説明

吸収性物品および使い捨ておむつ

【課題】表面シートの肌当接側の凹凸を的確に強調した吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明は、白色の不織布からなる液透過性の表面シート60と、表面シートと対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シート40と、表面シートと裏面シートとの間に設けられた吸収体50Aとを備える吸収性物品1Aであって、表面シートの非肌当接面側に、表面シートを透過して視認可能であり、白色以外の色に着色された着色要素52Aをさらに備え、表面シートは、厚さ方向に突出する複数の凸部61と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部62とを有し、凸部の目付けは、凹部の目付けよりも高く、表面シートの凸部を透過して見える着色要素の色と表面シートの凹部を透過して見える着色要素の色との間の色差が2.8以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品および使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品の強化された機能の存在を消費者に伝達するために、トップシートと吸収性コアとの間に配置された挿入物に着色部分を設けた吸収性物品が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。この吸収性物品では、着色部分は、第1の色調と第2の色調とを少なくとも有し、第1の色調の領域の中に第2の色調を表示することによって、吸収性物品内に深みの知覚を創り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−512682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吸収性物品では、吸収性物品の表面シートの肌当接側の表面形状に特徴を持たせた場合、その表面形状に合わせて、少なくとも2つの色調を有する着色部分を形成することが難しい場合がある。また、表面形状に合わせた少なくとも2つの色調を有する着色部分を着色部分に形成することができなかったため、実際の吸収性物品の表面シートの肌当接側の表面形状と異なった表面形状の印象を使用者に与えてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明は、白色の不織布からなる液透過性の表面シートと、表面シートと対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に設けられた吸収体とを備える吸収性物品であって、表面シートの非肌当接面側に、表面シートを透過して視認可能であり、白色以外の色に着色された着色要素をさらに備え、表面シートは、厚さ方向に突出する複数の凸部と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、凸部の目付けは、凹部の目付けよりも高く、表面シートの凸部を透過して見える着色要素の色と表面シートの凹部を透過して見える着色要素の色との間の色差が2.8以上である。
本発明の使い捨ておむつは、表面シートの胴周り領域のうちの幅方向の中央の領域に表面シートの凸部および凹部の延びる方向と同じ方向に延びる縞模様を表示し、縞模様は着色要素の色と同系色であり、縞模様は、表面シートの胴周り領域のうちの幅方向の中央の領域の非肌当接面に、白色以外の色に着色された弾性部材を設けることによって表示される。
本発明の他の使い捨ておむつは、白色の不織布からなる液透過性の表面シートと、表面シートと対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に設けられた吸収体とを備える使い捨ておむつであって、表面シートと吸収体との間に、白色以外の色に着色されたセカンドシートをさらに備え、表面シートは、厚さ方向に突出する複数の凸部と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、凸部の目付けは、凹部の目付けよりも高く、セカンドシートは、吸収体の面方向の領域の一部の領域に設けられ、表面シートの凸部を透過して見えるセカンドシートの色と表面シートの凹部を透過して見えるセカンドシートの色との間の色差が2.8以上であり、セカンドシートが設けられている面方向の領域は、男性用と女性用とで異なる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吸収性物品の表面シートの肌当接側の凹凸を的確に強調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態の吸収性物品を説明するための図である。
【図2】図2は、厚さ方向に突出する複数の凸部と厚さ方向に窪んでいる複数の凹部とを表面シートに形成するための方法を説明するための図である。
【図3】図3は、表面シートを通して視認される上被覆シートを説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態の吸収性物品を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施形態の吸収性物品を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態の吸収性物品の変形例を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施形態−
以下、図を参照して本発明の第1の実施形態の吸収性物品を説明する。本発明の第1の実施形態の吸収性物品は、使い捨てのおむつである。
図1は、本発明の第1の実施形態の吸収性物品を説明するための図である。図1(a)は、本発明の第1の実施形態における吸収性物品の平面図であり、図1(b)は、本発明の第1の実施形態における吸収性物品のA−A断面の概略図である。第1の実施形態における吸収性物品1Aは、着用者におむつを着用させたときに着用者の下腹部を覆う前胴周り領域12と、着用者におむつを着用させたときに着用者の股下を覆う股下領域14と、着用者におむつを着用させたときに着用者の臀部を覆う後胴周り領域16とに分けることができる。図1(a)では、吸収性物品1Aの長手方向がy軸であり、長手方向に直交する幅方向がx軸方向である。また、図1(a)では、xy方向が面方向である。
