説明

吸収体の製造方法

【課題】密度が明確に異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体の製造方法を提供すること。
【解決手段】堆積工程においては、下記A)〜C)の全てを満たす凹部22内に吸収体原料を堆積させ、プレス工程においては、凹部22から離型した堆積体32を加圧し、密度が相異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体を得る。A)凹部22の底面は、相対的に強い吸引を行う強吸引部23と相対的に弱い吸引を行う弱吸引部24とを含んで構成され、且つ強吸引部23が弱吸引部24で挟まれている部分を有している。B)弱吸引部24の外周面21からの深さが、強吸引部24の外周面21からの深さよりも浅い。C)強吸引部23は多孔性プレート26からなり、弱吸引部24は、多孔性プレート26に比して通気性の低い低通気性部材28が多孔性プレート26上に配置されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の製造においては、空気流に乗せて供給した吸収体原料(解繊パルプ等の繊維材料、高吸収性ポリマーの粒子等)を、回転ドラムの外周面に形成された凹部の底面からの吸引により該凹部内に堆積させ、該凹部内に堆積した堆積体を、そのまま、あるいは透水性のシート材で被覆して吸収体として用いることが行われている。前記凹部の底面は、通常、通気性の多孔性プレート等で形成されている。
【0003】
このような凹部を有する回転ドラムを用いた吸収体の製造に関し、本出願人は、先に、高密度部と低密度部を有し密度の異なる吸収体の製造方法を提案した(特許文献1及び2参照)。例えば特許文献1には、凹部として、多孔性プレートからなる底面が凹凸を有するものを用いた、吸収体の製造方法が記載されている。また特許文献2には、凹部の底面に、該凹部が開口する表面(回転ドラムの外周面)からの深さが異なる複数の吸引領域を設け、各吸引領域毎に該底面に対する総吸引孔の開口率を異ならせ、相対的に深い方の吸引領域の開口率を、浅い方の吸引領域の開口率よりも高くする技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、吸収体の原料を堆積させる凹部の底面に、吸引部としての有孔領域に加えて、該底面からの吸引を行わない非吸引部としての無孔領域を設け、両領域に堆積させる粉粒体の量を異ならせることによって、粉粒体の坪量が相異なる複数の領域を有する吸収体を製造する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献4には、吸収体の原料の堆積面を形成するメッシュ状のウェブ層の下方(該原料の非堆積面側)に、複数の開口部を有するスペーサーシート部材及びガス流量制御層が順次積層された回転ドラムを用いて、吸収体を製造する技術が記載されている。このウェブ層における、1つの吸収体に相当する領域の中央部には、凹部が形成されていると共に、前記スペーサーシート部材及び前記ガス流量制御層それぞれにおける、該凹部に対応する部位には、該ウェブ層への積層時に該凹部が挿入可能な部位(切込み開口部あるいは端部)が形成されており、特許文献4に記載の技術によれば、該凹部に対応する領域が他の領域に比して高い坪量を有する、吸収体が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−136899号公報
【特許文献2】特開2000−234255号公報
【特許文献3】特開2009−232959号公報
【特許文献4】特開昭62−206071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、凹部の底面として、凹凸を有する多孔性プレートを用いるところ、このような凹凸を有する多孔性プレートは加工が容易とは言い難い。また、特許文献1に記載の技術は、特許文献2に記載の如き、形状(密度分布パターン)が比較的簡単な吸収体、例えば吸収体の長手方向中央を基準として一端側が他端側に比して低密度となっている吸収体の製造には好適であるが、形状がより複雑な吸収体の製造には適用し難い。
【0008】
特許文献3に記載の技術は、凹部の底面からの吸引を行わない非吸引部としての無孔領域を用いるところ、該底面における無孔領域の占める割合を大きくすると、吸収体原料が全く堆積されない部分が形成されてしまい、成形可能な吸収体の形状に制限がある。また、有孔領域(吸引部)と無孔領域とが同一平面上にあるため、有孔領域と無孔領域との境界部では吸収体原料の堆積量がなだらかに変化し、明確な密度差のある形状を成形できない。また、特許文献4に記載の技術は、装置構成、特に、凹部の底面に吸収体原料の吸引力の強弱を付与するための構成が複雑で、効率良く吸収体を製造する方法としては採用し難い面がある。
【0009】
