説明

向上した画像トーンを有するサーモグラフィ記録材料

【課題】≦15ミリ秒の加熱時間を用いるサーマルヘッドプリンターで印刷する時に、満足し得るアーカイバビリティー及び画像トーンの両方を示すプリントを与える実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の開発を可能にする概念を提供すること。
【解決手段】感熱要素及び支持体を含み、感熱要素は1種もしくはそれより多い実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にある1種もしくはそれより多い1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物から成る1種もしくはそれより多い還元剤及び結合剤を含有し、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が1.2〜6.0であり;1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物が4位に−(CH=CH)R基を有し、ここでnはゼロ又は整数であり、Rはカルボキシ−基以外の>0.35且つ<0.95のハメットσ定数を有する置換基であり;1,2−ジヒドロキシ−化合物のベンゼン環は場合によりアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、チオアルキル、アリールオキシ、チオアリール、チオヘテロアリール、アシルオキシ、チオアシル、アミド、スルホンアミド及びハロゲン基、環付加アリール環系及び環付加ヘテロアリール環系より成る群から選ばれるものでさらに置換されていることができることを特徴とするモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料;ならびにそれらのためのサーモグラフィ記録法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのプリントが向上した画像トーンを有するサーモグラフィ記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
熱的画像形成又はサーモグラフィは、熱エネルギーの使用により画像を形成する記録法である。直接熱的サーモグラフィでは、記録材料の画像通りの加熱により可視の画像パターンが形成される。
【0003】
特許文献1は、直接熱的記録材料をドット−様式で加熱し、直接熱的記録材料は(i)複塩でない1種もしくはそれより多い実質的に非−感光性の有機銀塩をフィルム−形成性ポリマー性結合剤中に均一に分散して含有する画像形成層を基質上に含み、1種もしくは複数種の銀塩は(ii)それのための有機還元剤と熱的作用関係にあり、還元剤が2個以下のヒドロキシ基でベンゼン核が置換されているベンゼン化合物であり、ヒドロキシ基は核上の3,4−位に存在し、核の1−位にはカルボニル基により核に結合している置換基を有することを特徴とする直接熱的記録法を開示している。
【0004】
特許文献2は、支持体ならびに実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にある1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物及び結合剤を含有する感熱要素を含み、1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物が式(I):
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、
nが0の場合、Rは−P(=O)R、−SO、−CN、−NO又は−CR=NRであり;nが整数の場合、Rは−P(=O)R、−SO、−CN、−NO、−CR=NR又は−CORであり;R及びRは独立してアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール基、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ又は置換アミノ基であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリール基あるいは水素であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ又は置換アミノ基であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヒドロキシ、アミノ又は置換アミノ基又は水素であり;xは1、2又は3であり;式(I)により示される1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物のベンゼン環はさらに置換されていることができる]
により示されることを特徴とする実質的に非−感光性の黒白モノシートサーモグラフィ記録材料を開示している。
【0007】
特許文献3は、感熱要素及び支持体を含み、感熱要素は実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にある3,4−ジヒドロキシベンゼン化合物及び結合剤を含有し、3,4−ジヒドロキシベンゼン化合物が、アリール基が0より大きいσ−値を有する少なくとも1個の置換基で置換されているアリールオキソ−3,4−ジヒドロキシベンゼン化合物;あるいはヘテロアリール基が53より大きい統一芳香族性指数Iを有し且つ場合によりアリール、ヒドロキシ、カルボキシ、スルホ、スルホアルキル、スルホアリール、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、環付加アリール、環付加ヘテロアリール、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、オキソアルキル、オキソアリール、ハロゲン、ニトロ、シアノ及びメルカプト−アルキル基より成る群から選ばれる少なくとも1個の基で置換されていることができるヘテロアリールオキソ−3,4−ジヒドロキシベンゼン化合物であることを特徴とするモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料;ならびにそれのためのサーモグラフィ記録法を開示している。
【0008】
特許文献4は、感熱要素及び支持体を含み、感熱要素は実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にある1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物及び結合剤を含有し、1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物が式(I):RSOにより示され、ここでRは場合により置換されていることができるアリール基であり、Rは3,4,5−トリヒドロキシフェニル基、3−アルコキシ−4,5−ジヒドロキシフェニル基及び3−アリールオキシ−4,5−ジヒドロキシフェニル基より成る群から選ばれるか;あるいは1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物が式(II):RCOORにより示され、ここでRは3−アルコキシ−4,5−ジヒドロキシフェニル基又は3−アリールオキシ−4,5−ジヒドロキシフェニル基であり;Rはアルキル基又はアリール基であることを特徴とするモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料;ならびにそれのためのサーモグラフィ記録法を開示している。
【0009】
特許文献5は、実質的に非−感光性の有機銀塩、それのための還元剤及び結合剤を含む感−熱性コピー−シートを開示している。特定的に実施例1では、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ−ビス−インダン5,5’,6,6’−テトロール及びベヘニルピロガロールとベヘン酸銀;ならびに3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ−ビス−インダン5,5’,6,6’−テトロールとベヘン酸銀に関してそれぞれ1.78及び1.33の還元剤のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が開示されている。
【0010】
特許文献6は、実質的に非−感光性の有機銀塩、それのための還元剤及び結合剤を含む感−熱性コピー−シートを開示している。特定的に実施例1及び2では、それぞれ3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ−ビス−インダン5,5’,6,6’−テトロール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸とベヘン酸銀;ならびに没食子酸メチルとベヘン酸銀に関してそれぞれ7.29及び4.13の還元剤のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が開示されている。
【0011】
特許文献7は、実質的に非−感光性の有機銀塩、それのための還元剤及び結合剤を含む感−熱性コピー−シートを開示している。特定的に実施例1、2及び3では、それぞれヒドロキノンとベヘン酸銀;ヒドロキノンとベヘン酸銀;ならびに没食子酸メチル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸とベヘン酸銀に関してそれぞれ5.725、5.725及び2.310の還元剤のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が開示されている。
【0012】
特許文献8は、実質的に非−感光性の有機銀塩、それのための還元剤及び結合剤を含む感−熱性コピー−シートを開示している。特定的に実施例3では、3,4−ジヒドロキシ安息香酸とベヘン酸銀に関して2.95の還元剤のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−
感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が開示されている。
【0013】
特許文献9は、実質的に非−感光性の有機銀塩、それのための還元剤及び結合剤を含む感−熱性コピー−シートを開示している。特定的に実施例1では、没食子酸メチルとベヘン酸銀に関して3.29の還元剤のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が開示されている。
【0014】
通常のハロゲン化銀放射線写真フィルムを用いる典型的なX−線画像は、D=1.0に関してa=−4.62及びb=−8.86ならびに2.0の濃度に関してa=−2.53及びb=−4.41のCIELAB−値に対応する画像トーンを有し、画像濃度の安定性及び画像トーンの安定性の両方の点で優れたアーカイバビリティーを示す。許容され得るアーカイバビリティーを示す先行技術のサーモグラフィ記録材料を用いて作成されるプリントは赤がかった画像トーンを示し、限界的に許容され得る中性(a=b=0)から青がかった画像トーン(a=0〜−7;b<0)を示す先行技術のサーモグラフィ記録材料は、許容され得ないアーカイバビリティーを示す。≦15ミリ秒の加熱時間を用いるサーマルヘッドプリンターでプリントを作成する場合、この問題は特に厳しい。ハロゲン化銀放射線写真フィルムを用いて典型的に得られる画像トーンに可能な限り近い画像トーンを得ることが望ましい。
【0015】
【特許文献1】欧州特許第692 733号明細書
【特許文献2】欧州特許第903 625号明細書
【特許文献3】未公開欧州特許出願第EP01000096.6号明細書
【特許文献4】未公開欧州特許出願第EP01000095.8号明細書
【特許文献5】米国特許第3,028,254号明細書
【特許文献6】米国特許第3,031,329号明細書
【特許文献7】米国特許第3,074,809号明細書
【特許文献8】米国特許第3,103,881号明細書
【特許文献9】米国特許第3,107,174号明細書
【発明の開示】
【0016】
従って、本発明の側面は、そのプリントが満足し得るアーカイバビリティー(archivability)及び画像トーンの両方を示す実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の開発を可能にする概念を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる側面は、≦15ミリ秒の加熱時間を用いるサーマルヘッドプリンターで印刷する時に、満足し得るアーカイバビリティー及び画像トーンの両方を示すプリントを与える実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の開発を可能にする概念を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる側面及び利点は、下記の記述から明らかになるであろう。
【発明の概略】
【0019】
驚くべきことに、特定の種類の1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物還元剤を用い、1.00の化学両論的値より大きい、有機銀塩もしくはそれらの混合物のモル当量に対する1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物還元剤もしくはそれらの混合物中の活性ヒドロキシ基のモル当量のモル比における増加が、それらを用いて作成されるプリントのCIELABa−値を低下させ且つプリントのアーカイバル性(archival properties)における予想される禁止的な悪化がないという予想されなかった結果を有することが見いだされた。この効果は、≦15ミリ秒の加熱時間を用いるサーマルヘッドプリンターでプリントを作成する時に特に顕著であることが見いだされた。
【0020】
本発明の上記の側面は、感熱要素及び支持体を含み、感熱要素は1種もしくはそれより多い実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にある1種もしくはそれより多い1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物から成る1種もしくはそれより多い還元剤及び結合剤を含有し、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が1.2〜6.0であり;1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物が4位に−(CH=CH)R基を有し、ここでnはゼロ又は整数であり、Rはカルボキシ−基以外の>0.35且つ<0.95のハメット(Hammett)σ定数を有する置換基であり;1,2−ジヒドロキシ−化合物のベンゼン環は場合によりアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、チオアルキル、アリールオキシ、チオアリール、チオヘテロアリール、アシルオキシ、チオアシル、アミド、スルホンアミド及びハロゲン基、環付加アリール環系及び環付加ヘテロアリール環系より成る群から選ばれるものでさらに置換されていることができることを特徴とするモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料を提供することにより実現される。
