説明

吐水装置および液体貯留タンク

【課題】不使用時には吐水管の収納が可能で、使用時には、不都合なく吐水管を使用することができる吐水装置を提供すること。
【解決手段】液体貯留タンク1に装着される吐水装置であって、液体貯留タンク1内に略垂直に挿入配置される導入管2と、液体貯留タンク1内の液体を外部へと吐出可能とする吐水管3とを備え、導入管2は、円筒形で、側面に第1入水孔を有し、吐水管3は、側面に第2入水孔を有する垂直管部3aと先端域に吐水口7を有する水平管部3bとを有し、略L字形状であり、吐水管3の垂直管部3aは、導入管2内に回動自在に挿管されるとともに、水平管部3bは、液体貯留タンク1の外部へと延設され、水平管部3bが所定方向に回動した場合に、導入管2の第1入水孔と吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔が連通して、液体貯留タンク1内の液体が吐水管3の水平管部3bの吐水口7から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置およびこの吐水装置を備えた液体貯留タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、雨水を建物の樋などから取水し、貯えることのできる雨水の貯水タンクが知られている。この雨水は、例えば、農業用・園芸用などに有効利用されている。特許文献1に示される雨水の貯水装置のように、貯水タンクの下方には、貯水タンク内の水をバケツやジョウロ等に汲み出すための吐水管が、貯水タンクの外周面から突出するように固定、配設されている。
【0003】
このような従来の雨水の貯水装置の吐水管の構造は、一般的には、特許文献2に示されているような通常の水道水を吐水する蛇口と同様の構造が採用されている。具体的には、例えば、図5にも例示するように、壁面30から前方に突出するように吐水管31が固定され、この吐水管31の上方に設けられたつまみ32を操作することによって、吐水および吐水の停止が行われる。
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、吐水管が貯水タンクの外周面から突出するように固定、配設されている場合には、貯水装置の付近を人が往来する際に誤って吐水管に接触しやすく、これによって、吐水管が破損したり、漏水が発生したりするという不都合があった。さらに、吐水管が外周面から突出していることによって、人目につきやすく、例えば、幼児の興味を惹くことによって誤って使用され、貯水タンク内の水を誤飲してしまう恐れもあった。また、日光(紫外線)によって、吐水管の劣化も進行しやすい。
【0005】
そこで、例えば、図6(A)(B)に例示するように、貯水装置33の貯水タンク34の下方外側面に凹部35を設け、この凹部35に吐水管31を固定することが検討されてきた。
【0006】
この貯水装置33は、人の吐水管31への接触を回避し、吐水管31の破損、漏水を抑制することには一定の効果がある。しかしながら、この貯水タンク34の凹部35においては、固定された吐水管31の下方にバケツやジョウロ等を収納することになる。したがって、この場合には、バケツやジョウロ等の収納を可能とするための十分な空間を確保する必要があるため、貯水タンク34の凹部35は、バケツやジョウロ等の大きさに依存して形成されることになる。このため、前記凹部35の大きさに比例して、貯水タンク34の容量が制限されてしまうことが問題であった。さらに、前記凹部35の形成は、貯水タンク34の底面の形状にも影響を与えるため、設置安定性を害するという問題もあった。
【0007】
さらに、貯水タンク34の凹部35に吐水管31を固定する場合、やや人目につき難くはなるものの、前記凹部35内において吐水管31が突出していることにはかわりなく、幼児の興味を惹くことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録番号第3020429号
【特許文献2】実用新案登録第3098987号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の問題点を解決し、不使用時には吐水管の収納が可能で、使用時には、不都合なく吐水管を使用することができる吐水装置、および、この吐水装置を備えた液体貯留タンクを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の吐水装置は、上記の課題を解決するため、以下のことを特徴としている。
【0011】
