説明

吐水装置

【課題】 吐出部を固定部から引き出して使用するに当たっても二度手間とならない上に、吐出部を固定部に装着するに当たっても二度手間とならずに使い勝手の良い吐水装置を提供する。
【解決手段】 吐出口を有する吐出部1と、水栓設備5に固設され前記吐出部1を着脱自在に保持する固定部22と、吐出部1にホースを介して接続されて開放時には吐出口から吐水させると共に閉塞時には止水させる弁部3と、弁部3の開閉を制御する制御部4と、を備えた吐水装置Aである。そしてこの吐水装置Aの制御部4は、固定部22に対して吐出部1を離脱したときは弁部3を開放させて吐出口から吐水し且つ固定部22に対して吐出部1を装着したときは弁部3を閉塞させて止水するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓設備に固設された固定部に対して、湯水を吐水させる吐出部が着脱自在に保持される吐水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水栓設備に固設された固定部に対して、シャワーヘッド等の吐出部が着脱自在に保持される吐水装置として、例えば特許文献1により示すものが知られている。この吐水装置は、例えば、水栓設備としての洗面化粧台に取り付けられる。
【0003】
この特許文献1に示される吐水装置は、吐出部としてのシャワーヘッドを洗面化粧台に固設された固定部から取り外して使用するに当たって、シャワーヘッドに設けてある吐出スイッチの操作を、シャワーヘッドを取り外した後に行なうことで、シャワーヘッドから湯水を吐出するようにしており、一方、シャワーヘッドの利用を終えてこのシャワーヘッドを固定部に収納(装着)するに当たっては、湯水を吐水した状態のシャワーヘッドの吐出スイッチを操作して止水した後に、シャワーヘッドを固定部に装着するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−171665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような吐水装置を有する洗面化粧台のシャワーヘッドを固定部から引き出すという動作は、あらかじめ使用者は湯水をシャワーヘッドから吐出させるのを意図した上でシャワーヘッドを引き出すものである。すなわち、この使用者にとっては、あらかじめ吐水を意図しているのにも拘らず、シャワーヘッドを抜き出すという動作の後に、さらに吐出スイッチを操作するという動作をしなければならず、結果として、二度手間となっていた。
【0006】
しかも、固定部にシャワーヘッドを装着するに際しては、使用者はシャワーヘッドの利用を終えた後には必ず収納装着するものである。すなわち、このような使用者にとっては、止水後に必ず収納装着するにも拘らず、固定部にシャワーヘッドを装着する前には、わざわざ、シャワーヘッドにある操作スイッチを操作して止水しなければならず、これも二度手間となっていた。特に、近年の洗面化粧台は洗髪に使用されることが多く、洗髪後のうつむいた状態で、且つ、目を開けられない状態においては、この操作スイッチを手探りで探し出した上で操作スイッチを操作して止水した後に、シャワーヘッドを固定部に装着しなければならないものとなっており、すなわち、この点においても改善が望まれるものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吐出部を固定部から引き出して使用するに当たっても二度手間とならない上に、吐出部を固定部に装着するに当たっても二度手間とならずに使い勝手の良い吐水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、以下の構成を備えている。
【0009】
すなわち請求項1に係る発明は、吐出口を有する吐出部1と、水栓設備5に固設され前記吐出部1を着脱自在に保持する固定部22と、吐出部1にホースを介して接続されて開放時には吐出口から吐水させると共に閉塞時には止水させる弁部3と、弁部3の開閉を制御する制御部4と、を備えた吐水装置Aである。そしてこの吐水装置Aの制御部4は、固定部22に対して吐出部1を離脱したときは弁部3を開放させて吐出口から吐水し且つ固定部22に対して吐出部1を装着したときは弁部3を閉塞させて止水するように構成されている。