【0021】
本発明の上記の側面は、(i)サーモグラフィ記録材料を準備し;(ii)サーモグラフィ記録材料を熱源に近接させ;(iii)熱源からサーモグラフィ記録材料に熱を画像通りに適用し;(iv)サーモグラフィ記録材料を熱源の近くから取り除く段階を含む、上記のモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料のためのサーモグラフィ記録法を提供することによっても実現される。
【0022】
いくつかの態様が従属クレイムに開示されている。
【発明の詳細な記述】
【0023】
本発明に従うサーモグラフィ記録法の第1の態様に従うと、熱源はサーマルヘッドである。本発明に従うサーモグラフィ記録法の第2の態様に従うと、熱源は薄フィルムサーマルヘッドである。本発明に従うサーモグラフィ記録材料の第3の態様に従うと、熱源は≦25ミリ秒の加熱時間を用いて働く薄フィルムサーマルヘッドである。本発明に従うサーモグラフィ記録材料の第4の態様に従うと、熱源は≦15ミリ秒の加熱時間を用いて働く薄フィルムサーマルヘッドである。
【0024】
定義
アルキルという用語は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に可能なすべての変形、すなわち3個の炭素原子の場合:n−プロピル及びイソプロピル;4個の炭素原子の場合:n−ブチル、イソブチル及び第3級−ブチル;5個の炭素原子の場合:n−ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル及び2−メチル−ブチルなどを意味する。
【0025】
「環付加」(“annelated”)は共通の炭素−炭素結合を有することを意味し、例えばベンゼン環とナフタレン環の環付加は、ナフタレン環中のどの炭素−炭素結合がナフタレン環及びベンゼン環の両方に共通であるかに依存して、アントラセン又はフェニントレンを生ずる。
【0026】
実質的に非−感光性により、ことさら感光性ではないことを意味する。
【0027】
ハメットσ及びハメットσ置換基定数の選ばれた値が、N.B.Chapman and J.Shorterにより編集され、Plenum Press,Londonにより1972年に出版されたAdvances in Linear Free Energy Relationshipsにおいて28〜29ページに見いだされる。ハメ
ットσ及びハメットσ置換基定数に関して報告されている最も高い値を本発明の目的のためのハメットσ及びハメットσ置換基定数であるとみなす。
【0028】
統一芳香族性指数Iは、Tetrahedron,48(32),335−340(1992)においてC.W.Birdにより記載されており、それは広い範囲の芳香族基に関する芳香族性指数の値も開示している。
【0029】
1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量は、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモル濃度に式(I)中のベンゼン環上のヒドロキシ−基置換基(hydroxy−groups substituents)の数を乗じ、次いでこれらの値を合計することにより得られる。例えば3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチルはモル当たり2モルヒドロキシ−当量を有し、3個のヒドロキシ−基で置換されたベンゼン環を有する没食子酸n−プロピルはモル当たり3モルヒドロキシ−当量を有し、それぞれ2個のヒドロキシ−基で置換された2個のベンゼン環を有する3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ−ビス−インダン5,5’,6,6’−テトロールはモル当たり4モルヒドロキシ−当量を有する。
【0030】
実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量は、実質的に非−感光性の有機銀塩のモル濃度に特定の実質的に非−感光性の有機銀塩中の銀−原子の数を乗ずることによって得られ、例えばベヘン酸銀はモル当たり1モル銀−当量を有し、ジカルボン酸の銀塩であるアジピン酸銀はモル当たり2モル銀−当量を有する。
【0031】
1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は、上記の通りにして得られる1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量を上記の通りにして得られる実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量で割ることにより得られる。
【0032】
1種より多い1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物及び/又は1種より多い実質的に非−感光性の有機銀塩が存在する場合、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は、存在する1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のヒドロキシ−当量の合計を、存在する実質的に非−感光性の有機銀塩の銀−当量の合計で割ることにより決定される。
【0033】
サーマルヘッドの合計ラインタイム(line time)は、プリンター輸送方向における1つの線又は画素の印刷の開始と次の線又は画素の印刷の開始の間の時間である。合計ラインタイム中に冷却時間が含まれなければ、合計ラインタイムは実効ラインタイム(active line time)に等しい。合計ラインタイム中に冷却時間が含まれるならば、実効ラインタイムを得るためにはこの冷却時間を合計ラインタイムから引き去らねばならない。
【0034】
サーマルヘッドの加熱時間は、サーマルヘッドの実効ラインタイムにプリンターの輸送方向におけるサーマルヘッド中の抵抗器部品の長さ対1つの線の印刷の開始と次の線の印刷の間の距離の比を乗じることによって得られ、例えば12ミリ秒の実効ラインタイム、プリンター輸送方向における75μmの抵抗器部品の長さ及び50μmの1つの印刷線の開始と次の印刷線の間の距離の場合、印刷時間は12x(75/50)=18ミリ秒である。この加熱時間はフィルム要素が熱を経験する時間に相当する。
【0035】
本明細書で用いられる実質的に無水の条件という表現と一緒になった加熱は、80〜250℃の温度における加熱を意味する。本明細書で用いられる「実質的に無水の条件」という用語は、反応系が空気中の水と大体平衡にあり、反応を誘導するかもしくは促進する
ための水が外部から要素に特別にもしくは積極的に供給されないことを意味する。そのような条件はT.H.James,“The Theory of the Photographic Process”,Fourth Edition,Macmillan
1977,page 374に記載されている。
【0036】
1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルOH−当量対
有機銀塩のモルAg−当量のモル比
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第1の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は1.3〜5.0である。
【0037】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第2の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は1.3〜4.0である。
【0038】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第3の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は1.5〜3.5である。
【0039】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第4の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は1.5〜3.0である。
【0040】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第5の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は1.5〜2.5である。
【0041】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第6の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量対実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比は1.3〜2.0である。
【0042】
式(I)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料において用いられる1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物は4位に−(CH=CH)R基を有し、ここでnはゼロ又は整数であり、Rはカルボキシ−基以外の>0.35且つ<0.95のハメットσ定数を有する置換基であり;1,2−ジヒドロキシ−化合物のベンゼン環は場合によりアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、チオアルキル、アリールオキシ、チオアリール、チオヘテロアリール、アシルオキシ、チオアシル、アミド、スルホンアミド及びハロゲン基、環付加アリール環系及び環付加ヘテロアリール環系より成る群から選ばれるものでさらに置換されていることができる。
【0043】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第7の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物中のR基は−P(=O)R、−SO、−CN、−NO、−CR=NR又は−CORであり;R及びRは独立してアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール基、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ヒドロキシ基、アミノ基又は置換アミノ基であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アミノ又は置換アミノ基であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリール基あるいは水素であり;Rはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アミノ又は置換アミノ基であり;Rは水素原子又はアルキル、置換ア
ルキル、アリール、>0且つ<0.85のハメットσ−定数を有する少なくとも1個の置換基で置換されたアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アリールオキシ、置換アリールオキシ、53より大きい統一芳香族性指数を有するヘテロアリール又は53より大きい統一芳香族性指数を有する置換ヘテロアリール基であり;xは1、2又は3である。
【0044】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第8の態様に従うと、1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物は3,4−ジヒドロキシベンゾエートアルキル及びアリールエステル、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−基置換基を有していないベンゼン環が>0且つ<0.85のσ−定数を有する少なくとも1個の置換基で置換されている3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン化合物、3,4−ジヒドロキシ−アセトフェノン及び3,4−ジヒドロキシベンゾニトリルより成る群から選ばれる。
【0045】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第9の態様に従うと、式(I)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物はEP−B 692 733、EP−A 903 625及び未公開ヨーロッパ特許出願Nr.EP01000096.6中に開示されている還元剤から選ばれる。
【0046】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第10の態様に従うと、感熱要素は1種より多い式(I)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物を含有し、式(I)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物の1つは1,2−ジヒドロキシベンゾニトリルである。
【0047】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第11の態様に従うと、式(I)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物は3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル及び3,4−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
【0048】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第12の態様に従うと、式(I)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物は3,4−ジヒドロキシ安息香酸アルキル、例えば3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチル及び3,4−ジヒドロキシ安息香酸n−ブチルである。
【0049】
本発明に従う適した1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物は:
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

