説明

含窒素縮合複素環化合物、その製造法及び剤

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れたアシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(以下“ACAT”と略記する)阻害作用を有する新規な含窒素縮合複素環化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】1位に窒素原子を有する非芳香性6員の複素環とベンゼン環から成る縮合環の複素環部分の3位に−Z−CONH−Ph〔Zは−NH−、−CH2−または−CH2NH−を示す〕が置換する化合物については従来、例えば、(1) ファルマツィー(Pharmazie)、34巻、113〜114頁(1979年発行)に記載されている、式
【化15】




で表される化合物、
【0003】(2) ケミカル アブストラクト(Chemical Abstract)69巻、77223g(1968年発行)に記載されている、式
【化16】


で表される化合物などが知られていた。また、(3)特開昭56−2976には、式
【化17】


〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水素残基を、R2およびR3は少なくとも一方は電気的に陰性な基を他は水素または置換されていてもよい炭化水素残基を、R4は水素または置換されていてもよい炭化水素残基を、Xはメチレン、カルボニルまたはチオカルボニルを、それぞれ表わし、環Aは置換基を有していてもよい。〕で表されるベンゾオキサジン誘導体が記載されており、R2およびR3で表される電気的に陰性な基として、たとえば式
【化18】


〔式中、R6およびR7は同一または異なって水素、低級アルキルを表わし、窒素原子と共に異項環を形成していてもよい。〕で表されるカルバモイル基等が記載されている。これらの公知文献において、(1)の文献にはある種の1−アリール−3−(置換)アルキル−2,4−ジオキソ〔1H,3H〕キナゾリン化合物は鎮痛、中枢神経系の鎮静および抗炎作用を有するとの記載が、(2)の文献には、抗痙攣剤として(2)の文献記載化合物は有効でなかったとの記載が、(3)の文献に3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン系化合物の中には抗けいれん作用等が知られているものもあるとの記載がある。しかし、これらの従来化合物には、ACAT阻害作用、血中コレステロール低下作用、または動脈硬化治療作用が有るか否かについては全く報告されていない。また、特公昭48−6474、特開昭48−23785、ヨーロッパ公開特許番号354994、同421456、PCT公開番号9109017には、式
【化19】


〔式中、Xは−N=、−NR−(Rは水素原子またはアルキル基を示す)または−N(O)m−(mは0または1を示す)を、Yは=CH−、−CH2−、−CO−または−CS−を、Zは−NH−またはアルキレン基を示す。〕で表されるキノリン環上の炭素原子がフェニル基と側鎖 −NHCO−Z−Phにより隣接して置換されていることを特徴とする化合物がACAT阻害作用、抗原虫作用、抗潰瘍作用等を有することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下において、優れたACAT阻害作用を有し、ほ乳動物においてコレステロールの腸管からの吸収および動脈壁でのコレステロールエステルの蓄積を抑制し、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症およびこれらに起因する各種疾患(例、心筋梗塞などの虚血性心疾患および脳梗塞、脳卒中などの脳血管障害など)の予防、治療薬として有用な新規化合物の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは含窒素縮合複素環構造を有する化合物について種々検討を加えた結果、新規化合物である式
【化20】


で表される化合物またはその塩が、式
【化21】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいは反応性誘導体と式
【化22】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩とを反応させる、あるいは式(I)で表される化合物に含まれる式(Ia
【化23】


〔式中、Z′は−NH−または−CH2NH−を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩が、式
【化24】


〔式中、nは0または1を示し、他の記号は前記と同意義と示す。〕で表される化合物またはその塩と式
【0006】
【化25】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物とを反応させることにより製造されること、さらに得られる新規化合物(I)を含む式(I′)
【化26】


で表される化合物またはその塩が予想外にも強力なACAT阻害作用を示し、安全なコレステロール低下剤、動脈硬化治療薬として有用であることを見いだし、これらに基づいて本発明を完成した。すなわち、本発明は、(1) 化合物(I)またはその塩、(2) A環が、(i)ハロゲン、(ii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)C1-6アルコキシ基、(iv)水酸基、(v)C1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基および(vi)C1-3アシルオキシ基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である前記(1)記載の化合物、(3) A環が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基およびハロゲノ−C1-4アルキル基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である前記(1)記載の化合物、
【0007】(4) A環が、式
【化27】


〔式中、A1およびA2は同一または相異なって水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基またはハロゲノ−C1-4アルキル基を示す。〕で表される置換されていてもよいベンゼン環である前記(1)に記載の化合物、(5) B環が、(i)ハロゲン、(ii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)C1-6アルコキシ基、(iv)水酸基、(v)C1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基および(vi)C1-3アシルオキシ基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよい芳香環である前記(1)に記載の化合物、(6) B環が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ジ−C1-4アルキルアミノ基、C1-3アシルオキシ基および水酸基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよい芳香環である前記(1)記載の化合物、(7) 芳香環が(1)ベンゼン環、(2)ピリジン環、(3)ピラジン環、(4)ピリミジン環または(5)ピリダジン環である前記(1)、(5)または(6)に記載の化合物、(8) B環が、式
【化28】


〔式中、B1、B2およびB3は同一または相異なって水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ジ−C1-4アルキルアミノ基を示す。〕で表される置換されていてもよいベンゼン環である前記(1)記載の化合物、
【0008】(9) Rが置換されていてもよいフェニル−C1-4アルキル基である前記(1)記載の化合物、(10) 式
【化29】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される前記(1)記載の化合物、(11) 式
【化30】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、X1は−O−または−S−を、Z′は−CH2−または−CH2NH−を、他の記号は前記(1)の記載と同意義を示す。〕で表される前記(1)記載の化合物、(12) 式
【化31】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、Z′は−CH2−または−CH2NH−を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される前記(1)記載の化合物、
【0009】(13) 式
【化32】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、X2は−CH2−または−CO−を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される前記(1)記載の化合物、(14) 化合物(II)またはその塩あるいは反応性誘導体と化合物(III)またはその塩とを反応させることを特徴とする化合物(I)またはその塩の製造法、(15) 化合物(IV)またはその塩と化合物(V)またはその塩とを反応させることを特徴とする化合物(Ia)またはその塩の製造法(16) 化合物(I′)またはその塩を含有するアシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤に関するものである。
【0010】前記式中、A環およびB’環はそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環を、B環は置換されていてもよい芳香環を示す。このようなベンゼン環および芳香環の置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等、好ましくは、例えば塩素、フッ素等)、ハロゲンで置換されていてもよいアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲンで置換されていてもよいアルキルチオ基、C1-7アシルアミノ基(例えば ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ基等のC1-6アルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、C1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、メチルプロピルアミノ基等のモノ−またはジ−C1-4アルキルアミノ基)、C1-3アシルオキシ基(例えばホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ基等)、水酸基、シアノ基、カルボキシル基等が用いられる。
【0011】前記したハロゲンで置換されていてもよいアルキル基としては、たとえば炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状のアルキル基またはこれにハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素およびびヨウ素等、好ましくは例えば塩素、臭素等)が1ないし5個置換したもの等が用いられ、例えばメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、2−トリフルオロメチルエチル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、4−トリフルオロメチルブチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシル、5−トリフルオロメチルペンチル等が繁用され、好ましくは例えばメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、2−トリフルオロメチルエチル、ブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基またはこれに前記のごときハロゲン原子が1ないし3個置換したものが用いられる。
【0012】ハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基及びハロゲンで置換されていてもよいアルキルチオ基としては、たとえば前記アルキル基またはハロゲンで置換されたアルキル基と、それぞれ酸素原子および硫黄原子とが結合してできるハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基、ハロゲンで置換されていてもよいアルキルチオ基などが用いられる。ハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基としては、例えば、炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状のアルコキシ基またはこれに前記のごときハロゲン原子が1ないし5個置換したもの等が用いられ、例えばメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどが汎用され、好ましくは、例えばメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4, 4,4−トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシなどの炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルコキシ基またはこれに前記のごときハロゲン原子が1ないし3個置換したもの等が用いられる。
【0013】ハロゲンで置換されていてもよいアルキルチオ基としては、たとえば炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状のアルキルチオ基またはこれに前記のごときハロゲン原子が1ないし5個置換したもの等が用いられ、例えばメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等が汎用され、好ましくはたとえばメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオなどの炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキルチオ基またはこれに前記のごときハロゲン原子が1ないし3個置換したもの等が用いられる。以下「ハロゲンで置換されていてもよい」は、前記のごときハロゲンを1ないし3個有していてもよいということを示す。A環、B’環およびB環で示されるベンゼン環および芳香環の置換基として好ましいものとしては、(i)ハロゲン原子、(ii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)C1-6アルコキシ基、(iv)水酸基、(v)C1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基および(vi)C1-3アシルオキシ基等が用いられる。(i)〜(vi)の各用語は、前記と同意義を示す。A環、B’環およびB環で示されるベンゼン環および芳香環の置換基は、ベンゼン環および芳香環の置換可能な位置のいずれに置換していてもよく、置換基が2個以上の場合それぞれ同一または異なっていてもよく、その個数は1ないし4個、好ましくは2または3個である。またA環、B’環あるいはB環上の隣接した炭素が−(CH2)q −(qは3ないし5の整数を示す)で表される基と連結し5ないし7員環を形成していてもよく、この様な場合も目的物(I)および化合物(I′)に含まれる。
【0014】A環として、好ましくは例えばハロゲン(例えば塩素等)、ハロゲンで1ないし3個置換されていてもよいC1-4アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル等)およびC1-4アルコキシ基(例えばメトキシ等) より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環が用いられ、特に、1個のハロゲン(前記と同意義)または1個のC1-4アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピルなど)などで置換されていてもよいベンゼン環が好ましい。具体的に、より好ましくは、例えば式〔A〕
【化33】


