説明

吸収性物品のための表面シート

【課題】効率的に液体を拡散し、従来用いられている前述の不織布中間層を使用しない構成を有する吸収性物品のための表面シートを提供する。
【解決手段】表面シートは、柔軟液体浸透性シート本体1を有し、シート本体1は、シート本体1に対して垂直方向Zにおいて相互に背中合わせの第一表面111及び第二表面112を備え、長手方向Yにおいて相互に背中合わせの前部端縁113及び後部端縁114を有する平面液体浸透性基礎壁11を有する。また、シート本体1は、相互に離れて配置され、基礎壁11の第一表面111から突起し、長手方向Yにも、長手方向Yに対して直角な幅方向Xにもに分布する複数の第一突起部12をさらに有する。第一突起部12は、それらの間に複数の開流路14を形成するように配置される。帯状開流路14は基礎壁11の前部端縁113から後部端縁114へと伸び、垂直方向Zと幅方向Xに十分な毛管現象を与える寸法を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品のための表面シート、特に、基礎壁、及び、所望の方向に液体を拡散する複数の流路を形成するため、基礎壁から突起した複数の帯状突起部を有する表面シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、液体浸透性表面シート(liquid pervious topsheet)と、液体不浸透性裏面シート(liquid impervious backsheet)と、表面シート及び裏面シート間に配置される吸収性コアと、及び、表面シート及び吸収性コア間に配置される不織布中間層(non−woven inner layer)とを有する吸収性物品(absorbent article)を開示している。表面シートは、不織布の外層(outer layer)と、不織布中間層と接触している開孔プラスチックフィルム層(perforated plastic film layer)を有する。外層はエンボス加工されてもよく、主に柔軟性を与え、使用者にべたついた、又は汗ばんだ感覚を感じさせないように水分を吸収する。
【0003】
外層は、開孔プラスチックフィルム層上に直接付着(deposited)した液体の通過のため、液体は開孔プラスチックフィルム層及び不織布中間層を通って吸収性コアにすばやく吸収されるように、吸収性物品の前面端から後部端に伸びる開口部(opening)で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,461,339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開孔プラスチックフィルム層内に形成される開口部、外層内に形成される孔、不織布中間層内に形成される孔により、外層上に付着された液体は吸収性物品に対して垂直方向では開口部及び孔から吸収性コアへと効率的に通過することができるが、吸収性物品の長手方向においては効率的に流れない。結果として、吸収性物品の限られた領域、すなわち液体が付着した湿った領域、上にのみ、外層から吸収性コアへの液体の流れが発生する。
【0006】
また、不織布中間層を形成するために使用する繊維を絡ませる前に、特定の方向に向けることにより、長手方向の液体の拡散を可能とし、外層、開孔プラスチックフィルム層及び不織布中間層を通って吸水性コアへと液体が流れる湿った領域を増加させるという方法が提案されている。しかしながら、形成される不織布中間層は費用が高い。
従って、費用効率が高く、長手方向において効率的に液体を拡散することが可能な表面シートが必要となる。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、効率的に液体を拡散し、従来用いられている前述の不織布中間層を使用しない構成を有する吸収性物品のための表面シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、柔軟液体浸透性シート本体を有する、吸収性物品のための表面シートであって、前記柔軟液体浸透性シート本体は、前記柔軟性液体浸透シート本体に対する垂直方向において、相互に向かい合う第一及び第二表面を備える平面液体浸透性基礎壁を有する。前記平面液体浸透性基礎壁は、長手方向において相互に背中合わせな前部端縁及び後部端縁を有する。前記シート本体は、さらに複数の帯状第一突起部を有し、前記複数の帯状第一突起部は、相互に離れて配置され、前記平面液体浸透性基礎壁の前記第一表面から突起し、長手方向にも、長手方向に対して直角な幅方向にも分布しする。それぞれの前記第一突起部は、前記平面液体浸透性基礎壁の前部端縁及び後部端縁にそれぞれ面する前部端及び後部端を有し、前記後部端から前記前部端へと長手方向に伸びる。前記第一突起部は、前記第一突起部の間に複数の帯状開流路を形成するように配置され、前記帯状開流路は、前記平面液体浸透性基礎壁の前記前部端縁から前記後部端縁へと伸び、垂直方向及び幅方向において十分な毛管現象を与える寸法を有し、前記基礎壁の前記第一表面上で液体を拡散させることを促進する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、効率的に液体を拡散し、従来用いられている前述の不織布中間層を使用しない構成を有する吸収性物品のための表面シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る表面シートの第1の実施形態の部分斜視図
【図2】第1の実施形態の部分断面図
【図3】本発明に係る表面シートの第2の実施形態の部分斜視図
【図4】第2の実施形態の部分断面図
【図5】本発明に係る表面シートの第3の実施形態の部分斜視図
【図6】第3の実施形態の部分断面図
【図7】本発明に係る表面シートの第4の実施形態の部分斜視図
【図8】第4の実施形態の部分断面図
