説明

吸収性物品のためのラテックス結合捕捉層

本発明は、おむつ及び生理用ナプキンなどの吸収性物品、ならびにそのような物品に有用な捕捉部材に関する。より具体的には、本発明は吸収性物品のための捕捉部材に関し、捕捉部材は、20〜40重量%のラテックス結合剤、及び60〜80重量%のポリエステル繊維を含み、その繊維は、20〜80重量%の第1のタイプの繊維と、スパイラル捲縮繊維を含む20〜80重量%の第2のタイプの繊維とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン及びパンティライナーなどの吸収性物品に関する。より具体的には、本発明は、超吸収性ポリマー材料を比較的高い濃度で含む薄い製品に使用するのに非常に好適な、捕捉層及びそのような捕捉層のための材料に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て吸収性物品は広く入手可能であり、消費者は、経血(生理用ナプキン又はパンティライナーの場合)を収集して保持するため、あるいは尿及び糞便物質(例えば、使い捨ておむつの場合)を収集して保持するための高性能に慣れている。しかしながら、消費者は、優れた吸収性の作用のみを求めているのではなく、そのような物品の着用時の快適さにより一層の重点を置いている。
【0003】
典型的に、そのような物品は、主に液体を貯蔵するように設計された少なくとも1つの部材と、主に液体を捕捉及び/又は分配するように設計された少なくとも1つの他の部材のような、複数の吸収性部材を含む。
【0004】
少なくとも貯蔵部材は、従来から使用されているパルプ繊維材料と混合された、超吸収性材料を含むことが多い。そのような超吸収性材料は、それ自体の重量の何倍も(例えば10、20又は30倍)を吸収することができ、従って、改善された流体処理特性を持つ物品を設計する際に、非常に役立つ。最近の製品の多くは、超吸収性材料をより高い濃度で使用しており、その濃度は貯蔵部材の総重量の50%を越える。これらの製品は、非常に薄い貯蔵部材で、高い吸収能力を実現し、従って典型的には、全体として薄い製品である。超吸収性材料は、非常に多量の液体を貯蔵することができる一方で、吸収性物品の衝撃点からより離れた領域まで液体を分配し、物品が液体を受け入れるのと同程度の早さで液体を捕捉することができない場合が多い。
【0005】
このことから、多量の液体を一時的に捕捉し、更に多くの場合、液体を分配できる、捕捉部材が使用される。これにより、捕捉部材は、貯蔵部材によってもたらされる吸収能力の全てを使用することにおいて、重要な役割を果たす。
【0006】
現況技術による代表的な吸収性物品、即ち生理用ナプキンが、PCT国際公開特許WO00/51651に開示されている。いわゆる「第2トップシート」が、主に液体の捕捉及び分配を行う。貯蔵部材は、超吸収性ポリマー材料を高い割合で含有し得るコアの形態で提供される。
【0007】
現況技術による使い捨ておむつの形態の吸収性物品が、次の同時係属出願に開示されている:EP出願番号02017516.2(代理人案件番号CM2662MQ)及びEP出願番号03002677.7(代理人案件番号CM2687FQ)。これらの物品の貯蔵部材は、50重量%超過の超吸収性ポリマー材料を、更には80%超過、及びいくつかの実施形態では約100%もの超吸収性ポリマー材料を含有してもよい。これらの物品は、優れた流体処理及び流体貯蔵作用を有するように設計されているが、一部の消費者、即ち高級な製品に関心を持つ消費者が好むように、快適に着用できないことがある。
【0008】
優れた流体処理及び流体貯蔵特性を達成するために、個々の貯蔵部材は、主に流体処理特性に重きを置いて選択されている超吸収性材料を使用する。例えば、EP304319B1(ゴールドマン(Goldman)ら)は、粒度分布が比較的狭い超吸収性ポリマーの利益を開示している。個々の物品は、好ましくは、多くの微細繊維ではなく、比較的粗い粒子を含む。EP752892B1(ゴールドマン(Goldman)ら)は、超吸収性粒子を60%超過の濃度で使用する吸収性構造体を開示しており、比較的気孔率が高い超吸収性粒子を使用することを教示している。
【0009】
多くの吸収性物品は、貯蔵部材が着用者から離れて向くように、また捕捉部材が超吸収性粒子を着用者から離すように設計される。本発明を考案した際、吸収性物品に、即ち比較的粗い超吸収性粒子を高い濃度で含む吸収性物品に、着用時の快適さを付与するのに、捕捉層が非常に重要な役割を果たし得ることが理解された。快適さは、特に、例えば米国特許第5,527,302号(エンドレス(Endres)ら)に開示されるような比較的狭い股部を有する吸収性物品、ならびに例えばEP755649B1(ケレンバーガー(Kellenberger)ら)に開示されるような比較的薄い物品における課題である。
【0010】
米国特許第5,997,980号は、不織布材料中に、良好な熱回復を有すると言われる中空のポリエステル繊維を使用することを開示している。
【0011】
PCT国際公開特許WO98/22279は、吸収性物品内の液体処理を改善するための捕捉層を開示している。好ましい流体処理材料として、好ましくはカーディングされた繊維性材料が開示されている。これらの繊維は、樹脂によって化学的に結合されている。流体処理材料は、液体の第3の衝突噴出に対して2秒未満の捕捉性能を達成するように設計されている。
【0012】
PCT国際公開特許WO99/00098は、熱可塑性マルチコンポーネント繊維を使用する、吸収性物品のための流体捕捉/移動層を開示しており、結合は、熱結合された熱可塑性繊維を添加することによって達成される。
【0013】
PCT国際公開特許WO03/048440は、好ましくは熱結合技術によって結合された、らせん状に捲縮された単一ポリマー繊維を、吸収性物品に使用することを開示している。
【0014】
本発明の一目的は、上述の物品と比較して改善された液体処理特性を有する、吸収性物品を提供することである。
【0015】
