説明

向上した膨張性を有するビニル芳香族ポリマー系の膨張性顆粒及びその製造方法

本質的に次の組成からなるビニル芳香族ポリマー系の膨張性顆粒:一般式(I)で示される1種以上のビニル芳香族モノマー85〜100重量%とα−アルキルスチレン0.15重量%とを重合することにより得られるコポリマー65〜99.8重量%;カーボンブラック、ポリマー(a)に対して0〜25重量%;以下の製品の少なくとも一つ:平均直径0.5〜50μmのグラファイト0.01〜5重量%、第IIA、IIIA、IIB、IVB、VIB又はVIIIB族の金属の酸化物及び/又は硫酸塩及び/又は層状ジカルコゲニド0.01〜5重量%、層状のケイ素の無機誘導体0.01〜5重量%;造核剤、ポリマー(a)に対して0〜5重量%;膨張剤、合計量に対して1〜6重量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した膨張性を有する、ビニル芳香族ポリマー系の、膨張性顆粒、及びそれの製造方法に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、高められた断熱性を有し、向上した膨張性を有する膨張性ポリスチレン顆粒(EPS)に基づく組成物、及び関連した製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ビニル芳香族ポリマー、及びその中でも特にポリスチレンは、種々の適用分野において採用することができる成形体および/又は膨張成形品を生産するために長い間用いられてきた既知の製品であり、それら適用分野のうち、最も重要なものは、家庭用機器、建築業、オフィス機器などである。特に興味深い領域は、ビニル芳香族ポリマーが原則として膨張状態で用いられる断熱の分野である。
【0004】
これらの膨張製品は、膨張剤を予め含浸させた膨張性ポリマーの膨張前のビーズを膨張させ、閉鎖型枠の内側にある膨張粒子を圧力と温度の同時作用により成形して得られる。粒子の膨張は、通常、ポリマーのガラス転移温度(Tg)より僅かに高い温度に維持された蒸気又は他の気体を用いて行われる。
【0005】
EPSのようなビニル芳香族ポリマーの膨張能力は、適当な添加剤を含ませることにより向上させうることが知られている。例えば、特許文献1(欧州特許217.516)によれば、ビニル芳香族ポリマーの膨張性を、ゴム及び油のような可塑剤をポリマーに添加することにより向上させることができる。樹脂に含まれる添加剤は実際に良好な迅速な膨張性をもたらすが、それらがポリマーマトリクス中に保持されているので、密度を必然に低下させ、膨張製品の崩壊を引き起こす。
【0006】
特許文献2(米国特許第5,783,612号)に記載されているような脂肪族オレフィンのオリゴマーの使用もポリスチレンの膨張性を向上させるが、加工性範囲が狭まる。
【0007】
ポリマーの分子量を50000未満にしても優れた膨張性が達成されるが、最終製品の加工性及び機械的特性が損なわれることも検証された。
【0008】
いずれの場合も、EPSの製造が、膨張性向上添加剤の存在下、不存在下のいずれであっても、通常は、脂肪族又は脂環式炭化水素である膨張剤が、必要な密度を達成するために、所定量で、好ましくは6〜8%で、加えられる必要がある。
【0009】
特許文献3(国際特許出願WO 03/53651)によれば、EPS顆粒は、以下を含む連続大量プロセスにより製造することができる:
i)単軸又は多軸押出し機中でポリマーを溶融すること;
ii)溶融状態のポリマーに膨張剤を取り込むこと;
iii)このように得られたポリマーを、ダイ、切断チャンバー及び切断システムを備える装置にて顆粒化すること、及び
iv)アニールされた顆粒を、室温で、少なくとも最初の30分間、再アニールすること。
【特許文献1】欧州特許217.516
【特許文献2】米国特許第5,783,612号
【特許文献3】国際特許出願WO 03/53651
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願によれば、膨張されたビーズの良好なセル構造、従って良好な膨張性を有するためには、顆粒を再アニールする必要がある。
【0011】
本発明の目的は、向上した膨張性を有すると共に、市場で入手できる同等の製品の技術及び操作条件に類似した技術及び操作条件で加工することができる、ビニル芳香族ポリマー系の膨張性顆粒を提供することである。
【0012】
また、本発明の別の目的は、連続大量プロセスに典型的な、必然的に長いアニール時間の欠点を克服する、ビニル芳香族ポリマー系の膨張性顆粒の連続的大量製造方法を提供することである。
【0013】
さらに、本発明のもう一つの目的は、膨張した最終製品の物理的及び機械的特性に悪影響を与えない膨張性添加剤を含むポリマーを得ることができ、また、従来の膨張性ビニル芳香族ポリマーに比して膨張剤を減らした量で用いられうる、ビニル芳香族ポリマー系の膨張性顆粒の連続的大量製造方法を提供することである。
