説明

吐水ヘッド

【課題】流し台、洗面台等における水栓において、洗い物、水槽の清掃などの用途に対処できるように、吐水ヘッドが回転し、吐水の位置及び方向を広範囲にする、全方向自在の方向転換できる吐水ヘッドを提供する。
【解決手段】吐水ヘッド上段部材11と、下面に吐水孔が配設された吐水ノズル部2を軸回転可能に接続した吐水ヘッド下段部材12とが、吐水ヘッド上段部材11の先端部112と吐水ヘッド下段部材12の後端部121とで水平旋回可能に通水接続されて上下二段重ね組付吐水ヘッド1を形成し、吐水ヘッド上段部材11が首元111で吐水元管3と軸回転可能に接続され、吐水ヘッド上段部材11と吐水ヘッド下段部材12とを略同一幅とし、吐水ヘッド下段部材12を吐水ヘッド上段部材11より長くさせないようにして吐水ヘッド上段部材11の下面に収め得る吐水ヘッドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台、洗面台等における水栓の吐水ヘッドに係るものであって、特に、迅速な洗い物、水槽の清掃などの用途に適した吐水ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面台において、吐水ヘッドを回転し、下向き吐水及び上向き吐水の何れもが可能で、通常の手洗い用水栓としても、歯磨き用水栓としても使用可能とする水栓の回転式吐水ヘッドが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、食器等の洗浄を素早く行うためにスリット状の吐水孔を備えた流し台用吐水ヘッドが知られている(特許文献2)。
【0004】
更にまた、一般家庭の流し台に取付けられた水栓は、端部に吐水口を設けた吐水パイプが水平方向に回動されるものであったが、洗い物や水槽の清掃で吐水位置を広げるため、吐水パイプの先端に水平方向へ更に回動可能とする吐水口パイプを取付け、吐水パイプ及び吐水口パイプの回動によって吐水口の位置を広く変位させるものが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−62728
【特許文献2】特開2000−27247
【特許文献3】特開2007−327316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水栓の回転式吐水ヘッドは、吐水ヘッドの回転で下向き吐水及び上向き吐水の何れもが可能にされるが、洗い物、水槽の清掃に必要とする上下、前後、左右の吐水口の変位をできないことが不都合であった。まして、列設された吐水孔による吐水口でない為、一気に幅広く吐水ができず、洗い物を素早くできないので、不便である。
【0007】
また、食器等の洗浄を行う為、吐水ヘッドの吐水口にスリット状吐水孔を備えたものは、幅広く吐水ができて、一応は、洗浄を素早くさせたとしても、吐水口の前後、左右の広範囲への変位による吐水ができるものでないので、多種多様の洗い物に対処できないことで、不都合である。
【0008】
そして、流し台に取付けた水平方向に回動する吐水パイプ及び吐水口パイプをもって、洗い物、水槽の清掃などがされるものは、吐水口の位置を広範囲へ変位し、洗い物、水槽の清掃を広く行えることが叶えられ、効率的にするためにも、これら吐水パイプ及び吐水口パイプが比較的長いものにされる必要を生じ、しかし、これらが長いため、洗い物、水槽の清掃などで作業中の邪魔となり、この取扱いに不便さを生じ、不都合であった。
【0009】
しかも、これらの吐水口は、洗い物、水槽の清掃の際、列設された吐水孔により幅広く吐水できるようにしたものでない故、繰返しの前後、左右の吐水をしなければ、満足いく洗い物、清掃ができなく、素早い洗い物、清掃ができないので不便である。
【0010】
そこで、本発明は、吐水ヘッドを吐水ヘッド上段部材と吐水ヘッド下段部材とのコンパクトな上下二段重ね組付吐水ヘッドとし、上下、前後、左右を始め、全方向、そして広範囲への吐水ができ、列設した吐水孔で幅広く吐水して多種多様な洗い物、水槽の清掃などの用途に供せられる吐水ヘッドを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の吐水ヘッドは、吐水ヘッド上段部材と、下面に吐水孔が配設された吐水ノズル部を軸回転可能に接続した吐水ヘッド下段部材とが、吐水ヘッド上段部材の先端部と吐水ヘッド下段部材の後端部で水平旋回可能に通水接続されて上下二段重ね組付吐水ヘッドを形成し、吐水ヘッド上段部材がその首元で吐水元管と軸回転可能に接続されたものである。
【0012】
本発明の吐水ヘッドは、吐水ヘッド上段部材と、吐水ヘッド下段部材とを略同一幅とし、吐水ヘッド下段部材を吐水ヘッド上段部材より長くさせないようにして吐水ヘッド上段部材の下面に収め得るものである。
【0013】