【0009】
吸収性物品1Aは、矩形形状の幅方向にある2辺に湾曲した切り欠き部22を有するシャーシ20と、シャーシ20の幅方向側の両方の領域の上に設けられ、シャーシ20の切り欠き部22と端縁が同じ形状の切り欠き部32を有するフラップ部30と、シャーシ20の幅方向の中央の領域の上に設けられた裏面シート40と、裏面シート40の上に設けられた吸収体50Aと、吸収体50Aの上に設けられた表面シート60とを備える。シャーシ20およびフラップ部30の2つの切り欠き部22,32により、着用者の足周りの開口部が形成される。シャーシ20およびフラップ部30の2つの切り欠き部22,32の間に挟まれる吸収性物品1Aの領域が股下領域14に相当し、2つの切り欠き部22,32の間に挟まれる領域の長手方向側に隣接する一方の領域が前胴周り領域12に相当し、他方の領域が後胴周り領域16に相当する。シャーシ20の幅方向側の端部近傍とフラップ部30の幅方向側の端部近傍との間には吸収性物品1Aの長手方向延びる伸縮材70が設けられている。また、フラップ部30の吸収性物品1Aの中央側の端部近傍にも吸収性物品1Aの長手方向に延びる伸縮材80が設けられている。
【0010】
シャーシ20は、吸収性物品1Aの本体の外形を形成する。着用時の蒸れを防止するために、シャーシ20には、通気性を有する不織布やプラスチックフィルムなどが使用される。フラップ部30は、着用者の足周りならびに下腹部および臀部の両脇を覆う。フラップ部30には、疎水性の不織布が使用される。シャーシ20とフラップ部30との間に設けられている伸縮材70により、吸収性物品1Aの足周りのフィット性を良好にする。また、フラップ30の吸収性物品1Aの中央側の端部近傍に設けられている伸縮材80の収縮力によって、フラップ部30の中央側が立ち上がり、吸収性物品1Aの股下領域14の幅方向の箇所から尿や軟便が漏れるのを防止するための防漏壁34が形成される。伸縮材70,80には、たとえば、天然ゴム、合成ゴム、スパンデックスのような弾性繊維などが用いられる。
【0011】
裏面シート40は、尿を透過しない液不透過性シートであり、排出された尿が外に漏れないようにするために設けられている。裏面シート40には、たとえば、防水処理を施した不織布、ポリエチレンなどから構成されるプラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの複合材料などが用いられる。
【0012】
吸収体50Aは、着用者の尿を吸収し保持する。たとえば、吸収体50Aは、粉砕パルプ、高吸収性ポリマー、親水性シートなどの吸収部材51と、吸収部材を包み込むティッシュペーパまたは親水化処理を行った不織布などの被覆シート52A,53とから主に構成される。被覆シート52A,53には、吸収部材51の表面シート60側の面を覆う上被覆シート52Aと、吸収部材51のその他の面を覆う下被覆シート53とがある。上被覆シート52Aは、白色以外の色、たとえば、青色、緑色などの有彩色、灰色などに着色されている。被覆シート52A,53は、吸収部材51とホットメルト型接着剤などの接着剤で接着されていてもよい。接着剤は、スパイラル塗工、カーテン塗工などにより吸収部材51または被覆シート52A,53に塗布される。
【0013】
表面シート60は、着用者の尿を素早く吸収して吸収体50Aに移行させる液透過性のシートである。表面シート60は着用者の肌と接触するため、肌触りがよいこと、および皮膚への安全性が要求される。表面シート60の着用者の肌と接する面を以下、肌当接面と呼び、肌当接面の反対側の面を非肌当接面と呼ぶ。また、表面シート60は、吸収体に吸収された尿を逆戻りさせないことも必要である。着用者の尿を素早く吸収して吸収体50Aに移行させるために、表面シート60は、ホットメルト型接着剤などの接着剤を使用して吸収体50Aと接着している。接着剤による液透過性の減少を抑制するために、接着剤は筋状コータ塗工により表面シート60または上被覆シート52Aに塗布される。表面シート60の非肌当接面側に設けられている着色させた上被覆シート52Aは、表面シート60を透過して視認可能である。表面シート60は、厚さ方向に突出し、長手方向に延びる複数の凸部61と、厚さ方向に窪み、長手方向に延びている複数の凹部62とを有する不織布である。隣接する凸部61の頂点間の距離は、たとえば、4mmである。複数の凸部61および複数の凹部62は幅方向に交互に並んでいる。表面シート60に用いられる不織布は、繊維同士の交点が熱融着される繊維を含む。このような繊維には、たとえば、熱可塑性ポリマー材料からなる繊維があり、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミドなどがある。また、このような繊維に、複数の熱可塑性ポリマー材料の組み合わせからなる芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維を使用してもよい。
【0014】
表面シート60の色は白色である。この表面シート60の白色には、厳密な白色以外に色みを帯びている白色も含まれる。なお、この明細書に記載される「白色」も厳密な白色以外に色みを帯びている白色も含む。
【0015】
次に、図2を参照して、厚さ方向に突出する複数の凸部61と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部62とを表面シート60に形成するための方法の一例を説明する。図2(a)は、不織布を作製するために形成されたウエブに凸部および凹部を形成する工程を説明するための図であり、図2(b)は、凸部及び凹部が形成されたウエブの幅方向(CD)の断面を示す図である。カード機などのウエブ形成手段によって形成されたウエブ210はサンクションドラム220に搬送される。そして、吹き出し部230のノズルから、加熱された流体流231を吹き付けてウエブ210の一部をかき分け、凸部211および凹部212をウエブ210に形成する。流体流231により、ウエブ210の進行方向である機械方向(MD)と直交する幅方向(CD)にかき分けられた繊維は、凸部211、とくに凸部211の側面213に集まる。したがって、凸部211には、凹部212に相当する領域の繊維が堆積されるため、凸部211、とくに凸部211の側面213の目付けは高くなる。また、流体流231によって繊維が幅方向(CD)に飛ばされたので、凹部212の目付けは低い。