【0014】
以下の記載から明らかとなるであろうが、本出願人は、これらの及び他の目的が、本質的に好ましくは重量平均分子量Mwが50000〜300000の範囲であるビニル芳香族ポリマー系の、下記の組成からなる膨張性顆粒により達成され得ることを見出した:
(a)1種以上の一般式(I)で示されるビニル芳香族モノマー85〜100重量%とアルキル基が1〜4個の炭素原子を含むα−アルキルスチレン0〜15重量%とを重合することにより得られるコポリマー65〜99.8重量%;
(b)平均直径が10〜1000nmであり、表面積が5〜200m2/gであるカーボンブラック、ポリマー(a)に対して0〜25重量%;
(c)以下の製品(c1)〜(c3)の少なくとも一つ:
(c1)平均直径が0.5〜50μmであるグラファイト、ポリマー(a)に対して0.01〜5重量%;
(c2)第IIA、IIIA、IIB、IVB、VIB又はVIIIB族の金属の酸化物及び/又は硫酸塩及び/又は層状ジカルコゲニド、ポリマー(a)に対して0.01〜5重量%;
(c3)層状のケイ素の無機誘導体、ポリマー(a)に対して0.01〜5重量%;
(d)造核剤、ポリマー(a)に対して0〜5重量%;及び
(e)1種以上の膨張剤を、(a)〜(d)の合計100部に対して1〜6重量%。
【0015】
本記載及び特許請求の範囲において用いられている用語「膨張性顆粒」は、押出し機への供給前又は溶融後に添加剤(b)〜(d)が予め添加された、溶融状態のポリマーを引きとることにより製造された、本質的にポリマー性の顆粒を意味する。その結果、懸濁により製造された本質的に球状のビーズは排除される。
【0016】
本発明によれば、ビニル芳香族ポリマーは、重量平均分子量が70000〜200000であることが好ましく、下記の一般式に相当する、少なくとも1種のビニル芳香族モノマーを重合することにより得ることができる:
【0017】
【化1】

(式中、nは0又は1〜5の整数であり、Yは塩素又は臭素のようなハロゲン、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシル基である。)
【0018】
上記で定義される一般式で示されるビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、ジメチルスチレン、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタ−クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン等が挙げられる。スチレンが、好ましいビニル芳香族モノマーである。
【0019】
本発明において、用語「ビニル芳香族モノマー」は、一般式(I)で示されるビニル芳香族モノマーを単独で、又は他の共重合性モノマーの50重量%までとの混合物として用いることができることを示す。これらのモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル及びアクリル酸ブチルのような(メタ)アクリル酸のC1〜C4アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルのような(メタ)アクリル酸のアミド及びニトリル、ブタジエン、エチレン、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸等が挙げられる。好ましい共重合性モノマーは、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルである。
【0020】
また、ビニル芳香族モノマー、及びありうる他の共重合性モノマーは、コポリマー(a)を与えるために、α−アルキルスチレンと好ましくは2〜10%の量で共重合する。本発明による好ましいα−アルキルスチレンは、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン又はα−プロピルスチレンである。α−メチルスチレンが特に好ましい。
【0021】
ポリマーマトリクスに取り込むことができるどんな膨張剤も、膨張性顆粒、すなわち本発明の目的物、の製造に用いられるビニル芳香族ポリマーと組み合わせて用いることができる。一般に、沸点10〜100℃、好ましくは20〜80℃の液状物質を用いることができる。代表例は、3〜6個の炭素原子を含む脂肪族又は脂環式炭化水素、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン又はそれらの混合物;1〜3個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素のハロゲン誘導体、例えば、ジクロロジフルオロメタン、1,2,2−トリフルオロエタン及び1,1,2−トリフルオロエタン;二酸化炭素及び水である。ポリマーマトリクス中の膨張剤の保持率を高めるために、弱いタイプ(例えば、水素結合)及び強いタイプ(たとえば、酸−塩基付加物)の両方の結合を形成することができる添加剤を、膨張剤と一緒に用いることができる。これらの添加剤の例としては、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、フタル酸ジオクチル、炭酸ジメチル及び、アミン基を含む誘導体が挙げられる。