従って、本発明は、密度が明確に異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体を効率良く製造することのできる吸収体の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、空気流に乗せて供給した吸収体原料を、回転ドラムの外周面に設けた凹部の底面からの吸引により該凹部内に堆積させる堆積工程、該凹部内から離型した堆積体を加圧し圧縮するプレス工程を具備する吸収体の製造方法であって、前記堆積工程においては、下記A)〜C)の全てを満たす前記凹部内に前記吸収体原料を堆積させ、前記プレス工程においては、前記凹部から離型した堆積体を加圧し、密度が相異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体を得る、吸収体の製造方法を提供するものである。
A)前記凹部の底面は、相対的に強い吸引を行う強吸引部と相対的に弱い吸引を行う弱吸引部とを含んで構成され、且つ該強吸引部が該弱吸引部で挟まれている部分を有している。
B)前記弱吸引部の前記回転ドラムの外周面からの深さが、前記強吸引部の該外周面からの深さよりも浅い。
C)前記強吸引部は多孔性プレートからなり、前記弱吸引部は、該多孔性プレートに比して通気性の低い低通気性部材が該多孔性プレート上に配置されて構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸収体の製造方法によれば、密度が明確に異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の吸収体の製造方法の実施に用い得る吸収体の製造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す装置における回転ドラムの外周部の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す装置における回転ドラムの外周部の一部を示す図であり、図3(a)は、外周部の展開図、図3(b)は、図3(a)のI−I線断面図である。
【図4】図4は、吸収体原料を堆積させた凹部の断面を示す断面図〔図3(b)対応図〕である。
【図5】図5(a)は、図1に示す装置の凹部から離型した堆積体を示す斜視図、図5(b)は、同堆積体のII−II線断面図、図5(c)は、図5(a)に示す堆積体を加圧圧縮して得られる吸収体の図5(b)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明について、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収体の製造方法の実施に用い得る製造装置の一例が示されている。図1に示す吸収体の製造装置1は、矢印R2方向に回転駆動される回転ドラム2と、回転ドラム2の外周面に吸収体原料(パルプ等の繊維材料や吸収性ポリマー等)を供給するダクト4と、回転ドラム2の斜め下方に配置され、矢印R5方向に回転駆動されるトランスファーロール5と、トランスファーロール5の下方に配されたバキュームコンベア6と、プレス装置7と、切断装置8とを備えている。製造装置1においては、更に、バキュームボックス11が、回転ドラム2の周方向におけるダクト4とトランスファーロール5との間に設けられおり、メッシュベルト13が、バキュームボックス11と回転ドラム2との間及びトランスファーロール5と回転ドラム2との間を通るように配されており、風除けプレート15が、トランスファーロール5の外周面に近接させて設けられている。
【0014】
回転ドラム2は、図1に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて水平軸回りを回転する。回転ドラム2は、図3に示すように、その外周面21に、吸収体原料を堆積させる複数の凹部22を有している。回転ロール2の凹部22は、回転ドラム2の周方向(2X方向)に所定の間隔で複数形成されている。図3中、2X方向が回転ドラム2の周方向、2Y方向が回転ドラム2の幅方向(回転ドラム2の回転軸と平行な方向)である。
【0015】
回転ドラム2は、図2及び図3に示すように、金属製の剛体からなる円筒状のフレーム体25と、フレーム体25の外面側に重ねて固定された多孔性プレート26と、多孔性プレート26の外面側に重ねて固定されたパターン形成プレート27とを有する。多孔性プレート26及びパターン形成プレート27等の固定手段としては、ボルトや接着剤等の各種公知の固定方法を特に制限なく用いることができる。
【0016】
フレーム体25は、梯子を環状にして上下端を連結したような形状を有し、凹部22に対応する箇所のそれぞれに内外面を貫通する連通孔25aを有している。多孔性プレート26は、多数の細孔を有し、空気流に乗せて供給された吸収体原料を透過させずに空気のみを透過させ得るものである。多孔性プレート26としては、この種の積繊装置に従来用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、金属又は樹脂製のメッシュプレートや、金属又は樹脂製の板にエッチングやパンチングで多数の細孔を形成したもの等を用いることができる。
【0017】
