説明

含水素フルオロジエン化合物の製造方法

【課題】 含水素フルオロジエン化合物を工業的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 (1)式ClCH−CHCl−CClX−CHClY(XとYは、それぞれ異なって塩素原子又は水素原子)で表される化合物をフッ素ガスで処理して、式ClCF−CFCl−CClZ−CFClW(ZとWは、それぞれ異なってフッ素原子又は塩素原子)で表される化合物を製造し、次いで(2)この化合物を水素化して、式ClCF−CFCl−CClT−CFClU(TとUは、それぞれ異なって水素原子又はフッ素原子)で表される化合物を製造し、更に(3)この化合物を脱塩素化して、式CF=CFCT=CFU(TとUは、それぞれ異なって水素原子又はフッ素原子)で表される含水素フルオロジエンを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造分野において有用なエッチング、CVD等のプラズマ反応用ガス、含フッ素ポリマーの原料であるモノマー、あるいは、含フッ素医薬中間体、ハイドロフルオロカーボン系溶剤の原料として有用なフッ素化アルケンの製造方法に関する。高純度化されたフッ素化アルケンは、特に、プラズマ反応を用いた半導体装置の製造分野において、プラズマエッチングガス、化学気相成長法(CVD)用ガス等に好適である。
【背景技術】
【0002】
1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタジエンの製造方法としては幾つかの製造方法が開示されている。
非特許文献1においては、CF=CFIをCF=CHに数日間、紫外線照射下にラジカル付加させてCF=CFCHCFIを得、粉末状の水酸化カリウムにて脱ヨウ化水素反応を経て、1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタジエンを製造している。
非特許文献2においては、ブロモトリフルオロエチレンと2,2−ジフルオロトリブチルスズをパラジウム触媒存在下にカップリングさせることにより、1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタジエンを得ている。
特許文献1においては、過酸化ベンゾイルを用いてBrCFCFClBrをCF=CHにラジカル付加させてBrCFCFClCHCFBrを得、それから水酸化カリウムにより脱臭化水素化、続いて、亜鉛による脱臭素塩素化の全3工程を経て1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタジエンを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3562341号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Journal of American Chemical Society,78,59(1956)
【非特許文献2】Chemistry An Asian Journal,Vol.3,719(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献1においては、CF=CFIをCF=CHに光照射下に7日間もかけて付加反応させるが、生成するCF=CFCHCFIは収率で24%得られるに過ぎず、また、CF=CHは沸点が−83℃と非常に低くて取り扱いにくい欠点を有している。よって、本法によって工業的に製造を行おうとすると、高圧に耐えうる光反応装置が必要となり、設備化に多大な費用を要するという問題がある。
非特許文献2においては、非常に有毒なトリブチルスズ化合物を使用せねばならず、また、廃棄物としても同様にアルキルスズ化合物が排出されるため、工業的には適用できない方法である。
特許文献1においても、非特許文献1と同様に沸点の非常に低く、取り扱いにくいCF=CHを使用する必要があるので、やはり高圧反応装置を必要とし、また、BrCFCFClBrはオゾン層破壊物質であるので原料入手という観点で問題がある。
発明者らは上記状況を鑑み、含水素フルオロジエンを工業的に入手可能な原料を用い、また、なるべく高圧反応を使用しない方法の開発を余儀なくされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かくして本発明によれば、含水素フルオロジエンである、式CF=CFCT=CFU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物(具体的には、1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタジエン、又は1,1,2,3,4−ペンタフルオロブタジエン)を製造する方法が提供される。