本発明の吐水ヘッドは、吐水ノズル部の吐水孔が吐水ノズル部の下面に軸方向へ列設されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吐水ヘッドは、吐水元管と軸回転可能に接続された吐水ヘッド上段部材と、吐水ノズル部を軸回転可能に接続した吐水ヘッド下段部材とが、水平旋回可能に通水接続されて上下二段重ね組付吐水ヘッドとされるので、コンパクトで小形なものにでき、しかも、長さのあまり長くない吐水ヘッド上段部材、吐水ヘッド下段部材、及び吐水ノズル部、そして、吐水ヘッド上段部材の軸回転、吐水ノズル部の軸回転、並びに吐水ヘッド下段部材の水平旋回によって、吐水の全方向への方向転換と広範囲への吐水位置変位を可能とし、よって、多種多様の如何なる洗い物、水槽の清掃などに対処でき、また、これら処置に当って、前記吐水ヘッドがコンパクトで、小形なものであるので、処置の邪魔にならず、取扱い易く出来る。
【0015】
本発明の吐水ヘッドは、吐水ヘッド上段部材と、吐水ヘッド下段部材とが略同一幅とされ、吐水ヘッド下段部材が吐水ヘッド上段部材より長くされないようにした上下二段重ね組付吐水ヘッドであるので、嵩張らない合理的なコンパクト化ができ、また、小形化し易く、違和感のない上下二段重ね組付吐水ヘッドの吐水ヘッドを得ることができる。
【0016】
本発明の吐水ヘッドは、吐水ノズル部の吐水孔が吐水ノズル部の下面に軸方向へ列設されているので、列設した吐水孔で幅広く吐水ができ、上下、前後、左右に、繰返し吐水するのでなく、幅広い吐水を押し進めるのみで、素早い洗い物、水槽の清掃ができ合理的である。また、列設する吐水孔の各々からは、勢いよい吐水がされるので無駄なく、吐水量を節水でき、しかも効率的、効果的に洗い物、水槽の清掃ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの吐水ノズル部が吐水ヘッド上段部材の下面に収められた吐水ヘッドの状態図である。
【図2】 上下二段重ね組付吐水ヘッドがその吐水ヘッド上段部材の首元で軸回転した吐水ヘッドの状態図である。
【図3】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの吐水ヘッド下段部材を横向きに旋回した吐水ヘッドの状態図である。
【図4】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの吐水ヘッド下段部材を横向きに旋回した上で吐水ノズル部を軸回転した吐水ヘッドの状態図である。
【図5】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの吐水ノズル部が吐水ヘッド上段部材の下面に収められた吐水ヘッドの断面図である。
【図6】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの吐水ヘッド下段部材を横向きに旋回した吐水ヘッドの断面図である。
【図7】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの首元がホースに接続された引出し式吐水ヘッドの断面図である。
【図8】 上下二段重ね組付吐水ヘッドの首元がホースに接続された引出し式吐水ヘッドの引き出し状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
本発明の吐水ヘッドは、図1、図2、図3、及び図4で示す如く、吐水ヘッド上段部材11と、吐水ヘッド下段部材12とを、吐水ヘッド上段部材の先端部112と吐水ヘッド下段部材の後端部121とが水平旋回可能とされる旋回接続部10を介して接続されて上下二段重ね組付吐水ヘッド1に形成し、吐水ヘッド下段部材12の先端部122には、回転接続部20を介して吐水ノズル部2が軸回転可能に接続されている。そして、上下二段重ね組付吐水ヘッド1は、吐水ヘッド上段部材11の首元111が首元回転接続部30を介して吐水元管3と軸回転可能に接続されている。
【0019】
本発明の吐水ヘッドは、吐水ヘッド上段部材11と、吐水ヘッド下段部材12とを略同一幅とし、吐水ヘッド下段部材12を吐水ヘッド上段部材11より長くさせないようにする。
即ち、吐水ヘッド上段部材11と吐水ヘッド下段部材12とが略同一長さにされた場合には、両者は全く重ね組付けられた形態となり、吐水ヘッド下段部材12が吐水ヘッド上段部材11より短い場合には、吐水ヘッド上段部材11の首元111に段差113を形成し、吐水ヘッド下段部材12が前記段差内へ収められる長さにされ、吐水ヘッド下段部材12を吐水ヘッド上段部材11の段差113内に収め得るようにした、上下二段重ね組付吐水ヘッド1が形成される。
【0020】
本発明の吐水ヘッドは、図3、及び図5、図6に示す如く、吐水孔21が吐水ノズル部2の下面に軸方向へ列設されている。
尚、吐水ノズル部2の下面に吐水孔21を軸方向へ数列列設してもよいし、また、1個の吐水口であってもよいことは云うまでもない。
【0021】