〔式中、A1およびA2は同一または相異なって水素、ハロゲン(例えば塩素等)、C1-4アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル等)、C1-4アルコキシ基(例えばメトキシ等)またはハロゲノ−C1-4アルキル基(例えばトリフルオロメチル等)を示す。〕で表される置換されていてもよいベンゼン環等が用いられる。さらに好ましいA環としては例えば前記式〔A〕において、A1およびA2が同一または相異なって水素、ハロゲン(前記と同意義)、C1-4アルキル(前記と同意義)等である置換されていてもよいベンゼン環等が、特に好ましいA環としては、例えば前記式〔A〕において、A1およびA2が同一または相異なって水素、塩素またはメチル等である置換されていてもよいベンゼン環等が用いられる。B環で表される芳香環としては、例えば炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子を1ないし4個、好ましくは1または2個有していてもよい5員または6員の芳香環が用いられ、好ましくは、例えば炭素原子以外に窒素原子を1または2個有していてもよい5または6員の芳香環が、より好ましくは、例えば(1)ベンゼン環、(2)ピリジン環、(3)ピラジン環、(4)ピリミジン環、(5)ピリダジン環等が用いられ、さらに好ましくは、例えばベンゼン環またはピリミジン環等、特に好ましくは、例えばベンゼン環等が用いられる。
【0015】B環およびB’環は同一または相異なって1ないし4個の置換基を有していてもよく、このような置換基として好ましいものとしては、例えばハロゲン(例えばフッ素、塩素等)、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル等)、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメトキシ等)、ジ−C1-4アルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ等)、C1-3アシルオキシ基(例えばアセトキシ等)または水酸基等が用いられ、特に、ハロゲン(前記と同意義)、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキル基(前記と同意義)、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(前記と同意義)等が汎用される。B環およびB’環として好ましいものとしては、例えば式〔B〕
【化34】


〔式中、B1、B2およびB3は同一または相異なって水素、ハロゲン(例えばフッ素、塩素等)、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル等)、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメトキシ等)またはジ−C1-4アルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ等)を示す〕で表わされる置換されていてもよいベンゼン環が用いられる。より好ましいものとしては、例えば前記式〔B〕において、(1)B1、B2およびB3が同一または相異なって、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルコキシ基、(2)B1およびB2が同一または相異なって、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルコキシ基であり、B3が水素、(3)B1およびB3が同一または相異なってハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルコキシ基であり、B2が水素、または(4)B1およびB3が水素であり、B2がハロゲンである置換されたベンゼン環等が用いられる。(1)〜(4)中の各用語は、前記と同意義を示す。
【0016】B環およびB’環としてさらに好ましいものとしては、例えば前記式〔B〕において、(a)B1、B2およびB3のすべてがフッ素、メチル基またはメトキシ基、(b)B1およびB2がともに塩素、フッ素、イソプロピル基またはメトキシ基で、B3が水素、(c)B1およびB3がともに塩素、フッ素、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはメトキシ基で、B2が水素、(d)B1がイソプロピル基、B2が水素、B3がメチル基、または(e)B1およびB3が水素で、B2が塩素である置換されていてもよいベンゼン環等が用いられる。
【0017】前記式中、Rは水素原子もしくは置換されていてもよい炭化水素基を示す。このような炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が用いられる。アルキル基としては炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状のものが用いられ、好ましくは例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が用いられる。アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エテニル、プロペニル、イソプロペニルなどの炭素数2ないし4のアルケニル基が用いられる。アルキニル基としては、例えばエチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エチニル、プロピニル、イソプロピニル等の炭素数2ないし4のアルキニル基が用いられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基が用いられ、好ましくは例えばシクロプロピル、シクロブチル等の炭素数3ないし6のシクロアルキル基が用いられる。アリール基としては、炭素数フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等の炭素数6ないし14のアリール基が用いられ、好ましくは例えば、フェニル、ナフチル等の炭素数6ないし10のアリール基が用いられる。
【0018】アラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチル、フェニル−プロピル、ナフチル−メチル等のC6-10アリール−C1-4アルキル基が用いられ、好ましくは例えばベンジル、フェネチル等のフェニル−C1-4アルキル基が用いられる。好ましい炭化水素基としては、例えばアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキル基が用いられ、より好ましくはアラルキル基が用いられる。置換されていてもよい炭化水素基の置換基としては、例えば、(i)ハロゲン、(ii)シクロアルキル基、(iii)アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール基を置換基として有していてもよいアミノ基、(iv)水酸基、(v)ハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基、(vi)アシル基、(vii)アシルオキシ基、(viii)シアノ基、(ix)保護されていてもよいカルボキシル基、(x)カルバモイル基、(xi)メルカプト基、(xii)アルキルチオ基、(xiii)スルホ基、(xiv)アルキルスルホニル基などが用いられる。置換されていてもよい炭化水素基は、これらの置換基により同一または相異なって1ないし4個、好ましくは1または2個置換されていてもよい。炭化水素基の置換基(i)ないし(xiv)について、ハロゲンとしては例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が用いられ、好ましくはフッ素、塩素等が用いられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3-6シクロアルキル基が用いられる。アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール基を置換基として有していてもよいアミノ基において、アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル等のC1-4アルキル基が用いられ、アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル等のC2-4アルケニル基が用いられ、シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3-6シクロアルキル基が用いられ、アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル等のC6-10アリール基が用いられる。該アミノ基の好ましい例としては、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ基等のモノ−またはジ−C1-4アルキルアミノ基等が用いられる。ハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基としては、例えばメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ等のC1-4アルコキシ基またはこれにハロゲン原子(例えばフッ素、塩素等)が1ないし3個置換したもの等が用いられる。アシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1-4アシル基が用いられる。アシルオキシ基としては、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ基等のC1-4アシルオキシ基が用いられる。保護されていてもよいカルボキシル基の保護基としては、メチル、エチル、t−ブチル基等のC1-4アルキル基、ベンジル等のC7-11アラルキル基等が用いられる。アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ等のC1-4アルキルチオ基が用いられる。アルキルスルホニル基としては、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル基等のC1-4アルキルスルホニル基が用いられる。
【0019】置換されていてもよい炭化水素基の置換基として好ましいものとしては、例えば、前記で定義されているような(i)ハロゲン、(ii)シクロアルキル基、(iii)アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール基を置換基として有していてもよいアミノ基、(iv)水酸基、(v)ハロゲンで置換されていてもよいアルコキシ基、(vi)アシル基、(vii)アシルオキシ基、(viii)シアノ基、(ix)保護されていてもよいカルボキシル基、(x)カ ルバモイル基等が用いられ、より好ましくは、例えば(a)C3-6シクロアルキル基、(b)モノ−またはジ−C1-4アルキルアミノ基、(c)C1-4アルキル基で置換されていてもよいカルボキシル基等が用いられる。Rとして好ましい基としては、例えば(a)塩素等のハロゲン、(b)シクロヘキシル基等のC3-6シクロアルキル基、(c)メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、(d)t−ブトキシカルボニル基等のC1-4アルキル基で保護されていてもよいカルボキシル基等で同一または相異なって1ないし4個、好ましくは1または2個置換されていてもよいC1-6アルキル、C6-10アリール、C6-10アリール−C1-4アルキル基が用いられ、より好ましくは例えば、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素等)またはアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等)等で置換されていてもよいフェニル−C1-4アルキル基(例えば、ベンジル等)が用いられる。
【0020】前記式中、R1は水素原子もしくは脂肪族基を示す。このような脂肪族基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基等が用いられる。アルキル基としては炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状のものが用いられ、好ましくは例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が用いられる。アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エテニル、プロペニル、イソプロペニルなどの炭素数2ないし4のアルケニル基が用いられる。アルキニル基としては、例えばエチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル等の炭素数2ないし6のアルケニル基が用いられ、好ましくは例えば、エチニル、プロピニル、イソプロピニル等の炭素数2ないし4のアルキニル基が用いられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3ないし8のシクロアルキル基が用いられ、好ましくは例えばシクロプロピル、シクロブチル等の炭素数3ないし6のシクロアルキル基が用いられる。R1として好ましいものとしては、例えばアルキル基、シクロアルキル基等が用いられ、より好ましくはアルキル基が、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等の炭素数1ないし4の直鎖状または分枝状のアルキル基が用いられる。前記式中、Wは−CH2−、−CO−または−CS−を示し、好ましくは、−CH2−、−CO−が汎用される。
【化35】