詳しくは、(1)式ClCH−CHCl−CClX−CHClY(X、及びYは塩素原子、又は水素原子を表し、X≠Yである)で表される化合物(以下、総称して「ペンタクロロブタン」と言うことがある)をフッ素ガスで処理して、式ClCF−CFCl−CClZ−CFClW(Z、及びWはフッ素原子、又は塩素原子を表し、Z≠Wである)で表される化合物(以下、総称して「ペンタクロロペンタフルオロブタン」と言うことがある)を製造する工程、(2)式ClCF−CFCl−CClZ−CYFW(Z、及びWはフッ素原子、又は塩素原子を表し、Z≠Wである)で表される化合物(以下、総称して「テトラクロロペンタフルオロブタン」と言うことがある)を水素化して、式ClCF−CFCl−CClT−CFClU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物(以下、総称して「ペンタフルオロブタジエン」と言うことがある)を製造する工程、(3)式ClCF−CFCl−CClT−CFClU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物を脱塩素化して、式CF=CFCT=CFU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物を製造する工程からなる含水素ジエンの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
式ClCH−CHCl−CClX−CHClY(X、及びYは塩素原子、又は水素原子を表し、X≠Yである)で表される化合物はフッ素ガスによるフッ素化の原料に付され、以下の方法によって製造することが可能である。
(0)原料(ペンタクロロブタン)の合成
ペンタクロロブタンを表す前式のXとYで表される塩素と水素の結合位置より、製造方法は異なる。
式ClCH−CHCl−CClX−CHClYにおいて、X=塩素原子、Y=水素原子の場合においては、クロロプレンを塩素化することで製造できる。クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)は合成ゴムの原料として使用されている汎用的なモノマーである。クロロプレンは、工業的にはブタジエンの部分塩素化で得られる3,4−ジクロロ−1−ブテンをアルカリ処理することによって得ることができる。
【0008】
本発明において、クロロプレンの塩素化は次工程のフッ素化工程と連続して行う、また、クロロプレン自体が重合反応を引き起こし易い化合物であるため、塩素化工程はフッ素ガスによりフッ素化されない溶媒下に希釈された状態で行う。このような溶媒としては、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロ(2−n−ブチル−テトラヒドロフラン)などのパーフルオロカーボン;1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロトリフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン;などが挙げられる。
【0009】
塩素化はクロロプレンに塩素ガスや塩化スルフリル等の塩素化剤を接触させて二重結合に付加させる。塩素ガスを使用する場合、クロロプレン1モルに対して、好ましくは2〜5モル、より好ましくは2.5〜4モルである。使用量が少ないとクロロプレンの片方のみの二重結合だけが塩素化されたり、二重結合が異性化した内部オレフィンが生成し、二重結合の残存を引き起こしたりする。
一方、塩素ガスの使用量が多いとクロロプレンの重合等を引き起こす可能性がある。
【0010】
また、クロロプレンの重合を防止するため、重合禁止剤を添加した状態で塩素化を行っても良い。重合禁止剤としては、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノンなどのキノン系化合物や、2,6−ジ−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン、p−メトキシフェノールなどのフェノール系化合物を用いることができる。
【0011】
塩素ガスによる塩素化を行う際の反応温度は、通常−100〜100℃、好ましくは−80〜50℃である。反応温度が低いと塩素付加に多大な時間を要し、塩素化が不十分となり二重結合の残存を引き起こす。一方、反応温度が高すぎると、二重結合の塩素付加以外に、C−H結合の塩素置換反応や重合反応を引き起こす可能性がある。
反応溶媒の使用量は、反応速度及び反応収率の観点から、クロロプレン100重量部に対して、好ましくは100〜3000重量部、特に好ましくは、300〜1000重量部である。
【0012】
付加反応の形式は特に限定はされないが、例えば、塩素ガスを用いた場合、攪拌機を備えた耐食性の反応器にクロロプレンを入れ、そこに攪拌下、塩素ガスを吹き込む方式が採用される。塩化スルフリルを用いる場合は、同様な反応器を用いて、塩化スルフリルを攪拌下に滴下すれば良い。
