向外側から囲繞し、前記装着キャップに固着された外郭筒と、
を有し、
前記吐出ヘッドが、前記ステムと共に前記装着キャップ及び前記外郭筒に対して押下されたときに、内容物を前記外郭筒の先端開口を通して吐出させることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記吐出ヘッドが、径方向外側に突出する操作部を有し、
前記外郭筒には、前記操作部が径方向に貫通する貫通部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246046(P2012−246046A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121603(P2011−121603)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】