【0010】
このように構成したことで、固定部22に対して吐出部1を離脱するだけで、吐出部1から吐水させることができ、且つ、固定部22に対して吐出部1を装着するだけで、吐出部1からの湯水を止水させることができる。
【0011】
また、請求項2に係る発明にあっては、請求項1に係る発明において、前記水栓設備5は洗面化粧台5aであり、洗面化粧台5aにあるボウル部52の上方に前記固定部22を設けた。
【0012】
このように構成したことで、洗面化粧台5aで洗髪をする場合においても使い勝手が良いものとなる。
【0013】
また、請求項3に係る発明にあっては、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記制御部4は、固定部22に対して吐出部1を離脱した際に、固定部22から吐出部1が離脱した時から所定の時間経過後に弁部3を開放させて吐出口から吐水するように構成した。
【0014】
このように構成したことで、固定部22から吐出部1が離脱した時から所定の時間経過してから吐出部1が吐水を開始するので、吐水部1を所望の位置に引き出した後に吐水が開始されることになる。つまり、固定部22から吐出部1が離脱した瞬間における突然の吐水開始がなくなり、より使い勝手のよいものとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吐出部を固定部から引き出して使用する吐水装置を使用するに当たって、吐出部を固定部から引き出して使用しても二度手間とならず、しかも、吐出部を固定部に装着するにあたっても二度手間とならず使い勝手の良いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の吐水装置を配設した洗面化粧台の概略正面図である。
【図2】同上の吐水装置を配設した洗面化粧台の概略側面図である。
【図3】同上の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態は、水栓設備の一例として洗面化粧台を用いている。本実施形態の洗面化粧台5aは、図1及び図2に示すように、前面に開閉自在な扉511を備えた下部キャビネット51と、この下部キャビネット51の上部に載設されたボウル部52と、ボウル部52の上方に配置された吐水装置Aと、吐水装置Aの上方に配設された上部キャビネット53とを備えている。
【0019】
この吐水装置Aは、図3に示すように、吐出口を有する吐出部1と、洗面化粧台5aに固設され吐出部1を着脱自在に保持する固定部22と、吐出部1にホースを介して接続された弁部3と、弁部3の開閉を制御する制御部4と、を備えている。
【0020】
本実施形態の吐出部1は、円柱状で且つ中間部を屈曲したような外形を有するシャワーヘッド1aにより構成されている。このシャワーヘッド1aの前端には吐出口が設けられており、シャワーヘッド1aを固定部22に装着した状態において、吐出口がボウル部52に臨むように設けられている。また、シャワーヘッド1aの後端にはホースが固設されており、このホースと吐出口とは連通している。このホースは、金属により被覆された可撓性を有するフレキシブルホースで構成されており、ホースにおけるシャワーヘッド1aが固設された側とは反対側の端部(つまり、ホースの上流側の端部)は、後述する固定部22を設けた操作ユニット2内の流出口252に接続される。本実施形態のシャワーヘッド1aには、シャワー整水切替スイッチ11が設置されており、このシャワー整水切替スイッチ11を操作することで、シャワーヘッド1aによる吐水をシャワーとしたり整水としたり選択できるようになっている。さらに、シャワーヘッド1aの後端(つまり、ホースが取り付けられている側の端部)には、固定部22に挿通して固定される嵌め込み部12が形成されている。本実施形態の嵌め込み部12は、シャワーヘッド1aの後端から、段部を介して形成された小径部12aによって構成されている。
【0021】