反応時間は、通常3〜30時間であり、好ましくは5〜15時間である。反応時間が短いと、クロロプレン中の片方の二重結合のみが塩素化された化合物が生成し、反応時間が長すぎると、二重結合だけでなく、炭素−水素結合の水素が塩素で置換される恐れがある。
塩素化反応終了後には、未反応の塩素ガス又は塩化スルフリルを用いた場合に発生する二酸化硫黄を除去するために、反応液に窒素やアルゴン等の不活性ガスを吹き込んで追い出しても良い。
【0013】
また、式ClCH−CHCl−CClX−CHClYにおいて、X=水素原子、Y=塩素原子の場合においては、1,1,2−トリクロロエタンと1,2−ジクロロエチレンのカップリング反応で合成することができる。1,1,2−トリクロロエタンと1,2−ジクロロエチレンの混合比は、1,2−ジクロロエチレンに対して、1,1,2−トリクロロエチレンをモル比で、1〜5当量、より好ましくは、1.5〜3当量である。
本反応では、1,1,2−トリクロロエタンを1,2−ジクロロエチレンに付加させて、炭素数4のペンタクロロ体を製造する。反応は塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛などのルイス酸触媒等の存在下に行う。これらルイス酸の使用量は1,1,2−トリクロロエタンに対し、0.1〜10重量%、より好ましくは、1〜5重量%使用する。
反応温度は、通常0〜150℃であり、好ましくは20〜100℃である。反応温度が低いと、反応が完結するまでに多大な時間を要し、反応温度が高すぎると、さらに1,2−ジクロロエチレンが付加した化合物や、塩素原子の移動を併発したりする。
反応時間は、通常10〜50時間であり、好ましくは15〜30時間である。反応時間が短いと、収率の低下を招く、反応時間が長すぎると1,2−ジクロロエチレンのオリゴマー、あるいはポリマーが生成する可能性がある。
溶媒は使用するルイス酸に悪影響を及ぼさないものであれば使用可能であるが、無溶媒下で行うことが望ましい。反応終了後は、ルイス酸を除去するために、濾過、又は、アルカリで中和しても良い。濾過を行う場合は、ルイス酸を回収して、1,1,2−トリクロロエタンと1,2−ジクロロエチレンを加えて同様の反応を行うことができる。
また、未反応の1,1,2−トリクロロエタンや、1,2−ジクロロエチレンは減圧下に回収、あるいは、加温して回収することができ、目的物である、1,1,2,3,4−ペンタクロロブタンの純度を向上させることができる。
【0014】
(1)ペンタクロロブタンのフッ素化
前述の方法で得られたペンタクロロブタンは、フッ素ガス(F)によりフッ素化され、1,2,2,3,4−ペンタクロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブタン、又は、1,1,2,3,4−ペンタクロロ−1,2,3,4,4−ペンタフルオロブタンにそれぞれ導かれる。
【0015】
フッ素ガスの使用量は、ペンタクロロブタン中の5つのC−H結合をC−F結合に変換するために必要な量であれば良い。その使用量は、ペンタクロロブタン1モルに対して、通常5モル以上、好ましくは20モル以上、より好ましくは100モル以上である。フッ素ガスによるフッ素化反応はラジカル的に進行する反応であるため、フッ素ガスの使用量が上記範囲にあれば、異性化反応(塩素原子の移動)の発生を抑制しながらC−H結合のフッ素化を進行させることができる。なお、フッ素ガスの使用量は、未反応フッ素化ガスの後処理が困難さを勘案すると500モル以下である。
【0016】
フッ素化反応の反応温度は、通常、−100〜50℃、好ましくは、−80〜30℃、より好ましくは−70〜−20℃である。反応温度がかかる範囲であれば、反応速度が十分であり、また、望ましくない副反応の併発、暴走反応を起こす恐れも無い。
【0017】
フッ素化反応は溶媒中で行うのが好ましい。例えば、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオオロ(2−n−ブチル−テトラヒドロフラン)などのパーフルオロカーボン;1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1−トリクロロトリフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボンなどが挙げられる。中でも、高い反応速度で収率良く目的物(ペンタクロロペンタフルオロブタン)が得られることから、パーフルオロオクタン、又は、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンの使用が好ましい。
【0018】
溶媒の使用量は特に制限されないが、本発明においては、(1)の塩素化反応で使用する溶媒下で連続して使用することから、ペンタクロロブタン100重量部に対して100〜3000重量部が好ましく、300〜1000重量部がより好ましい。
【0019】