【図9】本発明に係る表面シートの第5の実施形態の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて、本発明に係る吸収性物品のための表面シートの実施形態を詳細に説明する。尚、以下の説明および図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0012】
最初に、図1、2を参照しながら、本発明に係る生理用ナプキン、尿漏れ防止パッド、おむつ等のような吸収性物品のための表面シートの第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る表面シートの第1の実施形態の部分斜視図、図2は、第1の実施形態の部分断面図である。
【0013】
表面シートは、柔軟シート本体(flexible sheet body)1を有する。柔軟シート本体1は、第一表面111(first surface)、第二表面(second surface)111,112を備えた平面液体浸透性基礎壁(flat liquid pervious base wall)11を有する。第一、第二表面111,112は、柔軟シート本体1の垂直方向(Z)において相互に背中合わせである。基礎壁11は、垂直方向(Z)に実質的に垂直な長手方向(Y)において相互に背中合わせの前部端縁(front edge)113、後部端縁(rear edge)114を有する。
【0014】
柔軟シート本体1は、更に、相互に相隔てて配置される複数の帯状の第一突起部(strip−like first protrusion)12を有する。第一突起部12は、基礎壁11の第一表面111から垂直方向(Z)に突起しており、長手方向(Y)にも、長手方向(Y)を横断する幅方向(X)にも分布している。
【0015】
第1の実施形態において、柔軟シート本体1は、垂直方向(Z)に液体(図示しない)が通過するための複数の通気孔(open pore)が形成される不織布(non−woven fabric)からなる。不織布の形成は、特定の方向に繊維を向かせることのない単純な機械的技術を用いて繊維を絡み合わせるような従来の方法で行われる。
【0016】
各第一突起部12は、基礎壁11の前部端縁113及び後部端縁114にそれぞれ向く前部端121及び後部端122を有し、後部端122から前部端121へと長手方向に伸びている。第一突起部12は、それらの間に複数の帯状開流路(strip−like open fluid channel)14を形成するように配置される。帯状開流路14は、基礎壁11の前部端縁113から後部端縁114へと伸びており、垂直方向(Z)及び幅方向(X)において十分な毛管現象(capillary action)を与える寸法を持ち、長手方向(Y)において基礎壁11の第一表面111上で液体(図示しない)の拡散を促進する。
【0017】
第1の実施形態において、各第一突起部12は中が空洞で、平面液体浸透性基礎壁11の第二表面112に開く凹部を輪郭作る。
【0018】
柔軟シート本体1は、更に、複数の帯状の第二突起部13を有する。複数の第二突起部13は基礎壁11の第二表面112より突起し、長手方向(Y)にも幅方向(X)にも分布する。各第二突起部13は、中が空洞で、帯状溝部131を輪郭作る。帯状溝部131は基礎壁11の第一表面111に開き、長手方向(Y)に伸びている。第二突起部13により定義される溝部131は、第一突起部12と交互に配置される。各溝部131は、幅方向(X)において少なくとも一つの第一突起部12と部分的に整列される。即ち、各溝部131は断面131を有し、断面131は少なくとも一つの第一突起部12の部分125と幅方向(X)において整列される。溝部131は、垂直方向(Z)及び幅方向(X)において十分な毛管現象を与える寸法を持ち、長手方向(Y)において液体の拡散を強化する。
【0019】
第1の実施形態において、各第一突起部12は、長手方向(Y)に伸びており、各帯状開流路14も長手方向(Y)に伸びている。加えて、各帯状開流路14は近接する一つの帯状開流路14と流体連結(fluid communication)しており、幅方向(X)においても液体の拡散を促進する。
【0020】
図3、4は、本発明に係る吸収性物品のための表面シートの第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明に係る表面シートの第2の実施形態の部分斜視図、図4は、第2の実施形態の部分断面図である。
第2の実施形態は、第1の実施形態とは異なり、各第一突起部12が長手方向(Y)に対してわずかに傾いた方向(W)に伸びている。ある実施形態においては、各第二突起部13も、その方向(W)に伸びるようにする。
【0021】
図5、6は、本発明に係る吸収性物品のための表面シートの第3の実施形態について説明する。
図5は、本発明に係る表面シートの第3の実施形態の部分斜視図、図6は、第3の実施形態の部分断面図である。
第3の実施形態は、第1の実施形態とは異なり、各第一突起部12は形状が曲線状である。即ち、第3の実施形態において、各第一突起部12はわずかに曲がりくねって縦に伸びている。ある実施形態においては各第二突起部13も、形状が曲線状である。
【0022】
図7,8は、本発明に係る吸収性物品のための表面シートの第4の実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る表面シートの第4の実施形態の部分斜視図、図8は、第4の実施形態の部分断面図である。
第4の実施形態は、第1の実施形態とは異なり、柔軟シート本体1は垂直方向(Z)に液体が通過するための開口部で形成される開孔プラスチックフィルムからなる。他の好適な実施形態として、開口部は、柔軟シート本体1の平面液体浸透性基礎壁11にのみ形成し、第一突起部12及び第二突起部13には開口部を形成せず、第一突起部12及び第二突起部13は液体不浸透となるようにしてもよい。
【0023】