である。
【0055】
感熱要素
本明細書で用いられる感熱要素は、画像形成に関与するすべての成分を含有する要素である。本発明に従うと、感熱要素は1種もしくはそれより多い実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にあるそれのための還元剤としての1種もしくはそれより多い1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物及び結合剤を含有する。要素は、上記の成分が種々の層中に分散されていることができる層系を含むことができ、但し実質的に非−感光性の有機銀塩は還元剤と反応的関連にあり、すなわち熱的現像プロセスの間に還元剤は、それが実質的に非−感光性の有機銀塩の粒子に拡散することができ、銀の還元が起こり得るようなやり方で存在しなければならない。
【0056】
有機銀塩
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第13の態様に従うと、有機銀塩は第2のカチオン、例えばマグネシウムもしくは鉄イオンと一緒に銀カチオンを含有する有機複塩ではない。
【0057】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第14の態様に従うと、有機銀塩の少なくとも1つは有機カルボン酸の実質的に非−感光性の銀塩である。
【0058】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第15の態様に従うと、有機銀塩の少なくとも1つは、脂肪族炭素鎖が好ましくは少なくとも12個のC−原子を有する脂肪酸として既知の脂肪族カルボン酸の実質的に非−感光性の銀塩、例えばラウリン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、ヒドロキシステアリン酸銀、オレイン酸銀及びベヘン酸銀であり、その銀塩は「銀せっけん」とも呼ばれる。GB−P 1,439,478に記載されているような他の有機カルボン酸の銀塩、例えば安息香酸銀を同様に用い、熱的に現像可能な銀画像を形成することができる。EP−A 964 300に開示されているように、種々の有機カルボン酸の銀塩の組合わせを本発明で用いることもできる。
【0059】
標準的分散法により有機銀塩を分散させることができる。ボールミル、ビーズミル、微小流動化機(microfluidizers)、超音波装置、ローターステーターミキサー(rotor stator mixers)などがこれに関して有用であることが見いだされた。例えば有機銀塩の比較的粗い及び比較的微細に粉砕された分散液の所望のサーモグラフィ性を得るために、異なる方法により調製された有機銀塩分散液の混合物を用いることもできる。
【0060】
補助還元剤
加熱されると実質的に非−感光性の有機銀塩の還元における反応性パートナーになるさらに別の還元剤との式(I)に従う化合物の組合わせを用いることもできる。本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第16の態様に従うと、感熱要素は式(I
)に従う1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物の他に還元剤を含有する。
【0061】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第17の態様に従うと、感熱要素は、未公開ヨーロッパ特許出願Nr.01000095.8に開示されている還元剤を少なくとも1種、例えば:4−メチル−3’,4’,5’−トリヒドロキシ−ジフェニルスルホンをさらに含有する。
【0062】
感熱要素の結合剤
感熱要素のフィルム−形成性結合剤は、実質的に非−感光性の有機銀塩が水性もしくは溶剤媒体中に均一に分散されることができるすべての種類の天然、改質天然又は合成樹脂あるいはそのような樹脂の混合物:例えばセルロース誘導体、例えばエチルセルロース、セルロースエステル、例えば硝酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉エーテル、ガラクトマンナン、α,β−エチレン性不飽和化合物から誘導されるポリマー、例えばポリ塩化ビニル、後−塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、ポリ酢酸ビニル及び部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、出発材料としてポリビニルアルコールから作られ、繰り返しビニルアルコール単位の一部のみがアルデヒドと反応していることができるポリビニルアセタール、好ましくはポリビニルブチラール、アクリロニトリルとアクリルアミドのコポリマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレンならびにポリエチレンあるいはそれらの混合物であることができる。
【0063】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第18の態様に従うと、感熱要素は、それらが用いられるサーモグラフィ記録材料のサーモグラフィ性に不利に影響する添加物又は不純物を含有しない結合剤を含む。
【0064】
調色剤
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第19の態様に従うと、比較的高い濃度において中性のブラック画像トーンそして比較的低い濃度において中性のグレーを得るために、感熱要素はさらにいわゆる調色剤有機銀塩を含有する。
【0065】
適した調色剤はUS 3,074,809、US 3,446,648及びUS 3,844,797及びUS 4,082,901に記載されている。他の特に有用な調色剤は、GB 1,439,478、US 3,951,660及びUS 5,599,647に開示されているようなベンズオキサジンジオン又はナフトオキサジンジオン型の複素環式調色化合物である。
【0066】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第20の態様に従うと、感熱要素はフタラジノン、ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン、7−メチル−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン、7−メトキシ−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン及び7−(エチルカルボナト)−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオンより成る群から選ばれる1種もしくはそれより多い調色剤をさらに含有する。
【0067】
安定剤
保存寿命を延長させ、カブリを減少させるために、本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料中に安定剤を導入することができる。
【0068】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第21の態様に従うと、感熱要素はベンゾトリアゾール;置換ベンゾトリアゾール;テトラゾール;メルカプトテトラゾール、例えば1−フェニル−5−メルカプト−テトラゾール;及び芳香族ポリカルボン
酸、例えばオルト−フタル酸、3−ニトロ−フタル酸、テトラクロロフタル酸、メリト酸、ピロメリト酸及びトリメリト酸ならびにそれらの無水物より成る群から選ばれる少なくとも1種の安定剤をさらに含有する。
【0069】
ポリカルボン酸及びそれらの無水物
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第22の態様に従うと、感熱要素はさらに少なくとも1種の場合により置換されていることができる脂肪族(飽和及び不飽和脂肪族ならびに又環状脂肪族)ポリカルボン酸及び/又はそれらの無水物を、存在する1種もしくは複数種の有機銀塩のすべてに関して少なくとも15のモルパーセンテージで且つそれらと熱的作用関係で含む。ポリカルボン酸は、少なくとも2個の遊離のカルボン酸が残っているか、又は熱記録段階に利用できるという条件で、無水物形態で、あるいは部分的にエステル化された形態で用いられ得る。本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第23の態様に従うと、感熱要素はグルタル酸をさらに含有する。
【0070】
界面活性剤及び分散剤
界面活性剤及び分散剤は、特定の分散媒中で不溶性の成分もしくは反応物の分散を助ける。本発明のサーモグラフィ記録材料はアニオン性、非−イオン性もしくはカチオン性界面活性剤であることができる1種もしくはそれより多い界面活性剤及び/又は1種もしくはそれより多い分散剤を含有することができる。
【0071】
他の添加剤
記録材料は、上記の成分に加えて他の添加剤、例えば均展剤、例えばBAYSILONTM MA(BAYER AG,GERMANYから)を含有することができる。
【0072】
支持体
本発明に従う感熱要素のための支持体は透明、半透明又は不透明であることができ、透明樹脂フィルムから作られる、例えばセルロースエステル、三酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネートあるいはポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートから作られる薄い柔軟性担体である。
【0073】
支持体はシート、リボン又はウェブの形態にあることができ、その上にコーティングされる感熱要素への接着を向上させるために、必要なら下塗りされていることができる。それはいわゆるブルー−ベース(blue−base)のように青顔料で着色されていることができる。カール性及び静電性のような物理的性質を制御するために、1つもしくはそれより多い裏引き層を設けることができる。
【0074】
保護層
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第24の態様に従うと、感熱要素の局部的変形を避けるため及び摩耗に対する抵抗性を向上させるために、感熱要素に保護層を設ける。
【0075】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第25の態様に従うと、感熱要素に結合剤を含む保護層を設け、結合剤は溶剤−可溶性、溶剤−分散性、水−溶性又は水−分散性であることができる。
【0076】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第26の態様に従うと、EP−A 614 769に記載されているように、結合剤として溶剤−可溶性ポリカーボネートを含む保護層を感熱要素に設ける。
【0077】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第27の態様に従うと、水性
組成物からコーティングを行うことができ、直下の層において溶剤−可溶性又は溶剤−分散性結合剤を用いることにより保護層と直下の層の混合を避けることができるので、水−溶性又は水−分散性結合剤を含む保護層を感熱要素に設ける。本発明に従う保護層は架橋されていることができる。架橋は、WO 95/12495に記載されているような架橋剤の使用により成され得る。固体もしくは液体潤滑剤又はそれらの組み合わせは、本発明に従うサーモグラフィ記録材料の滑り特性を向上させるために適している。
【0078】
本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第28の態様に従うと、WO
94/11199に記載されているもののような熱融解性粒子を含む保護層を感熱要素に設ける。本発明に従うサーモグラフィ記録材料の保護層は艶消剤を含むことができる。本発明の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第29の態様に従うと、WO 94/11198に記載されており、場合により保護層が突き出ていることができるような艶消剤、例えばタルク粒子を含む保護層を感熱要素に設ける。
【0079】
裏引き層配置(Backing layer configuration)
本発明に従う実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第30の態様に従うと、支持体に、感熱要素と反対の支持体の面上において、本質的に導電性のポリマーを含有する接着層が設けられる。接着層は結合剤、例えばラテックス結合剤及びコロイド顔料、例えばコロイドシリカを含有する。
【0080】
本発明に従う実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第31の態様に従うと、支持体に、感熱要素と反対の支持体の面上において、本質的に導電性のポリマーを含有する接着層が設けられ、接着層に、場合により第2の本質的に導電性のポリマーを含有していることができる裏引き層が設けられる。裏引き層は結合剤、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチルメタクリレート)及びゼラチン、顔料、例えばコロイドシリカならびに艶消剤、例えばシリカ粒子又はポリマー粒子、例えばポリ(メチルメタクリレート)粒子を含有する。
【0081】
本発明に従う実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第32の態様に従うと、支持体に、感熱要素と反対の支持体の面上において、本質的に導電性のポリマーを含有する接着層が設けられ、接着層に、場合により第2の本質的に導電性のポリマーを含有していることができる裏引き層が設けられ、本質的に導電性のポリマー及び/又は第2の本質的に導電性のポリマーはポリチオフェンである。
【0082】
本発明に従う実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の第32の態様に従うと、支持体に、感熱要素と反対の支持体の面上において、本質的に導電性のポリマーを含有する接着層が設けられ、接着層に、場合により第2の本質的に導電性のポリマーを含有していることができる裏引き層が設けられ、本質的に導電性のポリマー及び/又は第2の本質的に導電性のポリマーはポリチオフェンであり、それは、2個のアルコキシ基が同一であるかもしくは異なることができるか、あるいは一緒になって場合により置換されていることができるオキシ−アルキレン−オキシ架橋を示す3,4−ジアルコキシチオフェンのポリマー又はコポリマー、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。
【0083】
感熱要素と同じ支持体の面の最外層のコーティングのための分散液のpHが5未満であり且つ感熱要素の面と反対の支持体の面の最外層のコーティングのための分散液のpHと実質的に同じであることが重要である。これは支持体の両面上の最外層からの類似の表面pHを生ずる。
【0084】
コーティング
本発明の記録材料のいずれの層のコーティングも、例えばModern Coatin
g and Drying Technology,edited by Edward
D.Cohen and Edgar B.Gutoff,(1992) VCH Publishers Inc.,220 East 23rd Street,Suite 909 New York,NY 10010,USAに記載されているようないずれかのコーティング法によって行うことができる。
【0085】
サーモグラフィ処理
サーモグラフィ画像形成は、像を介するか又は像からの反射による直接露出によりアナログ様式で、あるいは、好ましくは赤外吸収性化合物を含有する実質的に非−感光性のサーモグラフィ材料を以て赤外熱源を用いることにより、例えばNd−YAGレーザー又は他の赤外レーザーを用いてあるいはサーマルヘッドを用いる直接熱的画像形成により画素毎にデジタル様式で、熱を画像通りに適用することにより行われる。
【0086】
熱的印刷の場合、画像信号は電気パルスに変換され、次いでドライバー回路(driver circuit)を介して選択的にサーマルプリントヘッドに伝達される。サーマルプリントヘッドは顕微鏡的発熱抵抗器(microscopic heat resistor)部品から成り、それが電気エネルギーをジュール効果を介して熱に変換する。通常のサーマルプリントヘッドの作動温度は300〜400℃の範囲内にあり、画素(pixel)当たりの加熱時間は1.0ミリ秒未満であることができ、サーマルプリントヘッドと記録材料の加圧接触は、優れた熱の伝達を保証するために例えば200〜500g/cmである。
【0087】
サーマルプリンティングヘッド及び感熱要素と同じ支持体の面上の最外層との直接の接触を避けるために、この最外層が保護層でない場合、接触しているが除去可能であり、加熱の間にそこからの記録材料の転移が起こり得ない樹脂シートもしくはウェブを介して、サーマルプリンティングヘッドを用いる記録層の画像通りの加熱を行うことができる。
【0088】
加熱部品の活性化は出力−変調されるかあるいは一定の出力においてパルス−長変調されることができる。EP−A 654 355は電圧印加可能な加熱部品を有するサーマルヘッドによる画像通りの加熱によって画像を形成するための方法を記載しており、その方法では加熱部品の活性化がデューティーサイクル化(duty cycled)パルス様式で行われる。EP−A 622 217は連続トーン再現における改良を生む直接熱的画像形成要素を用いる画像形成法を開示している。
【0089】
記録材料の画像通りの加熱を材料中に導入される電気抵抗性リボンを用いて行うこともできる。記録材料の画像−もしくはパターン−通りの加熱を画素−通りに変調される超音波により行うこともできる。
【0090】
工業的用途
サーモグラフィ画像形成を反射型プリント及び特に医学的診断分野において用いるためのトランスパレンシーの作成に用いることができ、医学的診断分野では、ライトボックスを用いて操作される検査法において黒−画像形成されたトランスパレンシーが広く用いられている。
【実施例】
【0091】
下記において比較実施例及び本発明の実施例により本発明を例示する。これらの実施例に示すパーセンテージ及び比率は、他にことわらなければ重量による。上記で開示したものの他に、本発明の実施例及び比較実施例の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料で用いられる成分を下記に示す:
裏引き及び接着層のための成分:
●POVALTM 103=Kurarayからの98%加水分解されたポリ(ビニルアルコール);
●V03/140=ErkolTM V03/140、Acetex Europeからの88%加水分解されたポリ(ビニルアルコール);
●KELZANTM S=Technical Bulletin DB−19に従うと、マンノース、グルコース及びグルクロン酸繰り返し単位を混合カリウム、ナトリウム及びカルシウム塩として含有する多糖であるMERCK & CO.,Kelco Division,USAからのキサンタンゴム;
●PE40=PERAPRETTM PE40、BASFからのポリエチレンラテックスの40%水性分散液;
●PoligenTM WE7=BASFからの酸化ポリエチレンの40%水性ラテックス;
●LATEX01=88%塩化ビニリデン、10%メチルアクリレート及び2%イタコン酸のコポリマーの且つ0.13%Mersolat Hを含有する26.8%水性ラテックス;
●LATEX02=100nmの粒子を有する20%水性ポリ(メチルメタクリレート)ラテックス;
●LATEX03=88%塩化ビニリデン、10%メチルアクリレート及び2%イタコン酸のコポリマーならびに0.75%HostaponTM Tの30%ラテックス;
●LATEX04=50nmの粒子を有する20%水性ポリ(メチルメタクリレート)ラテックス;
●PEDOT/PSS−1=US 5,354,613に記載されているようにして製造されるポリ(3,4−エチレンオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(重量により1:2.46)の1.2%水性分散液;
●PEDOT/PSS−2=均質化されたPEDOT/PSS−1;
●SnowtexTM O=Nissan Chemicalからのコロイドシリカの20%水性分散液;
●Kieselsol 100F=BAYERからのコロイドシリカの30%水性分散液;
●UVONAC=アセチル化ULTRAVON Wの10%水溶液;
●MersolatTM H=BAYERからのペンタデシルスルホン酸ナトリウムの76%水性ペースト;
●ZONYLTM FSO 100=DUPONTからの、構造:F(CFCFCHCHO(CHCHO)Hを有し、ここでx=0〜約15であり、y=1〜約7であるポリエチレングリコールとポリテトラフルオロエチレンのブロックコポリマー
●HostaponTM T=HOECHSTによるN−メチル−N−2−スルホエチル−オレイルアミドのナトリウム塩の40%濃厚液;
●Arkopal NO 60=HOECHSTからのノニルフェニルポリエチレン−グリコール;
●OP80=AkypoTM OP80、CHEMYからのオクチル−フェニル−オキシ−ポリエチレングリコール(EO 8)酢酸の80%濃厚液;
●MAT01=SunsphereTM51、Asahi Glassからの5.7μmシリカ粒子の8.63%分散液;
●MAT02=US 4,861,812に記載されているようにして製造される98%メチルメタクリレート及び2%ステアリルメタクリレートのコポリマーならびに0.4%Arkopal NO 60の6μmの架橋されたビーズの20%水性分散液;
感熱要素のための成分:
●有機銀塩:
AgB=ベヘン酸銀;
●結合剤:
BL5HP=S−LEC BL5HP、Sekusuiからのポリビニルブチラール;●架橋剤:
VL=DesmodurTM VL、BAYERからの4,4’−ジ−イソシアナトジフェニルメタン;
●還元剤:
CR01=没食子酸メチル(US 3,031,329及びUS 3,107,174から);
CR02=3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ−ビス−インダン5,5’,6,6’−テトロール(US 3,028,254、3,031,329及びEP 599 369に従う):
【0092】
【化2】