フッ素化反応の方式としては、例えば、攪拌機を備えた反応器に、上記反応で製造されたペンタクロロブタン及び溶媒を仕込み、所定の温度に反応器を冷却した後、攪拌しながら反応器内に取り付けられたインナーチューブを介して、フッ素ガスを反応混合物中にバブリング状態で送り込む方式が挙げられる。
反応時間は、通常、5〜30時間であり、8〜15時間がより好ましい。反応時間が短いと、炭素−水素結合の水素のフッ素置換率が下がり、反応時間が長すぎると、炭素−塩素結合の塩素がフッ素に置換されるなどの望ましくない反応を併発する恐れがある。
用いる反応器としては、フッ素ガス及び反応で生じるフッ化水素に対して耐食性あるものが好ましい。例えば、ステンレス、ハステロイ、及びニッケルなどの材質で作成された反応器が好適に用いられる。
【0020】
フッ素ガスは、窒素、ヘリウム、及びアルゴンなどの不活性ガスで希釈されて反応器内に送り込むことが好ましい。不活性ガスの使用割合は、反応条件などに応じて適宜設定することができるが、フッ素ガス1モルに対して、不活性ガスを2〜100モル使用することが好ましく、3〜30モル使用することがより好ましい。
【0021】
フッ素ガスを希釈したり、上記の割合で希釈ガスを使用する場合には、急激なフッ素化反応による暴走反応が生じることがなく、原料の分解や望ましくない副生成物が生成するおそれもない。また、上記範囲で希釈ガスを使用する場合、高い反応速度で収率良く目的物を得ることができる。
【0022】
フッ素化反応の終点は当該反応が終了すると、例えば、反応器から未反応のフッ素ガスが排出されるようになるので、排出ガス中のフッ素ガスの濃度が急激に上昇することで確認できる。排出ガスはアルカリ溶液を入れたスクラバーを通して大気中に排出すればよい。
【0023】
フッ素ガスによるフッ素化反応は発熱が大きい反応であるため、上述したように低い反応温度で実施されるが、それでも発熱に伴い、原料や部分フッ素化された化合物が気化して反応器の気相部分に混入する恐れがある。このような場合、気相部分ではフッ素ガスとの激しい反応が起こり、分解やタール化などの望ましくない反応が起こり、結果として、収率の低下を招く恐れがある。従って、かかる現象を極力回避する目的で、反応器の上部にコンデンサーを設置することが望ましい。コンデンサーを設置することにより、気化した原料や部分フッ素化された化合物がコンデンサー部分で冷却され、液状態で反応器内に戻される。
【0024】
反応器から排出される排ガスは、外部に放出する前にフッ化水素の除去処理を施すのが好ましい。除去処理の方法としては、例えば、反応器の出口にフッ化水素捕捉剤を充填したカラムを設置し、排出ガスをこのカラム中に通過させ、フッ化水素捕捉剤により、フッ素化反応で生成したフッ化水素をトラップする方法が挙げられる。また、安全性に配慮して、フッ化水素捕捉剤を充填したカラムの後ろにアルカリ水溶液を入れたスクラバーを配することが好ましい。
【0025】
カラムに充填する捕捉剤としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、などのアルカリ金属フッ化物;シリカゲル、アルミナなどが挙げられ、フッ化ナトリウムが特に好ましい。
【0026】
反応終了後には、反応器内に残存するフッ素ガスを除去するために、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを流してパージを行う。また、反応混合物中にフッ化水素が残存している可能性があるため、反応混合物中にフッ化ナトリウムやシリカゲルなどのフッ化水素捕捉剤を添加することが好ましい。その後は、通常のアルカリ洗浄、水洗浄、乾燥などの後処理を行い、蒸留などの方法で精製することにより、目的物である、1,2,2,3,4−ペンタクロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブタン、又は1,1,2,3,4−ペンタクロロ−1,2,3,4,4−ペンタフルオロブタンを単離することができる。
【0027】
(2)ペンタクロロペンタフルオロブタンの水素化
前述の方法で得られた、ペンタクロロペンタフルオロブタンの、gem−ジクロロ構造部分を選択的にモノ水素化して、2H−テトラクロロペンタフルオロブタン、又は1H−テトラクロロペンタフルオロブタンに変換する。モノ水素化反応は、パラジウム触媒及び水素源の存在下に水素化する方法が好ましく適用される。
【0028】
パラジウム触媒を用いて還元を行う場合、パラジウム触媒としては、炭素、アルミナなどの担体に担持されたパラジウム触媒;テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウムなどの有機リン化合物を配位させたパラジウム錯体;が挙げられる。これらのパラジウム触媒と共に、水素源となる化合物が用いられる。水素源になりうる化合物としては、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸−トリエチルアミン塩などのギ酸塩、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなどの次亜リン酸塩などが挙げられ、これらの中でも、ギ酸アンモニウム、ギ酸−トリエチルアミン塩が好ましい。