図9は、本発明に係る吸収性物品のための表面シートの第5の実施形態について説明する。
図9は、本発明に係る表面シートの第5の実施形態の部分断面図である。
第5の実施形態は、第1の実施形態とは異なり、柔軟シート本体1は不織布層101と、不織布層101に接着された開孔プラスチックフィルム層102を有する二層構造の複合材料からなる。
【0024】
本発明の表面シートの柔軟シート本体1に、第一突起部12及び帯状溝部131を有することで、基礎壁11の第一表面111上の液体は長手方向(Y)に急速に拡散し、その結果、基礎壁11のほかにも溝部131を輪郭作る壁もまたの両方を液体を投下し、湿った領域の大幅な増加が起きる。結局、本発明のこのような構成が、吸収性物品への流体輸送(transport of liquid)を促進する。
【0025】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る吸収性物品のための表面シート等の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0026】
1………柔軟シート本体
11………平面液体浸透性基礎壁
12………第一突起部
13………第二突起部
14………帯状開流路
111………第一表面
112………第二表面
113………前部端縁
114………後部端縁
121………前部端
122………後部端
131………帯状溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟液体浸透性シート本体(1)を有する、吸収性物品のための表面シートであって、
前記柔軟液体浸透性シート本体(1)は、前記柔軟性液体浸透シート本体(1)に対する垂直方向(Z)において、相互に背中合わせの第一及び第二表面(111,112)を備える平面液体浸透性基礎壁(11)を有し、
前記平面液体浸透性基礎壁(11)は、長手方向(Y)において相互に背中合わせな前部端縁及び後部端縁(113,114)を有し、
前記シート本体(1)は、さらに複数の帯状第一突起部(12)を有し、
前記複数の帯状第一突起部(12)は、相互に離れて配置され、前記平面液体浸透性基礎壁(11)の前記第一表面(111)から突起し、長手方向(Y)にも、長手方向(Y)に対して直角な幅方向(X)にも分布し、
それぞれの前記第一突起部(12)は、前記平面液体浸透性基礎壁(11)の前部端縁及び後部端縁(113,114)にそれぞれ面する前部端及び後部端(121,122)を有し、前記後部端(122)から前記前部端(121)へと長手方向に伸び、
前記第一突起部(12)は、前記第一突起部(12)の間に複数の帯状開流路(14)を形成するように配置され、前記帯状開流路(14)は、前記平面液体浸透性基礎壁(11)の前記前部端縁(113)から前記後部端縁(114)へと伸び、垂直方向(Z)及び幅方向(X)において十分な毛管現象を与える寸法を有し、前記基礎壁(11)の前記第一表面(111)上で液体を拡散させることを促進することを特徴とする表面シート。
【請求項2】
前記第一突起部(12)は、中が空洞であることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項3】
前記柔軟液体浸透性シート本体(1)は、更に、複数の帯状第二突起部(13)を有し、
前記帯状第二突起部(13)は、前記平面液体浸透性基礎壁(11)の前記第二表面(112)から突起し、長手方向(Y)にも幅方向(X)にも分布し、それぞれの前記帯状第二突起部(13)は中が空洞で、前記平面液体浸透性基礎壁(11)の前記第一表面(111)に開く帯状溝部(131)を輪郭作り、
前記帯状溝部(131)は、前記第一突起部(12)と交互に配置される前記第二突起部(13)により輪郭作られることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項4】
前記帯状溝部(131)は、幅方向(X)において、少なくとも一つの前記第一突起部(12)と部分的に整列されることを特徴とする請求項3記載の表面シート。
【請求項5】
前記第一突起部(12)は、長手方向(Y)に伸び、前記帯状開流路(14)は長手方向(Y)に伸びることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項6】
前記第一突起部(12)は、長手方向(Y)に対してわずかに傾斜した方向に伸びることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項7】
前記第一突起部(12)は、形状が曲線状であることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項8】
前記柔軟液体浸透性シート本体(1)は、不織布からなることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項9】
前記柔軟液体浸透性シート本体(1)は、開孔プラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の表面シート。
【請求項10】
前記柔軟液体浸透性シート本体(1)は、不織布層(101)と、前記不織布層(101)に接着された開孔プラスチックフィルム層(102)を有する二層構造の複合材料からなることを特徴とする請求項1記載の表面シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−207897(P2009−207897A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−46499(P2009−46499)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(502311413)
【出願人】(509058793)
【出願人】(509058807)
【Fターム(参考)】