パターン形成プレート27は、回転ドラム2の外周面21を形成する外面27aと、回転ドラム2の回転軸側に向けられる内面27bとを有し、外面27aと内面27bとの間に、凹部22内の立体形状に対応する形状の空間を有している。パターン形成プレート27としては、この種の積繊装置に従来用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、ステンレスやアルミなどの金属又は樹脂製の板に機械加工を施し開口部を形成したプレートや、金型を用いて開口部を一体成形したプレートや、パンチングやエッチングしたものを重ね合わせたプレート等を用いることができる。
【0018】
吸収体原料の被堆積面である凹部22の底面は、図3に示すように、相対的に強い吸引を行う強吸引部23と相対的に弱い吸引を行う弱吸引部24とを含んで構成されている。強吸引部23は、多孔性プレート26からなり、凹部22が後述する空間B上を通過している間、その被堆積面23aから相対的に強い吸引が行われる部位である。一方、弱吸引部24は、多孔性プレート26に比して通気性の低い低通気性部材28が該多孔性プレート26上に配置されて構成されており、凹部22が後述する空間B上を通過している間、その被堆積面24aから相対的に弱い吸引が行われる部位である。
【0019】
凹部22の底面は、強吸引部23が弱吸引部24で挟まれている部分を有している。より具体的には、弱吸引部24は、図3(a)に示すように、凹部22の周方向2Xの一端部及び他端部(凹部22の前端部及び後端部)に形成された、平面視格子状の弱吸引部24Aと、凹部22のこれら前後端部に挟まれた周方向中央部に形成され且つ周方向2Xに延びる、平面視直線状の一対の弱吸引部24B,24Bとからなり、格子状の弱吸引部24Aと直線状の24Bとが連結されて、弱吸引部24全体として凹部22内に連続して形成されている。ここで、「平面視」とは、対象物(凹部22等)を、回転ドラム2の外周面21の法線方向(回転ドラム2の回転軸方向と直交する方向)の外方から見た場合を意味する。そして、凹部22の前記前後端部は、格子状の弱吸引部24Aの格子の目の部分に位置する強吸引部23が該弱吸引部24Aで挟まれており、また、凹部22の前記周方向中央部に位置する強吸引部23は、直線状の一対の弱吸引部24B,24Bで挟まれている。
【0020】
このように、本実施形態においては、弱吸引部24を構成する低通気性部材28は、凹部22の周方向2Xの前後端部それぞれにおいて格子状の弱吸引部24Aを形成する、周方向2X及び幅方向2Xの両方に交差する方向に延びる複数の線状部と、凹部22の周方向2Xの中央部において直線状の一対の弱吸引部24B,24Bを形成し且つ格子状の弱吸引部24Aに連結された、周方向2Xに延びる一対の線状部とを有しており、即ち、凹部22の底面に沿って互いに交差する方向に延びる複数の線状部を有している。そして、これら複数の線状部(低通気性部材28)によって、凹部22は、図3(a)に示すように、その底面方向(回転ドラム2の外周面21に沿う方向)に複数の領域に区画されており、各該領域の底面が強吸引部23(多孔性プレート26)から形成されている。
【0021】
また、凹部22の底面は、弱吸引部24が強吸引部23で挟まれている部分を有している。即ち、凹部22の周方向2Xの前後端部それぞれにおいては、格子状の弱吸引部24Aにおける、周方向2X及び幅方向2Xの両方に交差する方向に延びる線状部が、該線状部の線状方向(線状部の延びる方向)と直交する方向の外方に位置する強吸引部23で挟まれており、また、凹部22の周方向2Xの中央部においては、直線状の一対の弱吸引部24B,24Bそれぞれが、該弱吸引部24Bの線状方向(弱吸引部24Bの延びる方向)と直交する方向の外方に位置する強吸引部23で挟まれている。このように、吸収体原料の被堆積面である凹部22の底面に、弱吸引部24が強吸引部23で挟まれている部分が存していると、吸収体原料の吸引堆積時において、主として強吸引部23での吸引により引き寄せられた吸収体原料が、該強吸引部23の近傍の弱吸引部24上に堆積しやすくなり、それにより、密度が明確に異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体がより一層確実に製造できるようになる。
【0022】
凹部22は、強吸引部23と弱吸引部24(24A,24B)とで、回転ドラム2の外周面21からの深さが異なっている。具体的には、図3(b)に示すように、弱吸引部24の深さd2が、強吸引部23の深さd1よりも浅くなっており、強吸引部23の深さd1は、パターン形成プレート27の厚みと同じであるのに対して、弱吸引部24の深さd2は、パターン形成プレート27の厚みから低通気性部材28の厚みtの分を差し引いた深さ(d1−t)となっている。強吸引部23の深さd1及び弱吸引部24の深さd2は、回転ドラム2の外周面21から各部23,24における被堆積面23a,24aまでの距離を、回転ドラム2の回転軸(中心線)に直交する直線に沿って測定する。低通気性部材28の厚みtも同様にして測定する。
【0023】
このように、吸収体原料を堆積させる凹部22に、相対的に強い吸引が行われる吸引部23と、弱通気性部材28が配され相対的に弱い吸引が行われる弱吸引部24とを設け、弱吸引部24の深さd2を強吸引部23の深さd1よりも浅くすることで、強吸引部23及び弱吸引部24の両者に吸収体原料を堆積させつつ、強吸引部23の堆積量と弱吸引部24の堆積量との間に大きな差を設けることが容易となり、坪量が部分的に異なる堆積体32(図5参照)が容易に得られる。