【0016】
吹き出し部230から吹き出される流体流231は、空気や水蒸気のような気体であってもよいし、水などの液体であってもよい。また、気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルでもよい。
【0017】
次に、図3を参照して、表面シート60を通して視認される上被覆シート52Aについて説明する。図3(a)は、表面シート60と表面シート60の非肌当接側に設けられた上被覆シート52Aとの断面図であり、図3(b)は、表面シート60を透過して見える上被覆シート52Aを説明するための図である。表面シート60の凹部62の底の領域310では、表面シート60の厚みが薄くなっており、また目付けも低くなっているので、表面シート60を透過して上被覆シート52Aはよく見える。したがって、表面シート60の凹部62の底の領域310は、上被覆シート52Aに着色された色が濃く見える。表面シート60の凸部61の側面の領域320では、表面シート60の厚みはあまり厚くないものの、目付けは高いので、表面シート60を透過して上被覆シート52Aはよく見えない。したがって、表面シート60の凸部62の側面の領域320は、上被覆シート52Aに着色された色が薄く見えるか、白色に見える。表面シート60の凸部61の頂部の領域330では、表面シート60の厚みが厚く、目付けも高いので、表面シート60を透過して上被覆シート52Aはよく見えない。したがって、表面シート60の凸部62の頂部の領域330は、上被覆シート52Aに着色された色が薄く見えるか、白色に見える。
【0018】
表面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Aの色と表面シート60の凹部62を透過して見える上被覆シート52Aの色との間の色差が2.8以上あることが好ましい。表面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Aの色と表面シート60の凹部62を透過して見える上被覆シート52Aの色との間の色差が2.8よりも小さいと、表面シート60の凸部61を透過しての上被覆シート52Aの色と、表面シート60の凹部62を透過しての上被覆シート52Aの色との区別が肉眼による観察ではつかない場合がある。また、表面シート60の凸部61を透過しての上被覆シート52Aの見え方と表面シート60の凹部62を透過しての上被覆シート52Aの見え方との差異が小さく、表面シート60の凸部61および凹部62の視認性が色の差異によってもあまり向上しない。
【0019】
表面シート60のうち、凸部61の面積の割合は、50〜70%であることが好ましく、65〜75%であることがさらに好ましい。また、凹部62の面積の割合は、25〜50%であることが好ましく、25〜35%であることがさらに好ましい。このような凸部61および凹部62の面積の割合の場合、表面シート60を透過して上被覆シート52Aが見えることにより、とくに表面シート60の凹凸が強調される。
【0020】
以上の本発明の第1の実施形態の吸収性物品1Aでは、次のような作用効果が奏する。
(1)白色の不織布からなる液透過性の表面シート60と、表面シートと対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シート40と、表面シート60と裏面シート40との間に設けられた吸収体50Aとを備える吸収性物品1Aであって、表面シート60の非肌当接面側に、表面シート60を透過して視認可能であり、白色以外の色に着色された上被覆シート52Aをさらに備え、表面シート60は、厚さ方向に突出する複数の凸部61と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部62とを有し、複数の凸部61および複数の凹部62は長手方向に延び、幅方向に交互に並んでおり、凸部61の目付けは、凹部62の目付けよりも高く、表面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Aの色と表面シート60の凹部62を透過して見える上被覆シート52Aの色との間の色差が2.8以上であるようにした。これにより、吸収性物品1Aの表面シート60の肌当接側の凹凸61,62を的確に強調することができる。そして、吸収性物品1Aの表面シート1Aの表面の強化された機能の存在を使用者にすぐわかるように伝達することができる。また、吸収性物品1Aにストライプ状の模様を付与することができるので、吸収性物品1Aをデザイン的にも優れたものにすることができる。また、吸収性物品1Aの使用後、表面シート60の凸部61は、被覆シート52Aが透過して見える凹部62に比べて白く、立体的に見える。このため、着用者の肌に直接接していた部分が白色で汚れが少ないことを使用者に認識させることができ、清潔感の高い印象を使用者に与えることができる。
【0021】
(2)凸部61の側面の領域の目付けは、凸部61の他の領域の目付けよりも高くなるようにした。これにより、凸部61と凹部62との間の境界付近で、表面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Aの色と表面シート60の凹部62を透過して見える上被覆シート52Aの色と違いが大きくなる。
【0022】
(3)表面シート60の非肌当接面側に吸収体50Aを備え、吸収体50Aの吸収部材51は被覆シート52A,53によって包まれ、被覆シート52A,53の少なくとも一部52Aが白色以外の色で着色されるようにした。これにより、表面シート60の肌当接面における吸収体50Aが存在する領域のみの凹凸61,62を強調することができ、使用者は、吸収体50Aが存在する領域を容易に把握できる。また、表面シート60の肌当接面における吸収体50Aが存在する領域のみの凹凸61,62を強調することによって、吸収性物品1Aは非常に高い吸収能力があることを使用者に印象づけることができる。