固定部22は、洗面化粧台5aに固設された操作ユニット2に設けられている。本実施形態では、操作ユニット2の外形を形成する函状の操作ユニット本体21の正面視左側に、円筒状の固定部22が操作ユニット本体21の内側に向けて突設してあり、この固定部22の円筒内部にシャワーヘッド1aの嵌め込み部12が嵌入するようになっている。しかも、シャワーヘッド1aを固定部22から引き出した状態では、固定部22の円筒内部を前述のホースが通過するようになっており、固定部22にシャワーヘッド1aの嵌め込み部12を嵌め込んで装着した状態においては、シャワーヘッド1aと流出口252との間のホースの一部に引き出し代(図示せず)が設けてあって、しかも、この引き出し代は操作ユニット本体21内に略U字状に格納されている。その上、この略U字状に格納されたホースの折り返し部近傍には、ねじりばねのような弾性体(図示せず)が設けてあり、その弾性体の他端は操作ユニット本体21の内面に係止されている。これにより、シャワーヘッド1aを引き出した際には、弾性体による付勢力に抗ってその折り返し部が固定部22に近づき、一方、シャワーヘッド1aを装着するに当たっては、その弾性体が弾性復帰することでホースは操作ユニット2内に引き戻されるため、このホースはシャワーヘッド1aの動きに追従することとなり、再びシャワーヘッド1aの離脱前の状態に戻ることになる。つまり、シャワーヘッド1aは、固定部22に対して着脱自在となると共に、着脱に当たってもホースの引き出し代が邪魔にならない。なお、本実施形態においては、この弾性体による付勢力は、シャワーヘッド1aの離脱時において、シャワーヘッド1aを固定部22に引き戻せる程の強い付勢力とはならないよう構成されている。また、上記弾性体のような復帰機構を設けずに、ホースの自重によりシャワーヘッドの離脱前の状態に戻るように形成してもよい。
【0022】
この操作ユニット2は、前述の固定部22と、シャワーヘッド1aの着脱を検知する着脱検知部23と、ボウル部52上に手が挿通されたことを検知する検知部24と、湯温の調整及び湯量の調整を行なう湯調整部25と、検知部24による信号に基づいて自動で吐水と止水を行なう自動モードと検知部24による信号を無視して手動で吐水と止水を行なう手動モードとを切り替える切替操作部26と、を備えている。
【0023】
湯調整部25は、水及び湯を給水管及び給湯管から湯調整部25内に流入させる流入口251と、この流入した水及び湯を混合して湯水を湯調整部25外に流出させる流出口252と、この流出口252から流出する湯水の湯温及び湯量の調整をするレバーハンドル253とを備えており、この流出口252は、上述の通り、固定部22内を通過するホースを介してシャワーヘッド1aと連通している。また、この湯調整部25には流入口251が2つ形成されており、一方の流入口251を湯側流入口251aとし、他方の流入口251を水側流入口251bとしている。つまり、湯側流入口251aには、給湯管が接続されると共に、水側流入口251bには、給水管が接続されている。そして、操作ユニット本体21の外面に露出したレバーハンドル253を左右に回動させることで、流出口252から流出する湯水の湯温の調整ができるようになっており、また、このレバーハンドル253を前後に回動させることで、流出口252から流出する湯水の湯量の調節ができるようになっている。
【0024】
本実施形態の着脱検知部23は、操作ユニット2にある固定部22に設けられたマグネット23aと、シャワーヘッド1aに設けられたリードスイッチ23bとから構成されており、固定部22にシャワーヘッド1aの嵌め込み部12を嵌入した状態で(つまり、シャワーヘッド1aを固定部22に装着した状態で)マグネット23aとリードスイッチ23bとが対向するように構成されている。つまり、シャワーヘッド1aを固定部22に装着するとマグネット23aの磁力によりリードスイッチ23bがON(又はOFF)となり、一方、シャワーヘッド1aを固定部22から離脱するとリードスイッチ23bがOFF(又はON)となる。このリードスイッチ23bは制御部4と電気的に接続されており、このリードスイッチ23bによるON/OFFの信号は制御部4に送信されるようになっている。
【0025】
本実施形態の検知部24は、赤外線センサーにより構成されており、制御部4と電気的に接続してある。操作ユニット2の下方(すなわち、ボウル部52の上方)に使用者の手が挿通された時にこの使用者の手を検知できるようになっており、この検知した信号を制御部4に送信するように構成されている。なお、この検知部24の感度は、制御部4に設けられた後述の調整つまみ241によって調節できるようになっている。