更に重要な一態様において、本発明の目的は、着用がより快適な物品を提供することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の別の態様における目的は、比較的薄く、狭い股領域を有してもよい物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、おむつ及び生理用ナプキンなどの吸収性物品、ならびにそのような物品に有用な捕捉部材に関する。より具体的には、本発明は、吸収性物品のための捕捉部材に関し、捕捉部材は、20〜40重量%のラテックス結合剤及び60〜80重量%のポリエステル繊維を含み、その繊維は、20〜80重量%の第1のタイプの繊維と、スパイラル捲縮繊維を含む20〜80重量%の第2のタイプの繊維を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書は、本発明を指摘し明白に請求する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、明細書と併せて読まれる添付の図面によって更によく理解されると考えられ、図面中において、同様の構成要素には同じ参照番号を付与する。
【0019】
(定義)
本明細書で使用する次の用語は、次の意味を有する。
【0020】
「吸収性物品」とは、液体を吸収及び収容する装置を指し、より具体的には、着用者の身体に対して又はそれに近接して配置されて、身体から排泄された様々な排出物を吸収及び収容する装置を指す。吸収性物品としては、おむつ、成人失禁用ブリーフ、トレーニングパンツ、おむつホルダー及びおむつライナー、生理用ナプキンなどが挙げられるが、これらに限定されない。吸収性物品としては更に、家庭用清掃拭き取り用品、乳児用拭き取り用品などの拭き取り用品が挙げられる。
【0021】
「使い捨て」とは、一般に洗濯又は他の方法で復元若しくは再使用されることを意図しない物品、即ち、1回の使用後に廃棄、及び好ましくはリサイクル、堆肥化、又はさもなければ環境に適合する方法で処理されることを意図する物品を説明するために本明細書で用いる。
【0022】
「配置された」とは、ある要素が他の要素と共に一体構造体として、又はもう1つの要素に接合した別個の要素として、特定の場所又は位置で形成される(接合して位置決めされる)ことを意味するために用いる。
【0023】
「おむつ」とは、一般に乳幼児及び失禁症者により胴体下部の周りで着用される吸収性物品を指す。
【0024】
「固着した」又は「接合した」は、1つの要素を他の要素に直接付着させることにより、その要素が他の要素に直接固定される構成と、1つの要素を中間部材に付着させて次に中間部材を他の要素に付着させることにより、その要素が他の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0025】
「含む」及び「含んでいる」は、次に続くもの、例えば構成要素の存在を指定する、制限のない用語であるが、当技術分野で既知の、又は本明細書で開示した、他の機構、要素、工程、若しくは構成要素の存在を排除しない。
【0026】
「親水性」という用語は、繊維上に沈着した水性流体(例えば、水性体液)に湿潤性がある、繊維又は繊維の表面を表す。親水性及び湿潤性は、典型的には、流体が、例えば不織布を通る接触角及び染み透る時間の観点から定義される。この点については、アメリカ化学会(the American Chemical Society)の出版物(1964年版権)、名称「接触角、湿潤性及び接着(Contact angle,wettability and adhesion)」(ロバート F.グールド(Robert F.Gould)編集)に詳細に説明されている。繊維又は繊維の表面は、流体と繊維若しくはその表面との間の接触角が90°未満の時、又は流体が繊維の表面全体に自然に広がる傾向がある時に、流体によって濡らされている(即ち、親水性である)と言われ、通常は両方の条件が共存する。逆に、接触角が90°より大きい場合、及び流体が繊維の表面全体に自然に広がらない場合は、繊維又は繊維の表面は疎水性であると見なされる。
【0027】
「繊維」及び「フィラメント」という用語は、交換可能に使用される。
【0028】
「不織布」、「不織布地」及び「不織布ウェブ」という用語は、交換可能に使用される。
【0029】
(吸収性物品)
図1は、本発明による吸収性物品の好ましい実施形態としてのおむつ20の平面図である。おむつは、広げて非収縮状態(即ち、弾性による収縮なし)で示される。構造の一部を切欠して、おむつ20の下層構造をより明瞭に示している。おむつ20の着用者に接触する部分が、読者に向いている。図1のおむつ20のシャーシ22は、おむつ20の本体を含む。シャーシ22は、液体透過性トップシート24及び/又は液体不透過性バックシート26を包含する外側カバーを備える。シャーシはまた、トップシート24とバックシート26との間に包まれた吸収性コア28の大部分又は全てを包含してもよい。シャーシは、好ましくは、サイドパネル30、レッグカフ32及び腰部機構34を更に包含する。レッグカフ及び腰部機構は、典型的には、弾性部材33を備える。おむつ20の1つの末端部は、おむつ20の前腰部領域36として構成されている。反対側の末端部は、おむつ20の後腰部領域38として構成されている。おむつ20の中間部は、前腰部領域36と後腰部領域38との間を長手方向に延びる、股領域37として構成されている。股領域37は、おむつ20を着用した時にほぼ着用者の脚の間に位置するおむつ20の部分である。腰部領域36及び38は、好ましくは後腰部領域38に固着した締着部材40と、前腰部領域36に固着したランディング領域42とを有する締着装置を包含してもよい。おむつ20は、長手方向軸100及び横断方向軸110を有する。おむつ20の周囲は、おむつ20の外側縁部によって画定され、長手方向縁部44はおむつ20の長手方向軸100とほぼ平行をなし、末端縁部46は、おむつ20の横断方向軸110とほぼ平行をなす。
【0030】