【0023】
−第2の実施形態−
以下、図を参照して本発明の第2の実施形態の吸収性物品を説明する。本発明の第2の実施形態の吸収性物品も、使い捨てのおむつである。
図4は、本発明の第2の実施形態の吸収性物品を説明するための図である。図4(a)は、本発明の第2の実施形態における吸収性物品の平面図であり、図4(b)は、本発明の第2の実施形態における吸収性物品のB−B断面の概略図である。また、図4(a)では、吸収性物品1Bの長手方向がy軸であり、長手方向に直交する幅方向がx軸方向であり、xy方向が面方向である。第2の実施形態における吸収性物品1Bの構成要素のうち、第1の実施形態における吸収性物品1Aの構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付し、第1の実施形態における吸収性物品1Aと異なる部分を主に説明する。第2の実施形態の吸収性物品1Bは、表面シート60と吸収体50Bとの間にセカンドシート90Bを有する。
【0024】
吸収性物品1Bは、シャーシ20と、フラップ部30と、裏面シート40と、裏面シート40の上に設けられた吸収体50Bと、吸収体50Bの上に設けられたセカンドシート90Bと、セカンドシート90Bの上に設けられた表面シート60とを備える。
【0025】
吸収体50Bにおいて吸収部材51の表面シート60側の面を覆う上被覆シート52Bは、第1の実施形態の吸収性物品1Aの上被覆シート52Aと異なり、着色されていない。
【0026】
セカンドシート90Bは、表面シート60に排出された着用者の尿を拡散させたり、吸収性物品1Bの肌当接面のクッション性を上げたりするために使用される。セカンドシート90Bには、親水性で液透過性の材料、たとえば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプなどを使用することができる。セカンドシート90Bは、白色以外の色、たとえば、青色、緑色などの有彩色、灰色などに着色されている。
【0027】
セカンドシート90Bは、吸収体50Bの面方向の領域の一部の領域に設けられる。たとえば、図4(a)に示すように、セカンドシート90Bは、吸収性物品1Bの、着用者の尿の排出口に対応する位置(排尿ポイント)及びその周辺の領域(吸収ゾーン)、すなわち、吸収体50Bの面方向の領域の前胴周り領域12側の領域に設けられる。したがって、男性用の吸収性物品1Bと女性用の吸収性物品1Bとでは吸収ゾーンの領域は異なるので、男性用の吸収性物品1Bと女性用の吸収性物品1Bとではセカンドシート90Bが設けられる領域も異なる。すなわち、男性用の吸収性物品1Bのセカンドシート90Bが設けられている領域は、女性用の吸収性物品1Bのセカンドシート90Bが設けられている領域に比べて前胴周り領域12側に寄っている。また、表面シート60の吸収ゾーンの領域のみが、表面シート60の肌当接面側の凹凸61,62が強調されているので、使用者は吸収ゾーンを容易に認識することができる。セカンドシート90Bが設けられている領域の表面シート60は、セカンドシート90Bが設けられていない領域に比べて、嵩が大きくなる。
【0028】
着用者の尿を素早く吸収して吸収体50Bに移行させるために、セカンドシート90Bは、ホットメルト型接着剤などの接着剤を使用して表面シート60および吸収体50Bと接着している。また、表面シート60よりも目付けが高く、密度の高い材料をセカンドシート60Bに用いることによって、表面シート60からセカンドシート90Bへの液移行性を良好にすることができる。
【0029】
セカンドシート90Bは、ホットメルト型接着剤などの接着剤を使用して吸収体50Bに接着されている。接着剤は、スパイラル塗工、カーテン塗工などによりセカンドシート90Bまたは吸収体50Bに塗布される。
【0030】
表面シート60に排出された尿はセカンドシート90Bを通過し、吸収体50Bに吸収される。したがって、表面シート60およびセカンドシート90Bには、尿が残らないので、尿の色によって、表面シート60およびセカンドシート90Bの色が変色することは少ない。このため、尿が排出された後も、尿が排出される前と同様に、表面シート60の肌当接面の凹凸61,62が強調されることになる。これにより、尿が排出された後も、吸収性物品1Bの肌当接面が乾いている印象を使用者に与えることができる。
【0031】
表面シート60の凸部61を透過して見えるセカンドシート90Bの色と表面シート60の凹部62を透過して見えるセカンドシート90Bの色との間の色差が2.8以上あることが好ましい。表面シート60の凸部61を透過して見えるセカンドシート90Bの色と表面シート60の凹部62を透過して見えるセカンドシート90Bの色との間の色差が2.8よりも小さいと、表面シート60の凸部61を透過してのセカンドシート90Bの色と表面シート60の凹部62を透過してのセカンドシート90Bの色の区別が肉眼を通してではつかない場合がある。また、2.8よりも小さいと、表面シート60の凸部61を透過してのセカンドシート90Bの見え方と表面シート60の凹部62を透過してのセカンドシート90Bの見え方との差異が小さく、表面シート60の凸部61および凹部62の視認性が色の差異によってもあまり向上しない。
【0032】
以上の本発明の第2の実施形態の吸収性物品1Bでは、次のような作用効果が奏する。
(1)白色の不織布からなる液透過性の表面シート60と、表面シート60と対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シート40と、表面シート60と裏面シート40との間に設けられた吸収体50Bとを備える吸収性物品1Bであって、表面シート60の非肌当接面側に、表面シート60を透過して視認可能であり、白色以外の色に着色されたセカンドシート90Bをさらに備え、表面シート60は、厚さ方向に突出する複数の凸部61と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部62とを有し、複数の凸部61および複数の凹部62は長手方向に延び、幅方向に交互に並んでおり、凸部61の目付けは、凹部62の目付けよりも高く、表面シート60の凸部61を透過して見えるセカンドシート90Bの色と表面シート60の凹部62を透過して見えるセカンドシート90Bの色との間の色差が2.8以上であるようにした。これにより、表面シート60のうち、セカンドシート90Bが設けられた領域の表面シート60の肌当接面の凹凸61,62を的確に強調することができる。