【0022】
カーボンブラック充填剤は、平均直径10〜1000nm、好ましくは100〜1000nm、比表面積(ASTM D−6556に従って測定)5〜200m2/g、好ましくは10〜100m2/g、硫黄含量0.1〜2000ppm、好ましくは1〜500ppm、灰残渣(ASTM D−1506に従って測定)0.001〜1%、好ましくは0.01〜0.3%、熱損失(ASTM D−1509に従って測定)0.001〜1%、好ましくは0.01〜0.5%、DBPA(ASTM D−2414に従って測定)5〜100ml/(100g)、好ましくは20〜80ml/(100g)及びヨウ素価(ASTM D−1510に従って測定)0.01〜20g/kg、好ましくは0.1〜10g/kgのものである。
【0023】
カーボンブラック充填剤を、ポリマー中の最終的濃度が0〜25重量%、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜5重量%となるような量でビニル芳香族ポリマーに添加することができる。
【0024】
本発明で用いられるカーボンブラックは、以下の主な技術に従って製造することができる:
・ファーネス法(芳香族炭化水素を含む液体の部分的燃焼);
・サーマルブラック法(空気又は炎の不存在下での天然ガス又は液体炭化水素の分解に基づく方法);
・アセチレンブラック法(大気圧で、800〜1000℃での熱分解過程)
・ランプブラック法(空気の不存在下に各種液体又は原料の燃焼)。
【0025】
より多くの詳細は、例えば、カーク・オスマー・エンサイクロペディア、第4版、第4巻に見出すことができる。
【0026】
天然又は合成グラファイトは、寸法が0.5〜50μm、好ましくは1〜13μmであり、比表面積が5〜20m2/gであり得る。一例は、直径が4.5μmであるKropfmuhl社製の製品UF2である。グラファイトは膨張性型も使用できる。
【0027】
第IIA、IIIA、IIB、IVB、VIB又はVIIIB族の金属の酸化物及び/又は硫酸塩及び/又は層状ジカルコゲニドは、好ましくは、第IIA族についてはCa、Mg又はBaのそれら化合物、第IIIA族についてはアルミニウムのそれら化合物、第VIIIB族についてはFeのそれら化合物、第VIB族についてはMoのそれら化合物、及び第IIB及びIVB族についてはそれぞれ亜鉛及びチタンのそれら化合物である。ジカルコゲニドは、好ましくは、硫黄、セレン又はテルルの化合物である。
【0028】
無機ケイ素誘導体は、クレー族の製品、例えば、カオリナイト及びタルク、雲母、クレー及びモンモリロナイトであり、寸法が0.5〜50μmである。ケイ素誘導体は、タルクが好ましい。一例は、寸法が3.4μmであるLuzenac社製の製品Minstron R10である。
【0029】
造核剤は、分子量が500〜10000であるポリエチレン、ポリアミドワックスから、又は直鎖及び分岐の両方のS−B、S−B−S、SIS、SEBS、SEPブロックコポリマーから選択される。ここで、Sはスチレン;Bはブタジエン;Iはイソプレン;Eはエチレン;Pはプロピレンである。濃度は0〜5重量%、好ましくは0.01〜4.5重量%である。
【0030】
膨張剤及び他の添加剤の添加終了時に、ポリマーのガラス転移温度より僅かに高い温度で必要な時間の膨張後に達成される、密度が5〜50g/l、好ましくは8〜25g/lである膨張成形品を製造するのに変形可能なポリマー組成物が、本発明の膨張性目的である、膨張性顆粒として得られる。
【0031】
また、これらの材料は、ISO 8301に従って10℃で測定されたとき、27〜50mW/mK、好ましくは30〜45mW/mKの熱伝導率により表される確実な断熱性を有する。この断熱性は、現在市販されている同等の非充填の膨張材料、例えば、Polimeri Europa S.p.A.社製のEXTIR A−5000よりも通常低い。
【0032】
市販の材料と共に一般に用いられる従来の添加剤、例えば、顔料、安定化剤、難燃剤、無機充填剤、二酸化チタンのような屈折性及び/又は反射性添加剤、帯電防止剤、離型剤、抗ショック剤等を、本発明の対象であるビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒に添加することができる。特に、これらの添加剤の内、難燃剤は、得られるポリマー組成物の重量に対して0.1〜8重量%の量が好ましい。本発明の対象である、ビニル芳香族ポリマー系の、膨張性顆粒に対し特に適した難燃剤は、ヘキサブロモシクロドデカン、ペンタブロモモノクロロシクロヘキサン及びペンタブロモフェニルアリルエーテルのような、臭素化された脂肪族、脂環式、芳香族化合物である。