一体型吸収性物品では、シャーシ22は、複合おむつ構造体を形成するために付加された他の機構を有するおむつの主要構造体を含む。トップシート24、バックシート26、及び吸収性コア28は、様々な周知の構成で組み立てることができるが、好ましいおむつの構成が、米国特許第5,569,234号、名称「使い捨てプルオン・パンツ(Disposable Pull-On Pant)」(ビュール(Buell)ら、1996年10月29日発行);及び米国特許第6,004,306号、名称「多方向延伸性サイドパネルを有する吸収性物品(Absorbent Article With Multi-Directional Extensible Side Panels)」(ローブル(Roble)ら、1999年12月21日発行)に概ね記載されている。
【0031】
図1のトップシート24は、トップシート24と吸収性コア28との間に空間を設けるために、全体的に又は部分的に弾性であってよく、あるいは短縮されていてもよい。弾性の又は短縮させたトップシートを包含する代表的な構造は、米国特許第5,037,416号、名称「弾性的延伸性のトップシートを有する使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article Having Elastically Extensible Topsheet)」(アレン(Allen)ら、1991年8月6日発行);及び米国特許第5,269,775号、名称「使い捨て吸収性物品のための三等分トップシート及びこのような三等分トップシートを有する使い捨て吸収性物品(Trisection Topsheets for Disposable Absorbent Articles and Disposable Absorbent Articles Having Such Trisection Topsheets)」(フリーランド(Freeland)ら、1993年12月14日発行)に更に詳細に記載されている。
【0032】
図1のバックシート26は、一般に、バックシート26とトップシート24との間の吸収性コア28と共に配置されるおむつ20の部分である。バックシート26は、トップシート24と接合していてもよい。バックシート26は、吸収性コア28に吸収されて物品20内に収容された排出物が、ベッドシーツや下着など、おむつ20と接触することがある他の外部の物品を汚すことを防ぐ。好ましい実施形態では、バックシート26は、液体(例えば尿)に対して実質的に不透過性であり、また、不織布と、厚さ約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムとの積層体を含む。好適なバックシートフィルムとしては、インディアナ州テレホート(Terre Haute)のトレドガー・インダストリーズ社(Tredegar Industries Inc.)により製造され、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、おむつ20から蒸気を逃す一方で、排出物がバックシート26を通過するのを防止する通気性材料が挙げられる。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブなどの複合材料、ならびにエスポア NO(ESPOIR NO)の名称で日本の三井東圧株式会社(Mitsui Toatsu Co.)により製造されるような、またエグゼア(EXXAIRE)の名称でテキサス州ベイシティー(Bay City)のエクソン・ケミカル社(EXXON Chemical Co.)により製造されるような微小多孔性フィルムなどの材料が挙げられる。ポリマーブレンドを含む好適な通気性複合材料が、ハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097の名称でオハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のクロペイ社(Clopay Corporation)から入手可能である。
【0033】
図1の吸収性コア28は、一般に、トップシート24とバックシート26との間に配置される。吸収性コア28は、概ね圧縮性であって、体型に合いやすく、着用者の皮膚に対して非刺激性であり、尿及び他の特定の身体排出物などの液体を吸収して保持できる、いかなる吸収性材料も含むことができる。吸収性コア28は、エアフェルトと一般に呼ばれる粉砕木材パルプなどの、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に一般に使用される、多種多様な液体吸収性材料を含んでもよい。他の好適な吸収性材料の例としては、縮みセルロース詰め物、コフォームを含むメルトブローポリマー、化学的に剛化、変性若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又は他のあらゆる既知の吸収性材料、又はこれらの材料の組み合わせなどが挙げられる。吸収性コアは、微量(通常10%未満)の非液体吸収性材料、例えば、接着剤、ワックス、油などを更に含んでもよい。
【0034】
吸収性アセンブリとして使用するための代表的な吸収性構造体は、米国特許第4,834,735号、名称「低密度及び低坪量の捕捉区域を有する高密度吸収性部材(High Density Absorbent Members Having Lower Density and Lower Basis Weight Acquisition Zones)」(アレマニー(Alemany)ら、1989年5月30日発行);及び米国特許第5,625,222号、名称「非常に高い水/油比を有する高内相エマルションから作られた水性流体のための吸収性フォーム材料(Absorbent Foam Materials For Aqueous Fluids Made From high Internal Phase Emulsions Having Very High Water-To-Oil Ratios)」(デスマライス(DesMarais)ら、1997年7月22日発行)に記載されている。
【0035】