第1の発明は、液体貯留タンクに装着される吐水装置であって、液体貯留タンク内に略垂直に挿入配置される導入管と、液体貯留タンク内の液体を外部へ吐出可能とする吐水管とを備え、導入管は、円筒形で、側面に第1入水孔を有し、吐水管は、側面に第2入水孔を有する垂直管部と先端域に吐水口を有する水平管部とを有し、略L字形状であり、吐水管の垂直管部は、導入管内に回動自在に挿管されるとともに、水平管部は、液体貯留タンクの外部へと延設され、水平管部が所定方向に回動した場合に、導入管の第1入水孔と吐水管の垂直管部の第2入水孔が連通して、液体貯留タンク内の液体が吐水管の水平管部の吐水口から排出される。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明の特徴において、導入管の内周面および吐水管の垂直管部外周面には溝加工が施され、この溝同士の嵌合によって、吐水管が支持されている。
【0013】
第3の発明は、上記第1および第2の発明の特徴において、導入管は、液体貯留タンク外側の端部外周縁にフランジを有する。
【0014】
第4の発明は、液体貯留タンクであって、前記第1から3のいずれかの吐水装置を備える。
【0015】
第5の発明は、上記第4の発明の特徴において、吐水装置は、液体貯留タンクの外側面に設けられた凹部の天井に配設されている。
【0016】
第6の発明は、上記第5の発明の特徴において、水平管部の回動によって、水平管部が凹部正面に対して直角方向を向いた場合に、液体貯留タンク内の液体が排出される。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、水平管部が所定方向に回動した場合に、導入管の第1入水孔と吐水管の垂直管部の第2入水孔が連通して、液体貯留タンク内の液体が吐水管の水平管部の吐水口から排出される。このため、吐水装置を使用しない時には、水平管部を回動させて吐水管を適宜な位置に収納することができる。したがって、吐水管が液体貯留タンクから突出せず、人が吐水管に接触することがなく、これに伴う吐水口の破損、漏水を抑制することができ、また、吐水管が人目につき難くなる。また、吐水装置の使用時には、所望の水平管部の方向において液体貯留タンク内の液体の排出が可能である。このため、吐水管からバケツやジョウロ等への汲み出しが容易で、液体貯留タンクの容量が制限されることもなく、液体貯留タンクの設置安定性にも優れている。
【0018】
第2の発明では、導入管の内周面および吐水管の垂直管部外周面には溝加工が施され、この溝同士の嵌合によって吐水管が支持されている。このため、上記効果に加え、吐水管をより安定に支持することができる。
【0019】
第3の発明では、導入管は、外側の端部外周縁にフランジを有している。このため、このフランジと液体貯留タンクの外周面とを当接させることで、導入管および吐水管を液体貯留タンクにより安定に取り付けることができる。
【0020】
第4の発明では、上記の効果を発揮する液体貯留タンクが提供される。
【0021】
第5の発明では、液体貯留タンクの外側面に設けられた凹部の天井に前記吐水装置が取り付けられている。このため、吐水装置を使用しない時に水平管部を回動させて吐水管を凹部内の適宜な位置に収納することで、一層、人が吐水管に接触することがない。また、吐水管がさらに人目につき難くなる。さらに、吐水装置の使用時には、所望の水平管部の方向において液体貯留タンクの液体を排出することができる。このため、凹部内においても吐水管から、バケツやジョウロ等への汲み出しが容易である。また、凹部の形成領域も小さく抑えることができる。したがって、凹部によって液体貯留タンクの容量が制限されることがなく、液体貯留タンクの設置安定性にも優れている。
【0022】
第6の発明では、水平管部の回動によって水平管部が凹部正面に対して直角方向を向いた場合に、液体貯留タンク内の液体が排出される。このため、吐水管から、バケツやジョウロ等への汲み出しがさらに容易になり、また、吐水装置の不使用時には、更に効果的に吐水管を凹部内に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の吐水装置およびこの吐水装置を備えた液体貯留タンクの一実施形態を例示する要部拡大図である。
【図2】図1のX部を拡大した要部断面図である。
【図3】本発明の吐水装置の構造を例示した透視図であり、(A)は、止水時を示し、(B)は、吐水時を示している。
【図4】本発明の吐水装置を備えた雨水用の液体貯留タンクの一実施形態を示す外観図である。(A)は、吐水装置不使用時(止水時)の正面図、(B)は、吐水装置不使用時(止水時)の斜視図、(C)は吐水装置使用時(吐水時)の正面図、(D)は、吐水装置使用時(吐水時)の斜視図である。