【0026】
切替操作部26は、操作ユニット本体21の内部に備える手動自動切替用基板に、操作ユニット本体21の外面に露出して設けてある手動自動切替ボタン261と、LED表示灯から成る切替表示部262と、を設けることで構成されている。この手動自動切替ボタン261は、自動モードに移行させる自動ボタン261aと手動モードに移行させる手動ボタン261bとで構成されており、制御部4に対して電気的に接続された手動自動切替用基板に設けられた制御回路により、手動自動切替ボタン261を押下したことによる信号が、この制御部4に送信されるようになっている。また、切替表示部262は、「自動モード」と表記された上部にLED表示灯が設けられると共に、「手動モード」と表記された上部にもLED表示灯が設けられている。すなわち、手動自動切替ボタン261のうち自動ボタン261aを押下すると、自動モードに移行されたことを知らせるために「自動モード」の切替表示部262を点灯させ、一方、手動自動切替ボタン261のうち手動ボタン261bを押下すると、手動モードに移行されたことを知らせるために「手動モード」の切替表示部262が点灯するようになっている。
【0027】
このように構成された操作ユニット2の湯調整部25の流入口251には、上述の通り、給湯管及び給水管が接続されているが、この給湯管及び給水管の湯調整部25よりも上流側には弁部3が設けられている。
【0028】
この弁部3は、湯側弁31と水側弁32とで構成されており、湯側弁31は給湯管に接続されると共に水側弁32は給水管に接続されている。さらに、この湯側弁31と水側弁32の各弁は電磁弁によって構成されており、制御部4によってこの弁部3の開閉が制御されている。なお、図中に示す61は逆流(すなわち、下流側から上流側への流れ)を阻止する逆止弁であり、この逆止弁61は弁部3(すなわち、湯側弁31と水側弁32)の直近の下流側に接続されている。
【0029】
制御部4は、マイクロコンピュータを内蔵した制御基板にて構成されており、上述の通り、着脱検知部23、検知部24、手動自動切替用基板、及び弁部3と電気的に接続されると共に、コンセント等の家庭用給電部に接続される給電用の電源コード41が接続されている。また、この制御基板には、上記検知部24の赤外線センサーの感度を制御できる調整つまみ241が接続されている。
【0030】
このように構成された弁部3及び逆止弁61、並びに制御部4は、函状のコントロールボックス7内に収容されて、見た目のコンパクトさを向上させると共に保護がなされている。また、このコントロールボックス7の外面には、上述の調整つまみ241が露出して設置されている。
【0031】
このように構成された吐水装置Aの動作について以下に説明する。
【0032】
最初に、自動モードについて説明する。まず、操作ユニット2にある切替操作部26の手動自動切替ボタン261のうち自動ボタン261aを押下して、自動モードに移行させる。このとき、自動ボタン261aを押下するのと同時に「自動モード」の切替表示部262が点灯し、それと同時に自動モードが選択された信号が制御部4に送信され、吐水装置Aは自動モードに移行する。この自動モードでは、着脱検知部23と検知部24の各信号が有効な状態として機能する。
【0033】
この自動モードにおいて、シャワーヘッド1aを固定部22から離脱させると、着脱検知部23がシャワーヘッド1aの離脱を検知し(つまりリードスイッチ23bがOFF(又は、ON)となり)、その信号を制御部4に送信する。シャワーヘッド1aが離脱した信号を受けた制御部4は、弁部3(水側弁32及び湯側弁31)を開放させるよう制御し、これによりシャワーヘッド1aから湯水が吐出される。その上、本実施形態の制御部4は、固定部22に対して吐出部1を離脱した時から所定の時間(本実施形態では0.2〜0.3秒に設定してある)経過後に弁部3を開放させて吐出口から吐水するようになっている。このとき、シャワーヘッド1aから吐出された湯水は、操作ユニット2の湯調整部25によって所望の湯温及び湯量に調節することができ、このように、湯調整部25によって調整された吐水が、着脱検知部23の検知信号に基づいて吐出されるようになっている。なお、当然のことながら、湯調整部25によって吐出前にあらかじめ湯温湯量共に調節しておくことができる。