【0024】
図2及び図3に示す例では、弱吸引部24を形成するための低通気性部材28が、パターン形成プレート27の一部を構成している。より具体的には、合成樹脂製のパターン形成プレート27の内面27bと面一の面を形成するように、平面視格子状の低通気性部材28と平面視直線状の低通気性部材28とが一体成形されている。本実施形態における低通気性部材28は、低通気性部材28と一体となっているパターン形成プレート27がフレーム体25及び/又は多孔性プレート26上に固定されることによって、多孔性プレート26上に間接的に固定されているが、低通気性部材28の下面が、多孔性プレート26上に直接固定されていても良い。
【0025】
低通気性部材28としては、通気性を有し(非通気性ではなく)、空気流に乗せて供給された吸収体原料を透過させずに空気のみを透過させ得るが、その通気性が多孔性プレート26よりも低いものが用いられる。より具体的には、低通気性部材28としては、多数の細孔を有する金属又は樹脂製のメッシュプレートや金属又は樹脂製の板にエッチングやパンチングで多数の細孔を形成したもの等で且つ開孔率が多孔性プレート26よりも低いものが用いられる。一般に、開孔(細孔)を有する板状部材において、その開孔率を変えると該板状部材の外観も大きく変わるため、通常、多孔性プレート26と低通気性部材28とは目視で区別可能である。また、低通気性部材28として使用可能な前記の「多数の細孔を有する金属」は、例えば焼結金属であり、多孔性プレート26として通常用いられるものとは外観が大きく異なる。多孔性プレート26よりも開孔率が低い低通気性部材28の具体例としては、細孔の単位面積当たりの数が多孔性プレート26よりも少ないもの、あるいは各細孔の大きさ(面積)が多孔性プレート26における細孔よりも小さいもの等が挙げられる。
【0026】
回転ドラム2の内側(回転軸側)には、相互間が仕切られた空間B、C及びDが形成されている。空間Bには、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、該空間B内を負圧に維持可能である。空間Cには、後述するバキュームボックス11側からの吸引によって外部の空気が流入し、空間Dには、トランスファーロール5側からの吸引によって外部の空気が流入する。空間Cは、空間C上における転写(凹部22内の堆積体のトランスファーロール5等への転写)を良好に行なうために、転写後の領域となる空間Dとは区切られている。空間Cからバキュームボックス11に向かって積極的にブローを行うこともできる。尚、回転ドラム2は、その回転軸の軸長方向の一端が回転ドラム2と一体的に回転する板で封鎖されており、他端が、回転しない板で気密に封鎖されている。また、前記の空間B〜Dどうし間は、回転ドラム2の回転軸側から回転ドラム2の内面に向かって設けられたプレートにより仕切られている。
【0027】
ダクト4は、図1に示すように、その一端側が、空間B上に位置する回転ドラム2の外周面を覆っており、図示しない他端側には、吸収体原料導入装置を有している。吸収体原料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプ(繊維材料)とし、その解繊パルプをダクト4内に送り込む粉砕機を備えている。ダクト4の途中に吸収性ポリマーの粒子を導入する吸収性ポリマー導入部を設けることもできる。回転ドラム2の個々の凹部22は、負圧に維持された空間B上を通過している間、前述したように、強吸引部23の被堆積面23aからの相対的に強い吸引と、弱吸引部24の被堆積面24aからの相対的に弱い吸引とが行われる。被堆積面23a,24a(凹部22の底面)それぞれの細孔からの吸引によって、ダクト4内に、吸収体原料導入部や吸収性ポリマー導入部から導入された吸収体原料を回転ドラム2の外周面21に搬送する空気流が生じ、該空気流に乗せて搬送された吸収体原料が凹部22内に堆積する。
【0028】
トランスファーロール5は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部が水平軸回りを回転する。トランスファーロール5の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間Eが形成されている。空間Eには、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、該空間E内を負圧に維持可能である。
【0029】
トランスファーロール5の外周面には、内外を連通する吸引孔が多数形成されている。それらの吸引孔は、負圧に維持された空間E上を通過している間、外部から内部に空気を吸入し、その吸引力により、凹部22内の堆積体32(図4参照)が、回転ドラム2上からトランスファーロール5上へとスムーズに移行する。
【0030】