【図5】従来の吐水装置を例示した側面図である。
【図6】従来の雨水の貯水装置を例示した斜視図および要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の吐水装置およびこの吐水装置を備えた液体貯留タンクの一実施形態を例示する要部拡大図である。図2は、図1のX部を拡大した要部断面図である。図3は、本発明の吐水装置の構造を例示する内部透視図である。
【0026】
液体貯留タンク1は、吐水装置として、導入管2と吐水管3を備えている。
【0027】
導入管2は、円筒形で、側面に第1入水孔2Aを有している。第1入水孔2Aの形状は、適宜設計することができるが、好ましくは図3に例示するように円形状である。また、第1入水孔2Aの大きさ、位置等も適宜設計することができる。
【0028】
さらに、導入管2は、液体貯留タンク1内に略垂直に挿入配置される。図1に例示するように、液体貯留タンク1の下方外側面に凹部4を設け、この凹部4の天井4aに、導入管2を取り付けることで、導入管2を貯水タンク1内において略垂直に位置させることができる。液体貯留タンク1内に位置する導入管2は、導入管2の略全部であっても、一部であってもよい。
【0029】
導入管2の取り付け方法は特に限定されないが、好ましくは、例えば、図2に例示するように、液体貯留タンク1の凹部4の天井4aに、導入管2を挿入するための開口4bを設け、この開口4bの内周面および導入管2の外周面に、例えば、ネジ切りのような溝4c、2aを形成し、両者を互いに嵌合させることで取り付けることができる。これによって、導入管2を安定に取り付けることができる。
【0030】
また、液体貯留タンク1の外側の導入管2の端部外周縁にはフランジ5を設けることができる。そして、このフランジ5を液体貯留タンク1の凹部4の天井4aに当接させることで、導入管2を液体貯留タンク1の凹部4の天井4aにさらに安定に取り付けることができる。また、液体貯留タンク1における導入管2の取り付け箇所の強度を確保するため、図2に例示されるように、例えば、導入管2を挿入するための開口4b近傍の液体貯留タンク1外壁を、他の箇所より厚く形成することができる。導入管2の取り付け方法は、上記の方法に限定されず、例えば、接着剤などを用いて取り付けてもよい。
【0031】
さらに、フランジ5と液体貯留タンク1との当接面には、漏水防止用のパッキン6を介在させることができる。図2に示す例では、フランジ5と凹部4の天井4aとの当接面に漏水防止用のパッキン6を介在させている。これによって、導入管2と凹部4の天井4aとの当接面からの漏水が確実に抑制される。
【0032】
吐水管3は、液体貯留タンク1内の液体を外部へ吐出可能とする。具体的には、吐水管3は、側面に第2入水孔3Aを有する垂直管部3aと、先端域に吐水口7を有する水平管部3bからなる略L字形状である。この第2入水孔3Aの形状、大きさは適宜設計することができ、前記第1入水孔2Aと形状、大きさを略一致させることが好ましい。特に好ましい形状は円形である。さらに、第2入水孔3Aの形成位置は、吐水管3の垂直管部3aが、導入管2内に挿管された状態において、前記第1入水孔2Aと略同じ水平高さとなるように形成することができる。
【0033】
吐水口7は、水平管部3bの先端域から下方に突出して形成することができる。吐水口7は、このような位置、形状に限定されず、適宜設計することができる。
【0034】
そして、吐水管3の垂直管部3aは、導入管2内に挿管され、水平管部3bは、液体貯留タンク1の外部に位置するように延設される。このとき、導入管2の内周面と吐水管3の垂直管部3aの外周面は、当接または近接状態となる。
【0035】
導入管2内に挿管された吐水管3の支持方法は具体的に限定されないが、例えば、図2に例示するように、導入管2の内周面および吐水管3の垂直管部3aの外周面に、ネジ切りのような溝2b、3cを形成し、この溝2b、3c同士の嵌合によって、確実に吐水管3を支持することできる。
【0036】
さらに、吐水管3の垂直管部3aは、挿管された導入管2内において水平方向に回動自在である。そして、吐水管3の垂直管部3aの回動に伴って、吐水管3の水平管部3bの先端も水平方向に回動する。吐水管3の水平管部3bの回動範囲は、吐水管3の垂直管部3aを回動軸として、周囲360°回動可能である。導入管2および吐水管3の配設位置、形状および液体貯留タンク1の形状などを考慮して、吐水管3の垂直管部3aの可動範囲を制限することもできる。
【0037】