(2)凸部61の側面の領域の目付けは、凸部61の他の領域の目付けよりも高くなるようにした。これにより、凸部61と凹部62との間の境界付近で、表面シート60の凸部61を透過して見えるセカンドシート90Bの色と表面シート60の凹部62を透過して見えるセカンドシート90Bの色と違いが大きくなる。
【0033】
(3)セカンドシート90Bは、吸収体50Bの面方向の領域の一部の領域に設けられるようにした。これにより、吸収性物品1Bの吸収ゾーンなどの領域にセカンドシート90Bを設けることによって、使用者は、吸収ゾーンなどの領域を容易に認識することができる。
【0034】
(4)セカンドシート90Bが設けられている面方向の領域は、男性用のおむつと女性用のおむつとで異なるようにした。これにより、男性用のおむつと女性用のおむつとで異なる使い捨ておむつの吸収ゾーンを容易に認識することができる。具体的には、セカンドシート90Bを設ける位置は、液移行性および吸収体50Bからの液戻りを抑制するため、排尿ポイント付近であることが好ましい。男性用のおむつのセカンドシート90Bを設ける位置は、女性用のおむつのセカンドシート90Bを設ける位置に比べて、約15〜30mm、前胴周り領域12側である。これにより、着色されたセカンドシート90Bが着用者の排尿ポイント付近に適切に存在しており、おむつの排尿ポイント付近に凹凸があることが容易に認識できることによって、使用者は、おむつの吸収機能が高められていることを効果的に認識することができる。
【0035】
−第3の実施形態−
以下、図を参照して本発明の第3の実施形態の吸収性物品を説明する。本発明の第3の実施形態の吸収性物品も、使い捨てのおむつである。
図5は、本発明の第3の実施形態の吸収性物品を説明するための図である。図5(a)は、本発明の第3の実施形態における吸収性物品の平面図であり、図5(b)は、本発明の第3の実施形態における吸収性物品のC−C断面の概略図である。また、図5(a)では、吸収性物品1Cの長手方向がy軸であり、長手方向に直交する幅方向がx軸方向であり、xy方向が面方向である。第3の実施形態における吸収性物品1Cの構成要素のうち、第1の実施形態における吸収性物品1Aの構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付し、第1の実施形態における吸収性物品1Aと異なる部分を主に説明する。第3の実施形態の吸収性物品1Cは、表面シート60を吸収体50Bに接着するための接着剤が、白色以外の色、たとえば、青色、緑色などの有彩色、灰色などに着色されている。
【0036】
吸収性物品1Cは、シャーシ20と、フラップ部30と、裏面シート40と、裏面シート40の上に設けられた吸収体50Cと、吸収体50Cの上に設けられた表面シート60とを備える。
【0037】
吸収部材51の表面シート60側の面を覆う上被覆シート52Cは、第1の実施形態の吸収性物品1Aの上被覆シート52Aと異なり、着色されていない。
【0038】
表面シート60は、ホットメルト型接着剤などの接着剤100Cを使用して吸収体50Cに接着されている。接着剤100Cは、表面シート60の凹部62に対向する非肌当接面の位置、または吸収体50Cの表面シート60側の面の表面シート60の凹部62に対向する位置に塗布される。すなわち、接着剤100Cは、長手方向に延びる表面シート60の凹部62に合わせて、長手方向に延びる帯状に塗布される。接着剤100Cが設けられている領域の、吸収性物品1Cの幅方向の間隔は、凹部62の幅方向の長さよりも小さいことが好ましい。たとえば、凹部62の幅方向の長さが1mmである場合、接着剤100Cは、0.8mmの幅方向の間隔で、表面シート60の非肌非着面または吸収体50Cの表面シート60側の面に長手方向に塗布される。ここで、凹部62の幅は、凸部61の頂点と凹部の最底部との間の中間の位置における凹部の幅である。これにより、表面シート60の非当接面の凸部61に対向する領域は着色されず、表面シート60の非肌当接面の凹部62に対向する領域は着色されているので、表面シート60の凸部61と凹部62との間の色の見え方の差異が大きくなる。
【0039】
この場合、表面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Cの色と表面シート60の凹部62を透過して見える接着剤100Cの色との間の色差が2.8以上であることが好ましい。面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Cの色と表面シート60の凹部62を透過して見える着色剤100Cの色との間の色差が2.8よりも小さいと、肉眼による視覚観察によって面シート60の凸部61を透過して見える上被覆シート52Cの色と表面シート60の凹部62を透過して見える着色剤100Cの色面シート60の色との間の区別がつかない場合がある。また、凸部61を透過して見える上被覆シート52Cの色と表面シート60の凹部62を透過して見える着色剤100Cの色との間の色差が2.8よりも小さいと、表面シート60の凸部61を透過しての上被覆シート52Cの見え方と表面シート60の凹部62を透過しての接着剤100Cの見え方との差異が小さく、表面シート60の凸部61および凹部62の視認性が色の差異によってもあまり向上しない。
【0040】
また、接着剤100Cの塗布されている領域が表面シート60の凹部62に対応する領域から幅方向に少しずれたとしても、表面シート60の非肌当接面の凸部61に対向する領域で着色されていない部分および表面シート60の非肌当接面の凹部62に対向する領域で着色されている部分が必ず生じるので、表面シート60の凸部61と凹部62との間の色の見え方の差異は必ず大きくなる。この場合、表面シート60の凸部61を透過して見える接着剤100Cの色と表面シート60の凹部62を透過して見える接着剤100Cの色との間の色差が2.8以上であることが好ましい。これにより、吸収性物品1Cの表面シート60の肌当接側の凹凸61,62を的確に強調することができる。