バキュームコンベア6は、駆動ロール61及び従動ロール62,62に架け渡された無端状の通気性ベルト63と、通気性ベルト63を挟んでトランスファーロール5と対向する位置に配されたバキュームボックス64とを備えている。
【0031】
バキュームボックス11は、上下面、左右の両側面及び背面を有する箱状の形状を有し、回転ドラム2方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス11は、図示しない排気管等を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス11内を負圧に維持可能である。メッシュベルト13は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール14及びトランスファーロール5に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト13は、トランスファーロール5の回転によって駆動される。メッシュベルト13は、図1に示すように、ダクト4の下流側端部41の近傍において、回転ドラム2の外周面上に導入された後、バキュームボックス11と回転ドラム2との間及びトランスファーロール5と回転ドラム2との間を順次通過するように配されている。メッシュベルト13は、バキュームボックス11の開口部の前を通過している間は、回転ドラム2の外周面に接触しており、トランスファーロール5と回転ドラム2との最接近部付近で、回転ドラム2の外周面から離れてトランスファーロール5上へと移行する。
【0032】
メッシュベルト13は、トランスファーロール5の前記吸引孔に比して小さい細孔を有し、トランスファーロール5の吸引孔からの吸引に伴い、該吸引孔と重なるメッシュベルト13の細孔からの吸引も行われる。風除けプレート15は、トランスファーロール5の外周面の幅方向における前記吸引孔が形成されている領域を挟んでその両側に一対設けられており、側方からの風の流入を防止ないし軽減して、凹部22から離型された堆積体32(図4参照)の形くずれ等を防止する。風除けプレート15の材質は、特に制限されないが、風に抵抗できる剛性を持たせる観点から、金属又は合成樹脂製であり、0.5〜10mm程度の厚みを有することが好ましい。
【0033】
プレス装置7は、表面平滑な一対のロール71,72を備え、ロール71,72間に導入された被加圧物(堆積体32)を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。プレス装置7としては、表面平滑な一対のロール71,72を備えたものに代えて、一方又は双方のロールの周面にエンボス用の凸部が形成された一対のエンボスロールを備えたものを用いることも、吸収体にエンボスによる低密度部と高密度部を形成し、吸収性能を向上させることができる点から好ましい。また、一対のロールではなくベルトコンベア式のプレス装置等を用いても良い。
【0034】
切断装置8としては、生理用ナプキンや吸収性物品の製造において、吸収体連続体の切断に従来使用されているもの等を特に制限なく使用することができる。図1に示した切断装置8は、周面に切断刃81を備えたカッターロール82と、切断刃を受ける周面平滑なアンビルロール83とを備えている。
【0035】
次に、前述した吸収体の製造装置1を用いて吸収体3を連続的に製造する方法、即ち、本発明の吸収体の製造方法の一実施形態について説明する。製造装置1を用いて吸収体を製造するためには、回転ドラム2内の空間B、トランスファーロール5内の空間E、及びバキュームボックス11内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間B内を負圧にすることで、ダクト4内に、吸収体原料を回転ドラム2の外周面21に搬送する空気流が生じる。また、回転ドラム2及びトランスファーロール5を回転させ、バキュームコンベア6を作動させる。
【0036】
そして、吸収体原料導入装置を作動させて、ダクト4内に繊維材料や吸収性ポリマー等の吸収体原料を供給すると、該吸収体原料は、ダクト4内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム2の外周面21に向けて供給される。
【0037】
ダクト4に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム2の凹部22には、吸収体原料31が吸引されて堆積する。図4は、ダクト4の下流側端部41を通過する時点の凹部22の断面を示す。
本実施形態においては、図4に示すように、強吸引部23の被堆積面23a上及び弱吸引部24の被堆積面24a上それぞれに吸収体原料31を堆積させる。強吸引部23と弱吸引部24とでは、吸引力の違いにより吸収体原料の堆積速度に差が生じるものの、凹部22がダクト4の下流側端部41を通過する頃には、凹部22が完全に吸収体原料によって覆われた状態になる。
【0038】