例えば、図1に例示するように、液体貯留タンク1の下方外側面に凹部4を設け、この凹部4の天井4aに導入管2および吐水管3を取り付ける場合には、吐水管3の水平管部3bの回動範囲を、凹部4の正面4dに対して、吐水管3の水平管部3bが0°〜180°または、0°〜90°となるように制限することができる。
【0038】
そして、水平管部3bが所定方向に回動した場合に、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aが連通して、液体貯留タンク1内の液体が吐水管3の水平管部3bの吐水口7から排出される。
【0039】
具体的には、特に図3(A)に例示するように、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aとが連通しない状態においては、導入管2の第1入水孔2Aが、吐水管3の垂直管部3aの外周面によって内側から封止される。したがって、この状態においては、液体貯留タンク1内の液体が吐水管3の水平管部3bの吐水口7から排出されることはない。
【0040】
一方、図3(B)に例示するように、図3(A)に例示する止水状態から、例えば、手指で吐水管3を操作して、水平管部3bを所定方向まで回動させると、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aとが連通する。これによって、液体貯留タンク1内の液体が、前記第1入水孔2Aおよび第2入水孔3Aを通じて吐水管3の内部に流入し、吐水管3の水平管部3bの吐水口7から排出される。なお、当然にも、液体貯留タンク1内の導入管2の周囲には、吐水させる液体が存在することが前提となる。
【0041】
このように、吐水管3の水平管部3bが所定方向に回動した場合に、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aが連通して、液体貯留タンク1内の液体が吐水管3の水平管部3bの吐水口7から排出されて吐水する。また、吐水管3の水平管部3bを前記所定方向以外の方向に回動させれば止水される。このため、簡便かつ確実に吐水および止水の制御が可能である。
【0042】
したがって、吐水装置を使用しない時には、水平管部3bを回動させて吐水管3を適宜な位置に収納することができる。したがって、吐水管3が液体貯留タンク1から突出せず、人が吐水管3に接触することがなく、これに伴う吐水口7の破損、漏水を抑制することができ、また、吐水管3が人目につき難くなる。また、吐水装置の使用時には、所望の水平管部3bの方向において液体貯留タンク1内の液体の排出が可能であり、吐水管3から、バケツやジョウロ等への汲み出しが容易である。
【0043】
ここで、前記「所定方向」は、液体貯留タンク1の形状、導入管2および吐水管3の取り付け位置、吐水管3の形状等を考慮して、吐水管3の垂直管部3aを回動軸とした水平方向の周囲360°の範囲で適宜決定することができる。ただ、図1に例示するように、液体貯留タンク1の外側面に設けられた凹部4の天井4aに導入管2および吐水管3が取り付けられている場合には、水平管部3bの回動方向の範囲は、液体貯留タンク1の外側とすることができる。すなわち、凹部4の正面4dに対して、0°〜180°の範囲とすることができる。
【0044】
ここで、前記「連通」とは、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aとが外見上重なり合って、液体貯留タンク1内の液体を吐水管3の内部に導くことができる状態をいう。したがって、前記「連通」は、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aとが一部分において重なり合っている状態を含むが、好ましくは、第1入水孔2Aおよび第2入水孔3Aとが完全に重なり合う状態である。
【0045】
図4は、本発明の吐水装置を備えた雨水用の液体貯留タンクの一実施形態として、吐水装置の使用時、不使用時を例示した外観図である。具体的には、図4(A)は、吐水装置不使用時(止水時)の正面図、(B)は、吐水装置不使用時(止水時)の斜視図、(C)は吐水装置使用時(吐水時)の正面図、(D)は、吐水装置使用時(吐水時)の斜視図である。
【0046】
液体貯留タンク1の下方外側面には、凹部4が設けられている。この凹部4の天井4aには、吐水装置として導入管2および吐水管3が取り付けられている。
【0047】