おむつ20はまた、前及び後耳パネル、腰部キャップ機構、弾性部などを包含する当技術分野で既知の他の機構を包含し、よりよい適合性、収容性、及び美的特性を提供してもよい。このような追加の機構は当該技術分野で周知であり、米国特許第3,860,003号、名称「使い捨ておむつ用の収縮可能なサイド部分(Contractable side portions for disposable diaper)」(ビュール(Buell)ら、1975年1月14日発行)、及び米国特許第5,151,092号、名称「予備配列された弾力的な可撓性ヒンジを有する動的に弾性的な腰部機構を有する吸収性物品(Absorbent article with dynamic elastic waist feature having a predisposed resilient flexural hinge)」(ビュール(Buell)ら、1992年9月29日発行)に記載されている。
【0036】
おむつ20を着用者の周りで適切に保持するために、腰部領域36及び38は、好ましくは後腰部領域38に固着した締着部材40を含む締着装置を包含してもよい。好ましい実施形態では、締着装置は、前腰部領域36に固着したランディング領域42を更に含む。締着部材は、前腰部領域36に、好ましくはランディング領域42に固着され、足の開口部と物品の腰部を形成する。
【0037】
本発明のおむつ20は、再び締めることが可能な締着装置を備えるか、あるいはパンツ型のおむつの形態で提供されてもよい。
【0038】
締結装置及びそのいかなる構成要素も、そのような使用に好適ないかなる材料を包含することができ、それにはプラスチック、フィルム、発泡体、不織布ウェブ、織布ウェブ、紙、積層体、繊維強化プラスチックなど、又はこれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。締結装置を作り上げる材料は、可撓性であるのが好ましい場合がある。可撓性は、締結装置が身体形状に順応し、その結果、締結装置が着用者の皮膚を刺激するか又は傷つける可能性を低減できるように設計される。
【0039】
図2は、横断方向軸110で切り取った図1の断面図を示す。着用者に面する側から、おむつは、トップシート24、吸収性コア28の構成要素、及びバックシート26を含む。吸収性コアは、好ましくは、着用者の方に面した上側捕捉層52と下側捕捉層54とを備えた捕捉システム50を含む。好ましい一実施形態では、上側捕捉層は不織布を含み、下側捕捉層は、好ましくは、化学的に剛化され、撚り合わされ、巻かれた繊維、表面積の大きな繊維、及び熱可塑性の結合繊維の混合物を含む。別の好ましい実施形態では、両方の捕捉層が、好ましくは親水性である不織布材料から準備される。捕捉層は、好ましくは貯蔵層60と直接接触している。
【0040】
本発明による捕捉部材は、好ましくは、記載されるようにおむつの捕捉システム50で構成される。最も好ましくは、捕捉部材は上側捕捉層52で構成される。本発明の好ましい一実施形態では、上側捕捉層52は特許請求される捕捉部材からなる。
【0041】
貯蔵層60は、好ましくはコアラップ材料で包まれる。好ましい一実施形態では、コアラップ材料は、最上層56及び最下層58を含む。最上層56及び最下層58は、不織布材料から準備することができる。1つの好ましい材料は、スパンボンドされた層、メルトブローンされた層、及び更にスパンボンドされた層を含む、いわゆるSMS材料である。最上層56及び最下層58は、2枚以上の別個のシート材料から準備されてもよく、あるいは別の方法として、単一シート材料から準備されてもよい。このような単一シート材料は、例えばC折りで、貯蔵層60の周りに巻き付けられてもよい。最上層56及び最下層58はまた、好ましくはその周囲部に沿って、互いに接合されてもよい。1つの好ましい選択肢では、両方の層はその長手方向周囲に沿って接合され、他の実施形態では、横断方向周囲に沿って、あるいは長手方向及び横断方向の周囲に沿って接合される。接合は、例えば、連続又は不連続パターン、及び好ましくは直線状又は曲線状のパターンを用いた接着手段など、当該技術分野において周知の多数の手段によって、実施することができる。
【0042】
貯蔵層60は、典型的には、超吸収体、吸収性ゲル材料と混合した、繊維性材料を備える。吸収性コア28に適切であるとして上述した他の材料もまた、含まれていてもよい。
【0043】
(不織布)
不織布は、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合された、方向性を有して又はランダムに配向された繊維で製造された、シート、ウェブ、又は中綿であり、さらなるニードル加工の有無を問わず、紙、及び織り製品、編み製品、ふさ状製品、ステッチで結合した組み込み結合糸若しくはフィラメント、又は湿式粉砕によるフェルト製品は除外する。
【0044】
繊維は天然又は人工起源であってもよい。それらは短繊維若しくは連続したフィラメントでもよいし、又はその場で形成されてもよい。
【0045】
不織布は、メルトブローイング、スパンボンディング、カーディングなどの多くの方法によって形成することができる。不織布の坪量は、通常、1平方メートル当りのグラム数(gsm)で表される。
【0046】
市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mm超過の範囲の直径を有し、いくつかの異なる形態:短繊維(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの撚っていない束(麻くず(tow))、及び連続フィラメントの撚り束(編み糸)、で提供される。繊維は、その起源、化学構造、又はその両方によって分類される。それらは、編んでロープ及び縄索類にすることもでき、フェルト(不織布若しくは不織布地とも呼ばれる)にすることもでき、織って若しくは編んで織物にすることもでき、又は高強度繊維の場合には、複合物、即ち2つ以上の異なる材料から製造される製品で、補強材として使用することもできる。
【0047】