図5には、吐水ヘッドの軸方向断面を示し、図6には、吐水ヘッド下段部材12を横方向へ水平旋回した場合の吐水ノズル部2の軸方向断面を示す。
吐水ヘッド上段部材11と吐水ヘッド下段部材12とが水平旋回可能とされる旋回接続部10は、インロー嵌めで構成され、Oリング101を施して水密にし、固定ネジ102を用いて抜け止めしている。
また、吐水ノズル部2が軸回転可能に接続される回転接続部20、及び吐水ヘッド上段部材11の首元111が軸回転可能に接続される首元回転接続部30は、インロー嵌めで構成され、各々がOリング201,301を施して水密にし、固定ネジ202,302をもって抜け止めされている。
【0022】
吐水元管3に首元回転接続部30を介して吐水ヘッド上段部材11が軸回転可能に接続された上下二段重ね組付吐水ヘッド1(図1に示す)は、該上下二段重ね組付吐水ヘッド1を軸回転させること(図2に示す)によって左右範囲を吐水することができる。
吐水ノズル部2の下面には、軸方同へ列設された吐水孔21が形成されているので、少量の吐水量で勢いよい吐水4が、幅広くでき、洗い物や、水栓の清掃が効率的にでき、また節水できるので効果的である。
【0023】
吐水ヘッド上段部材11と吐水ヘッド下段部材12とが水平旋回可能に接続される旋回接続部10をもって、図3に示す如く、吐水ヘッド下段部材12が横方向へ水平旋回されると、吐水ノズル部2に列設された吐水孔21が吐水ヘッド上段部材11の軸方向とクロスする方向へ列することになり、横方向に広く吐水することができる。
【0024】
吐水ノズル部2が軸回転可能に接続される回転接続部20を介して、図4に示す如く、吐水ヘッド下段部材12が横方向へ水平旋回された上で、更に、吐水ノズル部2が軸回転されることによって前後範囲を吐水することができる。
【0025】
よって、上下二段重ね組付吐水ヘッド1をあまり長くせずに、コンパクトで小形のものにすることができ、それでも、旋回接続部10による水平旋回、回転接続部20及び首元回転接続部30による軸回転で、吐水4の位置及び方向を広範囲にすることができ、しかも、吐水ノズル部2の吐水孔21が列設されているので、幅広く勢いのよい吐水4をすることができ、よって、節水した効率的、且つ効果的な洗い物、及び水槽の清掃をすることができる。
【実施例2】
【0026】
本発明の吐水ヘッドは、図7、図8に示す如く、吐水ヘッド上段部材11と、吐水ノズル部2を回転接続部20で軸回転可能に接続した吐水ヘッド下段部材12とが、旋回接続部10で水平旋回可能に通水接続されて上下二段重ね組付吐水ヘッド1を形成し、吐水ヘッド上段部材11の首元114にホース31が接続され、該ホースの接続された首元114を流し台、洗面台等の吐水口32へ着脱自在に装着される。この吐水ヘッドは、図8に、引出された状態が示された如く、引出し式であって、上下二段重ね組付吐水ヘッド1は、用途に応じ、引き出して用いることができるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 上下二段重ね組付吐水ヘッド
10 旋回接続部
101 Oリング
102 固定ネジ
11 吐水ヘッド上段部材
111 首元
112 先端部
113 段差
114 首元
12 吐水ヘッド下段部材
121 後端部
122 先端部
2 吐水ノズル部
20 回転接続部
201 Oリング
202 固定ネジ
21 吐水孔
3 吐水元管
30 首元回転接続部
301 Oリング
302 固定ネジ
31 ホース
32 吐水口
4 吐水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水ヘッド上段部材と、下面に吐水孔が配設された吐水ノズル部を軸回転可能に接続した吐水ヘッド下段部材とが、吐水ヘッド上段部材の先端部と吐水ヘッド下段部材の後端部で水平旋回可能に通水接続されて上下二段重ね組付吐水ヘッドを形成し、吐水ヘッド上段部材がその首元で吐水元管と軸回転可能に接続されることを特徴とする吐水ヘッド。
【請求項2】
吐水ヘッド上段部材と、吐水ヘッド下段部材とを略同一幅とし、吐水ヘッド下段部材を吐水ヘッド上段部材より長くさせないようにして吐水ヘッド上段部材の下面に収め得ることを特徴とする請求項1記載の吐水ヘッド。
【請求項3】
吐水ノズル部の吐水孔が吐水ノズル部の下面に軸方向へ列設されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の吐水ヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−36709(P2012−36709A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184409(P2010−184409)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(392028767)株式会社日本アルファ (73)
【Fターム(参考)】