図4(A)(B)に例示するように、吐水装置を使用しない場合には、水平管部3bの回動によって、水平管部3bを凹部4の正面4dに対して略並行方向(0°)を向けて、凹部4内に収納することができる。したがって、凹部4内に吐水管3が取り付けられていることに加え、水平管部3bが収納されているため、吐水管3が外部にほとんど突出しない。よって、人が吐水管3に接触することがなく、これに伴う吐水管3の破損、漏水を抑制することができる。また、吐水管3が人目につき難く、幼児が誤って液体貯留タンク1内の雨水を誤飲してしまうといった危険性がほとんどない。
【0048】
一方、図4(C)(D)に例示するように、吐水装置を使用する場合には、水平管部3bの回動によって、水平管部3bを凹部4の正面4dに対して直角方向(90°)を向ける。このように、水平管部3bが凹部4の正面4dに対して直角方向(90°)を向いた場合に、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aが連通するように、第1入水孔2Aと第2入水孔3Aの位置関係を設計することができる。そして、第1入水孔2Aと第2入水孔3Aが連通することで、液体貯留タンク1の内部の雨水を排出することができる。
【0049】
このように、水平管部3bを凹部4の正面4dに対して直角方向(90°)を向けると、凹部4の正面4dから水平管部3bの先端までの距離が最大となる。したがって、従来の装置と異なり、液体貯留タンク1の凹部4を大きく形成しなくとも、使用時には、吐水管3の下方にバケツやジョウロ等を配置するためのスペースを十分に確保できる。このため、雨水の汲み出しが容易であり、液体貯留タンク1の容量が制限されることがない。また、液体貯留タンク1の底面積も大きく維持され、設置安定性にも優れている。
【0050】
なお、導入管2の第1入水孔2Aと吐水管3の垂直管部3aの第2入水孔3Aは、一部分が重なるような状態で連通する場合も吐水が生じるため、例えば、図4に示す場合においては、必ずしも、厳密に水平管部3bの方向を凹部4の正面4dに対して直角方向(90°)に向ける必要はない。
【0051】
本発明の吐水装置および液体貯留タンク1は、上記実施形態に限定されることはない。例えば、液体貯留タンク1は、雨水用の貯留タンクの他、飲料水、清涼飲料等の貯留タンクなどを例示することができる。また、液体貯留タンク1、導入管2、吐水管3などの材料、大きさ等は、吐水装置の用途、設置環境等に応じて適宜設計することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 液体貯留タンク
2 導入管
2A 第1入水孔
3 吐水管
3a 垂直管部
3b 水平管部
3A 第2入水孔
4 凹部
5 フランジ
7 吐水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体貯留タンクに装着される吐水装置であって、
液体貯留タンク内に略垂直に挿入配置される導入管と、液体貯留タンク内の液体を外部へ吐出可能とする吐水管とを備え、
導入管は、円筒形で、側面に第1入水孔を有し、
吐水管は、側面に第2入水孔を有する垂直管部と先端域に吐水口を有する水平管部とを有し、略L字形状であり、
吐水管の垂直管部は、導入管内に回動自在に挿管されるとともに、水平管部は、液体貯留タンクの外部へと延設され、
水平管部が所定方向に回動した場合に、導入管の第1入水孔と吐水管の垂直管部の第2入水孔が連通して、液体貯留タンク内の液体が吐水管の水平管部の吐水口から排出されることを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
導入管の内周面および吐水管の垂直管部外周面には溝加工が施され、この溝同士の嵌合によって、吐水管が支持されていることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
導入管は、液体貯留タンク外側の端部外周縁にフランジを有することを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の吐水装置を備えることを特徴とする液体貯留タンク。
【請求項5】
吐水装置は、液体貯留タンクの外側面に設けられた凹部の天井に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の液体貯留タンク。
【請求項6】
水平管部の回動によって、水平管部が凹部正面に対して直角方向を向いた場合に、液体貯留タンク内の液体が排出されることを特徴とする請求項5に記載の液体貯留タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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