【0093】
●調色剤:
T01=ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;
T02=7−(エチルカルボナト)−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;
T03=7−メチル−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;
●安定剤:
S01=グルタル酸;
S02=テトラクロロフタル酸無水物;
S03=ベンゾトリアゾール。
保護層のための成分:
●Ercol 48 20=ErcolTM 48 20、Acetex Europeからのポリビニルアルコール;
●26/88=MOWIOLTM 26/88、Clariant GmbHからのポリビニルアルコール;
●VP AC 4055=LEVASILTM VP AC 4055、アンモニウム塩に転換されている、Bayer AGからの500m/gの比表面積を有するコロイドシリカの15%水性分散液;
●ULTRAVONTM W=イオン交換カラムを通過させることにより酸の形態に転換されたCiba Geigyからのアリールスルホン酸ナトリウムの75〜85%濃厚液;
●SYLOIDTM 72=Graceからのシリカ;
●VPDZ 3/100=SERVOXYLTM VPDZ 3/100、Servo Delden BVからのモノ[イソトリデシルポリグリコールエーテル(3EO)]ホスフェート;
●VPAZ 100=SERVOXYLTM VPAZ 100、Servo Delden B.V.からのモノラウリル及びジラウリルホスフェートの混合物;
●type P3=MICROACETM type P3、Nippon Talcか
らのインディアンタルク;
●Satintone S=SatintoneTM S、Engelhard USAからの焼成チャイナクレー;
●RILANITTM GMS=Henkel AGからのグリセリンモノタロウ酸エステル(glycerine monotallow acid ester);
●TMOS=メタンスルホン酸の存在下で加水分解されたテトラメチルオルトシリケート。
【0094】
比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11
感熱要素の製造
それぞれ−7.9及び−16.6のCIELAB a−及びb−値を有する下塗りされた168μmの厚さの青−顔料着色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、2−ブタノン中に以下の成分を有する分散液をコーティングし;乾燥棚において50℃で1時間乾燥し、表1に示す組成を有する層を形成することにより、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した。
【0095】
【表7】