【0034】
一方、このシャワーヘッド1aを固定部22に装着すると、着脱検知部23がシャワーヘッド1aの装着を検知し(つまりリードスイッチ23bがON(又は、OFF)となり)、その信号を制御部4に送信する。シャワーヘッド1aが装着された信号を受けた制御部4は、弁部3(水側弁32及び湯側弁31)を閉塞させるように制御し、これによりシャワーヘッド1aからの湯水が止水される。
【0035】
また、シャワーヘッド1a装着時にボウル部52の上方(操作ユニット2の下方)に手が挿通された場合には、検知部24が手を検知した信号を制御部4に送信し、制御部4はその信号に基づいて弁部3(水側弁32及び湯側弁31)を開放させるため、シャワーヘッド1aから湯水が吐出される。一方、手をボウル部52の上方から引き戻すと(つまり、手を検知部24の検知範囲外に位置させると)検知部24による信号が途絶えることとなり、これにより制御部4は弁部3(水側弁32及び湯側弁31)を閉塞させるため、シャワーヘッド1aからの湯水が止水される。
【0036】
このようにこの自動モードにおいて、制御部4は、固定部22に対して吐出部1(シャワーヘッド1a)を離脱したときは、弁部3を開放させて吐出口から吐水し、且つ、固定部22に対して吐出部1(シャワーヘッド1a)を装着したときは、弁部3を閉塞させて止水するように制御するため、使用者は吐水をさせるための操作をする必要がなく、二度手間を省き、また使い勝手がよくなる。
【0037】
しかも、固定部22に対して吐出部1が離脱した時から所定の時間経過後に吐水するように構成しているので、吐出部1を引き出した瞬間に不意に吐水が開始してしまうといったこともなく、所望の部位に吐出部1の吐出口を向けた後に吐水を開始させることができて、使い勝手がより一層よいものとなっている。なお、本実施形態においては、固定部22に対して吐出部1を離脱してから0.2〜0.3秒後に吐出を開始するようにしているが、特に限定されるものではなく、また、所望の吐水開始時間を設定・調節できるように構成してももちろんよい。
【0038】
また、上記のようにこの自動モードで、且つ、固定部22に吐出部1を装着した場合においては、使用者の手を感知したときには吐水を開始すると共に、使用者の手を引き戻したときには止水するようになっているため、無駄に湯水を吐出することがなく、節水することができる。
【0039】
次に、手動モードについて説明する。この手動モードは、例えば、ボウル部52に水を貯溜して使用したい場合等に効果的に使用することができるものである。この手動モードに切り替えるに当たっては、操作ユニット2にある切替操作部26の手動自動切替ボタン261のうち手動ボタン261bを押下して、手動モードに移行させる。上記の自動モードと同様に、手動ボタン261bを押下するのと同時に「手動モード」の切替表示部262が点灯し、それと同時に手動モードが選択された信号が制御部4に送信され、吐水装置Aは手動モードに移行する。この手動モードでは、着脱検知部23と検知部24の各信号に基づく動作がなされず、つまりこの着脱検知部23と検知部24に基づいて吐水されることはない。
【0040】
この手動モードに移行されるのと同時に、制御部4は弁部3を開放させるため、シャワーヘッド1aから湯水の吐出が開始する。この吐水の湯温及び湯量は、上記と同様に、湯調整部25によって調整可能であり、無論、この湯調整部25を操作して手動で止水することもできる。なお、この手動モード時にシャワーヘッド1aを固定部22から離脱させ、引き出して使用することも可能であるが、着脱検知部23の検知信号に基づいた制御は行なわれない。
【0041】
この手動モードによる使用を終了させたいときには、再度、操作ユニット2にある切替操作部26の手動自動切替ボタン261のうち自動ボタン261aを押下することで、自動モードに復帰することが可能となる。
【0042】
このように構成された吐水装置Aは、水栓設備5としての洗面化粧台5aに固設されている。
【0043】