不織布は、天然に製造された繊維(天然繊維)、人によって製造された繊維(合成又は人工)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。天然繊維の例としては:羊毛、絹、毛皮、及び毛髪のような動物繊維;セルロース、綿、亜麻、リネン、及び大麻のような植物繊維;並びにある種の天然に生じる鉱物繊維が挙げられるが、これらに限定されない。合成繊維は、天然繊維由来のものであることも可能であり、又は天然繊維由来でないものであることも可能である。天然繊維由来の合成繊維の例としては、どちらも天然多糖類繊維であるセルロース由来の、レーヨン及びリオセルが挙げられるが、これらに限定されない。天然繊維由来でない合成繊維は、他の天然資源又は鉱物資源に由来し得る。天然資源由来ではない合成繊維の例としては、デンプンなどの多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。鉱物資源由来の繊維の例としては、石油由来のポリプロピレン繊維及びポリエチレン繊維ならびにポリエステルなどのポリオレフィン繊維、ならびにガラス及びアスベストなどのシリケート繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
不織布ウェブは、繊維及びウェブがほぼ同時点で形成される直接押出成形によって、あるいは予め形成した繊維を明らかに後の時点でウェブに構築することによって、形成することができる。直接押出成形の例としては、通常は層を形成する、スパンボンディング、メルトブローイング、溶媒紡糸、電界紡糸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
「レイイング(laying)」方法の例としては、湿式レイイング(wetlaying)及び乾式レイイング(drylaying)が挙げられる。乾式レイイング方法の例としては、通常は層を形成する、エアレイイング、カーディング、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記の方法を組み合わせると、一般にハイブリッド又は複合体と呼ばれる不織布が生成される。組み合わせの例としては、通常は層状である、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−カーディング(SC)、スパンボンド−エアレイド(SA)、メルトブローン−エアレイド(MA)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。直接押出成形を包含する組み合わせは、直接押出成形方法(例えば、SA及びMAのスピンフォーム及びコフォーム)とほぼ同時点で、又はその後の時点で組み合わせることができる。上述の例では、各方法によって1つ以上の別個の層を形成することができる。例えば、SMSは、三層の「sms」ウェブ、五層の「ssmms」ウェブ、又はこれらのあらゆる妥当な変形形態を意味することができ、ここで小文字は個々の層を表し、大文字は類似の隣接層をまとめて表している。
【0050】
不織布ウェブ中の繊維は、典型的には、重なり合う接合部のいくつかで、1つ以上の隣接繊維に接合している。これは、各層内での繊維接合、及び1超過の層がある場合は層間での繊維接合を包含する。繊維は、機械的な絡合、化学結合、又はこれらの組み合わせによって接合することができる。繊維はまた、空気通過結合、ならびに加熱したカレンダーロールを用いた熱結合などの技術を含む、熱接合によって接合することもできる。
【0051】
上述の全ての繊維及び製造技術は、本発明による捕捉部材を提供するのに有用であり得る。
【0052】
(好ましい捕捉部材)
本発明によれば、捕捉システム、ならびに好ましくは上側の、着用者に面した捕捉層は、以下に記載するポリエステル繊維及びラテックス結合剤を含む。本発明による好ましい繊維は、ポリエステル繊維などのPET繊維である。
【0053】
捕捉材料は、異なる繊維のブレンドを使用した場合に最も良好に作用することが見出されている。3、4、5又はそれ以上の異なる繊維のブレンドを使用することができるが、好ましくは、2つの繊維のブレンドが使用される。このようなブレンドは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、又は90重量%の第1のタイプの繊維と、残りの重量%の第2のタイプの繊維を含んでよい。本発明に従って非常に好ましいのは、50:50の繊維のブレンド、即ち、50重量%の第1のタイプの繊維を、50重量%の第2のタイプの繊維とブレンドしたものである。
【0054】
本発明によれば、少なくとも第2のタイプの繊維は、スパイラル捲縮を示す。本明細書で使用する時、スパイラル捲縮は、あらゆる三次元の捲縮であり、好ましくは繊維が実質的にらせん形状を呈するものである。
【0055】
任意に、第1のタイプの繊維もスパイラル捲縮されていてもよい。本発明の一実施形態では、第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維は同一のものである。
【0056】
第1のタイプの繊維は、第2のタイプの繊維より細くてもよい。好ましくは、第1のタイプの繊維は、3〜9デシテックス、より好ましくは5〜8デシテックス、最も好ましくは6〜7デシテックスを有する。第2のタイプの繊維は、好ましくは、8〜12デシテックス、より好ましくは9〜10デシテックスを有する。第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維は、異なる長さであってもよいが、好ましくは同じ長さである。好ましくは、繊維は、20〜70mm、より好ましくは30〜50mmの平均長さを有する。第1のタイプの繊維は、好ましくは第2のタイプの繊維より高い捲縮度を有する。第3のタイプの繊維の好ましい捲縮度は、8〜12捲縮/インチ(cpi)(20〜30捲縮/センチ)、より好ましくは9〜10cpi(23〜25捲縮/センチ)である。第2のタイプの繊維においては、4〜8cpi(10〜20捲縮/センチ)が好ましく、5〜7cpi(13〜18捲縮/センチ)が更に好ましい。
【0057】