前記式中、Xは−CH2−、−O−、−S−、−CO−、−CS−、−NR1−(R1は水素原子または脂肪族基を示す)を示し、好ましくは、−CH2−、−O−、−CO−、−NR1a−(R1aは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)が用いられ、特に、−CH2−、−O−が汎用される。前記式中、X1は−O−、−S−を示し、−O−が汎用される。前記式中、Zは−NH−、−CH2−、−CH2NH−を示し、−NH−、−CH2−が汎用される。前記式中、Z1は−CH2−、−CH2NH−を示し、−CH2−が汎用される。
【0021】式(I)で示される含窒素複素環化合物またはその塩は例えば次の■、■の方法で製造することができる。すなわち、■:式(II)で表されるカルボン酸またはその塩あるいはその反応性誘導体と式(III)で表されるアミンまたはその塩とを反応させることにより、化合物(I)またはその塩を製造する。
■:式(IV)で表されるアミンまたはその塩と一般式(V)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより化合物(Ia)またはその塩を製造する。以下に■、■の方法について詳細に説明する。
方法■:式(II)で表わされるカルボン酸またはその塩あるいはその反応性誘導体と化合物(III)またはその塩との反応はアミド結合またはウレア結合の生成反応であり、種々の方法により実施される。たとえば化合物(III)またはその塩(例えば塩酸、硫酸などの無機酸との塩またはメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、フマール酸、マレイン酸などの有機酸との塩等)と化合物(II)またはその塩(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属との塩等)とを反応させる場合、通常適宜の縮合剤を用いるか、あるいは化合物(II)またはその塩を一旦その反応性誘導体に導いた後化合物(III)またはその塩と反応させることが好ましい。かかる縮合剤としては例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、シアノリン酸ジエチル、ジフェニルホスホリルアジド等が用いられる。これら縮合剤を用いるときは、通常溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ジクロロメタン、1, 2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のエーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アミド類、スルホキシド類等)中で行うのがよい。本反応は塩基の存在下に反応を促進させてもよく、約−10℃ないし100℃、好ましくは 約0℃ないし60℃で反応は行われる。反応時間は通常1ないし96時間、好ましくは1ないし72時間である。化合物(III)またはその塩及び縮合剤の使用量は化合物(II)またはその塩1モルに対しそれぞれ1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。塩基としては例えばトリエチルアミン等のアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、ピリジン等の環状アミン類等が用いられ、その使用量は化合物(II)またはその塩1モルに対し1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。
【0022】化合物(II)の反応性誘導体としては例えば酸ハライド(例えばクロリド、ブロミド等)、酸無水物、混合酸無水物(例えばメチル炭酸との無水物、エチル炭酸との無水物、イソブチル炭酸との無水物等)、活性エステル(例えばヒドロキシコハク酸イミドとのエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとのエステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとのエステル、p−ニトロフェノールとのエステル、8−オキシキノリンとのエステル等)等が用いられる。化合物(III)またはその塩と化合物(II)の反応性誘導体とを反応させる場合は、通常溶媒(例えばクロロホルム、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド等のハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、アミド類等)中で行われる。本反応は塩基の存在下反応を促進させてもよい。反応温度は通常約−10℃ないし120℃、好ましくは約0℃ないし100℃である。反応時間は通常1ないし48時間好ましくは1ないし24時間である。化合物(III)またはその塩の使用量は化合物(II)の反応性誘導体1モルに対して1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。塩基としては例えばトリエチルアミン等のアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、ピリジン等の環状アミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩等が用いられ、その使用量は化合物(II)またはその反応性誘導体1モルに対し1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。また、本反応において水と混和しない溶媒を用いる場合、反応系に水を加え2相系で反応させてもよい。
【0023】さらに本方法■において化合物(II)のZが−NH−あるいは−CH2NH−である化合物の反応性誘導体としては式(II−4)
【化36】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される対応するイソシアネート体が好んで用いられる。これらのイソシアネート体と化合物(III)またはその塩を用いる反応ではウレア誘導体が生成する。本反応では化合物(III)自体を溶媒として用いてもよいが、他の溶媒中で行うこともできる。かかる他の溶媒は反応をさまたげない限りいかなる溶媒でもよく、たとえばエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)等が好んで用いられる。化合物(III)を塩の形で用いる場合には必要により脱塩剤を添加することにより反応を有意に進行させることができる。この場合、脱塩剤としては例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族アミン類等が好んで用いられる。これら脱塩剤の使用量は化合物(III)の塩1モルに対して1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。反応温度は通常−10℃ないし180℃、好ましくは0℃ないし120℃である。反応時間は通常15分間ないし40時間好ましくは30分間ないし20時間である。化合物(III)またはその塩の使用量は、化合物(II)またはその塩1モルに対して1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。
【0024】方法■:本方法はアミン誘導体(IV)またはその塩(例えば塩酸、硫酸などの無機酸との塩、またはメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、フマール酸、マレイン酸などの有機酸との塩等)とイソシアネート誘導体(V)との反応により、ウレア誘導体を生成する方法である。本方法は前記の化合物(II−4)と化合物(III)との反応による方法と同様の方法で実施することができる。さらに、式
【化37】


〔式中、X′は−CO−または−CH2−を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(Ib)またはその塩は、式
【化38】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩と式
【化39】


〔式中、Lは脱離基を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩(塩としては目的物(I)の塩と同様の塩が用いられる)と反応させることによっても製造できる。本反応は化合物(XI)の脱離基L(例えば、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン原子あるいはメタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ基等)を化合物(X)の−NH−基と反応させて化合物(Ib)またはその塩を得る反応である。
【0025】化合物(X)は遊離のままで用いてもよいが、塩たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのようなアルカリ金属塩等として反応に供してもよい。化合物(X)あるいはその塩1モルに対し化合物(XI)1ないし10モル好ましくは1ないし5モルを反応させる。通常、反応は溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン,クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロアミド等が好んで用いられる。塩基の添加は、反応を有利に進める。このような塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等が好適である。また、本反応では塩基を使用する代りに化合物(X)を例えば、前記のごときアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等に変換し、これを化合物(XI)と反応させてもよい。用いられる塩基の量は、用いられる化合物(X)、(XI)および溶媒の種類、その他の反応条件により異なるが、通常化合物(X)1モルに対し1ないし10モル、好ましくは1ないし5モルである。反応温度は約−50℃ないし100℃、好ましくは−30℃ないし80℃の範囲で行われる。反応時間は化合物(X)またはその塩の種類、化合物(XI)の種類、反応温度などによって異なるが、1ないし72時間、好ましくは1ないし24時間である。また、化合物(I)のうちRが置換されていてもよい炭化水素基である化合物は、Rが水素原子である対応する化合物を原料として式R−L〔記号は前記と同意義を示す。〕で表されるアルキル化剤を、前記の化合物(X)と(XI)の反応による(Ib)の製造と同様な方法により反応させることによっても製造することができる。
【0026】前記の方法■、■で製造される化合物(I)またはその塩がA環またはRで示される基中のベンゼン環、もしくはB環で示される芳香環に低級アルコキシ基を含む場合、必要によりこれを例えば三臭化ホウ素などと反応させることにより、水酸基に変換することもできる。本反応は通常溶媒(例えば、ジクロルメタン、クロロホ ルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエンなどのハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等)中で約−20℃ないし80℃、好ましくは約0℃ないし30℃で行われ、三臭化ホウ素の使用量は低級アルコキシ基1個に対し、約1ないし10モル当量、好ましくは約1ないし5モル当量である。反応時間は通常15分間ないし24時間、好ましくは30分間ないし12時間である。また、前記の方法■、■で製造される化合物(I)またはその塩がA環またはRで示される基中のベンゼン環、もしくはB環で示される芳香環に水酸基を含む場合、必要によりこれをアルキル化またはアシル化反応を行うことにより、それぞれアルコキシまたはアシルオキシ基に変換することができる。アルキル化反応は、溶媒(例えば、メタノール、エタノール、 プロパノールなどのアルコール類、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等)中、塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基)の存在下に、置換基を有していてもよいアルカンのハライド(例えば、クロリド、ブロミド、ヨーダイド等)、硫酸エステルまたはスルホン酸エステル(例えば、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート等)等のアルキル化剤を反応させることにより行われる。反応温度は通常−10℃ないし100℃、好ましくは約0℃ないし80℃である。これらアルキル化剤の使用量は原料フェノール性誘導体1モルに対し約1ないし5モル当量、好ましくは約1ないし3モル当量である。反応時間は通常15分間ないし24時間、好ましくは30分間ないし12時間である。
【0027】アシル化反応は所望のカルボン酸またはその反応性誘導体を反応させることにより行われる。本反応はアシル化剤の種類、原料フェノール性誘導体の種類によっても異なるが、通常溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロルメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N, N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等の炭化水素類、エーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、芳香族アミン類等)中で行われ、反応促進のため適宜の塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸 水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、トリエチルアミン等の3級アミン類、ピリジン等の芳香族アミン類等)を与えることもできる。カルボン酸の反応性誘導体としては、酸無水物、混 合酸無水物、酸ハライド(例えば、クロリド、ブロミド等)等が用いられる。これらアシル化剤の使用量は原料フェノール性誘導体1モルに対して1ないし5モル当量、好ましくは1ないし3モル当量である。反応温度は通常0℃ないし150℃、好ましくは約10℃ないし100℃である。反応時間は通常15分間ないし12時間、好ましくは30分間ないし6時間である。
【0028】以上の方法で化合物(I)が遊離の状態で得られる時は、常法に従って、例えば、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸等)、有機酸(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、フマール酸、マレイン酸、酒石酸等)等との塩とすることもでき、化合物(I)が塩の形で得られる時は、常法に従って、遊離形または他の塩に変換することもできる。以上の方法で得られる目的化合物(I)またはその塩は、それ自体公知の分離精製手段(例えば、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)を用いることにより精製、採取することができる。
【0029】本発明化合物(I)またはその塩を製造するために用いられる原料(II)またはその塩は、一部公知化合物を含むが、例えば以下の1)〜4)の方法あるいはそれらに準じた方法により、有利に製造することができる。
1)式
【化40】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(II−1)は例えば下記のA)、B)、C)およびD)の方法により製造できる。
A):カルボン酸誘導体(XII)を出発原料として反応式
【化41】