図4に示すように、強吸引部23及び弱吸引部24の何れにおいても堆積した吸収体原料の上面32aの位置がドラム2の外周面21の位置に略一致するように堆積させることが好ましい。形成する吸収体の高密度部と低密度部の密度差が大きい場合(弱吸引部24の深さd2が浅い場合)は、弱吸引部24に十分な吸収体原料が堆積するまでの堆積時間が多く必要であるため、ダクト4の回転ドラム2を覆う部分の長さを長く設計することが好ましい。逆に密度差が小さい場合は堆積時間が短くても良いので、同長さを短く設計することが好ましい。尚、強吸引部23及び/又は弱吸引部24に、外周面21の位置を超える過剰量の吸収体原料を堆積させた後、スカッフィングロール等で、その過剰量の吸収体原料を除去しても良い。
【0039】
凹部22内に堆積される吸収体原料について、強吸引部23の堆積量(吸収体における強吸引部23に対応する部分の坪量)は、弱吸引部24の幅W2(図3(b)参照)と低通気性部材28の厚みt(図3(b)参照)によって、調整することができる。例えば、吸引部23の深さd1を一定にしたとき、弱吸引部24の幅W2又は低通気性部材28の厚みtの値を大きくすると、強吸引部23の深さd1を変えずに強吸引部23の堆積量を増加させることができ、弱吸引部24の幅W2又は低通気性部材28の厚みtの値を小さくすると強吸引部23の堆積量を小さくすることができる。このように、低通気性部材28の設計によって、強吸引部23及び弱吸引部24の堆積量を調整することができ、所望の柔軟性や吸収能力を有する吸収体を容易に製造することが可能となる。
【0040】
また、凹部22からの堆積体32の離型性、また離型後の堆積体32(特に強吸引部23に対応する部分33)のプレス工程までの形状維持の観点から、強吸引部23の深さd1(図3(b)参照)は、1〜30mm、特に3〜20mmであることが好ましく、より好ましくは5〜10mmである。また、強吸引部23の深さd1に対する弱吸引部24の深さd2(図3(b)参照)の比(d2/d1)は、0.05〜0.95であることが好ましく、より好ましくは0.5〜0.9である。また、弱吸引部24の幅W2(図3(b)参照)と深さd2との比(幅W2/深さd2)は、0.1〜10であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5である。
【0041】
このようにして、凹部22内に吸収体原料を積繊させて堆積体32を得た後、更に回転ドラム1を回転させる。そして、凹部22内の堆積体32は、バキュームボックス11の対向位置にくると、バキュームボックス11からの吸引によって、メッシュベルト13に吸い付けられた状態となり、その状態で、トランスファーロール5と回転ドラム2との最接近部又はその近傍まで搬送される。そして、メッシュベルト13に吸い付けられた状態の堆積体32は、トランスファーロール5側からの吸引により、凹部22から離型し、メッシュベルト13と共にトランスファーロール5上へと転写される。
【0042】
図5(a)及び図5(b)には、凹部22から離型した直後の堆積体32が示されている。堆積体32は、図5(a)及び図5(b)に示すように、強吸引部23に対応する部分(低通気性部材28の複数の前記線状部によって区画された、凹部22の各前記領域に対応する部分)が、相対的に吸収体原料の堆積量が多い高坪量部(肉厚部)33、弱吸引部24(24A,24B)に対応する部分が、相対的に吸収体原料の堆積量が少ない低坪量部(肉薄部)34(34A,34B)となっている。また、この堆積体32の一方の面32aがほぼ平坦である一方、他方の面32bは起伏の大きな凹凸面となっている。凹凸面32bは、図5(b)に示すように、凸部(高坪量部33)と溝部(低坪量部34)とで形成されている。
【0043】
このような凹凸構造を有する堆積体32は、トランスファーロール5上へ転写された後、トランスファーロール5側からの吸引を受けながら搬送され、バキュームコンベア6上へと受け渡される。本実施形態においては、図1に示すように、堆積体32が載置される前のバキュームコンベア6上に、ティッシュペーパー又は透液性の不織布等からなるコアラップシート37が導入され、そのコアラップシート37上に堆積体32が移行する。そして、その下流にてコアラップシート37の両側部が折り返され、堆積体32の上下両面がコアラップシート37に被覆される。そして、コアラップシート37に被覆された状態の堆積体32が、プレス装置7の一対のロール71,72間に導入されて厚み方向に圧縮される。
【0044】
本実施形態においては、図1に示すように、凹凸構造を有する堆積体32をプレス装置7により加圧して、その厚み、特に強吸引部23に対応する高坪量部(肉厚部)33の厚みを積極的に減少させる。このプレス工程により、高坪量部33と低坪量部(肉薄部)34(34A,34B)との厚み差及び/又は厚み比が減少して、図5(c)に示すように、強吸引部23に対応する高坪量部33が高密度部35、弱吸引部24に対応する低坪量部34(34A,34B)が低密度部36となった吸収体3が得られる。プレス装置7による加圧圧縮は、ロール71,72の一方又は双方を加熱しても良いし加熱しなくとも良い。吸収体原料に熱可塑性のものを含む場合には、加熱することが好ましい。また、プレス工程は、吸収体原料に熱可塑性のものを含む場合には、超音波装置を用いても良い。
【0045】