【0033】
本発明の別の目的は、一連の以下の工程からなるビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒の連続大量製造方法に関する:
i)一般式(I)で示される1種以上のビニル芳香族モノマー85〜100重量%とアルキル基が1〜4個の炭素原子を有するα−アルキルスチレン0.15重量%とを重合することにより得られる顆粒状の又は既に溶融状態のビニル芳香族ポリマーを、前述した添加剤(b)〜(d)と混合する工程;
ii)1種以上の膨張剤を、溶融状態にされたポリマー組成物に取り込む工程;
iii)このように得られた組成物を、ダイ、切断チャンバー及び切断システムを備える装置にて顆粒化する工程。
【0034】
本発明によれば、工程(i)は、任意に加工くずと混合されている、既に形成されたポリマー顆粒及び添加剤(b)〜(d)を、押出し機に供給することにより行うことができる。単一成分をここで混合し、ポリマー部分を続いて溶融し、次に膨張剤を加える。
【0035】
あるいは、重合プラント(溶液状態)、特に脱揮発工程から直接得られる溶融状態のポリマーを用いることができる。溶融ポリマーを適当な装置、例えば、押出し機又はスタチックミキサーに供給し、そこで、添加剤と混合し、次に膨張剤と混合し、続いて、押し出して、本発明の対象である膨張性顆粒を得る。
【0036】
本発明のビニル芳香族ポリマーは、ビニル芳香族ポリマー50〜100重量%とアルキル基が1〜4個の炭素原子を含むα−アルキルスチレン0〜15重量%とからなるコポリマーからなることができ、100重量%になるよう、可能な補充物は、上記のものから選択される1種以上の共重合性モノマーからなっている。あるいは、ビニル芳香族ポリマーは、第1のものがビニル芳香族モノマー5〜100重量%と共重合性モノマー0〜50重量%とからなり、第2のものがビニル芳香族モノマーとα−アルキルスチレンモノマーとのコポリマーからなる2つの(コ)ポリマーの、α−アルキルスチレンの最終的濃度が好ましくは2〜10重量%となるような比である、混合物からなることができる。必要でなくとも、ポリマー組成物の顆粒は、任意に、ガラス転移温度(Tg)以下の温度又は僅かに高い温度、例えば、8℃高い温度において、任意に加圧下に、再アニールすることができる。
【0037】
本発明によるポリマー及びビニル芳香族組成物の連続大量製造についての詳細を、特許文献3(国際特許出願WO 03/53651)に見ることができる。
【0038】
本発明の対象である方法を用いて得られる顆粒は、必ずしも再アニールに付されないが、従来の膨張性材料に通常適用されると共に、本質的に下記からなる予備処理が付される:
1.アミン、第3エトキシル化アルキルアミン、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、ソルビトールエステル、グリセリン等のような帯電防止液状剤で顆粒を覆うこと。この剤は、本質的に、被膜の接着のため、及び帯電性を低下させるために用いられる。
2.グリセリン(又は他のアルコール)のモノ−、ジ−及びトリ−エステルと脂肪酸との混合物から、及びステアリン酸亜鉛及び/又はマグネシウムのような金属ステアリン酸塩から本質的になる被覆を前記顆粒に適用すること。
【実施例】
【0039】
本発明をより良く理解するため及び実施態様として、幾つかの説明的であるが非限定的な例を提供する。
【0040】
実施例1
重合プラントの脱揮発工程から直接に以下の物を押出し機に供給する:MFI(200℃/5kg)8g/10分、Mw180000の溶融ポリスチレン(Edistir N1782)95.1部、HoustonのCancarb社製のカーボンブラックT990(平均直径362nm、BET10m2/g)4部及びグラファイト0.5部、また、PS31.3%及びPB+PIゴム68.7%を含むSIS Europrene SOLT 9326(Polimeri Europa社から販売)0.4%を加える。
【0041】
ポリスチレンを200℃にした後、特別のラインを通して、膨張剤としてn/i−ペンタン80/20の混合物4%を注入する。
【0042】
膨張剤を含むポリマーをダイの孔を通して押し出し、ナイフで切断し、乾燥し、次に、グリセリン200ppmを加え、混合物をステアリン酸マグネシウム0.1重量%及びグリセリルモノステアレート0.3重量%で潤滑する。
【0043】
次に、顆粒を蒸気で3分間及び7分間膨張させ、翌日、密度を評価して、正確な乾燥を確認する。膨張性の結果を下記の表に示す。
【0044】
実施例2
溶融ポリスチレンN1782 95.35部、カーボンブラックT990 4部、グラファイト 0.25部を供給し、SIS 0.4%も加えて、実施例1を繰り返す。
膨張剤としてn/i−ペンタン80/20の混合物4%を押出し機に供給する。膨張性の結果を下記の表に示す。
【0045】
比較例1