本発明で有用な1つの好ましいタイプの繊維は、個々の繊維が異なる材料、一般に第1の及び第2の高分子材料からなる、いわゆるバイコンポーネント繊維である。2つの材料は、化学的に異なっていてもよく(従って繊維が化学的に不均質)、又は化学的に同一(従って繊維は化学的に均質)であるが物理的特性のみが異なっていてもよい。例えば、2つの材料の固有粘度が異なっていてもよく、これはバイコンポーネント繊維の捲縮作用に影響を及ぼすことが分かっている。従って、本発明によれば、化学的に不均質なバイコンポーネント繊維ならびに化学的に均質なバイコンポーネント繊維が好ましい。
【0058】
第2のタイプの繊維に特に好適なバイコンポーネント繊維は、例えばPCT国際公開特許WO99/00098に開示されるような、並列バイコンポーネント繊維である。特に好ましいタイプのバイコンポーネント繊維は、中央に中空の空間を有する断面が円形の繊維である。断面積の10〜15%が中空であることが好ましく、より好ましくは断面積の20〜30%が中空である。
【0059】
本発明によれば、少なくとも1タイプの繊維、好ましくは2つ以上のタイプの繊維が捲縮される。第1のタイプの繊維においては、二次元の捲縮又は「扁平な捲縮(flat crimp)」が好ましい。第2のタイプの繊維においては、三次元又はスパイラル捲縮が好ましい。並列バイコンポーネント繊維を使用することが、繊維にスパイラル捲縮を付与するために有益であると考えられている。
【0060】
更に、理論に束縛されるものではないが、繊維をスパイラル捲縮することが、繊維の液体捕捉及び分配作用にとって非常に有益であるとも考えられている。スパイラル捲縮によって、そのような繊維で形成された捕捉部材の空間が増大すると考えられている。多くの場合、吸収性物品は、着用された時に着用者によって特定の圧力を受けるが、それが捕捉部材内の空間を減少させる可能性がある。良好な透過性と十分な有効空間を有することが、良好な液体の分配及び移動のためには重要である。更に、上述のようなスパイラル捲縮されたバイコンポーネント繊維は、捕捉部材が圧力を受けた時であっても十分な空隙容量を維持するのに、非常に好適であるとも考えられている。また、スパイラル捲縮繊維は、所定の繊維デシテックス値に関して良好な透過性を提供すると考えられ、繊維の断面が中空であることによって、稠密な断面と比較してより大きい外径が得られる。繊維の外径によって、そのような繊維で形成された捕捉部材の透過性作用が決まると考えられる。
【0061】
上述した不織布の製造方法のいずれも、本発明による捕捉部材を提供するのに好適であるが、PCT国際公開特許WO98/22279に記載されるカーディング及び樹脂固着技術の両方においてそのような捕捉部材の製造方法が非常に好ましい。捕捉この方法の一部として、結合剤は、ウェブに適用された後に硬化され乾燥される。
【0062】
20〜100、好ましくは30〜80、最も好ましくは50〜70グラム/平方メートルの坪量を有する不織布材料が好ましい。坪量は、以下に記載する試験方法に従って、ロール(role)幅によって与えられる幅(ただし少なくとも10cm)を有する、長さ100cmのサンプルを用いて測定される。
【0063】
本発明による捕捉部材に有用な不織布材料は、物品の使用前に十分高いキャリパーを有するが、特に、物品が外部圧力を受ける使用条件下であっても高いキャリパーを維持する。代表的なキャリパーの測定値は、0.55kPa(0.08psi)及び2.1kPa(0.30psi)で計測され、後者の圧力は使用中条件の代表的なものと考えられる。
【0064】
本発明に有用な不織布材料は、0.55kPaの圧力において、0.5〜5mm、好ましくは1〜3mm、最も好ましくは1.5〜2mmのキャリパーを有する。2.1kPaの圧力下でのこれらの不織布材料のキャリパーは、0.55kPaで測定したキャリパーの少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、更により好ましくは少なくとも40%である。2.1kPaの圧力でのキャリパーは、生理食塩水(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)を浸透させて材料を湿潤状態にした時にも、上述の範囲内に維持される。
【0065】
本発明による不織布材料の溶出液は、生理食塩水(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)の表面張力と比較して、表面張力の低下が少ない。好ましい材料の溶出液は、本明細書に記載の試験に従って測定した時、40mN/m超過、より好ましくは50mN/m超過、更に好ましくは55mN/m超過、更により好ましくは60mN/m超過の表面張力を有する。高い表面張力は、不織布材料が吸収性コアに使用された場合に、毛管液体移送に有益であると考えられる。
【0066】
更に重要な観点において、本発明による捕捉部材に有用な不織布材料は、一旦圧力を受けた後に良好に回復することが見出されている。良好な回復とは、比較的高い圧縮力を受けた後に、初期のキャリパーのほとんどあるいは高い比率を維持する材料の能力を表す。圧縮/回復作用は、以下に記載する弾力性測定を用いて試験される。本発明による好ましい材料は、0.55kPaで1.4〜2.2mm、より好ましくは1.7〜1.9mmの圧縮値、ならびに2.1kPaで0.8〜1.5mm、より好ましくは1.0〜1.3mmの圧縮値を有する。非常に好ましい材料は、以下に記載される弾力性試験で使用されるいかなる圧力、ただし好ましくは少なくとも0.55kPa及び2.1kPaの圧力における圧縮値の、少なくとも50%、60%、70%、又は80%の回復値を示す。
【0067】
別の重要な観点において、本発明による捕捉部材は非常に高い捕捉速度を示す。捕捉速度は、PCT国際公開特許WO98/22279に開示される、「完成製品の捕捉試験(Finished product acquisition test)」という名称の試験方法に従って測定される。好ましい材料は、第1の噴出に対して20〜22秒、第2の噴出に対して27〜29秒、第3の噴出に対して55〜58秒、第4の噴出に対して105〜110秒の捕捉時間を実現する。材料が、第4の噴出に対して90〜130秒、好ましくは100〜120秒、より好ましくは105〜115秒の捕捉性能を有することが好ましい。