〔式中、R′、R″はカルボキシル基の保護基を、他の記号は前記と同意義を示す。〕で表される方法により化合物(II−1)は製造できる。上式においてカルボキシル基の保護基R′およびR″としては、例えば、メチル、エチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、ベンジルオキシメチル、tert−ブチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、アリル等のエステルを形成するタイプの保護基;例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、ジメチルフェニルシリル等のシリルエステルを形成するタイプの保護基等が挙げられる。
【0030】本方法ではまず化合物(XII)を式(XIII)L−CH2CO2R″〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表されるアルキル化剤と反応させ、アルキル化する。アルキル化反応は通常溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等)中で行われ、塩基(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムアミド、カリウム、t−ブトキシ等)の存在下に反応させることが好ましい。反応は通常約−10℃ないし100℃の温度で行うことができる。該アルキル体は保護基R′を除去し、脱炭酸反応に付すと化合物(II−1′)あるいは(II−1)に変換される。保護基R′の除去方法は用いる保護基の種類によって異なるが、たとえばR′がメチル、エチルなどの低級アルキル基の場合、加水分解反応により行われる。本加水分解反応は通常(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸等の有機酸等)中で鉱酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等)あるいは金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)の水溶液存在下に約15℃ないし130℃の温度で処理して行われる。この際、R″がR′と同様メチル、エチル等の低級アルキル基の場合にはR″も除去されてジカルボン酸として単離される場合もある。R′が除去されたカルボン酸は加熱により、脱炭酸反応が進み、化合物(II−1′)が得られる。この際、R′およびR″が共に除去されたジカルボン酸である場合には本脱炭酸反応により、直接、化合物(II−1)が得られる場合もある。本脱炭酸反応は通常溶媒(例えば、ピリジン、ピコリン、ベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸等)中で約40℃ないし200℃の温度で行われる。このようにして得られる化合物(II−1′)のR″は、その種類に応じた脱保護反応により除去され、化合物(II−1)へ変換できる。
【0031】B):化合物(XII)のカルボキシル基の保護基を除去した式
【化42】


で表されるカルボン酸(XV)から一般にアルント−アイステルト(Arndt-Eistert)反応と知られている反応〔アルント(F. Arndt)ら、ケミッシュ ベリヒテ(Chemische Berichte)、68巻、200頁(1935年発行)〕により、(XV)のカルボキシ基をジアゾメタンを用いて1炭素増加させると、化合物(II−1′)が得られる。化合物(II−1′)のカルボキシル基の保護基は前記A)に記載した方法と同様の方法により除去され、化合物(II−1)が得られる。
【0032】C):化合物(XV)のカルボキシル基を下式方法により段階的に1炭素増加させ、化合物(II−1)を得る方法である。
【化43】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕
本方法では、まずカルボキシル基を還元してアルコール体とする。本還元は、カルボキシル基をその反応性誘導体(例えば、酸ハライド、混合酸無水物、活性エステル、エステル等)に変換し、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等)と溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類等)中で、約0℃ないし100℃の反応温度で行われる。このようにして得られるアルコール体の水酸基を脱離基に変換(−OH→−L)する。脱離基Lとしてはハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素等)、C1-4アルカンスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ等)、C6-10アリールスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ等)等が好んで用いられる。該変換反応は通常溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等)中で行われ、例えば、塩化チオニル、臭化チオニル、塩化メタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル等と約0℃ないし100℃の温度で行われる。次いで、該化合物の脱離基は、ニトリル基に変換(−L→−CN)される。本反応は通常溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン等)中でシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅等のシアン化合物と0℃ないし100℃の温度で処理して行われる。このニトリル化合物を加水分解して化合物(II−1)のカルボン酸を製造する。本加水分解反応は通常溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸等)中で鉱酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等)あるいは金属の水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)の水溶液の存在下、約15℃ないし130℃の温度で行われる。
【0033】D):式
【化44】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物(XVI)を、化合物(XIII)を用いたアルキル化反応に付すことにより行われる。本反応は前記A)に記載した化合物(XII)から化合物(XIV)への変換に準じた方法により行われ、生成する化合物(II−1′)もA)に記載した方法と同様の方法により化合物(II−1)へ変換される。上記A)〜C)で用いられた原料化合物(XII)は種々の方法により製造できるが、例えば化合物(XII)のうちXが−CH2−である化合物は一般式
【化45】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物の3,4位の二重結合を還元することにより製造できる。
【0034】本反応は種々の方法により実施されるが、たとえば接触還元用金属触媒の存在下に還元する方法が好んで用いられる。この接触還元による方法で使用される触媒としては、例えば、白金黒、酸化白金、白金炭素等の白金触媒、パラジウム黒、酸化パラジウム、パラジウム硫酸バリウム、パラジウム炭素等のパラジウム触媒、還元ニッケル、酸化ニッケル、ラネーニッケル、漆原ニッケル等のニッケル触媒等が挙げられる。本反応は通常溶媒中で行なわれ、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸を溶媒として用いるか、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類が、前記有機酸、あるいはリン酸、硫酸、塩酸等の無機酸と共存下に溶媒として使用される。反応温度は0℃ないし200℃、好ましくは20℃ないし110℃で行なわれる。反応時間は通常0.5ないし48時間、好ましくは1ないし16時間である。反応は通常常圧下に行なわれるが必要により加圧下(3ないし10気圧)に行なわれる。触媒の使用量は触媒の種類により異なるが通常(XVII)に対して0.1ないし10%(w/w)である。本還元反応はまた不活性溶媒中で金属水素化物が用いても行われる。例えば、水素化リチウムアルミニウム等が好んで用いられる。反応溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、あるいはベンゼン、トルエン等の炭化水素類を単独、または混合物として用いることができる。反応温度は通常約−100℃ないし40℃、好ましくは約−80℃ないし25℃で行われる。反応時間は通常5分間ないし10時間、好ましくは10分間ないし5時間である。還元剤の使用量は化合物(XVII)に対し通常1ないし2当量である。また、化合物(XII)のうち、Xが−S−である化合物は公知の方法〔例えば梶野正博ら、ケミカル ファーマシュウティカル ブレティン(Chem. Pharm.Bull.),第39巻,2888−2895頁(1991年発行)〕またはそれに準じた方法により製造でき、同様の方法により、Xが−O−または−NR1−である化合物も製造できる。
【0035】2)化合物(II−1)のうち、Xが−O−である化合物および式
【化46】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物は公知の方法〔例えば舛岡 豊ら,ケミカル ファーマシュウティカル ブレティン(Chem. Pharm. Bull.),第34巻,130−139頁(1986年発行)〕またはそれに準じた方法により製造できる。
3)式
【化47】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物は公知の方法〔例えばエム・エス・マラマス(M. S. Malamas)ら、ジャーナル オブ メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.),第34巻,1492−1503頁(1991年発行)、あるいは藤森静芳ら、日本公開特許公報、平3−181469(1991年発行)〕またはそれに準じた方法により製造できる。
【0036】4)式(II−4)で表されるイソシアネート体は式(II)のうちZが−NH−または−CH2NH−である化合物に相当する。化合物(II−4)は対応する骨格を有する式
【化48】