冒頭に述べたとおり、本実施形態の洗面化粧台5aは、前面に開閉自在な扉511を備えた下部キャビネット51と、この下部キャビネット51の上部に載設されたボウル部52と、ボウル部52の上方に配置された吐水装置Aと、吐水装置Aの上方に配設され前面に鏡532を配設した開閉自在な扉531を備えた上部キャビネット53とを備えている。
【0044】
この下部キャビネット51は、函形状で主体が構成されているが、前面を収納物を挿通することができるように開放され、且つ、上部においてもボウル部52が設置できるように開放されており、この前面の開放面には、開閉自在に設けられた扉511が設置されている。図2に示すように、洗面化粧台5aは、この下部キャビネット51の背面を壁面に当接するようにして床面上に設置してある。この下部キャビネット51の背面の一部には、給湯管及び給水管を挿通するための挿通孔が穿設されている。
【0045】
この下部キャビネット51の上部には、下部キャビネット51の上部の開口の一部を覆うようにして、ボウル部52が載設されている。詳しくは、このボウル部52の背面に、下部キャビネット51の内外を連通する隙間512を設けるようにしてボウル部52が設置される。このボウル部52は、略椀状の洗面ボウル(図示せず)の左右に位置して洗面ボウル上縁から水平方向に突出して設けられた横載置部(図示せず)と、洗面ボウルの前部にフランジ状に設けられた前片(図示せず)と、洗面ボウルの奥部と一体になって形成されており上方に向けて突出する立ち上がり壁部521とを備えている。この洗面ボウルは大型に形成されており洗髪などが容易にできる。また、この洗面ボウルの底面には排水口(図示せず)が形成されている。
【0046】
下部キャビネット51内部においては、上記の弁部3、逆止弁61、及び制御部4が収納されたコントロールボックス7が、下部キャビネット51の背面板の上部に固設されている。このコントロールボックス7から突出する上流側の給水管と給湯管の各配管は、下部キャビネット51内に配設されるストレーナー62及び止水栓63を介し、下部キャビネット51の背面板の挿通孔を通過して水及び湯の供給源に接続されている。
【0047】
上部キャビネット53は、前方に開口した函状のキャビネット部533とキャビネット部533の前方開口を塞ぐように配置される扉531とを有している。キャビネット部533は、内部空間を棚となる横板や縦板で格子状に区画して、複数の収納部を形成している。扉531はキャビネット部533の幅方向に並んで複数(本実施形態では3つ)設けられており、各扉531の前面には略全面に亘って鏡532がそれぞれ貼着されていて鏡付きの扉531となっている。また、各扉531の下端はキャビネット部533の下端と略同位置になるようにされ、各扉531の幅方向の一端がキャビネット部533に枢支されて収納部を開閉するように回動自在にされており、両側の扉531を前方に回動させたときには、各扉531の鏡532が洗面化粧台5aの幅方向の中央前方に立つ使用者に向くような三面鏡状にできるようになっている。
【0048】
この上部キャビネット53は、洗面ボウルの後端に形成されている立ち上がり壁部521に載設されている。
【0049】
本実施形態の操作ユニット2は、上部キャビネット53の下面における左右方向の略中間部に固設してある。本実施形態においては、操作ユニット本体21の上面と上部キャビネット53のキャビネット部533の下面とを、ねじのような固着具によって螺合することにより、この操作ユニット2は固設してあるが、この固設手段は特に限定されるものではなく、例えばL字状の金属製の取付金具を使用して、上部キャビネット53と操作ユニット2とを固着一体化してもよい。
【0050】
また、この操作ユニット2の背面からは、図2に示すように湯調整部25の流入口251に接続された給湯管及び給水管と、着脱検知部23及び検知部24及び手動自動切替用基板と制御部4とを接続する各電気配線(図中B)と、が突出している。この給湯管及び給水管と、各電気配線Bと、はボウル部52の立ち上がり壁部521の上端に設けられた切欠(図示せず)から、このボウル部52背面に向けて抜き出され、このボウル部52の立ち上がり壁部521の背面を通って、下部キャビネット51の上部であってボウル部52の背面に設けられた隙間512に挿通されて、コントロールボックス7内の逆止弁61や制御基板に接続されている。つまり、操作ユニット2からの配管や配線Bは、使用者からは見えない位置に隠された状態となっているため、洗面化粧台5aの外観を低下させることなく、吐水装置Aと洗面化粧台5aとの一体感のある良好な外観を呈することができる。