また、本実施形態においては、プレス装置7によるプレス工程後に、切断装置8による切断工程が実施される。切断装置8は、図1に示すように、流れ方向(MD)に間欠的に吸収体3(厚み方向に圧縮された堆積体32)が配された帯状体30を、堆積体32が存在しない部位で切断して、吸収性物品一個分の長さとする。従って、切断装置8による切断後の前記吸収体は、上下面を一枚のコアラップシート37で被覆されている。しかし、本発明で製造する吸収体は、上下面を一枚のコアラップシート37で被覆されているものに限られず、上下面を2枚の別々のコアラップシートによって被覆されているものであっても良いし、上下面のいずれもコアラップシートに被覆されていないものであっても良い。
【0046】
本実施形態の吸収体の製造方法によれば、このようにして、密度が明確に異なる高密度部35及び低密度部36を有する吸収体3を効率良く製造することができる。高密度部35の厚みT5(図5(c)参照)と低密度部36の厚みT6(図5(c)参照)との比(T5/T6)は1.0〜1.2、特に1.0〜1.1とすることが、高密度部35と低密度部36との密度差を大きくして排泄液の拡散方向制御能が効率良く発現するようにする観点や、吸収体3を生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品に組み込んだときに該吸収性物品の着用者に違和感を与えることを防止する等の観点から好ましい。ここでいう、吸収体における高密度部の厚みT5及び低密度部の厚みT6は、それぞれ、吸収体を、できるだけその厚みを潰さないように切断し、その切断面を顕微鏡等で拡大して無荷重下における高密度部及び低密度部それぞれの厚みを測定したものである。
【0047】
また、本実施形態の吸収体の製造方法によれば、吸収体原料の堆積量が部分的に異なる堆積体32を製造するに当たり、凹部22の底面を形成する多孔性プレート26を凹凸を有する立体形状にするのではなく、パターン形成プレート27の開口部(低通気性部材28の非配置部)を高坪量部33に対応させ、弱吸引部24(低通気性部材28の配置部)を低坪量部34に対応させたことにより、弱吸引部24の成形を堆積体32の種々の幅や形に対応することが可能であり、複雑な堆積体32(吸収体)を加工することが可能である。
【0048】
また、本実施形態の吸収体の製造方法によれば、凹部22の底面を強吸引部23と弱吸引部24とから構成したことにより、特に、弱吸引部24に対応して形成される堆積体(吸収体)の低坪量部34(34A,34B)あるいは低密度部36を比較的幅広に形成することが可能となる。これに対し、例えば特許文献3に記載されているように、凹部の底面を吸引部(有孔領域)と底面からの吸引を行わない非吸引部(無孔領域)とから構成した場合には、非吸引部(無孔領域)は吸収体原料の吸引及び堆積体の形成には寄与しないため、吸引部(有孔領域)のみで幅広の低坪量部あるいは低密度部を形成し難い。また、凹部22の底面を強吸引部23と弱吸引部24とから構成したことにより、凹部22内の堆積体が他に転写されるまで該凹部22内に安定的に配置されるようになる。凹部22内の堆積体が他に転写されるまでの間に凹部22の底面からの吸引が十分にないと、回転ドラム2の遠心力や強吸引部23の吸引力の影響により、堆積体における低坪量部の吸収体原料が凹部22内を移動する、吸収体原料の堆積量が設定値よりも減少する等の不都合が生じるおそれがあるところ、弱吸引部24の存在により斯かる不都合が効果的に防止される。
【0049】
本発明で製造する吸収体は、例えば、低密度部36(堆積体32の低坪量部34に対応する部分)の坪量が、50〜300g/m2、特に100〜200g/m2であることが好ましく、高密度部35(堆積体32の高坪量部33に対応する部分)の坪量が、200〜800g/m2、特に300〜500g/m2であることが好ましく、高密度部35と低密度部36との密度比(前者/後者)が1.1〜5.0、特に1.5〜3.0であることが好ましい。吸収体における高密度部及び低密度部の密度は、それぞれ、次のようにして測定される。
【0050】
〔高密度部及び低密度部の密度の測定方法〕
高密度部及び低密度部の密度は、それぞれ、JIS−P8118:1998に準じて測定され、具体的には次式によって算出される。 密度D(g/cm3)=坪量W(g/m2)/厚みT(mm) 前記式中の坪量Wは、JIS−P8124に記載の方法に準じて測定され、高密度部及び低密度部をそれぞれ加工寸法に合わせて一定の面積にカットし重量を測定して坪量を算出する。具体的には、裁断機又はカッターによって試験片をカットし、はかりによって該試験片の重量を測定し、その測定値を面積で除して坪量Wを算出する。また、前記式中の厚みTは、JIS−P8118:1998に準じて測定される。但し、厚みTの測定には、2つの平行な加圧面(固定加圧面と可動加圧面)を持つマイクロメーターであるピーコック式精密測定器(型式R1−C)を用い、測定子可動加圧面の直径は5mm、圧力は2.0N以下で測定し、測定用試験片の大きさは、下記プレートの大きさ以上とする。試験片上に20mm×20mmのプレート(重量5.4g)を置き、測定子可動加圧面を3mm/s以下の速度で操作し、該プレートに当て、安定直後の値を読み取る。加圧面間(試験片に加わる圧力)の圧力は2kPa以下になる。