【0041】
以上の本発明の第3の実施形態の吸収性物品1Cでは、次のような作用効果が奏する。
白色の不織布からなる液透過性の表面シート60と、表面シート60と対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シート40と、表面シート60と裏面シート40との間に設けられた吸収体50Cとを備える吸収性物品1Cであって、表面シート60と吸収体50Cとの間に、表面シート60を透過して視認可能であり、白色以外の色に着色された接着剤100Cをさらに備え、表面シート60は、厚さ方向に突出する複数の凸部61と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部62とを有し、複数の凸部61および複数の凹部62は長手方向に延び、幅方向に交互に並んでおり、凸部61の目付けは、凹部62の目付けよりも高く、表面シート60の凸部61を透過して見える接着剤100Cの色と表面シート60の凹部62を透過して見える接着剤100Cの色との間の色差が2.8以上であるようにし、接着剤100Cは、表面シート60の非肌当接面の表面シート60の凹部62に対向する位置のみに設けられ、接着剤100Cが設けられているそれぞれ領域の、吸収性物品1Cの幅方向の間隔が、凹部62の幅方向の長さ、すなわち幅よりも小さくなるようにした。これにより、表面シート60の肌当接面の凹凸61,62を的確に強調することができる。また、表面シート60の非肌当接面の凸部61に対向する領域はあまり着色されず、表面シート60の非肌当接面の凹部62に対向する領域は着色されているので、表面シート60の凸部61と凹部62との間の色の見え方の差異が大きくなり、肌当接面の凹凸61,62をさらに強調することができる。
【実施例】
【0042】
実施例において、表面シートの凸部を透過して見える着色部の色と表面シートの凹部を透過して見える着色部の色との間の色差を測定した。
【0043】
(試料)
実施例1は、被覆シートを緑色に着色した使い捨ておむつであり、実施例2はセカンドシートを青色に着色した使い捨ておむつである。これらの両実施例は、表面シートの凹凸が比較例と比べて際立って見えることが確認された試料である。比較例として着色部を有さない吸収性物品(比較例1:ムーニー Lサイズ(ユニ・チャーム製品)についても色差を測定した。
【0044】
実施例1の表面シートの目付けは、約30g/m2であり、実施例2の表面シートの目付けは、約25g/m2であり、比較例1の表面シートの目付けは、約30g/m2であった。
【0045】
実施例1の表面シートの凸部の厚みは1.3〜1.5mm、凹部の厚みは0.4〜0.6mmであり、実施例2の表面シートの凸部の厚みは0.7〜0.9mm、凹部の厚みは0.3〜0.5mmであり、比較例1の表面シートの凸部の厚みは1.3〜1.5mm、凹部の厚みは0.4〜0.6mmであった。
【0046】
凸部の厚みおよび凹部の厚みは以下のようにして測定した。ここで、凸部の厚みとは凸部の頂部における厚みであり、凹部の厚みとは凹部の最も深い部分の厚みである。
(1)カッターナイフ(コクヨ製、HA−100B、HA−NB用の標準替え刃)を使用して、厚さ測定用の繊維不織布片を幅方向(CD)に平行に裁断し、その繊維不織布片に幅方向(CD)に平行する観測用切断面を作る。その後に、その繊維不織布片の表面を水平面Hの上に載せ、キーエンスデジタルマイクロスコープVHX−100を用いて観測用断面の25倍の写真を得る。
(2)断面写真を画像処理ソフトであるスカラ(株)製画像解析ソフトUSBデジタルで処理して、画像を二値化する。そのときに、閾値=50に設定する。二値化した画像について二値画像形状解析の演算方法「穴埋め」を選択し、次に対象色「白」を選択して処理する。さらに二値画像形状解析の演算方法「穴埋め」を選択し、次に対象色「黒」を選択して処理する。処理の終わった画像では、ステープル繊維の集団である白島部からその外へ飛び出して毛羽状を呈しているステープル繊維を消して、毛羽立ちのないCD断面の修正写真を得る。
(3)修正写真において、凸条部の頂点からサンプルを設置している水平面Hに対しての距離を凸部の厚さとする。
(4)水平面Hに直交して、凹条部の底部の点から、サンプルを設置している水平面に対しての距離を凹部の厚さとする。
【0047】
(色差の測定方法)
(1)比較例1,2および比較例1〜3の表面シートを下記の条件で撮影した。
撮影に使用したカメラ:Canon IXY DIGITAL 5.0 MEGA PIXEL
撮影環境:株式会社エル・ピー・エル社製 クールライトCL−570PXを用いてサンプルを照らして撮影をおこなった(ランプ:PHOTOLUX57(57W×1灯)、色温度約5000K)。
撮影距離:20cm
【0048】
(2)画像編集ソフト「Microsoft(登録商標)ペイント ver.5.1」を使用して、試料を撮影した画像データを解析した。
【0049】
(3)以下の手順により、表面シートの画像の中の凸部の幅方向の中心および凹部の幅方向の中心を指定し、指定した地点のRGB値を表示させて、RGB値を測定した。
ツールバーのメニューから「色の選択」を選択した後、RGB値を表示させる地点を指定し、メニューから「色の編集」を選択し、「色の作成」を選択すると、RGB値が表示された。
10箇所の凸部および凹部についてそれぞれRGB値を測定し、10個のRGB値の平均値を使用して色差を算出した。
【0050】
(4)表面シートの凸部のRGB値の平均値と凹部のRGB値の平均値とをXYZ値に変換し、さらにLab値に変換して色差を算出した。
下記の式を使用して、表面シートの凸部のRGB値と凹部のRGB値とをXYZ値にそれぞれ変換した。
X=0.6069R+0.1735G+0.2003B
Y=0.2989R+0.5866G+0.1144B
Z=0.0661G+1.1157B