【0029】
これらギ酸塩の使用量は、ペンタクロロペンタフルオロブタンに対して、1.5〜5当量が好ましく、2〜4当量がより好ましい。添加量が少ないと、C−Cl結合のC−H結合への変換が不十分となり、未反応の原料が多く残存し、添加量が多すぎると反応が行きすぎて、gem−ジクロロ構造部分(−CClZ−において、Z=Cl、−CFClW−においては、W=Clの場合)が全て水素に還元されたり、他のC−Cl結合部位が還元されてしまい、所望の化合物とは異なる副生成物の生成を招く恐れがある。
【0030】
使用するパラジウム触媒の量は、ペンタクロロペンタフルオロブタンに対して、パラジウム金属基準で0.01〜20重量%、より好ましくは、0.1〜5重量%である。
【0031】
水素化反応は溶媒中で行われるのが好ましい。かかる溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びシエチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジクロペンチルメチルエーテル、及びトリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられ、これらの中でも、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジクロペンチルメチルエーテル、及びトリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類が好ましい。
【0032】
水素化反応の反応温度は、通常20〜200℃であり、40〜150℃がより好ましい。反応温度が低すぎると水素化反応が充分に進行せず、未反応の原料が多く残存し、また、反応温度が高すぎると、gem−ジクロロ構造部分が全て水素に還元されたり、他のC−Cl結合部位が還元されてしまい、所望の化合物とは異なる副生成物の生成を招く恐れがある。
反応時の圧力は、通常、常圧であるが、密閉容器中で反応を行って、常圧〜0.5MPaの圧力下で反応を行っても良い。
反応時間は、通常3〜30時間であり、5〜15時間がより好ましい。反応時間が短すぎると、炭素−塩素結合の還元率が低く、収率の低下を招いたり、反応時間が長すぎると、gem−ジクロロ構造部分が全て水素に還元され、望ましくない反応を引き起こす。
【0033】
水素化反応の方式としては、特に限定はされないが、例えば、攪拌機を備えた反応器に、ペンタクロロペンタフルオロブタン、パラジウム触媒、水素源となる化合物、及び溶媒を入れ、反応系内を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下において、所定温度で反応を行う態様が採られる。
【0034】
反応終了後は、公知の方法に従って後処理が施される。例えば、反応液に水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリを加えて、生成する塩酸等を中和、無機塩の除去、有機溶媒にて抽出後、蒸留等の操作によって精製することができる。
【0035】
(3)テトラクロロペンタフルオロブタンの脱塩素化
前述の方法で得られたテトラクロロペンタフルオロブタンを金属、又は、ジアルキルアミノホスフィン系化合物と接触させることにより脱塩素化して、1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ブタジエン、又は1,2,3,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ブタジエンを得る。
【0036】
ここで「脱塩素化」とは、前記式ClCF−CFCl−CClT−CFClU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で示される化合物中の塩素原子を脱離させる反応を言う。
【0037】
用いる金属、又はジアルキルアミノホスフィン系化合物としては、脱塩素化能を有するものであれば特に制限されないが、金属が好ましい。用いる金属としては、反応収率と反応速度との向上の観点から、亜鉛、マグネシウム、銅、アルミニウム、リチウム及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、亜鉛がより好ましい。なお、金属として、亜鉛、マグネシウム、銅、又はアルミニウムを使用する場合には、反応収率と反応速度との向上の観点から、切削状、又は粉末状のものを使用することが好ましく、反応開始前に該金属表面を酢酸、プロピオン酸などの有機酸;ヨウ素、1,2−ジブロモエタンなどの活性化剤;により予め活性化させてから使用するのが好ましい。また、金属表面を活性化することなく、前記活性化剤と共に金属を反応系に添加して反応を行っても良い。