〔式中の記号は前記と同意義を示す。〕で表されるカルボン酸誘導体のカルボキシル基をイソシアネート基に変換する方法により製造できる。この方法は文献上種々知られているが、化合物(II−5)に対してそのいずれの方法も応用できる。
【0037】例えばアジド化剤〔例えば、ジフェニルホスホリルアジド(以下、DPPAと略記する)など〕と化合物(II−5)とを反応させることにより化合物(II−5)の酸アジド体を製造することができる。本反応は通常、反応に不活な溶媒(例えば、エ チルエーテル、イソプ ロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラ ン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、ピリジン等の芳香族アミン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等)中で行うことができる。また塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン等)の存在下に反応を進めてもよい。反応時間は通常約5分間ないし12時間、好ましくは約10分間ないし6時間である。反応温度は通常約−10℃ないし150℃、好ましくは約−5℃ないし120℃である。アジド化剤(例えば、DPPA等)の使用量は化合物(II−5)に対して1ないし3モル当量、好ましくは1ないし2モル当量である。生成した酸アジドは自体公知の手段により単離精製することもできるが、通常単離することなくそのまま反応液を加熱し、イソシアネート体(II−4)に変換する。この変換反応はアジド化に用いたものと同様の溶媒を用いるのがよく、通常約20℃ないし200℃、好ましくは約30℃ないし150℃に加熱することにより行われる。反応時間は通常約5分間ないし10時間、好ましくは約5分間ないし6時間である。得られた化合物(II−4)は自体公知の手段で単離するか、または単離することなく化合物(Ia)を製造するための原料とすることができる。
【0038】本発明化合物(I)またはその塩に含まれる化合物(Ia)を製造するために用いられる原料化合物(IV)は、前記した化合物(II−4)のイソシアネート基をアミノ基に変換することにより製造できる。本工程は通常加水分解条件下に行なわれる。本反応は、例えば、溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、あるいはこれらの混合溶媒等)中、例えば、水酸化ナトリウ ム、水酸化バリウム等のアルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物を用いるアルカリ性条件下、あるいは、例えば、塩酸、臭酸、硫酸等の無機酸等を用いる酸性条件下に行なわれる。反応温度は通常約0℃ないし120℃、好ましくは約15℃ないし100℃である。反応時間は約30分間ないし36時間、好ましくは、約1時間ないし20時間である。原料化合物(II)のうち、Wおよび/またはXが−CS−である化合物は、化合物(II)のうちWおよび/またはXが−CO−である化合物を適当な硫化物と反応させることにより製造できる。この反応で用いられる硫化物としては例えば五硫化リン、ローソン(Lowesson)試薬等が挙げられる。この反応は、通常無水条件下、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等の溶媒中で行われる。用いられる硫化物の量は、当モル以上好ましくは2ないし5モルであり、反応温度は20℃ないし120℃の範囲で行われる。反応時間は原料化合物あるいは硫化物の種類、反応温度等によって異なるが、通常1ないし8時間である。前記本発明化合物(I)、(I')およびそれらの原料化合物の製造法において、原料化合物に置換基としてアミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基等の反応性基が含まれる場合には、必要に応じて、常法に従い保護基を導入したものを原料として用いることもできる。そして導入された保護基は、必要に応じて反応終了後に常法に従い脱保護反応に付すことによって除去し、目的物の化合物(I)、(II)またはそれらの合成中間体あるいはそれらの 塩を得ることもできる。このような保護基としては、例えばペプチドの分野で使用されるもの等が適宜採用され、なかでもアミノ基の保護基としては例えばホルミル、クロロアセチル、第三級ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、トリチル等が好ましい。ヒドロシル基の保護基としては、例えばクロロアセチル、ベンジル、p−ニトロベンジル、メチルチオメチル、メトキシメチル、トリメチルシリル、第三級ブチルジメチルシリル、2−テトラヒドロピラニル、4−メトキシ−4−テトラヒドロピラニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル等が用いられる。カルボキシル基の保護基としては、例えばベンジル、ベンツヒドリル、トリチル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、第三級ブチル、アリル等が用いられる。
【0039】前記の製造法において、原料化合物または合成中間体等にアミノ基またはカルボキシル基等が含まれる場合には、必要に応じて、常法に従い例えば無機酸(例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸等)、有機酸(例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸、フマール酸、マレイン酸、酒石酸等)、無機塩基(例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウムまたはアンモニウム等)または有機塩基(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミンまたはN,N'−ジベンジルエチレンジアミン等)等との塩とすることもできる。また前記各工程で得られる化合物は、自体公知の精製手段たとえば濃縮、液性変換、転溶、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、結晶化、再結晶などにより精製、採取してもよいし、混合物のまゝ各々次工程反応に使用してもよい。
【0040】化合物(I)またはその薬学的に許容しうる塩(例えば前記した無機または有機塩基との塩、または無機または有機酸との塩等)は優れたアシル−CoA :コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)の阻害作用を有し、かつ急性毒性、連続投与による毒性ともに弱く医薬として安全である。ACATは細胞内でのコレステロールの高級脂肪酸エステル化に関わる酵素で、コレステロールのエステルとして吸収、および末梢各臓器、細胞(例えば、動脈壁、マクロファージ等)等におけるコレステロールのエステルとしての蓄積に重要な役割を果たしていることが知られている。従ってACAT阻害作用物質は食餌性コレステロールの腸管からの吸収を阻害し、血中コレステロール値の上昇を抑制するとともに、動脈硬化巣における細胞内コレステロールエステルの蓄積を抑え、粥状硬化の進展を妨げることができる。よって、優れたACAT阻害作用を有する本発明化合物(I)またはその塩は、哺乳動物(例えばマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等) における高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、およびこれらに起因する疾患(例えば心筋梗塞等の虚血性心疾患および脳梗塞・脳卒中等の脳血管障害等)に対する安全な予防・治療剤として有用である。
【0041】また化合物(I)またはその塩の中には過酸化脂質の生成抑制作用(抗酸化作用)を示すものが含まれる(例えば、前記式(I)においてA環およびB環のうち少くともひとつがC1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基または水酸基で置換されたベンゼン環である化合物)。生体における脂質の過酸化は、動脈硬化症や脳及び心臓血管系における虚血性疾患の発症と深い関わりのあることが知られている。従ってACAT阻害作用と抗酸化作用を併せ持つ化合物(I)またはその塩は、血中コレステロール及び過酸化脂質の両面から、これらに起因する種々の血管病変を予防・治療することができるので医薬品としての有用性が高い。
【0042】式(I)で表わされる化合物またはその薬学的に許容しうる塩を前記の医薬品として用いる場合、適宜の薬理学的に許容され得る担体、賦形剤(例えばデンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等)、結合剤(例えば、デンプン、アラビヤゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等)、滑沢剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムタルク等)、崩壊剤(例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム、タルク等)、希釈剤(例えば生理食塩水等)等と混合し、常法により散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または注射剤などの形態で経口的または非経口的に投与することができるが、コレステロールの吸収阻害の目的に使用するときは経口的に投与することがより好ましい。投与量は化合物(I)またはその塩の種類、投与ルート、症状、患者の年令等によっても異なるが、例えば成人の高コレステロール血症患者に経口的に投与する場合、1日量は体重1kgあたり約0.005ないし50mg、好ましくは約0.05ないし10mg、さらに好ましくは約0.2ないし4mgで、この量を1日1ないし3回に分割投与するのが好ましい。
【0043】
【作用】この発明の化合物(I)またはその塩は優れたACAT阻害作用を有するが、以降にその薬理試験の結果を示す。
(1) アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害作用〔実験法〕酵素標本ACATはハイデル〔Heider〕らのジャーナル オブ リピッド リサーチ〔Journal of Lipid Research〕、24巻、1127頁(1982年)に記載の方法に従って、20時間絶食させた6週齢雄性スプレイグ−ドウリイ〔Sprague−Dawley 〕ラットの小腸粘膜ミクロゾーム画分から調製したACAT活性はヘルゲルート〔Helgerud〕らの方法(ジャーナル オブ リピッド リサーチ、22巻、271頁、1981年)に従って、〔1−14C〕オレオイル−CoAと内因性コレステロールからのラベル化コレステロールエステルの生成量を測定することによって算出した。
【0044】〔結果〕
(1) 〔表1〕には被験化合物(下記実施例1ないし29で得られた化合物のうち代表的化合物)を10-6M添加したときのラベル化コレステロールエステル生成阻害率(%)をACAT阻害作用の指標として示す。
【表1】


