説明

含油性物質の油分分離装置及びその方法

【課題】安全に効率よく含油性物質から油分を回収することができる含油性物質の油分分離装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 サイクロン24において遠心分離、衝突分離等により気体と固体との分離が行われるステップS7の後でスクラバー27で気化した油や水が液体に戻されるステップS10の前に気化物質に対する冷却ステップ(ステップS8)を行う。冷却ステップ(ステップS8)を蒸気ボイラ2からの蒸気を過熱炉12に送給する前に供給して配管48内を流通する気化物質と熱交換し、この冷却ステップ(ステップS8)に用いられた蒸気を蒸気ボイラ2から過熱蒸気として噴射空間43に噴射する様にすることによって熱の効率的利用が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含油性物質からそれに含まれる油分と固形物質とを分離捕集するための油分分離装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含油性物質であるオイルサンドは膨大な埋蔵量が自然界に存在しており、このオイルサンドから石油精製を行って、石油を分離捕集する要求がある。また、その他に含油性物質としてはシリコンインゴットのスライス切断時に生ずるシリコンスラッジや、更には自動車製造工程において生ずる含油研磨スラッジ等がある。このシリコンスラッジや含油研磨スラッジ等から油分と固形物とを分離し、油分を再利用することは、環境保護の観点から極めて重要である。
かかる含油性物質の乾燥処理か分溜処理のためには気化処理が行われる。しかし、この気化処理においては引火性の問題があり、またオイルサンドから、原油分を分離するためには採算ベースラインを下げたローコストでかつ高効率の設備やプロセスが必要となる。
【0003】
特許文献1には、引火性の問題を解消し、極めて簡単でかつローコストで油分と固形物とを分離することが可能な含油性物質の油分分離装置として外部より供給される含油性物質に対して超音速の過熱蒸気を噴射する噴射空間を有する処理槽と、前記噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離する分離手段と、前記気化物質を凝縮して油分を回収する凝縮手段とを含むことを特徴とする含油性物質の油分分離装置及びその方法が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−149722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の含油性物質の油分分離装置及びその方法では、噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離手段によって分離した気化物質を凝縮して油分を回収する効率性及び安全性に問題がある。
すなわち原油スラッジには引火点が−43℃であるガソリンのような軽質油分はすでに気化してしまって含まれていないにしても、含油性物質の中には引火点が低い切削油や灯油や軽油留分が含まれる。この切削油は引火点が70℃〜200℃であり、灯油、軽油は引火点21℃〜70℃である。したがって噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離手段によって分離した気化物質が引火点以上の高温では蒸発して回収油分が減少すると共に、臭いが発生し相対的には危険性が高くなる。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、安全に効率よく含油性物質から油分を回収することができる含油性物質の油分分離装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の含油性物質の油分分離装置は、外部より供給される含油性物質に対して超音速の過熱蒸気を噴射する噴射空間を有する処理槽と、前記噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離する分離手段と、前記気化物質を凝縮して油分を回収する凝縮手段とを含み、前記分離手段から排出される気化物質を前記凝縮手段に供給する前に冷却する冷却手段を有することを特徴とする。
【0008】
前記冷却手段は過熱以前の蒸気を用いて冷却を行うものとすることができ、その場合には蒸気を用いて一次冷却を行うものとすることが望ましい。
【0009】
前記冷却手段は水を用いて冷却を行うものとすることができ、その場合には蒸気を用いて一次冷却を行い、その後に水を用いて二次冷却を行うものとすることが望ましい。
前記冷却手段は前記分離手段から排出される気化物質を前記凝縮手段に供給する配管に設けられた放熱フィンとすることができる。