【0038】
ジアルキルアミノホスフィン系化合物としては反応収率及び反応速度向上の観点から、トリスジメチルアミノホスフィン、トリスジエチルアミノホスフィン、トリスジイソプロピルアミノホスフィンが好ましく、トリスジメチルアミノホスフィンがより好ましい。
【0039】
金属又はジアルキルアミノホスフィン系化合物は、それぞれ単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良いが、単独で用いることが好ましい。
金属又はジアルキルアミノホスフィン系化合物の使用量は特に限定されないが、反応収率と反応速度との向上の観点から、テトラシクロペンタフルオロブタンに対して、2〜10当量用いるのが好ましく、3〜5当量用いるのがより好ましい。
【0040】
脱塩素化反応の反応温度は、通常−30℃〜250℃、好ましくは−20℃〜150℃である。反応温度がかかる範囲にあれば、反応速度が実用上充分となり、また、望ましくない副生成物を生成することもない。
反応時間は、通常3〜15時間であり、好ましくは5〜10時間である。反応時間が短いと脱塩素化反応が不十分となり、一部、炭素−塩素結合が残存した化合物が生成する恐れがある。
【0041】
脱塩素化反応は溶媒中で行うことが望ましい。反応に金属を用いる場合、用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シエチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジクロペンチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルミアニリド、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物;及び、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロパンスルトンなどの硫黄化合物;が好ましく、これらの中でもエーテル系がより好ましい。
【0042】
反応にジアルキルアミノホスフィン系化合物を用いる場合、用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジクロペンチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル;などのニトリル類が好ましく、これらの中でもエーテル類がより好ましい。
【0043】
これらの溶媒は1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。溶媒の使用量は特に限定はないが、テトラシクロペンタフルオロブタン100部に対して、通常100〜1000重量部、好ましくは200〜600重量部である。
【0044】
脱塩素化反応の方式に格別な制限はなく、例えば、攪拌機を備えた反応器に、金属又はジアルキルアミノホスフィン系化合物、及び溶媒を入れ、攪拌しながら、テトラクロロペンタフルオロブタン、又はその溶液を滴下する方式が挙げられる。かかる反応の方式としては、例えば、テトラクロロペンタフルオロブタンを反応系に間欠的、又は連続的に反応系へ供給する方式が挙げられる。
【0045】
脱塩素化反応により、式CF=CFCT=CFU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される含フッ素フルオロジエン化合物が生成する。例えば、T=水素原子、U=フッ素原子の場合では、1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ブタジエンが生成し、この化合物の沸点は約15℃である。よって、常温、常圧下においては気体状であり、原料であるテトラクロロペンタフルオロブタンと比較して沸点が低い。従って、生産効率の観点から、反応生成物であるペンタフルオロブタジエンは、その生成と並行して反応系外に間欠的、又は、連続的に抜き出し、冷却したトラップに捕集する形態が好ましい。
【0046】
かかる態様において、テトラクロロペンタフルオロブタンの供給様式と、ペンタフルオロブタジエンの抜き出し様式とは互いに同じであっても、相異なっていても良い。
【0047】
かかる反応の具体的様式としては、例えば、攪拌機を備えた反応器に蒸留塔を付設した反応装置を用い、当該反応器に金属、又は、ジアルキルアミノホスフィン系化合物、及び溶媒を入れ、攪拌しながらテトラクロロペンタフルオロブタン、又はその溶液を間欠的、又は連続的に供給し、反応器内で脱塩素化反応を行うのと並行して、生成する含水素フルオロジエン化合物を間欠的、又は連続的に蒸留塔の塔頂部から抜き出し、冷却したトラップに該化合物を捕集する態様が挙げられる。
【0048】