〔表1〕により化合物(I)またはその塩が優れたACAT阻害作用を持つことが示される。
【0045】
【実施例】本発明は、さらに下記の参考例、実施例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい参考例、実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特記しない場合はTLC(Thin Layer Chromatography、薄層クロマトグラフィー)による観察下に行われた。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60F254を、展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラムクロマトグラフィー用のシリカゲルはメルク社製のシリカゲル60(70−230メッシュ)を用いた。室温とあるのは通常約10℃から35℃を意味する。抽出液の乾燥には硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウムを用いた。実施例、参考例中の略号は以下を意味する。
DMF:ジメチルホルムアミド,THF:テトラヒドロフラン,Hz:ヘルツ,J:カップリング定数,m:マルチプレット,q:クワルテット,t:トリプレット,d:ダブレット,s:シングレット,b:ブロード,brs:ブロードシングレット
【0046】実施例1N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリル)ウレア1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリンカルボン酸(250mg)の無水ベンゼン(10ml)懸濁液にジフェニルホスホリルアジド(0.262ml)およびトリエチルアミン(0.143ml)を加え、室温で1時間、次いで加熱還流下2時間かきまぜた。この反応液(1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルキノリン−3−イソシアネートを含む)に2,6−ジイソプロピルアニリン(0.212ml)を加えて加熱還流下10時間かきまぜた。溶媒を留去し、残留物に酢酸エチルを加え、水、希塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水、および水で順次洗浄、乾燥後溶媒を留去すると標題化合物が無色結晶(138mg)として得られた。
融点 246−247℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.14-1.32(m,12H), 2.87(t,1H,J=14.0Hz), 3.26-3.40(m,2H), 3.60(dd,1H,J=5.8,14.8Hz), 4.68(dt,1H,J=4.4,13.2Hz), 5.44(brs,1H), 5.80(brs,1H), 6.36(dd,1H,J=2.8,6.8Hz), 7.02-7.52(m,12H)元素分析値 C283132・0.25H2Oとして計算値 C,75.39; H,7.00; N,9.42実測値 C,75.41; H,6.82; N,9.75実施例1の1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリン−3−カルボン酸の代わりに、対応する置換基を有する1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリン−3−カルボン酸を用いて、実施例1と同様に行うと実施例2ないし8の化合物が得られた。
【0047】実施例2N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリル)ウレア融点 198−199℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.07-1.39(m,12H), 2.76(t,1H,J=14.4Hz), 3.29-3.42(m,2H), 3.51(dd,1H,J=6.2,15.2Hz), 4.56-4.70(m,1H), 4.87(d,1H,J=16.0Hz), 5.33(d,1H,J=16.6Hz), 5.51(brs,1H), 6.02(brs,1H), 6.85(d,1H,J=8.0Hz),6.94-7.40(m,11H)元素分析値 C293332として計算値 C,76.45; H,7.30; N,9.22実測値 C,76.45; H,7.10; N,9.43実施例3N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−〔1−(2−クロロフェニル)メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリル〕ウレア融点 230−232℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.24(d,12H,J=6.8Hz), 2.80(t,1H,J=14.6Hz), 3.28-3.45(m,2H), 3.53(dd,1H,J=5.8,13.4Hz), 4.69(dt,1H,J=4.0,14.4Hz), 4.91(d,1H,J=17.2Hz), 5.46(d,1H,J=17.4Hz), 5.91(brs,1H), 5.93(brs,1H), 6.68(d,1H,J=8.4Hz), 6.86(d,1H,J=6.6Hz), 7.02-7.44(m,9H)元素分析値 C293232Cl・0.25H2Oとして計算値 C,70.43; H,6.52; N,8.50実測値 C,70.30; H,6.48; N,8.41実施例4N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−〔1−(3−クロロフェニル)メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリル〕ウレア融点 194−195℃(エチルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.12-1.38(m,12H), 2.76(t,1H,J=14.2Hz), 3.27-3.40(m,2H), 3.50(dd,1H,J=6.0,14.8Hz), 4.63(dt,1H,J=5.8,13.4Hz), 4.82(d,1H,J=16.2Hz), 5.29(d,1H,J=16.2Hz), 5.46(brs,1H), 6.00(brs,1H), 6.79(d,1H,J=8.0Hz), 6.96-7.40(m,10H)元素分析値 C293232Clとして計算値 C,71.08; H,6.58; N,8.57実測値 C,71.04; H,6.70; N,8.41
【0048】実施例5N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−〔1−(4−クロロフェニル)メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリル〕ウレア融点 212−214℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.12-1.38(m,12H), 2.75(t,1H,J=14.8Hz), 3.23-3.42(m,2H), 3.49(dd,1H,J=5.6,14.4Hz), 4.62(dt,1H,J=5.2,14.0Hz), 4.86(d,1H,J=16.0Hz), 5.26(d,1H,J=16.2Hz), 5.45(brs,1H), 5.91(brs,1H), 6.80(d,1H,J=7.4Hz), 6.98-7.40(m,10H)元素分析値 C293232Clとして計算値 C,71.08; H,6.58; N,8.57実測値 C,70.75; H,6.58; N,8.37実施例6N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリル)ウレア融点 205−206℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.12-1.38(m,12H), 2.25(s,3H), 2.72(t,1H,J=14.4Hz), 3.28-3.52(m,3H), 4.58(dt,1H,J=5.4,13.4Hz), 4.88(d,1H,J=16.2Hz), 5.27(d,1H,J=16.2Hz), 5.51(brs,1H), 5.85(brs,1H), 6.73(d,1H,J=8.4Hz), 6.91(d,1H,J=7.4Hz), 7.01(s,1H), 7.08-7.40(m,8H)元素分析値 C303532として計算値 C,76.73; H,7.51; N,8.95実測値 C,76.38; H,7.50; N,8.96
【0049】実施例7N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(6−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリル)ウレア融点 217−220℃(エチルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.24(d,12H,J=7.2Hz), 2.73(t,1H,J=14.6Hz), 3.24-3.51(m,3H), 4.59(dt,1H,J=5.2,14.0Hz), 4.88(d,1H,J=16.0Hz), 5.26(d,1H,J=16.6Hz), 5.42(brs,1H), 6.21(brs,1H), 6.76(d,1H,J=8.8Hz), 7.02-7.19(m,10H)元素分析値 C293232Clとして計算値 C,71.08; H,6.58; N,8.57実測値 C,70.96; H,6.44; N,8.66実施例8N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリル)ウレア融点 247−248℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.11-1.38(m,12H), 2.70(t,1H,J=13.8Hz), 3.24-3.40(m,2H), 3.49(dd,1H,J=6.0,14.8Hz), 4.59(dt,1H,J=5.0,14.2Hz), 4.87(d,1H,J=16.8Hz), 5.26(d,1H,J=16.4Hz), 5.44(brs,1H), 5.79(brs,1H), 6.85(d,1H,J=1.8Hz), 6.97(dd,1H,J=1.8,8.0Hz), 7.10-7.38(m,9H)元素分析値 C293232Clとして計算値 C,71.08; H,6.58; N,8.57実測値 C,70.97; H,6.54; N,8.47
【0050】実施例9N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリンアセタミド1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリン酢酸(250mg)の無水THF(10ml)溶液に塩化オキザリル(0.111ml)およびDMF(1滴)を室温で加え、1時間かきまぜた。溶媒を留去し、残留物を無水THF(8ml)に溶解した。この溶液に2,6−ジイソプロピルアニリン(0.184ml)およびトリエチルアミン(0.186ml)の無水THF(20ml)溶液を加えて室温で15時間かきまぜた。溶媒を留去し、残留物に酢酸エチルを加え、水、希塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水、および水で順次洗浄、乾燥後溶媒を留去すると標題化合物が無色結晶(176mg)として得られた。
融点 198−200℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.17(d,6H,J=6.8Hz), 1.18(d,6H,J=6.8Hz), 2.82(dd,1H,J=3.4,13.8Hz), 3.00-3.38(m,6H), 6.38-6.43(m,1H), 7.00-7.30(m,8H),7.38-7.58(m,3H), 8.00(brs,1H)元素分析値 C293222として計算値 C,79.06; H,7.32; N,6.36実測値 C,78.81; H,7.48; N,6.37
【0051】実施例10N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリンアセタミドN−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリンアセタミド(200mg)のDMF(5ml)溶液に水素化ナトリウム(60%油状)(28.5mg)を加えて室温で30分間かきまぜた。この混合物にベンジルブロミド(0.085ml)を氷水冷却下加え、次いで室温で2.5時間かきまぜた。反応液を濃縮し、残留物に酢酸エチルを加えて、水洗、乾燥後、溶媒を留去した。残留物をシリカゲル(20g)を用いるカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル=5:1)で分離、精製すると標題化合物が無色結晶(132mg)として得られた。
融点 184−185℃NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=7.0Hz), 2.77(dd,1H,J=3.8,13.8Hz), 3.00-3.42(m,6H), 4.88(d,1H,J=16.6Hz), 5.52(d,1H,J=16.6Hz), 6.90(d,1H,J=8.0Hz), 6.98-7.38(m,11H), 7.99(brs,1H)元素分析値 C303422として計算値 C,79.26; H,7.54; N,6.16実測値 C,79.27; H,7.71; N,6.33実施例9の1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルキノリン−3−酢酸の代わりに、対応する置換基を有する1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソキノリン−3−酢酸を用いて、実施例9と同様に行うと実施例11−14の化合物が得られた。
実施例11N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−(4−メトキシフェニル)メチル−2−オキソ−3−キノリンアセタミド融点 144−146℃(イソプロピルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=6.8Hz), 2.76(dd,1H,J=3.8,14.0Hz), 3.00-3.34(m,6H), 3.78(s,3H), 4.85(d,1H,J=16.0Hz), 5.44(d,1H,J=16.0Hz),6.85(d,2H,J=8.8Hz), 6.90(d,1H,J=8.4Hz), 7.04(d,1H,J=7.4Hz), 7.10-7.38(m,7H), 7.99(brs,1H)元素分析値 C313623として計算値 C,76.83; H,7.49; N,5.78実測値 C,76.57; H,7.38; N,5.90
【0052】実施例12N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリンアセタミド融点 128−130℃(エチルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.17(d,12H,J=7.0Hz), 2.25(s,3H), 2.70-2.84(m,1H), 2.96-3.30(m,6H), 4.88(d,1H,J=16.0Hz), 5.48(d,1H,J=16.6Hz), 6.78(d,1H,J=8.2Hz), 6.90-7.38(m,10H), 8.10(brs,1H)元素分析値 C313622として計算値 C,79.45; H,7.74; N,5.98実測値 C,79.47; H,7.99; N,5.77実施例13N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−6−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3−キノリンアセタミド融点 194−196℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=7.0Hz), 2.75(dd,1H,J=4.2,14.0Hz), 2.99-3.26(m,6H), 4.90(d,1H,J=16.6Hz), 5.46(d,1H,J=16.4Hz), 6.81(d,1H,J=8.8Hz), 7.08-7.39(m,11H), 7.76(brs,1H)元素分析値 C303322Clとして計算値 C,73.68; H,6.80; N,5.73実測値 C,73.60; H,6.66; N,5.99
【0053】実施例14N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1−シクロヘキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリンアセタミド融点 192−193℃(イソプロピルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:0.98-1.80(m,11H), 1.19(d,12H,J=6.8Hz), 2.60-2.78(m,1H), 2.91-3.18(m,6H), 3.76-3.98(m,2H), 6.97-7.35(m,7H), 8.03(brs,1H)元素分析値 C304022として計算値 C,78.22; H,8.75; N,6.08実測値 C,78.18; H,8.50; N,6.36実施例15N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1−〔(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルメチル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−3−キノリンアセタミド1−〔(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニルメチル〕−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソキノリン−3−酢酸(221mg),2,6−ジイソプロピルアニリン(0.092ml)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物(116mg)の無水アセトニトリル(6ml)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(146mg)およびトリエチルアミン(0.125ml)の無水アセトニトリル(4ml)懸濁液を0℃で加え、室温で16時間かきまぜた。反応液に酢酸エチルを加え、水で洗浄、乾燥後溶媒を留去した。残留物をシリカゲル(20g)を用いるカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル=5:1)で分離、精製すると標題化合物が無色結晶(46mg)として得られた。
融点 121−124℃(エチルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=7.0Hz), 2.18(s,9H), 2.66-2.79(m,1H), 2.98-3.24(m,6H), 4.47(d,1H,J=17.2Hz), 4.73(d,1H,J=17.4Hz), 6.78(d,1H,J=8.4Hz), 7.00-7.39(m,6H), 7.79(brs,1H)元素分析値 C293824・0.5H2Oとして計算値 C,71.42; H,7.85; N,5.74実測値 C,71.62; H,8.07; N,5.76
【0054】実施例16N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリルメチル)ウレア1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリン−3−酢酸(250mg)の無水ベンゼン(10ml)懸濁液にジフェニルホスホリルアジド(0.249ml)およびトリエチルアミン(0.136ml)を加え、室温で1時間、次いで加熱還流下2時間かきまぜた。この反応液(1,2,3,4−テトラヒドロ−2−オキソ−1−フェニル−3−キノリルメチルイソシアネートを含む)に2,6−ジイソプロピルアニリン(0.201ml)を加えて加熱還流下10時間かきまぜた。溶媒を留去し、残留物に酢酸エチルを加え、水、希塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水、および水で順次洗浄、乾燥後溶媒を留去すると標題化合物が無色結晶(172mg)として得られた。
融点 241−243℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.17(d,12H,J=7.0Hz), 2.79-2.94(m,1H), 2.99-3.08(m,2H), 3.16-3.32(m,2H), 3.50-3.84(m,2H), 5.03(brs,1H), 5.65(brs,1H),6.32(dd,1H,J=2.2,7.0Hz), 6.98-7.52(m,11H)元素分析値 C293332として計算値 C,76.45; H,7.30; N,9.22実測値 C,76.32; H,7.69; N,9.18実施例17N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−アセタミド3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例9と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 219−220℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.16(d,6H,J=4.2Hz), 1.19(d,6H,J=4.4Hz), 2.80-3.04(m,2H), 3.06-3.30(m,2H), 4.14(dd,1H,J=5.4,7.6Hz), 5.08(d,1H,J=16.4Hz), 5.42(d,1H,J=16.2Hz), 6.82(t,2H,J=7.4Hz), 6.90-7.47(m,11H)元素分析値 C293222S・0.2H2Oとして計算値 C,73.14; H,6.77; N,5.88実測値 C,73.15; H,6.90; N,6.14