前記冷却手段は前記分離手段から排出される気化物質を前記凝縮手段に供給する配管の伸縮構造としてもよい。
【0010】
本発明の含油性物質の油分分離方法は、外部より供給される含油性物質に対して超音速の過熱蒸気を噴射空間に噴射する噴射ステップと、前記噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離する分離ステップと、前記気化物質を凝縮して油分を回収する凝縮ステップとを含み、前記分離ステップの後で前記凝縮ステップ前に噴射空間での噴射により得られた気化物質に対する冷却ステップを有することを特徴とする。
【0011】
前記冷却ステップを過熱蒸気とする前の蒸気で行い、その場合には蒸気を用いて一次冷却を行い、その後に水を用いて二次冷却を行うのが好便である。
【0012】
前記冷却ステップを前記気化物質の気化状態を維持して行うことが望ましい。その場合には前記冷却ステップを外気温度及び冷却媒体と前記気化物質との熱交換効率及び外部より供給される含油性物質の特性及び前記気化物質の特性に基づき管理するのがよい。
【0013】
本発明によれば高温高圧の過熱蒸気をスロート形状のノズルを通して超音速流として円筒状噴射空間の円筒曲面内側円周方向に沿って前記円筒状噴射空間の天地方向底部に噴射し、一方含油性物質をフィーダーにより前記円筒状噴射空間の天地方向底部に天地方向下方から上方に向けて供給する。従って、この円筒状噴射空間内において、円筒状噴射空間の円周方向に沿った方向に超高速流の過熱蒸気が噴射されて含油性物質に対する強制衝突が行われる。それによって含油性物質が瞬間的に解砕されて生じた固形物及び気化した油分は円筒状噴射空間内側において円筒曲面によって形成される円周方向に倣う方向に上方に吹き上げられ、重力によって落下して円周方向に回動し、その過程で固形物は相互間の接触によって微細化されて、一定程度微細化された状態で、気化した油分と共に排出され遠心分離等により分離され、気化された油分は冷却液化される。
【0014】
また、含油性物質の油分分離装置内は水蒸気によって満たされ、無酸素状態であり、陽圧のため外部からの空気の流入もないため、引火の心配がなく安全である。それと同時に円筒状噴射空間の底部に含油性物質の供給口が設けられ、円筒状噴射空間の天地方向底部に天地方向下方から上方に向けて含油性物質を供給するので含油性物質自体によってその供給経路は塞がれており、過熱蒸気を噴射してその熱により形成されるペースト状の含油性物質の円筒状噴射空間からフィーダーを伝わって供給槽(ホッパーへの逆流が防止される。
【0015】
しかも本発明の含油性物質の油分分離装置を用いて本発明の含油性物質の油分分離方法を第一冷却ステップとして蒸気を用いて気化された気体の一時冷却を行い、更に第二冷却ステップとして水を利用する冷却を行うことによって気化物質の危険性を無くし、蒸発して消失する部分を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高温高圧の過熱蒸気を超音速流で含油性物質に噴射することで、瞬時に解砕気化するようにしているので、油分の引火による爆発等の問題がなく、また、小型軽量でかつ効率の良い油分の分離が可能となるという効果がある。
【0017】
また本発明によれば、蒸発して消失する部分を少なくし、リサイクル効率を向上して、回収油の量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の含油性物質の油分分離装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の含油性物質の油分分離装置の要部拡大模式図であり、(a)正面図、(b)側面図である。
【図3】本発明の油分分離装置の各種実施の形態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態の含油性物質の油分分離装置の動作を示す処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳述する。
図1は本発明の含油性物質の油分分離装置1の全体構成を示す模式的ブロック図である。
図1に示すように油分分離装置1は蒸気ボイラ2及び電源装置3及び冷却水源4及び燃料5等の所要のエネルギー源を備える。また処理する材料(汚泥)を供給するホッパー6内側には処理する材料の送り込みを容易にするためのブリッジ・ブレーカー7が配置され、ブリッジ・ブレーカー7はブリッジ・ブレーカーモーター8によって駆動される。ホッパー6内側の材料は材料送り装置9によって処理室10に供給される。この材料送り装置9は材料送りモーター11によって駆動される。
【0020】