テトラクロロペンタフルオロブタンの供給速度は、生成する含水素フルオロジエン化合物の抜き出し速度(留出速度)に合わせて設定すればよく、供給が過剰にならないようにすることで収率低下を抑制し得る。反応装置や反応のスケールにもよるが、反応系へのテトラクロロペンタフルオロブタンの供給速度(モル/hr)は、通常、生成する含水素フルオロジエン化合物の抜き出し速度(モル/hr)の3倍以下が好ましく、蒸留塔の塔頂の温度を管理しながら抜き出し速度を調整するのが望ましい。
【0049】
脱塩素化反応は、テトラクロロペンタフルオロブタン中の4つの塩素原子を脱離させて二重結合を2箇所に構築し、所望の含水素フルオロジエン化合物を得るものである。
しかしながら、前記態様によれば、脱塩素化反応と並行して反応系外に含水素フルオロジエン化合物を間欠的、又は連続的に抜き出した場合、反応途中で生成する2つの塩素原子が残った化合物(中間化合物)が同伴して留出するおそれがある。かかる中間化合物は、目的物(含水素フルオロジエン化合物)に比して高い沸点を有する化合物であるため、蒸留塔を介して反応系内戻してやることが可能である。従って、前記態様によれば、中間化合物の留出による生産効率の低下を防ぐことができる。
なお、蒸留塔の段数は、中間化合物を反応系内に効率的に戻す観点から、理論段数で5〜30段が好ましく、10〜20段程度がより好ましい。
【0050】
トラップ内に捕集された含水素フルオロジエン化合物は、公知の方法に従い、蒸留などにより精製することで、高純度品を得ることができる。
【0051】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「%」は、「重量%」を表す。
【0052】
以下において採用した分析条件は下記の通りである。
・ガスクロマトグラフィー分析(GC分析)
装置:製品名「GC−2010」(島津製作所社製)
カラム:製品名「TC−1」(ジーエルサイエンス社製)、長さ60m、内径0.25mm、膜厚1.0μm
カラム温度:50℃で10分間)保持後、20℃/分で昇温し、次いで250℃で10分間保持
インジェクション温度:200℃
キャリヤーガス:窒素ガス
スプリット比:100/1
検出器:FID
H−NMR、及び19F−NMR測定
装置:製品名「JNM−ECA−500」(日本電子製)
【0053】
[実施例1]
<1,1,2,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ブタジエンの製造>
(0)1,2,2,3,4−ペンタクロロブタンの製造
3,4−ジクロロ−1−ブテンを水酸化カリウムで脱塩化水素化して製造したクロロプレン170g、及び、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン600部を攪拌機及び塩素ガス導入管を付した硝子製丸底反応器内に仕込んだ。反応器をドライアイス−エタノール浴に浸して、−30℃まで冷却した。反応器内の溶液を攪拌しながら、塩素ボンベから塩素ガスを約30ml/分の速度で供給し、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン溶液にバブリングさせながら合計で411gを吹き込んだ。
ガスクロマトグラフィー分析により、原料のクロロプレンが消費されたこと(即ち、1,2,2,3,4−ペンタクロロペンタフルオロブタンが生成したこと)を確認後、反応液を室温まで上昇させた。未反応の塩素ガスを取り除くため、窒素ガスを10ml/分の速度で約15分間吹き込んだ。
【0054】
(1)1,2,2,3,4−ペンタクロロブタンのフッ素化
攪拌機及びコンデンサーを備えたハステロイ製オークレーブ内に、前工程(0)で得られた反応液全量を仕込み、オートクレーブをドライアイス−エタノール浴に浸して、−70℃に冷却した。また、コンデンサーには−20℃の冷媒を流して循環させた。この反応器内に乾燥窒素を約10ml/分の速度で30分間流した。その後、乾燥窒素ガス(流量:30ml/分)及びフッ素ガス(流量:3ml/分)の混合ガスを、マスフローコントローラーを介して反応器内にバブリング供給させた。
7.5時間反応させた後、フッ素ガスの供給を停止し、再び、乾燥窒素を10ml/分の速度で15分間流し、余剰のフッ素ガスを追い出した。反応器内に微粉砕したフッ化ナトリウム50gを入れ、20分間攪拌した。フッ化水素との反応で生成した二フッ化水素ナトリウムを濾別して濾液を得、ロータリーエバポレーターにて濾液から1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンを留去して、粗体の1,2,2,3,4−ペンタクロロペンタフルオロブタンを得た。
粗体を減圧下に蒸留し、沸点が150〜153℃(67kPa)の留分を捕集したところ、目的物である1,2,2,3,4−ペンタクロロペンタフルオロブタン380g(収率64%:前工程のクロロプレン基準)で得られた。
【0055】
(2)1,2,2,3,4−ペンタクロロペンタフルオロブタンの部分水素化