【実施例】
【0068】
実施例1−使い捨ておむつ
本発明の利益を呈する使い捨ておむつは、パンパース・アクティブ・フィット(Pampers Active Fit)、サイズ4(ドイツ)として販売される市販の製品に基づいて作成される。この製品は、トップシート、不織布捕捉層、セルロース性の捕捉分配層、メルトブローン上側不織布コア被覆材料、エアフェルト材料及び超吸収性ポリマー材料を含む貯蔵コア、下側のメルトブローン不織布コア材料、及びポリマーのバックシートを(着用者に向いた側から見てこの順序で)含む。
【0069】
使い捨ておむつは、70mmの股部幅を有し、股領域で測定した股領域のキャリパーは(1.38kPa(0.2psi)で)約5.5mmである。
【0070】
セルロース分配層は、ドライレイドの化学的に剛化されたセルロース材料を含み、砂時計の形状である。この層は、長さ248mmであり、おむつの前側及び後側領域で幅85mm、股領域で幅65mmである。195gsm、220gsm及び250gsm(gsmは平方メートル当りのグラム数)の坪量を有するセルロース分配層が、良好に機能することが見出された。
【0071】
おむつは、異なる貯蔵コアを用いて試験され、それら全てが良好に働くことが見出された。貯蔵コアは、約65、70又は75重量%の超吸収性ポリマー材料を有した。貯蔵コアは、合計で13、14又は15グラムの超吸収性ポリマー材料を有するように調製された。
【0072】
28〜32g/gの範囲の能力及び30×、40×、50×10−7cmxs/gの塩水流伝導度(SFC)値を有する超吸収性ポリマー材料。SFC値は、米国特許第6,570,058号(C.ファッチ(C.Fuchs)ら)に定められた試験方法に従って測定された。
【0073】
本発明によれば、不織布捕捉層は、6.7デシテックス及び10デシテックスのポリエステル繊維の50:50ブレンドから供給されている。捕捉材料は、スチレン−ブタジエン・ラテックス結合剤(オムノバ・ソリューションズ社(OMNOVA Solutions Inc.)(米国オハイオ州アクロン(Akron))より販売されるジェンフロー(GenFlow)3060)を30%と、記載されたようなポリエステル繊維のブレンドを70%含む。6.7デシテックスを有する第1のタイプの繊維は、圧縮円形繊維であり、二次元捲縮され、38mmの長さ及び9.3cpi(23.6捲縮/センチ)を有する。これらは、アイルランドのウェルマン・インターナショナル(Wellmann International Limited)から市販されており、フィルウェル(Fillwell)H1311の商標名で販売されている。第2のタイプの繊維は、断面が中空/円形であり、25%の中空断面積を有する並列バイコンポーネント繊維である。これらの繊維は、スパイラル捲縮され、60mmの長さ及び6.5cpi(16.5捲縮/センチ)を有する。これらは、フィルウェル(Fillwell)H7303の商標名でウェルマン(Wellmann)から入手可能である。繊維は、いずれの繊維又はウェブも圧縮されずに、カーディングで不織布にされている。結合剤が、不織布の厚さ方向全体にわたって均一に適用されている。不織布は、60gsmの坪量を有した。
【0074】
0.55kPaで測定した時、層は、1.72mmのキャリパー及び0.03g/ccmの密度を有し、その結果、空隙容量は28.7ccm/gになる。湿潤(生理食塩水)飽和状態で2.1kpaで測定した時、材料は、0.5mmのキャリパー及び0.03g/ccmの密度を有したが、これは空隙容量14.2ccm/gに相当する。
【0075】
この捕捉層は、66.6mN/nの表面張力を有した。
【0076】
この捕捉材料の圧縮値は、0.55kPaで1.75mm、2.1kPaで1.19mmであった。回復値は、0.55kPaで1.37mm、2.1kPaで0.9mmであった。
【0077】
おむつは、優れた着用時の快適さと乾燥度を示すことが見出された。
【0078】
実施例2−生理用ナプキン
生理用ナプキンは、PCT国際公開特許WO00/51651の実施例Aに従って調製された。第2トップシートは、実施例1で上述したような捕捉層材料に置き換えられた。
【0079】
生理用ナプキンもまた、優れた着用時の快適さと乾燥度を示すことが見出された。
【0080】
(試験方法)
表面張力の測定
表面張力(単位:mN/m)は、以下の試験に従って測定される。
【0081】
装置:
装置:ドイツのクルスGmbH(Kruss GmbH)によって提供されるK10張力計又は等価物。容器の上昇速度は4mm/分であるべきである。液体表面の高さは、プレート又はリングを用いる場合、自動的に感知されるべきである。この装置は、サンプルの位置を自動的に正しい高さに調整することができなければならない。試験の精度は、±1.0mN/mでなければならない。
【0082】
手順:
1.生理食塩水(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)40mLを洗浄されたビーカーに注ぐ。
2.白金リング又は白金プレートを用いて表面張力を試験する。予測される表面張力は、20℃で71mN/mである。
3.脱イオン水及びイソプロパノールでビーカーを洗浄し、それを数秒間ガスバーナーで熱して蒸発させる。室温に平衡化するまで待つ。
4.60×60mmの不織布試験片1つを、洗浄されたビーカー内に配置する。不織布は、少なくとも10gsmの坪量を有するべきである。
5.生理食塩水(脱イオン水中に0.9重量%のNaCl)40mLを添加する。
6.界面活性剤を含まないきれいなプラスチック棒で、10秒間攪拌する。
7.不織布を浸した溶液を5分間放置する。
8.再び10秒間攪拌する。
9.界面活性剤を含まないきれいなプラスチック棒で、不織布を溶媒から取り出す。
10.溶液を10分間放置する。
11.溶出液とも称される、溶液の表面張力を、白金プレート又は白金リングを用いて試験する。
【0083】
密度/キャリパー/坪量の測定