【0096】
保護層
次いで比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料の感熱要素に以下の成分を有する水性組成物をコーティングし、乾燥後に固体として以下の成
分被覆率を有する層を形成した:
ERCOL 48 20 =2.1g/m
VP AC 4055 =1.05g/m
ULTRAVONTM W =0.075g/m
SYLOIDTM 72 =0.09g/m
VPDZ 3/100 =0.075g/m
VPAZ 100 =0.075g/m
type P3 =0.045g/m
RILANITTM GMS =0.15g/m
TMOS(シリカへの完全な転換を仮定して) =0.87g/m
1N硝酸を加えることにより、コーティング組成物のpHを3.8のpHに調節した。水中に不溶性の潤滑剤は、必要なら分散剤を用いてボールミル中で分散させた。組成物を85mmの湿潤層厚さまでコーティングし、次いで40℃で15分間乾燥し、45℃及び70%の相対湿度で7日間硬膜させ、それにより比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料を製造した。
【0097】
サーモグラフィ印刷
プリンターの輸送方向で75μmの長さ及び輸送方向に垂直な方向で50μmの幅の抵抗器部品を有する薄フィルムサーマルヘッドが備えられたAGFA−GEVAERTからのDRYSTARTM 4500プリンターを用い、3つのモードで作動するように適応させ、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に印刷し、508dpi(=200ドット/cm)の解像度で対称画素を印刷した:
【0098】
【表8】

【0099】
サーマルヘッドの抵抗器は種々の画像濃度を与えるために出力−変調された。
【0100】
64のデータレベルに対応するグレースケール段階でMACBETHTM TR924デンシトメーターを用い、可視フィルターを介して測定される画像の最大濃度(Dmax)を、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11に関し、それぞれDRYSTARTM 4500プリンターモード1、2及び3に関して表2に示す。
【0101】
【表9】

【0102】
画像評価
比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、プリンターモード1、2及び3を用いて作成された新しいプリントの画像トーンを、L、a及びb CIELAB−値に基づいて評価した。L、a及びb CIELAB−値は、R(45/0)幾何学においてASTM Norm E179−90に従う分光光度測定により、ASTM Norm E308−90に従う評価を用いて決定された。b CIELAB−値はプリンターモードの間で及びモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の関数としてほとんど変化しなかった。他方、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の新しいプリントのa CIELAB−値は、表3に示す1.0及び2.0の光学濃度Dにおいて、用いられたDRYSTARTM 4500プリンターモード及びモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の両方と共に劇的に変化した。
【0103】
表3に、プリンターモード1で印刷された比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11の新しい実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料に関するD=1.0及びD=2.0の場合のa CIELAB−値、ならびにプリンターモードをそれぞれモード1からモード2及びモード1からモード3に変えた時のa CIELAB−値における変
化、Δaを示す。
【0104】
CIELAB−系において、負のCIELAB a−値は緑がかった画像−トーンを示し、aがより負になると共により緑になり、正のa−値は赤がかった画像−トーンを示し、aがより正になると共により赤くなる。負のCIELAB b−値は青がかったトーンを示し、bがより負になると共にますますより青くなり、正のb−値は黄色がかった画像−トーンを示し、bがより正になると共により黄色になる。全体としての画像の視覚に関しては、1.0の濃度を有する画像の要素の画像トーンが、より低い又はより高い光学濃度を有する要素の画像トーンより強い効果を有する。
【0105】
一般に、モード1でDRYSTARTM 4500プリンターを用い、調べたすべての還元剤を用いているサーモグラフィ記録材料は、驚くべきことに、モルヒドロキシ−当量対モル銀−当量の比率が1.0から約3.0の範囲内で増加すると共に非常に強く低下するCIELAB a−値を示した。3.0の比率より上で、CIELAB a−値における変化はそれよりずっと低かった。
【0106】
調べたすべての還元剤を用いている実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用いて得られる新しいプリントは、驚くべきことに、加熱時間がプリンターモード1の18ミリ秒からプリンターモード2の10.5ミリ秒及びプリンターモード3の5.25ミリ秒に減少すると共に強く向上するCIELAB a−値を示した。この影響は驚くべきことに、モルヒドロキシ−当量対モル銀−当量の比率の増加により改善された。例えば還元剤I−6を用いている実質的に非−感光性の記録材料の場合、プリンターモード1からプリンターモード3に移行する時のa CIELAB−値におけるシフトは、1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀−当量の比率の場合(比較実施例7及び8)、D=1.0において禁止的な約+11.5であり、7.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀−当量の比率の場合(比較実施例9)、D=1.0においてわずか−0.23であった。
【0107】
【表10】

【0108】
そのような効果は、モード1でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて印刷すると許容され得る画像トーンを有するプリントを与える還元剤を用いている実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の場合のみに使用可能である。表4は、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用いて得られるa及びb CIELAB値をまとめている。
【0109】
【表11】