グラファイトを加えることなく実施例1を繰り返す。
下記の表から分かるように、製品は僅かにしか膨張しない。
【0046】
比較例2
Tgより5℃高い温度で顆粒を再アニールする以外は、比較例1を繰り返す。
下記の表から分かるように、再アニールは、実施例1の値に達しないが、膨張性を向上させる。
【0047】
比較例3
n/i−ペンタン80/20の混合物6%を供給し、Tgより5℃高い温度で顆粒を再アニールする以外は、比較例1を繰り返す。
下記の表から分かるように、製品は実施例1のように膨張するが、ペンタン6%を含んでいる。
【0048】
比較例4
カーボンブラックを除いた以外は、比較例2を繰り返す。
下記の表から分かるように、製品は僅かにしか膨張しない。
【0049】
実施例3
溶融ポリスチレンN1782 94.6部、カーボンブラックT990 4部、グラファイト 1部を押出し機に供給し、SIS 0.4%も加えて、実施例1を繰り返す。
n/i−ペンタン80/20の混合物4%も、膨張剤として押し出し機に供給する。膨張性の結果を、下記の表に示す。
【0050】
実施例4
分子量1000のポリエチレンワックス(例えば、Clariant社製のPolywax 1000)0.4%でSISを置き換える以外は、実施例1を繰り返す。膨張性の結果を、下記の表に示す。
【0051】
実施例5
ポリスチレンEdistir N1782を、α−メチルスチレンを4重量%含み、MFI(200℃/5kgで測定)が20g/10分であるコポリマーに置き換える以外は、実施例1を繰り返す。膨張性の結果を、下記の表に示す:7分後、密度が13g/lになる。
【0052】
実施例6
以下の物を押出し機に供給する:溶融ポリスチレンEdistir N1782 93.9部、カーボンブラックT990 4部、グラファイト 0.5部、安定化ヘキサブロモシクロドデカン(EBCD)(Great Lake社からBRE 5300として販売されている)1.2部、ジフェニルブタン 0.4部、及びSIS Europrene SOLT 9326 0.4%も加える。
【0053】
添加剤を混合した後、n/i−ペンタン80/20の混合物4%を膨張剤として、特別の注入ラインを通して押出し機に供給する。
【0054】
膨張剤を含むポリマーをダイの孔を通して押し出し、ナイフで切断し、乾燥し、グリセリン200ppmを加え、混合物を金属ステアリン酸0.1重量%及びグリセリルモノステアレート0.3重量%で潤滑する。
【0055】
次に、顆粒を膨張させ、成形して、DIN4102の規定による燃焼試験用のテストサンプルを得る。オーブン内で調整した後、試験を行う:製品はB2試験に合格する。
【0056】
実施例7
押出し機に以下を供給して、実施例1を繰り返す:溶融ポリスチレンN1782 99.2部及び寸法3.4μmのMinstron R10タルク(Luzenac社により生成された)0.8部。
n/i−ペンタン80/20の混合物4%を膨張剤として押出し機に供給する。膨張性の結果を、下記の表に示す。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に下記組成からなる、ビニル芳香族ポリマー系の組成物である膨張性顆粒:
(a)1種以上の一般式(I)で示されるビニル芳香族モノマー85〜100重量%とアルキル基が1〜4個の炭素原子を含むα−アルキルスチレン0〜15重量%とを重合することにより得られるコポリマー65〜99.8重量%;
(b)平均直径が10〜1000nmであり、表面積が5〜200m2/gであるカーボンブラック、ポリマー(a)に対して、0.01〜20重量%、
(c)以下の添加剤(c1)〜(c3)の少なくとも一つ:
(c1)平均直径が0.5〜50μmであるグラファイト、ポリマー(a)に対して、0.01〜5重量%;
(c2)第IIA、IIIA、IIB、IVB、VIB又はVIIIB族の金属の酸化物及び/又は硫酸塩及び/又は層状ジカルコゲニド、ポリマー(a)に対して、0.01〜5重量%;
(c3)層状のケイ素の無機誘導体、ポリマー(a)に対して、0.01〜5重量%;
(d)造核剤、ポリマー(a)に対して、0.01〜4.5重量%、及び
(e)1種以上の膨張剤、(a)〜(d)の合計100部に対して、1〜6重量%。
【請求項2】
重量平均分子量Mwが50000〜300000である、請求項1に記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項3】
アルキルスチレンが2〜10重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項4】
アルキルスチレンがα−メチルスチレンである、請求項1〜3のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項5】