下記の色を使用して、表面シートの凸部のXYZ値と凹部のXYZ値とをLab値にそれぞれ変換した。
L=116(Y/Yn)1/3−16
a=500{(X/Xn)1/3−(Y/Yn)1/3
b=200{(Y/Yn)1/3−(Z/Zn)1/3
ただし、
(Y/Yn)>0.008856
(X/Xn)>0.008856
(Z/Zn)>0.008856
また、(X/Xn)、(Y/Yn)および(Z/Zn)のうち、0.008856以下のものがある場合は、L、a、bを求める式で(X/Xn)、(Y/Yn)および(Z/Zn)を以下のように置き換える。
(X/Xn)1/3→7.787(X/Xn)+16/116
(Y/Yn)1/3→7.787(Y/Yn)+16/116
(Z/Zn)1/3→7.787(Z/Zn)+16/116
ここで、
Xn=98.074
Yn=100.000
Zn=118.232
下記の式を使用して、表面シートの凸部のLab値と凹部のLab値との間の色差ΔEab*を算出した。
ΔEab*={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2
ここで、ΔLは、表面シートの凸部のL値と表面シートの凹部のL値との間の差分であり、Δaは、表面シートの凸部のa値と表面シートの凹部のa値との間の差分であり、Δbは、表面シートの凸部のb値と表面シートの凹部のb値との間の差分である。
【0051】
(測定結果)
(1)実施例1の凸部のRGB値の平均値は、(R,G,B)=(136、151、129)であり、凹部のRGB値の平均の値は、(R,G,B)=(135、158、130)であった。
実施例1の表面シートの凸部の色と凹部の色との間の色差ΔEは、10.8であった。また、肉眼による視覚観察により、実施例1の表面シートの凸部の色と凹部の色との間の色の違いをはっきりと認識でき、凹凸の凸部がより強調されて視認された。
(2)実施例2の凸部のRGB値の平均値は、(R,G,B)=(146、152、145)であり、凹部のRGB値の平均の値は、(R,G,B)=(142、153、151)であった。
実施例2の表面シートの凸部の色と凹部の色との間の色差ΔEは、2.85であった。また、肉眼による視覚観察により、実施例2の表面シートの凸部の色と凹部の色との間の色の違いを認識でき、凹凸の凸部が存在することを視認できた。
(3)比較例1の凸部のRGB値の平均値は、(R,G,B)=150、152、135であり、凹部のRGB値の平均の値は、(R,G,B)=156、157、143であった。
比較例1の表面シートの凸部の色と凹部の色との間の色差ΔEは、2.2であった。肉眼による視覚観察により、実施例1、2と比べて表面シートに凹凸が存在することをはっきりとは確認できなかった
【0052】
以上の本発明の第1の実施形態の吸収性物品1A、第2の実施形態の吸収性物品1Bおよび第3の実施形態の吸収性物品1Cを次のように変形することができる。
(1)吸収物品1A〜1Cに設けられる着色部は、表面シート60の非肌当接面側に、表面シート60を透過して視認可能であり、白色以外の色に着色されたものであれば、着色されるものは、上被覆シート52A、セカンドシート90Bおよび接着剤100Cに限定されない。
【0053】
(2)表面シートに形成されている複数の凸部および複数の凹部は、長手方向に延び、幅方向に交互に並んでいる複数の凸部61および凹部62に限定されない。たとえば、表面シートの肌当接面をエンボス加工することによって形成された、面方向の形状が円形である凹部とその凹部を形成することにより生ずる凸部でもよい。
【0054】
(3)第1の実施形態の吸収性物品1Aでは、吸収体50Aの表面シート60側の面を覆う上被覆シート52Aを着色したが、吸収体50のその他の面を覆う下被覆シート53もさらに着色してもよい。
【0055】
(4)上被覆シートおよびセカンドシート90Bの着色において、上被覆シートまたはセカンドシートの表面シート側の面に、白色以外の色、たとえば、青色、緑色などの有彩色、灰色などの色に着色された所定の形状もしくは模様を印刷することによって着色してもよい。たとえば、図6に示す吸収性物品1Dのように、吸収体50Dの上被覆シート52Dの表面シート60側の面に、白色以外の色を有する楕円形状110Dを印刷手段により形成するようにしてもよい。ここで、図6(a)は吸収性物品の平面図であり、図6(b)は図6(a)のD−D断面図である。これにより、所定の領域のみ、たとえば、吸収ゾーンのみに印刷を施すことにより、使用者は、吸収ゾーンなどの領域を容易に認識することができる。また、吸収ゾーンなどの所定の領域の表面シート60の肌当接面の凹凸61,62が強調されるので、吸収ゾーンなどの所定の領域の吸収力が強い印象を使用者に与えることができる。
【0056】
(5)吸収性物品の胴周り域12,16の幅方向の中央の領域に表面シート60の凸部61および凹部62の延びる方向と同じ方向に延びる縞模様を表示するようにしてもよい。たとえば、図7(a)に示す吸収性物品1Eのように、吸収性物品の後胴周り域16の幅方向の中央の領域に表面シート60の凸部61および凹部62の延びる方向と同じ方向に延びる縞模様130を形成するようにしてもよい。これにより、使用者が使い捨ておむつを着用者にはかせるために使い捨ておむつを広げたとき、使用者は、表面シート60の肌当接面の凹凸を見る前に、表面シート60の肌当接面に凹凸があることを認識することができる。縞模様の色は、表面シートを透過して見える色と同系色が好ましい。たとえば、表面シートを透過して見える色が青色である場合、縞模様の色は青色であることが好ましい。
【0057】
図7に示す吸収性物品1Eの前胴周り領域12の非肌当接面側には、ファスニング要素150が設けられており、吸収性物品1Eの後胴周り領域16の幅方向の両側には、止着テープ160が設けられている。ファスニング要素150の表面にはループ材が設けられており、止着テープ160の先端側にはフック材162が設けられており、ファスニング要素150のループ材と止着テープ160のフック材162とで面ファスナーを構成する。
【0058】