【0110】
表4は、還元剤I−6、I−13及びI−14を用いている本発明の実施例1〜11及び比較実施例9及び11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料が中性から青がかった画像トーンを示すことを示している。しかしながら、還元剤CR01及びCR02を用いている比較実施例1〜6の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の場合は明らかにこうではなく、それらは強く赤がかった画像トーンを示した。
【0111】
アーカイバビリティー試験
比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、モード1、2及び3でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で34%相対湿度中で57℃において3日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、1.0及び2.0の濃度に関してCIELAB b−値を決定した。プリンターモード1、2及び3の場合の1.0及び2.0の濃度に関するb CIELAB−値の変化を表5に示す。
【0112】
【表12】

【0113】
本発明は、7.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀−当量の比率の場合のアーカイバビリティーにおける悪化と共に、モルヒドロキシ−当量対モル銀−当量の比率の増加に伴うa CIELAB−値の驚くべき低下により先行技術に対して一線を画しており、プリンターモード1、2及び3の場合の比較実施例9及び比較実施例11に関するΔb CIELAB−値を、それぞれ本発明の実施例7及び9に関するそれらと比較して参照されたい。
【0114】
比較実施例13ならびに本発明の実施例12及び13
感熱要素の製造
それぞれ−7.9及び−16.6のCIELAB a−及びb−値を有する下塗りされた168μmの厚さの青−顔料着色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、2−ブタノン中に以下の成分を有する分散液をコーティングし;75℃(乾燥空気の温度)で7分間乾燥し、表6に示す組成を有する層を形成することにより、比較実施例13ならびに本発明の実施例12及び13の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した。
【0115】
【表13】

【0116】
比較実施例13ならびに本発明の実施例12及び13のサーモグラフィ記録材料の感熱要素に、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに保護層をコーティングし、得られるサーモグラフィ記録材料を45℃で7日間硬膜させ、それにより比較実施例13ならびに本発明の実施例12及び13のサーモグラフィ記録材料を製造した。
【0117】
サーモグラフィ評価
比較実施例13ならびに本発明の実施例12及び13の新しいサーモグラフィ記録材料を、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに、DRYSTARTM 4500プリンターモード3を用いて印刷し、評価した。結果を表7にまとめる。
【0118】
1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の全体的比率で還元剤I−1及びI−13を含有するサーモグラフィ記録材料(比較実施例13)を用いて得られる画像トーンは赤がかっており、わかる通りD=2.0に関して正のCIELAB a−値であるが、本発明の実施例12及び13の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の画像トーンは、通常のハロゲン化銀放射線写真フィルムを用いる典型的なX−線画像のそれに近かった。
【0119】
【表14】

【0120】
アーカイバビリティー試験
比較実施例13ならびに本発明の実施例12及び13のサーモグラフィ記録材料を用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で34%相対湿度中で57℃において3日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、1.0及び2.0の濃度に関してCIELAB a−及びb−値を決定し、モード3でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて作成されるプリントに関して表8にまとめる。
【0121】
アーカイバビリティー試験の間の画像トーンにおける変化は、本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の場合より本発明の実施例12及び13の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の場合にずっと小さかったが、これらの材料は、単位ベヘン酸銀被覆率当たりに達成されるDmaxが本発明の実施例1〜11の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の場合より有意に低いという欠点を有した。
【0122】
【表15】

【0123】
比較実施例14及び15ならびに本発明の実施例14及び15
感熱要素の製造
下塗りされた168μmの非−顔料着色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、2−ブタノン中に以下の成分を有する分散液をコーティングし;50℃で1時間乾燥し、表9に示す組成を有する層を形成することにより、比較実施例14及び15ならびに本発明の実施例14及び15の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した。
【0124】
【表16】

【0125】
サーモグラフィ印刷
プリンターの輸送方向で152μmの長さ及び輸送方向に垂直な方向で85μmの幅の抵抗器部品を有する薄フィルムサーマルヘッドが備えられたAGFA−GEVAERTからのDRYSTARTM 2000プリンターを用い、2つのモードで作動するように適応させ、比較実施例14及び15ならびに本発明の実施例14及び15の新しいサーモグラフィ記録材料を印刷し、300dpi(=118ドット/cm)の解像度で対称画素(85μmx85μm)を印刷した:
【0126】
【表17】

【0127】
印刷の間、下塗り層、耐熱層及び滑り層(抗−摩擦層)が連続的にコーティングされた分離可能な5mmの厚さのポリエチレンテレフタレートリボンの滑り層と接着させて、6mmの合計厚さを有するリボンを与えている薄い中間材料により、プリントヘッドを画像形成層から隔てた。ラインタイムの間、プリントヘッドは一定の出力を与えられた。サーマルヘッド抵抗器は種々の画像濃度を与えるために出力−変調された。
【0128】
作成されたプリントを、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに評価した。結果をDRYSTARTM 2000プリンターモード1及び2に関して、それぞれ表10及び11にまとめる。
【0129】
【表18】

【0130】
【表19】

【0131】
サーモグラフィ材料が非−顔料着色支持体上にコーティングされたにもかかわらず、DRYSTARTM 2000プリンターモード1を用いて印刷すると、1.5のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、還元剤I−6を含有するサーモグラフィ記録材料を用いて望ましい画像トーンが得られたが、1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、還元剤I−6を含有するサーモグラフィ記録材料は、DRYSTARTM 2000プリンターモード2を用いて印刷すると、顕著に正のCIELAB a−値からわかる通り、禁止的に赤がかった画像を示した。
【0132】
サーモグラフィ材料が非−顔料着色支持体上にコーティングされたにもかかわらず、DRYSTARTM 2000プリンターモード2を用いて印刷すると、1.5のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、還元剤I−6を含有するサーモグラフィ記録材料を用いて望ましい画像トーンが得られたが、1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、還元剤I−6を含有するサーモグラフィ記録材料は、DRYSTARTM 2000プリンターモード2を用いて印刷すると、顕著に正のCIELAB a−値からわかる通り、禁止的に赤がかった画像を示した。
【0133】
アーカイバビリティー試験
比較実施例14及び15ならびに本発明の実施例14及び15のサーモグラフィ記録材料を用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で70%相対湿度中で45℃において4日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、0.5、1.0及び1.5の濃度に関して決定されたCIELAB a−及びb−値を、DRYSTARTM 2000プリンターモード1及びDRYSTARTM 2000プリンターモード2を用いて作成されるプリントに関してそれぞれ表12及び13にまとめる。
【0134】
【表20】

【0135】
1.5のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率を有する本発明の実施例14及び15の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、DRYSTARTM 2000プリンターモード1を用いて作成されるプリントは、暗所で45℃及び70%相対湿度において4日の後、限界的に許容され得る画像トーンを示したが、1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率を有する比較実施例14及び15の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用いて作成されるプリントは、0.5及び1.0の両方の濃度に関して非常に赤がかっていた。
【0136】
【表21】