過熱炉12へ蒸気を送給する蒸気ボイラ2からの蒸気圧力は圧力センサ13によって検知される。その蒸気ボイラ2からの蒸気はモーターバルブ14を介して過熱炉12に送給される。過熱炉12では蒸気ボイラ2から送給された蒸気を過熱蒸気に変換する。バーナー15a、15bは過熱炉の熱源であり、入力温度センサー16は過熱炉12で過熱された蒸気温度を検知する。
【0021】
過熱炉12はドレインバルブ17を備え、このドレインバルブ17を介して過熱炉12からの排水を排出する。ジェットノズル18は過熱蒸気の噴射ノズルであり、ジェットノズル18から処理室10内に過熱蒸気を噴射することによって処理材料の固液分離が行われる。ジェットノズル18には消火用水バルブ19を介して処理室10内の急激な温度上昇を防ぐことができるようにされている。
【0022】
処理室10にはドレインバルブ20が設けられており、このドレインバルブ20を介して処理室10内の排水を排出する。
また処理室10にはスクレーパー2121が設けられており、スクレーパー21によって処理室10の内側への異物の付着を防止する。このスクレーパー21はスクレーパーモーター22によって駆動する。処理室10の排出口23はサイクロン24と連結されており、サイクロン24によって、処理室10から排出され気化された水分、油分及び粉状の固形成分のうち粉状の固形成分を捕集する。
【0023】
このサイクロン24のガス排出口24aには出力温度センサー25が設けられ、出力温度センサー25によってガス排出口24aから排出される排出ガスの出口温度の検知が行われる。サイクロン24のガス排出口24aからの排出ガスはバグフィルタ26を通過してサイクロンで捕集しきれなかった超微粉を捕集し、ガス状の水分、油分を液化する水槽スクラバー27に導かれる。スクラバー27には液化促進装置28及びウオーターハンマー防止用水バルブ29が取り付けられている。またこのスクラバー27に隣接して水位差によるオーバーフローを利用してスクラバー27から油分を回収する油槽30が配置される。
【0024】
液化促進装置28には運転停止時スクラバー水逆流防止バルブ31が取り付けられ、この運転停止時スクラバー水逆流防止バルブ31によって運転停止時の温度の急激な低下による油分分離装置1内圧力の低下によるスクラバー水の油分分離装置1への吸引を防止するための吸気を行う。さらにスクラバー27にはスクラバー27内側における水レベルのコントロールを行うための水位センサー32、スクラバー27内の水位の調整を行う水放流ポンプ33、水位センサー32からの信号で開閉してスクラバー水の排出を行うモーターバルブ34、スクラバー27に隣接して配置された油槽30に回収した油レベルのコントロールを行うための油レベルセンサー35、油レベルセンサーからの信号によってON/OFFし、油槽30に回収した油の放出を行うオイル排出ポンプ36が装備される。さらに処理後のスクラバー27内側のスチーム及び蒸気化油は排気ダクト37から排出される。
【0025】
一方、サイクロン24で分離された固形成分は残渣タンク38に収納される。残渣タンク38には固形成分の収納量を検知するパドル・センサー39が設けられ、パドル・センサー39で一定以上の固形成分の収納量を検知すると残渣送りモーター40が駆動し、残渣送りモーター40によって駆動される残渣フィーダー冷却装置41によって固形成分の冷却が行われる。
【0026】
油分分離装置1は各機器や各システム制御に対し電力を配布するコントロールボード42を有し、コントロールボード42によって上述の油分分離装置1各部の駆動状態の検知及び駆動制御が行われる。
【0027】
図2は本発明の含油性物質の油分分離装置1の要部拡大模式図である。
図2に示すように処理室10はその本体が円筒状にされてなり、その円筒状本体内側に噴射空間43を有する。また円筒状本体はその一側部の円筒軸位置にサイクロン24に連通する排出口23を有する。この処理室10は円筒軸方向が天地方向と交差するように配置され、特には円筒軸方向が天地方向と直交するのが望ましい。
【0028】
また処理室10の噴射空間43には、ジェットノズル18から処理室10内に過熱蒸気を噴射する過熱蒸気噴射口44が開口する。過熱蒸気噴射口44の開口位置は円筒状本体の天地方向底部10aとされる。また過熱蒸気噴射口44は過熱蒸気噴射方向が円筒状本体の円筒曲面45内側円周方向に倣う方向となるように配置される。
【0029】
さらに処理室10の天地方向底部10aには含油性物質を供給するスクリューフィーダーを用いた材料送り装置9の供給口46が設けられる。供給口46は噴射空間43に向けての含油性物質の供給方向が天地方向下方から上方に向かう方向となるように配置される。この供給口46を介して外部より供給される含油性物質に対して過熱蒸気噴射口44から超音速の過熱蒸気を噴射する。この様に過熱蒸気を超音速流として、供給されている含油性物質に対して強制衝突させることによって処理槽10に供給された含油性物質を解砕,撹拌しつつ油分を気化させる。
【0030】