サンプルカッターを用いて切断するなどして画定した面積の標本を、少なくとも0.1%の確度で計量する。特に規定しない限り、キャリパーは、規定のおもりを載置できる直径2cmの平坦なプレートを有する従来のキャリパー測定装置を用いて、550Pa(0.08psi)の圧力を印加して測定される。次のように規定した場合、同様の試験が、より高い圧力、典型的には使用中条件を代表すると考えられる2.1kPa(0.3psi)を用いて実施される。試験標本を次に、このプレートと平坦な表面との間に配置することができ、プレートと基部表面の間の距離を測定することができる。標準的なキャリパー測定は、225gのおもりを(過度の圧縮を避けるために)慎重に印加し、結果の圧力を1747Paとすることによって実施される。おもりは、少なくとも5秒間放置され、その時に距離の読み取りを行う。
【0084】
この手順を、1つの標本に対して少なくとも3回繰返して、試験データの代表数値を得る。
【0085】
試験標本の坪量は、既知の面積の試験標本の重量を十分精確に測定することによって試験できる。都合のよく、10cm×10cmの試験標本が、例えば0.001gの確度を有するはかりで計量される。
【0086】
g/m2で表される単位面積当りの重量である坪量、550Paの圧力でのmmで表されるキャリパー、ならびにg/cmで表される密度が、容易に算出できる。
【0087】
弾力性測定
弾力性の測定は、サンプル材料の積み重ね材料に対して、これをインストロン(Instron)装置などの動力計で圧縮及び非圧縮することによって、実施される。
【0088】
サンプルは、70mm×70mmの寸法で準備される。サンプル材料20プライの積み重ね材料(非圧縮時に約3cmの高さ)が、サンプルの寸法よりも大きく、MTSアライアンスRT/1(MTS Alliance RT/1)引張り試験機などの従来の圧縮/圧力分析装置内に搭載された、2枚の金属プレートの間に置かれる。装置は次に、25mm/分のクロスヘッド速度で、圧縮及び非圧縮サイクルで操作され、グラフ表示によって、あるいは接続された又は内部のコンピュータユニット内のデータファイルに、変位圧力が記録される。
【0089】
装置は、各サイクルが圧力なしから6120Pa(0.7psi)の間で、3サイクル操作される。20プライに相当する厚さが記録される。
【0090】
ピーク応力(6120Pa)における厚さの損失と、応力後(0kPa(0.0psi))の厚さの損失が、3サイクルから取った値と、上述の方法に従って測定した初期のキャリパーに関連する値を平均化することによって記録される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】上側層を部分的に切り欠いた、使い捨ておむつの平面図。
【図2】図1に示した使い捨ておむつの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品のための捕捉部材であって、前記捕捉部材が次の:
a)20〜40重量%のラテックス結合剤、
b)60〜80重量%のポリエステル繊維であって、前記繊維が、
i.20〜80重量%の第1のタイプの繊維、及び
ii.スパイラル捲縮繊維を含む、20〜80重量%の第2のタイプの繊維、
を含むものである、
を含む、捕捉部材。
【請求項2】
ラテックス結合剤がスチレン−ブタジエン・ラテックス結合剤を含む、請求項1に記載の捕捉部材。
【請求項3】
第1のタイプの繊維が扁平な捲縮を示す、請求項1又は2に記載の捕捉部材。
【請求項4】
第2のタイプの繊維が中空で化学的に不均質なバイコンポーネント繊維を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の捕捉部材。
【請求項5】
第2のタイプの繊維が中空で化学的に均質なバイコンポーネント繊維を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の捕捉部材。
【請求項6】
第1のタイプの繊維が5〜7デシテックスを有し、第2のタイプの繊維が8〜11デシテックスを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の捕捉部材。
【請求項7】
40〜60重量%の第1のタイプの繊維及び40〜60重量%の第2のタイプの繊維を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の捕捉部材。
【請求項8】
ポリエステル繊維がカーディングされて不織布を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の捕捉部材。
【請求項9】
40〜80gsmの坪量を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の捕捉部材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の捕捉部材を含む、おむつ、失禁ガード、生理用ナプキン、パンティライナーなどの吸収性物品。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の捕捉部材を含む吸収性物品であって、化学的に剛化されたセルロース繊維の層を更に含む吸収性物品。
【請求項12】
トップシート及び吸収性コアを含む物品であって、前記物品が意図される着用位置にある時にトップシートが着用者に面し、前記捕捉部材ならびに前記化学的に剛化されたセルロース繊維の層が、トップシートと吸収性コアとの間に配置される、請求項11に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−500048(P2007−500048A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522143(P2006−522143)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025279
【国際公開番号】WO2005/016208
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】