【0055】実施例18N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−3,4−ジヒドロ−6−メチル−3−オキソ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−アセタミド3,4−ジヒドロ−6−メチル−3−オキソ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例9と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 183−184℃(エチルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.16(d,6H,J=6.6Hz), 1.18(d,6H,J=6.6Hz), 2.24(s,3H), 2.83(dd,1H,J=5.4,11.6Hz), 3.03-3.27(m,3H), 4.04-4.16(m,1H), 5.08(d,1H,J=18.6Hz), 5.37(d,1H,J=16.6Hz), 6.78-6.90(m,2H), 7.10-7.43(m,10H)元素分析値 C303422Sとして計算値 C,74.04; H,7.04; N,5.76実測値 C,73.92; H,7.11; N,6.04実施例19N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジニルメチル)ウレア3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例16と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 185−187℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.17(d,12H,J=6.8Hz), 3.18-3.38(m,2H), 3.65-3.80(m,1H), 3.90-4.08(m,1H), 4.58(t,1H,J=5.4Hz), 4.80(brs,1H), 4.88(d,1H,J=16.0Hz), 5.24(d,1H,J=16.0Hz), 5.77(brs,1H), 6.79-6.92(m,4H), 7.12-7.38(m,8H)元素分析値 C293333として計算値 C,73.86; H,7.05; N,8.91実測値 C,73.87; H,6.83; N,9.15
【0056】実施例20N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−アセタミド3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例9と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 153−154℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.20(d,12H,J=7.0Hz), 2.70(dd,1H,J=3.6,14.6Hz), 2.84(dd,1H,J=8.6,14.2Hz), 3.07-3.24(m,2H), 3.25(dd,1H,J=7.4,12.4Hz), 3.41(dd,1H,J=2.8,12.0Hz), 4.47(s,2H), 4.66-4.80(m,1H), 6.62-6.88(m,4H), 7.14-7.40(m,8H)元素分析値 C293422として計算値 C,78.70; H,7.74; N,6.33実測値 C,78.42; H,7.71; N,6.55実施例20と同様に、対応する置換基を有する2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−酢酸とアニリン誘導体を用いて、実施例9と同様な方法で行うと後記実施例21ないし24の化合物が得られた。
実施例21N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−アセタミド融点 188−189℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.20(d,12H,J=7.0Hz), 2.69(dd,1H,J=4.0,15.9Hz), 2.80(dd,1H,J=7.8,14.8Hz), 3.05-3.21(m,2H), 3.28(dd,1H,J=7.6,11.8Hz), 3.41(dd,1H,J=2.8,12Hz), 4.46(s,2H), 4.62-4.78(m,1H), 6.58-6.78(m,3H), 7.16-7.40(m,8H)元素分析値 C293322Clとして計算値 C,73.02; H,6.97; N,5.87実測値 C,72.70; H,6.89; N,6.12
【0057】実施例226−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−N−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−アセタミド融点 148−150℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:2.69(dd,1H,J=6.2,15.0Hz), 2.82(dd,1H,J=6.8,14.8Hz), 3.34(dd,1H,J=6.4,12.0Hz), 3.48(dd,1H,J=2.2,12.4Hz), 3.75(s,6H), 3.80(s,3H), 4.46(s,2H), 4.55-4.68(m,1H), 6.14(s,2H), 6.52-6.78(m,3H), 6.88(brs,1H), 7.18-7.40(m,5H)元素分析値 C262725Clとして計算値 C,64.66; H,5.63; N,5.80実測値 C,64.11; H,5.59; N,6.05実施例236−クロロ−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−アセタミド融点 124−125℃(ジイソプロピルエーテルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:2.65(dd,1H,J=4.4,15.2Hz), 2.81(dd,1H,J=8.2,15.2Hz), 3.23(dd,1H,J=7.4,12.4Hz), 3.37(dd,1H,J=2.6,12.0Hz), 4.44(s,2H), 4.58-4.68(m,1H), 6.60-6.75(m,2H), 6.75-6.95(m,3H), 7.20-7.42(m,5H), 8.14(brs,1H), 8.15-8.35(m,1H)元素分析値 C231922ClF2として計算値 C,64.41; H,4.47; N,6.53実測値 C,64.23; H,4.40; N,6.34
【0058】実施例24N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−3,4−ジヒドロ−6−メチル−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−アセタミド融点 160−163℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.20(d,12H,J=6.8Hz), 2.22(s,3H), 2.66(dd,1H,J=3.4,14.6Hz), 2.83(dd,1H,J=8.6,15.0Hz), 3.06-3.29(m,3H), 3.37(dd,1H,J=2.6,11.6Hz), 4.46(s,2H), 4.60-4.78(m,1H), 6.48(d,1H,J=7.6Hz), 6.58(s,1H),6.72(d,1H,J=7.8Hz), 7.14-7.40(m,9H)元素分析値 C303622・0.5H2Oとして計算値 C,77.38; H,7.79; N,6.02実測値 C,77.25; H,7.74; N,6.03実施例25N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−N’−(6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジニルメチル)ウレア6−クロロ−3,4−ジヒドロ−4−フェニルメチル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例16と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 198−200℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.15(d,12H,J=7.0Hz), 3.08−3.38(m,5H), 3.52−3.70(m,1H), 4.10−4.24(m,1H), 4.38(s,2H), 4.62(brs,1H), 5.74(brs,1H), 6.52(s,2H), 6.61(s,1H), 7.18−7.40(m,8H)
元素分析値 C293432Clとして計算値 C,70.79; H,6.96; N,8.54実測値 C,70.64; H,7.08; N,8.44
【0059】実施例26N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリンアセタミド1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリン酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例9と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 212−217℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.17(d,12H,J=6.8Hz), 2.99-3.15(m,2H), 4.34(s,2H), 4.68(s,2H), 5.19(s,2H), 6.79(d,1H,J=8.0Hz), 6.98-7.38(m,11H), 8.18(brs,1H)元素分析値 C293332として計算値 C,76.45; H,7.30; N,9.22実測値 C,76.65; H,7.19; N,8.93実施例27N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−6−クロロ−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリンアセタミド6−クロロ−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリン酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例9と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 222−223℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=7.0Hz), 2.98-3.14(m,2H), 4.31(s,2H), 4.65(s,2H), 5.16(s,2H), 6.69(d,1H,J=9.2Hz), 7.06-7.39(m,10H), 8.07(brs,1H)元素分析値 C293232Clとして計算値 C,71.08; H,6.58; N,8.57実測値 C,70.90; H,6.59; N,8.60
【0060】実施例286−クロロ−1,4−ジヒドロ−N−(2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリンアセタミド6−クロロ−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリン酢酸と2,6−ジメトキシアニリンを用いて、実施例9と同様な方法で行うと標題化合物が得られた。
融点 173−175℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:3.79(s,6H), 4.31(s,2H), 4.60(s,2H), 5.14(s,2H), 6.58(d,2H,J=8.4Hz), 6.65(d,1H,J=8.0Hz), 7.00-7.32(m,8H), 7.59(brs,1H)元素分析値 C252434Clとして計算値 C,64.45; H,5.19; N,9.02実測値 C,64.22; H,5.20; N,9.28実施例29N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−6−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリンアセタミド6−クロロ−1,4−ジヒドロ−2,4−ジオキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリン酢酸と2,6−ジイソプロピルアニリンを用いて、実施例9と同様な方法行うと標題化合物が得られた。
融点 290−291℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.16(d,12H,J=5.0Hz), 3.10-3.25(m,2H), 5.04(s,2H), 5.38(s,2H), 6.79-7.52(m,10H), 8.22(d,1H,J=2.6Hz)元素分析値 C293033Clとして計算値 C,69.11; H,6.00; N,8.34実測値 C,68.85; H,6.15; N,8.44実施例30〜40においては、各々の実施例化合物に対応する置換基を有する1,4−ジヒドロ−2−オキソ−3(2H)−キナゾリン酢酸およびアニリンを出発原料として用いて、実施例9と同様な方法により反応、処理して目的化合物を得た。
実施例306−クロロ−N−(2,6−ジエトキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 205−209℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.34(t,6H,J=6.6Hz), 4.03(q,4H,J=7.0Hz), 4.32(s,2H), 4.61(s,2H), 5.14(s,2H), 6.54(d,2H,J=8.4Hz), 6.64(d,2H,J=10.0Hz),7.00-7.30(m,8H), 7.59(bs,1H)実施例316−クロロ−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−N−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 199−202℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:4.30(s,2H), 4.59(s,2H), 5.15(s,2H), 6.66-6.80(m,3H), 7.04-7.12(m,2H), 7.18-7.38(m,5H), 8.20(bs,1H)実施例32N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−7−クロロ−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−1−フェニルメチル−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 252−253℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.17(d,12H,J=6.8Hz), 2.94-3.16(m,2H), 4.32(s,2H), 4.65(s,2H), 5.15(s,2H), 6.78(s,1H), 6.96-7.08(m,2H), 7.13-7.38(m,8H), 8.07(bs,1H)実施例33N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1−(4−メチルフェニル)メチル−2−オキソ−1−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 263−265℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=6.8Hz), 2.30(s,3H), 2.96-3.12(m,2H), 4.31(s,2H), 4.63(s,2H), 5.11(s,2H), 6.70(d,1H,J=9.4Hz), 7.00-7.32(m,9H), 8.10(bs,1H)実施例346−クロロ−1,4−ジヒドロ−N−(2,6−ジメトキシフェニル)−1−(4−メチルフェニル)メチル−2−オキソ−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 182−184℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:2.30(s,3H), 3.80(s,6H), 4.32(s,2H), 4.59(s,2H), 5.11(s,2H), 6.59(d,2H,J=8.4Hz), 6.68(d,1H,J=9.2Hz), 7.04-7.25(m,7H),7.61(bs,1H)実施例356−クロロ−N−(2,6−ジエトキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−1−(4−メチルフェニル)メチル−2−オキソ−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 222−223℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.34(t,6H,J=7.0Hz), 2.30(s,3H), 4.04(q,4H,J=7.0Hz), 4.32(s,2H), 4.61(s,2H), 5.10(s,2H), 6.55(d,2H,J=8.4Hz), 6.67(d,1H,J=9.2Hz), 7.02-7.18(m,7H), 7.60(bs,1H)実施例366−クロロ−1,4−ジヒドロ−1−(4−メチルフェニル)メチル−2−オキソ−N−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 237−238℃(酢酸エチル−メタノールから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:2.31(s,3H), 4.29(s,2H), 4.58(s,2H), 5.11(s,2H), 6.68-6.80(m,3H), 7.04-7.14(m,6H), 8.22(bs,1H)実施例37N−〔2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル〕−6−クロロ−1−(4−クロロフェニル)メチル−1−1,4−ジヒドロ−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 285−287℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.18(d,12H,J=7.0Hz), 2.96-3.12(m,2H), 4.31(s,2H), 4.65(s,2H), 5.12(s,2H), 6.64(d,1H,J=9.4Hz), 7.18-7.32(m,9H), 8.00(bs,1H)実施例386−クロロ−1−(4−クロロフェニル)メチル−1,4−ジヒドロ−N−(2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 230−232℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:3.80(s,6H), 4.31(s,2H), 4.60(s,2H), 5.10(s,2H), 6.52-6.60(m,3H), 7.02-7.30(m,7H), 7.52(bs,1H)実施例396−クロロ−1−(4−クロロフェニル)メチル−N−(2,6−ジエトキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 216−218℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:1.34(t,6H,J=7.0Hz), 4.04(q,4H,J=7.0Hz), 4.30(s,2H), 4.61(s,2H), 5.09(s,2H), 6.50-6.62(m,3H), 7.04-7.28(m,7H), 7.54(bs,1H)実施例406−クロロ−1−(4−クロロフェニル)メチル−1,4−ジヒドロ−2−オキソ−N−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−3−3(2H)−キナゾリンアセタミド融点 206−207℃(酢酸エチルから再結晶)
NMR(200MHz,CDCl3)ppm:4.28(s,2H), 4.59(s,2H), 5.10(s,2H), 6.60−6.80(m,3H), 7.08−7.20(m,4H), 7.24−7.32(m,2H), 7.54(bs,1H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式
【化1】