【0137】
1.5のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率を有する本発明の実施例14及び15の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、DRYSTARTM 2000プリンターモード2を用いて作成されるプリントは、暗所で45℃及び70%相対湿度
において4日の後、1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率を有する比較実施例14及び15の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用いて作成されるプリントより遥かに赤味が低い画像トーンを示し、後者はすべての濃度において非常に赤かった。
【0138】
比較実施例16
下塗りされた支持体の製造
それぞれ86.7、−8.2及び−18.2のL、a及びb CIELAB−値ならびにMacBethTM 924を用いて決定される可視フィルターを介して0.19の濃度を有する175μmの厚さの青−顔料着色ポリエチレンテレフタレート支持体に、以下の成分を含有して乾燥後に固体として以下の成分被覆率を与える水性エタノール分散液を用い、両面上において層をコーティングすることにより、下塗りされた支持体を製造した:
被覆率[mg/m
LATEX01: 162.2
Kieselsol 100F: 40.0
MersolatTM H 0.85
UVONAC 4.0
【0139】
裏引き層のコーティング
次いで以下の成分を含有し、乾燥後に固体として以下の成分被覆率を与える水性アンモニア性N−メチル−ピロリジノン分散液を用い、下塗りされた支持体の1面に裏引き層を適用した:
被覆率[mg/m
KelzanTM S: 10
PEDOT/PSS−1: 15
UVONAC: 21
Kieselsol 100F: 20
PerapretTM: 10
LATEX02: 200
MAT02: 30
【0140】
感熱要素の製造
下塗りされた支持体の、裏引き層が適用された面と反対の面上に、2−ブタノン中に以下の成分を有する分散液を95μmの湿潤厚さまでコーティングし、85℃において5分間乾燥し、以下の組成を有する層を形成することにより、比較実施例16の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した:
被覆率[g/m AgBに対するモル%
AgB: 3.809 100
BL5HP: 15.202 −
I−6: 0.768 49.50
T01: 0.209 15.06
T02: 0.107 5.02
S01: 0.271 24.08
S02: 0.120 4.94
S03: 0.100 9.85
油: 0.025 −
【0141】
保護層
感熱要素上に以下の成分を有する水性分散液をコーティングし、乾燥後に固体として以
下の成分被覆率を有する層を得ることにより、比較実施例16のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した:
ERCOL 48 20 =2.1g/m
VP AC 4055 =1.05g/m
ULTRAVONTM W =0.075g/m
SYLOIDTM 72 =0.09g/m
VPDZ 3/100 =0.075g/m
VPAZ 100 =0.075g/m
type P3 =0.045g/m
RILANITTM GMS =0.15g/m
TMOS(テトラメチルオルトシリケートが =0.87g/m
SiOに完全に転換されたと仮定して)
【0142】
1N硝酸を加えることにより、コーティング組成物のpHを3.8のpHに調節した。水中に不溶性の潤滑剤は、必要なら分散剤を用いてボールミル中で分散させた。組成物を85mmの湿潤層厚さまでコーティングし、次いで40℃で15分間乾燥し、45℃で11日間硬膜させ、それにより比較実施例16のサーモグラフィ記録材料を製造した。
【0143】
サーモグラフィ評価
比較実施例16の新しいサーモグラフィ記録材料を、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに、DRYSTARTM
4500プリンターモード1、2及び3を用いて印刷し、評価した。結果を表14にまとめる。
【0144】
【表22】

【0145】
CIELAB値から、本発明の範囲外の1.0のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、新しいフィルムを用いて、DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3に、2.0の濃度における関する画像トーンにおける正のaの値への、すなわち赤がかった画像トーンへの望ましくないシフトがあることが明らかである。DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3への、CIELAB a値におけるこれらの非常に強い正のシフトを表15に示す。
【0146】
【表23】

【0147】
これは、ラインタイム及び加熱時間の減少と共に画像トーンをますます赤くすることにおいて、ラインタイム及び加熱時間の変動のCIELAB a値への強い影響を示している。
【0148】
アーカイバビリティー試験
比較実施例16の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、モード1、2及び3でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で34%相対湿度中で57℃において3日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、1.0及び2.0の濃度に関してCIELAB b−値を決定した。プリンターモード1、2及び3の場合の1.0及び2.0の濃度に関するa及びb CIELAB−値の変化を表16に示す。
【0149】
【表24】

【0150】
DRYSTARTM 4500プリンターのプリンターモードをモード1からモード2及びモード3に変えると、すなわちラインタイム及び加熱時間を減少させると、D=1.0におけるΔDの有意な減少がある。表17からわかる通り、Δb値における強い増加もある。
【0151】
【表25】

【0152】
本発明の実施例16〜18
下塗りされた支持体の製造
それぞれ86.7、−8.2及び−18.2のL、a及びb CIELAB−値ならびにMacBethTM 924を用いて決定される可視フィルターを介して0.19の濃度を有する168μmの厚さの青−顔料着色ポリエチレンテレフタレート支持体に、以下の成分を含有して乾燥後に固体として以下の成分被覆率を与える水性分散液を用い、1面上において非−帯電防止層を:
被覆率[mg/m
LATEX03: 151
Kieselsol 100F: 35
MersolatTM H 0.75
【0153】
且つ他の面上に、以下の成分を含有して乾燥後に固体として以下の成分被覆率を与える水性分散液を用いて帯電防止層を:
被覆率[mg/m
PEDOT/PSS−2: 2.58
LATEX03: 147.3
ソルビトール(乾燥の間に蒸発): 24.7
Kieselsol 100F: 16.4
MersolatTM H 0.74
コーティングすることにより、下塗りされた支持体を製造した。
【0154】
裏引き層の形成
1736gの冷脱イオン水に264gを加えることによりPOVALTM 103の13.2重量%水溶液を調製し、95℃に加熱し、この温度を30分間保持してから室温に冷却することにより、本発明の実施例16〜18のサーモグラフィ記録材料の裏引き層を調製した。この溶液を次いで1067.6gの脱イオン水及び続いて撹拌しながらOP80の5%溶液の130.7mL、次いで撹拌しながら1978.5gのSnowtexTM O及び最後に撹拌しながら45.85gのMAT01と混合した。得られる分散液のpHは4.8であり、1N硝酸を用いてそれを3.5のpHに調節してから支持体の帯電防止下塗り層上に40μmの湿潤厚さまでコーティングした。得られる層を140℃の温度を有する加熱空気を用いて乾燥し、乾燥後に固体として以下の組成を得た:
POVAL 103 =2.123g/m
OP 80 =0.053g/m
SnowtexTM O =3.183g/m
Sunsphere H51 =0.032g/m
【0155】
感熱要素の製造
支持体の、裏引き層が適用された面と反対の面上に、2−ブタノン中に以下の成分を有する分散液を95μmの湿潤厚さまでコーティングし、85℃で5分間乾燥し、以下の組成を有する層を形成することにより、本発明の実施例16〜18の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した:
被覆率[g/m AgBに対するモル%
AgB: 4.149 100
BL5HP: 16.596 −
I−1: 0.438 35.00
I−13: 0.894 45.00
T03: 0.246 15.06
S01: 0.294 24.00
S02 0.130 4.91
S03: 0.109 9.84
VL: 0.185 −
油: 0.037 −
【0156】
保護層のコーティング
次いで本発明の実施例16〜18のサーモグラフィ記録材料の感熱要素に、以下の成分を有する水性分散液を用い、表18に本発明の実施例16〜18のサーモグラフィ記録材料に関して示す成分被覆率を乾燥後に固体として有する保護層を感熱要素上にコーティングした。
【0157】
1N硝酸を加えることにより、コーティング組成物のpHを3.8のpHに調節した。水中に不溶性の潤滑剤は、必要なら分散剤を用いてボールミル中で分散させた。組成物を85mmの湿潤層厚さまでコーティングし、次いで40℃で15分間乾燥し、50℃で7日間硬膜させ、それにより本発明の実施例16〜18のサーモグラフィ記録材料を製造した。
【0158】
【表26】

【0159】
サーモグラフィ評価
本発明の実施例16〜19の新しいサーモグラフィ記録材料を、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに、DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2及び3を用いて印刷し、評価した。結果を表19にまとめる。
【0160】
【表27】

【0161】
CIELAB値から、本発明の範囲内である1.6のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3へのb値におけるシフトは、1.0及び2.0の濃度に関して、負性が増す方向へ、すなわち望ましくより青さが増した画像トーンへであることが明らかである。DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3へのCIELAB a値におけるさらにもっと小さいシフトを表20に示す。
【0162】
【表28】

【0163】
これは、驚くべきことに、広範囲に異なるラインタイム及び加熱時間で用いられるプリンターを用い、画像トーンへの負の効果なく同じ材料を用いることを可能にすることで、本発明の有利な効果を示している。
【0164】
アーカイバビリティー試験
本発明の実施例16〜19の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、モ
ード1、2及び3でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で34%相対湿度中で57℃において3日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、1.0及び2.0の濃度に関してCIELAB a−及びb−値を決定した。プリンターモード1、2及び3の場合の1.0及び2.0の濃度に関するa及びb CIELAB−値の変化を表21に示す。
【0165】
【表29】

【0166】
プリントがDRYSTARTM 4500プリンターモード1を用いて作成されても、2を用いて作成されても又は3を用いて作成されても、アーカイバビリティー試験の間にa CIELAB−値においてほとんど変化がない。b CIELAB−値における変化は、表21から抽出した表22においてわかる通り、DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2又は3を用いて作成されるプリントに関してより大きく、モード1、モード2及びモード3の順で、すなわちラインタイム及び加熱時間の減少と共に増加した。
【0167】
【表30】