【0051】
このように設置された吐水装置Aは、上記の通り、ボウル部52の上方に固定部22のある操作ユニット2を設けてあり、シャワーヘッド1aを引き出して使用するのみならず、通常のカランとしての使用もできる。つまり、本実施形態の吐水装置Aを設けた洗面化粧台5aは、シャワーヘッド1aとカランとを共用する吐出口を一つ設けるだけでよいため、すっきりとしたシンプルな外観にすることができるし、コスト面でも有利となる。
【0052】
さらに、給湯管と給水管が設置してあれば、既設の洗面化粧台5aに対しても、本発明の吐水装置Aを設置することができる。
【0053】
また、本実施形態の洗面化粧台5aによれば、弁部3の各電磁弁が故障した場合であっても、簡単に交換することができる。つまり、弁部3の各電磁弁の上流にある止水栓63によって止水した状態であれば、逆止弁61が設けてあるため下流側の配管にある湯水が逆流することもない。そのため、電磁弁の故障によるトラブルに対しても早急に対応することができる。また、電磁弁の下流側には、ストレーナー62が設けてあるため、電磁弁といったストレーナー62よりも下流のものに対するトラブルを未然に防ぐという配慮もなされている。
【0054】
以上、本発明の吐水装置Aを、洗面化粧台5aに設置したものに基づいて説明したが、この水栓設備5としての洗面化粧台5aは、例えば、台所用のシンクであっても同様に適用することができる。
【0055】
また、着脱検知部23や検知部24の構成は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば検知部24に超音波センサーを用いたり、着脱検知部23にメカスイッチによる検知手段を用いたりしてももちろんよい。
【符号の説明】
【0056】
1 吐出部
1a シャワーヘッド
11 シャワー整水切替スイッチ
12 嵌め込み部
12a 小径部
2 操作ユニット
21 操作ユニット本体
22 固定部
23 着脱検知部
23a マグネット
23b リードスイッチ
24 検知部
241 調整つまみ
25 湯調整部
251 流入口
252 流出口
253 レバーハンドル
26 切替操作部
261 手動自動切替ボタン
261a 自動ボタン
261b 手動ボタン
262 切替表示部
3 弁部
31 湯側弁
32 水側弁
4 制御部
41 電源コード
5 水栓設備
5a 洗面化粧台
61 逆止弁
62 ストレーナー
63 止水栓
7 コントロールボックス
A 吐水装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口を有する吐出部と、水栓設備に固設され前記吐出部を着脱自在に保持する固定部と、吐出部にホースを介して接続されて開放時には吐出口から吐水させると共に閉塞時には止水させる弁部と、弁部の開閉を制御する制御部と、を備えた吐水装置であって、前記制御部は、固定部に対して吐出部を離脱したときは弁部を開放させて吐出口から吐水し且つ固定部に対して吐出部を装着したときは弁部を閉塞させて止水することを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記水栓設備は洗面化粧台であり、洗面化粧台にあるボウル部の上方に前記固定部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
前記制御部は、固定部に対して吐出部を離脱した際に、固定部から吐出部が離脱した時から所定の時間経過後に弁部を開放させて吐出口から吐水することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−174457(P2010−174457A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15965(P2009−15965)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】