で表される化合物またはその塩。
【請求項2】A環が、(i)ハロゲン、(ii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)C1-6アルコキシ基、(iv)水酸基、(v)C1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基および(vi)C1-3アシルオキシ基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよいベンゼン環である請求項1記載の化合物。
【請求項3】A環が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基およびハロゲノ−C1-4アルキル基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていても よいベンゼン環である請求項1記載の化合物。
【請求項4】A環が、式
【化2】


〔式中、A1およびA2は同一または相異なって水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基またはハロゲノ−C1-4アルキル基を示す。〕で表される置換されていてもよいベンゼン環である請求項1記載の化合物。
【請求項5】B環が、(i)ハロゲン、(ii)ハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル基、(iii)C1-6アルコキシ基、(iv)水酸基、(v)C1-4アルキル基で置換されていてもよいアミノ基および(vi)C1-3アシルオキシ基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよい芳香環である請求項1記載の化合物。
【請求項6】B環が、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ジ−C1-4アルキルアミノ基、C1-3アシルオキシ基および水酸基より選ばれた1ないし4個の置換基で置換されていてもよい芳香環である請求項1記載の化合物。
【請求項7】芳香環が(1)ベンゼン環、(2)ピリジン環、(3)ピラジン環、(4)ピリミジン環または(5)ピリダジン環である請求項1、5または6記載の化合物。
【請求項8】B環が、式
【化3】


〔式中、B1、B2およびB3は同一または相異なって水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、ジ−C1-4アルキルアミノ基を示す。〕で表される置換されていてもよいベンゼン環である請求項1記載の化合物。
【請求項9】Rが置換されていてもよいフェニル−C1-4アルキル基である請求項1記載の化合物。
【請求項10】式
【化4】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、他の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩である請求項1記載の化合物。
【請求項11】式
【化5】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、X1は−O−または−S−を、Z1は−CH2−または−CH2NH−を、他の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩である請求項1記載の化合物。
【請求項12】式
【化6】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、Z1は−CH2−または−CH2NH−を、他の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩である請求項1記載の化合物。
【請求項13】式
【化7】


〔式中、B’環は置換されていてもよいベンゼン環を、X2は−CH2−または−CO−を、他の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩である請求項1記載の化合物。
【請求項14】 式
【化8】


〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩あるいはそのカルボキシル基の反応性誘導体と式
【化9】


〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩と反応させることを特徴とする、式
【化10】


〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩の製造法。
【請求項15】式
【化11】


〔式中、nは0または1を示し、他の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩と式
【化12】


〔式中の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする、式
【化13】


〔式中、Z′は−NH−または−CH2NH−を、他の記号は請求項1記載と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩の製造法。
【請求項16】 式
【化14】


で表される化合物またはその塩を含有するアシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤。

【特許番号】特許第3524133号(P3524133)
【登録日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【発行日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−2273
【出願日】平成6年1月14日(1994.1.14)
【公開番号】特開平6−263736
【公開日】平成6年9月20日(1994.9.20)
【審査請求日】平成12年11月8日(2000.11.8)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【参考文献】
【文献】米国特許2863864(US,A)
【文献】J.Prakt.Chem.,1985年,Vol.327, No.5,p.789−798
【文献】Tetrahedron,1986年,Vol.42, No.10,p.2731−2738
【文献】Indian J.Chem.,Sect.B,1991年,Vol.30B, No.5,p.535−536
【文献】J.Am.Chem.Soc.,1959年,Vol.81,p.1721−1726
【文献】Izv.Vyssh.Ucheb.Zaved.,Khim.Tekhnol.,1972年,Vol.15, No.9,p.1361−1363
【文献】Khim.Geterotsikl.Soedin.,1973年,No.2,p.264−266