図1に示すように本発明の油分分離装置1はサイクロン24から排出される気化物質をバグフィルタ26を介してスクラバー27へ供給する前に冷却する冷却手段47を有する。なおバグフィルタ26は布製であり、冷却手段47はバグフィルタ26の上流に配置されるのが望ましい。
【0031】
この冷却手段47は図3(a)に示すように気化物質の配管48に蒸気ボイラ2からの蒸気を過熱炉12に送給する前に供給して配管48内を流通する気化物質と熱交換する熱交換器49とすることができる。この場合に熱交換器49には蒸気ボイラ2からの蒸気ではなく、モーターバルブ34を介して供給されるスクラバー27からの排水とすることもできる。またシステムをメンテナンスフリーとする観点からスクラバー27からの排水を浄化した後の排水を利用するのがより望ましい。
【0032】
冷却手段47は図3(b)に示すように配管48の外側に設けられた放熱フィン50としてもよい。図3(c)に示すように配管48のスクラバー27への直前位置に内側に放熱フィン51を備える冷却手段47を配置することもできる。
冷却手段47の筐体52は、銅、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属材料を主成分とした鋳物で構成している。筐体52の上面には気化物質の流入口53を、下面には排出口54を、また筐体4の内部には複数の板状の放熱フィン51を設けている。このとき、放熱フィン51は筐体52を構成する2つの内壁55に交互に一体とした構成としており、この一体面と反対の方向には流入口53から流入した気化物質が流れるための隙間55aを有した形となっている。したがって、流入口53から流入した気化物質は筐体52の上部から下部へ隙間55aを通ってターンしながら下って行き排出口54からスクラバー27へ排出される。
【0033】
冷却手段47は配管48をベローズ56を用いた伸縮構造として構成することもできる。このベローズ56を用いた伸縮構造部に冷却ファン57を配置して冷却することによって、配管48内を流通する気化物質を冷却することができ、しかもその冷却の度合いはベローズ56を伸縮することによって微調整することができる。
【0034】
図4は本発明の実施の形態の動作を示す処理フローチャートである。
円筒状噴射空間43を円筒軸方向が天地方向と交差するように配置し(ステップS1)、円筒状噴射空間43の円筒曲面45内側円周方向に沿って円筒状噴射空間43の天地方向底部10aに過熱蒸気を噴射する(ステップS2)。
円筒状噴射空間43の天地方向底部10aに天地方向下方から上方に向けて含油性物質を供給する(ステップS3)。
【0035】
処理槽10へ導入された過熱蒸気は、超音速流となって過熱蒸気噴射口44から噴射空間43へ噴射される。この噴射空間43においてこの超音速流の過熱蒸気を供給口46から供給される含油性物質に強制的に衝突させることにより、含油性物質は瞬間的に解砕され油分は気化される(ステップS4)。
【0036】
円筒状噴射空間43の天地方向底部10aにおいて含油性物質に過熱蒸気を噴射することによって、含油性物質が瞬間的に解砕されて生じた固形物及び気化した油分は円筒状噴射空間43内側において円筒曲面45によって形成される円周方向に倣う方向に上方に吹き上げられ、天地方向上部10bに至った後、重力によって落下する。さらに重力によって落下した固形物及び気化した油分は過熱蒸気噴射口44から噴射空間43へ噴射される超音速流の過熱蒸気の推力によって再度円筒曲面45によって形成される円周方向に倣う方向に上方に吹き上げられる。その結果、含油性物質が瞬間的に解砕されて生じた固形物及び気化した油分は円筒状本体の円筒軸を中心とする円周方向に回動し(ステップS5)、天地方向底部10aと天地方向上部10bとの間を移動する。その過程で含油性物質が瞬間的に解砕されて生じた固形物は相互間の接触及び円筒状噴射空間43内側への接触によって微細化されて(ステップS6)、一定程度微細化された状態で、気化した油分と共に排出口23からサイクロン24に向けて排出される。
【0037】
また以上の過程で円筒状噴射空間43の底部10aに含油性物質の供給口46が設けられ、円筒状噴射空間43の天地方向底部10aに天地方向下方から上方に向けて含油性物質を供給するので含油性物質自体によってそのスクリューフィーダーを用いた材料送り装置9は塞がれる。したがって、過熱蒸気噴射口44から過熱蒸気を噴射することによってペースト状となった含油性物質が処理槽10内側から材料送り装置9を介して逆流することはない。
【0038】
処理槽10からは気化された油分と微粉末がサイクロン24へ供給され、サイクロン24において遠心分離により気体と固体との分離が行われる(ステップS7)。分離された気体はサイクロン24からバグフィルタ26を介してスクラバー27へ導出され、バグフィルタ26においてサイクロンで捕集しきれなかった超微粉を捕集する。一方、固形物はサイクロン24から残渣タンク38へ排出される(ステップS9)。スクラバー27では、気化した油や水が液体に戻される(ステップS10)。さらにスクラバー27から分離排水された温水を浄化処理した後、排水する(ステップS11〜S13)。