【0051】
吸収体原料としては、従来、生理用ナプキンやパンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、解繊パルプ等のパルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維材料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、吸収体原料として、ダクト4内に、繊維材料と共に、吸収性ポリマーを導入しても良い。また、繊維状の吸収性ポリマーを単独で又は繊維材料と共に用いることもできる。
【0052】
本発明は前記実施形態に制限されず、適宜変更可能である。前記実施形態においては、凹部22内の堆積体32を、トランスファーロール5上に供給したメッシュベルト13上に転写させたが、それに代えて、堆積体32を、メッシュベルト13を供給していないトランスファーロール5の外周面上に転写させることもできる。また、メッシュベルト13に加えて、バキュームボックス11、風除けプレート15等も省略可能である。また、凹部22内の堆積体32を、トランスファーロール5を介することなく、バキュームコンベア6上に供給したコアラップシート37上に直接移行させることもできる。堆積体32は、トランスファーロール5で搬送した後、吸引機構を有しないベルトコンベア上に移しても良いし、他の搬送手段上に移しても良い。
【0053】
本発明で製造する吸収体は、吸収性物品の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿や経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
【0054】
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収体は、上下面が一枚又は複数枚のコアラップシートに被覆されていても良い。裏面シートは水蒸気透過性を有していても有しなくても良い。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、吸収体の起立した両側部の更に外側に、一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 吸収体の製造装置
2 回転ドラム
3 吸収体
21 回転ドラムの外周面
22 凹部
23 強吸引部
23a 強吸引部の被堆積面(凹部の底面)
24,24A,24B 弱吸引部
24a 弱吸引部の被堆積面(凹部の底面)
25 フレーム体
26 多孔性プレート
27 パターン形成プレート
28 低通気性部材
32 堆積体
33 高坪量部
34,34A,34B 低坪量部
35 高密度部
36 低密度部
37 コアラップシート
4 ダクト
5 トランスファーロール
6 バキュームコンベア
7 プレス装置
8 切断装置
11 バキュームボックス
13 メッシュベルト
15 風除けプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流に乗せて供給した吸収体原料を、回転ドラムの外周面に設けた凹部の底面からの吸引により該凹部内に堆積させる堆積工程、該凹部内から離型した堆積体を加圧し圧縮するプレス工程を具備する吸収体の製造方法であって、
前記堆積工程においては、下記A)〜C)の全てを満たす前記凹部内に前記吸収体原料を堆積させ、
前記プレス工程においては、前記凹部から離型した堆積体を加圧し、密度が相異なる高密度部及び低密度部を有する吸収体を得る、吸収体の製造方法。
A)前記凹部の底面は、相対的に強い吸引を行う強吸引部と相対的に弱い吸引を行う弱吸引部とを含んで構成され、且つ該強吸引部が該弱吸引部で挟まれている部分を有している。
B)前記弱吸引部の前記回転ドラムの外周面からの深さが、前記強吸引部の該外周面からの深さよりも浅い。
C)前記強吸引部は多孔性プレートからなり、前記弱吸引部は、該多孔性プレートに比して通気性の低い低通気性部材が該多孔性プレート上に配置されて構成されている。
【請求項2】
前記凹部の底面は、前記弱吸引部が前記強吸引部で挟まれている部分を有している請求項1記載の吸収体の製造方法。
【請求項3】
前記吸収体が、前記強吸引部に対応する部分が高密度部、前記弱吸引部に対応する部分が低密度部となっている吸収体である請求項1又は2記載の吸収体の製造方法。
【請求項4】
前記低通気性部材は、前記凹部の底面に沿って互いに交差する方向に延びる複数の線状部を有し、複数の該線状部によって、該凹部がその底面方向に複数の領域に区画されている請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収体の製造方法。
【請求項5】
前記プレス工程においては、表面平滑なロール間、又は一方若しくは双方のロールにエンボス用の凸部を有する一対のエンボスロール間で前記堆積体を加圧する請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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