【0168】
しかしながら、b CIELAB−値における変化は、最低のラインタイム及び加熱
時間を用いるDRYSTARTM 4500プリンターモード3を用いて作成されるプリントの場合でも、許容され得た。
【0169】
本発明の実施例19
本発明の実施例19のサーモグラフィ記録材料は、POVALTM103をERKOLTM V03/140により置き換えた以外は、本発明の実施例16のそれと同じであり、乾燥後に固体として以下の被覆率を有した:
V03/140 =2.123g/m
OP 80 =0.053g/m
SnowtexTM O =3.183g/m
Sunsphere H51 =0.032g/m
【0170】
サーモグラフィ評価
本発明の実施例19の新しいサーモグラフィ記録材料を、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに、DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2及び3を用いて印刷し、評価した。結果を表23にまとめる。
【0171】
【表31】

【0172】
CIELAB値から、本発明の範囲内である1.6のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3へのb値におけるシフトは、1.0及び2.0の濃度に関して、負性が増す方向へ、すなわち望ましくより青さが増した画像トーンへであることが明らかである。DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3へのCIELAB a値におけるさらにもっと小さいシフトを表24に示す。
【0173】
【表32】

【0174】
これは、驚くべきことに、広範囲に異なるラインタイム及び加熱時間で用いられるプリンターを用い、画像トーンへの負の効果なく同じ材料を用いることを可能にすることで、本発明の有利な効果を示している。
【0175】
アーカイバビリティー試験
本発明の実施例19の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、モード1、2及び3でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で34%相対湿度中で57℃において3日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、1.0及び2.0の濃度に関してCIELAB a−及びb−値を決定した。プリンターモード1、2及び3の場合の1.0及び2.0の濃度に関するa及びb CIELAB−値の変化を表25に示す。
【0176】
【表33】

【0177】
プリントがDRYSTARTM 4500プリンターモード1を用いて作成されても、2を用いて作成されても又は3を用いて作成されても、アーカイバビリティー試験の間にa CIELAB−値においてほとんど変化がない。b CIELAB−値における変化は、表25から抽出した表26においてわかる通り、DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2又は3を用いて作成されるプリントに関して、より大きく、モード1、モード2及びモード3の順で、すなわちラインタイム及び加熱時間の減少と共に増加した。
【0178】
【表34】

【0179】
しかしながら、b CIELAB−値における変化は、最低のラインタイム及び加熱時間を用いるDRYSTARTM 4500プリンターモード3を用いて作成されるプリントの場合でも、許容され得た。
【0180】
本発明の実施例20
下塗りされた支持体の製造
それぞれ86.7、−8.2及び−18.2のL、a及びb CIELAB−値ならびにMacBethTM 924を用いて決定される可視フィルターを介して0.19の濃度を有する175μmの厚さの青−顔料着色ポリエチレンテレフタレート支持体に、本発明の実施例16〜18の支持体に関して記載した非−帯電防止及び帯電防止下塗り層をコーティングすることにより、下塗りされた支持体を製造した。
【0181】
裏引き層のコーティング
以下の成分を含有し、乾燥後に固体として以下の成分被覆率を与える水性分散液を用い、支持体の帯電防止層に裏引き層を適用した:
被覆率[mg/m
KELZANTM S: 10
PEDT/PSS−2: 12
ZonylTM FSO 100: 21
Kieselsol 100F: 20
PoligenTM WE7: 10
LATEX04: 1000
MAT01: 30
【0182】
感熱要素の製造
支持体の、裏引き層と反対の面上に、2−ブタノン中に以下の成分を有する分散液をコーティングし、85℃において5分間乾燥し、以下の組成を有する層を形成することにより、本発明の実施例20の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料の感熱要素を製造した:
被覆率[g/m AgBに対するモル%
AgB: 4.10 100
BL5HP: 16.40 −
I−1: 0.37 29.67
I−6: 0.81 48.34
T02: 0.12 5.00
T03: 0.26 15.00
S01: 0.29 23.98
S02: 0.13 4.94
S03: 0.11 9.85
油: 0.036 −
感熱要素に、比較実施例16に関して記載したと同じ保護層をコーティングした。
【0183】
サーモグラフィ評価
本発明の実施例20の新しいサーモグラフィ記録材料を、比較実施例1〜12及び本発明の実施例1〜11のサーモグラフィ記録材料に関して記載した通りに、DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2及び3を用いて印刷し、評価した。結果を表27にまとめる。
【0184】
【表35】

【0185】
CIELAB値から、本発明の範囲内である1.56のモルヒドロキシ−当量対モル銀当量の比率の場合、DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3へのb値におけるシフトは、1.0及び2.0の濃度に関して、負性が増す方向へ、すなわち望ましくより青さが増した画像トーンへであることが明らかである。DRYSTARTM 4500プリンターモード1からモード2及び3へのCIELAB a値におけるさらにもっと小さいシフトを表28に示す。
【0186】
【表36】

【0187】
これは、驚くべきことに、広範囲に異なるラインタイム及び加熱時間で用いられるプリンターを用い、画像トーンへの負の効果なく同じ材料を用いることを可能にすることで、本発明の有利な効果を示している。
【0188】
アーカイバビリティー試験
本発明の実施例20の実質的に非−感光性のサーモグラフィ記録材料を用い、モード1、2及び3でDRYSTARTM 4500プリンターを用いて作成されるプリントを加熱し、暗所で34%相対湿度中で57℃において3日間加熱することにより、擬似的長期間アーカイバビリティー試験を行い、1.0及び2.0の濃度に関してCIELAB a−及びb−値を決定した。プリンターモード1、2及び3の場合の1.0及び2.0の濃度に関するa及びb CIELAB−値の変化を表29に示す。
【0189】
DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2又は2を用いて作成されるプリントに関するa CIELAB−値における変化はわずかではなく、用いられるモードと共に変化したが、モード1、モード2及びモード3の順ではなく、すなわちラインタイム及び加熱時間の減少に伴う一貫した増加はなかった。
【0190】
【表37】

【0191】
DRYSTARTM 4500プリンターモード1、2又は2を用いて作成されるプリントに関するアーカイバビリティー試験の間のb CIELAB−値における変化は、表29から抽出した表30においてわかる通り、モード1、モード2およびモード3の順に、すなわちラインタイム及び加熱時間の減少と共に増加した。
【0192】
【表38】

【0193】
しかしながら、b CIELAB−値における変化は、最低のラインタイム及び加熱時間を用いるDRYSTARTM 4500プリンターモード3を用いて作成されるプリントの場合でも、許容され得た。
【0194】
本発明の好ましい態様を詳細に記載してきたが、ここで、前記の特許請求の範囲で定義した本発明の範囲から逸脱することなく、その中で多数の修正を成し得ることは当該技術分野における熟練者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱要素及び支持体を含んでなり、感熱要素は1種もしくはそれより多い実質的に非−感光性の有機銀塩、それと熱的作用関係にある1種もしくはそれより多い1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物から成る1種もしくはそれより多い還元剤及び結合剤を含有し、1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモル濃度にベンゼン環上のヒドロキシ基の数を乗じ、次いでこれらの値を合計することにより得られる該1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物のモルヒドロキシ−当量 対 実質的に非−感光性の有機銀塩のモル濃度に特定の実質的に非−感光性の有機銀塩中の銀原子の数を乗じることにより得られる該実質的に非−感光性の有機銀塩のモル銀−当量のモル比が1.3〜5.0であり;該1,2−ジヒドロキシベンゼン化合物が3,4−ジヒドロキシベンゾエートアルキルエステル、3,4−ジヒドロキシベンゾエートアリールエステル、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ基置換基を有していないベンゼン環が0より大きく0.85未満のσ−定数を有する少なくとも1個の置換基で置換されている3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン化合物、3,4−ジヒドロキシ−アセトフェノン及び3,4−ジヒドロキシベンゾニトリルより成る群から選ばれることを特徴とするモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料。
【請求項2】
該1,2−ジヒドロキシベンゼン−化合物が
【化1】

【化2】

【化3】

より成る群から選ばれる請求項1に記載のサーモグラフィ記録材料。
【請求項3】
(i)請求項1又は2に記載のサーモグラフィ記録材料を準備し;(ii)該サーモグラフィ記録材料を薄膜サーマルヘッドに近接させ;(iii)該薄膜サーマルヘッドから該サーモグラフィ記録材料に熱を画像通りに適用し、15msの加熱時間で操作し;(iv)該サーモグラフィ記録材料を該薄膜サーマルヘッドの近くから取り除く段階を含んでなる請求項1又は2に記載のモノシート黒白実質的非−感光性サーモグラフィ記録材料のためのサーモグラフィ記録法。

【公開番号】特開2008−6828(P2008−6828A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215667(P2007−215667)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【分割の表示】特願2002−190042(P2002−190042)の分割
【原出願日】平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願人】(593194476)アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (50)
【Fターム(参考)】