また水と分離された油分の回収が行われる(ステップS14)。
【0039】
以上の処理フローにおいて本発明の含油性物質の油分分離方法では、サイクロン24において遠心分離により気体と固体との分離が行われるステップS7の後でスクラバー27で気化した油や水が液体に戻されるステップS10の前に気化物質に対する冷却ステップ(ステップS8)を行う。
【0040】
冷却ステップ(ステップS8)を蒸気ボイラ2からの蒸気を過熱炉12に送給する前に供給して配管48内を流通する気化物質と熱交換し、この冷却ステップ(ステップS8)に用いられた蒸気を蒸気ボイラ2から過熱蒸気として噴射空間43に噴射する様にすることによって熱の効率的利用が可能となる。
【0041】
以上の本発明の含油性物質の油分分離方法では、蒸気の危険性を無くし、環境負荷軽減が可能となるだけでなく、蒸発部分を少なくし、リサイクル効率を向上して、回収油の量を増やすことができる。
気化された気体の温度は処理槽10から排出された時点で通常250℃近くに達する。それがサイクロン24を通り、バグフィルタ26を通過しても、まだ200℃以上の温度を維持する。これに対して、過熱炉12に送給する前の蒸気ボイラ2からの蒸気は150℃前後であり、第一冷却ステップ(ステップS8)としてその蒸気を用いて気化された気体の一時冷却を行う。更に第二冷却ステップ(ステップS8)として水を利用する冷却を行う。その際、スクラバー27に送給する前に液化してしまい、その液化分にワックスが含まれていると配管48内内部に付着し、熱交換が行われなくなる場合もある。したがって、冷却手段47によって行う冷却ステップ(ステップS8)は気化物質の気化状態を維持して行う必要がある。そのため冷却ステップ(ステップS8)は外気温度及び蒸気、水等の冷却媒体と気化物質との熱交換効率及び外部より供給される含油性物質の特性及び気化物質の特性に基づき管理する。
【符号の説明】
【0042】
10・・・処理槽、10a・・・天地方向底部、43・・・円筒状噴射空間、44・・・過熱蒸気噴射口、45・・・円筒曲面、9・・・材料送り装置、24・・・サイクロン、27・・・スクラバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部より供給される含油性物質に対して超音速の過熱蒸気を噴射する噴射空間を有する処理槽と、前記噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離する分離手段と、前記気化物質を凝縮して油分を回収する凝縮手段とを含み、前記分離手段から排出される気化物質を前記凝縮手段に供給する前に冷却する冷却手段を有することを特徴とする含油性物質の油分分離装置。
【請求項2】
前記冷却手段は過熱以前の蒸気を用いて冷却を行う請求項1記載の含油性物質の油分分離装置。
【請求項3】
前記冷却手段は水を用いて冷却を行う請求項1記載の含油性物質の油分分離装置。
【請求項4】
前記冷却手段は前記分離手段から排出される気化物質を前記凝縮手段に供給する配管に設けられた放熱フィンである請求項1記載の含油性物質の油分分離装置。
【請求項5】
前記冷却手段は前記分離手段から排出される気化物質を前記凝縮手段に供給する配管の伸縮構造である請求項1記載の含油性物質の油分分離装置。
【請求項6】
外部より供給される含油性物質に対して超音速の過熱蒸気を噴射空間に噴射する噴射ステップと、前記噴射空間での噴射により得られた気化物質と固形物質とを分離する分離ステップと、前記気化物質を凝縮して油分を回収する凝縮ステップとを含み、前記分離ステップの後で前記凝縮ステップ前に噴射空間での噴射により得られた気化物質に対する冷却ステップを有することを特徴とする含油性物質の油分分離方法。
【請求項7】
前記冷却ステップを過熱蒸気とする前の蒸気で行う請求項6記載の含油性物質の油分分離方法。
【請求項8】
前記冷却ステップに用いられた蒸気を過熱蒸気として噴射空間に噴射する請求項7記載の含油性物質の油分分離方法。
【請求項9】
前記冷却ステップを前記気化物質の気化状態を維持して行う請求項6記載の含油性物質の油分分離方法。
【請求項10】
前記冷却ステップを外気温度及び冷却媒体と前記気化物質との熱交換効率及び外部より供給される含油性物質の特性及び前記気化物質の特性に基づき管理する請求項9記載の含油性物質の油分分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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