コンデンサーを付した硝子製丸底反応器に、1,2,2,3,4−ペンタフルオロブタン48g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム2g、ギ酸アンモニウム63g、及びテトラヒドロフラン150gを仕込み、反応器内を窒素雰囲気下に置いた。反応器を90℃に加熱し、18時間反応させた。反応器を室温まで冷却し、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、面積%で、目的物である1,2,3,4−テトラクロロペンタフルオロブタンが57%生成し、原料である1,2,2,3,4−ペンタクロロペンタフルオロブタンが40%残存し、その他の副生成物が合計で3%生成していた。反応液を10%水酸化カリウム溶液で洗浄、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で線状後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。抽出液を蒸留し、沸点が118〜122℃である留分を捕集したところ、目的物である1,2,3,4−テトラクロロペンタフルオロブタン25g得られた。
【0056】
(3)1,2,3,4−テトラクロロペンタフルオロブタンの脱塩素化
攪拌機、適下ロートと精留塔(理論段数約7段)とを備えた硝子製丸底反応器内に、ジエチレングリコールジメチルエーテル100g、粉末状亜鉛6g、及び酢酸1gを仕込んだ。反応器内を50℃に加温し、前工程(2)で得られた1,2,3,4−テトラクロロペンタフルオロブタン25gを滴下ロートから滴下しながら反応温度を80℃まで徐々に上げた。精留塔の塔頂部の温度が15℃になった時点で、精留塔の塔頂部から還流比5:1で生成物の抜き出しを行った。生成物は−70℃に冷却したガラストラップに捕集した。滴下終了後、さらに1時間攪拌を継続し、反応温度を100℃まで上昇させて生成物を追い出し、ガラストラップ内に捕集した。ガラスとラップに捕集した内容物をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、目的物である1,1,2,4,4−ペンタフルオロブタジエン10g(収率74%)得られた。得られた1,1、2,4,4−ペンタフルオロブタジエンのNMR分析を行った。

H−NMR(CDCl、TMS)δ4.85−5.02(m,1H)
19F−NMR(CDCl、CFCl)δ−179.1〜−179.5(m,1F)、−118.5〜−119.0(m,1F)、−101.6〜−102.1(m,1F),−79.5(S,1F)、−78.1〜−78.5(m、1F)
【0057】
このようにして、工業的に入手容易な塩素化合物を出発原料にして、フッ素化、選択的水素化、脱塩素化の3工程を経る製造法を採用することにより、収率良く、含水素フルオロジエン化合物を製造することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式ClCH−CHCl−CClX−CHClY(X、及びYは塩素原子、又は水素原子を表し、X≠Yである)で表される化合物をフッ素ガスで処理して、式ClCF−CFCl−CClZ−CFClW(Z、及びWはフッ素原子、又は塩素原子を表し、Z≠Wである)で表される化合物を製造する工程、(2)式ClCF−CFCl−CClZ−CFClW(Z、及びWはフッ素原子、又は塩素原子を表し、Z≠Wである)で表される化合物を水素化して、式ClCF−CFCl−CClT−CFClU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物を製造する工程、(3)式ClCF−CFCl−CClT−CFClU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物を脱塩素化して、式CF=CFCT=CFU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物を製造する工程からなる含水素フルオロジエンの製造方法。
【請求項2】
式ClCH−CHCl−CClX−CHClY(X=Cl、Y=H)で表される化合物がクロロプレンの塩素化により製造されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
式CF=CFCT=CFU(T、及びUは水素原子、又はフッ素原子であり、T≠Uである)で表される化合物が、1,1,2,4,4−ペンタフルオオロブタジエンである請求項1又は2記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−171884(P2012−171884A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33361(P2011−33361)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】