カーボンブラックが、平均直径10〜1000nm、比表面積5〜200m2/g、硫黄含量0.1〜2000ppm、灰残渣0.001〜1%、熱損失0.001〜1%、DBPA5〜100ml/(100g)、及びヨウ素価0.01〜20g/kgである、請求項1〜4のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項6】
グラファイトが、天然又は合成であり、非表面積5〜20m2/gである、請求項1〜5のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項7】
第IIA、IIIA、IIB、IVB、VIB又はVIIIB族の金属の酸化物及び/又は硫酸塩及び/又は層状ジカルコゲニドが、第IIA族についてはCa、Mg又はBaのそれら化合物、第IIIA族についてはアルミニウムのそれら化合物、第VIIIB族についてはFeのそれら化合物、第VIB族についてはMoのそれら化合物、及び第IIB及びIVB族についてはそれぞれ亜鉛及びチタンのそれら化合物であり、層状ジカルコゲニドが、硫黄、セレン又はテルルの化合物である、請求項1〜6のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項8】
ケイ素の無機誘導体が、平均寸法0.5〜50μmであるクレー族、雲母、クレー及びモンモリロナイトの製品である、請求項1〜7のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項9】
造核剤が、分子量500〜10000であるポリエチレン、ポリアミドワックスから、又は直鎖及び分岐の両方のS−B、S−B−S、SIS、SEBS、SEPブロックコポリマーから選択される、請求項1〜8のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項10】
得られるポリマー組成物の合計重量に対して0.1〜8重量%の量で難燃剤を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒の、ポリマーのガラス転移温度より僅かに高い温度における膨張後に得られる、熱伝導率27〜50mW/mKであり、密度5〜50g/lである膨張成形品。
【請求項12】
本質的に一連の以下の工程からなるビニル芳香族ポリマーの膨張性顆粒の連続大量製造方法:
i)1種以上の一般式(I)で示されるビニル芳香族モノマー85〜100重量%とアルキル基が1〜4個の炭素原子を有するα−アルキルスチレン0〜15重量%とを重合することにより得られる顆粒状の又は既に溶融状態のビニル芳香族ポリマーを、請求項1の添加剤(b)〜(d)と、前述した量で混合する工程;
ii)1種以上の膨張剤を、溶融状態にされたポリマー組成物に取り込む工程;
iii)このように得られた組成物を、ダイ、切断チャンバー及び切断システムを備える装置にて顆粒化する工程。
【請求項13】
ガラス転移温度(Tg)以下の温度、又はTgより僅かに高い温度で、任意に加圧下に、膨張性顆粒を再アニールする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ビニル芳香族ポリマーが、α−アルキルスチレンモノマー2〜10重量%を含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
ビニル芳香族ポリマーが、2つの(コ)ポリマー、すなわち、ビニル芳香族モノマー5〜100重量%と共重合性モノマー0〜50重量%とからなる第1のもの及びビニル芳香族モノマーとα−アルキルスチレンモノマーとのコポリマーからなる第2のものの、α−アルキルスチレンの最終的濃度が2〜10重量%となるような比での混合物からなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
既に溶融状態にあるビニル芳香族ポリマーが、重合プラントの脱揮発工程から来る、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
既に溶融状態にあるビニル芳香族ポリマーが、工程くず及び/又は前述の量の請求項1の添加剤(b)〜(d)と既に混合されていることがある、既に形成されたポリマー顆粒を予備溶融する工程から来る、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−511726(P2009−511726A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535963(P2008−535963)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010045
【国際公開番号】WO2007/045454
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508117905)ポリメリ ユーロパ ソシエタ ペル アチオニ (3)
【氏名又は名称原語表記】POLIMERI EUROPA S.P.A.
【Fターム(参考)】