図7(b)に示すように、表面シート60の胴周り領域12,14のうちの幅方向の中央の領域の非肌当接面に、白色以外の色に着色された弾性部材170を設けることによって縞模様130を表示することができる。弾性部材170には、シート状の伸縮性不織布、ウレタンシート、糸状弾性体を並べて弾性を持たせたものなどが使用される。弾性部材170によって、表面シート60が幅方向に縮められることにより、目付けと厚みが小さい凹部62が優先的に縮められ、凸部61は、より立体的に盛り上がる状態となる。このため、着色された上被覆シート52Aおよび着色されたセカンドシート90Bを用いて表面シート60の凹凸61,62を強調した場合に比べて、表面シート60の凹凸61,62がより強調されて見えることになる。また、おむつを使用するために、おむつを装着するために止着テープ160を伸ばしておむつを広げた場合に、縮んでいた凹部62が伸びるが、表面シート60が伸びても、表面シート60の凸部61と凹部62とでは、着色された弾性部材170の色の見え方が異なるため、凹凸を有する表面シート60が配置されていることを使用者に印象づけることができる。
【0059】
(6)本発明の吸収性物品は、使い捨ておむつ以外にも、たとえば、生理用ナプキン、失禁者用パッド、パンティーライナーなどの吸収性物品等にも適用することができる。
【0060】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。実施例同士および変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0061】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態および変形例に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1A〜1E 吸収性物品
20 シャーシ
22 切り欠き部
30 フラップ部
32 切り欠き部
40 裏面シート
50A〜50D 吸収体
51 吸収部材
52A〜52D,53 被覆シート
60 表面シート
61 凸部
62 凹部
70,80 伸縮材
90B セカンドシート
100C 接着剤
130 縞模様
170 弾性部材
210 ウエブ
211 凸部
212 凹部
220 サンクションドラム
230 吹き出し部
231 流体流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色の不織布からなる液透過性の表面シートと、
前記表面シートと対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記表面シートの非肌当接面側に、前記表面シートを透過して視認可能であり、白色以外の色に着色された着色要素をさらに備え、
前記表面シートは、厚さ方向に突出する複数の凸部と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、
前記凸部の目付けは、前記凹部の目付けよりも高く、
前記表面シートの前記凸部を透過して見える前記着色要素の色と前記表面シートの前記凹部を透過して見える前記着色要素の色との間の色差が2.8以上である吸収性物品。
【請求項2】
前記凸部の側面の領域の目付けは、前記凸部の他の領域の目付けよりも高い請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体は、前記吸収体の吸収部材を被覆する被覆シートを有し、
前記着色要素は、前記被覆シートの少なくとも一部である請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記表面シートと前記吸収体との間に設けられたセカンドシートとを備え、
前記着色要素は、前記セカンドシートである請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記着色要素は、前記表面シートを前記吸収体に接着させるための接着剤であり、
前記接着剤は、前記表面シートの非肌当接面の前記表面シートの凹部に対向する位置のみに設けられ、
前記接着剤が設けられている領域の、前記吸収性物品の幅方向の間隔が、凹部の幅よりも小さい請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記表面シートの前記複数の凸部および前記複数の凹部は長手方向に延び、幅方向に交互に並んでいる請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品は使い捨ておむつであり、
前記表面シートの胴周り領域のうちの幅方向の中央の領域に前記表面シートの凸部および凹部の延びる方向と同じ方向に延びる縞模様を表示し、
前記縞模様は前記着色要素の色と同系色であり、
前記縞模様は、前記表面シートの胴周り領域のうちの幅方向の中央の領域の非肌当接面に、白色以外の色に着色された弾性部材を設けることによって表示される使い捨ておむつ。
【請求項8】
白色の不織布からなる液透過性の表面シートと、
前記表面シートと対向する位置に設けられた、液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられた吸収体とを備える使い捨ておむつであって、
前記表面シートと前記吸収体との間に、白色以外の色に着色されたセカンドシートをさらに備え、
前記表面シートは、厚さ方向に突出する複数の凸部と、厚さ方向に窪んでいる複数の凹部とを有し、
前記凸部の目付けは、前記凹部の目付けよりも高く、
前記セカンドシートは、前記吸収体の面方向の領域の一部の領域に設けられ、
前記表面シートの前記凸部を透過して見える前記セカンドシートの色と前記表面シートの前記凹部を透過して見える前記セカンドシートの色との間の色差が2.8以上であり、
前記セカンドシートが設けられている面方向の領域は、男性用と女性用とで異なる使い捨ておむつ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−75663(P2012−75663A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223309(P2010−223309)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】